(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
図1ないし
図7は、本発明に係る電気かみそりの実施例1を示す。本発明における前後左右上下とは、
図2および
図4に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。
図2において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、同ケース1で支持されるかみそりヘッド2を備えている。本体ケース1の内部には、モーター3、2次電池4、および制御基板5などの電装品が配置されている。制御基板5には、モーター3への通電状態をオンオフするスイッチ6や、運転状態を発光表示するLEDなどが実装されている。かみそりヘッド2には横軸(水平軸)周りに回転駆動されるロータリー式の可動刃(内刃)7と固定刃(外刃)8が設けられている。可動刃7は中空円筒状に形成されて、その周面に網目状の切刃の一群が形成されている。本体ケース1の前面の下部には舟形のスイッチパネル9が配置されて、その上端寄りに先のスイッチ6を切換え操作するスイッチボタン10が配置されている。図示していないが、本体ケース1の後面側には、きわ剃り刃と、きわ剃り刃を駆動位置へ押し上げ操作するスライドノブが設けられている。
【0012】
図4においてかみそりヘッド2は、ヘッドブロック13と、ヘッドブロック13の左右に固定されるサイドフレーム14・15(
図2参照)と、ヘッドブロック13の上面を覆うカバー枠16と、カバー枠16に対して着脱される可動刃ホルダー17と、サイドフレーム14・15に着脱される固定刃ホルダー18と、シャッター29などで構成される。可動刃7は可動刃ホルダー15で回転自在に支持され、固定刃8は無端枠状の固定刃装着枠19で逆U字状に保形した状態で支持されている。固定刃8を支持した状態の固定刃装着枠19は、固定刃ホルダー18に対して、図示していないばねによって押下げ付勢された状態で上下移動可能に固定されている。この状態の固定刃ホルダー18をサイドフレーム14・15に装着することにより、固定刃8を可動刃7に密着させることができる。可動刃7と固定刃8で切断された毛屑は、固定刃8とヘッドブロック13の間の毛屑室Rに収容される。
【0013】
かみそりヘッド2は、本体ケース1に設けた回動軸21を中心にして、前後方向へ浮動可能(傾動可能)に支持され、本体ケース1とかみそりヘッド2の間に配置した復帰ばね22で傾動待機位置(
図4の状態)へ向かって復帰付勢(弾性付勢)されている。符号23は、左右のサイドフレーム14・15に設けた鍵穴状の連結穴である。かみそりヘッド2は、傾動待機位置から前側へ傾動でき、その傾動限界角度は15度である。復帰ばね22は捩じりコイルばねからなり、本体ケース1およびかみそりヘッド2の左右中心に位置する状態で本体ケース1に組付けられている。かみそりヘッド2は、本体ケース1に対して固定される構造であってもよい。
【0014】
首振り可能に支持したかみそりヘッド2の可動刃7を回転駆動するために、本体ケース1の上部から可動刃7の回転軸7aにわたって可動刃駆動構造を配置している。
図2に示すように可動刃駆動構造は、本体ケース1の内部に設けたギヤトレイン24と、ギヤトレイン24の回転動力を回転軸7aに伝動する巻掛け伝動構造25で構成される。ギヤトレイン24はモーター3の縦軸回りの回転動力を減速しながら横軸回りの回転動力に変換し、巻掛け伝動構造25はタイミングベルトを伝動要素にして横軸回りの回転動力を回転軸7aに伝動する。ギヤトレイン24の終段軸は、回動軸21の中心を貫通しているので、かみそりヘッド2が前後傾動する状態であっても支障なく回転動力を可動刃7に伝動できる。図示していないが、ギヤトレイン24の中途部には偏心カムが設けられており、同カムで振動子を往復駆動してきわ剃り刃の可動刃を往復駆動している。
【0015】
図4に示すように、固定刃ホルダー18はホルダー本体18aと、ホルダー本体18aの前面に固定した前カバー18bで構成され、前カバー18bに毛屑室R内の毛屑を洗い流すための洗浄水窓28が、毛屑室Rに連通する状態で横長長方形状に開口されている。洗浄水窓28は、上下にスライド操作されるシャッター29で開閉される。シャッター29は洗浄水窓28よりひとまわり大きな横長長方形状の板体からなり、その前面上部にはリブ状の操作つまみ30が突設され、シャッター29の下部には鉤形の脚片31(シャッター29の一部)が一体に形成されている。通常、洗浄水窓28を開閉する場合は、操作つまみ30を操作してシャッター29を上げ下げする。ただし、シャッター29を閉じ忘れた場合は、後述するように脚片31がシャッター29の操作部31として機能する。つまり脚片31が操作部31を兼ねている。
【0016】
シャッター29を閉じた状態における脚片31は、前カバー18bの下枠部26(シャッター29以外のかみそりヘッド2の一部)で覆われている。しかし、シャッター29を開放した状態では、脚片31を含むシャッター29の下半側が、下枠部26の下方の自由空間に露出する。そのため、シャッター29を閉じた状態と開放姿勢とした状態とで視覚的な変化の度合いが大きいことから、使用者は、シャッター29が開放されていることを容易に認識することができる。閉じ状態において、下枠部26で覆われる脚片31の前面に前カバー18bと異なる色調の塗装を施し、あるいはメッキ等のコーティングを施して表示面を形成すると、使用者に対する注意喚起を確実に行うことができる。また、下枠部26で覆われる脚片31の前面に表示面に「OPEN」あるいは「開放」などの文字を表示することによっても、使用者に対する注意喚起を確実に行うことができる。さらに、上記した色調の異なる表示面と上記した文字表示を併用することで、使用者に対する注意喚起をより確実に行うことができる。なお、シャッター29を閉じた状態では、先の文字表示は下枠部26で覆われるので、ユーザーが表示面の文字を視認することはない。上記した自由空間とは、かみそりヘッド2や本体ケース1を構成する筐体で覆われていない空間であり、かつ使用者が視認可能な空間のことである。
【0017】
脚片31の後面には、左右に長いリブ体35が後向きに突出してあり、このリブ体35は、シャッター29と協同して下枠部26とホルダー本体18aの前壁との間の開口部S1を塞いでいる。つまり、シャッター20の下端側(開放移動する側)の一部の断面が鉤形状となっている。リブ体35を含めて脚片31と定義することができ、脚片31の断面が鉤形状となっていると説明できる。
図4の部分拡大図に示すように、シャッター29を閉じた状態においては、リブ体35の後端がホルダー本体18aの前壁の下部に凹み形成した段部36で受止められる。この状態では、シャッター29とホルダー本体18aの前壁との間に隙間Sが形成されるが、この隙間Sを利用して後述する節度アーム32を配置している。シャッター29を開放した状態においては、洗浄水窓28の上半部が開放され、
図4に想像線で示すように、脚片31が本体ケース1の上部で受止められる。この状態で、水道水などを洗浄水窓28から毛屑室Rへ流し入れながら可動刃7を回転駆動することにより、毛屑を洗い流すことができる。また、先の隙間Sに入込んだ毛屑は、隙間Sの下開口(開口部)S1から確実に洗い流すことができる。このとき、隙間Sの下開口S1の開口幅は、隙間Sの前後厚みに段部36の前後寸法を加えた寸法になるので、洗浄水の排水を効果的に行うことができる。また、シャッター29を閉じた状態においては、リブ体35の後端を段部36で受止めて隙間Sの下開口S1を閉止するので、毛屑が下開口S1から漏れ出るのを確実に防止できる。上記のように、シャッター29が閉じ姿勢に切換えられた状態では、脚片31はかみそりヘッド2の外郭線内に位置しているが、シャッター29を開放姿勢に切換えた状態においては、脚片31(シャッター29の一部)がかみそりヘッド2の外郭線の外へ突出している。
【0018】
シャッター29を閉じ位置と開放位置において位置保持するために、先に説明した隙間Sを利用してツーウェイキック型の節度構造70を設けている(
図6参照)。節度構造70は左右一対の節度アーム32と、同アーム32の両端を支持する支点ピン33、および連結ピン34で構成する。節度アーム32は楕円枠状の一対の弾性腕を備えており、その一端がホルダー本体18aに設けた支点ピン33で支持され、他端がシャッター29の内面に設けた連結ピン34で支持されている。ツーウェイキック型の節度構造70における節度アーム32は、弾性腕部が弾性変形することでデッドポイントを乗越えて上下に揺動でき、デッドポイントを通過したのちは、シャッター29を閉じ位置へ押上げ操作し、あるいは開放位置へ押下げ操作して位置保持する。デッドポイントは左右の支点ピン33の中心を通る仮想線上にある。上記のように、ツーウェイキック型の節度構造70を隙間Sに配置すると、別途、節度構造70を設けるための空間を確保する必要がないので、その分だけかみそりヘッド2をコンパクト化できる。
【0019】
固定刃8は電鋳法で形成されており、
図1、
図3、および
図5に示すように、その刃面には主に短毛を切断する切刃37の一群と、長毛やくせ毛を導入し切断する微細なスリット穴38が形成されている。スリット穴38は可動刃7の回転方向上手側の切刃37の端部に隣接して設けられており、その一群が固定刃8の一側から他側にわたって一定ピッチおきに形成されている。
図5に示すように、スリット穴38の左右幅寸法は0.30mmとし、スリット穴38の間のリブ壁39の左右幅寸法Bは0.35mmとした。リブ壁39の隣接ピッチP1、およびスリット穴38の隣接ピッチは、それぞれ0.65mmである。固定刃8の厚みE1は0.05mmである。
【0020】
長毛やくせ毛をスリット穴38へ向かって導入案内するために、スリット穴38の外面に臨んで長毛導入板40が設けられ、さらに、長毛導入板40の外面を覆うホルダー本体18aの外面に導入案内部41が設けられている。長毛導入板40は、ステンレス板材にエッチング処理とプレス加工を施して形成されており、板状のプレート部42と、プレート部42から片持ち支持状に連出される一群の微細なコーム体43を一体に備えている。コーム体43の突端には、外突湾曲状の毛起し部44が形成され、コーム体43の基端に連続して傾斜壁45が折曲げ形成されている(
図1参照)。
【0021】
上記のように、コーム体43をプレート部42で片持ち支持すると、コーム体43が肌面に押し付けられるとき、コーム体43を弾性変形させて肌当りをソフトで優しいものとすることができる。また、コーム体43が弾性変形することで、肌面の滑り抵抗を逃がすことができるので、ひげ切断時のかみそりヘッド2の移動を円滑に行える。さらに、コーム体43の突端側に外突湾曲状の毛起し部44を形成することにより、毛起し部44で肌面を押圧し緊張させて肌面に倒込んだ長毛やくせ毛を起毛できるので、コーム体43およびスリット溝46で起毛された長毛やくせ毛を的確に捕捉してスリット穴38へ向かって導入案内できる。
【0022】
コーム体43は、微細なスリット穴38およびリブ壁39に対応して形成されており、その左右幅寸法Dは先のリブ壁39の左右幅寸法Bと同じ0.35mmとした。また、コーム体43の左右幅は、基端寄りから突端にわたって同じに設定した。コーム体43の間のスリット溝46の左右幅寸法は0.30mmとし、コーム体43の隣接ピッチP2、およびスリット溝46の隣接ピッチは、それぞれリブ壁39の隣接ピッチP1と同じ0.65mmとした。こうした長毛導入板40によれば、スリット溝46内に入込んだ長毛やくせ毛が、スリット溝46の外へ抜出るのを良く防止しながら、長毛やくせ毛を固定刃8・56のスリット穴38・60へ確実に導入案内して、さらに効果的に長毛やくせ毛を切断できる。なお、コーム体43の左右幅寸法Dは、先のリブ壁39の左右幅寸法Bと同じか、これより小さく設定してあってもよい(B>=D)。
【0023】
上記のように、ステンレス板材にエッチング処理を施してコーム体43を形成すると、コーム体43の強度を充分に確保し、その耐久性を向上しながら、コーム体43の隣接ピッチP2をリブ壁39の隣接ピッチP1と同様に微細化できる。また、プレート部42に連続して微細な一群のコーム体43を一体に形成するので、個々のコーム体43の形状および構造を単純化して、長毛導入板40の全体構造を簡素化できる。さらに、ひげ剃り時の固定刃8と可動刃7の摩擦によって固定刃8の温度が上昇する場合に、長毛導入板40の放熱作用で摩擦熱を効果的に逃がして、固定刃8の温度が高温になるのをよく防止できる。とくに、コーム体43が自由空間に露出しており、その表面積が大きいので、コーム体43による摩擦熱の放熱を効果的に行うことができる。
【0024】
長毛導入板40は、プレート部42を固定刃8の後縁の装着部48の外面に隣接配置した状態で、プレート部42の左右4個所が固定刃8の装着部48と共に固定刃装着枠19に溶着固定されて、固定刃8と一体化される。つまり、固定刃8の後縁の装着部48と、装着部48に隣接配置したプレート部42を、溶着固定構造(締結構造)で共締め固定している。装着部48の外面とは、固定刃ホルダー18の内面と正対する装着部48の外側の表面を意味する。
図4において、符号47は固定刃8とプレート部42の溶着頭部を示している。このように、プレート部42と固定刃8を溶着固定構造で共締め固定することにより、固定刃8の装着部を固定刃装着枠19とプレート部42が協同して補強できるので、固定刃8の取付け強度を増強して耐久性を向上できる。また、固定刃8の前縁の装着部48は、装着部48に隣接配置した金属製の補強板49を、溶着固定構造(締結構造)で共締め固定している。このように、補強板49と固定刃8を溶着固定構造で共締め固定することにより、前記と同様に固定刃8の取付け強度を増強して耐久性を向上できる。
【0025】
プレート部42を溶着固定する場合に、長毛導入板40を固定刃8に対して位置決めすることにより、
図5に示すように、コーム体43をリブ壁39の外面に位置させ、コーム体43の間のスリット溝46をスリット穴38の外面に位置させることができる。従って、スリット穴38がコーム体43で塞がれるのを解消して、全てのスリット穴38内に長毛やくせ毛を導入して切断することができる。また、コーム体43の強度を確保しながら、コーム体43、およびスリット溝46の隣接ピッチP2を微細化できるので、固定刃8に設けたスリット穴38による長毛やくせ毛の切断を効果的に行える。
【0026】
ホルダー本体18aに設けた導入案内部41は、交互に形成した案内凹部41aと案内凸部41bで構成される。このように、プレート部42の外面を覆う固定刃ホルダー18の外面に導入案内部41を設けると、導入案内部41で捕捉し梳き整えた長毛およびくせ毛を、コーム体43およびスリット溝46へ向かって導入案内できるので、長毛およびくせ毛の切断をさらに効果的に行える。案内凹部41aの隣接ピッチは、コーム体43の隣接ピッチP2より大きい。
【0027】
上記以外の長毛導入板40の詳細寸法は次の通りである。
図1に示すように、コーム体43は、その基端から毛起し部44の突端にわたって同じ厚みで形成されており、その厚み寸法Eは0.3mmである。このように、コーム体43の厚み寸法Eが基端から毛起し部44の突端にわたって同じ厚みに設定してあると、スリット溝46の内部に入込んだ長毛およびくせ毛が、スリット溝46からの外へ抜出るのを良く防止できる。なお、コーム体43の厚み寸法Eと、先のコーム体43の左右幅寸法Dとの関係は不等式(D>=E)を満足することが好ましい。先に説明したように固定刃8の厚みE1は0.05mmであり、コーム体43の厚み寸法Eに比べて充分に小さい(E1<E)。そのため、固定刃8による深ぞりを実現しながら、プレート部42で固定刃8の装着部48を補強して、固定刃8の構造強度を向上している。
【0028】
また、毛起し部44の湾曲半径r2は、逆U字状に保形された固定刃8の湾曲半径r1より小さく設定されている。この実施例では固定刃8の湾曲半径r1を7.5mmとするとき、毛起し部44の湾曲半径r2を1.3mmとして、肌面に対する毛起し部44の接触面積を小さくして面圧を高めるようにした。毛起し部44の面圧を高めることにより、肌面をより弱い力で的確に緊張させて、肌面に倒込んだ長毛やくせ毛をさらに確実に起毛できるうえ、コーム体43の肌当りをソフトで優しいものにできる。また、毛起し部44が湾曲しているので、コーム体43が肌面に接触している限りは、スリット溝46内に入込んだ長毛が抜出ることはなく、長毛やくせ毛を固定刃8のスリット穴38へさらに確実に導入案内できる。
図1に示すように、コーム体43と固定刃8のリブ壁39は隙間Gを介して隣接している。そのため、コーム体43がリブ壁39に強く押付けられるのを避けて、固定刃8がコーム体43で傷付けられるのを解消できる。この実施例では隙間Gを0.5mmとした(G>=E)。
【0029】
電気かみそりの使用回数が増えるのに伴って、可動刃7の切刃周面に毛屑や皮脂などが堆積することがある。こうした堆積物を強制的に除去して可動刃7の良好な切れ味を保持するために、洗浄水窓28に臨む毛屑室Rの内部に、毛屑除去体50を配置している。この実施例では
図7に示すように、カバー枠16の前壁16aを毛屑除去体50としている。毛屑除去体50は、洗浄水窓28と対向する位置にあり、毛屑室Rの前空間寄りにある壁部50aと、壁部50aの上縁に鋸刃状に形成される先端部50bとからなる。この先端部50bが毛屑除去部となる。毛屑除去体50の先端部50bは、横軸まわりに回転駆動されるロータリー式の可動刃7の表面に近接対向するところに位置しており、可動刃7の周面に付着した毛屑や皮脂の堆積物を毛屑除去体50で掻落とすようにしている。毛屑除去体50の鋸刃状に形成した先端部50bは、凸の部分と凹の部分が、可動刃7の周面に付着した毛屑や皮脂の堆積物と時間差で接触して掻落とす。そのため、堆積物を掻落とす際の抵抗を小さくして、モーター3に作用する負荷を軽減できる。因みに、毛屑除去体50の上縁が直線状に形成してある場合には、堆積物を横一線状に掻落とすことになるので、モーター3に作用する負荷が大幅に増加するのを避けられない。なお、この実施例では先端部50bは壁部50aの先端の縁を指しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、先端部(毛屑除去部)50bは、壁部50aの先端寄りに開口部を設けて、その開口部の縁を鋸刃状とした毛屑除去部としたものも含むものとする。毛屑除去体50は、指先や布の一部が可動刃7に巻込まれるのを防ぐ防護体としても機能している。カバー枠16の前壁16aには、つまり、毛屑除去体50の壁部50aには、洗浄水窓28から流入した洗浄水の通過を促進する3個の通口51が形成されている。通口51は、洗浄水窓28と対向する位置にある。また、通口51は、可動刃7に対向する位置にある。つまり、通口51、洗浄水窓28、可動刃7の三者については、洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にある(
図7参照)。従って、水道水などの洗浄水を洗浄水窓28から流し入れれば直接、可動刃7に当てることができ、可動刃7の洗浄効果を向上することができる。また、直接、毛屑室Rに洗浄水を流し入れることができるので、洗浄時間を短縮させることができる。また、毛屑除去体50が、洗浄水窓28と対向する位置にあるため、可動刃7から掻き落とした毛屑が洗浄水窓28の付近に溜まることになる。従って、洗浄水窓28から洗浄水を流し入れれば効果的に毛屑の除去が可能となる。なお、上記毛屑除去体50は、レシプロ式の可動刃7とこれに摺接する固定刃8を有する電気かみそりにも適用できる。このとき、可動刃7は、プラスチック製の取付ベースと、取付ベースに固定される切刃を含む金属製の可動刃本体とにより構成されるが、洗浄水窓28が通口51を介して臨むのは、やはり取付ベースを含む可動刃7である。また、毛屑除去体50の先端部50bは、凹凸を大きくして櫛状の先端部50bとして可動刃7の側壁(前後壁)に当てて可動刃7の側壁に堆積した毛屑や皮脂を掻落とすものとする。その他作用効果については、ロータリー式と同様である。
【0030】
上記のように、毛屑室Rの内部に溜まった毛屑は、水道水などを洗浄水窓28から毛屑室Rへ流し入れながら可動刃7を回転駆動することにより、洗い流すことができる。洗浄後の電気かみそりは、毛屑室Rの周囲壁に付着した水滴の乾燥を促進するために、シャッター29を開放した状態のままで放置することがある。そのため、次回使用時にシャッター29を閉じ忘れた状態のまま、モーター3を起動してひげ剃りを行うおそれがある。シャッター29を閉じ忘れた状態では、シャッター29の脚片31がかみそりヘッド2の下側の外郭線から突出し、さらに洗浄水窓28が開口しているので、使用者の注意を喚起してシャッター29を閉じるよう促すことができる。
【0031】
誤って、シャッター29を閉じ忘れた状態のままでモーター3が起動された場合であっても、ひげ切断を行うことでシャッター29を自動的に閉じ位置へ戻すことができる。先に説明したように、シャッター29が開放している状態においては、シャッター29の下端側の一部(脚片=操作部31)が本体ケース1の上部で受止められている。そのため、かみそりヘッド2を肌面に沿って滑らせながらひげ切断を行うと、かみそりヘッド2が回動軸21を中心にして前側へ傾動する。そのため、シャッター29の下端側の一部、つまりシャッター29の操作部31は本体ケース1から変位反力を受け、節度アーム32の弾性力に抗して上方スライドして、開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換えることができる。本体ケース1から変位反力を受けた操作部31が、開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換える際、本体ケース1からの変位反力に加えて、節度構造70によってシャッター29を閉じ姿勢となる向きに弾性付勢力を加えることができる。つまり、シャッター29がデットポイントを境に逆方向に弾性付勢するツーウェイキック型の節度構造70で付勢してあるので、シャッター29の操作部31が閉じ側へ移動し、節度アーム32がデッドポイントを通過したのちは、シャッター29が閉じ位置へ自動的に押上げ操作される。従って、かみそりヘッド2を傾動限界角度まで傾動させる必要はなく、かみそりヘッド2が肌面に軽く押し付けられた状態でシャッター29が閉じ位置へ戻すことができる。
【0032】
上記実施例の電気かみそりは、以下の態様で実施することができる。
【0033】
グリップ兼用の本体ケース1の上部にかみそりヘッド2を備え、
かみそりヘッド2にひげなどの毛を切断する可動刃7・55と固定刃8・56が配置してある電気かみそりであって、
かみそりヘッド2の周囲壁に、ヘッド内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28を上下にスライド移動して開閉するシャッター29が設けられており、
シャッター29を閉じた状態(閉じ姿勢)においては、シャッター29の開放移動する側の一部(下端部)が、シャッター29以外のかみそりヘッド2の一部で覆われており、シャッター29を開放姿勢に切換えた状態においては、シャッター29の上記一部が自由空間に露出することを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、かみそりヘッド2の周囲壁に、ヘッド内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28をスライド移動して開閉するシャッター29が設けられているので、毛屑室Rの内部に溜まった毛屑を洗い流すことができる。また、シャッター29を開放姿勢に切換えた状態においては、シャッター29の一部が自由空間に露出するので、使用者の注意を喚起してシャッター29を閉じるよう促すことができる。例えば、洗浄後の電気かみそりは、毛屑室Rの周囲壁に付着した水滴の乾燥を促進するために、シャッター29を開放した状態のままで放置することがある。こうした場合に、使用者の注意を喚起してシャッター29を閉じるよう促して、次回使用時にシャッター29を閉じ忘れた状態のまま使用されるのを防止できる。
【0034】
グリップ兼用の本体ケース1の上部にかみそりヘッド2を備え、
かみそりヘッド2にひげなどの毛を切断する可動刃7・55と固定刃8・56が配置してある電気かみそりであって、
かみそりヘッド2の周囲壁に、ヘッド内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28を上下にスライド移動して開閉するシャッター29が設けられており、
シャッター29を閉じた状態(閉じ姿勢)においては、シャッター29の上記一部がかみそりヘッド2の外郭線内に位置しており、シャッター29を開放姿勢に切換えた状態においては、シャッター29の上記一部がかみそりヘッド2の外郭線の外へ突出することを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、シャッター29を開放姿勢に切換えた状態においてシャッター29の上記一部がかみそりヘッド2の外郭線の外へ突出するので、使用者にシャッター29を閉じるよう強く促すことができる。
【0035】
上記電気かみそりであって、
固定刃8・56は固定刃ホルダー18で保持されており、
かみそりヘッド2は固定刃ホルダー18を含み、
固定刃ホルダー18の周囲壁に、ホルダー内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28を上下にスライド移動して開閉するシャッター29とが設けられていることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、固定刃ホルダー18をかみそりヘッド2から取り外して洗浄することができるので、シャッター29付近に溜まった毛屑をきめ細かくケアできる。
【0036】
上記電気かみそりであって、
シャッター29の上記一部の後面にリブ体35が後向きに突出しており、
シャッター29と固定刃ホルダー18との間に隙間Sが形成されており、、
リブ体35はシャッター29と協同して隙間Sの開口部S1を塞いでいることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、シャッター29と固定刃ホルダー18との間に隙間Sを形成しているので、シャッター29と固定刃ホルダー18間の洗浄性を向上することができる。
【0037】
上記電気かみそりであって、
シャッター29を閉じた状態においては、リブ体35の後端が固定刃ホルダー18に凹み形成した開口部S1に臨む段部36で受け止められていることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、シャッター29を閉じた状態においてリブ体35の後端が固定刃ホルダー18に凹み形成した段部36で受け止められているので、受け止め部分に屈折路が形成され、毛屑のこぼれを可及的に防止できる。
【0038】
上記電気かみそりであって、
シャッター29を閉じた状態で位置保持できるとともに開放姿勢とした状態でも位置保持できる節度構造70を備えており、
節度構造70を隙間Sに配設したことを特徴する電気かみそり。
上記構成によれば、節度構造70を隙間Sに配設したことにより、別途、節度構造70を設けるための空間を確保する必要がないので、その分だけかみそりヘッド2をコンパクト化できる。
【0039】
グリップ兼用の本体ケース1の上部にかみそりヘッド2を備え、
かみそりヘッド2にひげなどの毛を切断する可動刃7・55と固定刃8・56が配置してある電気かみそりであって、
かみそりヘッド2の内部には毛屑室Rが設けられており、毛屑室Rは、可動刃7・55と固定刃8・56が協同して切断した毛屑を収容することができ、
毛屑室Rの内部に毛屑除去体50が設けられており、
毛屑除去体50は、壁部50aと、壁部50aの端部に形成される毛屑除去部50bとを含み、
毛屑除去部50bにより可動刃7・55に付着している毛屑や皮脂を除去できるよう構成されており、
かみそりヘッド2の周囲壁に、ヘッド内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28を開閉するシャッター29が設けられており、
壁部50aには、洗浄水窓28から流入した洗浄水の通過を可能とする通口51が形成されていることを特徴とする電気かみそり。
なお、シャッター29は、上下方向にスライドする構造に限らず、軸まわりに回転することで洗浄水窓28を開閉する構造であってもよい。
上記構成によれば、毛屑除去部50bにより可動刃7・55に付着している毛屑や皮脂を除去できる。また、通行51が形成されることにより毛屑室Rに溜まった毛屑を効果的に洗い流すことができる。
【0040】
上記電気かみそりであって、
洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にあることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、水道水などの洗浄水を洗浄水窓28から流し入れれば直接、可動刃7に当てることができ、可動刃7の洗浄効果を向上することができる。また、直接、毛屑室Rに洗浄水を流し入れることができるので、洗浄時間を短縮させることができる。
【0041】
グリップ兼用の本体ケース1の上部にかみそりヘッド2を備え、
かみそりヘッド2にひげなどの毛を切断する可動刃7と固定刃8が配置してある電気かみそりであって、
かみそりヘッド2の内部には毛屑室Rが設けられており、毛屑室Rは、横軸まわりに回転する可動刃7と、この可動刃7に摺接する固定刃8が協同して切断した毛屑を収容することができ、
毛屑室Rの内部に毛屑除去体50が設けられており、
毛屑除去体50は、壁部50aと、壁部50aの端部に形成される鋸刃状の毛屑除去部50bとを含み、
毛屑除去部50bにより可動刃7・55に付着している毛屑や皮脂を除去できるよう構成されていることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、毛屑除去部50bの凸の部分と凹の部分が、可動刃7の周面に付着した毛屑や皮脂の堆積物と時間差で接触して掻落とす。そのため、堆積物を掻落とす際の抵抗を小さくして、モーター3に作用する負荷を軽減できる。因みに、毛屑除去体50の上縁が直線状に形成してある場合には、堆積物を横一線状に掻落とすことになるので、モーター3に作用する負荷が大幅に増加するのを避けられない。
【0042】
上記電気かみそりであって、
かみそりヘッド2の周囲壁に、ヘッド内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28を開閉するシャッター29が設けられており、
壁部50aには、洗浄水窓28から流入した洗浄水の通過を可能とする通口51が形成されており、
洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にあることを特徴とする電気かみそり。
なお、シャッター29は、上下方向にスライドする構造に限らず、軸まわりに回転することで洗浄水窓28を開閉する構造であってもよい。
上記構成によれば、水道水などの洗浄水を洗浄水窓28から流し入れれば直接、可動刃7に当てることができ、可動刃7の洗浄効果を向上することができる。また、直接、毛屑室Rに洗浄水を流し入れることができるので、洗浄時間を短縮させることができる。
【0043】
グリップ兼用の本体ケース1の上部にかみそりヘッド2を備え、
かみそりヘッド2にひげなどの毛を切断する可動刃7・55と固定刃8・56が配置してある電気かみそりであって、
かみそりヘッド2の内部には毛屑室Rが設けられており、毛屑室Rは、可動刃7・55と固定刃8・56が協同して切断した毛屑を収容することができ、
かみそりヘッド2の周囲壁に、ヘッド内部に設けた毛屑室Rに連通する洗浄水窓28と、同窓28を開閉するシャッター29が設けられており、
かみそりヘッド2が、本体ケース1で移動可能に支持されており、
シャッター29の下方には、シャッター29を開放した状態において本体ケース1に近接ないし接当する操作部31が設けられており、
使用時にかみそりヘッド2が本体ケース1側へ移動変位して、操作部31が本体ケース1に押付けられる状態において、本体ケース1から変位反力を受けた操作部31が、開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換えることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、かみそりヘッド2が本体ケース1に対して移動変位する動作を利用して、シャッター29を自動的に閉じ操作できる。従って、シャッター29を閉じ忘れたまま使用されてもシャッター29を自動的に閉じ姿勢とすることができるので、洗浄水窓28から毛屑がこぼれ落ちることはない。
【0044】
上記電気かみそりであって、
シャッター29を弾性付勢することでシャッター29の閉じ姿勢および開放姿勢を保持する弾性付勢構造を具備する節度構造70を備えており、
本体ケース1から変位反力を受けた操作部31が、開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換えるとき、閉じ姿勢となる向きに節度構造70の弾性付勢力が加わることを特徴とする電気かみそり。
上記構成によれば、かみそりヘッド2の移動途中でシャッター29を閉じ位置へ戻すことができる。
【0045】
(実施例2)
図8は本発明に係る電気かみそりの実施例2を示す。そこでは、固定刃8の内面に左右へ往復駆動されるレシプロ式の可動刃7を配置して、ひげ切断を行うようにした。可動刃7は、可動刃ホルダー17で逆U字状に保形されており、湾曲部分に設けたスリット状の切刃でひげ切断を行う。実施例1の電気かみそりと同様に、固定刃8には切刃37の一群とスリット穴38が形成されており、その前後縁の装着部48に補強板49が溶着固定されている。後縁の装着部48は、補強板52と長毛導入板40のプレート部42に挟まれて、これら3者が固定刃ホルダー18に溶着固定されている。固定刃装着枠19は省略した。また、長毛導入板40に隣接する固定刃ホルダー18の後壁には、長毛やくせ毛をコーム体43へ向かって導入案内する、突リブ状のリブ群からなる導入案内部41を形成するようにした。また、洗浄水窓28を開閉するシャッター29を備える構造、毛屑除去体50を備える構造、洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にある構造、本体ケース1から変位反力を受けた操作部31が開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換える構造なども、実施例1の電気かみそりと同様である。なお、後縁の装着部48は長毛導入板40のプレート部42で補強されているので、後縁の補強板49は省略することができる。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0046】
(実施例3)
図9および
図10は本発明に係る電気かみそりの実施例3を示す。そこでは、かみそりヘッド2に前後一対のメイン刃53を設け、メイン刃53の間にトリマー刃54を設けた。前後のメイン刃53は、ロータリー式の可動刃7と固定刃8で構成するが、矢印で示すように前側の可動刃7の駆動方向と後側の可動刃7の駆動方向は逆向きに設定されている。トリマー刃54は、それぞれ断面門形のスリット刃からなる可動刃55、および固定刃56と、固定刃56の前後に配置した長毛導入板40で構成されており、可動刃55を可動刃駆動軸57で往復駆動することにより、長毛やくせ毛を切断できる。固定刃56の切刃59が、可動刃7の回転中心軸と直交する前後方向に長いリブ状に形成されているのに対し、可動刃55の切刃58は、固定刃56の切刃59に対して傾斜する状態で形成されている(
図10参照)。符号60は切刃59の間のスリット溝である。なお、この実施例における切刃59は、実施例1におけるリブ壁39に相当する。
【0047】
長毛導入板40の基本構造は、実施例1で説明した長毛導入板40の構造と概ね同じであるが、毛起し部44が優弧状に折曲げられている点と、トリマー刃54のサイズに合わせて長毛導入板40をやや小さめに形成する点が、実施例1の長毛導入板40と異なる。また、
図9に向かって左側の長毛導入板40のプレート部42の下端に連続して、支持腕71を折り曲げ、その先端に弾性片72を設けるようにした。弾性片72は、可動刃55を支持する可動刃ホルダー73の下面に圧接して、可動刃55を押し上げ付勢しており、これにより、可動刃55を固定刃56に密着させている。前後の長毛導入板40は、毛起し部44の先端が固定刃56の上隅に隣接する状態で、固定刃56の前後面に固定されている。この状態の毛起し部44の頂部上面は、固定刃56の上面より上方に位置させており、毛起し部44の先端は、固定刃56の上部内面より僅かに上方に位置させている。
【0048】
上記の長毛導入板40におけるスリット穴60の左右幅寸法を0.35mmとするとき、切刃59の左右幅寸法Bは0.75mmとし、切刃59の隣接ピッチP1は1.1mmとした。コーム体43の左右幅寸法Dは先の切刃59の左右幅寸法Bと同じ0.75mmとし、コーム体43の間のスリット溝46の左右幅寸法は0.35mmとした。また、コーム体43の隣接ピッチP2は切刃59の隣接ピッチP1と同じ1.1mmとした。
【0049】
図10に示すように、前後の長毛導入板40のコーム体43は、固定刃56の切刃(リブ壁)59の外面に位置しており、コーム体43の間のスリット溝46は、固定刃56のスリット穴60の外面に位置している。こうした電気かみそりによれば、スリット穴60がコーム体43で塞がれるのを解消して、全てのスリット穴60内に長毛やくせ毛を導入して切断することができる。また、コーム体43の強度を確保しながら、コーム体43、およびスリット溝46の隣接ピッチP2を微細化できるので、固定刃56に設けたスリット穴60による長毛やくせ毛の切断を効果的に行うことができる。以上のように、長毛導入板40はメイン刃53以外のせん断刃にも付加することができる。洗浄水窓28を開閉するシャッター29を備える構造、毛屑除去体50を備える構造、洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にある構造、本体ケース1から変位反力を受けた操作部31が開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換える構造などは、実施例1の電気かみそりと同様である。
【0050】
(実施例4)
図11は本発明に係る電気かみそりの実施例4を示す。そこでは、かみそりヘッド2のヘッドブロック13を本体ケース1で上下移動可能に支持して、フロートばね62で浮動支持(弾性支持)するようにした。固定刃ホルダー18の前壁には、洗浄水窓28が開口されており、同窓28を上下スライドするシャッター29で開閉できるようにした。シャッター29の下端の後面には、実施例1と同様の左右に長いリブ体35が後向きに突出してある。シャッター29を閉じた状態においては、リブ体35の後端が固定刃ホルダー18前壁の下部に凹み形成した段部36で受止められる。実施例1と同様に、誤って、シャッター29を閉じ忘れた状態のままでモーター3が起動された場合であっても、ひげ切断を行うことでシャッター29を自動的に閉じ位置へ戻すことができる。シャッター29が開放している状態においては、シャッター29の下端(操作部)31が本体ケース1の肩部に近接している。そのため、かみそりヘッド2を肌面に沿って滑らせながらひげ切断を行うと、かみそりヘッド2がフロートばね62の付勢力に抗して本体ケース1側へ沈み込んで、シャッター29の下端31が同ケース1の肩部で受止められる。そのため、シャッター29は本体ケース1から変位反力を受け、節度アーム32の弾性力に抗して上方スライドして、開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換えることができる。このとき、シャッター29がツーウェイキック型の節度構造70で付勢してあるので、操作部31が閉じ側へ移動し、節度アーム32がデッドポイントを通過したのちは、シャッター29が閉じ位置へ自動的に押上げ操作される。従って、かみそりヘッド2を沈み込み限界まで沈み込ませる必要はなく、かみそりヘッド2が肌面に軽く押し付けられた状態でシャッター29が閉じ位置へ戻すことができる。毛屑除去体50を備える構造、洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にある構造などは、実施例1の電気かみそりと同様である。
【0051】
(実施例5)
図12は本発明に係る電気かみそりの実施例5を示す。そこでは、実施例4と同様に、かみそりヘッド2のヘッドブロック13を本体ケース1で上下移動可能に支持して、フロートばね62で浮動支持(弾性支持)するようにした。また、シャッター29を開閉操作するスライドノブ63をシャッター29の下方に上下スライド可能に配置し、スライドノブ63に操作つまみ30を設けるようにした。シャッター29はピン67で揺動開閉可能に支持されており、その内面の上部には連動腕64が一体に設けられている。スライドノブ63に設けた操作腕65と連動腕64はピン66で連動可能に連結されている。
【0052】
スライドノブ63を上方の閉じ位置から押し下げ操作すると、シャッター29の連動腕64がピン67の周りに下方揺動するので、シャッター29を開放できる。この状態のスライドノブ63の下端(操作部)31は、本体ケース1の肩部に近接している。そのため、かみそりヘッド2を肌面に沿って滑らせながらひげ切断を行うと、かみそりヘッド2がフロートばね62の付勢力に抗して本体ケース1側へ沈み込んで、スライドノブ63の下端31が同ケース1の肩部で受止められる。そのため、スライドノブ63は本体ケース1から変位反力を受けて上方スライドし、開放姿勢のシャッター29を閉じ姿勢に切換えることができる。この実施例においても、かみそりヘッド2が沈み込み限界まで沈み込む前に、シャッター29を閉じ姿勢に切換えることができる。毛屑除去体50を備える構造、洗浄水窓28が通口51を介して可動刃7を臨む位置関係にある構造などは、実施例1の電気かみそりと同様である。
【0053】
上記の実施例以外に、長毛導入板40は、コーム体43およびスリット溝46を微細構造化しながら強度を確保するうえで、金属板にエッチング処理を施して形成するのが好適であるが、その必要はない。例えば、プラスチック製のプレート部42の成形時に、金属線材で形成した一群のコーム体43をアウトサートして長毛導入板40を形成することができる。洗浄水窓28は、かみそりヘッド2の浮動支持構造の違いに応じて、固定刃ホルダー18の周囲壁の任意の位置に開口することができる。毛起し部44は部分円弧状に形成する必要はなく、湾曲状に折曲げてあれば足りる。上記の実施例では、スリット穴38・60を一定間隔おきに形成したがその必要はなく、スリット穴38・60の間隔は、固定刃8・56の一側端から他側端へ向かって徐々に大きくなる構造や、左右中央部の間隔が左右両側の間隔より大きい構造などであってもよい。
【0054】
上記実施例では、固定刃ホルダー18に、洗浄水窓28及びシャッター29が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、本体ケース1の前側の上端を上方に延出するとともに枠状に形成し、この枠により形成される開口を洗浄水窓28とすることができる。そしてこの洗浄水窓28を開閉するシャッター29も、本体ケース1側に上下方向にスライド可能に設ける。このとき、上記枠における下枠の下方にさらに開口部を形成することにより、閉じ姿勢から開放姿勢に切換えたとき、下枠に覆われていたシャッター29の一部が露出することになる。さらに、シャッター29を斜め、かつ下方に向けてスライド移動させて、開放姿勢のとき、下枠の下方に形成された開口部から突出させることができる。こうすることによって、シャッター29を開放姿勢に切換えた状態においては、シャッター29の上記一部がかみそりヘッド2の外郭線の外へ突出するので、使用者にシャッター29を閉じるよう強く促すことができる。
【0055】
上記実施例では、シャッター29は剛体で形成されているが、場合によっては、多数の薄肉部或いは関節部を設けて柔軟性を有するシャッター29とすることができる。