特許第6656102号(P6656102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656102
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】塗布装置及び塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20200220BHJP
   B05C 7/02 20060101ALI20200220BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20200220BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   B05C5/00 101
   B05C7/02
   H05K3/28 B
   H05K3/28 E
   B05D1/26 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-138425(P2016-138425)
(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公開番号】特開2018-8210(P2018-8210A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】505432669
【氏名又は名称】株式会社エナテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096080
【弁理士】
【氏名又は名称】井内 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】100194098
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 一
(72)【発明者】
【氏名】松山 隆勇
(72)【発明者】
【氏名】吉塚 秀人
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−076529(JP,A)
【文献】 特開2009−050804(JP,A)
【文献】 特開2008−238440(JP,A)
【文献】 特開2009−050803(JP,A)
【文献】 特開2009−050806(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0243112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00−5/04
B05C7/00−21/00
B05D1/00−7/26
H05K3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の端面、及び前記基板に形成された孔部に膜形成液を塗布する塗布装置であって、
前記膜形成液を吐出するインクジェット方式の塗布手段と、
該塗布手段を移動させる移動手段と、
該移動手段で前記塗布手段を移動させながら、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する制御を行う制御手段とを備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記基板を移動させる基板移動手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記基板の端面周縁部、及び/又は前記基板の孔部周縁部に前記膜形成液を塗布する制御を行う機能を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗布装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に対して斜め方向から前記膜形成液を吐出させるように前記塗布手段を移動させながら塗布する制御を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記基板を画像認識する画像認識手段と、
該画像認識手段により画像認識された基板画像情報を用いて塗布箇所を設定する塗布箇所設定手段とを備え、
前記制御手段が、前記塗布箇所設定手段により設定された塗布箇所データに対応する前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する制御を行うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の塗布装置。
【請求項6】
基板の端面、及び前記基板に形成された孔部に膜形成液を塗布する塗布方法であって、
前記膜形成液を吐出するインクジェット方式の塗布手段を用いて、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する塗布工程を含んでいることを特徴とする塗布方法。
【請求項7】
前記塗布工程が、
前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に対して斜め方向から前記膜形成液を吐出させるように前記塗布手段を移動させながら塗布する工程を含むことを特徴とする請求項6記載の塗布方法。
【請求項8】
前記基板を画像認識する画像認識工程と、
該画像認識工程により画像認識された基板画像情報に基づいて塗布箇所を設定する塗布箇所設定工程とを含み、
前記塗布工程が、前記塗布手段を移動させながら、前記塗布箇所設定工程で設定された塗布箇所データに対応する前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する工程を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布装置及び塗布方法に関し、より詳細には、基板の端面や基板に形成された孔部に膜形成液を塗布することができる塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の実装用基板としてガラスエポキシ部材、コンポジット部材、紙フェノール部材などを使用したプリント配線基板が一般的に使用されている。ガラスエポキシ部材は、ガラス繊維布を重ねたものにエポキシ樹脂を含浸させたものである。コンポジット部材は、表面にガラス布、芯材にセルロース紙や不織布を利用したものである。紙フェノール部材は、クラフト紙にフェノール樹脂を含浸させたものである。そのためガラスエポキシ部材、コンポジット部材、紙フェノール部材に対して切断加工やプレス加工を行うと、切断部や孔部に、エポキシ樹脂又はガラス繊維などからなる細かい塵埃が発生する。このような細かい塵埃は基板回路の接触不良や品質の低下などを引き起こすおそれがある。そのため、基板の切断時に生じた塵埃はプリント配線基板の製造時に除去しておく必要がある。
しかし、プリント配線基板の端面から塵埃を取り除いたとしても、プリント配線基板の端面部分は脆いため、崩壊して更なる塵埃が発生するおそれがあるという課題があった。
【0003】
そこで本発明者は先に、プリント配線基板の端面に膜形成液を塗布して膜を形成することで、端面部分の崩壊を防止することのできる塗布装置を提案した(特許文献1)。
特許文献1記載の塗布装置により、塗布円盤によってプリント配線基板の両側端面に膜形成液が塗布され、プリント配線基板の両端面に塗膜を形成することが可能となった。
【0004】
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、上記した塗布装置では、塗布円盤に対する膜形成液の供給状態にバラツキが生じ易く、基板の端面に対して精度良く、薄く且つ均一にきれいに塗布することが難しいという課題があった。
さらにプリント配線基板には、スリット孔、長孔、角孔などの大小様々な形状をした孔部が、打ち抜き(プレス)加工などにより複数箇所に形成されるが、上記した塗布装置では、プリント配線基板の孔部内面に膜形成液を塗布することができず、孔部内面から発生する塵埃を防止することができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/137418号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、基板の端面、及び前記基板の孔部に精度良く、きれいに膜形成液を塗布することができ、基板の端面、及び前記基板の孔部からの塵埃の発生を確実に防止することができる塗布装置及び塗布方法を提供することを目的としている。
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る塗布装置(1)は、基板の端面、及び前記基板に形成された孔部に膜形成液を塗布する塗布装置であって、前記膜形成液を吐出するインクジェット方式の塗布手段と、該塗布手段を移動させる移動手段と、該移動手段で前記塗布手段を移動させながら、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する制御を行う制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記塗布装置(1)によれば、前記インクジェット方式の塗布手段により、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に前記膜形成液を精度良く、きれいに塗布することが可能となり、前記基板の端面、及び前記基板の孔部からの塵埃等の発生を防止することができる。したがって、基板製品の品質を向上させることができるとともに、前記塵埃による製造設備の汚れを防止することができ、これにより製品不良を減らすことができ、製造コストを削減することができる。
【0009】
また本発明に係る塗布装置(2)は、上記塗布装置(1)において、前記基板を移動させる基板移動手段を備えていることを特徴としている。
【0010】
上記塗布装置(2)によれば、前記基板移動手段を備えているので、該基板移動手段で前記基板を移動させながら、すなわち、前記基板の位置をずらしながら、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に前記膜形成液を塗布することができる。したがって、前記移動手段の構成を簡略化することができる。また、前記基板移動手段により前記基板の搬送も行うことができる。
【0011】
また本発明に係る塗布装置(3)は、上記塗布装置(1)又は(2)において、前記制御手段が、前記基板の端面周縁部、及び/又は前記基板の孔部周縁部に前記膜形成液を塗布する制御を行う機能を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記塗布装置(3)によれば、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面だけでなく、前記基板の端面周縁部(上縁部、下縁部、又は上下縁部)、及び/又は前記基板の孔部周縁部(上縁部、下縁部、又は上下縁部)に前記膜形成液を塗布することができ、前記基板が、パッケージ基板などの薄型基板である場合には、上記塵案等の発生防止効果の他、基板強度を高めることができ、これによりさらに製品不良を減らすことができる。
【0013】
また本発明に係る塗布装置(4)は、上記塗布装置(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に対して斜め方向から前記膜形成液を吐出させるように前記塗布手段を移動させながら塗布する制御を行うものであることを特徴としている。
【0014】
上記塗布装置(4)によれば、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に対して斜め方向から前記膜形成液を吐出させるように前記塗布手段を移動させながら塗布するので、前記基板の端面だけでなく、種々の形状・サイズに形成された前記孔部内面に対しても精度良く、きれいに膜形成液を塗布することができる。
【0015】
また本発明に係る塗布装置(5)は、上記塗布装置(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記基板を画像認識する画像認識手段と、該画像認識手段により画像認識された基板画像情報を用いて塗布箇所を設定する塗布箇所設定手段とを備え、前記制御手段が、前記塗布箇所設定手段により設定された塗布箇所データに対応する前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する制御を行うものであることを特徴としている。
【0016】
上記塗布装置(5)によれば、前記画像認識手段により、前記基板毎の外形形状だけでなく前記孔部の位置や形状などを正確に認識することができる。また、前記塗布箇所設定手段により、前記基板画像情報を用いて塗布箇所(前記基板の端面、及び孔部)を設定することができる。該設定は、前記基板画像情報を表示部等に表示して、操作者により塗布箇所を選択・設定させる構成、又は前記基板画像情報と前記基板の設計(CAD)データとを照合し、比較・補正することにより自動的に塗布箇所(位置)を判断し、設定する構成などが採用され得る。
そして、前記制御手段により、前記設定された塗布箇所データに対応する前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する制御を行うので、前記基板の外形精度、前記孔部の位置精度やサイズ精度を正確に認識した状態、すなわち、前記基板毎の加工精度(寸法公差)などを考慮して、前記移動手段による前記塗布手段の移動制御と、前記塗布手段による前記膜形成液の吐出制御とを行うことができ、前記基板の加工精度に誤差がある場合であっても前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に前記膜形成液を精度良く、きれいに塗布することができる。
【0017】
また本発明に係る塗布方法(1)は、基板の端面、及び/又は前記基板に形成された孔部に膜形成液を塗布する塗布方法であって、前記膜形成液を吐出するインクジェット方式の塗布手段を用いて、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する塗布工程を含んでいることを特徴としている。
【0018】
上記塗布方法(1)によれば、前記インクジェット方式の塗布手段を用いることにより、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に前記膜形成液を精度良く、きれいに塗布することが可能となり、前記基板の端面、及び前記基板の孔部からの塵埃等の発生を防止することができる。したがって、基板製品の品質を向上させることができるとともに、前記塵埃による製造設備の汚れを防止することができ、これにより製品不良を減らすことができ、製造コストを削減することができる。
【0019】
また本発明に係る塗布方法(2)は、上記塗布方法(1)において、前記塗布工程が、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に対して斜め方向から前記膜形成液を吐出させるように前記塗布手段を移動させながら塗布する工程を含むことを特徴としている。
【0020】
上記塗布方法(2)によれば、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に対して斜め方向から前記膜形成液を吐出させるので、前記基板の端面だけでなく、種々の形状・サイズに形成された孔部内面に対しても精度良く、きれいに膜形成液を塗布することができる。
【0021】
また本発明に係る塗布方法(3)は、上記塗布方法(1)又は(2)において、前記基板を画像認識する画像認識工程と、該画像認識工程により画像認識された基板画像情報を用いて塗布箇所を設定する塗布箇所設定工程とを含み、前記塗布工程が、前記塗布手段を移動させながら、前記塗布箇所設定工程で設定された塗布箇所データに対応する前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に沿って前記膜形成液を塗布する工程を含むことを特徴としている。
【0022】
上記塗布方法(3)によれば、前記画像認識工程により、前記基板毎の外形形状だけでなく前記孔部の位置や形状などを正確に認識することができる。また、前記塗布箇所設定工程により、前記基板画像情報を用いて塗布箇所(前記基板の端面、及び孔部)を設定することができる。該設定は、操作者により塗布箇所を選択・設定させる構成、又は前記基板画像情報と前記基板の設計(CAD)データとを照合し、比較・補正することにより自動的に塗布箇所(位置)を判断し、設定する構成などが採用される。
そして、前記塗布工程により、前記設定された塗布箇所データに対応する前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に前記膜形成液を塗布するので、前記基板の外形精度、前記孔部の位置精度やサイズ精度を正確に認識した状態、すなわち、前記基板毎の加工精度(寸法公差など)を考慮して、前記塗布手段の移動制御と、前記塗布手段による前記膜形成液の吐出制御とを行うことができ、前記基板の加工精度に誤差がある場合でも、前記基板の端面、及び前記基板の孔部内面に前記膜形成液を精度良く、きれいに塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る塗布装置の概略構成を示したブロック図である。
図2】実施の形態に係る塗布装置の要部構成を模式的に示した側面図である。
図3】実施の形態に係る塗布装置の要部構成を模式的に示した平面図である。
図4】実施の形態に係る塗布装置のインクジェットヘッド部による塗布方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る塗布装置及び塗布方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は、実施の形態に係る塗布装置の概略構成を示したブロック図である。図2は、実施の形態に係る塗布装置の要部構成を模式的に示した側面図であり、図3は平面図である。
【0025】
実施の形態に係る塗布装置10は、基板1の端面1a、及び基板1に形成された孔部1bに膜形成液を塗布(印刷、コーティング)する装置である。
以下の実施の形態では、基板1がプリント配線基板(リジット基板)である場合について説明するが、塗布対象となる基板は、プリント配線基板(片面、両面、多層、ビルドアップ基板を含む)に限定されるものではなく、金属基板、パッケージ基板(銅張積層基板)、セラミック基板、フレキシブル基板など、各種の電子部品が搭載される電子回路基板を塗布対象とすることができる。
【0026】
基板1の端面1aとは、基板1の外周端面をいう。
基板1の孔部1bには、基板1に形成されるスリット孔(ミシン目を含む)、くり貫き孔、切欠き、長孔(直線状、折曲状、曲線状を問わない)、ドリル孔、角孔、円孔(楕円状を含む)などが含まれ、塗布対象となる孔部1bの形状は特に限定されない。ただし、スルーホール、ビアホールなどの配線接続用孔(電気的導通孔)は、基本的に塗布対象としないが、条件によっては塗布対象とすることも可能である。
【0027】
塗布装置10は、膜形成液を吐出するインクジェット方式の塗布ユニット20と、塗布ユニット20を移動させる(位置や向きを変えながら動かすための)移動ユニット30と、移動ユニット30で塗布ユニット20を移動させながら、基板1の端面1aと孔部1b内面(内側面)に膜形成液を塗布する制御を行う制御ユニット40とを含んで構成されている。また、塗布装置10には、基板認識ユニット50が装備されている。さらに、塗布装置10には、基板1を所定搬送方向(X軸方向)に移動(往復移動)させる機能を有する基板移動ユニット60が装備されている。
【0028】
(塗布ユニット)
塗布ユニット20は、インクジェット方式の塗布手段、例えば、インクジェットヘッド部(ヘッド部)21、インクタンク部22、インク供給部23などを含んで構成され、イングジェットヘッド部21の吐出制御は、制御ユニット40に含まれるヘッド制御部41により行われるようになっている。
【0029】
インクジェットヘッド部21は、ヘッド制御部41が行う吐出制御に基づいて、基板1の端面1aと孔部1b内面に向けてインクジェットヘッド用の膜形成液を吐出し、非接触により基板1の端面1aと孔部1b内面だけを塗布(印刷、コーティング)する機能を備えている。
【0030】
インクタンク部22には、インクジェットヘッド部21に供給する膜形成液が貯留されている。インク供給部23によりインクタンク部22からインクジェットヘッド部21にケーブル24を介して膜形成液が供給されるようになっている。インク供給部23による供給制御は、ヘッド制御部41により行われるようになっている。なお、インクタンク部22に常に膜形成液を貯留させておくために、インクタンク部22に膜形成液を供給するためのインクストッカタンク部を設けてもよい。
【0031】
インクジェットヘッド部21の方式(形式)は特に限定されない。ピエゾ方式、サーマル方式、バブルジェット(登録商標)方式、電磁バルブ方式、帯電方式などの各種方式、これらを組み合わせた方式のインクジェットヘッドが採用され得る。
ピエゾ方式は、ピエゾ素子に電圧をかけて変形させ、その振動やたわみによって液体を吐出する方式である。ピエゾ方式は膜形成液に熱がかからないなどの点から好ましい。
サーマル方式・バブルジェット(登録商標)方式は、ヒーター部で熱を急速に加えて液体を沸騰させ、この時に発生する泡(気泡)又は液体の膨張を利用して液体を吐出する方式である。
電磁バルブ方式は、例えば、ソレノイドコイルなどをバルブとして用い、開閉時間に応じた電流をコイルに流すことにより液滴の吐出を行う方式である。
【0032】
帯電方式(連続方式)は、連続的に膜形成液の液滴を吐出し、帯電およびその帯電量に応じて液滴の飛行方向を偏向させて塗布(印刷)を行う方式であり、ノズル、ピエゾ振動子、ノズルプレート、帯電電極、検知電極、偏向電極、インク回収用ガターなどを含んで構成されている。ノズルのノズルプレートから噴射された膜形成液が、帯電電極で帯電されて液滴状になり、偏向電極により塗膜形成に必要な液滴のみが帯電電荷量に応じて偏向され、塗布面(基板の端面や基板の孔部内面)に向けて吐出される。一方で塗膜形成に利用されない液滴は、ガターに回収されるようになっている。帯電方式は、帯電量に応じて液滴の吐出方向を変化させることができる点、また、被塗布物との間隔が比較的広い(最大で30mm程度)場合でも印刷のばらつきが少ない点で好ましい。
【0033】
また、膜形成液を吐出するヘッド部21を構成するノズル径は、所望とする液滴サイズによって最適なサイズのものを選択することができる。ヘッド部21のノズル数も特に限定されるものではなく、1つのノズルで構成されていてもよく、また2つ以上のノズルで構成されていてもよい。塗布対象となる基板1の厚み(例えば、板厚0.6mm〜3.2mm程度)等に応じて、効率良くかつ精度良く塗布が行えるノズル径、ノズル数、噴射力(噴射速度)を有する方式のインクジェットヘッド部21を採用することができる。
【0034】
膜形成液は、保護膜を形成するための液剤であり、インクジェットヘッド部21から所定の液滴サイズで吐出可能で、基板1の端面1aや孔部1b内面に塗布(印刷)可能なものであれば特にその種類は限定されない。このような膜形成液には、水溶性インク、非水溶系インク(油系インク、有機溶剤系インクを含む)、UV硬化インク、電子線照射硬化インク、熱乾燥硬化インクなどが含まれ、例えば、アクリル系エマルジョン樹脂液などを主成分とする液剤が好適に採用され得る。
また、膜形成液には、塗布箇所を着色するために染料、顔料などの色素が含有されていてもよく、また、接着力を高めるためのコンパウンドなどの材料が含有されていてもよい。
また、エッチング時の塩化第二鉄又は塩化第二銅液等に耐性(非剥離性)を有し、苛性ソーダ等で剥離可能な性質を有した液組成とすることもできる。
【0035】
(移動ユニット)
移動ユニット30は、基板1の搬送方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に塗布ユニット20を水平移動させる直動機構部31と、直動機構部31に取り付けられた旋回機構部32と、旋回機構部32に取り付けられた回動機構部33とを備え、回動機構部33にインクジェットヘッド部21が取り付けられている。直動機構部31、旋回機構部32、及び回動機構部33の各駆動制御は、制御ユニット40に含まれる移動制御部42で行われるようになっている。
【0036】
直動機構部31は、Y軸シリンダ31a、Y軸シリンダ31a上をスライド移動可能なY軸スライダ31bを含んで構成されている。
旋回機構部32は、Y軸スライダ31bに取付板32aを介して取り付けられた旋回駆動部32bと、旋回駆動部32bに取り付けられた旋回アーム部32cとを備え、駆動モーターなどを含む旋回駆動部32bの回転軸(鉛直方向回転軸)32dが旋回アーム部32cの一端側に連結されている。旋回駆動部32bの回転軸32dの回動動作により旋回アーム部32cが略水平方向に所定の角度(約90°まで)旋回自在に構成されている。
【0037】
回動機構部33は、旋回アーム部32cの他端側に取り付けられた回動駆動部33aと、ヘッド部21を保持するヘッド保持部33bとを備え、駆動モーターなどを含む回動駆動部33aの回転軸(水平方向回転軸)33cがヘッド保持部33bに連結されている。回動駆動部33aの回転軸33cの回動動作によりヘッド保持部33bが所定の角度回動可能となっている。回動機構部33の動作により、ヘッド保持部33bに保持されたインクジェットヘッド部21のインク吐出面が、鉛直方向に対して所定の角度傾けた状態に制御可能になっている。
【0038】
直動機構部31、旋回機構部32、及び回動機構部33の各部の動作を制御することにより、基板1の4辺全ての端面1a、基板1に形成された全ての孔部1b(X軸方向及びY軸方向に延びた孔部、その他の孔部も含む)内面に向けて、ヘッド部21から膜形成液を吐出させることが可能となっている。
【0039】
本実施の形態では、移動ユニット30が、1軸(Y軸)の直動機構部31を含んで構成されている場合について説明したが、移動ユニット30の構成はこれに限定されるものではなく、1軸の直動機構部31に代えて、2軸(XY軸、YZ軸)、又は3軸(XYZ軸)の直動機構、あるいは多関節ロボット機構などが採用され得る。すなわち、基板1とインクジェットヘッド部21とを相対的に移動させて、基板1の端面1aと孔部1b内面に対して斜め方向から膜形成液を吐出させるようにインクジェットヘッド部21を移動させる(位置や向きを変える)駆動機構を備えた装置を移動ユニット30に適用することができる。
【0040】
(制御ユニット)
制御ユニット40は、イングジェットヘッド部21の吐出制御などを行うヘッド制御部41と、移動ユニット30を構成する直動機構部31、旋回機構部32、及び回動機構部33の各部を制御する移動制御部42とを含んで構成されている。また、制御ユニット40は、基板移動ユニット60による基板1の移動(搬送)動作の制御も行うようになっている。
【0041】
ヘッド制御部41は、後述する基板認識ユニット50の塗布箇所設定部52から受信した塗布箇所データに基づいて、基板1の端面1aと孔部1b内面に向けて、膜形成液を吐出する動作やタイミング、吐出液量、液滴サイズ、帯電量等を制御する。
移動制御部42は、塗布箇所設定部52から受信した塗布箇所データに基づいて、移動ユニット30(直動機構部31、旋回機構部32、及び回動機構部33の各部)と基板移動ユニット60の動作制御を行う。
このような制御ユニット40は、操作部、表示部、インターフェース部(いずれも図示せず)などを備えた1台以上のコンピュータ装置で構成することができる。また、ヘッド制御部41と移動制御部42とを別々のコンピュータ装置で構成することもできる。
【0042】
(基板認識ユニット)
基板認識ユニット50は、基板1を画像認識する画像認識部51と、画像認識部51で画像認識された基板画像情報を用いて塗布箇所(基板1の端面1aや孔部1b)を設定する塗布箇所設定部52と含んで構成され、操作部53、表示部54、インターフェース部(図示せず)などを備えた1台以上のコンピュータ装置で構成されている。
【0043】
画像認識部51は、基板1を光学的に(透過光、反射光等を用いて)スキャンするスキャナー(読取)部と、スキャナー部でスキャンされた画像情報を塗布箇所設定部52に送信する送信部とを含み(いずれも図示せず)、基板1の外形(端面1a位置)、基板1に形成された孔部1bの位置や大きさを精度良く測定できる機能を有する装置で構成されている。スキャナー部をカメラなどの撮像手段を含んで構成することもできる。また、スキャナー部は、CCD(光学縮小)方式やCIS(密着センサ)方式などの2Dスキャナーだけでなく、3Dスキャナーで構成することもできる。
【0044】
塗布箇所設定部52は、画像認識部51から送信された基板画像情報を受信する受信部と、受信部で受信した基本画像情報に基づいて、塗布箇所を設定する処理を行う塗布箇所設定処理部と、塗布箇所設定処理部で設定処理された塗布箇所データを、制御ユニット40の各部(ヘッド制御部41や移動制御部42)に送るデータ転送部とを備えている(いずれも図示せず)。
【0045】
塗布箇所設定部52は、例えば、画像認識部51でスキャンされた基板画像情報を表示部54に表示し、操作者が、表示部54に表示された基板画像情報を見ながら、塗布箇所(基板1の端面1aや孔部1b)を、操作部53を操作しながら選択・設定(決定)し、設定された塗布箇所(基板上の位置座標データなど)を制御ユニット40に送信する機能を有している。
【0046】
また、塗布箇所設定部52には、画像認識部51でスキャンされた基板画像情報と、基板認識ユニット50に予め記憶された当該基板1の設計(CAD)データとを照合するステップ、基板1の外形形状(端面1aの位置)や孔部1bの位置・サイズなどを比較するステップ、基板設計データとの差(基板加工誤差)を補正量として算出するステップ、スキャンされた基板1に対する塗布箇所(基板1の端面1aと孔部1b)を自動的に判断・設定(決定)するステップ、設定された塗布箇所データ(補正量が考慮された基板1の端面1aの位置(座標)データや孔部1bの位置・形状(座標)データ)を制御ユニット40に送信するステップを実行する機能(プログラム)も装備されている。
【0047】
(基板移動ユニット)
基板移動ユニット60は、基板1(例えば、大きさが500×400mm程度の基板)を所定の方向(一方向、又は往復方向)に移動させることが可能な搬送装置であり、本実施の形態では、基板1との接触面積が少なくなるように、細幅のローラ(車輪部)61が所定間隔を設けて配設されたローラ式のコンベア装置で構成されているが、他の形式、例えばベルト式、テーブル式などの搬送装置で構成することもできる。前記テーブル式の搬送装置としては、例えば、基板を載せるためのテーブル部と、該テーブル部に載せる基板を所定の位置に位置決めする位置決め部と、前記テーブル部の移動を制御する移動制御部とを備え、前記位置決め部により基板を前記テーブル部の所定の位置に位置決め配置し、前記移動制御部で前記テーブル部を移動制御することにより、基板を所望の位置に移動させることが可能な装置などが採用され得る。
また、基板1を所定の基準位置に位置決め配置するための位置決めガイド機構や、基板検知センサなどを設けて、これらセンサの情報を制御ユニット40に送り、移動させる基板の位置精度を高めるための制御に利用することができる。
基板移動ユニット60による基板1の移動(移動タイミング・距離、停止タイミング、移動方向など)は、制御ユニット40からの指令により制御されるようになっている。
【0048】
次に実施の形態に係る塗布装置10を用いた塗布方法について説明する。図4は、実施の形態に係る塗布装置10のインクジェットヘッド部21による塗布方法を説明するための側面図である。
【0049】
図4(a)は、搬送されてきた基板1の前方側端面1aを塗布している状態を示している。制御ユニット40により、基板移動ユニット50及び移動ユニット30の各部を制御して、基板1の端面1a(垂直方向)とヘッド部21の液滴吐出方向Aとが所定の角度θ1となるように設定する。これらの設定は、基板認識ユニット50から取得した塗布箇所データ(基板1の端面1aの位置(座標)データなど)を利用して行われる。
所定の角度θ1は、ヘッド部21の先端吐出面と基板1の端面1aとの距離(間隔)、基板1の厚さ、ヘッド部21の性能など(ノズルサイズ、液滴サイズ、液滴噴射速度、吐出液の特性など)を考慮して、基板1の端面1aにのみ塗布される角度に設定される。例えば、角度θ1は、30°〜45°の範囲で設定することができる。
【0050】
上記設定後、ヘッド制御部41により、ヘッド部21から液滴を吐出する制御を行うとともに、移動制御部42により、直動機構部31のY軸スライダ31bをY軸方向に所定の速度(例えば、200mm/秒程度の移動速度)で移動させる制御を行い(1往復以上の移動制御も可能)、基板1の端面1aに沿って膜形成液2をライン状に塗布(印刷)する。塗布膜厚は、例えば、硬化後の膜厚が、数μm〜数十μm程度、より具体的には、約10μm〜60μm程度となる厚みに塗布することが好ましいが、液だれ等の不具合がなく、精度良く塗布できれば、塗布膜厚は特に限定されない。
【0051】
端面1aへの塗布完了後、ヘッド部21から液滴を吐出する制御を停止する。その後、制御ユニット40により基板移動ユニット60及び移動ユニット30の各部を制御して、図4(b)に示す状態、すなわち、次に塗布する基板1の孔部1b内面(後方側内面)とヘッド部21の液滴吐出方向Aとが所定の角度θ2となるように設定する。これらの設定は、基板認識ユニット50から取得した塗布箇所データ(基板1の孔部1bの位置・形状(座標)データなど)を利用して行われる。
所定の角度θ2は、ヘッド部21の先端吐出面と基板1の孔部1bとの距離、基板1の厚さ、孔部1bのサイズ(孔径)、ヘッド部21の性能など(ノズルサイズ、液滴サイズ、液滴噴射速度、吐出液の特性など)を考慮して、基板1の孔部1b内面にのみ塗布される角度に設定される。例えば、角度θ2は、30°〜45°の範囲で設定することができる。
【0052】
上記設定後、ヘッド制御部41により、ヘッド部21から液滴を吐出する制御を行うとともに、移動制御部42により、直動機構部31のY軸スライダ31bをY軸方向に所定の速度で移動させる制御を行い(1往復以上の移動制御も可能)、基板1の孔部1b内面に沿って膜形成液2をライン状に塗布(印刷)する。
【0053】
孔部1b内面(後方側内面)への塗布完了後、ヘッド部21から液滴を吐出させる制御を停止する。その後、制御ユニット40により基板移動ユニット60及び移動ユニット30の各部を制御して、図4(c)に示す状態、すなわち、塗布した基板1の孔部1bの前方側内面とヘッド部21の液滴吐出方向Aとが所定の角度θ2となるように設定する。これらの設定は、基板認識ユニット50から取得した塗布箇所データ(基板1の孔部1bの位置・形状(座標)データなど)を利用して行われる。
【0054】
上記設定後、ヘッド制御部41により、ヘッド部21から液滴を吐出する制御を行うとともに、移動制御部42により、直動機構部31のY軸スライダ31bをY軸方向に所定の速度で移動させる制御を行い(1往復以上の移動制御も可能)、基板1の孔部1b内面に沿って膜形成液2をライン状に塗布(印刷)する。
【0055】
孔部1b内面(前方側内面)への塗布完了後、ヘッド部21から液滴を吐出させる制御を停止する。その後、制御ユニット40により基板移動ユニット60及び移動ユニット30を制御して、基板1に形成された別の孔部1bへの塗布を上記と同様の方法で行い、その後、図4(d)に示す状態、すなわち、基板1の後方側端面1aとヘッド部21の液滴吐出方向Aとが所定の角度θ1となるように設定する。これらの設定は、基板認識ユニット50から取得した塗布箇所データ(基板1の端面1aの位置(座標)データなど)を利用して行われる。
【0056】
上記設定後、ヘッド制御部41により、ヘッド部21から液滴を吐出する制御を行うとともに、移動制御部42により、直動機構部31のY軸スライダ31bをY軸方向に所定の速度で移動させる制御を行い(1往復以上の移動制御も可能)、基板1の後方側端面1bに沿って膜形成液2をライン状に塗布(印刷)する。端面1aへの塗布完了後、ヘッド部21から液滴を吐出させる制御を停止し、その後、制御ユニット40により基板移動ユニット60を制御して、基板1を搬出する。
【0057】
基板1の搬送方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)にある端面1aと孔部1bについては、旋回アーム部32cをY軸シリンダ31aに対して直交させた状態で塗布することができる。また、基板1の搬送方向(X軸方向)と平行する方向(X軸方向)にある端面1aと孔部1bについては、旋回アーム部32cをY軸シリンダ31aに対して平行な状態に旋回させた状態で塗布することができる。旋回アーム部32cの旋回角度を調整することにより、様々な形状をした孔部1b内面に塗布することができる。
【0058】
上記実施の形態に係る塗布装置10によれば、塗布ユニット20を構成するインクジェットヘッド部21により、基板1の全ての端面1aと基板1の全ての孔部1b内面に膜形成液2を精度良く、きれいに塗布することが可能となり、基板1の端面1a及び基板1の孔部1b内面からの塵埃等の発生を防止することができる。したがって、基板製品の品質を向上させることができるとともに、前記塵埃による製造設備の汚れを防止することができ、これにより製品不良を減らすことができ、製造コストを削減することができる。
基板1がプリント配線基板の場合は、端面1aや孔部1b内面からの塵埃の発生を防止することができる。また、基板が金属基板、例えばアルミ基板の場合は、金属端面や孔部内面の侵食を防止することができる。さらに、基板がパッケージ基板の場合は、塵埃の発生防止と、基板強度の強化を図ることができる。
【0059】
また、上記塗布装置10によれば、ヘッド部21の液滴吐出方向Aを斜めにして、基板1の端面1aと孔部1b内面に対して斜め方向から膜形成液2を吐出させる制御を行うので、基板1の端面1aだけでなく、種々の形状やサイズの孔部1b内面に対しても精度良く、きれいに膜形成液を塗布することができる。
【0060】
また、上記塗布装置10によれば、画像認識部51により、基板毎の外形形状だけでなく孔部1bの位置や形状などを正確に認識することができる。また、塗布箇所設定部52により、基板画像情報を用いて塗布箇所(基板1の端面1a及び孔部1b)を設定することができる。
そして、制御ユニット40により、設定された塗布箇所データに対応する基板1の端面1a及び孔部1b内面に膜形成液2を塗布する制御を行うので、基板1の外形精度、孔部1bの位置精度やサイズ精度を正確に認識した状態、すなわち、基板毎の加工精度(寸法公差)を考慮して、移動ユニット30による塗布ユニット20の移動制御と、塗布ユニット20による膜形成液2の吐出制御とを行うことができ、基板1の加工精度に誤差があった場合であっても基板1の端面及び孔部1b内面に膜形成液2を精度良く、きれいに塗布することができる。
【0061】
また、基板移動ユニット60を備えているので、基板移動ユニット60で基板1を移動させながら、すなわち、基板1の位置をずらしながら、基板1の端面1a及び孔部1b内面に膜形成液2を塗布することができる。したがって、移動ユニット30の構成を簡略化することができ、また、基板移動ユニット60により基板1の搬送も行うことができる。
【0062】
なお、上記実施の形態では、塗布ユニット20により基板1の端面1aと孔部1b内面とを塗布するように構成されていたが、別の実施の形態では、塗布ユニット20により基板1の孔部1b内面のみを塗布する形態、塗布ユニット20により基板1の端面1aのみを塗布する形態とすることもできる。さらに別の実施の形態では、基板の種類等に応じて、塗布ユニット20により、基板1の端面1aや孔部1b内面だけでなく、基板1の端面1aを含む周縁部(上縁部、下縁部、又は上下縁部)、及び/又は孔部1b内面を含む孔周縁部(上縁部、下縁部、又は上下縁部)にも一定の幅(細幅)で塗布する形態とすることもできる。
【0063】
また、上記実施の形態では、塗布ユニット20のインクジェットヘッド部21が基板1の上面側に配置された場合について説明したが、インクジェットヘッド部21は基板1の下面側に配置してもよく、または、インクジェットヘッド部21を基板1の上下面側に配置する構成にすることもできる。上下面側に配置した場合は、パッケージ基板などの薄型基板の周縁部、及び/又は孔部の周縁部に、額縁状に膜形成液を塗布するように構成することも可能である。
【0064】
また、上記実施の形態では、塗布ユニット20のインクジェットヘッド部21が1台設けられている場合について説明したが、複数台のインクジェットヘッド部21を設けてもよく、この場合、例えば、基板1の端面1a用、孔部1b用に分けて、端面1aと孔部1bを同時に塗布するように構成することもでき、塗布処理速度を高めることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 塗布装置
20 塗布ユニット(塗布手段)
21 インクジェットヘッド部
22 インクタンク部
23 インク供給部
30 移動ユニット(移動手段)
31 直動機構部
32 旋回機構部
33 回動機構部
40 制御ユニット(制御手段)
41 ヘッド制御部
42 移動制御部
50 基板認識ユニット
51 画像認識部
52 塗布箇所設定部
60 基板移動ユニット(基板移動手段)
図1
図2
図3
図4