特許第6655655号(P6655655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6655655
(24)【登録日】2020年2月5日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】非対称のカテーテル湾曲形状
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20200217BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   A61B18/14
   A61M25/00 560
   A61M25/00 624
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-94574(P2018-94574)
(22)【出願日】2018年5月16日
(62)【分割の表示】特願2016-573116(P2016-573116)の分割
【原出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2018-149339(P2018-149339A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】62/013,392
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フック アレクサンダー カーソン
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−360704(JP,A)
【文献】 特開2011−83594(JP,A)
【文献】 特開2012−147971(JP,A)
【文献】 特表2012−518470(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/169815(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 18/28
A61N 1/00 ― 1/44
A61M 25/00 ― 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向可能なカテーテルであって、
近位端、遠位端、および中央ルーメンを備える近位カテーテルシャフト区間と、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、前記遠位変位可能区間と、
前記近位カテーテルシャフト区間によって取り囲まれ、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における第1の領域へ、前記中央ルーメンを通して長手方向に延在している、本体部圧縮コイルと、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における第2の領域へ、前記本体部圧縮コイルを通して長手方向に延在する第1のプルワイヤであって、前記第2の領域は、前記第1の領域の遠位にある、前記第1のプルワイヤと、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における前記第2の領域へ、前記本体部圧縮コイルを通って前記第1のプルワイヤに平行に長手方向に延在する第2のプルワイヤと、
前記本体部圧縮コイルの中の前記第1のプルワイヤを取り囲む第1のプルワイヤ圧縮コイルであって、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における前記第2の領域へ長手方向に延在している、前記第1のプルワイヤ圧縮コイルと、
を備える、操向可能なカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルが前記第1のプルワイヤに向けて変位されているときに、前記カテーテルは、第1の半径を有する第1の湾曲を形成し、
前記カテーテルが前記第2のプルワイヤに向けて変位されているときに、前記カテーテルは、第2の半径を有する第2の湾曲を形成し、
前記第2の半径は、前記第1の半径よりも大きい、請求項1に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項3】
前記本体部圧縮コイルを取り囲むスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記近位カテーテルシャフト区間を形成する材料を備える、請求項1又は2に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項4】
前記材料は、PTFEを含む、請求項3に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項5】
前記本体部圧縮コイル及び前記第1のプルワイヤ圧縮コイルは、RF接合、接着剤、音波溶接、または熱溶接のうちの少なくとも1つを介して、前記近位カテーテルシャフト区間の中に固定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項6】
前記本体部圧縮コイルの中の前記第2のプルワイヤを取り囲む第2のプルワイヤ圧縮コイルであって、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における前記第2の領域へ長手方向に延在している、前記第2のプルワイヤ圧縮コイルをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項7】
前記第1のプルワイヤ圧縮コイルと前記第2のプルワイヤ圧縮コイルのうちの少なくとも一方が、遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備える、請求項6に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項8】
前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、長さが6.35〜25.40ミリメートルである、請求項7に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項9】
前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、可変のピッチを備える、請求項7又は8に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項10】
前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端から前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記遠位端へ向かって漸次長くなるように引き伸ばしたピッチを備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項11】
前記遠位変位可能区間は、単一のデュロメーターの材料を備える、請求項10に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項12】
前記第1のプルワイヤ圧縮コイルと前記第2のプルワイヤ圧縮コイルのうちの少なくとも一方が、2つ以上の非連続的な区間を備える、請求項6から11のいずれか一項に記載の操向可能なカテーテル。
【請求項13】
前記第1のプルワイヤ圧縮コイルは、第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備え、前記第2のプルワイヤ圧縮コイルは、第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備え、前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間のピッチは、前記第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間のピッチよりも大きい、請求項6から12のいずれか一項に記載の操向可能なカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、変位可能カテーテルシャフトに関し、詳細には、カテーテルが異なる方向に操向または変位されているときに、異なる湾曲形状を生み出すように構成されている、圧縮抵抗コイルを備えるカテーテルシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
電気生理学カテーテルは、たとえば、異所性心房頻拍、心房細動、および心房粗動などを含む、心房性不整脈などのような症状を診断および/または矯正するための様々な診断処置、治療的処置、マッピング処置、およびアブレーション処置において使用されている。不整脈は、不規則な心拍数、房室収縮同期不全、および、心室の中の血液の滞留を含む、様々な症状を生み出す可能性があり、そのすべては、様々な症候性および無症候性の病気につながり、さらに死にもつながる可能性がある。
【0003】
一般に、カテーテルは、たとえば、患者の心臓または心室またはその静脈の中の部位などの意図する部位へ、患者の血管系を通して展開および操作される。カテーテルは、たとえば、心臓マッピングもしくは心臓診断、アブレーションおよび/もしくは他の治療デリバリモード、または、その両方のために使用され得る1つまたは複数の電極を担持している。意図する部位に到達すると、治療は、たとえば、高周波(RF)アブレーション治療、冷凍アブレーション治療、レーザアブレーション治療、化学的アブレーション治療、高密度焦点式超音波ベースのアブレーション治療、マイクロ波アブレーション治療、および/または、他のアブレーション治療などを含むことが可能である。カテーテルは、切除エネルギーを心臓組織に付与し、心臓組織の中に1つまたは複数の損傷部を生み出す、また、連続的なまたは線形のおよび貫通性の損傷部を生み出すことが多い。この損傷部は、望ましくない心臓活性化経路を途絶させ、それによって、不整脈の基礎を形成し得る誤った伝導信号を制限し、囲い込み、または防止する。
【0004】
身体の中で所望の部位にカテーテルを位置決めするために、たとえば、カテーテルの中へ組み込まれる機械的な操向特徴部(または、操向可能な、もしくは、固定された湾曲のイントロデューサシース)などを使用することなど、何らかのタイプのナビゲーションを使用しなければならない。いくつかの例では、医療従事者は、機械的な操向特徴部を使用して、手動でカテーテルを操向および/または操作することが可能である。
【0005】
患者の血管系を通してカテーテルの前進を容易にするために、カテーテルの近位端を操作し、血管および心室を通してカテーテルを案内することができる。カテーテルの近位端にトルクを同時に印加すること、および、カテーテルの遠位先端を所望の方向に選択的に変位する能力によって、医療従事者が、カテーテルの遠位端の前進の方向を調節すること、および、電気生理学的な処置の間にカテーテルの遠位部分を位置決めすることが可能となり得る。遠位先端は、カテーテルの遠位端に取り付けられている1つまたは複数のプルワイヤによって変位させることができ、1つまたは複数のプルワイヤは、たとえば、制御ハンドルまで近位に延在しており、制御ハンドルは、1つまたは複数のプルワイヤにかかる張力の印加を制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カテーテルシャフトに関する機械的な留意事項のうちの2つは、それがトルクを伝達し、使用中の圧縮に抵抗するということである。トルクを伝達することに関して、医療従事者は、通常、カテーテルシャフトの近位端に配設されているハンドルを操作することによって、または、カテーテルシャフトの近位部分をその長手方向軸線周りに指で回すことによって、カテーテルの遠位端を所望の場所へ部分的にナビゲートする。かなりの摩擦力が、カテーテルの長さにわたりトルクの伝達の抵抗となることがある。使用中の圧縮に抵抗することに関して、カテーテルシャフトは、複数の積層コイルを備える圧縮コイルを含み得るものであり、その圧縮コイルは、長手方向の圧縮及びそのような長手方向の圧縮が引き起こし得る付随問題に抗することができるように、カテーテルシャフトを横方向に変位または湾曲させる。
【0007】
先述の考察は、本分野を示すことだけを意図しており、特許請求の範囲を否定するものとして解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態は、カテーテルが異なる方向に操向または変位されているときに、異なる湾曲形状を生み出すように構成されている、圧縮抵抗コイルを備える変位可能カテーテルシャフトを含む。1つまたは複数の圧縮抵抗コイルは、ピッチの引き伸ばされた区間を含むことが可能である。圧縮抵抗コイルは、プルワイヤ圧縮コイルまたは本体部圧縮コイルであってもよい。
【0009】
本開示の態様によれば、操向可能なカテーテルは、近位端および遠位端を備える近位カテーテルシャフト区間と、近位カテーテルシャフト区間の遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、遠位変位可能区間と、第1のプルワイヤを取り囲み、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端へ近位カテーテルシャフト区間を通って長手方向に延在している、第1の圧縮コイルと、第2のプルワイヤを取り囲み、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端へ近位カテーテルシャフト区間を通って、第1の圧縮コイルと平行に、長手方向に延在している、第2の圧縮コイルと、を備え、第1の圧縮コイルは、第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備える。
【0010】
本開示の別の態様によれば、操向可能なカテーテルは、近位端、遠位端、および中央ルーメンを備える近位カテーテルシャフト区間と、近位カテーテルシャフト区間の遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、遠位変位可能区間と、近位カテーテルシャフト区間によって取り囲まれ、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端における第1の領域へ、中央ルーメンを通して長手方向に延在している、本体部圧縮コイルと、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端における第2の領域へ、本体部圧縮コイルを通して長手方向に延在する第1のプルワイヤであって、第2の領域は、第1の領域の遠位にある、第1のプルワイヤと、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端における第2の領域へ、本体部圧縮コイルを通って第1のプルワイヤに平行に長手方向に延在する第2のプルワイヤと、本体部圧縮コイルの中の第1のプルワイヤを取り囲むプルワイヤ圧縮コイルであって、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端における第2の領域へ長手方向に延在している、プルワイヤ圧縮コイルと、を備える。
【0011】
本開示の別の態様によれば、操向可能なカテーテルは、近位端および遠位端を備える近位カテーテルシャフト区間と、近位カテーテルシャフト区間の遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、遠位変位可能区間と、プルワイヤを取り囲み、近位カテーテルシャフト区間の近位端から遠位変位可能区間の近位端へ近位カテーテルシャフト区間を通って長手方向に延在している、圧縮コイルと、を備え、圧縮コイルは、遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備える。
【0012】
本開示の先述の態様、特徴、詳細、有用性、および利点、ならびに、他の態様、特徴、詳細、有用性、および利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読み、添付の図面を検討すれば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態による変位可能カテーテルシャフト区間を組み込むカテーテルの概略図である。
【0014】
図2図1の中の線2−2に沿って見た、図1の変位可能カテーテルシャフト区間の概略断面図であり、カテーテルの様々な構成要素が理解の容易のために省略されている図である。
【0015】
図3】遠位カテーテルシャフト区間の概略側面図であり、2つのプルワイヤ圧縮コイルを示しており、1つのプルワイヤ圧縮コイルは、ピッチの引き伸ばされた区間を備えており、また、遠位カテーテルシャフト区間の2つの可能性のある湾曲形状を(仮想線で)示す図である。
【0016】
図4図3の中の線4−4に沿って見た、図3の近位カテーテルシャフト区間の概略断面図であり、カテーテルの様々な構成要素が理解の容易のために省略されている図である。
【0017】
図5】遠位カテーテルシャフト区間の概略側面図であり、1つのプルワイヤ圧縮コイルおよび本体部コイルを示しており、また、遠位カテーテルシャフト区間の2つの可能性のある湾曲形状を(仮想線で)示す図である。
【0018】
図6図5の中の線6−6に沿って見た、図5の近位カテーテルシャフト区間の概略断面図であり、カテーテルの様々な構成要素が理解の容易のために省略されている図である。
【0019】
図7】2つのプルワイヤ圧縮コイルを示すカテーテルの概略部分側面図であり、ピッチの引き伸ばされたゾーンの中に異なるピッチの引き伸ばされた区間をそれぞれ備えていることを示す図である。
【0020】
図8】2つのプルワイヤ圧縮コイルを示すカテーテルの概略部分側面図であり、両方とも、ピッチの引き伸ばされたゾーンの中に可変のピッチを備えることを示す図である。
【0021】
図9】2つのプルワイヤ圧縮コイルを示すカテーテルの概略部分側面図であり、そのうちの一方は非連続的であることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本開示の実施形態による変位可能カテーテルシャフト区間または遠位変位可能区間12を備える変位可能な電気生理学カテーテル10を全体的に図示している。変位可能カテーテルシャフト区間12は、遠位端14および近位端16を有する細長い本体部を備える。その最も一般的な形態では、カテーテル10は、変位可能カテーテルシャフト区間12の遠位端14に位置する先端アセンブリ18と、変位可能カテーテルシャフト区間12の近位端16の近位に位置する近位カテーテルシャフト区間20(近位端57および遠位端58を含む)と、ハンドルアセンブリ22とをさらに備える。変位可能カテーテルシャフト区間12および近位カテーテルシャフト区間20は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製することができ、また、たとえば、PTFEスリーブ60を備え得る(図2および図4を参照)。また、変位可能カテーテルシャフト区間12は、たとえば、リング電極54および先端電極56などのような、1つまたは複数の電極を含み得る。カテーテル10は、心臓の電位図の記録、心臓アブレーション処置の実施、および、他の同様の用途/処置などのような、任意の数の診断用途および治療用途において使用され得る。
【0023】
さらに図1を参照すると、変位可能カテーテルシャフト区間12は、先端アセンブリ18と近位カテーテルシャフト区間20との間に配設されている。変位可能カテーテルシャフト区間12の長さおよび直径は、用途に応じて変化し得る。一般的に、変位可能カテーテルシャフト区間12の長さは、50.8mmから152.4mmの範囲にあることが可能であり、変位可能カテーテルシャフト区間12の直径は、約5フレンチから約12フレンチの範囲にあることが可能である。変位可能カテーテルシャフト区間12の直径は、本開示のいくつかの実施形態によれば、約7フレンチであることが可能である。これらの特定の寸法は特別に述べられているが、変位可能カテーテルシャフト区間12の寸法は、変位可能カテーテルシャフト区間12の様々な用途に従って様々であることが可能である。変位可能カテーテルシャフト区間12は、近位カテーテルシャフト区間20から独立して、または、近位カテーテルシャフト区間20から実質的に独立して、変位のために構成され得る。
【0024】
図2は、図1に示されているように、線2−2に沿って見た、変位可能カテーテルシャフト区間12の概略断面図を図示している。図示されている実施形態では、変位可能カテーテルシャフト区間12は、3つの実質的に別々のチューブ26、30、および32を備え、そのそれぞれは、変位可能カテーテルシャフト区間12の長手方向軸線に沿って延在し、ルーメンを形成する。別の実施形態では、変位可能カテーテルシャフト区間12は、3つのルーメンよりも少ないまたは多いルーメンを含み得る。チューブ26、30、および32のルーメンは、変位可能カテーテルシャフト区間12の全長に沿って延在することが可能であり、または、変位可能カテーテルシャフト区間12の全長よりも小さい範囲に沿って延在することが可能である。チューブ26、30、32のそれぞれのルーメンは、所定の断面プロファイルおよび形状を有するように形成され得る。チューブ26、30、32のそれぞれのルーメンは、ライナ(図示せず)によってライニングすることができ、ライナは、たとえばチューブ26の内側表面44などのような、チューブ26、30、または32の内側表面に取り付けることができる。ライナは、(たとえば、プルワイヤがスライドすること可能にするために)潤滑性の表面を提供する目的、および、チューブ26、30、32のルーメンの中の構成要素を保護する目的を果たすことが可能である。ライナは、設けられる場合には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのようなポリマー材料、または、任意の他の適切な材料から構築され得る。ある実施形態では、PTFEライニングは、50.8μmの厚さであり、変位可能カテーテルシャフト区間12の変位曲線に影響を与えないか、または、最小の影響しか与えない。
【0025】
チューブ26のルーメンは、電極または他の電気構成要素のための配線を収容するように構成され得る。また、チューブ26のルーメンは、灌注流体通路などとしての使用のために構成され得る。チューブ30および32のルーメンは、変位可能カテーテルシャフト区間12に平行に位置し、かつ、変位可能カテーテルシャフト区間12の反対側面に位置してもよく、チューブ30および32のルーメンは、プルワイヤ40および42を収容するように構成されてもよく、それぞれ、変位可能カテーテルシャフト区間12が2つ以上の方向に変位することを可能にする。とりわけ、ハンドルアセンブリ22は、少なくとも1つのプルワイヤを備えることが可能であり、少なくとも1つのプルワイヤは、それに動作可能に接続され、変位可能カテーテルシャフト区間12の変位を容易にする。プルワイヤ40、42は、本開示の様々な実施形態に従って、ステンレス鋼(たとえば、グレード304または316)、合金35N LT、超弾性のニッケル−チタン(NiTiまたはニチノールとして知られている)ワイヤ、炭素繊維、一般的に商標名KEVLAR(登録商標)の下でDuPont社から入手可能なパラアラミド合成繊維、または、他の適切な材料から形成され得る。
【0026】
図3は、変位していない構成である変位可能カテーテルシャフト区間12Aの一部分を実線で示しており、また、反対側方向に完全に変位されているときの変位可能カテーテルシャフト区間の2つの湾曲した構成80、82を仮想線で示している。変位可能カテーテルシャフト区間12Aの近位端は、プルワイヤ40Aおよび42Aをそれぞれ取り囲む、2つの圧縮コイル50および52を含むことが可能である。本明細書で使用されているように、「圧縮コイル」という用語は、引き伸ばされたプルワイヤコイルを意味し、その引き伸ばされたプルワイヤコイルは、(a)接触している隣接コイルを含む少なくとも1つの長手方向の圧縮抵抗区間を備え、また、場合によっては、(b)1つまたは複数のピッチの引き伸ばされた区間を備え、それぞれのピッチの引き伸ばされた区間は、接触していない隣接コイルを含む。
【0027】
圧縮コイル50および52は、長さが互いに同一であり、また、互いに平行であり得る。例では、圧縮コイル50および52は、0.2032mm×0.127mmのグレード304ステンレス鋼圧延ワイヤから作製され得る。たとえば、圧縮コイル50および52の内径は、0.254mmであることが可能であり、圧縮コイル50および52の外径は、0.508mmであることが可能である。変位曲線80に関連付けられる圧縮コイル50は、遠位のピッチの引き伸ばされた区間50’を含むことが可能である。圧縮コイル50は、場所55Aにおいて、たとえば、RF接合、接着剤、音波溶接(sonic welding)、または熱溶接を介して、変位可能カテーテルシャフト区間12Aの一部も構成する側壁部に取り付けることができる。ある実施形態では、図3に示されてはいないが、圧縮コイル50は、随意的に、場所55Cにおいて、同様の取り付け手段を介して、変位可能カテーテルシャフト区間12Aの一部も構成する側壁部に取り付けることができる。圧縮コイル52は、変位曲線82に関連付けられる。圧縮コイル52は、場所55Dおよび場所55Bにおいて、たとえば、RF接合、接着剤、音波溶接、または熱溶接を介して、変位可能カテーテルシャフト区間12Aの一部も構成する側壁部に取り付けることができる。
【0028】
変位曲線80は、半径R1を有しており、変位曲線82は、半径R2を有している。この実施形態では、R1は、R2よりも大きくなっており、変位可能カテーテルシャフト区間12Aの非対称の湾曲形状をもたらす。プルワイヤ42Aが長手方向の荷重を受けたとき(すなわち、近位に引っ張られるとき)、変位可能カテーテルシャフト区間12Aは、たとえば、場所55Dと圧縮コイル52の遠位端との間など、圧縮コイル52の遠位端の近くに、変位曲線82の近位部分を形成し始める。それとは対照的に、プルワイヤ40Aが長手方向の荷重を受けたとき、圧縮コイル50は、変位可能カテーテルシャフト区間12Aが、圧縮コイル50の近位端に隣接して、場所55Aの近くに変位曲線80の近位部分を形成し始めることを可能にする。圧縮コイル50のピッチの引き伸ばされた区間50’によって、変位可能カテーテルシャフト区間12Aが、圧縮コイル52が湾曲し始めるよりも近位の場所から湾曲し始めることが可能になる(たとえば、場所55A−対−場所55D)。
【0029】
図4は、図3に示されているように、線4−4に沿って見た、変位可能カテーテルシャフト区間12Aの近位端の概略断面図を図示している。チューブ26、30、および32によって形成されたルーメンは、図2に関して上記に説明されているものと同様である。加えて、圧縮コイル52は、プルワイヤ42Aを取り囲むように示されており、圧縮コイル50’は、プルワイヤ40Aを取り囲むように示されている。
【0030】
図5は、本開示の別の実施形態において、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの一部分、および、その変位曲線80’および82’を図示している。この実施形態では、本体部圧縮コイル84は、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの少なくとも外側材料を形成し得るPTFE60(図5には示されていない)によって取り囲まれている。本体部コイル84は、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの近位部分の内部内容物を包含している。本体部コイル84に加えて、本実施形態は、プルワイヤ42Bを取り囲む圧縮コイル52を含むことが可能である。この実施形態では、プルワイヤ40Bを取り囲む圧縮コイルはない。本体部コイル84は、場所55Aおよび/または55Bにおいて、たとえば、RF接合、接着剤、音波溶接、または熱溶接を介して、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの一部も構成する側壁部に取り付けることができる。圧縮コイル52は、場所55Dにおいて、および、随意的に場所55Bにおいて、たとえば、RF接合、接着剤、音波溶接、または熱溶接を介して、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの一部も構成する側壁部に取り付けることができる。
【0031】
変位曲線80’は、半径R1’を有しており、変位曲線82’は、半径R2’を有している。この実施形態では、R1’は、R2’よりも大きくなっており、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの非対称の湾曲形状をもたらす。プルワイヤ42Bが長手方向の荷重を受けたとき、変位可能カテーテルシャフト区間12Bは、たとえば、場所55Dと線88によってマークされている圧縮コイル52の遠位端との間など、圧縮コイル52の遠位端の近くに、変位曲線82’の近位部分を形成し始める。それとは対照的に、プルワイヤ40Bが長手方向の荷重を受けたとき、本体部コイル84は、変位可能カテーテルシャフト区間12Bが、本体部コイル84の遠位端において、線86の近くに変位曲線80’の近位部分を形成し始めることを可能にする。本体部コイル84に加えて、圧縮コイル52は、変位可能カテーテルシャフト区間12Bに、本体部コイル84が単独で湾曲し始めるよりも遠位の場所から湾曲し始めさせる(たとえば、線88−対−線86)。
【0032】
図6は、図5に示されているように、線6−6に沿って見た、変位可能カテーテルシャフト区間12Bの近位端の概略断面図を図示している。チューブ26、30、および32によって形成されたルーメンは、図2に関して上記に説明されているものと同様である。加えて、圧縮コイル52は、プルワイヤ42Bを取り囲むように示されており、本体部コイル84は、変位可能カテーテルシャフト区間12の近位部分の内部内容物を取り囲むように示されている。
【0033】
図7は、プルワイヤ40Cおよび42Cをそれぞれ取り囲む2つのプルワイヤ圧縮コイル90および91を示す、変位可能カテーテルシャフト区間12Cの側面図である。圧縮コイル90および91は、長さが互いに同一であり、また、互いに平行であり得る。この実施形態では、圧縮コイル90および91は、どちらも、ピッチの引き伸ばされた区間90’および91’を有しており、ピッチの引き伸ばされた区間90’および91’は、それぞれ、ピッチの引き伸ばされたゾーン97に位置する。ピッチの引き伸ばされたゾーン97は、近位端97Aおよび遠位端97Bを有することが可能である。ピッチの引き伸ばされた区間90’は、図7のピッチの引き伸ばされた区間91’よりも引き伸ばされまたは広げられている。結果的に、プルワイヤ40Cが長手方向の荷重を受けたとき、変位可能カテーテルシャフト区間12Cの湾曲(図示せず)は、プルワイヤ42Cが長手方向の荷重を受けたときよりも大きい半径を有することが可能である。
【0034】
図7に示されている例から推定して、任意のピッチサイズのピッチの引き伸ばされた区間の任意の組合せを、90’または91’と置き換えることができ、それによって、所与のカテーテルに関して、複数の異なる湾曲形状および湾曲形状組合せを生み出す。これは、様々な医療処置において、および/または、様々な異なる解剖学的構造とともに使用され得る、多くの異なる非対称のまたは対称のカテーテル湾曲形状を生み出すことに関して有益となり得る。
【0035】
図8は、プルワイヤ40Dおよび42Dをそれぞれ取り囲む2つのプルワイヤ圧縮コイル92および92Aを示す、変位可能カテーテルシャフト区間12Dの側面図である。圧縮コイル92および92Aは、長さが互いに同一であり、また、互いに平行であり得る。この実施形態では、圧縮コイル92および92Aは、どちらも、ピッチの引き伸ばされた区間92’および92A’を有しており、ピッチの引き伸ばされた区間92’および92A’は、それぞれ、ピッチの引き伸ばされたゾーン97’に位置する。ピッチの引き伸ばされたゾーン97’は、近位端97’Aおよび遠位端97’Bを含む。同一であることが可能であるピッチの引き伸ばされた区間92’および92A’は、可変のピッチを有している。この実施形態では、可変のピッチは、ピッチの引き伸ばされたゾーン97’の近位端97’Aから遠位端97’Bへ移動する徐々に引き伸ばしたピッチである。徐々に引き伸ばしたピッチは、変位可能カテーテルシャフト区間12Dが、曲がるときに、変位可能カテーテルシャフト区間12Dの遠位端14Dに向けて大きな可撓性で、対称の湾曲形状を示させることができる。ある実施形態では、ピッチの引き伸ばされた区間92’および92A’が徐々に伸びることが、変位可能カテーテルシャフト区間12Dの必要とされるフレキシビリティーを提供することができるので、変位可能カテーテルシャフト区間12Dを形成する材料(たとえばPTFE)のデュロメーターは、(遠位端14Dに向けて徐々に減少するというよりも)変位可能カテーテルシャフト区間12Dの長さの全体を通して均一であることが可能である。これは、そのようなカテーテルシャフトを製造するコストおよび容易性の観点から利点を提供することが可能である。
【0036】
図9は、プルワイヤ40Eおよび42Eをそれぞれ取り囲む2つのプルワイヤ圧縮コイル93および95を示す、変位可能カテーテルシャフト区間12Eの側面図である。圧縮コイル93および95は、全体の長さが互いに同一であり、また、互いに平行であり得る。この実施形態では、圧縮コイル93は、3つの区間93A、93B、および93Cを含み、3つの区間93A、93B、および93Cは、それぞれ、2つの分断部99Aおよび99Bによって分離されている。これは、変位可能カテーテルシャフト区間12Eが、2つの場所における曲げとともに複雑な湾曲を形成することを可能にする。プルワイヤ40Eが長手方向の荷重を受けたとき、変位可能カテーテルシャフト区間12Eは、区間93Aの遠位端93A’において、または、区間93Aの遠位端93A’の近くで、第1の曲げ部を形成することが可能である。同様に、プルワイヤ40Eが長手方向の荷重を受けたとき、変位可能カテーテルシャフト区間12Eは、区間93Bの遠位端93B’において、または、区間93Bの遠位端93B’の近くで、第2の曲げ部を形成することが可能である。これにより、変位可能カテーテルシャフト区間12Eは、非対称の湾曲形状を形成することが可能であり、そのうちの1つは、複雑な湾曲である。
【0037】
圧縮コイルを備えるカテーテルシャフトの実施形態が、ある程度の具体性を持って上記に説明されてきたが、当業者は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、開示されている実施形態に対して多数の変更を加えることが可能である。すべての方向に関する言及(たとえば、上側、下側、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、上部、下部、上部、底部、上方、下方、垂直方向、水平方向、時計回り、および反時計回り)は、本開示の読者の理解を助けるために、識別の目的のためだけに使用されており、とりわけ、デバイスの位置、配向、または使用に関して、限定を生じない。接合に関する言及(たとえば、貼り付けられている、取り付けられている、連結されている、および、接続されているなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続の間に中間部材を含み、また、要素間の相対移動を含むことが可能である。したがって、接合に関する言及は、2つの要素が直接的に接続されており、互いに固定された関係であるということを必ずしも暗示していない。上記の説明の中に含まれ、または添付の図面に示されているすべての事項は、限定するものではなく、単に例示目的として解釈されるべきであるということが意図されている。添付の特許請求の範囲において定義されているような本開示の精神から逸脱することなく、細部または構造を変化させることが可能である。
【0038】
参照により本明細書に組み込まれていると言われている任意の特許、公報、または他の開示材料は、その組み込まれている材料が、本開示の中に述べられている既存の定義、記載、または、他の開示材料と矛盾しない限りにおいて、全体的にまたは部分的に本明細書に組み込まれている。したがって、必要な範囲で、本明細書で明示的に述べられているような開示は、参照により本明細書に組み込まれている任意の矛盾する材料に優先する。参照により本明細書に組み込まれていると言われているが、本明細書で述べられている既存の定義、記載、または、他の開示材料と矛盾する、任意の材料またはその一部分は、その組み込まれる材料と既存の開示材料との間に矛盾が生じない限りにおいてのみ組み込まれる。
【0039】
様々な実施形態は、様々な装置、システム、および/または方法に対して上記に説明されてきた。多数の特定の詳細が、明細書に説明されているように、および、添付の図面に図示されているように、実施形態の全体の構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するように述べられてきた。しかし、実施形態は、そのような詳細なしでも実施され得るということが当業者には理解されよう。他の場合では、本明細書で説明されている実施形態を不明瞭にしないように、周知の動作、構成要素、および要素は、詳細には説明されていない。上記に説明されて図示されている実施形態は、非限定的な例であり、したがって、上記に開示されている特定の構造的な細部および機能的な細部は代表的なものであり、実施形態の範囲を必ずしも限定しておらず、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるということが理解され得るということを当業者なら理解するであろう。
【0040】
明細書の全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または、特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれるということを意味している。したがって、明細書の全体を通して適切な場所において、「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「1つの実施形態では」、または「ある実施形態では」などの語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を参照しているわけではない。そのうえ、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせられ得る。したがって、1つの実施形態に関連して図示または説明されている特定の特徴、構造、または特性は、そのような組合せが非論理的または非機能的ではないという前提で、限定なしに、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と全体的にまたは部分的に組み合わせられ得る。
【0041】
「近位」および「遠位」という用語は、明細書の全体を通して、患者を治療するために使用される器具の、臨床医が操作する一方の端部を参照して使用されているということを理解されたい。「近位」という用語は、臨床医に最も近い器具の部分を表しており、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を表している。簡潔化および見やすくするために、「垂直方向の」、「水平方向」、「上」、および「下」などのような、空間的な用語は、図示されている実施形態に関して上記で使用されているということをさらに理解されたい。しかし、外科手術用器具は、多くの配向および位置で使用することができ、これらの用語は、限定的および絶対的であることを意図されていない。
以下は、出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
操向可能なカテーテルであって、
近位端および遠位端を備える近位カテーテルシャフト区間と、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、前記遠位変位可能区間と、
第1のプルワイヤを取り囲み、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端へ前記近位カテーテルシャフト区間を通って長手方向に延在している、第1の圧縮コイルと、
第2のプルワイヤを取り囲み、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端へ前記近位カテーテルシャフト区間を通って、前記第1の圧縮コイルと平行に、長手方向に延在している、第2の圧縮コイルと、
を備え、
前記第1の圧縮コイルは、第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備える、操向可能なカテーテル。
[項目2]
前記カテーテルが前記第1のプルワイヤに向けて変位されているときに、前記カテーテルは、第1の半径を有する第1の湾曲を形成し、
前記カテーテルが前記第2のプルワイヤに向けて変位されているときに、前記カテーテルは、第2の半径を有する第2の湾曲を形成し、
前記第1の半径は、前記第2の半径よりも大きい、項目1に記載の操向可能なカテーテル。
[項目3]
前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、長さが6.35〜25.40ミリメートルである、項目1に記載の操向可能なカテーテル。
[項目4]
前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、近位端および遠位端を備え、
前記第1の圧縮コイルは、少なくとも第1の場所において、前記近位カテーテルシャフト区間の中に固定されており、前記第1の場所は、前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端にあり、または、前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端の近くにあり、
前記第2の圧縮コイルは、少なくとも第2の場所において、前記近位カテーテルシャフト区間の中に固定されており、前記第2の場所は、前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記遠位端に対して平行である、項目1に記載の操向可能なカテーテル。
[項目5]
前記第1および第2の圧縮コイルは、RF接合、接着剤、音波溶接、または熱溶接のうちの少なくとも1つを介して、前記近位カテーテルシャフト区間の中に固定されている、項目4に記載の操向可能なカテーテル。
[項目6]
前記第1の圧縮コイルまたは前記第2の圧縮コイルのうちの少なくとも1つは、2つ以上の非連続的な区間を備える、項目1に記載の操向可能なカテーテル。
[項目7]
前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、可変のピッチを備える、項目1に記載の操向可能なカテーテル。
[項目8]
前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、近位端および遠位端を備え、前記可変は、前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端から前記第1の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記遠位端へ向かって漸次長くなるように引き伸ばしたピッチを備える、項目7に記載の操向可能なカテーテル。
[項目9]
前記第2の圧縮コイルは、第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備える、項目1に記載の操向可能なカテーテル。
[項目10]
前記第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、可変のピッチを備え、
前記第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、近位端および遠位端を備え、
前記可変は、前記第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端から前記第2の遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記遠位端へ向かって漸次長くなるように引き伸ばしたピッチを備える、項目9に記載の操向可能なカテーテル。
[項目11]
前記遠位変位可能区間は、単一のデュロメーターの材料を備える、項目10に記載の操向可能なカテーテル。
[項目12]
操向可能なカテーテルであって、
近位端、遠位端、および中央ルーメンを備える近位カテーテルシャフト区間と、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、前記遠位変位可能区間と、
前記近位カテーテルシャフト区間によって取り囲まれ、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における第1の領域へ、前記中央ルーメンを通して長手方向に延在している、本体部圧縮コイルと、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における第2の領域へ、前記本体部圧縮コイルを通して長手方向に延在する第1のプルワイヤであって、前記第2の領域は、前記第1の領域の遠位にある、前記第1のプルワイヤと、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における前記第2の領域へ、前記本体部圧縮コイルを通って前記第1のプルワイヤに平行に長手方向に延在する第2のプルワイヤと、
前記本体部圧縮コイルの中の前記第1のプルワイヤを取り囲むプルワイヤ圧縮コイルであって、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端における前記第2の領域へ長手方向に延在している、前記プルワイヤ圧縮コイルと、
を備える、操向可能なカテーテル。
[項目13]
前記カテーテルが前記第1のプルワイヤに向けて変位されているときに、前記カテーテルは、第1の半径を有する第1の湾曲を形成し、
前記カテーテルが前記第2のプルワイヤに向けて変位されているときに、前記カテーテルは、第2の半径を有する第2の湾曲を形成し、
前記第2の半径は、前記第1の半径よりも大きい、項目12に記載の操向可能なカテーテル。
[項目14]
前記シースを取り囲むスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記近位カテーテルシャフト区間を形成する材料を備える、項目12に記載の操向可能なカテーテル。
[項目15]
前記材料は、PTFEを含む、項目14に記載の操向可能なカテーテル。
[項目16]
操向可能なカテーテルであって、
近位端および遠位端を備える近位カテーテルシャフト区間と、
前記近位カテーテルシャフト区間の前記遠位端に隣接する遠位変位可能区間であって、近位端および遠位端を備える、遠位変位可能区間と、
プルワイヤを取り囲み、前記近位カテーテルシャフト区間の前記近位端から前記遠位変位可能区間の前記近位端へ前記近位カテーテルシャフト区間を通って長手方向に延在している、圧縮コイルと、
を備え、
前記圧縮コイルは、遠位のピッチの引き伸ばされた区間を備える、操向可能なカテーテル。
[項目17]
前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、長さが6.35〜25.40ミリメートルである、項目16に記載の操向可能なカテーテル。
[項目18]
前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、近位端および遠位端を備え、
前記圧縮コイルは、少なくとも前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端において、または、前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間の前記近位端の近くにおいて、RF接合、接着剤、音波溶接、または熱溶接のうちの少なくとも1つを介して、前記近位カテーテルシャフト区間の中に固定されている、項目16に記載の操向可能なカテーテル。
[項目19]
前記圧縮コイルは、2つ以上の非連続的な区間を備える、項目16に記載の操向可能なカテーテル。
[項目20]
前記遠位のピッチの引き伸ばされた区間は、可変のピッチを備える、項目16に記載の操向可能なカテーテル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9