(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656130
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】基地局装置、端末装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20200220BHJP
H04W 76/19 20180101ALI20200220BHJP
H04W 72/08 20090101ALI20200220BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20200220BHJP
【FI】
H04W72/04 132
H04W76/19
H04W72/08
H04W16/28
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-189442(P2016-189442)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-56748(P2018-56748A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】彭 海蘭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 典征
(72)【発明者】
【氏名】森脇 和也
(72)【発明者】
【氏名】末柄 恭宏
【審査官】
野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/146083(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/147602(WO,A1)
【文献】
特開2008−104167(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/080848(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0271763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの確立を試行すべき期間に関する情報を決定する決定手段であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて、前記期間に関する情報を決定する決定手段と、
前記期間に関する情報を通知する通知手段と、
を有し、
前記端末装置は、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記期間に関する情報は、タイマ値を指定する情報であり、
前記端末装置は、前記再確立の試行に成功しないまま、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生してからの時間が前記タイマ値に達した場合に、前記第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記期間に関する情報は、無線リンクの再確立の試行の回数を指定する情報であり、
前記端末装置は、前記再確立の試行が前記指定された回数だけ行われたにもかかわらず成功しなかった場合に、前記第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記第1の周波数帯において前記端末装置との間で無線リソース制御(RRC)接続を確立した際に、前記端末装置へ前記情報を通知する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項5】
端末装置であって、
前記端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて決定された前記期間に関する情報を、基地局装置から受信する受信手段と、
前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する試行手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項6】
前記期間に関する情報は、タイマ値を指定する情報であり、
前記試行手段は、前記再確立の試行に成功しないまま、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生してからの時間が前記タイマ値に達した場合に、前記第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記期間に関する情報は、無線リンクの確立の試行の回数を指定する情報であり、
前記試行手段は、前記再確立の試行が前記指定された回数だけ行われたにもかかわらず成功しなかった場合に、前記第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項8】
前記受信手段は、前記第1の周波数帯において前記基地局装置との間で無線リソース制御(RRC)接続を確立した際に、前記基地局装置から前記情報を受信する、
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記再確立に成功しないまま前記期間が経過し、前記第2の周波数帯での無線リンクを確立した場合に、当該第2の周波数帯での接続先の基地局装置に、前記第1の周波数帯でRLFが発生したことを通知する通知手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項10】
基地局装置の制御方法であって、
通知手段が、端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの確立を試行すべき期間に関する情報を決定する決定工程であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて、前記期間に関する情報を決定する決定工程と、
前記期間に関する情報を通知する通知工程と、
を有し、
前記端末装置は、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
端末装置の制御方法であって、
受信手段が、前記端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて決定された前記期間に関する情報を、基地局装置から受信する受信工程と、
試行手段が、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する試行工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの確立を試行すべき期間に関する情報を決定することであって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて、前記期間に関する情報を決定することと、
前記期間に関する情報を通知することと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記端末装置は、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
端末装置に備えられたコンピュータに、
前記端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて決定された前記期間に関する情報を、基地局装置から受信させ、
前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における接続制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクトにおいて、第5世代(以下、「5G」と呼ぶ。)の新しい無線アクセス技術が検討されている(非特許文献1参照)。5Gシステムでは、NR gNBとも称される基地局装置が、ビームフォーミングによって多数のビームを形成して、そのビームの少なくともいずれかを用いて端末装置との接続を確立することが想定されている。一方、5Gシステムでは、従来使用されていた周波数帯より高い周波数帯の電波が使用可能とされる。ここで、高い周波数帯は、例えば、広い信号周波数帯域幅の確保が可能であり大容量の通信が可能である一方で広範なカバレッジを提供することは容易でないため、都市部などの局所において高速通信サービスを提供するのに用いられうる。すなわち、高い周波数帯の電波は、遮蔽物等の影響を強く受けるため、基地局装置と端末装置との間の電波状態が急峻に劣化してしまいうる。その一方で、低い周波数帯は、確保できる信号周波数帯域幅が大きくないが、広範なカバレッジを提供することが比較的容易であるため、面的にシームレスな通信サービスを提供するのに用いられうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP寄書、R2−164306、2016年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、端末装置は、第1の周波数帯において基地局装置と通信中にそのカバレッジから外れて無線リンク障害(RLF)が生じた場合、その第1の周波数帯での通信を維持しようとはせずに第2の周波数帯での接続へと切り替えを行う。しかしながら、このように高い周波数帯から低い周波数帯へと切り替えてしまうと、低い周波数帯では端末装置が要求する通信速度を得ることができず、また、システム全体としてのスループットが低下してしまいうる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、無線通信システムにおいてスループットを向上させながら端末装置と基地局装置との間の接続を維持することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基地局装置は、端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの確立を試行すべき期間に関する情報
を決定する決定手段であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて、前記期間に関する情報を決定する決定手段と、前記期間に関する情報を通知する通知手段
と、を有し、前記端末装置は、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る端末装置は、前記端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に当該端末装置が当該第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報
であって、接続先の基地局装置によって形成されたビームのうちの前記端末装置が前記第1の周波数帯で確立している無線リンクにおいて用いられるビームのビーム幅に基づいて決定された前記期間に関する情報を、基地局装置から受信する受信手段と、前記第1の周波数帯での無線リンクにRLFが発生した場合に前記第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行し、前記再確立に成功しないまま前記期間が経過した場合に、前記第1の周波数帯より低い第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する試行手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信システムにおいてスループットを向上させながら端末装置と基地局装置との間の接続を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】基地局装置及び端末装置のハードウェア構成例を示す図。
【
図5】無線通信システムで実行される処理の流れの第1の例を示す図。
【
図6】無線通信システムで実行される処理の流れの第2の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(無線通信システムの構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本実施形態に係る無線通信システムは、例えば第5世代(5G)の移動無線通信システムであり、基地局装置(NR gNB)と、端末装置とを含んで構成される。基地局装置と端末装置との間では、無線接続が確立されて、無線信号が送信又は受信される。基地局装置は、コアネットワークと例えば有線接続され(場合によっては無線区間を含む回線によって接続され)、コアネットワークを介して、他の基地局装置(不図示)に接続する。なお、コアネットワークは、例えばゲートウェイを介して、インターネット等の外部ネットワークへと接続しており、基地局装置は、コアネットワークを介して外部ネットワークへと接続可能である。
【0012】
本実施形態の基地局装置は、内部に、通信における下位レイヤの制御を実行する第1の部分と、上位レイヤの制御を実行する第2の部分とを含んで構成される。
図1では、第1の部分をDU(Distributed Unit)/TRP(Transmission Receiver Point)によって示し、第2の部分をCU(Central Unit)によって示している。なお、以下では、第1の部分をDUと呼び、第2の部分をCUと呼ぶ。ここで、本実施形態のDUは、少なくとも物理(PHY)レイヤの制御を実行し、一方で、少なくとも無線リソース制御(RRC)レイヤ以上の制御については実行しないように構成される。一方、CUは、DUより上位でRRCレイヤを含むレイヤの制御を実行するように構成される。CUには、1つのDUが接続されてもよいが、
図1に示すように複数のDUが接続されうる。なお、CUとDUとを接続する回線は、フロントホール回線と呼ばれる。CUとDUは、
図1のように直接接続されてもよいし、複数のDUと接続されたスイッチ(不図示)が、CUと接続され、CUと各DUとの通信がスイッチによる制御に基づいて行われてもよい。なお、スイッチが用いられる場合、DU間の通信を、CUを介さずに実行することができる。
【0013】
DUは、ビームフォーミングによって、複数のビームを形成することが可能である。
図1に示すように、多数のDUが複数のビームを形成することによって、基地局装置が形成可能なビーム数が多くなり、結果として多くのユーザを収容し、システム全体としてのトータルのスループットを増大させることができる。なお、5Gシステムでは、上述のように、従来使用されていた周波数帯より高い周波数帯の電波が使用可能とされ、そのような高い周波数帯の電波は遮蔽物等の影響を強く受けるため、基地局装置と端末装置との間の電波状態が急峻に劣化してしまいうる。したがって、端末装置は、基地局装置との間であるビームにおいて無線リンクを確立していたとしても、例えば自身が移動したことによって電波状態が急峻に劣化してしまい、無線リンク障害(RLF)が発生することがありうる。このとき、より低い周波数帯では、電波状態は比較的安定しており、また、広範なカバレッジが提供されていることが一般的である。このため、端末装置は、高い周波数でRLFが生じた場合に低い周波数帯において無線リンクの確立を試行することにより、接続を維持することができる。一方、5Gシステムでは、多数のビームが形成されているため、1つのビームにおいてRLFが発生しても、別のビームであれば接続できる確率が高い場合がある。また、高い周波数帯では、急峻に無線品質が劣化しうることと同様に急峻に無線品質が改善しうる。
【0014】
このため、本実施形態に係る端末装置は、高い周波数帯で確立されていた無線リンクにおいてRLFが発生した場合に直ちに低い周波数帯での無線リンクの確立を試行するのではなく、高い周波数帯での無線リンクの再確立を試行する。そして、端末装置は、例えば所定期間の経過後に、低い方の周波数帯での無線リンクの確立を試行する。これにより、端末装置が、高い周波数帯での接続を維持できる限り維持し、維持することができない場合には低い周波数帯での接続を試行するため、スループットを向上させながら接続を維持することができる。
【0015】
なお、本実施形態に係る基地局装置は、端末装置において高い周波数帯で確立されていた無線リンクにおいてRLFが発生した場合にその端末装置がその高い周波数帯での無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報を端末装置に通知する。ここで通知される情報は、例えばタイマ値を指定する情報である。この場合、端末装置は、高い周波数帯での無線リンクの再確立の試行に成功しないまま、RLFが発生してからの時間がその通知されたタイマ値に達した場合、低い周波数帯での無線リンクの確立を試行するようにする。また、通知される情報は、高い周波数帯での無線リンクの再確立の試行の回数を指定する情報であってもよい。この場合、端末装置は、高い周波数帯での無線リンクの再確立の試行回数が指定された回数だけ行われたにもかかわらず成功しなかった場合に、低い周波数帯での無線リンクの確立を試行するようにする。すなわち、上述の所定期間は、基地局装置から通知されたタイマ値又は再確立の試行回数によって定まる期間である。
【0016】
なお、この所定期間(タイマ値及び試行回数)は、端末装置が高い周波数帯で無線リンクを確立している、接続先の基地局装置によって形成されたビームの特性に基づいて決定されうる。例えば、ビームの幅が広い場合に所定期間が長くなるように、そしてビームの幅が狭い場合に所定期間が短くなるように、決定されうる。ビームの幅が広い場合、例えばオムニアンテナでは、理想的には利得が方向によらず一定であり、基地局装置の遠方まではカバレッジに含まれないため、このビーム接続される端末装置は、基地局装置から離れていない位置に存在すると考えられる。そして、そのような基地局装置から離れていない位置に存在する端末装置は、無線リンクの再確立を試行していれば、その再確立に成功する確率が高い状態であると考えられる。このため、再確立の試行のための期間を長めにすることによって、端末装置が高い周波数帯での無線リンクを再確立して、高い周波数帯での通信を継続することができる確率を高めることができる。一方、ビームの幅が狭い場合は、アンテナ利得が一定方向において高く、基地局装置から離れた位置をもカバレッジに含むことができる。このため、端末装置が基地局装置から離れた位置に存在する場合があるため、無線リンクの再確立を試行しても、その再確立に成功しない確率が高い場合がある。このため、再確立の試行のための期間を短めにすることによって、端末装置が高い周波数帯での無線リンクの再確立をできない場合に、低い周波数帯での接続を試行するようにさせることができる。
【0017】
また、例えば、ビームの幅が広い場合に所定期間が短くなるように、そしてビームの幅が狭い場合に所定期間が長くなるように、所定期間が決定されてもよい。すなわち、接続先のビームが幅の広いビームである場合は、端末装置は、上述のように基地局装置から離れていない位置に存在すると考えられ、このような場合、短時間で無線リンクの再確立に成功することが予想される。一方、接続先のビームが幅の広いビームである場合は、端末装置は、上述のように基地局装置から離れた位置に存在する場合があり、このため、いずれかのビームの範囲内に侵入し、無線リンクの再確立に成功するまでの時間が長い場合があると考えられる。したがって、このような所定期間の設定によって、高い周波数帯での無線リンクが再確立される確率を高くすることができる。
【0018】
ここで、ビームの幅が広いか狭いかについては、例えばアンテナ利得のピークが得られる指向方向と、その利得が半分となる方向との差によって求まる3dBビーム幅によって定められうる。すなわち、3dBビーム幅が所定幅より狭い場合は、上述のビーム幅が狭い場合の所定期間を設定し、3dBビーム幅が所定幅より広い場合は、上述のビーム幅が広い場合の所定期間を設定する。なお、3dBビーム幅の大きさによって、段階的に所定期間が定められてもよい。
【0019】
なお、端末装置は、高い周波数帯での無線リンクの再確立に成功しないまま所定期間が経過し、低い周波数帯で無線リンクを確立した場合、高い周波数帯での無線リンクにおいてRLFが発生したことを通知しうる。例えば低い周波数帯でサービスを提供する基地局装置と高い周波数帯でサービスを提供する基地局装置とが異なる場合、この通知に応じて、低い周波数帯の基地局装置は、高い周波数帯の基地局装置に対して、端末装置へ送信すべきデータの転送を要求しうる。この要求に応じて、低い周波数帯の基地局装置は、高い周波数帯の基地局装置が送信するはずだったデータを取得して、端末装置へ送信することができる。
【0020】
なお、上述の説明では、高い周波数帯と低い周波数帯との関係で説明しているが、必ずしもこれらの関係に限定されない。すなわち、上述の説明における高い周波数帯と低い周波数帯との関係は反対であってもよい。このため、以下では、周波数帯の高低によらず、上述の高い周波数帯に対応する周波数帯を第1の周波数帯と呼び、上述の低い周波数帯に対応する周波数帯を第2の周波数帯と呼ぶ。
【0021】
以下では、このような処理を行う基地局装置及び端末装置の構成と、処理の流れについて説明する。
【0022】
(ハードウェア構成)
図2に、基地局装置及び端末装置のハードウェア構成例を示す。基地局装置及び端末装置は、一例において、
図2に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、外部記憶装置204、及び通信回路205を有する。基地局装置及び端末装置では、例えばROM202、RAM203及び外部記憶装置204のいずれかに記録された、上述のような基地局装置及び端末装置の各機能を実現するプログラムがCPU201により実行される。
【0023】
そして、基地局装置及び端末装置は、例えばCPU201により通信回路205を制御して、他の装置と通信を行う。なお、基地局装置の通信回路205は、例えば、有線回線を通じて、他の基地局装置と通信を行うことができる。また、基地局装置の通信回路205は、1つ以上(複数)のビームを形成して端末装置との間で無線通信することもできる。また、端末装置の通信回路205は、基地局装置の通信回路205によって形成されたビームのうちの少なくともいずれかと接続可能に構成され、これらのビームを用いて基地局装置と無線通信することができるように構成される。なお、
図2の構成において、基地局装置及び端末装置は、1つの通信回路205を有するような概略図を示しているが、これに限られず、複数の通信回路を有してもよい。例えば、基地局装置は、コアネットワークとの間の通信のための第1の通信回路と、端末装置との間の無線通信のための第2の通信回路とを有する。また、端末装置は、例えば第4世代以前の世代の無線通信規格に従う第1の通信回路と、第5世代の無線通信規格に従う第2の通信回路とを有してもよい。また、端末装置は、例えば無線LAN等のセルラ以外の規格に関する無線通信回路を有してもよいし、さらに、例えばUSB接続等による有線接続時に用いられる有線通信回路を有してもよい。
【0024】
なお、基地局装置及び端末装置は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0025】
(機能構成)
まず、
図3を用いて基地局装置の機能構成例について説明する。基地局装置は、例えば、無線通信部301、リンク再確立期間決定部302、送信データ保持部303、及び有線通信部304を有する。なお、基地局装置は、これらのほかの、一般的な基地局装置の機能を有しうるが、ここでは説明を簡単にするため、これらの機能については図示していない。
【0026】
無線通信部301は、例えば、不図示のアンテナを制御して、第1の周波数帯と第2の周波数帯の少なくともいずれか、又は他の周波数帯において1つ以上のビームを形成可能であり、それらのビームのうちの少なくとも1つを用いて端末装置と通信する。なお、無線通信部301は、例えば、送信データ保持部303が保持している送信対象のデータや、リンク再確立期間決定部302によって生成された情報からベースバンド信号を生成する。そして、無線通信部301は、そのベースバンド信号を無線周波数の信号に変換して無線信号としてアンテナから出力することができる。また、無線通信部301は、アンテナを介して受信した無線信号をベースバンド信号に変換して、そのベースバンド信号から情報を取り出すことができる。
【0027】
リンク再確立期間決定部302は、上述のように、端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に、その端末装置が第1の周波数帯での無線リンクの確立を試行すべき期間を決定する。なお、ここでの「期間」は、上述のように、タイマ値によって表されてもよいし、無線リンクの再確立の試行回数によって表されてもよいし、他の基準によって表されてもよい。すなわち、無線リンクの再確立の試行のための一定の期間が確保されるような任意の指標が、ここでの「期間」として決定される。なお、リンク再確立期間決定部302は、上述のように、例えば端末装置が接続しているビームの、ビーム幅等の特性に応じてこの期間を異ならしめてもよい。また、リンク再確立期間決定部302は、端末装置ごとに異なる期間を決定してもよい。例えば、リンク再確立期間決定部302は、端末装置の無線通信に関する能力に対応して期間を決定しうる。例えば、リンク再確立期間決定部302は、端末装置が無線リンクの再確立に成功する確率が高くなるような能力を有している場合に期間を長く、そうでない場合は期間を短く、それぞれ決定することができ、また、その逆に決定してもよい。また、リンク再確立期間決定部302は、例えば、基地局装置に第1の周波数帯において接続されている端末装置の数や、周囲に存在する端末装置の数等に応じて、期間を都度決定してもよい。例えば、第1の周波数帯において接続中の端末装置が多い場合は、無線リンクの再確立を試行する先のビームにおいて既に他の端末装置が無線リンクを確立して通信中である確率が高くなるため、期間を短く設定して、第2の周波数帯への移行を促してもよい。このように、リンク再確立期間決定部302は、様々な尺度で上述の期間を決定することができる。なお、全端末装置に対して変動しない統一した期間を与える場合は、リンク再確立期間決定部302は、期間の決定を行わずに、単に端末装置に対してその期間を通知するようにしてもよい。
【0028】
リンク再確立期間決定部302は、決定した期間に関する情報を、無線通信部301を介して端末装置へ通知する。なお、リンク再確立期間決定部302は、例えば、第1の周波数帯において端末装置との間での無線リソース制御(RRC)接続を確立した際に実行しうる。また、リンク再確立期間決定部302は、例えば第1の周波数帯又は第2の周波数帯においてRRC接続の確立前後によらず、ブロードキャスト信号によってこの通知を実行してもよい。なお、ブロードキャスト信号は、例えば、Master Information Block(MIB)やSystem Information Block(SIB)である。
【0029】
送信データ保持部303は、端末装置へ送信すべきデータを保持する。有線通信部304は、コアネットワーク内のノードや他の基地局装置と有線通信する。送信データ保持部303は、例えば有線通信部304を介してコアネットワークから送信対象データを取得して保持し、無線通信部301は、この保持されているデータを端末装置へ送信する。また、有線通信部304は、他の基地局装置から、端末装置への送信対象データの転送を要求された場合、送信データ保持部303に保持されているデータを当該他の基地局装置へ転送する。なお、無線通信部301が第1の周波数帯と第2の周波数帯との両方で無線通信を実行可能であり、端末装置が、第1の周波数帯においてRLFが発生した後に第2の周波数帯での無線リンクをこの無線通信部301との間で確立する場合がある。この場合、送信対象データの転送が行われる必要はないため、第2の周波数帯で無線リンクを確立後に、送信データ保持部303が保持しているデータを、無線通信部301が第2の周波数帯において送信する。
【0030】
次に、
図4を用いて端末装置の機能構成例について説明する。端末装置は、一例において、無線通信部401、リンク確立制御部402、及びRLF通知部403を含んで構成される。なお、端末装置は、これらのほかの、一般的な通信端末又は通信機能を有する電子機器であり、様々な機能部を有しうるが、ここでは説明を簡単にするため、これらの機能については図示していない。
【0031】
無線通信部401は、不図示のアンテナを制御して、1つ以上の基地局装置が形成した複数のビームのうちの少なくともいずれかと接続可能なように構成される。無線通信部401は、例えば、送信対象のデータや、RLF通知部403によって生成された情報からベースバンド信号を生成して、そのベースバンド信号を無線周波数の信号に変換して無線信号としてアンテナから出力することができる。また、無線通信部401は、アンテナを介して受信した無線信号をベースバンド信号に変換して、そのベースバンド信号から情報を取り出すことができる。
【0032】
リンク確立制御部402は、無線通信部401を制御して、第1の周波数帯又は第2の周波数帯において、基地局装置との間で無線リンクを確立する。リンク確立制御部402は、基地局装置からの、期間に関する情報を無線通信部401において受信すると、その期間に関する情報に基づいた無線リンクの確立を試行する。すなわち、リンク確立制御部402は、端末装置において第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に、通知された期間においては、第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行する。そして、リンク確立制御部402は、第1の周波数帯での無線リンクの再確立に成功しないまま通知された情報に対応する期間が経過した場合、第2の周波数帯での無線リンクの確立を試行する。そして、リンク確立制御部402は、第2の周波数帯で無線リンクを確立した後に、RLF通知部403にその旨を通知する。
【0033】
RLF通知部403は、第2の周波数帯で無線リンクを確立したことの通知を受けると、第1の周波数帯においてRLFが発生したことを、第2の周波数帯での無線リンクの接続先の基地局装置に通知するように、無線通信部401を制御する。第2の周波数帯での無線リンクの接続先の基地局装置は、この通知を受信すると、第1の周波数帯での無線リンクの接続先であった基地局装置に対して、この端末装置への送信対象データを転送するように要求する。なお、第2の周波数帯での無線リンクの接続先の基地局装置と第1の周波数帯での無線リンクの接続先であった基地局装置とが同じ装置である場合は、この限りでない。端末装置が、1つの基地局装置との間で第1の周波数帯から第2の周波数帯へと無線リンクを切り替えた場合は、その基地局装置は、同一の送信データ保持部303からデータを取り出して端末装置へ送信しうるため、データの転送の必要はないからである。
【0034】
(処理の流れ)
続いて、上述のような基地局装置及び端末装置が実行する処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態に係る無線通信システムで実行される処理の流れの例を示すシーケンス図である。本処理例では、第1の周波数帯で無線通信サービスを提供する2つの基地局装置(基地局装置A及びB)と、第2の周波数帯で無線通信サービスを提供する1つの基地局装置(基地局装置C)と、端末装置とを含む無線通信システムにおける処理について説明する。ただし、これは単なる一例であり、例えば、第1の周波数帯で無線通信サービスを提供する2つの基地局装置は、例えば2つの異なるビームを提供可能な1つの基地局装置と読み替えられてもよい。また、本処理例では端末装置が、第1の周波数帯で確立していた無線リンクにおいてRLFが発生した後に、その無線リンクで用いていたビームと異なるビームにおいて第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行するが、これに限られない。すなわち、端末装置は、RLFが発生した無線リンクで用いていたビームと同じビームにおいて、第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行してもよい。また、第1の周波数帯で無線サービスを提供する基地局装置と、第2の周波数帯で無線サービスを提供する基地局装置とが、1つの装置によって構成されてもよい。また、一例において、第1の周波数帯は高い周波数帯であり、第2の周波数帯は低い周波数帯であるが、これに限られない。例えば同じ周波数帯であってもよいし、第2の周波数帯の方が第1の周波数帯より高い周波数帯であってもよい。
【0035】
本処理では、まず、基地局装置A〜Cが、端末装置が第1の周波数帯において確立していた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行するための期間を決定する(S501)。なお、この期間は事前に定められていてもよく、この場合、S501の処理は実行されなくてもよい。また、基地局装置のすべてがこのような期間の決定を実行しなくてもよく、一部の基地局装置のみが本処理を実行してもよい。その後、基地局装置A〜Cは、決定した期間に関する情報を、ブロードキャスト信号(MIB又はSIB)によって送信する(S502)。端末装置は、これらのブロードキャスト信号のうちのいずれかを受信して、通知された期間に関する情報に基づいて、第1の周波数帯で無線リンクを確立した後にRLFが生じた際に用いるべき、無線リンクの再確立の試行のための期間を設定する。その後、端末装置は、基地局装置Aとの間で、第1の周波数帯で無線リンクを確立したものとする(S503)。なお、本処理例では、端末装置は、無線リンクの再確立の試行のための期間に関する情報を取得した後に無線リンクを確立しているが、無線リンクの確立後にブロードキャスト信号を受信することによって、この情報を取得してもよい。
【0036】
その後、例えば端末装置が移動して、端末装置と基地局装置Aとの間で第1の周波数帯によって確立された無線リンクにおいてRLFが発生したものとする(S504)。すると、端末装置は、例えば基地局装置Bとの間で、第1の無線周波数での無線リンクの再確立を試行する(S505)。その後、端末装置は、例えば、通知されたタイマ値が満了するまでに第1の周波数帯で無線リンクを再確立することができなかった場合に、第1の周波数帯での無線リンクの再確立に失敗したと判定する(S506)。なお、端末装置は、例えば、通知された期間に対応する回数だけ無線リンクの再確立を試行したにも関わらず無線リンクの再確立に成功しなかった場合に、第1の周波数帯での無線リンクの再確立に失敗したと判定してもよい。
【0037】
端末装置は、第1の周波数帯での無線リンクの再確立に失敗したと判定した場合、第2の周波数帯での無線通信サービスを提供している基地局装置Cとの間での無線リンクの確立を試行する(S507)。端末装置は、例えば基地局装置Cへランダムアクセスチャネルを用いて接続を請求する。そして、基地局装置Cは、例えば第2の周波数帯での無線リンク確立のための設定情報を含んだRRCConnectionReconfigurationメッセージを送信する。これにより、基地局装置Cと端末装置との間での、第2の周波数帯における無線リンクが確立される。このとき、端末装置は、それまで確立していた第1の周波数帯での無線リンクにおいてRLFが発生したことを、基地局装置Cへ通知する(S508)。なお、端末装置は、例えば上述のランダムアクセスチャネルにおいてこの通知を行ってもよいし、無線リンクが確立された後に、個別メッセージによってこの通知を行ってもよい。この通知には、例えば、それまで確立していた第1の周波数帯での無線リンクにおいて端末装置に送信されるべきだったユーザデータを、基地局装置Cから送信するように要求する情報が含まれてもよい。基地局装置Cは、第1の周波数帯での無線リンクにおいてRLFが発生したことの通知を端末装置から受信すると、そのRLFが発生した無線リンクの接続先であった基地局装置Aに対して、端末装置へ送信すべきユーザデータの転送を要求する(S509)。そして、基地局装置Cは、端末装置へ送信すべきユーザデータを基地局装置Aから受信し(S510)、その受信したユーザデータを端末装置へ送信する(S511)。
【0038】
上述の例では、基地局装置から送信されたブロードキャスト信号によって、第1の周波数帯における無線リンクにおいてRLFが発生した場合に端末装置が第1の周波数帯で無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報が送信される場合について説明した。しかしながら、この情報は、無線リンクが確立された後に、その無線リンクによって個別に送信される信号によって、基地局装置から端末装置へ通知されてもよい。この場合の処理について、
図6に示す。
図6の処理では、まず、端末装置は、基地局装置Aとの間で、第1の周波数帯で無線リンクを確立する(S601)。なお、端末装置は、例えば基地局装置Aが第1の周波数帯において形成しているビームのカバレッジ範囲内に存在する間に無線通信サービスの提供を受ける必要が生じた場合に、基地局装置Aとの間での第1の周波数帯による無線リンクを確立する。このとき、基地局装置Aは、端末装置が第1の周波数帯において確立していた無線リンクにおいて無線リンク障害(RLF)が発生した場合に第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行するための期間を決定する(S602)。なお、この期間は事前に定められていてもよく、この場合、S602の処理は実行されなくてもよい。また、この場合は、端末装置と接続を確立していない他の基地局装置(基地局装置B及びC)は、この期間を決定しなくてもよい。その後、基地局装置Aは、第1の周波数帯で確立されていた無線リンクにおいてRLFが生じた場合に端末装置が第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行すべき期間に関する情報を、端末装置へ通知する(S603)。その後の処理については、
図5と同様であるため、同様の参照番号を付して説明を省略する。
【0039】
以上のように、基地局装置は、第1の周波数帯で確立されていた無線リンクに関してRLFが生じたとしても、直ちに第2の周波数帯に切り替えるのではなく、第1の周波数帯での無線リンクの再確立を試行させる期間に関する情報を、端末装置へ通知する。これにより、高効率/広帯域/高速等の通信が第1の周波数帯で可能である場合に、端末装置が第1の周波数帯での無線リンクを維持・再確立することができる確率が高まり、無線通信システム全体としてのスループットを向上させることができる。また、端末装置は、第1の周波数帯での無線リンクの再確立ができなかった場合は、第2の周波数帯で無線リンクの確立を試行するため、通信を維持することができる。したがって、本実施形態によれば、無線通信システムのスループットを向上させながら、端末装置と基地局装置との接続を維持することができる。