(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
多くの電子機器、測定機器、電気機器、輸送機器、その他の機器は、電気信号を処理する電子部品を備えている。電子部品は、半導体素子やICチップ、あるいはディスクリートの電子素子などを含む。このような電子部品は、その集積度の向上や製造能力の向上によって、小型化や単一化が進んでいる。すなわち、従来は、多数の電子部品で、ある機能を実現していたのが、現在では、単一もしくは少数の電子部品で、より多くの機能を実現することができるようになっている。
【0003】
このような電子部品は、電子機器、測定機器などの種々の機器に実装されている。種々の機器に搭載される電子基板に、これらの電子部品が実装されることで、電子部品が電子機器などに実装される。あるいは、近年は、様々な機器や部材に、マイコンなどの半導体集積回路が搭載される傾向がある。このため、電子部品は、電子機器などの機器やそれ以外の部材に実装される。
【0004】
このような電子部品は、規格化されたりデファクトスタンダードとして扱われたりするものがある。このように規格化された電子部品は、非常に多くの数が製造されて、様々な機器や部材に使用される。上述のように、小型化されていたり、一つの機能を実現するに際して個数が減少していたりする電子部品(群)は、この大量製造に適している。
【0005】
また、規格化されていなくても、幅広い用途に使用される汎用品である電子部品は、非常に多くの数が製造される。このような大量製造される電子部品は、様々な機器や部材に使用される。
【0006】
ここで、このような電子部品は、電子基板、機器、部材などに実装されるが、電子部品としてむき出しで実装されるのが好ましくないこともある。耐久性や耐衝撃性を高めるために、むき出しでは好ましくないものもある。あるいは、筐体に覆われた電子機器や測定機器ではなく、部材表面に実装されることもある。この場合には、特に、耐久性や耐衝撃性を高めるために、むき出しでの実装が好ましくない。
【0007】
これらのように、むき出しでの実装が好ましくない場合には、電子部品が樹脂で封止されることが必要である。
【0008】
ここで、上述のように大量製造されて小型である電子部品は、配線基板の一部を兼用している、柔軟性のあるフープ材に、大量に実装されて取り扱われることが多い。リードフレームなどを一例とするフープ材の表面に、大量の電子部品を実装可能な数の実装部位が形成されており、この実装部位のそれぞれに、電子部品が実装される。
【0009】
また、フープ材は、柔軟性を有しており、例えばリールに撒きつけられることで、長い量のフープ材に、連続的に大量の電子部品が実装された状態となる。このフープ材に実装された電子部品のそれぞれが、樹脂封止される。樹脂封止された後で、実装部位の境界が切断されて、フープ材に大量に実装されていた電子部品のそれぞれが(樹脂封止された状態で)、一つずつ使用可能な状態となる。
【0010】
このようなフープ材に実装されている大量の電子部品の一つずつへの樹脂封止は、電子基板の広い範囲に渡っての樹脂封止とは異なり、フープ材を作業工程に流しながら、フープ材に実装されている大量の電子部品の一つずつを、樹脂で封止する必要がある。特に、大量の電子部品を樹脂封止するために、リールに撒きつけられた長い量のフープ材を送り出しながら、フープ材に実装されている個々の電子部品を樹脂封止していく必要がある。
【0011】
このため、フープ材に実装された電子部品のそれぞれを樹脂封止するためには、フープ材が巻き付けられたリールを開始として、リールから取り出したフープ材を、順々に送りながら、電子部品を樹脂で封止する。このとき、フープ材に実装されたままの状態で、電子部品は樹脂封止される。樹脂封止された電子部品を実装したフープ材は、更に送られて、電子部品ごとに切断されて、一つずつの樹脂封止された電子部品を得ることができる。
【0012】
このようなフープ材に実装された電子部品のそれぞれに対する樹脂封止を、自動で作業する樹脂封止装置が、利用されるようになっている。この樹脂封止装置は、フープ材を巻いたリールを設置して、所定の作業を行って、フープ材を流しながら電子部品を樹脂封止する。
【0013】
このような樹脂封止装置は、より大量の電子部品の樹脂封止を高速に実行することが求められている。また、樹脂封止の精度を上げることも求められている。近年では、電子基板全体を樹脂封止したり、大型の半導体集積回路を樹脂封止したりすることが多くなっており、このようなフープ材に実装された電子部品の樹脂封止に対する技術開発が停滞している。しかしながら、過去において大量製造などを目的とした技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1は、フープ状のリードフレームを複数列に沿って平行に並べて移送する移送経路に、各列のリードフレームの各々に対するダイボンド工程、重ね工程、キュアー工程およびモールド部成型工程等の各種の加工工程を配置し、各加工工程の間の部位に各列におけるリードフレームを適宜長さのぶんだけストックするようにしたバッファー部を設けてなる半導体部品の連続製造装置において、各列におけるリードフレームを各々単独で移送するようにした特定の加工工程には、リードフレームの移送速度を少なくとも高速側と低速側の二段に切り替えるようにした移送速度切替機構を、各列のリードフレームに設ける一方、特定の加工工程における上流側のバッファー部には、バッファー部におけるリードフレームのストック量を検出するセンサーを設け、ストック量に合わせて移送速度切替機構で切り替える半導体部品の連続式製造装置を、開示する。
【0016】
特許文献1は、リードフレームを2列とすることで、半導体部品の連続製造の製造数や製造速度を向上させている。
【0017】
しかしながら、特許文献1は、リードフレームに半導体部品を実装する、樹脂封止の前段階での装置である。このため、半導体部品が実装されていないリードフレームが2列で流れてきて、これに半導体部品が実装されていく。このとき、半導体部品を実装する装置は、実装する際に、リードフレームの実装位置に半導体部品の実装位置を合わせるための位置決め作業を行う。すなわち、リードフレームが送り出されて、いくつかの工程が済んだ後で、半導体部品の実装工程では、改めて、位置決め作業が行われる。
【0018】
また、半導体部品は、リードフレームの実装位置に、一つずつ実装される。このため、実装の度に、画像処理などを用いて位置決めを行い、一つずつの半導体部品を実装していく。
【0019】
このため、一つのリードフレームにおいて、実装されるべき複数の半導体部品の一つずつに対して、個々に位置決め作業が行われる。これに基づいて、2列のリードフレームのそれぞれにおいて、個別に実装位置の位置決め作業が行われる。すなわち、一つのリードフレームにおいても2列のリードフレームにおいても、複数の実装部品をまとめて対象とした位置決めは行われず、関係なく、一つの半導体部品毎に位置決めが行われる。
【0020】
すなわち、2列のリードフレームの相対的な位置関係の位置決め作業は不要である。
【0021】
これに対して、樹脂封止装置で、フープ材に実装された複数の電子部品に樹脂封止を行う際には、一つのリードフレームの実装された複数個の電子部品をまとめて樹脂封止する。このため、大量処理のために2列のリードフレームを用いる場合には、2列のリードフレームのそれぞれでの複数個の電子部品を、2列分まとめて樹脂封止することが必要である。このため樹脂封止工程では、2列のリードフレームに実装されている電子部品の位置が、相互に揃っていることが求められる。
【0022】
例えば、2列のリードフレームのそれぞれでの複数の電子部品の位置が揃った状態であることが必要である。2列のリードフレームに実装されている電子部品を、まとめて樹脂封止することが必要だからである。
【0023】
すなわち、樹脂封止装置においては、2列のリードフレームの相対的な位置関係での位置が揃っていることが必要である。また、2列のリードフレームの相対的な位置が揃っていることは、リードフレームがリールから送り出される中で調整されることが必要であり、樹脂封止工程で、画像処理などを用いた複雑な位置決め作業を行うことは、コストや装置の大型化の点で好ましくない。
【0024】
特許文献1は、半導体部品をリードフレームに大量実装するために、2列のリードフレームを用いるが、リードフレーム間相互の位置決めが、リードフレームの送り出しで行えない、複雑な仕組みによる位置決め作業が必要であるなどの問題があり、樹脂封止装置に適用することはできない問題がある。
【0025】
加えて、特許文献1は、一つのリードフレームが終了すると、改めてリードフレームを設置して、最初の位置決めなどの種々の作業を行う必要がある。このため、リードフレームが終わると、実装作業が停止する問題を有している。
【0026】
特許文献2は、フープ材Fの所定長さLの範囲内における各電子部品18の位置及び数と対応するキャビティ部(104・106,108・110) を備えた複数個の金型(100・101,102・103)をフープ材Fの移送供給方向に沿って配設し、且つ、該各キャビティ部をフープ材Fの所定長さLと同じ間隔を隔てて配設して、該各キャビティ部の所定位置にフープ材Fの所定長さLの範囲内における各封止前電子部品18を順次に、或は、間欠的に移送供給して夫々供給セットすると共に、該フープ材Fの所定長さLの範囲内における各封止前電子部品18を同時に、且つ、自動的に連続して樹脂封止成形する樹脂封止成形装置を開示する。
【0027】
しかしながら、特許文献2は、2条のフープ材を用いるものではない。このため、フープ材に実装された電子部品の樹脂封止の、大量処理の効率を上げることができない問題を有している。
【0028】
特許文献3は、樹脂かす除去装置12に、フープ状リードフレーム3を下支えして搬送させながらそのフープ状リードフレーム3から樹脂かすを分離するデイゲートローラ8と、その下支え用デイゲートローラ8に向けてエアを噴射し付着している樹脂かすを除去するエア噴射装置13、14とを備える。そして、エアの噴射方向をフープ状リードフレーム3の進行方向に向け、更にエアの噴射角度を下支え用デイゲートローラ8から反射したエアが下方に向かうように設定するリードフレーム成形装置を、開示する。
【0029】
しかしながら、特許文献3は、リードフレームに実装された電子部品の樹脂封止の際に生じる樹脂かすを除去することを目的としている。このため、リードフレームに実装された電子部品の樹脂封止を、早い速度で大量処理することを実現できない問題を有している。
【0030】
このように、従来技術では、(1)フープ材に実装された電子部品の樹脂封止の、大量処理と効率向上、(2)樹脂封止の精度向上、を実現できない問題を有していた。
【0031】
本発明は上記課題に鑑み、フープ材に実装された電子部品の樹脂封止を、効率的に大量処理しつつも、封止精度を向上させる樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題に鑑み、本発明の樹脂封止装置は、
第1フープ材を送り出す第1駆動手段と、
第2フープ材を送り出す第2駆動手段と、
第1駆動手段によって送り出される第1フープ材が移動する第1ラインと、
第2駆動手段によって送り出される第2フープ材が移動する第2ラインと、
第1フープ材および第2フープ材のそれぞれに実装された電子部品を、樹脂封止する樹脂封止部と、を備え、
第1フープ材および第2フープ材のそれぞれは、幅方向に複数の電子部品を実装すると共に、長さ方向に複数列の電子部品を実装し、
樹脂封止部は、第1フープ材および第2フープ材における長さ方向での所定数の複数列の電子部品を、樹脂封止対象として、樹脂封止し、
第1駆動手段および第2駆動手段のそれぞれは、相互に独立して動作可能であり、樹脂封止部において、樹脂封止対象となる電子部品の位置を、第1フープ材および第2フープ材において揃
え、
第1フープ材は、第1容器に収容されており、
第2フープ材は、第2容器に収容されており、
第1駆動手段は、第1容器に収容されている第1フープ材を引き出して送り出し、
第2駆動手段は、第2容器に収容されている第2フープ材を引き出して送り出し、
第1フープ材および第2フープ材のいずれかの開始端部の位置が異なる場合、もしくは、第1フープ材および第2フープ材のいずれかの終了端部の位置が異なる場合には、
第1駆動手段もしくは第2駆動手段の駆動により、開始端部もしくは終了端部の位置を合わせる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の樹脂封止装置は、リール材に巻かれた2条以上のフープ材に実装された電子部品を、同時並列に樹脂封止できる。このため、樹脂封止装置は、大量の電子部品の樹脂封止処理を実現できる。
【0034】
また、2条以上のフープ材に対応する駆動部(駆動手段)のそれぞれが独立して動作可能であるので、それぞれのフープ材に実装されている電子部品の位置がずれている場合でも、これらの位置合わせを行ってから樹脂封止を行える。このため、複数の電子部品をまとめて樹脂封止する際に、フープ材によって電子部品からずれた位置で樹脂封止が行われてしまうことも防止できる。すなわち、高い精度での樹脂封止が行われる。
【0035】
また、本発明の樹脂封止装置は、リールに巻かれたフープ材が終了すると、処理を止めることなく次のフープ材を接続して、そのまま樹脂封止処理を続行できる。この点でも、大量処理が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の第1の発明に係る樹脂封止装置は、第1フープ材を送り出す第1駆動手段と、
第2フープ材を送り出す第2駆動手段と、
第1駆動手段によって送り出される第1フープ材が移動する第1ラインと、
第2駆動手段によって送り出される第2フープ材が移動する第2ラインと、
第1フープ材および第2フープ材のそれぞれに実装された電子部品を、樹脂封止する樹脂封止部と、を備え、
第1フープ材および第2フープ材のそれぞれは、幅方向に複数の電子部品を実装すると共に、長さ方向に複数列の電子部品を実装し、
樹脂封止部は、第1フープ材および第2フープ材における長さ方向での所定数の複数列の電子部品を、樹脂封止対象として、樹脂封止し、
第1駆動手段および第2駆動手段のそれぞれは、相互に独立して動作可能であり、樹脂封止部において、樹脂封止対象となる電子部品の位置を、第1フープ材および第2フープ材において揃える。
【0038】
この構成により、第1フープ材と第2フープ材とで樹脂封止対象の電子部品の位置が揃わない場合でも、樹脂封止部において揃えることができる。
【0039】
本発明の第2の発明に係る樹脂封止装置では、第1の発明に加えて、前記第1フープ材は、第1容器に収容されており、
前記第2フープ材は、第2容器に収容されており、
前記第1駆動手段は、前記第1容器に収容されている前記第1フープ材を引き出して送り出し、
前記第2駆動手段は、前記第2容器に収容されている前記第2フープ材を引き出して送り出す。
【0040】
この構成により、例えばリール材などの容器に取り付けられたフープ材に実装される電子部品の樹脂封止にも適用できる。
【0041】
本発明の第3の発明に係る樹脂封止装置では、第1の発明に加えて、樹脂封止対象である第1フープ材の電子部品の位置と、樹脂封止対象である第2フープ材の電子部品の位置とが、樹脂封止部においてずれを有する場合には、第1駆動手段および第2駆動手段の少なくとも一方の駆動により、ずれを修正する。
【0042】
この構成により、樹脂封止部において、樹脂封止対象の電子部品の位置が、第1フープ材と第2フープ材とで揃えられる。結果として、正確に同時樹脂封止ができる。
【0043】
本発明の第4の発明に係る樹脂封止装置では、第3の発明に加えて、ずれの修正は、樹脂封止部において、樹脂封止対象となる複数列の電子部品の先頭位置を、第1フープ材および第2フープ材とで合わせる。
【0044】
この構成により、先頭位置があわされることで、樹脂封止部における樹脂封止が正確にできる。
【0045】
本発明の第5の発明に係る樹脂封止装置では、第1の発明に加えて、第1フープ材および第2フープ材のいずれかの開始端部の位置が異なる場合、もしくは、第1フープ材および第2フープ材のいずれかの終了端部の位置が異なる場合には、第1駆動手段もしくは第2駆動手段の駆動により、開始端部もしくは終了端部の位置を合わせる。
【0046】
この構成により、樹脂封止部における樹脂封止対象の電子部品の位置が、第1フープ材と第2フープ材とで揃えられる。
【0047】
本発明の第6の発明に係る樹脂封止装置では、第1の発明に加えて、第1フープ材および第2フープ材の少なくとも一方に実装された複数の電子部品に不良品がある場合には、第1駆動手段および第2駆動手段の駆動により、不良品を樹脂封止対象の位置から外す。
【0048】
この構成により、不良品を樹脂封止してしまうことを防止できる。
【0049】
本発明の第7の発明に係る樹脂封止装置では、第1の発明に加えて、第1フープ材もしくは第2フープ材の一方のみが、樹脂封止の対象である場合には、第1駆動手段もしくは第2駆動手段の一方のみが駆動する。
【0050】
この構成により、無駄なエネルギーを削減できる。
【0051】
本発明の第8の発明に係る樹脂封止装置では、第2の発明に加えて、第1容器もしくは第2容器を取り外す場合には、第1駆動手段もしくは第2駆動手段の一方のみが駆動する。
【0052】
この構成により、無駄なエネルギーを削減できる。
【0053】
本発明の第9の発明に係る樹脂封止装置では、第1の発明に加えて、第1フープ材に実装された電子部品と、第2フープ材に実装された電子部品とが異なる大きさおよび異なる間隔の少なくとも一方を有する場合には、第1駆動手段および第2駆動手段は、駆動量を相互に異ならせる。
【0054】
この構成により、第1フープ材および第2フープ材に実装される電子部品を同時かつ正確に樹脂封止できる。
【0055】
本発明の第10の発明に係る樹脂封止装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、第1駆動手段および第2駆動手段は、個別の駆動源を有する。
【0056】
この構成により、第1駆動手段および第2駆動手段の独立した駆動を確実に行える。
【0057】
本発明の第11の発明に係る樹脂封止装置では、第2から第10のいずれかの発明に加えて、第1ラインは、第1フープ材がたわむことを許容する第1バッファを有し、第2ラインは、第2フープ材がたわむことを許容する第2バッファを有し、第1バッファのたわみは、第1容器から樹脂封止部までの第1フープ材の移動時間の余裕度を生成し、第2バッファのたわみは、第2容器から樹脂封止部までの第2フープ材の移動時間の余裕度を生成する。
【0058】
この構成により、フープ材の交換などの際でも、樹脂封止装置を停止させなくて済む。
【0059】
本発明の第12の発明に係る樹脂封止装置では、第11の発明に加えて、第1容器および第2容器の少なくとも一方において、第1フープ材もしくは第2フープ材が終了する場合には、終了する当該フープ材の終了端部に、新しいフープ材の開始端部を接続作業する接続部を、更に備え、第1バッファおよび第2バッファのたわみは、接続作業に要する時間を吸収可能である。
【0060】
この構成により、樹脂封止装置を停止させることなく、フープ材を交換できる。
【0061】
本発明の第13の発明に係る樹脂封止装置では、第12の発明に加えて、接続作業は、終了するフープ材の終了端部を切断し、新しいフープ材の開始端部を接続部材で接続し、接続部材は、接着テープ、溶着テープ、クリップ、スポット溶接のいずれかである。
【0062】
この構成により、終了したフープ材と新しいフープ材を確実に接続できる。
【0063】
本発明の第14の発明に係る樹脂封止装置では、第12または第13の発明に加えて、接続作業が行われる場合に、第1フープ材の電子部品と第2フープ材の電子部品との位置が、樹脂封止対象においてずれている場合には、第1駆動手段および第2駆動手段の少なくとも一方の駆動によって、ずれている位置を修正する。
【0064】
この構成により、フープ材の接続においてずれる場合も吸収できる。
【0065】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0066】
(発明者による解析)
従来技術で説明した特許文献やフープ材に実装された電子部品を樹脂封止する際の問題点を、発明者は解析した。
図1は、発明者の解析における2条のフープ材に実装された電子部品を、同時に樹脂封止する場合の状態を示す模式図である。
【0067】
従来技術においては、1条のみのフープ材を送り出しながら、フープ材に実装された電子部品を樹脂封止する。フープ材が1条のみの場合には、単一のフープ材を送り出しつつ、所定の箇所で樹脂封止対象となる電子部品を樹脂封止すればよい。
【0068】
これに対して、
図1のように第1フープ材100と第2フープ材200との2条(あるいはそれ以上)のフープ材が同時に送り出されて、それぞれの樹脂封止対象105、205に実装されている電子部品101、201を樹脂封止するとする。この場合には、次のような困難が発生する。
【0069】
(その1:相互のずれ)
図1のように電子部品101を実装した第1フープ材100と、電子部品201を実装した第2フープ材とが一緒に送り出される場合には、第1フープ材100の樹脂封止対象105と第2フープ材200の樹脂封止対象205との電子部品を、同時に樹脂封止する。
図1のように、樹脂封止対象105の電子部品101と、樹脂封止対象205の電子部品201との位置が揃っている場合には、問題なく樹脂封止できる。
【0070】
しかしながら、
図2に示されるように、樹脂封止対象105の電子部品101と、樹脂封止対象205の電子部品201との位置がずれている場合には、きちんと樹脂封止できない。
図2では、
図1と異なり、樹脂封止対象における電子部品101、201が樹脂封止できていない状態を示している。実際には、
図2のように位置がずれている場合には、樹脂封止ができないか、樹脂封止しても、電子部品101、201にきっちりと合わずに、ずれた状態で封止されてしまうことがある。
【0071】
図2は、相互に位置のずれた第1フープ材と第2フープ材の模式図である。
【0072】
このように複数のフープ材の電子部品を同時に実装する場合には、相互の位置ずれが生じることによって、樹脂封止が不完全となってしまう問題がある。
【0073】
特許文献1のように、樹脂封止ではなく、電子部品をマウント実装する装置であれば、画像処理や細かな位置判定を用いて、実装作業をする際に位置揃えを行うことができる。しかしながら、フープ材に実装された電子部品を樹脂封止する場合には、フープ材を送り出す駆動機構のみで樹脂封止部へ、フープ材を送り出す必要がある。すなわち、フープ材を送り出す機構のみで、複数のフープ材の電子部品同士の位置を合わせる必要がある。
【0074】
すなわち、特許文献1のように、別途の位置決め装置を用いることを前提としている技術を、そのまま複数のフープ材の樹脂封止装置に応用できない。
【0075】
(その2:不良品の混在)
図3のように、第1フープ材100および第2フープ材200のいずれかの位置に実装されている電子部品が、不良品120であることがある。すでに電子部品101、201が実装されたフープ材を取り扱う関係上、不良品120が混在して実装されている可能性は否定できない。不良品120は、例えば、実装不具合、外観不良など、外観で判断できるものもある。
【0076】
図3は、不良品が混在しているフープ材の模式図である。
【0077】
このような不良品120を、樹脂封止対象105、205において、良品である他の電子部品101、201と共に樹脂封止することは、当然に好ましくない。複数のフープ材に実装された電子部品を、同時に樹脂封止する場合には、この不良品120を除いて実装することが難しい問題がある。
【0078】
このように、発明者は、単一のフープ材での樹脂封止や電子部品のマウント実装を行う技術やこれの応用では、複数のフープ材を同時樹脂封止する技術を生み出すことが困難であるとの解析に至った。
【0079】
(全体概要)
実施の形態1における樹脂封止装置の全体概要を説明する。樹脂封止装置は、
図1のような第1フープ材100および第2フープ材200を、同時に取り扱うことができる。もちろん、2条である第1フープ材100と第2フープ材200に限定されるものではなく、第3フープ材、第4フープ材などが同時に取り扱われる機構、構成、機能であってよい。
【0080】
図4以降では、説明の容易性のため、複数のフープ材を取り扱う場合として、第1フープ材100と第2フープ材200とを取り扱う機構、構成等で説明する。
【0081】
図4は、本発明の実施の形態1における樹脂封止装置の側面図である。
図4の樹脂封止装置1は、
図1に示される第1フープ材100および第2フープ材200を同時に取り扱う。このため、樹脂封止装置1は、2条のラインでの装置構成を有しているが、側面から見た状態なので、第1フープ材100および第2フープ材200(およびこれらに係る2つの要素)は、重なって見える状態となっている。実際には、2条のラインで構成されている。
【0082】
樹脂封止装置1は、第1駆動部3A、第2駆動部3B、第1ライン4A、第2ライン4B、樹脂封止部5と、を備える。
【0083】
また、第1フープ材100にバッファ(たるみ)を生じさせつつ、第1容器2Aから第1フープ材100を送り出す第1補助駆動部6Aと、第2フープ材200にバッファ(たるみ)を生じさせつつ、第2容器2Bから第2フープ材200を送り出す第2補助駆動部6Bを、備える。バッファ(たるみ)については後述する。
【0084】
第1駆動部3Aは、第1フープ材100を、第1容器2Aから引き出しつつ送り出す。すなわち、第1駆動部3Aと第1補助駆動部6Aとは、その位置の違い、位置の違いによる役割の細かな違い、駆動能力などの違いはあるが、いずれも第1フープ材100を送り出す機能を果たす。この点で、第1駆動手段は、第1駆動部3Aと第1補助駆動部6Aとを併せ持った概念で把握されてもよいし、第1駆動部3Aにより構成され、必要に応じて(例えば、たるみであるバッファを形成したり、送り出しをよりスムーズにしたりするための必要性)、第1補助駆動部6Aが、補完的に第1駆動手段に含まれるとの概念で把握されてもよい。
【0085】
これは、第2駆動手段についても同様である。
【0086】
第2駆動部3Bは、第2フープ材200を、第2容器2Bから引き出しつつ送り出す。すなわち、第2駆動部3Bと第2補助駆動部6Bとは、その位置の違い、位置の違いによる役割の細かな違い、駆動能力などの違いはあるが、いずれも第2フープ材200を送り出す機能を果たす。この点で、第2駆動手段は、第2駆動部3Bと第2補助駆動部6Bとを併せ持った概念で把握されてもよいし、第2駆動部3Bにより構成され、必要に応じて(例えば、たるみであるバッファを形成したり、送り出しをよりスムーズにしたりするための必要性)、第2補助駆動部6Bが、補完的に第2駆動手段に含まれるとの概念で把握されてもよい。
【0087】
また、第1駆動部3Aと第1補助駆動部6Aとの位置関係、第2駆動部3Bと第2補助駆動部6Bの位置関係は、
図4、
図5は、その一例であり、この
図4、
図5に示される位置関係に限定されるものではない。
【0088】
第1駆動部3Aは、第1容器2Aに収容された第1フープ材100を引き出して送り出す。第2駆動部3Bは、第2容器2Bに収容された第2フープ材200を引き出して送り出す。第1ライン4Aは、第1駆動部3Aによって送り出された第1フープ材100が移動する経路である。第2ライン4Bは、第2駆動部3Bによって送り出された第2フープ材200が移動する経路である。
【0089】
樹脂封止部5は、第1フープ材100および第2フープ材200のそれぞれに実装された電子部品101、201を樹脂封止する。
【0090】
ここで、
図1に示されるように、第1フープ材100は、幅方向に複数の電子部品101を実装すると共に長さ方向にも複数の電子部品101を実装する。第2フープ材200も同様に、幅方向に複数の電子部品201を実装すると共に、長さ方向にも複数の電子部品201を実装する。
図1のように、縦横に並んだ電子部品101、201を実装する。
【0091】
樹脂封止部5は、
図1にしめされるような樹脂封止対象105、205に含まれる電子部品101、201を、まとめて樹脂封止する。樹脂封止対象105、205は、第1フープ材100と第2フープ材200の長さ方向における所定数の複数列の電子部品101、201を含む。
【0092】
第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bのそれぞれは、相互に独立して動作可能である(第1駆動手段および第2駆動手段のそれぞれが、相互に独立して動作可能であるということと同義である。以下についても同じである。このため、第1補助駆動部6Aと第2補助駆動部6Bのそれぞれも、相互に独立して動作可能である。)。この独立した動作によって、樹脂封止部5において、樹脂封止対象105、205となる電子部品101、201の位置を、第1フープ材100と第2フープ材200の長さ方向において揃える。例えば、
図2のように、第1フープ材100と第2フープ材200とで相互に位置が揃わない場合でも、樹脂封止部5においては、
図1のように相対的な位置が揃うように合わせる。
【0093】
位置が揃えられることで、第1フープ材100と第2フープ材200のそれぞれの樹脂封止対象105、205の電子部品101、201を、樹脂封止部5は、まとめて樹脂封止できる。第1フープ材100の電子部品101と、第2フープ材200の電子部品201とで、電子部品に合わない位置が樹脂封止されるような問題が生じない。
【0094】
特に、第1駆動部3Aと第2駆動部3Bは、相互に独立して動作可能であるので、いずれかに対していずれかの位置がずれている場合には、第1駆動部3Aもしくは第2駆動部3Bが送り出しの駆動量を調整することで、位置を適切に合わせることができる。
【0095】
また第1駆動部3A、第2駆動部3Bは、第1容器2A、第2容器2Bに収容されている第1フープ材100、第2フープ材200を送り出すことを行う機構であり、この機構のみで、位置を揃えることもできる。よって、従来技術のように、余分な位置決め装置を必要としないメリットもある。
【0096】
(第1駆動部および第2駆動部による調整)
第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bは、上述のように、相互に独立して動作可能であることで、第1フープ材100と第2フープ材200の相対的な位置を調整する。この調整においては、第1フープ材100と第2フープ材200との種々の状態に基づいて、動作する。
図4および
図5を用いて説明する。なお、上述の通り、第1駆動手段と第2駆動手段による調整と同義である。
【0097】
図5は、本発明の実施の形態1における樹脂封止装置の平面図である。樹脂封止装置1を上から見た状態を示している。
図5で分かるとおり、第1容器2Aや第2容器2Bなど、第1のルートと第2のルートのそれぞれは、別途の要素である。
【0098】
(その1:樹脂封止対象105、205の位置ずれ) 第1フープ材100の樹脂封止対象105の電子部品101と、第2フープ材200の封止対象205の電子部品201との相対的な位置が、ずれていることがある。
図2は、このずれている状態を示している。第1容器2A、第2容器2Bからのフープ材の取り出し開始などでのタイミングでずれていることにより、このずれが生じることがある。
【0099】
このずれが生じると、
図2のような相互の位置関係、すなわち位置のずれが生じている。このような位置ずれのままで、樹脂封止部5で樹脂封止対象105、205に含まれる電子部品101、201が樹脂封止されると、電子部品をきれいに樹脂封止できない問題がある。
【0100】
このような位置ずれがある場合には、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bの少なくとも一方の駆動により、ずれが修正される。例えば、第1駆動部3Aが第2フープ材200よりも多く第1フープ材100を送り出すことで、ずれを埋める。逆に、第2駆動部3Bが第1フープ材100よりも多く第2フープ材200を送り出すことで、ずれを埋めることができる。
【0101】
例えば、第1駆動部3Aもしくは第2駆動部3Bのいずれかのみが駆動することで、ずれを修正してもよい。
【0102】
ここで、ずれの修正においては、樹脂封止部5において、樹脂封止対象となる複数列の電子部品101、201の先頭位置を、第1フープ材100および第2フープ材200とで合わせる。第1フープ材100の樹脂封止対象105の先頭となる電子部品101の位置と、第2フープ材200の樹脂封止対象205の先頭となる電子部品201の位置と、を合わせる。
【0103】
このように、電子部品の位置が、第1フープ材100と第2フープ材200との間でずれを有する場合でも、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bの独立した駆動によって、このずれを修正できる。
【0104】
(その2:開始端部、終了端部の相違)
第1フープ材100および第2フープ材200は、第1容器2A、第2容器2Bに収容されている。第1容器2A、第2容器2Bは、例えば、リール容器である。このリール容器に、第1フープ材100、第2フープ材200が巻き付けられている。巻き付けられた第1フープ材100と第2フープ材200とが、取り出されながら送り出される。
【0105】
あるいは、リール容器以外でも、収容されている第1フープ材100および第2フープ材200が取り出されながら送り出される。この送り出しによって、第1フープ材100と第2フープ材200の開始端部や終了端部の位置がずれることがある。第1フープ材100および第2フープ材200のそれぞれは、一定の長さを有しているので、送り出しの開始タイミングによって、第1フープ材100と第2フープ材200とでの間で、開始端部もしくは終了端部がずれることがある。
【0106】
図6は、本発明の実施の形態1における開始端部のずれた第1フープ材と第2フープ材とを示す平面図である。第1フープ材100の開始端部104と第2フープ材200の開始端部204とがずれている。このように開始端部104と開始端部204とがずれた状態で、樹脂封止部5に到達すると、第1フープ材100の電子部品101あるいは第2フープ材200の電子部品201の樹脂封止が不適切となりうる。
【0107】
このような状況においては、第1駆動部3Aもしくは第2駆動部3Bの駆動によって、このずれを修正できる。例えば、
図6の状態であれば、第2駆動部3Bが、第2フープ材200をより前に送り出し、第1フープ材100の開始端部104に、第2フープ材200の開始端部204を合わせるように調整する。
【0108】
もちろん、終了端部がずれている場合でも同様に調整できる。
【0109】
このように、第1フープ材100と第2フープ材200の開始端部や終了端部の位置が相互にずれている場合には、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bの独立した駆動によって、このずれを修正する。修正によって、第1フープ材100と第2フープ材200の電子部品101、201を同時かつ正確に樹脂封止できる。
【0110】
(その3:不良品がある場合)
図3に示されるように、第1フープ材100もしくは第2フープ材200に装着されている電子部品101、201の中に、不良品が混在していることがある。
図3では、第2フープ材200に不良品120が混在している。
【0111】
このように不良品120が混在している状態のまま樹脂封止されてしまうと、樹脂封止された不良の電子部品を製造してしまう問題がある。不良品120は、その不良度合いによっては、樹脂封止前であれば、目視や画像処理などで判別できることもある。このような判別可能な不良品120は、樹脂封止部5において樹脂封止しないままに送り出してしまうことが可能である。
【0112】
樹脂封止部5において、不良品120を樹脂封止しないためには、この不良品120を含む電子部品の列を、樹脂封止対象から外してしまうことが適当である。すなわち、
図1のように、樹脂封止部5において樹脂封止の対象となる電子部品101、201を含む樹脂封止対象105、205に、この不良品120が含まれないようにすればよい。
【0113】
図3の場合であれば、第2フープ材200に不良品120が混在している。第2駆動部3Bは、第2フープ材200を駆動する際に、樹脂封止対象205に、この不良品120が入らないように送り出す。樹脂封止対象205から、この不良品120を外す。
【0114】
このように、第2フープ材200の不良品120が、樹脂封止対象205から外れることで、不良品120は、樹脂封止されない。そのまま送り出されることで、フープ材に装着されている不良品120は、そのまま除去できる。
【0115】
もちろん、第1フープ材100および第2フープ材200の両方に不良品が混在している場合には、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bが、この不良品を樹脂封止対象105、205に入らないように送り出すことで、不良品が樹脂封止されてしまうことを防止できる。
【0116】
(その4:一方のみが封止対象)
第1フープ材100および第2フープ材200が第1ライン4Aおよび第2ライン4Bに沿って運搬される場合に、一方のフープ材のみが樹脂封止対象である場合がある。
【0117】
電子部品101が実装された第1フープ材100と、電子部品201が実装された第2フープ材200とが合わせて送り出されるが、一方のみが樹脂封止対象となる場合がある。あるいは、第1フープ材100および第2フープ材200のいずれかには、電子部品が実装されていない場合がある。あるいは、第1フープ材100もしくは第2フープ材200のいずれかのみが、樹脂封止装置1で作業される場合がある。
【0118】
このような場合においては、樹脂封止を行う対象である第1フープ材100もしくは第2フープ材200のみが駆動されればよい。例えば、第1フープ材100のみが樹脂封止を行う作業対象である場合には、第1駆動部3Aのみが、駆動動作を行う。第2駆動部3Bは、駆動動作をしないことで、無駄な動作やエネルギーを消費しないで済む。
【0119】
第1駆動部3Aと第2駆動部3Bとが、独立して駆動可能であることで、このような場合でも、一方のみを送り出すことができる。
【0120】
(その5:第1容器もしくは第2容器が取り換えられる場合)
第1フープ材100は、第1容器2Aに収容されている。第2フープ材200は、第2容器2Bに収容されている。このため、第1フープ材100を収容した第1容器2Aが、樹脂封止装置1の所定の位置に設置されることで、第1フープ材100の送り出しと樹脂封止の作業が開始できる。同様に、第2容器2Bが、樹脂封止装置1の所定の位置に設置されることで、第2フープ材200の送り出しと樹脂封止の作業が開始できる。
【0121】
例えば、第1容器2Aがリール材であれば、第1フープ材100を巻き付けたリール材が、設置される。あるいは第2容器2Bがリール材であれば、第2フープ材200を巻き付けたリール材が設置される。
【0122】
ここで、第1容器2Aおよび第2容器2Bのそれぞれでは、収容している第1フープ材100、第2フープ材200が有限である。樹脂封止の作業を行っている間に、第1容器2Aに収容している第1フープ材100が終了してしまうことがある。同様に、第2容器2Bに収容している第2フープ材200が終了してしまうことがある。
【0123】
このような場合には、第1容器2Aもしくは第2容器2Bが、取り付けられている位置から取り外される。一方のフープ材への樹脂封止が終了となる場合である。あるいは、フープ材を収容した新しい容器に取り換えられる場合である。
【0124】
この場合には、容器を収容している側のみの駆動部が駆動すればよい。例えば、第1容器2Aが取り外されて第2容器2B(および第2フープ材200)が残っている場合には、第2駆動部3Bのみが動作する。第1駆動部3Aは、停止している。
【0125】
逆に、第1容器2A(および第1フープ材100)が残っており、第2容器2Bが取り外れる場合には、第1駆動部3Aのみが動作する。第2駆動部3Bは、停止している。
【0126】
このように、容器やフープ材のない、不要な側については、駆動部が動作しないことで、無駄なエネルギーを節減できるメリットがある。また、不要な駆動動作が無いことで、誤動作などの発生も抑制できる。
【0127】
(その6:電子部品の大きさなどが相違する場合)
図7は、本発明の実施の形態1における第1フープ材と第2フープ材の平面図である。
図7では、第2フープ材200に実装されている電子部品201が、第1フープ材100に実装されている電子部品101よりも大きい。
【0128】
このように、第1フープ材100と第2フープ材200とで、実装されている電子部品の大きさが異なる場合や、電子部品同士の間隔(送り出される方向に沿った間隔)が異なる場合がある。この場合には、第1フープ材100と第2フープ材200とで、樹脂封止部5における樹脂封止の位置はそれぞれ異なる。
【0129】
このため、第1駆動部3Aと第2駆動部3Bは、第1フープ材100および第2フープ材200を異なる駆動量で駆動する。
図7では、第2フープ材200に実装されている電子部品201が電子部品101よりも大きいので、第2駆動部3Bは、第1駆動部3Aと異なる駆動量で駆動する。
【0130】
このように、電子部品の大きさや実装間隔の違いにも、第1駆動部3Aと第2駆動部3Bによる駆動量の相違で、調整することができる。この調整の結果、異なる大きさや実装間隔の電子部品を実装する第1フープ材100および第2フープ材200を、同時に取り扱うことができる。
【0131】
なお、第1フープ材100に実装されている電子部品101が、大きさが異なったり、間隔が変化したりする場合にも、第1駆動部3Aは、これに合わせて、駆動量を調整する。これは、第2フープ材200でも同様である。
【0132】
なお、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bのそれぞれは、相互に独立して駆動可能である。このために、それぞれ個別の駆動源を有していることも好適である。駆動源としてはモーターなどがあるが、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bは、個別のモーターを備えている。個別の駆動源を有していることで、相互に独立した駆動動作が、確実に実現できるからである。
【0134】
(第1容器、第2容器)
第1容器2Aは、第1フープ材100を収容する。第2容器2Bは、第2フープ材200を収容する。第1容器2Aおよび第2容器2Bは、第1フープ材100と第2フープ材200を供給する。このため、第1容器2Aと第2容器2Bは、樹脂封止装置1の外部構成要素である。
【0135】
第1容器2Aは、第1フープ材100を収容しつつ、第1駆動部3Aによる引き出しで、第1フープ材100を送り出せる構造を有していればよい。第1フープ材100は柔軟性を有しているので、リール材のような構造を有する第1容器2Aでもよい。あるいは、箱型の形態を有する第1容器2Aでもよい。
【0137】
また、第1容器2A、第2容器2Bは、有限の長さを有する第1フープ材100や第2フープ材200を収容する。このため、樹脂封止装置1での樹脂封止作業において、取り換え可能であることも好適である。すなわち、予め第1フープ材100、第2フープ材200を収容した第1容器2A、第2容器2Bが用意されて、樹脂封止装置1に取り付けられる。
【0138】
(第1駆動部、第2駆動部)
第1駆動部3Aは、上述の通り、必要に応じて第1補助駆動部6Aと合わせて(あるいは単独で)第1駆動手段を構成する。第2駆動部3Bは、上述の通り第2補助駆動部6Bと合わせて(あるいは単独で)、第2駆動手段を構成する。第1駆動手段と第2駆動手段とは、相互に独立して駆動する。
【0139】
すなわち、第1駆動部3A、第2駆動部3Bは、独立して駆動する。例えば、モーターなどによって回転する機構を備えており、この回転機構が、柔軟性を有する第1フープ材100や第2フープ材200を、進行方向に送り出す。第1容器2Aおよび第2容器2Bのそれぞれから第1フープ材100、第2フープ材200を引き出して、第1ライン4A、第2ライン4Bに沿って送り出す。
【0140】
このため、第1駆動部3A、第2駆動部3Bのそれぞれは、一つの回転機構だけではなく、複数の回転機構を備えており、これらが異なる位置に設置されていることもよい。例えば、
図4では、複数の回転機構(図中の丸の要素)が、第1駆動部3A、第2駆動部3Bを構成してもよい。
【0141】
また、第1補助駆動部6Aと第2補助駆動部6Bも、相互に独立して駆動する。
【0142】
なお、第1駆動手段を、第1駆動部3Aと第1補助駆動部6Aとが構成すると把握され、第2駆動手段を、第2駆動部3Bと第2補助駆動部6Bとが構成すると把握される場合には、第1駆動部3Aと第2駆動部3Bは、第1フープ材100と第2フープ材200の樹脂封止対象となる電子部品の位置を、樹脂封止部5で揃える役割を主に担う。第1補助駆動部6Aと第2補助駆動部6Bは、これを補助しつつも、後述する第1バッファ7Aと第2バッファ7Bの形成や調整を行う役割を主に担う。
【0143】
(樹脂封止部)
樹脂封止部5は、樹脂封止対象にある電子部品を、まとめて樹脂封止する。
図1に示されるように、樹脂封止対象においては、複数の電子部品がある。特に、第1フープ材100と第2フープ材200のそれぞれに、樹脂封止対象に含まれる電子部品がある。
【0144】
樹脂封止部5は、この樹脂封止対象にある電子部品をまとめて樹脂封止する。
【0145】
ここで、樹脂封止部5は、電子部品の形状、大きさ、樹脂封止対象にある電子部品の個数に合わせた金型を備えている。この金型に、樹脂封止対象にある電子部品を合わせて、樹脂を流し込む。
【0146】
樹脂が流し込まれると、樹脂が固まり、金型が外されて、樹脂封止された電子部品を実装するフープ材が先に送られる。先に送られて、樹脂封止されていない次の電子部品が、樹脂封止対象として扱われて、樹脂封止される。
【0147】
以上のように、実施の形態1における樹脂封止装置1は、複数のラインに沿ったフープ材を独立して駆動制御することで、相互のずれなどを修正して対応できる。
【0149】
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、種々の追加的な工夫について説明する。
【0150】
(バッファ)
図8は、本発明の実施の形態2における樹脂封止装置の正面図である。第1ライン4Aは、第1フープ材100が移動する経路である。第2ライン4Bは、第2フープ材200が移動する経路である。第1ライン4Aは、第1容器2Aと樹脂封止部5との間において、第1フープ材100がたわむことを許容する第1バッファ7Aを有する。同様に、第2ライン4Bは、第2容器2Bと樹脂封止部5との間において、第2フープ材200がたわむことを許容する第2バッファ7Bを有する。
【0151】
第1バッファ7Aは、第1容器2Aから樹脂封止部5までの間で、第1フープ材100がたわむことを許容する。このたわみは、第1容器2Aから樹脂封止部5までの第1フープ材100の移動時間の余裕度を生成できる。例えば、
図8のように、第1フープ材100は、第1バッファ7Aにおいてたわんでいる。
【0152】
このたわみによって、樹脂封止部5で樹脂封止されている電子部品から、第1容器2Aまでの間の移動は、直線ではなく、移動時間に余裕を持っている。例えば、第1容器2Aを取り換える際などには、この移動時間の余裕度によって、取り換えの時間が確保される。例えば、第1容器2Aを取り換えている間には、前の第1容器2Aから送り出されている第1フープ材は、たわみが次第に伸びていきながら、樹脂封止を続行できる。この続行の時間が、取り換え時間を確保できる。
【0153】
同様に、第2バッファ7Bは、第2容器2Bから樹脂封止部5までの間で、第2フープ材200がたわむことを許容する。このたわみは、第2容器2Bから樹脂封止部5までの第2フープ材200の移動時間の余裕度を生成できる。例えば、
図8のように、第2フープ材200は、第2バッファ7Bにおいてたわんでいる。
【0154】
このたわみによって、樹脂封止部5で樹脂封止されている電子部品から、第2容器2Bまでの間の移動は、直線ではなく、移動時間に余裕を持っている。例えば、第2容器2Bを取り換える際などには、この移動時間の余裕度によって、取り換えの時間が確保される。例えば、第2容器2Bを取り換えている間には、前の第2容器2Bから送り出されている第2フープ材200は、たわみが次第に伸びていきながら、樹脂封止を続行できる。この続行の時間が、取り換え時間を確保できる。
【0155】
このように、第1バッファ7Aおよび第2バッファ7Bの存在により、第1フープ材100および第2フープ材200が移動する時間の余裕度が生じ、第1容器2Aや第2容器2Bの取り換えなどの時間が確保できる。
【0156】
なお、
図4に示されるように第1バッファ7Aや第2バッファ7Bのそれぞれは、柔軟性を有するフープ材のたわみである。このたわみは、
図4のように複数であることがあり、複数のたわみ全体をバッファとして把握してもよいし、たわみのそれぞれをバッファとして把握してもよい。
【0157】
後者の場合には、第1バッファ7Aと第2バッファ7Bのそれぞれが、第1段、第2段のバッファを有していると把握される。
【0158】
たわみが複数であることでバッファが形成されると、例えば、樹脂封止部5での樹脂封止における作業時間とフープ材を送る時間との差分を吸収するバッファと、フープ材が終了した場合に新しいフープ材を接続する接続作業時間とフープ材を送る時間との差分を吸収するバッファとの役割を、それぞれが有する。
【0159】
なお、第1バッファ7Aであるたるみは、第1補助駆動部6Aが、その駆動量の調整によって形成できる(第1駆動部3Aと第1補助駆動部6Aとの駆動量の差分によってなど)。第2バッファ7Bであるたるみは、第2補助駆動部6Bが、その駆動量の調整によって形成できる(同様である)。
【0160】
(容器の取り換え)
第1容器2Aや第2容器2Bは、第1フープ材100や第2フープ材200を収容している。このため、第1容器2Aや第2容器2Bは、第1フープ材100や第2フープ材200が終了する場合がある。第1駆動部3Aなどによって送り出されることが続いて、第1フープ材100や第2フープ材200が終了することがある。
【0161】
樹脂封止装置1においては、第1フープ材100および第2フープ材200を用いた樹脂封止作業を継続することが必要である。この樹脂封止作業を継続するために、終了した第1容器2Aもしくは第2容器2Bを取り換える必要がある。
【0162】
第1バッファ7Aや第2バッファ7Bによるたわみがあることで、第1フープ材100や第2フープ材200が樹脂封止作業を継続している間に、第1容器2Aや第2容器2Bを取り換えることができる。
【0163】
ここで、樹脂封止装置1は、接続部8を更に備える。
【0164】
例えば、第1容器2Aに収容していた第1フープ材100が終了し、第1容器2Aが空容器になるとする。このとき、空になった第1容器2Aを取り外して、次の第1フープ材100を収容する新しい第1容器2Aが取り付けられる。この新しい第1容器2Aが収容する第1フープ材100の開始端部が、終了していた第1フープ材100の終了端部に接続される。
【0166】
このとき、上述のように、第1バッファ7Aが、この接続作業の時間を吸収可能である。これは、第2容器2Bを取り換えて、第2フープ材200の終了端部と開始端部を接続する際に、第2バッファ7Bが吸収可能であることと同様である。
【0167】
接続作業は、終了するフープ材の終了端部を切断し、新しい容器に収容されたフープ材の開始端部を、接続部材で接続する。この接続部材は、接着テープ、溶着テープ、クリップ、スポット溶接のいずれかである。もちろん、これら以外であってもよい。
【0168】
このように、第1容器2Aもしくは第2容器2Bのいずれかが取り換えられる場合でも、接続部8において新しい容器のフープ材と接続されることで、樹脂封止作業を停止させずに済む。特に、第1バッファ7A等により、接続作業時間が確保されて、この点でも、樹脂封止作業を停止させずに済む。
【0169】
また、第1フープ材100もしくは第2フープ材200のいずれかにおいて接続部8での接続作業が行われる場合には、第1フープ材100の電子部品101と第2フープ材200の電子部品201との位置が、樹脂封止対象105、205においてずれる可能性がある。
【0170】
このようなずれが生じている場合には、第1駆動部3Aおよび第2駆動部3Bの少なくとも一方の駆動によって、ずれを修正する。このずれの修正は、実施の形態1で説明したのと同様の動作である。
【0171】
このように、実施の形態1で説明したずれの修正ができることも相まって、第1フープ材100や第2フープ材200の終了に合わせて新しい容器に取り換えられても、樹脂封止作業を停止させずに済む。
【0172】
なお、実施の形態1〜2で説明された樹脂封止装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。