(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6655654
(24)【登録日】2020年2月5日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】トルクリミッタ
(51)【国際特許分類】
F16D 7/02 20060101AFI20200217BHJP
F16D 43/21 20060101ALI20200217BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
F16D7/02 F
F16D43/21
F16C11/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-94368(P2018-94368)
(22)【出願日】2018年5月16日
(65)【公開番号】特開2019-199912(P2019-199912A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋裕
【審査官】
増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3912724(JP,B2)
【文献】
特開2015−124774(JP,A)
【文献】
特開昭52−118162(JP,A)
【文献】
特開平05−172171(JP,A)
【文献】
特開2001−012514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/02
F16D 43/21
F16C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の内輪と、前記内輪を囲む環状のばね部材と、前記内輪及びばね部材を収容する外輪とを備え、
前記内輪及びばね部材並びに外輪は共通の中心軸を有し、前記ばね部材は前記外輪に相対回転不能に係合され、
前記ばね部材は環状に形成された薄板状の基部を具備し、前記基部の内周には、半径方向内側に向かって傾斜して軸方向に延びる複数の弾性部が、周方向に間隔をおいて一体的に設けられ、それぞれの前記弾性部の先端は前記内輪の外周面に当接する当接内面を形成しており、さらに、
前記ばね部材の基部には、隣接する前記弾性部の中間に、前記基部の内周から半径方向外側に向け矩形状に切り欠かれた係合凹部が形成され、かつ、前記外輪には、軸方向に延びる係合凸部が形成され、前記外輪の係合凸部が前記ばね部材の係合凹部に嵌り込んで、前記ばね部材は前記外輪と相対回転不能となっており、
前記ばね部材の基部の外周縁部には、軸方向に延びる筒状の補助壁が全周に亘って設けられるとともに、前記補助壁の先端には、半径方向に延びる環状のフランジが全周に亘って形成されており、
前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときは、前記内輪の外周面と前記ばね部材の当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転する、ことを特徴とするトルクリミッタ。
【請求項2】
前記外輪内には、複数の前記ばね部材が軸方向に直列して設置される、請求項1に記載のトルクリミッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面円形の内輪と、内輪を囲む環状のばね部材と、記内輪及びばね部材を収容する外輪とを備え、内輪と外輪との間に作用する回転トルクが所定値より大きい場合に、内輪と外輪とが相対的に回転するよう構成されたトルクリミッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トルクリミッタは、駆動源のモーター等に過負荷が掛かったときに負荷を切り離してモーターを保護する部品、つまり、伝達トルクを制限する部品として一般的に利用されている。さらに、トルクリミッタは、例えばノート型パソコンのディスプレイを本体に枢着する部分にも適用され、ディスプレイを任意の角度に固定すると同時に、手動で余分のトルクを付加したときはディスプレイと本体とが相対的に回転するようにして、いわゆるトルクヒンジの機能を行わせることもできる。
例えば、特許文献1には、環状のばね部材を用いた摩擦式のトルクリミッタを、トルクヒンジとして機能させるものが記載されており、これについて
図7を参照して説明する。
図7(a)はトルクリミッタの縦断面図を、
図7(b)は同図(a)におけるA−A断面図を、
図7(c)は同図(a)で配設されたばね部材の単品斜視図を、夫々示すものである。
【0003】
図7に示すトルクリミッタは、軸状で断面円形の内輪Nと、この内輪Nを囲む環状のばね部材Sと、内輪Nとばね部材Sを収容する外輪Gとを備えており、内輪N及びばね部材S並びに外輪Gは共通の中心軸oを有している。ばね部材Sは環状に形成された薄板状の基部Bを具備し、基部Bの外周には、半径方向外側に向かって突出する円弧状の係合凸部Cが形成されている。係合凸部Cは周方向に間隔をおいて3個設けられており、係合凸部Cの夫々の外周縁部には軸方向に延びる円弧状の補助壁Wが配設されている。
外輪Gには係合凹部Rが形成され、係合凹部Rに係合凸部Cが嵌り込んで、ばね部材Sは外輪Gと相対回転不能となる。一方、基部Bの内周には、半径方向内側に向かって傾斜して軸方向に延びる3個の弾性部Dが、周方向に等間隔に一体的に設けられている。夫々の弾性部Dの先端は内輪Nの外周面に当接する当接内面CSを形成している。そして、内輪Nの外周面とばね部材Sにおける当接内面CSの内周面との間で生じる摩擦力よりも内輪Nと外輪Gとを相対的に回転させる中心軸o周りの回転トルクが大きい場合に、外輪Gと内輪Nとが相対的に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3912724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したとおりのトルクリミッタは、少ない部品点数で小型且つ軽量に設計することが可能である。しかしながら、ばね部材Sの基部Bは薄板状であることから剛性が弱く、以下のような問題点がある。
即ち、内輪Nと外輪Gとが相対回転を開始する回転トルクの所定値(設定トルク)を大きく設定した場合(つまり、当接内面CSと内輪Nの外周面とを強力に密接させて大きな摩擦力を作用させた場合)、中心軸o周りに大きな回転トルクが付加された際に、薄板状の基部Bが撓んでしまい、設定トルクの値が変動したり、トルクリミッタの装置が損傷したりする恐れがある。これは、上記回転トルクによって基部Bには周方向に捩じられる力が作用し、薄板状の基部Bは凹凸面を形成するように変形させられるためである。
図7に示すトルクリミッタにあっては、基部Bに形成された係合凸部Cの外周縁から軸方向に延びる補助壁Wが設けられており、これによって基部Bは周方向に捩じられる力に対してある程度補強されている。しかしながら、補助壁Wは周方向に間隔をおいて設けられていることから、基部Bに対して上記力が作用した際には、補助壁Wが設けられていない部分の基部Bにひずみが集中してしまい、基部Bが充分に補強されているとは言えない。基部Bの剛性を強くするために基部Bの肉厚を厚くすることも考えられるが、基部Bの肉厚を厚くしてしまうとばね部材Bが重くなると共に大型化してしまう。
【0006】
本発明は、薄板状の基部を有するばね部材を用いたトルクリミッタにおいて、少ない部品点数でコンパクト且つ軽量であるにもかかわらず、設定トルク、つまり、内輪と外輪とが相対回転を開始する回転トルクの所定値を大きくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は、ばね部材の基部の外周縁部に軸方向に延びる筒状の補助壁を全周に亘って設けるとともに、補助壁の先端に半径方向に延びる環状のフランジを全周に亘って形成するようにしたものである。即ち、本発明は、
「断面円形の内輪と、前記内輪を囲む環状のばね部材と、前記内輪及びばね部材を収容する外輪とを備え、
前記内輪及びばね部材並びに外輪は共通の中心軸を有し、前記ばね部材は前記外輪に相対回転不能に係合され、
前記ばね部材は環状に形成された薄板状の基部を具備し、前記基部の内周には、半径方向内側に向かって傾斜して軸方向に延びる複数の弾性部が、周方向に間隔をおいて一体的に設けられ、それぞれの前記弾性部の先端は前記内輪の外周面に当接する当接内面を形成しており、さらに、
前記ばね部材の基部には、隣接する前記弾性部の中間に、前記基部の内周から半径方向外側に向け矩形状に切り欠かれた係合凹部が形成され、かつ、前記外輪には、軸方向に延びる係合凸部が形成され、前記外輪の係合凸部が前記ばね部材の係合凹部に嵌り込んで、前記ばね部材は前記外輪と相対回転不能となっており、
前記ばね部材の基部の外周縁部には、軸方向に延びる筒状の補助壁が全周に亘って設けられるとともに、前記補助壁の先端には、半径方向に延びる環状のフランジが全周に亘って形成されており、
前記内輪と前記外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときは、前記内輪の外周面と前記ばね部材の当接内面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記外輪とが相対的に回転する」
ことを特徴とするトルクリミッタとなっている。
【0008】
本発明の実施形態として「前記外輪内には、複数の前記ばね部材が軸方向に
直列して設置される」ように構成することが
好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトルクリミッタは、断面円形の内輪と、内輪を囲む環状のばね部材と、内輪及びばね部材を収容する外輪とを備えており、内輪及びばね部材並びに外輪は共通の中心軸を有し、ばね部材は外輪に相対回転不能に係合されている。ばね部材は環状に形成された薄板状の基部を具備し、基部の内周には、半径方向内側に向かって傾斜して軸方向に延びる複数の弾性部が、周方向に間隔をおいて一体的に設けられ、それぞれの弾性部の先端には内輪の外周面に当接する当接内面が形成されている。
そして、ばね部材の基部の外周縁部には、軸方向に延びる筒状の補助壁が全周に亘って設けられるとともに、補助壁の先端には、半径方向に延びる環状のフランジが全周に亘って形成されている。このトルクリミッタは、内輪と外輪との間に所定値以上の回転トルクが付加されたときは、内輪の外周面とばね部材の当接内面との間の摩擦力に抗して、内輪と外輪とが相対的に回転する。
【0010】
このように、本発明のトルクリミッタにあっては、ばね部材の基部の外周縁部に、軸方向に延びる筒状の補助壁が全周に亘って設けられるとともに、補助壁の先端に、半径方向に延びる環状のフランジが全周に亘って形成されており、ばね部材の基部は周方向に捩じられる力に対して充分に補強されている。従って、本発明のトルクリミッタにあっては、薄板状のばね部材の基部の剛性が向上し、内輪と外輪との間に働く摩擦力により大きなねじり力が作用したとしても、薄板状の基部が撓んだり、撓みによって摩擦力に変動が生じることはない。そのため、設定トルクの値が大きなトルクリミッタを、少ない部品点数でコンパクト且つ軽量に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のトルクリミッタの実施例の全体的な構造を示す図である。
【
図2】
図1に示すトルクリミッタの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すトルクリミッタの外輪を示す図である。
【
図4】
図1に示すトルクリミッタのシールド部材を示す図である。
【
図5】
図1に示すトルクリミッタの内輪を示す図である。
【
図6】
図1に示すトルクリミッタのばね部材を示す図である。
【
図7】従来の摩擦式のトルクリミッタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明のトルクリミッタについて説明する。
図1には、本発明のトルクリミッタの実施例の全体的な構造を示す図を示し、
図2には、分解斜視図、
図3乃至
図6には、主要構成部品の単品図を示す。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施例のトルクリミッタは、内輪2と、この内輪2を囲む環状のばね部材4と、内輪2及びばね部材4を収容する外輪8とを備えている。これらの部品は全て共通の中心軸oを有する。
【0014】
図1及び
図2と共に
図3を参照して説明すると、外輪8は、環状の端板10と、端板10の外周縁から軸方向に延びる筒状の側壁12とから構成されるカップ状部材である。外輪8の断面は全体的に円形であって、その外周面には、外径が局部的に低減されて形成される接続凹部14が周方向に等角度間隔をおいて6個設けられている。接続凹部14の夫々は断面が円弧状であって軸方向に延在して設けられており、ここにはモーター等の駆動源によって従動させられる部材又は駆動源のいずれか一方が接続される。端板10の内側中央領域には、円形の空間部16が形成されている。空間部16の外周縁には、端板10から軸方向に延びる係合凸部18が周方向に等角度間隔をおいて6個形成されている(つまり、係合凸部18は径方向中間部に位置している)。係合凸部18は夫々周方向に延在し、断面は略矩形である。係合凸部18と側壁12との間には円環形状の隙間20が規定されている。外輪8の開口端部、つまり軸方向に見て端板10と対向する端部、における側壁12の内周面には、径方向外方に窪んだ係止溝22が周方向に連続して形成されている。
【0015】
外輪8の開口端部には、内部を閉鎖するシールド部材24が配設される。シールド部材24は、
図4に示すとおり、全体的に円環形状の薄板である。シールド部材24の軸方向片側面には、中央領域を円形に除去してその残留部によって規定される円筒形状の残留外周壁26が設けられている。シールド部材24の外周面には径方向外方に突出した係止突条28が周方向に連続して形成されており、これが係止溝22に係止することでシールド部材24は外輪8と組み合わされる。
【0016】
図1及び
図2と共に
図5を参照して説明すると、内輪2は全体的に円筒形状であって、その軸方向片端には、一対の円弧壁30が内周縁に沿って直径方向に間隔をおいて相互に対向して固着されている。一対の円弧壁30には、モーター等の駆動源によって従動させられる部材又は駆動源のいずれか他方が接続される。
【0017】
図1及び
図2と共に
図6を参照して説明すると、ばね部材4は全体的に円環形状であって、環状に形成された薄板状の基部32を有する。基部32の内周には、基部32の内周から半径方向外側に向け略矩形状に切り欠かれた係合凹部34と、半径方向内側に向かって傾斜して軸方向に延びる弾性部36とが周方向に間隔をおいて形成されている。
図6のB部拡大図を参照することによって理解されるとおり、弾性部36は基部32の内周縁から半径方向内側に向かって略45度の角度で傾斜して軸方向に延びた後、軸方向に向かって直線状に延びており、弾性部36の先端には当接内面38が規定されている。図示の実施例においては、係合凹部34と弾性部36は周方向に交互に等角度間隔をおいて6個ずつ設けられている。所望ならば、弾性部36及び係合凹部34の数は適宜変更してもよい。
【0018】
ばね部材4の基部32の外周縁部には、軸方向に延びる筒状の補助壁40が全周に亘って設けられるとともに、補助壁40の先端には、半径方向に延びる環状のフランジ42が全周に亘って形成されていることが重要である。図示の実施例においては、補助壁40は基部32の外周縁から軸方向に延びる円筒形状であり、基部32に対して実質上垂直である。フランジ42は補助壁40の延出端から径方向外方に拡径する薄板円環形状であり、補助壁40に対して実質上垂直であると共に基部32に対して実質上平行である。
【0019】
主に
図1及び
図2を参照して説明を続けると、上記した各構成部品が組み合わされると以下のようになる。
ばね部材4は外輪8の内部において、係合凹部34が係合凸部18に嵌り込んで、外輪8と相対回転不能に組み合わされる。このとき、基部32は外輪8の隙間20に嵌り込み(
図3の左図を参照されたい)、フランジ42が端板10及び側壁12と当接する。図示の実施例においては、2つのばね部材4が軸方向に
直列して設置されている。内輪2は外輪8の内部において、軸方向他端部が空間部16に嵌り込むと共に外周面がばね部材4の当接内面38に当接した状態で組み合わされる。このとき、当接内面38と内輪2の外周面との間では、弾性部36の弾性に基づいて当接内面38が内輪2の外周面に密着され、両者の間には所定の摩擦力(密着力)が生ずることとなる。外輪8の内部には断面矩形で円環形状のスペーサー6も配置されている。スペーサー6がばね部材4の基部32とシールド部材24の残留外周壁26によって軸方向に挟み込まれた状態で、シールド部材24は外輪8と組み合わされる。シールド部材24が外輪8と組み合わされると、外輪8の内部において内輪2及びばね部材4の軸方向への移動が規制される。
【0020】
図示の実施例においては、ばね部材4と外輪8とを相対回転不能な状態で組み合わせるのに、ばね部材4の内周縁に形成された係合凹部34を外輪8の端板10の径方向中間部に形成された係合凸部18に嵌め合わせている。このようにすることで、装置全体の径を小さくすることが可能となる。ばね部材4の外周縁に係合凹部を形成するとともに外輪8の側壁12の内周面に係合凸部を形成することも考えられるが、係合凹部をばね部材4の外周縁に形成しようとすると、フランジ42又はこれと共に基部32の径方向幅を大きくする必要があるためである。
【0021】
続いて、本発明のトルクリミッタの作動について、
図1を参照して説明する。
内輪2と外輪8とを相対的に回転させるトルクが所定値以下であれば、外輪8に係合されたばね部材4の当接内面38と内輪2の外周面との間の摩擦力(密着力)により、内輪2は外輪8に対して回転しない。従って、駆動源からの回転トルクが従動部材に伝達されて、従動部材が回転駆動する。一方、内輪2と外輪8とを相対的に回転させる中心軸oの軸周りに所定値よりも大きい回転トルクが付加されると、外輪8と相対回転不能に係合されたばね部材4の当接内面38と内輪2の外周面との間の摩擦力(密着力)に打ち勝ち、内輪2が外輪8に対して回転する。従って、駆動源からの回転トルクは従動部材に伝達されない。
【0022】
本発明のトルクリミッタにあっては、ばね部材4の基部32の外周縁部には、軸方向に延びる筒状の補助壁40が全周に亘って設けられるとともに、補助壁40の先端には、半径方向に延びる環状のフランジ42が全周に亘って形成されており、ばね部材4の基部32は周方向に捩じられる力に対して充分に補強されている。従って、本発明のトルクリミッタにあっては、薄板状のばね部材4の基部32の剛性が向上し、内輪2と外輪8との間に働く摩擦力により大きなねじり力が作用したとしても、薄板状の基部32が撓んだり、撓みによって摩擦力に変動が生じることはない。そのため、設定トルクの値が大きなトルクリミッタを、少ない部品点数でコンパクト且つ軽量に設計することができる。
【0023】
以上、本発明のトルクリミッタの好適実施形態について詳述した。上記の実施形態においては、外輪の内部にスペーサーを配置したが、これを除去して、シールド部材の残留外周壁によってばね部材を軸方向に支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
2:内輪
4:ばね部材
6:スペーサー
8:外輪
18:係合凸部
32:基部
34:係合凹部
38:当接内面
40:補助壁
42:フランジ