特許第6655892号(P6655892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6655892
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】車載記録装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20200220BHJP
   H04N 5/275 20060101ALN20200220BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   !H04N5/275
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-119689(P2015-119689)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-4388(P2017-4388A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 善夫
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−247265(JP,A)
【文献】 特開2007−088541(JP,A)
【文献】 特開2003−069936(JP,A)
【文献】 特開2011−077898(JP,A)
【文献】 特開平05−064124(JP,A)
【文献】 特開2000−225970(JP,A)
【文献】 特開2008−129786(JP,A)
【文献】 特開2003−123191(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/079776(WO,A1)
【文献】 特開2011−114850(JP,A)
【文献】 特開2002−321664(JP,A)
【文献】 特開2012−3408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00− 5/12
H04N 5/275
H04N 7/18
B62D41/00
B60R 1/00
B60R21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載カメラから映像を取得し、車両の状態または車両の運行に関連する運行情報を取得し、前記映像のデータおよび前記運行情報のデータを所定の記録媒体に記録する車載記録装置であって、
前記車載カメラの映像をモニタ表示装置に出力するための映像出力部と、
前記映像出力部に出力する映像に、前記運行情報に相当する情報を重ね合わせるデータ処理部と、
を備え
前記データ処理部は、前記映像出力部に出力する映像に重ね合わせる情報として、前記運行情報のデータを前記記録媒体に記録することが可能か否かを示す情報を含む、
ことを特徴とする車載記録装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、前記運行情報として、業務用車両の運行に特有の状態を表すデータ、および業務用車両を運転する乗務員の労働状態の管理に関連するデータの少なくとも一方を扱う、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載記録装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、前記運行情報として複数種類のデータを扱うと共に、前記運行情報の種類に応じた優先度の高低を識別し、優先度の高い運行情報については、該当する情報の画面上の表示サイズおよび表示色の少なくとも一方の指定を受け付ける表示制御部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載記録装置。
【請求項4】
前記運行情報の画面上の表示状態を指定するための表示指定情報を保持する表示状態保持部を更に備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載記録装置。
【請求項5】
自車両に特定の異常状態が発生した時に前記映像のデータおよび前記運行情報のデータを前記記録媒体に自動的に記録する機能を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車載記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラの映像などのデータを所定の記録媒体に自動的に記録する車載記録装置に関し、特に表示を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車載器の1つとしてドライブレコーダが用いられている。このようなドライブレコーダは、車載カメラで撮影した映像などのデータを、交通事故などのイベント発生時に、または定期的に、所定の記録媒体に記録することができる。
【0003】
例えば、タクシー車両やその他の業務用車両の運行を行う企業等においては、車両に搭載したドライブレコーダが記録したデータを管理者が解析することにより、このデータを乗務員の安全運転の推進等に役立てることができる。
【0004】
一方、車載カメラの映像を外部モニタ装置の画面上に表示する機能を搭載したドライブレコーダ(例えば特許文献1)も存在している。特許文献1のドライブレコーダは、複数の車載カメラでそれぞれ撮影された複数の映像を所定のレイアウトに従い合成し、その出力を1つの外部モニタ装置の画面上に表示する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−167862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タクシー車両やその他の業務用車両の運行を行う企業等においては、各車両および各乗務員の運行状態を適切に管理しなければならない。また、各乗務員が労働基準法に違反した状態で乗務することがないように、各乗務員を適切に管理しなければならない。したがって、ドライブレコーダのような車載記録装置を各業務用車両に搭載し、各車両および各乗務員の運行状態を示すデータを自動的に記録することが行われる。つまり、企業内の管理者は、各車両のドライブレコーダが記録したデータを取得して解析することにより、実際の車両の運行状態や乗務員の実際の乗務状態を客観的に把握することが可能である。
【0007】
しかしながら、実際の車両の運行状態や乗務員の実際の乗務状態を把握するために必要な全てのデータをドライブレコーダで常に自動的に記録できるわけではなく、例えば各乗務員の自己申告により不正確なデータが管理者に提供される可能性もある。
【0008】
具体的には、通常の運行業務において、乗務員が、メモリカードのような記録媒体をこれから乗務する車両上の車載記録装置に装着し忘れた状態で乗務を開始することがおこりうる。また、記録媒体が不完全な挿入状態で車載記録装置に装着されたまま乗務を開始することも考えられる。また、乗務員がタクシーメータのような特別な車載器のボタン操作を間違えた状態で車両を運行する可能性も考えられる。
【0009】
したがって、実際の車両の運行状態や乗務員の実際の乗務状態を示すデータの記録に失敗したり、実際の車両の運行状態とは異なる誤ったデータが車載記録装置によって記録される可能性もある。そのため、管理者が正確な情報を把握できない場合がある。
【0010】
上記のような問題は、乗務員の誤操作によって発生する。したがって、誤操作が生じないように、現在の車両の状態や運行状態を、乗務員に確実に把握させるような表示を行うことが望ましい。しかし、現在のドライブレコーダのような車載器は、できる限り小型化することが不可欠の事項であるため、見やすい大型の表示器を搭載することは難しい。また、特許文献1のように車載器に外部モニタ装置を接続した場合でも、外部モニタ装置の画面には車載カメラの映像だけしか表示できない。
【0011】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、乗務員の誤操作を防止するために役立つ表示機能を備えた車載記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載記録装置は、下記(1)〜()を特徴としている。
【0013】
(1) 車両に搭載された車載カメラから映像を取得し、車両の状態または車両の運行に関連する運行情報を取得し、前記映像のデータおよび前記運行情報のデータを所定の記録媒体に記録する車載記録装置であって、
前記車載カメラの映像をモニタ表示装置に出力するための映像出力部と、
前記映像出力部に出力する映像に、前記運行情報に相当する情報を重ね合わせるデータ処理部と、
を備え
前記データ処理部は、前記映像出力部に出力する映像に重ね合わせる情報として、前記運行情報のデータを前記記録媒体に記録することが可能か否かを示す情報を含む、
ことを特徴とする。
【0014】
この車載記録装置によれば、前記映像出力部を利用して、外部のモニタ表示装置に映像を表示することができる。また、この車載記録装置がモニタ表示装置に出力する映像には、前記データ処理部の働きにより、前記運行情報に相当する文字情報などの情報が重畳される。したがって、業務用車両の乗務員は、前記モニタ表示装置の画面の表示内容を参照することにより、車両の状態または車両の運行に関連する運行情報を把握できる。また、車載記録装置自体に大型の表示部を搭載する必要がないため、車載記録装置を小型化できる。
更に、この車載記録装置によれば、前記運行情報のデータを前記記録媒体に記録できないような状態で業務用車両の運行を開始しようとすると、異常であることが前記モニタ表示装置の画面に表示されるので、乗務員は異常の発生にすぐに気づくことができる。したがって、前記運行情報のデータが記録されない状態のまま運行業務が開始されるのを未然に防止できる。
【0015】
(2) 前記(1)に記載の車載記録装置であって、
前記データ処理部は、前記運行情報として、業務用車両の運行に特有の状態を表すデータ、および業務用車両を運転する乗務員の労働状態の管理に関連するデータの少なくとも一方を扱う、
ことを特徴とする。
【0016】
この車載記録装置によれば、業務用車両を運行する企業において、所定の管理者が業務用車両の運行状態の管理や、乗務員の労務管理を行う際に役立つ運行情報を自動的に記録することができる。また、乗務員が実際に業務用車両を運行する際には、前記運行情報が文字情報などの情報としてモニタ表示装置の画面に表示されるので、乗務員は、車載記録装置が現在記録している運行情報を把握することができる。したがって、例えば何らかの操作ミスによって運行情報を記録できない異常な状態であれば、当日の乗務を開始する時に、この異常に乗務員がすぐに気づくことになる。つまり、業務用車両の当日の運行業務が終了した後で、運行情報を記録できていなかったことに気づくような事態が生じるのを未然に防止できる。
【0017】
(3) 前記(1)に記載の車載記録装置であって、
前記データ処理部は、前記運行情報として複数種類のデータを扱うと共に、前記運行情報の種類に応じた優先度の高低を識別し、優先度の高い運行情報については、該当する情報の画面上の表示サイズおよび表示色の少なくとも一方の指定を受け付ける表示制御部を含む、
ことを特徴とする。
【0018】
この車載記録装置によれば、優先度の高い運行情報が目立つようにこれを示す情報の表示色や表示サイズを調整することができる。したがって、優先度の高い運行情報の表示画面における視認性を高めることができる。
【0019】
(4) 前記(1)に記載の車載記録装置であって、
前記運行情報の画面上の表示状態を指定するための表示指定情報を保持する表示状態保持部を更に備えた、
ことを特徴とする。
【0020】
この車載記録装置によれば、前記運行情報を最適な状態で表示するための表示指定情報を事前に決定して前記表示状態保持部に書き込んでおくことにより、業務用車両の運行状態に適した使いやすい状態で前記運行情報を表示可能になる。
【0023】
) 前記(1)〜()のいずれかの車載記録装置であって、
自車両に特定の異常状態が発生した時に前記映像のデータおよび前記運行情報のデータ
を前記記録媒体に自動的に記録する機能を備えた、
ことを特徴とする。
【0024】
この車載記録装置によれば、例えば危険な状況が発生した時に、映像のデータおよび運行情報のデータを自動的に記録することができる。したがって、この車載記録装置が記録したデータの内容を解析することにより、管理者が危険な状況の発生状態を把握し、安全運転の推進に役立てることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の車載記録装置によれば、業務用車両の乗務員は、前記モニタ表示装置の画面の表示内容を参照することにより、車両の状態または車両の運行に関連する運行情報を把握できる。これにより、乗務員の誤操作を防止できる。また、車載記録装置自体に大型の表示部を搭載する必要がないため、車載記録装置を小型化できる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車載記録装置を含むシステムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、運行情報管理テーブルの構成例を示す模式図である。
図3図3は、外部モニタ表示装置の具体的な画面表示例を示す正面図である。
図4図4は、ドライブレコーダの特徴的な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0029】
<システム全体の概要の説明>
本発明の実施形態の車載記録装置を含むシステムの構成例を図1に示す。図1に示すシステムにおいては、ドライブレコーダ10が本発明の車載記録装置に相当する。
【0030】
図1に示したシステムは、タクシー車両のような業務用車両に搭載した状態で使用される。このシステムは、図1に示すように、ドライブレコーダ10と、複数台(n個)の車載カメラ31(1)〜31(n)と、GPS受信機32と、車速センサ33と、外部モニタ表示装置40と、タクシーメータ車載器50とを有している。
【0031】
車載カメラ31(1)〜31(n)の各々は、撮影方向をそれぞれ異なる方向に向けた状態で車室内に設置されている。代表例としては、自車両の進行方向前方や後方の道路等を窓ガラス越しに撮影したり、車外の左右方向に存在する被写体を撮影したり、自車両を運転する乗務員の運転状況を撮影できるような状態で車載カメラ31(1)〜31(n)が設置される。乗務員の運転状況を撮影することにより、該当する乗務員が安全運転を行っているかどうかを企業内の管理者が把握するために利用可能な映像が得られる。
【0032】
図1に示したドライブレコーダ10は、一般的なドライブレコーダと同様に、何らかのイベントが発生した時に、または定期的に、車載カメラ31(1)〜31(n)が撮影した映像のデータを取り込んで、記録媒体15にデータを記録(保存)することができる。
【0033】
また、このドライブレコーダ10は、映像の他に、業務用車両の運行に特有の状態を表すデータ、および業務用車両を運転する乗務員の労働状態の管理に関連するデータの少なくとも一方を含む「運行情報」のデータも、記録媒体15に自動的に記録することができる。「運行情報」については後で詳細に説明する。
【0034】
また、図1に示したドライブレコーダ10は、車載カメラ31(1)〜31(n)の映像を外部の表示装置を利用して表示できるように、映像信号を出力する機能を搭載している。また、このドライブレコーダ10は、出力する映像信号の中に、前記「運行情報」の内容を表す文字情報を重ね合わせる特徴的な機能も搭載している。
【0035】
図1のシステムにおいては、ドライブレコーダ10の出力する映像信号が外部モニタ表示装置40に入力される。したがって、外部モニタ表示装置40の画面に、車載カメラ31(1)〜31(n)の映像と「運行情報」の文字情報とが表示される。外部モニタ表示装置40については、様々な情報を表示するために車両に標準的に搭載されるテレビモニタ装置や、カーナビゲーションシステムの表示装置を利用することが想定される。
【0036】
タクシーメータ車載器50は、自車両がタクシー車両として営業するために必要な機能を搭載している。すなわち、自車両の運行状態に応じて適切な運賃を表示する機能や、運賃の精算や領収書の発行などの機能を有している。また、タクシーメータ車載器50はタクシー車両の様々な運行状態を切り替えるために、図示しない様々な操作ボタンを有している。現在の運行状態を表す様々な情報を、タクシーメータ車載器50からドライブレコーダ10に入力することができる。
【0037】
<ドライブレコーダ10の構成>
図1に示すように、ドライブレコーダ10は、マイクロコンピュータ(CPU)11、不揮発性メモリ12、メモリカードスロット14、記録媒体15、メモリ(SDRAM)16、G(加速度)センサ17、インタフェース(I/F)18(1)〜18(n)、19、23、および24、速度インタフェース20、データ処理部21、およびモニタ映像出力部22を備えている。
【0038】
マイクロコンピュータ11は、予め内部に組み込まれているプログラムを実行することにより、ドライブレコーダ10の全体の制御に必要な動作を行う。すなわち、車載カメラ31(1)〜31(n)の撮影により得られた映像のデータや、前記「運行情報」のデータを記録媒体15に記録するための制御や、前記映像および前記「運行情報」を外部モニタ表示装置40の画面で表示するために必要な制御をマイクロコンピュータ11が実施する。
【0039】
不揮発性メモリ12は、データの読み出しおよび書き換えが可能な半導体メモリであり、図1に示すように運行情報管理テーブル13のデータを保持している。詳細については後述するが、運行情報管理テーブル13は、前記「運行情報」を記録したり表示するために必要な管理情報を保持している。運行情報管理テーブル13の内容は、マイクロコンピュータ11の管理の下で随時更新される。
【0040】
記録媒体15は、データの読み出しおよび書き換えが可能な大容量の半導体メモリを内蔵したカード形状の媒体であり、映像などの大量のデータを蓄積することができる。また、記録媒体15にはそれの所有者(あるいは利用者)である特定の乗務員に対応付けられた固有のIDなどの情報が事前に書き込まれている。
【0041】
メモリカードスロット14は、所定規格の記録媒体15をマイクロコンピュータ11と接続するためのインタフェースであり、着脱自在な状態で記録媒体15を物理的に保持するカード挿入口(カードスロット)を有している。また、同時に複数の記録媒体15をメモリカードスロット14に装着することも可能である。
【0042】
メモリ16は、マイクロコンピュータ11のアクセスによりデータの読み出しおよび書き込みが可能な揮発性の半導体メモリ(SDRAM)である。マイクロコンピュータ11はメモリ16を一時記憶用の記憶領域として利用する。
【0043】
Gセンサ17は、このドライブレコーダ10を搭載した車両に加わる加速度を検出することができる。すなわち、自車両の急加速、急減速、交通事故などの場合に、この異常を表す信号を出力することができる。Gセンサ17は、インタフェース23を介してマイクロコンピュータ11と接続されている。
【0044】
インタフェース(I/F)18(1)〜18(n)は、車載カメラ31(1)〜31(n)のそれぞれが撮影した映像の信号を取り込み、マイクロコンピュータ11が処理するのに適した画像データに変換してマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0045】
GPS受信機32は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づき、受信地点の現在位置を表す緯度及び経度の位置情報を算出することができる。インタフェース19は、GPS受信機32が算出した位置情報を、自車両の現在位置としてマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0046】
車速センサ33は、自車両のトランスミッションの出力軸の近傍に設置されており、前記出力軸が所定量回動する毎に、車速パルスの信号を出力することができる。したがって、一定時間あたりの車速パルスの出現数、あるいは車速パルスの出現周期を自車両の走行速度(車速)に対応付けることができる。
【0047】
速度インタフェース20は、車速センサ33から出力される車速パルスの信号に基づいて、自車両の走行速度を算出し、算出した車速情報をマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0048】
インタフェース24は、様々な運行情報や、状態を示す信号をタクシーメータ車載器50から受け取ってマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0049】
モニタ映像出力部22は、車載カメラ31(1)〜31(n)の映像に相当する画像データをマイクロコンピュータ11から受け取って、外部モニタ表示装置40が入力可能な映像信号を生成する。つまり、図1のようにモニタ映像出力部22の出力端子を外部モニタ表示装置40の映像入力端子と接続することにより、車載カメラ31(1)〜31(n)の撮影した映像を外部モニタ表示装置40の画面に表示することができる。
【0050】
データ処理部21は、車載カメラ31(1)〜31(n)の映像に相当する画像データと、前記「運行情報」とをマイクロコンピュータ11から受け取り、これらを所定の状態で重ね合わせるようにデータ処理を行い、その結果をモニタ映像出力部22に出力する。つまり、データ処理部21を備えることにより、例えば図3に示すように、車載カメラ31(1)〜31(n)の映像だけでなく、「運行情報」の文字情報も外部モニタ表示装置40の画面上に同時に表示することが可能になる。
【0051】
<運行情報管理テーブル13の構成例>
運行情報管理テーブル13の具体的な構成例を図2に示す。図2に示すように、本実施形態においては、運行情報Doとして以下に示す各項目を運行情報管理テーブル13で管理している。
【0052】
入庫/出庫状態Do01
一般道/高速道/専用道状態Do02
記録媒体挿入状態Do03
累積停車時間Do04
停止時間10分バーDo05
運動走行警報カウントダウンDo06
空車/実車状態Do07
正乗務員/副乗務員Do08
陸送モードDo09
作業時間Do10
位置情報Do11
車速Do12
加速度Do13
【0053】
入庫/出庫状態Do01は、タクシー車両である自車両が現在「入庫」、「出庫」のいずれの状態であるかを表す。入庫/出庫状態Do01のデータの内容Do01aは、タクシーメータ車載器50に対する乗務員のボタン操作に応じて、タクシーメータ車載器50の状態と一致するように、マイクロコンピュータ11が切り替える。
【0054】
一般道/高速道/専用道状態Do02は、タクシー車両である自車両が現在走行している道路の種類が「一般道」、「高速道」、「専用道」のいずれであるかを表す。一般道/高速道/専用道状態Do02のデータの内容Do02aは、タクシーメータ車載器50に対する乗務員のボタン操作に応じて、タクシーメータ車載器50の状態と一致するように、マイクロコンピュータ11が切り替える。
【0055】
記録媒体挿入状態Do03は、正規の記録媒体15に対してマイクロコンピュータ11が正しくアクセスできる(データの読み出しおよび書き込みができる)状態であるか否かをマイクロコンピュータ11が識別した結果を表す。記録媒体挿入状態Do03のデータの内容Do03aは、マイクロコンピュータ11の識別結果と一致するように更新される。
【0056】
累積停車時間Do04は、自車両が「空車」状態で停車していた時間長の当日における累積値を表す。累積停車時間Do04のデータの内容Do04aは、マイクロコンピュータ11の制御により逐次更新される。
【0057】
停止時間10分バーDo05は、自車両が「空車」状態で停車してから現在までの経過時間を最長10分のバーの長さで表示するための情報である。停止時間10分バーDo05のデータの内容Do05aは、マイクロコンピュータ11の制御により逐次更新される。
【0058】
運動走行警報カウントダウンDo06は、何らかの異常な走行状態を検知した場合に警報を発生するまでの残り時間を表す情報である。運動走行警報カウントダウンDo06のデータの内容は、マイクロコンピュータ11の制御により逐次更新される。
【0059】
空車/実車状態Do07は、タクシー車両である自車両が現在「空車」、「実車」のいずれの状態であるかを表す。空車/実車状態Do07のデータの内容Do07aは、タクシーメータ車載器50に対する乗務員のボタン操作に応じて、タクシーメータ車載器50の状態と一致するように、マイクロコンピュータ11が切り替える。
【0060】
正乗務員/副乗務員Do08は、自車両を現在運転している乗務員が「正乗務員」か「副乗務員」かの区分を表す。正乗務員/副乗務員Do08のデータの内容Do08aは、ドライブレコーダ10に現在装着されている記録媒体15に保持されている乗務員ID番号などに基づいて、マイクロコンピュータ11が更新する。
【0061】
陸送モードDo09は、自車両が現在「陸送モード」で走行しているか否かを表す。陸送モードDo09のデータの内容Do09aは、ドライブレコーダ10に対する乗務員のボタン操作に応じて、マイクロコンピュータ11が切り替える。
【0062】
作業時間Do10は、記録媒体15に対応する現在の乗務員の当日、または当月における作業時間の累積値を表す。この作業時間は、乗務員が労働基準法の基準を超える労働をしていないかを判断する際の指標として利用される。作業時間Do10のデータの内容Do10aは、マイクロコンピュータ11によって逐次更新される。
【0063】
位置情報Do11は、GPS受信機32によって算出される自車両の現在位置を表す。位置情報Do11のデータの内容Do11aは、マイクロコンピュータ11によって最新の情報に逐次更新される。
【0064】
車速Do12は、車速センサ33の出力する車速パルスに基づいて算出される自車両の現在の車速[km/h]を表す。車速Do12のデータの内容Do12aは、マイクロコンピュータ11によって最新の情報に逐次更新される。
【0065】
加速度Do13は、Gセンサ17の出力する信号に相当する現在の加速度を表す。加速度Do13のデータの内容Do13aは、マイクロコンピュータ11によって最新の情報に逐次更新される。
【0066】
図2に示した運行情報管理テーブル13には、運行情報Doの各項目Do01〜Do13の各々について、データの内容の他に、「表示有無」、「重要度」、「文字サイズ」、および「表示色」の情報を保持する領域が設けてある。例えば、入庫/出庫状態Do01については、内容Do01aの他に、「表示有無」Do01b、「重要度」D01c、「文字サイズ」Do01d、および「表示色」Do01eの各情報を運行情報管理テーブル13で管理することができる。
【0067】
ここで、「表示有無」Do01bは、内容Do01aの文字情報を出力の映像中に表示するか否かを表す。「重要度」Do01cは、入庫/出庫状態Do01の項目に関する重要度の高/低の区分を表す。「文字サイズ」Do01dは、内容Do01aの文字情報を表示する場合の文字サイズの指定値を表す。「表示色」Do01eは、内容Do01aの文字情報を表示する場合の表示色の指定値を表す。
【0068】
したがって、管理者等のユーザが必要に応じて運行情報管理テーブル13の各情報を書き換えることにより、運行情報Doに関する様々な表示制御を実施することが可能になる。なお、運行情報管理テーブル13の各情報を書き換える方法については、記録媒体15からマイクロコンピュータ11を介して不揮発性メモリ12にデータを転送してもよいし、図示しない専用の端末をマイクロコンピュータ11と接続して書き換えてもよい。
【0069】
なお、例えばユーザが操作可能な多数のスイッチを設けて、運行情報管理テーブル13の代わりに使用することも可能である。つまり、各スイッチの状態を運行情報管理テーブル13の各情報と同じように扱うことにより、運行情報の表示を制御することが可能である。但し、スイッチの数が増えると余分な設置スペースが必要になり部品コストも増えるので、運行情報管理テーブル13を利用することが望ましい。
【0070】
<画面表示例>
外部モニタ表示装置40の具体的な画面表示例を図3に示す。図3に示す例では、外部モニタ表示装置40の表示画面43の表示内容に、主映像42と、運行情報表示部41とが含まれている。
【0071】
ここで、主映像42は、車載カメラ31(1)〜31(n)のいずれかが撮影した映像に相当する。また、運行情報表示部41の表示内容は、データ処理部21が映像上に重ねた運行情報Doに相当する。図3に示す例では、運行情報表示部41に、多数の様々な表示41a〜41kが含まれている。
【0072】
図3の運行情報表示部41にある表示41aは、「出庫」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の入庫/出庫状態Do01の内容Do01aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do01aが「出庫」に相当する値である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do01aの文字情報「出庫」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「出庫」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41aが表示される。
【0073】
表示41bは、「専用」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の一般道/高速道/専用道状態Do02の内容Do02aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do02aが「専用」に相当する値(専用道)である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do02aの文字情報「専用」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「専用」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41bが表示される。
【0074】
表示41cは、「実車」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の空車/実車状態Do07の内容Do07aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do07aが「実車」に相当する値である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do07aの文字情報「実車」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「実車」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41cが表示される。
【0075】
表示41dは、「正乗」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の正乗務員/副乗務員Do08の内容Do08aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do08aが「正乗務員」に相当する値である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do08aの文字情報「正乗」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「正乗」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41dが表示される。
【0076】
表示41eは、「陸送」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の陸送モードDo09の内容Do09aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do09aが陸送モード中に相当する値である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do09aに相当する文字情報「陸送」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「陸送」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41eが表示される。
【0077】
表示41fは、「連続1:23」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の累積停車時間Do04の内容Do04aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do04aの値が「1時間23分」である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do04aに相当する文字情報「連続1:23」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「連続1:23」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41fが表示される。
【0078】
表示41gは、「作業9:00」を表す文字のパターンであり、運行情報管理テーブル13上の作業時間Do10の内容Do10aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do10aが9時間に相当する値である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do10aに相当する文字情報「作業9:00」をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に「作業9:00」の文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41gが表示される。
【0079】
表示41hは「停止4:56」を表す文字のパターンであり、表示41iは「停止時間」の文字と10個の矩形パターンとで構成される「停止時間10分バー」を表している。これらは、運行情報管理テーブル13上の停止時間10分バーDo05の内容Do05aに相当する可視表示情報である。つまり、内容Do05aが「4分56秒」の値である時に、マイクロコンピュータ11が内容Do05aに相当する文字情報として、「停止4:56」と、「停止時間」と、10個の矩形パターンとで構成される「停止時間10分バー」の文字をデータ処理部21に出力すると、データ処理部21が映像上に該当する文字情報を重ね合わせるため、図3の表示41hおよび41iが表示される。表示41iの「停止時間10分バー」は、内側を塗りつぶした矩形の数と、枠だけの矩形の数との組み合わせにより表現されるバーの長さにより、1分単位で時間長を表現できる。
【0080】
表示41kは矩形パターンで囲った文字「1」であり、表示41jは、矩形パターンで囲った文字「2」である。表示41kおよび41jは、記録媒体挿入状態Do03の内容Do03aに相当する。つまり、表示41kは1番目の記録媒体15がメモリカードスロット14に正しく装着されていることを表し、41jは2番目の記録媒体15がメモリカードスロット14に正しく装着されていることを表す。
【0081】
なお、画面上の運行情報表示部41を表示する位置や、表示範囲については、必要に応じて変更することが可能である。また、この表示位置や表示範囲を指定するための情報を運行情報管理テーブル13上に追加することも可能である。
【0082】
<動作の説明>
ドライブレコーダ10の特徴的な動作を図4に示す。すなわち、マイクロコンピュータ11は、図2に示したような構成の運行情報管理テーブル13に基づいて図4に示す動作を実施する。これにより、図3に示した運行情報表示部41の実際の表示形態をユーザの要望に対応して様々に変化させることが可能である。図4に示した動作について以下に説明する。
【0083】
記録媒体15上にデータを記録する際には、マイクロコンピュータ11は最初に図4のステップS11で車載カメラ31(1)〜31(n)のいずれかが撮影した映像のデータをインタフェース18(1)〜18(n)から入力する。
【0084】
次のステップS12では、記録する映像および表示する映像に対して、運行情報Doを付けるか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。図2に示す運行情報管理テーブル13を利用する場合には、運行情報Doの項目毎に、表示有無の情報Do01b〜Do13bが保持されているので、これらに従い、項目毎に表示の有無を決めることができる。そして、「表示有」の場合にはS13に進む。
【0085】
ステップS13では、運行情報Doの「表示有」の項目について、該当する運行情報の文字情報が外部モニタ表示装置40の画面に表示されるように、マイクロコンピュータ11が文字情報をデータ処理部21に出力する。
【0086】
例えば、情報Do01bの内容が「表示有」の場合には、入庫/出庫状態Do01の内容Do01aに相当する文字情報を、図3の表示41aのように表示する。情報Do01bの内容が「表示なし」の場合には、表示41aが表示されないことになる。
【0087】
ステップS14では、表示する映像に対して、運行情報Doの表示色を変更するか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。本実施形態では、運行情報Doに含まれる多数の項目のうち、重要度の低い情報については事前に定めた初期値の表示色のみを利用し、重要度の高い情報についてはユーザが指定した表示色に変更することができる。表示色を指定色に変更する場合には、次のステップS15に進む。
【0088】
ステップS15では、マイクロコンピュータ11は、運行情報Doのうち重要度の高い項目について、文字の表示色を指定色に変更する。例えば、記録媒体挿入状態Do03の項目は非常に重要であるので、その重要度を表す情報Do03cには「重要度高」を示すデータが保持される。また、情報Do03eとして指定色を表すデータを保持することができる。その場合には、記録媒体挿入状態Do03を図3の表示41j、41kとして表示する際に、表示色が情報Do03eで指定された色に変更される。重要度の低い項目や表示色を指定しない項目については、初期値の表示色で表示される。
【0089】
ステップS16では、表示する映像に対して、運行情報Doの文字サイズを変更するか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。本実施形態では、運行情報Doに含まれる多数の項目のうち、重要度の低い情報については事前に定めた初期値の文字サイズのみを利用し、重要度の高い情報についてはユーザが指定した文字サイズに変更することができる。文字サイズを指定サイズに変更する場合には、次のステップS17に進む。
【0090】
ステップS17では、マイクロコンピュータ11は、運行情報Doのうち重要度の高い項目について、文字サイズを指定サイズに変更する。例えば、記録媒体挿入状態Do03の項目は非常に重要であるので、その重要度を表す情報Do03cには「重要度高」を示すデータが保持される。また、情報Do03dとして文字サイズを表すデータを保持することができる。その場合には、記録媒体挿入状態Do03を図3の表示41j、41kとして表示する際に、文字サイズが情報Do03dで指定された文字サイズに変更される。重要度の低い項目や文字サイズを指定しない項目については、初期値の文字サイズで表示される。
【0091】
ステップS18では、マイクロコンピュータ11は、上記各ステップS13、S15、S17の結果を反映した状態で、運行情報Doのうち該当する項目の内容を表す文字情報をデータ処理部21に出力し、外部モニタ表示装置40の表示内容に追加する。
【0092】
なお、ドライブレコーダ10における基本的な動作については、一般的なドライブレコーダと同様である。すなわち、トリガ記録モードで動作する場合には、例えばGセンサ17が大きな加速度を検知した時に発生するトリガを契機として一定時間(例えば60秒間)の記録動作を実行する。また、過去一定時間(例えば30秒間)に撮影された映像を一時データとしてメモリ16上などの領域に常時記録しておくことにより、トリガが発生したタイミングの前で撮影された一定時間の映像もメモリ16から読み出して保存することができる。また、常時記録モードで動作する場合には、撮影した映像を短い周期で繰り返し取得し、全ての映像データを記録媒体15に記録する。また、常時記録モードの場合には、大きな加速度の発生などのイベントが発生した場合に、イベントの有無およびその種類を表すデータを映像と対応付けて記録媒体15上に記録する。
【0093】
また、記録媒体15に記録されたデータの解析を行う場合には、業務用車両を管理する企業の事務所等に設置された管理用のコンピュータを使用する。通常は、当日の運行業務が終了した時に、各々の乗務員がデータの記録された記録媒体15をドライブレコーダ10から取り外して事務所内に持ち込み、管理用のコンピュータにデータを転送する。そして、管理用のコンピュータ上で所定の解析用プログラムを実行することにより、乗務員の安全運転の管理や、労務管理に利用可能なデータが得られる。
【0094】
<ドライブレコーダ10の利点>
図1に示したドライブレコーダ10は、その外部に接続する外部モニタ表示装置40を用いて映像等を表示するので、ドライブレコーダ10に大型の表示器を内蔵する必要がなく小型化することが容易である。
【0095】
図1に示したドライブレコーダ10を用いることにより、例えば図3に示すように表示画面43上の適当な運行情報表示部41に様々な運行情報を文字情報として表示するので、乗務員は業務用車両の運行に関する特有の状態や、乗務員の労働状態の管理に関連する状態を表示内容の参照により瞬時に把握することができる。
【0096】
例えば、乗務員が当日の業務用車両の運行業務を開始する際に、ドライブレコーダ10に対する記録媒体15の装着を忘れたり、装着が不完全な状態のままで運行業務を開始する可能性が考えられる。その場合は、当日の運行業務が終了した後で、データの記録が行われなかったことに乗務員が気づくことになり、貴重なデータの欠落が生じることになる。しかし、図1のドライブレコーダ10を使用する場合には、外部モニタ表示装置40の画面上の運行情報表示部41の表示内容から、運行業務を開始する前に問題があることに乗務員が気づくので、データの記録に失敗するのを未然に防止できる。
【0097】
また、乗務員の労働状態の管理に関連する状態(作業時間Do10等)を運行情報表示部41に表示することにより、乗務員が労働基準法に違反した状態で運行を開始するのを未然に防止できる。
【0098】
また、乗務員がタクシーメータ車載器50等に対するボタン操作を誤って、そのまま運行乗務を開始または継続した場合には、間違った運賃の表示など様々な問題が発生する可能性があり、運行業務の効率低下に繋がる。しかし、ドライブレコーダ10を使用する場合には、運行情報が外部モニタ表示装置40の画面上に表示されるので、乗務員は操作ミスの発生にすぐに気づくことになる。したがって、運行業務を効率的に行うことが可能になる。
【0099】
また、他の車載器と共有することが可能な外部モニタ表示装置40を表示器として使用するので、ドライブレコーダ10自体の構成要素を従来よりも削減することが可能であり、装置のコストも低減できる。
【0100】
また、外部モニタ表示装置40の画面に表示する運行情報の内容を、運行情報管理テーブル13を利用して管理しているので、運行情報の種類毎に、表示/非表示を選択したり、重要度の高い運行情報を指定した文字サイズや表示色により目立つ状態で表示することもできる。したがって、運行業務の内容に合わせて運行情報の表示形態をユーザが最適化することが可能である。
【0101】
<補足説明>
上述のドライブレコーダ10に関する特徴的な事項について以下に纏めて列挙する。
[1] 車両に搭載された車載カメラ(31)から映像を取得し、車両の状態または車両の運行に関連する運行情報(Do)を取得し、前記映像のデータおよび前記運行情報のデータを所定の記録媒体(15)に記録する車載記録装置であって、
前記車載カメラの映像を外部モニタ表示装置(40)に出力するためのモニタ映像出力部(22)と、
前記映像出力部に出力する映像に、前記運行情報に相当する情報を重ね合わせるデータ処理部(21)と、
を備えたことを特徴とする車載記録装置(ドライブレコーダ10)。
【0102】
[2] 前記データ処理部(21)は、前記運行情報(Do)として、業務用車両の運行に特有の状態を表すデータ、および業務用車両を運転する乗務員の労働状態の管理に関連するデータの少なくとも一方(Do01〜Do10)を扱う、
ことを特徴とする前記[1]に記載の車載記録装置(ドライブレコーダ10)。
【0103】
[3] 前記データ処理部(21)は、前記運行情報として複数種類のデータを扱うと共に、前記運行情報の種類に応じた優先度の高低を識別し、優先度の高い運行情報については、該当する情報の画面上の表示サイズおよび表示色の少なくとも一方の指定を受け付ける表示制御部(S14〜S17)を含む、
ことを特徴とする前記[1]に記載の車載記録装置(ドライブレコーダ10)。
【0104】
[4] 前記運行情報の画面上の表示状態を指定するための表示指定情報(運行情報管理テーブル13)を保持する表示状態保持部(不揮発性メモリ12)を更に備えた、
ことを特徴とする前記[1]に記載の車載記録装置(ドライブレコーダ10)。
【0105】
[5] 前記データ処理部(21)は、少なくとも、前記運行情報のデータを前記記録媒体に記録することが可能か否かの状態(Do03)に応じて、前記映像出力部に出力する映像に重ね合わせる情報の内容(41k,41j)を切り替える、
ことを特徴とする前記[1]に記載の車載記録装置(ドライブレコーダ10)。
【0106】
[6] 自車両に特定の異常状態が発生した時に前記映像のデータおよび前記運行情報のデータを前記記録媒体に自動的に記録する機能を備えた、
ことを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の車載記録装置(ドライブレコーダ10)。
【符号の説明】
【0107】
10 ドライブレコーダ
11 マイクロコンピュータ
12 不揮発性メモリ
13 運行情報管理テーブル
14 メモリカードスロット
15 記録媒体
16 メモリ
17 Gセンサ
18,19,23,24 インタフェース
20 速度インタフェース
21 データ処理部
22 モニタ映像出力部
31 車載カメラ
32 GPS受信機
33 車速センサ
40 外部モニタ表示装置
41 運行情報表示部
41a,41b,41c,41d,41e,41f 表示
41g,41h,41i,41j,41k 表示
42 主映像
43 表示画面
50 タクシーメータ車載器
Do 運行情報
Do01 入庫/出庫状態
Do02 一般道/高速道/専用道状態
Do03 記録媒体挿入状態
Do04 累積停車時間
Do05 停止時間10分バー
Do06 運動走行警報カウントダウン
Do07 空車/実車状態
Do08 正乗務員/副乗務員
Do09 陸送モード
Do10 作業時間
Do11 位置情報
Do12 車速
Do13 加速度
図1
図2
図3
図4