特許第6655276号(P6655276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

特許6655276石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム、石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送方法
<>
  • 特許6655276-石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム、石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送方法 図000002
  • 特許6655276-石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム、石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送方法 図000003
  • 特許6655276-石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム、石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6655276
(24)【登録日】2020年2月5日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム、石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/24 20060101AFI20200217BHJP
   B02C 17/00 20060101ALI20200217BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20200217BHJP
   B65G 53/04 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   B65G53/24
   B02C17/00 D
   B02C17/18 C
   B65G53/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-93190(P2014-93190)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-209317(P2015-209317A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年10月18日
【審判番号】不服2018-14819(P2018-14819/J1)
【審判請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】特許業務法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】小野 晋司
(72)【発明者】
【氏名】小澤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】中 義信
【合議体】
【審判長】 大町 真義
【審判官】 小関 峰夫
【審判官】 内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−173813(JP,A)
【文献】 特開平11−319609(JP,A)
【文献】 特開2000−264440(JP,A)
【文献】 特開2000−290050(JP,A)
【文献】 特開2001−9417(JP,A)
【文献】 特開2001−163647(JP,A)
【文献】 特開2001−220208(JP,A)
【文献】 特開2005−69512(JP,A)
【文献】 特開2005−111426(JP,A)
【文献】 特表2008−506086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-7/18,15/00-17/24,19/00-25/00
B65G 53/00,53/04-53/28,53/32-53/50,53/58-53/66
F23G 5/00,5/027,5/24-5/28,7/00-7/02,7/10-7/12
F23J 1/00-1/08,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭焚きボイラ炉底から排出される塊状石炭灰を破砕する破砕装置と、
前記破砕装置により破砕された粉状石炭灰を空気輸送する空気輸送装置と、を備え、
前記破砕装置は、前記塊状石炭灰を粒度20mm以下に一次破砕する一次破砕部と、
前記一次破砕部で一次破砕された粒状石炭灰を粒度300μm以下に二次破砕するボールミルと、を備えたことを特徴とする石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム。
【請求項2】
前記空気輸送装置は、
前記破砕装置で破砕された前記粉状石炭灰を貯留する貯留部と、
配管で空気輸送する空気輸送部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム。
【請求項3】
前記ボールミルは、破砕用ボールを投入するための投入部を有し、
当該投入部は、前記粒状石炭灰の投入部でもあることを特徴とする請求項1又は2に記載の石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システム。
【請求項4】
石炭焚きボイラ炉底から排出される石炭灰を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程により破砕された粉状石炭灰を空気輸送する空気輸送工程と、を備え、
前記破砕工程は、前記塊状石炭灰を粒度20mm以下に一次破砕する一次破砕工程と、
前記一次破砕工程で一次破砕された粒状石炭灰をボールミルにより粒度300μm以下に二次破砕する二次破砕工程と、を備えたことを特徴とする石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚きボイラの炉底から排出される石炭灰の搬送システムに関する。さらに詳しくは、石炭焚きボイラの炉底から排出される石炭灰を空気輸送により搬送するための石炭灰の搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電所等の石炭焚きボイラでは、石炭灰がボイラ内の炉壁等に付着したのち、ボイラ炉底に落下、落下の衝撃により粉砕して塊状となることがある。石炭焚きボイラの炉底から回収された塊状石炭灰等は、破砕されてセメントや人工骨材の原材料等として利用されている。
【0003】
従来、ボイラ炉底から排出された塊状石炭灰は、乾式石炭灰コンベアにより搬送されている。また、その搬送過程において、一次破砕機及び二次破砕機により粉状まで破砕され、空気輸送によってサイロ等に回収される。
【0004】
例えば、特許文献1には、炉底から排出された塊状石炭灰を細かく破砕した後、真空輸送管で貯蔵サイロ等に搬送する石炭灰の搬送システムが記載されている。このシステムでは、炉底から排出された塊状石炭灰を乾式石炭灰コンベア及び石炭灰冷却コンベアにより搬送し、搬送過程で1次クラッシャ及び2次クラッシャにより粉状まで破砕している。そして、粉状となった石炭灰は、真空輸送管で搬送されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−69512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システムでは、一次破砕部として、ロールブレーカ等の破砕機を用いて30mm程度の粒状石炭灰とし、二次破砕部として、振動ロッドミルタイプの破砕機を用いて約300μmの粉状石炭灰を作製している。
しかし、振動ロッドミルで破砕された粉状石炭灰は針状であるため、次工程の空気輸送装置の配管を摩耗するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、塊状石炭灰を破砕するための破砕機としてボールミルを用いることにより、粉状石炭灰の針状化を抑制し、空気輸送管の摩耗が低下することを見出して本発明を完成させた。
具体的には、本発明は、以下の石炭灰搬送システム及び石炭灰搬送方法を提供するものである。
【0008】
(本願第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明は、石炭焚きボイラ炉底から排出される塊状石炭灰を破砕する破砕装置と、前記破砕装置により破砕された粉状石炭灰を空気輸送する空気輸送装置と、を備え、前記破砕装置は、ボールミルを有することを特徴とする石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システムである。
(本願第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明は、前記破砕装置は、前記塊状石炭灰を一次破砕する一次破砕部と、前記一次破砕部で一次破砕された粒状石炭灰を二次破砕する前記ボールミルと、を備えたことを特徴とする本願第1発明に記載の石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システムである。
(本願第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明は、前記空気輸送装置は、前記破砕装置で破砕された前記粉状石炭灰を貯留する貯留部と、配管で空気輸送する空気輸送部と、を備えたことを特徴とする本願第1または第2発明に記載の石炭焚きボイラで生じる石炭灰搬送システムである。
(本願第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明は、前記ボールミルは、破砕用ボールを投入するための投入部を有し、当該投入部は、前記塊状石炭灰または前記粒状石炭灰の投入部でもあることを特徴とする本願第1〜第3発明のいずれかに記載の石炭焚きボイラで生じる石炭灰の搬送システムである。
(本願第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明は、石炭焚きボイラ炉底から排出される石炭灰を破砕する破砕工程と、前記破砕工程により破砕された粉状石炭灰を空気輸送する空気輸送工程と、を備え、前記破砕工程は、ボールミルで行うことを特徴とする石炭灰搬送方法である。
【発明の効果】
【0009】
本願第1発明によれば、粉状石炭灰の針状化が抑制されるため、空気輸送装置の配管の摩耗を抑えることができる。そのため、空気輸送装置の配管交換の頻度を著しく減少することができる。
また、従来の振動ロッドミルでは、破砕媒体である破砕用ロッドが折れると交換作業が必要であった。そのため、交換作業時に石炭焚きボイラを停止又は低負荷運転したり、交換作業用の予備破砕機を設けていた。一方、ボールミルを用いた本発明の石炭灰搬送システムでは、破砕媒体である破砕用ボールは、石炭灰との衝突により表面が摩耗して小さくなるものの、減少した分だけ新しい破砕用ボールを追加すればよい。そのため、メンテナンスにおいて、石炭焚きボイラを停止又は低負荷運転したり、予備破砕機を準備しておく必要がない。
【0010】
本願第2発明によれば、塊状石炭灰が一次破砕部で適度な大きさの粒状石炭灰に粗破砕されるため、次工程のボールミルの破砕効率を高めることができる。
【0011】
本願第3発明によれば、貯留部に粉状石炭灰を貯留することができるため、粉状石炭灰を空気輸送部に供給する供給量を調節できる。粉状石炭灰の供給量を調節できると、空気輸送部の配管に粉状石炭灰を過剰供給して詰まらせるというトラブルを防止することができる。また、石炭焚きボイラや、石炭灰搬送システムの運転を停止することなく、空気輸送部の配管交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0012】
本願第4発明によれば、破砕用ボールを粒状石炭灰の投入部から投入することができるため、ボールミルの回転ドラムを停止することなく、新しい破砕用ボールを追加することができる。
【0013】
本願第5発明によれば、粉状石炭灰の針状化が抑制されるため、空気輸送管の配管の摩耗を抑えることができる。そのため、配管交換の頻度が著しく減少され、作業効率を高めることができる。
また、ボールミルの破砕媒体のメンテナンスにおいては、新たな破砕用ボールを追加するだけでよく、作業が極めて簡便なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例の石炭灰搬送システムを備えた石炭焚きボイラの構成を示す概略説明図である。
図2】本発明の実施例の石炭灰搬送システムを示す概略説明図である。
図3】本発明の実施例の石炭灰搬送システムに使用されるボールミルを示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しつつ本発明に係る石炭灰搬送システムの実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例の石炭灰搬送システムを備えた石炭焚きボイラの構成を示す概略説明図である。
本発明の実施例の石炭焚きボイラ9は、石炭火力発電所に設置され、石炭を燃料として燃焼させて蒸気タービンの動力となる蒸気を発生するものである。石炭焚きボイラ9は、石炭を燃焼して発生する飛灰Dを上部から排出し、炉底から塊状の石炭灰Aを排出する。これらの飛灰Dや塊状石炭灰Aは、セメントや人工骨材の原材料等に利用するため、サイロ10に回収される。
【0017】
塊状石炭灰Aは、本発明の石炭灰搬送システム1を備えた経路L1によりサイロ10に搬送される。石炭灰搬送システム1は、破砕装置及び空気輸送装置5を備えており、塊状石炭灰Aを破砕装置により細かく破砕して、粉状石炭灰Cとして空気輸送装置5によりサイロ10まで搬送するシステムである。各装置の詳細については、後述する。
【0018】
飛灰Dは、石炭焚きボイラ9からサイロ10に直接接続された経路L2、又は、石炭焚きボイラ9から前記経路L1の空気輸送装置5に接続された経路L3によりサイロ10に回収される。
なお、経路L1、L2、L3には、それぞれバルブV1、V2、V3、V4が設けられており、必要に応じて適宜開閉される。
【0019】
サイロ10は、真空ポンプに連結されており、サイロ10内を真空にすることにより、経路L1から粉状石炭灰C、又は、粉状石炭灰Cと飛灰Dの混合物を吸引し、経路L3から飛灰Dを吸引している。
なお、本発明の実施例では、サイロ10に真空ポンプが連結されているが、経路L1及び経路L2に直接真空ポンプを連結して、サイクロン等の粒子回収システムを用いて粉状石炭灰と飛灰Dを回収してもよい。また、圧縮空気により搬送気流を形成してもよい。
【0020】
本発明の実施例では、サイロ10に粉状石炭灰Cと飛灰Dを回収しているが、それぞれ別のサイロに回収してもよい。
【0021】
図2は、本発明の実施例の石炭灰搬送システムを示す概略説明図である。
本発明の実施例の石炭灰搬送システム1は、破砕装置2、空気輸送装置5、乾式搬送装置8を備えた構成であり、さらに破砕装置2は、一次破砕部3及びボールミル4により構成され、空気輸送装置5は、貯留部6及び空気輸送部7により構成されている。
【0022】
[乾式搬送装置]
乾式搬送装置8は、石炭焚きボイラ9の炉底から排出された塊状石炭灰Aを搬送するための装置である。乾式搬送装置8には、従来の乾式石炭灰コンベアや、冷却機能を備えた石炭灰冷却コンベア等が使用される。
【0023】
実施例の乾式搬送装置8は、石炭焚きボイラ9の炉底から排出された塊状石炭灰Aを一次破砕部3へ搬送する構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、複数の乾式搬送装置を設け、一次破砕部3から排出された粒状石炭灰Bをボールミル4へ搬送するための乾式搬送装置、ボールミル4から排出された粉状石炭灰Cを貯留部6へ搬送するための乾式搬送装置等を設置してもよい。
また、乾式搬送装置8は、省略することもできる。例えば、塊状石炭灰Aを貯留槽等に一次貯留して、冷却後、貯留された塊状石炭灰Aを直接一次破砕部3に導入してもよい。
【0024】
[破砕装置]
〈一次破砕部〉
破砕装置2は、一次破砕部3及びボールミル4により構成されている。一次破砕部3は、250mm程度の塊状石炭灰Aを粗破砕して、20mm程度の粒状石炭灰Bを形成するための構成である。例えば、2つのロールの隙間を通して破砕するロールブレーカ、回転刃を備えた駆動軸と固定刃により破砕する1軸型破砕機、回転刃を備えた2つの駆動軸により破砕する2軸型破砕機、竪型破砕機、横型破砕機等が使用される。
【0025】
〈ボールミル〉
ボールミル4は、20mm程度の粒状石炭灰Bを破砕して、300μm程度の粉状石炭灰Cを形成するための装置である。次工程の空気輸送を考慮すると、粉状石炭灰Cの粒度はD90:300μm以下であることが好ましい。なお、粉状石炭灰Cの粒度測定は、レーザー回折式粒度分布計「マイクロトラックMT3300EXII」(日機装株式会社製)を用いて測定した。
【0026】
図3は、本発明の実施例の石炭灰搬送システムに使用されるボールミルを示す概略説明図である。
ボールミル4は、土台44に軸受ローラ45を介して固定された回転ドラム41、回転ドラム41に粒状石炭灰Bを投入するための投入部42、回転ドラム41から粉状石炭灰Cを排出するための排出部43を備えている。また、回転ドラム41の内部には、複数の破砕用ボール48が充填されており、回転ドラム41の外周面には、破砕用ボール48を投入するためのボール投入口47A、駆動モータ(図示しない)の動力をギア等で伝達するための動力伝達部46が形成されている。
さらに、粒状石炭灰Bを投入するための投入部42には、連続運転しながら追加の破砕用ボール48を投入することができるボール投入口47Bが設けられている。
【0027】
ボールミル4は、回転ドラム41の容量の半分量程度の破砕用ボール48が充填した状態で回転ドラム41を回転させ、破砕用ボール48を流動させる。そして、破砕用ボール48が流動した回転ドラム41内に被処理物である粒状石炭灰Bを投入し、破砕用ボール48との衝突により粒状石炭灰Bを破砕するものである。なお、破砕用ボール48の大きさは、粉状石炭灰Cの所望の大きさ等に応じて適宜選択される。
回転ドラムの大きさは、粒状石炭灰Bの処理量に応じて適宜選択されるが、例えば、直径700〜1500mm、容量1200〜2000L程度のものを使用することができる。また、回転ドラムの回転数は、回転ドラムの直径に応じて適宜選択され、通常10〜50rpm程度である。
【0028】
破砕用ボール48は、処理中に摩耗し、徐々に小さくなる。そのため、定期的に新しい破砕用ボール48を投入することが好ましい。破砕用ボール48は、回転ドラム41の外周面に設けられたボール投入口47Aより投入しても、粒状石炭灰Bと共に、ボール投入口47Bより投入してもよい。ボール投入口47Bより破砕用ボール48を投入すると、回転ドラム41の回転を止めずに、連続的に破砕処理を行うことができる。
破砕用ボール48は、徐々に小さくなって消滅するため、古い破砕用ボールと新しい破砕用ボールを交換する作業は不要である。なお、本発明において、古い破砕用ボールと新しい破砕用ボールを交換してもよいことはいうまでもない。
破砕用ボール48を追加、交換するタイミングは、排出された粉状石炭灰Cを目視または触れて判断したり、粉状石炭灰Cの粒度分布を測定して判断する。なお、ボールミル内部に入ってボールの状況を目視して判断してもよい。
【0029】
粒状石炭灰Bの投入方法としては、バッチ式でも連続式でもよいが、管理や作業性の観点から連続式が好ましい。
【0030】
水分を含んでいる場合は破砕用ボール48に石炭灰が付着して粉状石炭灰Cの回収量が低下する。
なお、粒状石炭灰Bをボールミル4に投入する前に、適宜乾燥工程を加えてもよい。乾燥工程としては、天日干し、棚乾燥、気流乾燥機による乾燥等、どのような乾燥手段を用いてもよい。粒状石炭灰B同士の固着を防止するため、気流乾燥機を用いることが好ましい。
【0031】
本発明の石炭灰搬送システムでは、ボールミル4を設けることにより、従来の振動ロッドミルにより処理された粉状石炭灰より角部が少ない粉状石炭灰が得られるため、次工程の空気輸送装置の配管の摩耗を抑制することができる。
【0032】
破砕装置2において、一次破砕部3、ボールミル4は、それぞれ二系統設置し、バルブ等により簡易的に切り替えられるようにしてもよい。一次破砕部3、及び、ボールミル4を二系統設置することにより、各装置に故障等のトラブルが生じた場合や、メンテナンスを行う場合に、石炭焚きボイラ9の停止や低負荷運転を回避することができる。
【0033】
[空気輸送装置]
〈貯留部〉
空気輸送装置5は、粉状石炭灰Cを貯留するための貯留部6と粉状石炭灰Cを空気輸送するための空気輸送部7を備えている。
貯留部6は、下方に向けて縮径した円筒状の容器であり、下端に排出口を有している。当該排出口は、空気輸送部7の配管と気密に接続されている。
粉状石炭灰の供給量を調整できる構成を設けることが好ましい。これにより、空気輸送部7に供給する粉状石炭灰Cの供給量を調整することができる。
【0034】
〈空気輸送部〉
空気輸送部7は、気流により粉状石炭灰Cを輸送するための装置であり、配管と気流発生手段を備えた構成である。
配管は、粉状石炭灰Cを輸送するための輸送路であり、内部に輸送方向に流れる気流が形成されている。配管の材質としては、粉状石炭灰Cの衝突により破損や摩耗が生じにくい材質のものが使用される。例えば、低クロム鋳鉄、セラミックライニング等が挙げられる。
気流発生手段としては、真空ポンプ等により輸送方向前方から吸引する方法、コンプレッサー等により圧縮空気を輸送方向へ向けて流す方法のいずれでもよい。
本発明の実施例では、配管の終端部に連結されたサイロ10内を陰圧にして、配管に気流を形成している。
【0035】
配管の終端部は、必要に応じて適宜選択された装置に連結される。本発明の実施例では、粉状石炭灰C及び飛灰Dを貯蔵するためのサイロ10に連結されている。
【0036】
[石炭灰搬送方法]
本発明の石炭灰搬送方法は、石炭焚きボイラ炉底から排出される塊状石炭灰Aを破砕する破砕工程と、前記破砕工程により破砕された粉状石炭灰Cを空気輸送する空気輸送工程と、を備え、前記破砕工程は、ボールミルで行うことを特徴とするものである。なお、必要に応じて、乾式コンベア等により塊状石炭灰A、粒状石炭灰B、粉状石炭灰Cを搬送する工程を設けてもよい。
さらに、破砕工程は、塊状石炭灰Aを粒度20mm以下の粒状石炭灰Bに破砕する一次破砕工程、前記粒状石炭灰Bをボールミルにより粒度D90:300μm以下の粉状石炭灰Cに破砕するボールミル破砕工程を備えることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の石炭灰搬送システム及び石炭灰搬送方法は、主に石炭火力発電所で使用される石炭焚きボイラから発生する塊状石炭灰の搬送に利用することができる。
そのほか、石炭を燃料として用いる装置において、発生した石炭灰を搬送するために利用することができる。
【0038】
本発明の石炭灰搬送システムは、従来使用されていた既設の石炭灰搬送システムを利用して、振動ロッドミル等のボールミル以外の破砕機をボールミルに置き換えること、あるいは、ボールミルを既設の石炭灰搬送システムに追加することにより生産することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 石炭灰搬送システム、2 破砕装置、3 一次破砕部、4 ボールミル、5 空気輸送装置、6 貯留部、7 空気輸送部、8 乾式搬送装置、9 石炭焚きボイラ、10 サイロ、41 回転ドラム、42 投入部、43 排出部、44 土台、45 軸受ローラ、46 動力伝達部、47A,47B ボール投入口、48 破砕用ボール、A 塊状石炭灰、B 粒状石炭灰、C 粉状石炭灰、L1,L2,L3 経路、V1,V2,V3,V4 バルブ
図1
図2
図3