特許第6656108号(P6656108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656108
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】放射性廃液の処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/12 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   G21F9/12 501J
   G21F9/12 501K
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-146904(P2016-146904)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-17565(P2018-17565A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】可児 祐子
(72)【発明者】
【氏名】浅野 隆
(72)【発明者】
【氏名】野下 健司
【審査官】 小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−132199(JP,A)
【文献】 特開2015−125072(JP,A)
【文献】 特開2014−077774(JP,A)
【文献】 特開2014−163843(JP,A)
【文献】 特開2014−001952(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/025681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D15/00−15/42
G21F9/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を含む放射性廃液と、前記放射性物質を吸着する吸着剤であって、高い吸着性能を実現する前記放射性廃液のpHの範囲である好適pH範囲が異なる少なくとも2種類の吸着剤と、前記放射性廃液のpHを測定するpH測定機構とを備えた放射性廃液の処理装置の処理方法において、
前記pH測定機構で前記放射性廃液のpHを測定する工程と、
測定した前記放射性廃液のpHに応じて、前記吸着剤を少なくとも1種類以上使用して前記放射性廃液を処理する工程とを備え、
前記放射性廃液の処理装置は、前記放射性廃液のpHが変化した際に、使用している前記吸着剤を他の吸着剤に変更する吸着剤選定機構を更に備え、
変化前の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能を演算する工程と、
変化後の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能を演算する工程と、
変化後の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能に対する変化前の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能の比率Rを演算する工程と、
前記比率Rと予め定めた規定値とを比較する工程と、
前記比率Rが前記規定値を上回る場合に前記吸着剤選定機構により使用している吸着剤を他の吸着剤に変更する工程とを備えた
ことを特徴とする放射性廃液の処理装置の処理方法。
【請求項2】
放射性物質を含む放射性廃液と、前記放射性廃液を格納する槽と、前記放射性廃液のpHを測定するpH測定機構と、前記放射性物質を吸着する吸着剤であって、高い吸着性能を実現する前記放射性廃液のpHの範囲である好適pH範囲が異なる少なくとも2種類の吸着剤と、前記吸着剤をそれぞれに充填した少なくとも2個の吸着塔と、前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHに対して、高い吸着性能を示す吸着剤を選定する吸着剤選定機構と、
前記吸着剤選定機構が選定した吸着剤が充填された吸着塔に、前記槽に格納された前記放射性廃液を供給する廃液供給機構とを備えた放射性廃液の処理装置において、
前記吸着剤選定機構は、
前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHの履歴を記録する記録部と、
前記記録部に記録された前記放射性廃液のpHの履歴から、現在の前記放射性廃液のpHが変化した際に、変化後の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能に対する変化前の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能の比率Rと予め定めた規定値とを比較する演算部と、
前記演算部において前記比率Rが前記規定値を上回る場合に使用している吸着剤を他の吸着剤に変更する制御部を備えた
ことを特徴とする放射性廃液の処理装置。
【請求項3】
放射性物質を含む放射性廃液と、前記放射性廃液を格納する槽と、前記放射性廃液のpHを測定するpH測定機構と、前記放射性物質を吸着する吸着剤であって、前記放射性廃液に対して高い吸着性能を実現するpHの範囲である好適pH範囲が異なる2種類の吸着剤と、前記吸着剤をそれぞれに充填した2個の吸着塔と、前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHにおける前記2種類の吸着剤の吸着性能が規定値を超過するか否かを判断し前記2種類の吸着剤の少なくとも1つを選定する吸着剤選定機構と、
前記吸着剤選定機構が選定した吸着剤が充填された選定吸着塔に、前記槽に格納された前記放射性廃液を供給する廃液供給機構とを備えた放射性廃液の処理装置において、
記2個の吸着塔直列に設置され
前記2種類の吸着剤の吸着性能がいずれも前記規定値を超過する場合、
前記吸着剤選定機構は前記2種類の吸着剤を選定し、
前記廃液供給機構は、前記槽に格納された前記放射性廃液を、前記吸着剤選定機構が選定した前記2種類の吸着剤がそれぞれに充填された2個の選定吸着塔のうちの一の選定吸着塔に供給し、前記一の選定吸着塔からの処理液を前記2個の選定吸着塔のうちの他の選定吸着塔に供給し、
前記2種類の吸着剤の少なくとも1つの吸着性能が前記規定値を超過しない場合、
前記吸着剤選定機構は、前記2種類の吸着剤のうち前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHにおける吸着性能がより高い吸着剤を選定し、
前記廃液供給機構は、前記2個の吸着塔のうちの前記吸着剤選定機構が選定した吸着剤が充填された選定吸着塔に、前記槽に格納された前記放射性廃液を供給
ことを特徴とする放射性廃液の処理装置。
【請求項4】
放射性物質を含む放射性廃液と、前記放射性廃液を格納する槽と、前記放射性廃液のpHを測定するpH測定機構と、前記放射性物質を吸着する吸着剤であって、高い吸着性能を実現する前記放射性廃液のpHの範囲である好適pH範囲が異なる少なくとも2種類の吸着剤と、前記吸着剤をそれぞれに充填した少なくとも2個の吸着塔と、前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHに対して、高い吸着性能を示す吸着剤を選定する吸着剤選定機構と、
前記吸着剤選定機構が選定した吸着剤が充填された選定吸着塔に、前記槽に格納された前記放射性廃液を供給する廃液供給機構とを備えた放射性廃液の処理装置において、
前記放射性廃液は、少なくとも2種類以上の異なるpHの放射性廃液により構成され、
前記槽は、前記少なくとも2種類以上の異なるpHの放射性廃液が格納された少なくとも2個の槽を備え
前記廃液供給機構は、前記少なくとも2個の槽に格納された前記放射性廃液を任意の比率で混合し、混合した放射性廃液を前記選定吸着塔に供給す
ことを特徴とする放射性廃液の処理装置。
【請求項5】
放射性物質を含む放射性廃液と、前記放射性廃液を格納する槽と、前記放射性廃液のpHを測定するpH測定機構と、前記放射性物質を吸着する吸着剤であって、高い吸着性能を実現する前記放射性廃液のpHの範囲である好適pH範囲が異なる少なくとも2種類の吸着剤と、前記吸着剤をそれぞれに充填した少なくとも2個の吸着塔と、前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHに対して、高い吸着性能を示す吸着剤を選定する吸着剤選定機構と、
前記吸着剤選定機構が選定した吸着剤が充填された吸着塔に、前記槽に格納された前記放射性廃液を供給する廃液供給機構とを備えた放射性廃液の処理装置において、
前記槽に格納された前記放射性廃液の塩分濃度を測定する塩分濃度測定機構を更に備え、
前記吸着剤選定機構は、前記pH測定機構が測定した前記放射性廃液のpHと、前記塩分濃度測定機構が測定した前記放射性廃液の塩分濃度に応じて高い吸着性能を示す吸着剤を選定する
ことを特徴とする放射性廃液の処理装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載の放射性廃液の処理装置において、
前記槽の前段、前記吸着塔の後段の少なくとも1箇所に、ろ過処理装置、吸着剤を充填した吸着塔、酸の添加装置、攪拌装置、脱気装置のなかから少なくとも1種類の処理装置を備える
ことを特徴とする放射性廃液の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射性廃液の処理方法及び処理装置に係り、更に詳しくは、放射性物質を含む廃液、地下水、海水、雨水などから放射性物質を除去する放射性廃液の処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等において発生する放射性物質を含む廃液の処理方法の一つに、吸着剤として無機固体およびイオン交換樹脂等を使用して、放射性物質を吸着除去する方法がある。この方法で使用される吸着剤は、放射性物質を吸着した後に放射性廃棄物として処理する必要があるので、吸着性能を向上させて処理効率を高めることが求められる。
【0003】
吸着剤の処理効率を高めるために、廃液の液性を規定範囲内に調整する方法がある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、セレンを含有する排水からセレンを除去する方法に関し、希土類化合物を含む吸着剤に対して排水をpH1.0以上4.5未満に調整して接触させる。排水のpHを調整することで、排水中から4価及び6価のセレンを効果的に吸着除去できる。
【0004】
一方、吸着剤に対して吸着性能の指標である分配係数(Kd)のpH依存性が非特許文献1と非特許文献2と非特許文献3に示されている。
非特許文献1では、吸着剤として種々のゼオライトを用いた場合のCs(セシウム)に対する分配係数(Kd)が公開されており、ゼオライトの種類により好適pHが異なる事が公開されている。また、非特許文献2では、市販の無機吸着剤であるチタン酸塩を母材としたSrトリートのSr(ストロンチウム)に対する分配係数(Kd)が公開されている。Srトリートは塩基性では高いKdを示すが、酸性〜中性領域ではKdが大幅に低下する。さらに、非特許文献3では、無機吸着剤であるアンチモン酸塩、チタンケイ酸塩、SrトリートのSrに対するKdが公開されている。塩基性領域(pH10〜)でアンチモン酸塩はKdが低下傾向にあるのに対し、チタンケイ酸およびSrトリートは中性〜塩基性でKdが大幅に増加することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−78711号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】三村 均,菅野 卓治:Na型およびH型ゼオライトに対するCs,Sr,Ce,EuおよびTbの分配,東北大学選錬研究所報告 第774号(1978)
【非特許文献2】Jukka Lehto et al.:Sr Treat-A highly effective ion exchanger for the removal of radioactive strontium from nuclear waste solutions:Radioactive waste management and environmental remediation:p. 245- 248(1997)
【非特許文献3】Teresia Moller:Selective crystalline inorganic materials as ion exchangers in the treatment of nuclear waste solutions:Helsinki大学博士論文(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、廃液処理に用いられる吸着剤は、廃液のpHの値によってその吸着性能が変化する。吸着性能が低下するpH値の廃液を、その吸着剤で処理する場合には、大量の吸着剤が必要となり、処理後の廃棄物量が増大するという問題がある。
【0008】
廃液の処理効率を保持するために、廃液のpH調整を行う場合には、設備配管の腐食や、共存成分の析出と放射性物質の収着といった新たな課題が生じる。例えば、酸性廃液で高い吸着性能を示す吸着剤を使用して、塩基性の廃液を処理する場合には、この廃液に塩酸等の酸を注入してpHを下げる必要がある。この場合には、耐酸性のタンクや、注入機構の設置が必要となる。また、廃液への酸の注入は、局所的な添加となるので、廃液処理装置内で配管腐食が発生する虞がある。
【0009】
一方、塩基性廃液で高い吸着性能を示す吸着剤を使用して、酸性の廃液を処理する場合には、水酸化ナトリウム等の塩基性物質またはその水溶液を廃液に添加する。これに伴い、特に注入場所付近では急激にpHが上昇し、炭酸塩類等の共存物質の析出が起きる。加えて、共存物質の析出に同伴し、放射性物質が収着する虞がある。
【0010】
ところで、イオン交換作用を利用した吸着剤を廃液処理に用いる場合は、イオン交換反応は可逆反応であるため、液性の変化に伴い捕捉したイオンを廃液中に放出することに留意する。例えば、被処理廃液の種類や上段での処理の変化により、流入する廃液のpHが経時的に変化する場合には、吸着した放射性物質の放出を防ぐ手段が必要になり、例えば、廃液のpHを維持する制御が行われる。
【0011】
本発明は上述した事柄に基づいてなされたものであって、その目的は、放射性廃液のpH調整によらず吸着剤を有効に利用し、配管腐食や共存成分の析出と放射性物質の収着を抑制し、廃液pHが変化した際の放射性物質の放出を防ぐ放射性廃液の処理方法及び処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、放射性物質を含む放射性廃液と、前記放射性物質を吸着する吸着剤であって、高い吸着性能を実現する前記放射性廃液のpHの範囲である好適pH範囲が異なる少なくとも2種類の吸着剤と、前記放射性廃液のpHを測定するpH測定機構とを備えた放射性廃液の処理装置の処理方法において、前記pH測定機構で前記放射性廃液のpHを測定する工程と、測定した前記放射性廃液のpHに応じて、前記吸着剤を少なくとも1種類以上使用して前記放射性廃液を処理する工程とを備え、前記放射性廃液の処理装置は、前記放射性廃液のpHが変化した際に、使用している前記吸着剤を他の吸着剤に変更する吸着剤選定機構を更に備え、変化前の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能を演算する工程と、変化後の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能を演算する工程と、変化後の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能に対する変化前の前記放射性廃液のpHにおける前記吸着剤の吸着性能の比率Rを演算する工程と、前記比率Rと予め定めた規定値とを比較する工程と、前記比率Rが前記規定値を上回る場合に前記吸着剤選定機構により使用している吸着剤を他の吸着剤に変更する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸着性能が高いpH領域の廃液で吸着剤を利用するので、吸着剤使用量およびpH調整コストの削減が可能になる。また、pH調整に伴う配管腐食や共存成分の析出と放射性物質の収着を抑制し、廃液pHが変化した際の放射性物質の放出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第1の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。
図1B】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第1の実施の形態を構成する吸着剤選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。
図2A】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態を構成する吸着剤選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。
図2B】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態における吸着剤の吸着性能のpH依存性を示す特性図である。
図3A】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。
図3B】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態を構成する吸着剤選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。
図3C】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態における吸着剤の吸着性能のpH依存性を示す特性図である。
図4A】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。
図4B】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態を構成する吸着剤及び廃液供給量選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。
図4C】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態における吸着剤の吸着性能のpH依存性を示す特性図である。
図5】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第5の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。
図6A】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。
図6B】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態を構成する吸着剤及び廃液供給量選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。
図7】本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第7の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1Aは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第1の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図、図1Bは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第1の実施の形態を構成する吸着剤選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。
【0017】
図1Aに示すように、本実施の形態を構成する放射性廃液処理装置は、放射性廃液1を格納する槽10と、放射性廃液1のpHを測定するpH測定機構11と、吸着剤選定機構12と、廃液供給機構13と、吸着剤Aを充填した第1吸着塔14Aと、吸着剤Bを充填した第2吸着塔14Bとを備えている。放射性廃液1の中の目的物質は第1吸着塔14Aまたは第2吸着塔14Bにおいて、吸着剤Aまたは吸着剤Bにより吸着除去される。
【0018】
吸着剤選定機構12は、pH測定機構11が測定した放射性廃液1のpHを入力し、予めデータベースとして格納されている吸着剤A,BのpHに対する吸着性能を基に放射性廃液1を供給する吸着塔を選定し、廃液供給機構13へ選定信号を出力する。
【0019】
廃液供給機構13は、槽10から放射性廃液1を吸い込み、吸着剤選定機構12からの選定信号に従って、第1吸着塔14Aまたは第2吸着塔14Bへ供給するポンプ20と、槽10とポンプ20とを接続する配管と、ポンプ20と第1及び第2吸着塔14A,14Bとを接続する配管とを備えている。
【0020】
次に、廃液処理装置における処理の流れを説明する。
放射性廃液1を格納している槽10において、pH測定機構11により放射性廃液1のpHを測定する。測定したpH値は、吸着剤選定機構12に送られ、吸着剤選定機構12が放射性廃液1を供給する吸着塔を選定する。
【0021】
吸着剤選定機構12は、廃液処理装置が備えている吸着剤A、BのpHに対する吸着性能をデータベースとして格納している。吸着性能としては、例えば、分配係数Kdや吸着容量Qを指標として用いる。測定した放射性廃液1のpHにおいて、吸着剤選定機構12で、廃液処理装置に備えている吸着剤の内、吸着剤Aの吸着性能が最も高いと判定された場合には廃液供給機構13を介して第1吸着塔14Aに廃液を供給する。一方、吸着剤選定機構12で吸着剤Bが適していると判定された場合には、廃液供給機構13を介して第2吸着塔14Bに廃液を供給する。放射性廃液1は第1吸着塔14Aまたは第2吸着塔14Bに通水された後、処理液2として、排出される。
【0022】
この時の放射性廃液を供給する吸着塔の選定方法に関し、酸性領域(pH〜6)で高い分配係数を持つ吸着剤を吸着剤A、塩基性領域(pH8〜)で高い分配係数を持つ吸着剤を吸着剤Bとした場合の吸着剤選定機構12の処理内容を図1Bに示す。図1Bにおいて、Kd,A(a)は、吸着剤AのpH=aにおける吸着性能を示す分配係数を示し、Kd,B(a)は、吸着剤BのpH=aにおける吸着性能を示す分配係数を示す。pH測定機構11で測定された放射性廃液1のpHがpH=aの時を例に説明する。
【0023】
吸着剤選定機構12は、pH=aにおける吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能を比較し、より高い分配係数を持つ吸着剤を選定する(ステップS11)。具体的には、Kd,A(a)>Kd,B(a)か否かを判断する。pH=aにおける吸着剤Aの吸着性能が吸着剤Bの吸着性能より高い場合にはステップS12へ進み、それ以外の場合はステップS13へ進む。
【0024】
ステップS11において、吸着剤Aの吸着性能が吸着剤Bの吸着性能より高い場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Aを選択する(ステップS12)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Aが充填された第1吸着塔14Aを選択し、廃液供給機構13のポンプ20により放射性廃液1を通水する。
【0025】
ステップS11において、吸着剤Aの吸着性能が吸着剤Bの吸着性能より高くない場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Bを選択する(ステップS13)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Bが充填された第2吸着塔14Bを選択し、廃液供給機構13のポンプ20により放射性廃液1を通水する。
【0026】
吸着剤としては、アンチモン酸や結晶性シリコチタネート、チタン酸等の無機イオン交換体、およびゼオライトが挙げられる。Csに対する吸着剤Aとしては、例えば、Na置換天然モルデナイト、Na置換合成モルデナイト、Na置換クリノプチロライト等が挙げられる。Csに対する吸着剤Bとしては、例えば、Na置換Y型ゼオライト、Na置換X型ゼオライト、Na置換A型ゼオライト等が挙げられる。
【0027】
Srに対する吸着剤Aとして、例えばアンチモン酸塩、クリノプチロライトが挙げられる。Srに対する吸着剤Bとして、例えばチタン酸塩、チタンケイ酸塩が挙げられる。
【0028】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第1の実施の形態によれば、吸着性能が高いpH領域の廃液で吸着剤を利用するので、吸着剤使用量およびpH調整コストの削減が可能になる。また、pH調整に伴う配管腐食や共存成分の析出と放射性物質の収着を抑制し、廃液pHが変化した際の放射性物質の放出を防止できる。
【実施例2】
【0029】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図2Aは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態を構成する吸着剤選定機構の処理内容を示すフローチャート図、図2Bは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態における吸着剤の吸着性能のpH依存性を示す特性図である。図2A及び2Bにおいて、図1A及び1Bに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、吸着剤選定機構12における吸着剤の選定方法が異なる。
本実施の形態においては、放射性廃液1のpHが変化した場合における吸着剤選定機構12の処理を規定した点が第1の実施の形態と異なる。具体的には、放射性廃液1のpHがpH=aからpH=bに変化した場合に、現在処理に供している吸着剤の吸着性能の変化を予想して、吸着剤の吸着性能の変化に伴う目的物質の流出を防ぐ。このため、吸着剤選定機構12は、pH測定機構11が測定した放射性廃液1のpHの履歴を記録する記録部と、後述する変化率Rを演算し、予め定めた規定値と比較する演算部と、演算部で比較した変化率Rと規定値との関係から吸着剤の選択制御を行う制御部とを備えている。
【0031】
以下に、吸着剤選定機構12での吸着剤選定方法について、吸着剤Aを使用して処理をしている最中に放射性廃液1のpHがpH=aからpH=bに変化した場合を例として説明する。
【0032】
図2Bに示すように、吸着剤Aの吸着性能(Kd,A)は、pH=aで最大値となり、pH値がaより増大あるいは減少することにより低下する。一方、吸着剤Bの吸着性能(Kd,B)は、pH<bにおいて、吸着剤Aの吸着性能(Kd,A)より低く、pH=bで、吸着剤Aの吸着性能(Kd,A)と等しくなり、pH>bにおいて、吸着剤Aの吸着性能(Kd,A)より高くなる。pH=aにおける吸着剤Aと吸着剤Bの性能を比較すると、吸着剤Aがより高い性能を示すことから、放射性廃液1がpH=aのときは、吸着剤Aを用いた処理を行う。
【0033】
ここで、放射性廃液1のpHがpH=aからpH=bまで変化した場合、吸着剤AのKdは、図2Bに示すようにKd,A(a)からKd,A(b)まで低下する。この時の変化率Rを、以下の式1により定義する。
R=Kd,A(a)/Kd,A(b)・・・・・(1)
【0034】
吸着剤選定機構12は、図2Aに示すように以下の処理を行う。
吸着剤選定機構12は、上述した式1の演算を行い、変化率Rが予め定めた規定値Xを上回るか否かを判断する(ステップS21)。具体的には、R=Kd,A(a)/Kd,A(b)>Xか否かを判断する。ここで、規定値Xは吸着剤AのKd,Aが低下して、目的物質が放射性廃液1中に流出しないことを目的に設定される。変化率Rが規定値Xを上回る場合には、ステップS22へ進み、それ以外の場合にはステップS23へ進む。
【0035】
ステップS21において、変化率Rが規定値Xを上回る場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Bを選択する(ステップS22)。具体的には、吸着剤選定機構12は、目的物質の放射性廃液1への流出を防ぐため、吸着剤Aから吸着剤Bに切り替える指令信号を廃液供給機構13に出力する。このことにより、吸着剤Bが充填された第2吸着塔14Bが選択され、廃液供給機構13のポンプ20により放射性廃液1が通水される。
【0036】
ステップS21において、変化率Rが規定値Xを上回らない場合、吸着剤選定機構12は、放射性廃液1のpH=bにおける吸着剤Aの吸着性能(Kd,A(b))と、pH=bにおける吸着剤Bの吸着性能(Kd,B(b))を比較し、より高い分配係数を持つ吸着剤を選定する(ステップS23)。具体的には、Kd,A(b)<Kd,B(b)か否かを判断する。pH=bにおける吸着剤Bの吸着性能が吸着剤Aの吸着性能より高い場合にはステップS22へ進み、それ以外の場合はステップS24へ進む。
【0037】
ステップS23において、pH=bにおける吸着剤Bの吸着性能が吸着剤Aの吸着性能より高くない場合には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Aを選択する(ステップS24)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Aの選択指令信号を廃液供給機構13に出力する。このことにより、吸着剤Aが充填された第1吸着塔14Aが選択され、廃液供給機構13のポンプ20により放射性廃液1が通水され、吸着剤の切り替えは生じない。
【0038】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第2の実施の形態によれば、放射性廃液1のpHがpH=aからpH=bに変化した場合に、現在処理に供している吸着剤の吸着性能の変化を予想するので、吸着剤の吸着性能の変化に伴う目的物質の流出を防ぐことができる。
【実施例3】
【0040】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。図3Aは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図、図3Bは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態を構成する吸着剤選定機構の処理内容を示すフローチャート図、図3Cは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態における吸着剤の吸着性能のpH依存性を示す特性図である。図3A乃至3Cにおいて、図1A乃至2Bに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、吸着剤Aを充填した第1吸着塔14Aと、吸着剤Bを充填した第2吸着塔14Bを直列に配置している点と、吸着剤選定機構12において、第1吸着塔14Aを用いた処理と、第2吸着塔14Bを用いた処理と、第1吸着塔14Aと第2吸着塔14Bを用いた処理のいずれかを選択する点が異なる。
【0042】
図3Aに示すように、本実施の形態を構成する放射性廃液処理装置の廃液供給機構13は、吸着剤選定機構12からの選定信号に従って、槽10から放射性廃液1を吸い込み、第1吸着塔14Aへ供給する第1ポンプ20Aと、槽10から放射性廃液1を吸い込み、第2吸着塔14Bへ供給する第2ポンプ20Bと、第2吸着塔14Bを通水された後の処理液2を吸い込み、第1吸着塔14Aへ供給する移送ポンプ20Tと、槽10と第1及び第2ポンプ20A,20Bとを接続する配管と、第2ポンプ20Bと第2吸着塔14B及び第1ポンプ20Aと第1吸着塔14Aを接続する配管と、移送ポンプ20Tと第2吸着塔14B及び第1吸着塔14Aを接続する配管とを備えている。
【0043】
図3Aにおいて、一点鎖線で示す配管は、吸着剤選定機構12からの指令により第1吸着塔14Aのみを用いた処理を行う場合を示し、直線で示す配管は、吸着剤選定機構12からの指令により第2吸着塔14Bのみを用いた処理を行う場合を示す、破線で示す配管は、吸着剤選定機構12からの指令により第2吸着塔14Bと第1吸着塔14Aを用いる場合を示している。
【0044】
本実施の形態においては、吸着剤Aの吸着性能が予め定めた規定値y以上にある放射性廃液1のpHの範囲と、吸着剤Bの吸着性能が予め定めた規定値y以上にある放射性廃液1のpHの範囲とを算出し、重なり合うpHの範囲において、一方の吸着剤を通水した処理液2を他方の吸着剤に通水する処理を行うことを特徴とする。
【0045】
本実施の形態における吸着剤選定機構12の吸着剤AとBの選定方法について説明する。図3Cに示すように、吸着剤Aの吸着性能(Kd,A)は、pH=a1で最大値となり、pH値がa1より増大あるいは減少することにより低下し、pH=a2のときに予め設定された規定値yと分配係数Kdが等しくなり、pH>a2で、分配係数Kdは規定値y未満に低下する。一方、吸着剤Bの吸着性能(Kd,B)は、pH=a2で最大値となり、pH値がa2より増大あるいは減少することにより低下し、pH=a1のときに予め設定された規定値yと分配係数Kdが等しくなり、pH<a1で、分配係数Kdは規定値y未満に低下する。ここで、a1<a2である。なお、吸着剤選定機構12には図3Cに示すような吸着剤AとBの吸着性能のpH依存性がデータベースとして保存されていて、これらを用いて吸着剤選定の処理を行う。なお、図3Bにおいては、放射性廃液1のpHをpH=aとして示す。
【0046】
吸着剤選定機構12は、pH=aにおける吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能が規定値yを超過するか否かを判断する(ステップS31)。例えば、放射性廃液1のpH=aが、a1<a<a2のとき、図3Cより吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能(Kd,A(a)、Kd,B(a))は、いずれも規定値yを超過する。換言すると、Kd,A(a)>y、かつ、Kd,B(a)>yか否かを判断する。pH=aにおける吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能が規定値yを超過する場合には、ステップS32へ進み、それ以外の場合にはステップS33へ進む。
【0047】
ステップS31において、吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能(Kd,A(a)、Kd,B(a))がいずれも規定値yを超過する場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤AとBを選択する(ステップS32)。具体的には、第1吸着塔14Aと第2吸着塔14Bとを用いる指令信号を廃液供給機構13に出力して、放射性廃液1を第2吸着塔14Bに通水した後、廃液供給機構13の移送ポンプ20Tにより第2吸着塔14Bからの処理液2をさらに第1吸着塔14Aに通水する処理を行う。
【0048】
ステップS31において、pH=aにおける吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能が規定値yを超過しない場合、吸着剤選定機構12は、放射性廃液1のpH=aにおける吸着剤Aの吸着性能(Kd,A(a))と、pH=aにおける吸着剤Bの吸着性能(Kd,B(a))を比較し、より高い分配係数を持つ吸着剤を選定する(ステップS33)。具体的には、Kd,A(a)<Kd,B(a)か否かを判断する。pH=aにおける吸着剤Bの吸着性能が吸着剤Aの吸着性能より高い場合にはステップS34へ進み、それ以外の場合はステップS35へ進む。
【0049】
例えば、放射性廃液1のpH=aがa>a2の時、図3Cより吸着剤Bの吸着性能のみが規定値yを超過する。この場合、吸着剤選定機構12は、ステップS34へ移行する。吸着剤選定機構12は、吸着剤Bを選択する(ステップS34)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Bが充填された第2吸着塔14Bのみを選択し、廃液供給機構13の第2ポンプ20Bにより放射性廃液1を通水する。
【0050】
ステップS33において、pH=aにおける吸着剤Bの吸着性能が吸着剤Aの吸着性能より高くない場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Aを選択する(ステップS35)。例えば、放射性廃液1のpH=aがa<a1のとき、図3Cより吸着剤Aの吸着性能のみが規定値yを超過する。この場合、吸着剤選定機構12は、ステップS35へ移行する。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Aが充填された第1吸着塔14Aのみを選択し、廃液供給機構13の第1ポンプ20Aにより放射性廃液1を通水する。
【0051】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第3の実施の形態によれば、処理液2に含まれる目的物質の濃度をより低減できる。
【実施例4】
【0053】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態を図面を用いて説明する。図4Aは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図、図4Bは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態を構成する吸着剤及び廃液供給量選定機構の処理内容を示すフローチャート図、図4Cは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態における吸着剤の吸着性能のpH依存性を示す特性図である。図4A乃至4Cにおいて、図1A乃至3Cに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0054】
本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、異なるpHの放射性廃液1A,1Bが充填された第1槽10Aと第2槽10Bを備えた点と、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aからの指令により、放射性廃液1Aと放射性廃液1Bを任意の混合比率で混合する廃液供給機構13Aを備えた点が異なる。
【0055】
図4Aに示すように、本実施の形態を構成する放射性廃液処理装置は、放射性廃液1Aを格納する第1槽10Aと、放射性廃液1AのpHを測定するpH測定機構11Aと、放射性廃液1Bを格納する第2槽10Bと、放射性廃液1BのpHを測定するpH測定機構11Bと、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aと、廃液供給機構13Aと、吸着剤Aを充填した第1吸着塔14Aと、吸着剤Bを充填した第2吸着塔14Bとを備えている。
【0056】
吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aは、pH測定機構11Aと11Bが測定した放射性廃液1A及び1BのpHを入力し、予めデータベースとして格納されている吸着剤A,BのpHに対する吸着性能を基に、放射性廃液1Aと1Bの混合比率を演算するとともに、これら放射性廃液1A,1Bや混合液を供給する吸着塔を選定し、廃液供給機構13Aへ吸着剤及び廃液供給量の選定信号を出力する。
【0057】
廃液供給機構13Aは、第1槽10Aから放射性廃液1Aを吸い込み、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aからの吸着剤及び廃液供給量の選定信号に従って、混合比率に応じた供給流量を調整可能な第1ポンプ20A’と、第2槽10Bから放射性廃液1Bを吸い込み、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aからの吸着剤及び廃液供給量の選定信号に従って、混合比率に応じた供給流量を調整可能な第2ポンプ20B’と、第1ポンプ20A’と第2ポンプ20B’の吐出した混合した放射性廃液を第1吸着塔14Aまたは第2吸着塔14Bへ供給するポンプ20と、第1槽10Aと第1ポンプ20A’、及び第2槽10Bと第2ポンプ20B’とを接続する配管と、第1ポンプ20A’と第2ポンプ20B’とポンプ20とを接続する配管と、ポンプ20と第1吸着塔14A及び第2吸着塔14Bとを接続する配管とを備えている。
【0058】
なお、混合比率に応じた供給流量を調整可能とする構成としては、例えば、2系統からの廃液を受け入れることのできる分岐を持つ管と、混合槽と、インラインミキサー等を備えても良いし、各ポンプの回転数を調整するようにしても良い。
【0059】
本実施の形態においては、第1槽10Aの放射性廃液1AのpHと、第2槽10Bの放射性廃液1BのpHとのいずれにおいても、一方の吸着剤の吸着性能が高い場合に、異なるpHの放射性廃液1A,1Bを混合してpH調整して、一方の吸着剤の吸着性能が高いpH領域で処理を行うことを特徴とする。
【0060】
本実施の形態における吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aの実施する放射性廃液1A,1Bの混合要否の判断方法について説明する。まず、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aには図4Cに示すような吸着剤AとBの吸着性能のpH依存性がデータベースとして保存されている。本実施の形態においては、第1槽10Aの放射性廃液1AのpHがpH=a3であり、第2槽10Bの放射性廃液1BのpHがpH=b3であり、a3<b3の場合を例に説明する。この場合、pH=a3からpH=b3までの領域において、吸着剤Aの分配係数Kd,Aが吸着剤Bの分配係数Kd,Bよりも高い。
【0061】
図4Bにおいて、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aは、pH=a3、pH=b3いずれにおいても吸着剤Aのほうがより高い吸着性能を示す領域であるか否かを判断する(ステップS41)。具体的には、Kd,A(a3)>Kd,B(a3)、かつ、Kd,A(b3)>Kd,B(b3)か否かを判断する。pH=a3、pH=b3いずれにおいても吸着剤Aのほうがより高い吸着性能を示す領域である場合には、ステップS42へ進み、それ以外の場合にはステップS43へ進む。
【0062】
吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aは、異なるpHの放射性廃液1Aと1Bを混合することで、pHを調整し、より吸着剤Aの吸着性能が高い領域で処理を行う(ステップS42)。具体的には、第1ポンプ20A’と第2ポンプ20B’の混合比率を調整することで、吸着剤Aの吸着性能が高いpH領域の混合放射性廃液を生成し、この混合放射性廃液をポンプ20により第1吸着塔14Aに供給する。これにより、放射性廃液1Aと放射性廃液1Bを吸着剤の吸着性能がより高いpH領域で処理することができ、吸着剤を有効利用できる。また、本実施の形態においては、放射性廃液1Aと放射性廃液1Bの混合によりpHを調整することから、急激なpHの変化が生じない。このことにより、pH調整に伴う設備の腐食や析出が生じにくい。
【0063】
ステップS41において、pH=a3、pH=b3いずれにおいても吸着剤Aのほうがより高い吸着性能を示す領域ではない場合、放射性廃液1Aと放射性廃液1Bとを別個に処理する(ステップS43)。例えば、第2槽10Bの放射性廃液1BのpHがpH=b3’であり、b3<b3’の場合であって、pH=b3’においては、吸着剤Bの分配係数Kd,Bが吸着剤Aの分配係数Kd,Aよりも高い場合、吸着剤及び廃液供給量選定機構12Aは、放射性廃液1Aと放射性廃液1Bの適した吸着剤がそれぞれ異なるので、それぞれ別個に吸着剤を通水する処理を行う。放射性廃液1Aは第1吸着塔14Aへ供給され、放射性廃液1Bは第2吸着塔14Bへ供給され、放射性廃液の混合は行われない。
【0064】
なお、ステップS41において、第1槽10Aの放射性廃液1AのpHがpH=a3’であり、第2槽10Bの放射性廃液1BのpHがpH=b3’であり、a3’<b3’であって、pH=a3’からpH=b3’までの領域において、吸着剤Bの分配係数Kd,Bが吸着剤Aの分配係数Kd,Aよりも高い場合には、ステップS42へ進み、異なるpHの放射性廃液1Aと1Bを混合することで、pHを調整し、より吸着剤Bの吸着性能が高い領域の混合放射性廃液を生成し、この混合放射性廃液をポンプ20により第2吸着塔14Bに供給して処理を行う。
【0065】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第4の実施の形態によれば、吸着剤Aおよび吸着剤Bがより高い吸着性能をもつpH領域で、放射性廃液を処理することができるので、吸着剤使用量をより低減することができる。
【実施例5】
【0067】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第5の実施の形態を図面を用いて説明する。図5は本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第5の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。図5において、図1A乃至4Cに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0068】
本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第5の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、第1吸着塔14Aとポンプ20の間に、第1ブースターポンプ20A”と第1pH緩衝塔15Aを配置し、第2吸着塔14Bとポンプ20の間に、第2ブースターポンプ20B”と第2pH緩衝塔15Bを配置し、第1及び第2ブースターポンプを制御するpH緩衝判定機構16を備えた点が異なる。
【0069】
第1ブースターポンプ20A”は、第1吸着塔14Aと一の配管で接続され、第1pH緩衝塔15Aと他の配管で接続されている。第1pH緩衝塔15Aを通過した放射性廃液1は、配管を介して第1吸着塔14Aに流入する。同様に、第2ブースターポンプ20B”は、第2吸着塔14Bと一の配管で接続され、第2pH緩衝塔15Bと他の配管で接続されている。第2pH緩衝塔15Bを通過した放射性廃液1は、配管を介して第2吸着塔14Bに流入する。
【0070】
pH緩衝判定機構16は、放射性廃液1の第1及び第2pH緩衝塔15A,Bへの通水の有無を判定するものである。具体的には、放射性廃液1のpHにおいて吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能が予め設定した規定値未満の場合に、放射性廃液1を第1及び第2pH緩衝塔15A,Bへ通水する。このことにより、放射性廃液1のpHは、吸着剤Aあるいは吸着剤Bの吸着性能が規定値を満たす範囲のpHに調整される。
【0071】
第1及び第2pH緩衝塔15A,Bは、急激なpH変化の発生とpH調整に伴う腐食や析出を防ぐ観点から、その内部に緩衝溶液や、固体の酸あるいは塩基を放出する材料(pH緩衝材)を充填して構成され、通水した放射性廃液1のpHを調整するものである。
【0072】
pH緩衝判定機構16は、放射性廃液1のpHにおいて吸着剤Aと吸着剤Bの吸着性能が規定値以上の場合には、放射性廃液1を第1及び第2pH緩衝塔15A,Bへは通水せず、吸着剤を充填した第1及び第2吸着塔14A,Bに直接通水する。このことにより、pH緩衝材の使用を最小限に抑制できる。
【0073】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第5の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第5の実施の形態によれば、吸着剤の吸着性能がより高いpH領域で処理が行え、吸着剤が有効利用できる。
【実施例6】
【0075】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態を図面を用いて説明する。図6Aは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図、図6Bは本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態を構成する吸着剤及び廃液供給量選定機構の処理内容を示すフローチャート図である。図6A及び6Bにおいて、図1A乃至5に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0076】
本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、放射性廃液1を格納する槽10に、放射性廃液1の塩分濃度(Salinity concentration)を測定する塩分濃度測定機構17を設けた点と、吸着剤Cを充填した第3吸着塔14Cと吸着剤Dを充填した第4吸着塔14Dと吸着剤Eを充填した第5吸着塔14Eと吸着剤Fを充填した第6吸着塔14Fとを設けた点と、pH測定機構11と塩分濃度測定機構17からの計測値を基に吸着剤選定機構12が放射性廃液1を供給する吸着塔を選定し、廃液供給機構13へ選定信号を出力する点が異なる。
【0077】
図6Aに示すように、本実施の形態を構成する放射性廃液処理装置の廃液供給機構13は、吸着剤選定機構12からの選定信号に従って、槽10から放射性廃液1を吸い込み第3吸着塔14Cへ供給する第3ポンプ20Cと、槽10から放射性廃液1を吸い込み第4吸着塔14Dへ供給する第4ポンプ20Dと、槽10から放射性廃液1を吸い込み第5吸着塔14Eへ供給する第5ポンプ20Eと、槽10から放射性廃液1を吸い込み第6吸着塔14Fへ供給する第6ポンプ20Fと、槽10と第3乃至第6ポンプ20C〜Fとを接続する配管と、第3乃至第6ポンプ20C〜Fと第3乃至第6吸着塔14C〜Fとをそれぞれ接続する配管とを備えている。
【0078】
塩分濃度測定機構17としては、例えば、イオン電極、電気伝導率計、イオンクロマトグラフィ、誘導結合プラズマ発光分析装置、誘導結合プラズマ質量分析装置、原子吸光光度計が用いられる。塩分濃度測定機構17では、塩分濃度、Na濃度、Cl濃度の他に、例えば、K濃度、Cs濃度、Mg濃度、Ca濃度、Sr濃度、Ba濃度等を取得しても良い。
【0079】
ところで、吸着剤の吸着性能は上述した放射性廃液1のpHの値以外にも、放射性廃液1の塩分濃度によっても変化する。本実施の形態においては、塩分濃度が高い時に適した吸着剤C,Eを充填した第3及び第5吸着塔14C,Eと、塩分濃度が低い時に適した吸着剤D,Fを充填した第4及び第6吸着塔14D,Fと備え、吸着剤C,Dの好適pH範囲を酸性側として、吸着剤E,Fの好適pH範囲を塩基性側としている。このことにより、放射性廃液1のpHおよび塩分濃度において最も高い分配係数を持つ吸着剤を充填した吸着塔を選定し、この選定した吸着塔に放射性廃液1を通水して処理を行うことを特徴とする。
【0080】
本実施の形態における吸着剤選定機構12の吸着剤C〜Fの選定方法について説明する。まず、吸着剤選定機構12には吸着剤C,D,E,Fの各pHおよび塩分濃度における目的物質の分配係数がデータベースとして保存されている。本実施の形態においては、槽10の放射性廃液1AのpHがpH=aであり、塩分濃度の値がScである場合を例に説明する。
【0081】
図6Bにおいて、吸着剤選定機構12は、放射性廃液1の塩分濃度の値Scが予め定めた規定値Zを超過しているか否かを判断する(ステップS61)。具体的には、Sc>Zか否かを判断する。放射性廃液1の塩分濃度の値Scが規定値Zを超過している場合には、ステップS62へ進み、それ以外の場合にはステップS65へ進む。
【0082】
吸着剤選定機構12は、塩分濃度が高い領域で吸着性能が高い吸着剤C,Eのうち、pH=aにおいてより高い吸着性能を示す吸着剤を選択する(ステップS62)。具体的には、Kd,C(a)<Kd,E(a)か否かを判断する。pH=aにおける吸着剤Eの吸着性能が吸着剤Cの吸着性能より高い場合にはステップS63へ進み、それ以外の場合はステップS64へ進む。
【0083】
ステップS62において、吸着剤Eの吸着性能が吸着剤Cの吸着性能より高い場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Eを選択する(ステップS63)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Eが充填された第5吸着塔14Eを選択し、廃液供給機構13の第5ポンプ20Eにより放射性廃液1を通水する。
【0084】
ステップS62において、吸着剤Eの吸着性能が吸着剤Cの吸着性能より高くない場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Cを選択する(ステップS64)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Cが充填された第3吸着塔14Cを選択し、廃液供給機構13の第3ポンプ20Cにより放射性廃液1を通水する。
【0085】
ステップS61において、放射性廃液1の塩分濃度Scが規定値Zを超過していない場合、吸着剤選定機構12は、塩分濃度が低い領域で吸着性能が高い吸着剤D,Fのうち、pH=aにおいてより高い吸着性能を示す吸着剤を選択する(ステップS65)。具体的には、Kd,D(a)<Kd,F(a)か否かを判断する。pH=aにおける吸着剤Fの吸着性能が吸着剤Dの吸着性能より高い場合にはステップS66へ進み、それ以外の場合はステップS67へ進む。
【0086】
ステップS65において、吸着剤Fの吸着性能が吸着剤Dの吸着性能より高い場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Fを選択する(ステップS66)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Fが充填された第6吸着塔14Fを選択し、廃液供給機構13の第6ポンプ20Fにより放射性廃液1を通水する。
【0087】
ステップS65において、吸着剤Fの吸着性能が吸着剤Dの吸着性能より高くない場合、吸着剤選定機構12は、吸着剤Dを選択する(ステップS67)。具体的には、吸着剤選定機構12は、吸着剤Dが充填された第4吸着塔14Dを選択し、廃液供給機構13の第4ポンプ20Dにより放射性廃液1を通水する。
【0088】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第6の実施の形態によれば、吸着剤の吸着性能がより高いpHおよび塩分濃度の領域で処理が行え、吸着剤を有効利用できる。また、共存するCaやNaなどによる吸着部位の占有が低減するので、吸着剤における吸着部位の占有による目的物質の吸着性能の低下を抑制できる。
【実施例7】
【0090】
以下、本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第7の実施の形態を図面を用いて説明する。図7は本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第7の実施の形態を構成する放射性廃液処理装置を示す概念図である。図7において、図1A乃至6Bに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第7の実施の形態は、大略第1乃至第6のいずれかの実施の形態に加えて、処理設備18による処理を併用して行う点が異なる。図7に示すように、本実施の形態を構成する放射性廃液処理装置の槽10の前段に設置する処理設備18A、吸着塔14C、14D、14E、14Fの後段に設置する処理設備18Bのいずれか、あるいはその両方で放射性廃液1または2次処理液2Aを処理する。
【0092】
処理設備18Aまたは18Bとしては、例えば、MF(Microfiltration Membrane)膜、RO(Reverse Osmosis)膜、コロイド除去フィルタによるろ過処理装置、吸着剤を充填した吸着塔、酸の添加装置、攪拌装置、脱気装置を単独あるいは組み合わせたものが用いられる。吸着塔に充填する吸着剤は、例えば、イオン交換樹脂、キレート樹脂、活性炭、ゼオライトなどが使用できる。処理設備18では、放射性廃液および処理液中から、イオンの状態の放射性物質、放射性物質を含む錯体、有機物、炭酸イオン、無機塩類を除去する。
【0093】
放射性廃液1は処理設備18Aに通水された後、1次処理液3として槽10に移送される。槽10に移送された1次処理液は第1乃至第6のいずれかの実施の形態で処理される。なお、図7では一例として1次処理液3を第6の実施の形態で処理する場合を記載した。吸着塔14C、14D、14E、14Fのいずれかに通水された1次処理液3は、2次処理液2Aとしてポンプ20Gを通り、処理設備18Bに移送される。処理設備18Bでは2次処理液2Aを通水して処理液2Bを得る。
【0094】
上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第7の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、上述した本発明の放射性廃液の処理方法及び処理装置の第7の実施の形態によれば、吸着剤の吸着性能がより高い液性で処理が行えるため、吸着剤が有効利用できる。また、吸着剤で除去できない物質や、処理液中に残留している放射性物質の濃度をより低下させることができる。
【0096】
なお、本発明は上述した第1乃至第7の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0097】
1,1A,1B:放射性廃液、2,2B:処理液、2A:2次処理液、3:1次処理液、10:槽、10A:第1槽、10B:第2槽、11:pH測定機構、12:吸着剤選定機構、12A:吸着剤及び廃液供給量選定機構、13,13A:廃液供給機構、14A:第1吸着塔、14B:第2吸着塔、14C:第3吸着塔、14D:第4吸着塔、14E:第5吸着塔、14F:第6吸着塔、15A:第1pH緩衝塔、15B:第2pH緩衝塔、16:pH緩衝判定機構、17:塩分濃度測定機構、20:ポンプ、20A:第1ポンプ、20B:第2ポンプ、20C:第3ポンプ、20D:第4ポンプ、20E:第5ポンプ、20F:第6ポンプ、20T:移送ポンプ、20A’:混合比率に応じた供給流量を調整可能な第1ポンプ、20B’:混合比率に応じた供給流量を調整可能な第2ポンプ、20A”:第1ブースターポンプ、20B”:第2ブースターポンプ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7