特許第6656122号(P6656122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656122
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】通信位置特定プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20200220BHJP
   H04M 1/247 20060101ALI20200220BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20200220BHJP
   G06K 7/015 20060101ALI20200220BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20200220BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20200220BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20200220BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   H04M1/00 U
   H04M1/247
   H04B5/02
   G06K7/015
   G06K7/10 100
   G06K19/07 230
   G06K19/077 104
   A47J27/00 109Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-171985(P2016-171985)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-37992(P2018-37992A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 直也
(72)【発明者】
【氏名】守岩 和秋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康之
(72)【発明者】
【氏名】大竹 彩斗
【審査官】 大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−211577(JP,A)
【文献】 特開2014−197368(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0062158(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04B 5/00
G06K 7/00
G06K 19/00
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接無線通信を行う端末側アンテナを有する携帯端末で実行可能な通信位置特定プログラムであって、
前記携帯端末の表示部に、前記携帯端末を複数のエリアに分割した状態を表示する分割状態表示ステップと、
前記複数のエリアのうちの1つのエリアを前記表示部に表示するエリア表示ステップと、
近接無線通信を介した通信相手である外部機器に、前記エリア表示ステップで前記表示部に表示された前記携帯端末の前記エリアをかざすとき、前記外部機器の機器側アンテナが発し、前記端末側アンテナが受信する磁界の磁界強度を取得する取得ステップと、
前記携帯端末と前記外部機器との間で通信が正常終了したか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで正常終了と判断されたら、前記取得ステップで取得した磁界強度を記憶する記憶ステップと、
前記携帯端末のかざす前記エリアを変更すること促すメッセージを前記表示部に表示するメッセージ表示ステップと、
前記複数のエリアのすべてについて、前記エリア表示ステップと前記取得ステップと前記判断ステップと前記記憶ステップとを実行した後、前記記憶ステップで記憶された磁界強度のうち、最も強い磁界強度を取得したときの前記エリアに基づいて前記外部機器に対する前記携帯端末の通信位置を特定し、前記携帯端末の前記表示部に当該位置を表示する通信位置表示ステップとを含んでいる通信位置特定プログラム。
【請求項2】
近接無線通信を行う端末側アンテナを有する携帯端末で実行可能な通信位置特定プログラムであって、
近接無線通信を介した通信相手である外部機器に前記携帯端末をかざしたとき、前記外部機器の機器側アンテナが発し、前記端末側アンテナが受信する磁界の磁界強度を取得する取得ステップと、
前記携帯端末と前記外部機器との間で通信が正常終了したか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで正常終了と判断されたら、前記取得ステップで取得した磁界強度を記憶する記憶ステップと、
前記外部機器において前記機器側アンテナが配設されている面の全域にわたって前記携帯端末がかざされ、前記取得ステップと前記判断ステップと前記記憶ステップとが実行された後、前記記憶ステップで記憶された磁界強度のうち、最も強い磁界強度を取得したときの前記携帯端末と前記外部機器との相対的位置関係を特定し、当該位置を通信位置として前記携帯端末の表示部に表示する通信位置表示ステップとを含んでいる通信位置特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信でデータの送受信を行う携帯端末と機器との間で送受信の開始前に実行される通信位置の特定処理に関する通信位置特定プログラムである。
【背景技術】
【0002】
従来、NFC(Near Field radio Communication、近距離無線通信)を用いて、携帯端末と外部機器との間でデータの送受信を行う技術が提案されている。例えば携帯端末にダウンロードしたアプリケーションで家電機器の動作内容を設定し、携帯端末を家電機器にかざすことにより、家電機器を携帯端末で設定した動作内容に従って動作させることができる。このようなNFCを用いたデータの送受信を行うためには、携帯端末のアンテナと家電機器のアンテナとを接近させ、通信を確立することが行われる。そのためには、携帯端末および家電機器の双方のアンテナ位置を特定しなければならない。携帯端末のアンテナの位置は、携帯端末毎に異なっている。携帯端末側のアンテナ位置が分からないと、携帯端末を家電機器にかざしても、通信を確立できないことがある。そこで、携帯端末のアンテナ位置を遠距離無線通信で接続可能なサーバーマシンに記憶させておき、家電機器にかざすとき、サーバーマシンからアンテナ位置の情報を読み出し、使用者へ報知するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5789610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯端末は短いサイクルで新機種が発売される。従って、携帯端末の全機種について、それぞれのアンテナ位置に関するデータをサーバーマシンで管理するのは困難である。
【0005】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、近接無線通信を利用してデータを送受信することが可能な携帯端末と外部機器の通信位置の特定を容易にする通信位置特定プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明に係る通信位置特定プログラムは、近接無線通信を行う端末側アンテナを有する携帯端末で実行可能な通信位置特定プログラムであって、前記携帯端末の表示部に、前記携帯端末を複数のエリアに分割した状態を表示する分割状態表示ステップと、前記複数のエリアのうちの1つのエリアを前記表示部に表示するエリア表示ステップと、近接無線通信を介した通信相手である外部機器に、前記エリア表示ステップで前記表示部に表示された前記携帯端末の前記エリアをかざすとき、前記外部機器の機器側アンテナが発し、前記端末側アンテナが受信する磁界の磁界強度を取得する取得ステップと、前記携帯端末と前記外部機器との間で通信が正常終了したか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップで正常終了と判断されたら、前記取得ステップで取得した磁界強度を記憶する記憶ステップと、前記携帯端末のかざす前記エリアを変更すること促すメッセージを前記表示部に表示するメッセージ表示ステップと、前記複数のエリアのすべてについて、前記エリア表示ステップと前記取得ステップと前記判断ステップと前記記憶ステップとを実行した後、前記記憶ステップで記憶された磁界強度のうち、最も強い磁界強度を取得したときの前記エリアに基づいて前記外部機器に対する前記携帯端末の通信位置を特定し、前記携帯端末の前記表示部に当該位置を表示する通信位置表示ステップとを含んでいる。
【0010】
また、本発明に係る通信位置特定プログラムは、近接無線通信を行う端末側アンテナを有する携帯端末で実行可能な通信位置特定プログラムであって、近接無線通信を介した通信相手である外部機器に前記携帯端末をかざしたとき、前記外部機器の機器側アンテナが発し、前記端末側アンテナが受信する磁界の磁界強度を取得する取得ステップと、前記携帯端末と前記外部機器との間で通信が正常終了したか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップで正常終了と判断されたら、前記取得ステップで取得した磁界強度を記憶する記憶ステップと、前記外部機器において前記機器側アンテナが配設されている面の全域にわたって前記携帯端末がかざされ、前記取得ステップと前記判断ステップと前記記憶ステップとが実行された後、前記記憶ステップで記憶された磁界強度のうち、最も強い磁界強度を取得したときの前記携帯端末と前記外部機器との相対的位置関係を特定し、当該位置を通信位置として前記携帯端末の表示部に表示する通信位置表示ステップとを含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯端末を外部機器にかざしたとき、外部機器から発信される電磁波の磁界の磁界強度に基づいて、近接無線通信における携帯端末と外部機器の通信位置が特定される。従って、携帯端末と外部機器との間で、容易に近接無線通信を確立することができる。また、携帯端末および外部機器の全機種について、アンテナ位置の情報を管理する必要がなく、使用者の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る携帯端末を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る通信位置特定システムのブロック図である。
図4】携帯端末のアンテナと炊飯器のアンテナとの相対的位置と、磁界強度との関係を示すグラフである。
図5】機器側アンテナに対して端末側アンテナの投影した状態を模式的に示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る通信位置確認方法の手順を示すフローチャートである。
図7図6の処理1で実行される通信位置特定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】スマートフォンのエリア分割の一例を示す図である。
図9】携帯端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図10図6の処理2で実行される通信位置特定処理の手順を示すフローチャートである。
図11】外部機器に対する携帯端末のタッチ位置の変遷の一例を示す図である。
図12】外部機器に対する携帯端末のタッチ位置の態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の通信位置特定システムの好適な実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面における各構成部材の大きさ、形状は、説明のためにわかりやすく表しており、実際の大きさ、形状と異なる場合がある。
【0014】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯端末を示す図である。図1(a)は携帯端末の正面図、図1(b)は裏面図である。本実施の形態の携帯端末はスマートフォンである。図1(a)に示されるように、スマートフォン1の正面11には表示部12が設けられている。表示部12には、各種操作パネル、各種データが表示される。スマートフォン1の略中央のエリアには、NFCによる通信に使用される端末側アンテナ14が配設されている。なお、図1(b)において、端末側アンテナ14は、スマートフォン1における位置を示すために裏面13中に実線で描かれているが、実際にはスマートフォン1の内部に埋め込まれている。従って、ユーザは端末側アンテナ14を外部から視認することはできない。裏面13の左上の角部近傍に、カメラ15が配設されている。カメラ15により取得される画像は、動画あるいは静止画として表示部12に表示可能である。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面図である。炊飯器2の上面20において、下方側に表示パネル21が設けられている。表示パネル21の左右には、炊飯に関する各種設定を行うためのスイッチ群22および23が配置されている。スイッチ群22および23で設定された内容や炊きあがりに関する各種情報が、適宜、表示パネル21に表示される。炊飯器2の上面20において、スイッチ群23の上方には、NFCによる通信に使用される機器側アンテナ24が配設されている。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態に係る通信位置特定システムのブロック図である。スマートフォン1の端末側アンテナ14と、炊飯器2の機器側アンテナ24との間でNFCによるデータの送受信が行われる。スマートフォン1の端末制御手段100は、スマートフォン1を全体的に制御する。メモリ102には、スマートフォン1で実行可能な各種プログラム、各種データが記憶されている。端末制御手段100は、メモリ102に記憶されているプログラムを実行し、近接通信制御部101、通信位置特定部103、カメラ15を制御する。カメラ15により取得された画像データは端末制御手段100を介してメモリ102に記憶される。
【0017】
炊飯器2の機器制御手段200は、炊飯器2を全体的に制御する。機器制御手段200は、スイッチ群22および23から入力される操作情報に基づいて、調理を実行するとともに、調理に関する各種情報を表示パネル21に表示する。近接通信制御部201は、機器制御手段200の制御に基づいて機器側アンテナ24を制御し、データの送受信を実行する。スマートフォン1が炊飯器2にかざされ、端末側アンテナ14が機器側アンテナ24に近づけられると、機器側アンテナ24は電磁波の磁界を発信する。
【0018】
機器側アンテナ24が発信する磁界は、スマートフォン1の端末側アンテナ14で受信される。スマートフォン1の近接通信制御部101は、端末側アンテナ14が受信した磁界の磁界強度を端末制御手段100に出力する。端末制御手段100は、近接通信制御部101から入力した磁界強度をメモリ102に記憶させる。通信位置特定部103は、磁界強度に基づいて、スマートフォン1および炊飯器2の通信位置を特定する。通信位置特定部103により特定された通信位置は、端末制御手段100の制御により表示部12に表示される。
【0019】
ここで、スマートフォン1と炊飯器2との間に通信位置について説明する。以降の説明において、スマートフォン1の裏面13の面上において、端末側アンテナ14を原点とする二次元座標を端末側XY座標とし、炊飯器2の上面20と略平行な面上において、機器側アンテナ24を原点とする二次元座標を機器側XY座標とする。また、端末側XY座標および機器側XY座標の原点が一致しているとき、当該原点に直交する座標をZ座標とする。また、X座標に平行な方向をX方向、Y座標に平行な方向をY方向、Z座標に平行な方向をZ方向とする。
【0020】
図4は、携帯端末のアンテナと炊飯器のアンテナとの相対的位置と、磁界強度との関係を示すグラフである。図4のグラフは、横軸に機器側アンテナ24と端末側アンテナ14のX方向におけるズレ量、すなわちX方向における距離をとり、縦軸に磁界強度をとっている。端末側XY座標と機器側XY座標のX座標が一致しており、機器側アンテナ24と端末側アンテナ14のX方向におけるズレ量が0のとき、磁界強度は最も強い。機器側アンテナ24と端末側アンテナ14のX方向におけるズレ量が大きくなるほど、磁界強度は弱くなる。この磁界強度に関する特性は、Y方向においても同様である。従って、スマートフォン1を炊飯器2に近づけたとき、炊飯器2の機器側アンテナ24とスマートフォン1の端末側アンテナ14のX座標およびY座標が一致していて、機器側アンテナ24と端末側アンテナ14との間の距離、すなわちZ方向における相対的位置が近いほど磁界強度は強くなる。
【0021】
スマートフォン1と炊飯器2の距離はスマートフォン1および炊飯器2の外形形状に依存する。換言すると、スマートフォン1を炊飯器2に接触させる操作をした場合、Z方向における相対的位置は、操作者によらず略一定と考えてよい。そうすると、XY座標で最も磁界強度の強い場所が、機器側アンテナ24と端末側アンテナ14との間の通信に最も適した位置となる。基本的には、機器側アンテナ24に対して端末側アンテナ14の投影面積が一番大きくなる位置が最も磁界強度が強く、通信に適している。換言すると、機器側アンテナ24と端末側アンテナ14のXY座標が一致していても、XY平面上の回転角度によって磁界強度は変化する。
【0022】
図5は、機器側アンテナに対して端末側アンテナの投影した状態を模式的に示す図である。図5(a)および(b)は、端末側アンテナ14および機器側アンテナ24の形状が同じ正方形で、同一の大きさである場合を示している。図5(c)および(d)は、端末側アンテナ14に対し機器側アンテナ24の大きさが十分大きい場合を示している。端末側アンテナ14および機器側アンテナ24の形状が同じ正方形で、同一の大きさである場合、図5(a)および(b)に示すように、機器側アンテナ24に対する端末側アンテナ14の角度により、機器側アンテナ24に対して端末側アンテナ14を投影したときの面積は変化する。機器側アンテナ24に対する端末側アンテナ14の角度が0度、90度、180度、270度のとき、機器側アンテナ24に対して端末側アンテナ14を投影したときの面積は、双方のアンテナの面積に一致するため、磁界強度は最強となる。また、図5(a)に示されるように、機器側アンテナ24に対する端末側アンテナ14の角度が45度、135度、225度、315度のとき、機器側アンテナ24に対して端末側アンテナ14を投影したときの面積は最小となり、磁界強度は最弱となる。端末側アンテナ14の大きさに対して機器側アンテナ24の大きさが十分に大きい場合は、図5(c)および(d)に示されるように、機器側アンテナ24に対して端末側アンテナ14を投影したときの面積は同一である。従って、回転による磁界強度の強弱に影響は無い。
【0023】
図6は、本発明の実施の形態に係る通信位置確認方法の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートには、スマートフォン1の使用者による操作と、使用者の操作に起因してスマートフォン1の端末制御手段100で実行されるプログラムの処理とが示されている。スマートフォン1の使用者が炊飯器2の機種を分かっている場合(ステップS10でYES)、使用者はステップS11において、炊飯器2の機種名をスマートフォン1に入力する。炊飯器2の機種名が入力されると、端末制御手段100は、ステップS12において、表示部12に炊飯器2の機器側アンテナ24を表示する。
【0024】
使用者がスマートフォン1の端末側アンテナ14の位置を分かっている場合(ステップS13でYES)、使用者は、ステップS14において、端末側アンテナ14を機器側アンテナ24に近づける操作をする。ステップS15において、端末制御手段100は、端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常に完了したか否かチェックする。通信が正常に完了したことが確認されたら、ステップS16へ進む。通信が正常に完了していないことが確認された場合は、ステップS15の処理が繰り返される。
【0025】
ステップS16において、端末制御手段100は、通信の正常完了、すなわち通信成功の回数が規定値以上に達したか否かチェックする。通信成功の回数が規定値以上に達したことが確認されたら、スマートフォン1と炊飯器2のNFCによる通信位置が特定されたと判断できるので、通信位置確認の手順は終了する。通信成功の回数が規定値以上に達していない場合は、使用者によるステップS14の操作、および端末制御手段100によるステップS15およびS16の処理が繰り返される。
【0026】
使用者が、炊飯器2の機種名は分かっているが、スマートフォン1の端末側アンテナ14の位置は分かっていない場合(ステップS13でNO)、端末制御手段100は、ステップS17において処理1を実行する。
【0027】
図7は、図6の処理1で実行される通信位置特定処理の手順を示すフローチャートである。ステップS171において、端末制御手段100は、スマートフォン1をN個のエリアに分割した状態を表示部12に表示する。図8は、スマートフォンのエリア分割の一例を示す図である。図8に示されるように、本実施の形態においては、スマートフォン1のエリアを9個に分割するものとする。次いで、ステップS172において、初期化処理が実行され、変数nに1がセットされる。ステップS173で、変数nの値のエリアと、変数nのエリアを炊飯器2の機器側アンテナ24にタッチすることを促すメッセージとを表示部12に表示する。図9は、携帯端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。変数nに1がセットされているとき、図9(a)に示すように、第1エリアに相当する部分のみを網掛けにしたスマートフォン1の正面11の全体図と、網掛けの部分を炊飯器2の機器側アンテナ24にタッチすることを促すメッセージとが表示部12に表示される。
【0028】
使用者が第nエリアを炊飯器2の機器側アンテナ24にタッチしたら、ステップS174において、端末制御手段100は、機器側アンテナ24が発信し、端末側アンテナ14が受信した磁界の磁界強度を取得する。次いで、ステップS175で、第nエリアを炊飯器2の機器側アンテナ24にタッチした状態で、端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了したか否かチェックする。端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了したことが確認されたら、ステップS176へ進む。端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了していない場合は、ステップS175の処理が繰り返される。
【0029】
ステップS176において、端末制御手段100は、ステップS174で取得した磁界強度をメモリ102に記憶する。次いでステップS177へ進み、変数nの値を1インクリメントする。ステップS178で、端末制御手段100は、変数nの値がN、すなわちスマートフォン1を分割したエリアの総数を超えているか否かチェックする。本実施の形態では、変数nの値が9を超えているか否かがチェックされる。変数nの値が分割したエリアの総数を超えていないことが確認されたらステップS173へ戻り、ステップS173〜S177の処理が繰り返される。
【0030】
例えば、ステップS177で変数nの値が1インクリメントされ、2となったとき、ステップS178において、エリアの総数9を超えていないことが確認される。その結果、ステップS173の処理により、図9(b)に示すように、第2エリアに相当する部分のみを網掛けにしたスマートフォン1の正面11の全体図と、網掛けの部分を炊飯器2の機器側アンテナ24にタッチすることを促すメッセージとが表示部12に表示される。そして、ステップS174で第2エリアを炊飯器2の機器側アンテナ24にタッチした状態で、機器側アンテナ24が発信し、端末側アンテナ14が受信した磁界強度が取得され、端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了したら、ステップS176で、取得した磁界強度をメモリ102に記憶する。以上の処理が、変数nの値が分割したエリアの総数を超えるまで繰り返される。すなわち、分割されたエリアの全てについて、ステップS173〜S176の処理が実行される。
【0031】
ステップS178において、変数nの値が分割したエリアの総数を超えたことが確認されたら、ステップS179へ進む。ステップS179では、端末制御手段100は、メモリ102に記憶されている磁界強度のうち最も強い磁界強度を特定する。そして、最も強い磁界強度を取得したときに、機器側アンテナ24にタッチされていたエリアを、通信位置として表示部12に表示する。以上で、処理1の処理は終了し、図6のフローチャートのステップS14へリターンする。
【0032】
ここで、再び図6を参照すると、スマートフォン1の使用者が炊飯器2の機種を分からず、炊飯器2の機種名が入力されない場合(ステップS10でNO)、ステップS18において、端末制御手段100は、スマートフォン1の表示部12に炊飯器2の上面のタッチ位置を表示する。使用者が表示部12に表示された内容により炊飯器2の機器側アンテナ24の位置を把握した場合(ステップS19でYES)、ステップS13へ進む。以降の処理は上述の通りである。一方、使用者が表示部12に表示された内容によっても炊飯器2の機器側アンテナ24の位置が把握できない場合(ステップS19でNO)、ステップS20において処理2が実行される。
【0033】
図10は、図6の処理2で実行される通信位置特定処理の手順を示すフローチャートである。ステップS201で、端末制御手段100は、スマートフォン1を炊飯器2にタッチすることを促すメッセージを表示部12に表示する。次いで、ステップS201において、端末制御手段100は、スマートフォン1が炊飯器2にタッチされたとき、機器側アンテナ24が発信し端末側アンテナ14が受信した磁界の磁界強度を取得する。
【0034】
ステップS203において、端末制御手段100は、端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了したか否かをチェックする。端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了したことが確認されたら、ステップS204へ進む。端末側アンテナ14と機器側アンテナ24との間の通信が正常終了しないうちは、ステップS203の処理が繰り返される。
【0035】
ステップS204において、端末制御手段100は、ステップS202で取得した磁界強度をメモリ102に記憶する。次いで、ステップS205へ進み、端末制御手段100は、炊飯器2の上面の全てのエリアをタッチしたか否かを確認するメッセージを表示部12に表示する。スマートフォン1で炊飯器2の上面の全てのエリアをタッチしていないことが確認されたら、ステップS206へ進む。ステップS206では、端末制御手段100は、タッチ位置の変更を促すメッセージを表示部12に表示する。その後、ステップS202へ戻り、ステップS202〜S205の処理が繰り返される。図11は、外部機器に対する携帯端末のタッチ位置の変遷の一例を示す図である。ステップS202〜S205の処理が繰り返されることにより、使用者はスマートフォン1を図11において矢印で示すようにタッチ位置をずらしていくよう誘導される。
【0036】
ステップS205で、スマートフォン1で炊飯器2の上面の全てのエリアをタッチしたことが確認されたら、ステップS207へ進む。ステップS207では、端末制御手段100は、メモリ102に記憶されている磁界強度のうち最も強い磁界強度を特定する。そして、最も強い磁界強度を取得したときに、スマートフォン1がタッチしていた、炊飯器2の上面の位置を、通信位置として表示部12に表示する。以上で、処理2の処理は終了し、図6のフローチャートのステップS14へリターンする。
【0037】
以上のように、近接無線通信を実行可能な携帯端末と、近接無線通信を介して携帯端末と通信可能な外部機器とを備え、スマートフォン1を炊飯器2にかざしたとき、炊飯器2の機器側アンテナ24が発信し、スマートフォン1の端末側アンテナ14で受信する磁界強度を取得し、最も強い磁界強度を取得したときのスマートフォン1と炊飯器2との相対的位置関係に基づいて、NFCを利用するときのスマートフォン1および炊飯器2の少なくとも一方の通信位置が特定される。従って、使用者が端末側アンテナ14や機器側アンテナ24の位置を把握していなくても、容易にスマートフォン1および炊飯器2との間の通信を確立することができる。
【0038】
また、スマートフォン1や炊飯器2として新たな機種を使用開始するとき、使用者はサーバーマシンに新たな機種に関する情報をアップデートする処理を行う必要が無い。従って、使用者に負担をかけることなく、新たな機種によるNFCによる通信を確立することができる。
【0039】
NFCを介して外部機器と通信可能なスマートフォン1は、外部機器である炊飯器2にかざしたとき、炊飯器2が発した磁界を受信する端末側アンテナ14と、最も強い磁界強度を取得したときの炊飯器2との相対的位置関係に基づいて、NFCを利用するときのスマートフォン1および炊飯器2の少なくとも一方の通信位置を特定する通信位置特定部103とを備えている。従って、使用者が端末側アンテナ14や機器側アンテナ24の位置を把握していなくても、容易にスマートフォン1および炊飯器2との間の通信を確立することができる。
【0040】
本実施の形態の処理1において、スマートフォン1を9つのエリアに分割して処理を実行しているが、分割するエリアの数は9に限られない。
【0041】
本実施の形態の処理1のプログラムによれば、スマートフォン1を複数のエリアに分割し、各エリアを炊飯器2の機器側アンテナ24に近づけたとき、スマートフォン1の端末側アンテナ14が受信した磁界のそれぞれの磁界強度を記憶している。そして、最も強い磁界強度を特定し、最も強い磁界強度を取得したときのスマートフォン1と炊飯器2との相対的位置に基づいて、通信位置を特定している。従って、使用者がスマートフォン1の端末側アンテナ14の位置を把握していなくても、スマートフォン1と炊飯器2との間でNFCによる通信を容易に確立することができる。
【0042】
本実施の形態の処理2のプログラムによれば、炊飯器2において機器側アンテナ24が配設されている面にスマートフォン1がかざされたとき、機器側アンテナ24が発信し、端末側アンテナ14が受信した磁界の磁界強度が記憶される。そして、炊飯器2において機器側アンテナ24が配設されている面の全域にわたって、スマートフォン1がかざされたら、記憶されている磁界強度のうち最も強い磁界強度を特定し、最も強い磁界強度を取得したときのスマートフォン1と炊飯器2との相対的位置に基づいて、通信位置を特定している。従って、使用者が炊飯器2の機器側アンテナ24の位置を把握していなくても、スマートフォン1と炊飯器2との間でNFCによる通信を容易に確立することができる。
【0043】
なお、使用者が、スマートフォン1の端末側アンテナ14および炊飯器2の機器側アンテナ24のいずれも把握していない場合に、処理1および処理2を組み合わせた処理を実行するよう、プログラムを構成してもよい。すなわち、スマートフォン1を複数のエリアに分割し、各エリアを炊飯器2の上面の全域にタッチさせ、炊飯器2の機器側アンテナ24が発信し、スマートフォン1の端末側アンテナ14が受信した磁界の磁界強度を記憶する。そして、処理1および処理2と同様、最も強い磁界強度を特定し、その磁界強度を取得したときのスマートフォン1と炊飯器2の通信位置を特定する。図12は、外部機器に対する携帯端末のタッチ位置の態様の一例を示す図である。図12(a)は、炊飯器2にスマートフォン1の第1エリアを近づけていることを示す数字の1が表示された状態が示され、図12(b)は、炊飯器2にスマートフォン1の第2エリアを近づけていることを示す数字の2が表示されている。
【0044】
このようにプログラムを構成すれば、スマートフォン1の全域と炊飯器2の上面の全域とをもれなくタッチさせることができるため、最適な通信位置以外の通信位置を特定することを回避することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 スマートフォン、2 炊飯器、11 正面、12 表示部、13 裏面、14 端末側アンテナ、15 カメラ、20 上面、21 表示パネル、22 スイッチ群、23 スイッチ群、24 機器側アンテナ、100 端末制御手段、101 近接通信制御部、102 メモリ、103 通信位置特定部、200 機器制御手段、201 近接通信制御部。
図1
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図12