(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656144
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】配列された複数の波長調整レーザを制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/068 20060101AFI20200220BHJP
H01S 5/0625 20060101ALI20200220BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
H01S5/068
H01S5/0625
H01S5/40
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-516589(P2016-516589)
(86)(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公表番号】特表2016-533026(P2016-533026A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014050575
(87)【国際公開番号】WO2015053854
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年6月8日
(31)【優先権主張番号】14/456,738
(32)【優先日】2014年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/889,320
(32)【優先日】2013年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514049623
【氏名又は名称】オートモーティブ コアリション フォー トラフィック セーフティ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トリース, デレク
(72)【発明者】
【氏名】ベル スティーグ, ベン
(72)【発明者】
【氏名】チェフ, レン
【審査官】
大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−256676(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0169327(US,A1)
【文献】
特開2001−230486(JP,A)
【文献】
米国特許第05515391(US,A)
【文献】
特開2012−209501(JP,A)
【文献】
特開2011−198903(JP,A)
【文献】
特開2009−231526(JP,A)
【文献】
特表2009−500833(JP,A)
【文献】
特開2008−218947(JP,A)
【文献】
特開2008−205259(JP,A)
【文献】
特開2005−101039(JP,A)
【文献】
特開平11−220213(JP,A)
【文献】
特開平07−249818(JP,A)
【文献】
特開平05−041558(JP,A)
【文献】
特開平04−115585(JP,A)
【文献】
特開平04−030487(JP,A)
【文献】
特開平03−048477(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0142572(US,A1)
【文献】
国際公開第02/065598(WO,A2)
【文献】
米国特許第06219362(US,B1)
【文献】
特開2016−111214(JP,A)
【文献】
特開2015−201549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 − 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配列されているレーザを制御する方法であって、前記方法は、
コントローラにおいて、複数のレーザアセンブリの配置を検出することであって、前記複数のレーザアセンブリは、第1のレーザと、前記第1のレーザに接続された第1のヒータとを備える第1のレーザアセンブリ、および、第2のレーザと、前記第2のレーザに接続された第2のヒータとを備える第2のレーザアセンブリを備える、ことと、
前記第2のレーザアセンブリの前記第2のレーザの熱エネルギー分散に基づいて、前記第1のレーザアセンブリの前記第1のレーザによって放出されるレーザビームに対する熱効果を決定することと、
一次電源および二次電源の各々によって提供される電流を制御することと
を含み、
前記一次電源によって提供される前記電流は、前記第1のレーザアセンブリの前記第1のレーザに給電するための第1の電流を供給し、前記第2のレーザアセンブリの前記第2のレーザに給電するための第2の電流を供給し、
前記二次電源によって提供される前記電流は、前記第1のレーザに接続された前記第1のヒータに給電するための第3の電流を供給し、前記第2のレーザに接続された前記第2のヒータに給電するための第4の電流を供給し、
前記一次電源によって提供される前記第1および第2の電流を制御すること、ならびに、前記二次電源によって提供される前記第3および第4の電流を制御することは、前記決定された熱効果に基づいて、前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を変動させることにより、前記複数のレーザアセンブリにわたる一定の熱エネルギー密度を維持するようにすることを含む、方法。
【請求項2】
前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を制御することは、前記一次電源および前記二次電源をオフ状態およびオン状態において循環させることを含み、前記一次電源がオン状態にあるとき、前記二次電源は、オフ状態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレーザアセンブリの前記第1のレーザによって放出される前記レーザビームに対する前記熱効果は、第3のレーザアセンブリの第3のレーザに対する前記第2のレーザアセンブリの前記第2のレーザによって引き起こされる第2の熱効果と異なり、前記方法は、前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を制御し、前記第3のレーザアセンブリの前記第3のレーザに給電することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出される熱過渡に基づいて、前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を変動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流のオフ状態およびオン状態のパターンを変調することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
分光測定値を得るために、規定された波長および光パワーに基づいて、前記複数のレーザアセンブリを制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の配列されているレーザを制御するためのシステムであって、前記システムは、
複数のレーザアセンブリであって、各それぞれのレーザアセンブリは、一次電源および二次電源によって給電されている、レーザアセンブリと、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記複数のレーザアセンブリの配置を検出することであって、前記複数のレーザアセンブリは、第1のレーザと、前記第1のレーザに接続された第1のヒータとを備える第1のレーザアセンブリ、および、第2のレーザと、前記第2のレーザに接続された第2のヒータとを備える第2のレーザアセンブリを備える、ことと、
前記第2のレーザアセンブリの前記第2のレーザの熱エネルギー分散に基づいて、前記第1のレーザアセンブリの前記第1のレーザによって放出されるレーザビームに対する熱効果を決定することと、
前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される電流を制御することと
を行うように構成されており、
前記一次電源によって提供される前記電流は、前記第1のレーザアセンブリの前記第1のレーザに給電するための第1の電流を供給し、前記第2のレーザアセンブリの前記第2のレーザに給電するための第2の電流を供給し、
前記二次電源によって提供される前記電流は、前記第1のレーザに接続された前記1のヒータに給電するための第3の電流を供給し、前記第2のレーザに接続された前記第2のヒータに給電するための第4の電流を供給し、
前記一次電源によって提供される前記第1および第2の電流を制御すること、ならびに、前記二次電源によって提供される前記第3および第4の電流を制御することは、前記決定された熱効果に基づいて、前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を変動させることにより、前記複数のレーザアセンブリにわたる一定の熱エネルギー密度を維持するようにすることを含む、システム。
【請求項8】
前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を制御することは、前記一次電源および前記二次電源をオフ状態およびオン状態において循環させることを含み、前記一次電源がオン状態にあるとき、前記二次電源は、オフ状態にある、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のレーザアセンブリの前記第1のレーザによって放出される前記レーザビームに対する前記熱効果は、第3のレーザアセンブリの第3のレーザに対する前記第2のレーザアセンブリの前記第2のレーザによって引き起こされる第2の熱効果と異なり、前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を制御し、前記第3のレーザアセンブリの前記第3のレーザに給電することをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
検出される熱過渡に基づいて、前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流を変動させることをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記一次電源および前記二次電源の各々によって提供される前記電流のオフ状態およびオン状態のパターンを変調することをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
分光測定値を得るために、規定された波長および光パワーに基づいて、前記複数のレーザアセンブリを制御することをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮出願第61/889,320号(2013年10月10日出願、名称「Semiconductor Laser Thermal Control Method for Collocated Multiple Wavelength Tuned Lasers」)および米国出願第14/456,738号(2014年8月11日出願、名称「System and Method For Controlling Collocated Multiple Wavelength Tuned Lasers」)に対する優先権を主張し、上記出願の全内容は参照により本明細書に引用される。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ波長は、デバイス温度における変化に起因して変動し得る。分布帰還型(DFB)および/またはリッジ導波路型レーザ等の半導体レーザは、多くの場合、差動電圧を正および負端子に印加し、レーザ電流を変動させることによって、レーザの強度および波長を制御するための電子的手段を含む。印加される電流を徐々に増加させることによって、レーザは、より高い光強度および波長の増加を伴って動作するであろう。印加されるエネルギーの一部のみが、光エネルギーに転換される一方、残りのエネルギーは、熱に転換される。種々の制御方法が、熱変動を軽減し、所望の公称レーザ波長を維持するために採用される。
【0003】
半導体レーザにおいて波長を制御するために使用される一方法は、波長を望ましい標的波長に調整するために、二次電流を、レーザデバイスに近接した電極に(例えば、ヒータを用いて)印加することである。この二次電流を印加することは、レーザアセンブリ(要素)中への熱伝達を誘発し、これは、物理的寸法を含む、レーザ要素の特性を変化させるであろう。要素の物理的寸法は、標的波長における動作のために、レーザを増加し、次いで、安定化させるように制御され得る。一定標的レーザ駆動電流の印加とヒータ電流の印加とは、単一レーザ要素に対して、安定した標的光パワーおよび波長を達成するために組み合わせられ得る。
【0004】
複数のレーザ要素が、標的動作温度にわたってデバイスを正規化するために、単一パッケージ内に一緒にパッケージされ得、空間/コストを最小化し、多要素レーザパッケージに搭載されるピンスルー電子PCBを通しての統合制御を可能にする。いくつかの用途では、単一パッケージ内に搭載されるレーザの組み合わせは、迅速に、オンおよびオフにされ得る。変動するオン/オフ状態のパターンにおいて変調される複数の近接して位置する個々の波長レーザに対して、長期間の動作にわたって、単一レーザで達成され得るものと同じ高安定性(電力レベルおよび波長)を達成することが望ましくあり得る。しかしながら、複数のレーザ要素を互に空間的に近接してパッケージ化し、これらのレーザを種々のパターン(状態)において変調すると、近接したレーザ要素から誘発される熱が望ましくない空間的/時間的な温度変動を誘発し、これは、その状態における活性レーザの安定化に影響を与え得る。故に、近接したレーザの熱効果は、達成された光パワーおよび波長に影響を及ぼし、標的光パワーおよび波長からの外れ、および/または所与の状態における安定した動作に到達することにおいて遅延を生じさせ得る。これらの影響が把握され、補償されない限り、それらは、達成可能な測定の正確度および精度、または達成可能なレーザ状態の変化率(変調率)を制限し、多要素設計の実践的な有用性を制限し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、制御された一次電流および二次電流を、複数のレーザアセンブリを有するレーザデバイスに印加する方法に関する。一次電流および二次電流は、熱近接分散と、光パワーおよび波長分散に及ぼす結果として生じる影響とを低減し、レーザ変調状態間の最小整定時間を達成するように制御される。これは、近接近した複数のアセンブリの配置を最適化するために有用である。
【0006】
ある実施形態では、複数の配列されているレーザを制御する方法は、コントローラにおいて、複数の近接したレーザの配置を検出することと、複数の近接したレーザのうちの第2のものに対する第1の複数のレーザによって引き起こされる熱効果を決定することと、熱効果に基づいて、複数の近接したレーザのうちの第1のものおよび複数の近接したレーザのうちの第2のものに給電するために、一次電源の出力および二次電源の出力を制御することとによって提供される。一次電源の出力および二次電源の出力は、一次電源および二次電源をオフ状態およびオン状態において循環させることを含み得、一次電源がオン状態にあるとき、二次電源は、オフ状態にある。複数の近接したレーザのうちの第2に対する複数の近接したレーザのうちの第1のものによって引き起こされる熱効果は、複数の近接したレーザのうちの第3のものに対する複数の近接したレーザのうちの第2のものによって引き起こされる第2の熱効果と異なり、複数の近接したレーザのうちの第3のものに給電するために、一次電源の出力および二次電源の出力を制御することをさらに含む。一次電源は、レーザビームを生成するための電流を備え得、二次電源は、それぞれのレーザを加熱するための電流を備え得る。一次電源および二次電源の出力は、検出される熱過渡に基づいて変動させられ得る。一次電源および二次電源の出力のオフ状態およびオン状態の変調パターンが、使用され得る。近接したレーザに対する電力は、分光測定値を得るために、規定された波長および光パワーを最適化するために制御され得る。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
複数の配列されているレーザを制御する方法であって、前記方法は、
コントローラにおいて、複数の近接したレーザの配置を検出することと、
前記複数の近接したレーザのうちの第2のものに対する前記複数のレーザのうちの第1のものによって引き起こされる熱効果を決定することと、
前記熱効果に基づいて、一次電源の出力および二次電源の出力を制御し、前記複数の近接したレーザのうちの前記第1のものおよび前記複数の近接したレーザのうちの前記第2のものに給電することと
を含む、方法。
(項目2)
前記一次電源の出力および前記二次電源の出力を制御することは、前記一次電源および前記二次電源をオフ状態およびオン状態において循環させることを含み、前記一次電源がオン状態にあるとき、前記二次電源は、オフ状態にある、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記複数の近接したレーザのうちの前記第2のものに対する前記複数のレーザのうちの前記第1のものによって引き起こされる前記熱効果は、前記複数の近接したレーザのうちの第3のものに対する前記複数のレーザのうちの前記第2のものによって引き起こされる第2の熱効果と異なり、前記方法は、前記一次電源の出力および前記二次電源の出力を制御し、前記複数の近接したレーザのうちの前記第3のものに給電することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記一次電源は、レーザビームを生成するための電流を備え、前記二次電源は、それぞれのレーザを加熱するための電流を備えている、項目1に記載の方法。
(項目5)
検出される熱過渡に基づいて、前記一次電源および前記二次電源の出力を変動させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記一次電源および前記二次電源の出力のオフ状態およびオン状態のパターンを変調することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
分光測定値を得るために、規定された波長および光パワーに基づいて、前記複数の近接したレーザを制御することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
複数の配列されているレーザを制御するためのシステムであって、前記システムは、
複数の近接して位置しているレーザアセンブリであって、各それぞれのレーザアセンブリは、一次電源および二次電源によって給電されている、レーザアセンブリと、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記複数の近接したレーザの配置を検出することと、
前記複数の近接したレーザのうちの第2のものに対する前記複数のレーザのうちの第1のものによって引き起こされる熱効果を決定することと、
前記熱効果に基づいて、前記一次電源の出力および前記二次電源の出力を制御し、前記複数の近接したレーザのうちの前記第1のものおよび前記複数の近接したレーザのうちの前記第2のものに給電することと
を行うように構成されている、システム。
(項目9)
前記一次電源の出力および前記二次電源の出力を制御することは、前記一次電源および前記二次電源をオフ状態およびオン状態において循環させることを含み、前記一次電源がオン状態にあるとき、前記二次電源は、オフ状態にある、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記複数の近接したレーザのうちの前記第2のものに対する前記複数のレーザのうちの前記第1のものによって引き起こされる前記熱効果は、前記複数の近接したレーザのうちの第3のものに対する前記複数のレーザのうちの前記第2のものによって引き起こされる第2の熱効果と異なり、前記一次電源の出力および前記二次電源の出力を制御し、前記複数の近接したレーザのうちの前記第3のものに給電することをさらに含む、項目8に記載のシステム。
(項目11)
前記一次電源は、レーザビームを生成するための電流を備え、前記二次電源は、それぞれのレーザを加熱するための電流を備えている、項目8に記載のシステム。
(項目12)
検出される熱過渡に基づいて、前記一次電源および前記二次電源の出力を変動させることをさらに含む、項目8に記載のシステム。
(項目13)
前記一次電源および前記二次電源の出力のオフ状態およびオン状態のパターンを変調することをさらに含む、項目8に記載のシステム。
(項目14)
分光測定値を得るために、規定された波長および光パワーに基づいて、前記複数の近接したレーザを制御することをさらに含む、項目8に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の特徴、側面、および利点が、以下の説明と、以下に簡潔に説明される、図面に示される付随の例示的実施形態とから明白となるであろう。
【0008】
【
図1】
図1は、例示的実施形態による、レーザアセンブリの概略図である。
【0009】
【
図2】
図2は、例示的実施形態による、複数のレーザアセンブリのアレイの概略図である。
【0010】
【
図3A】
図3A−Fは、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する状態遷移を示すグラフである。
【
図3B】
図3A−Fは、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する状態遷移を示すグラフである。
【
図3C】
図3A−Fは、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する状態遷移を示すグラフである。
【
図3D】
図3A−Fは、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する状態遷移を示すグラフである。
【
図3E】
図3A−Fは、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する状態遷移を示すグラフである。
【
図3F】
図3A−Fは、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する状態遷移を示すグラフである。
【0011】
【
図4】
図4は、例示的実施形態による、
図2のレーザアセンブリアレイに関する変調状態の表である。
【0012】
【
図5】
図5は、例示的実施形態による、複数のレーザアセンブリを制御する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の全体的な理解を提供するために、ある例証的実施形態が、配列された複数の波長が調整されるレーザを制御するためのシステムおよび方法を含め、本明細書で説明される。特に、近接して位置する複数のレーザの波長およびレーザ出力を制御することを可能にする、システムおよび方法が、説明される。しかしながら、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、対処されている用途に対して適切であるように適合および修正され得、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、他の好適な用途において採用され得、そのような他の追加および修正は、その範囲から逸脱しないであろうことが、当業者によって理解されるであろう。概して、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、1つ以上の波長を使用して、測定、特に、生化学的測定、または個別の波長分光測定を使用する他の測定における使用のために、光線および光ビームを制御することに関し得る。本明細書に説明される実施形態は、複数の近接したレーザに関するが、その原理は、単一レーザ、例えば、オン/オフ切り替えを有する、変調方式において動作している単一レーザに適用され得る。
【0014】
図1を参照すると、半導体レーザアセンブリ100が、レーザデバイス105を含むための例示的実施形態によって、図式的に示される。半導体レーザデバイスは、例えば、分布帰還型(DFB)またはリッジ導波路型レーザであり得る。レーザアセンブリは、一次電源110に対する入力を含む。一次電源は、レーザビーム130を生成するために、電流をレーザデバイス105に提供する。印加されるエネルギーの一部が、光エネルギーに転換され、残りのエネルギーは、廃熱に転換される。この廃熱は、レーザデバイスの種々の特性(例えば、物理的寸法)に影響を及ぼし、それによって、レーザビーム出力の特性(例えば、波長、パワー出力等)を変動させ得る。レーザアセンブリはさらに、二次電源120に対する入力を含み得る。二次電源120(例えば、ヒータ)は、レーザデバイスの本体の加熱を生じさせるために、電流をレーザデバイスに提供する。概して、二次電源120は、光ではなく、熱的なパワーを提供する。
【0015】
一次電源110によってレーザデバイス105に供給される電流は、オンおよびオフを循環させられ得る。同時に、二次電源120によって供給される電流もまた、オンおよびオフを循環させられ得る。いくつかの実施形態では、ヒータ(二次電源120)が「オン」状態で電流を入力するとき、一次電源110が、「オフ」状態にあり得、逆もまた同様であるように、一次電源110および二次電源120によって供給される電流は、異なるサイクルで入力され得る。概して、サイクルは、正規化され、平衡した電力をレーザデバイス105に対して維持し、最適化されたビーム130を維持するように調節される。そのようなレーザデバイスを使用して測定を行うとき、光ビームは、最適化された電力レベルおよび波長において機能するはずである。電力およびヒータ入力を制御することは、最適な性能を達成することに役立ち得る。
【0016】
一次電源110および二次電源120からレーザデバイス105に提供される電流は、レーザの状態に応じて変動させられ得る。名目印加エネルギーを達成するために、レーザアセンブリが「オフ」モードにあるとき、一次電流は、ある閾値(例えば、発振閾値)を下回って保持される一方、ヒータ電流は、印加される総エネルギーの組み合わせ(一次に加えて二次)が事前決定された定数と等しくなるように、より高く保持される。レーザアセンブリが「オン」状態に切り替えられると、ほぼ一定のエネルギー密度を維持するために、一次電流は、増加させられ、二次電流は、減少させられる。熱エネルギー密度は、オン状態とオフ状態との間で切り替えられる場合、レーザアセンブリ内の熱過渡を最小化するように維持される。
【0017】
ここで
図2を参照すると、複数のレーザアセンブリが、200として示される。レーザアセンブリ201、202、203、204は、空間/コストを最小化し、ピンスルーPCBマウントを通しての統合電子制御を可能にするために、アレイまたはパッケージ内で一緒に連結され得る。レーザアセンブリ201、202、203、204は、各々、固有の波長(例えば、λ
1、λ
2、λ
3、λ
4)のレーザ231、232、233、234を生成するために動作し得る。個々のレーザ231、232、233、234は、個々のレーザアセンブリ201、202、203、204のオン/オフ状態を変動させることによって、迅速に、パターンが変調され得る。レーザアセンブリ201、202、203、204は、コントローラ250を用いて制御され得、コントローラ250は、
図3A−Fに示されるように、配列されるレーザアセンブリ201、202、203、204の間の熱近接分散と、光パワーおよび波長分散に及ぼす結果として生じる影響とを正規化し、レーザ変調状態の間の最小化された整定時間を達成するために、一次電源210および二次電源220によって提供される電流を変動させる。概して、整定時間は、10マイクロ秒であり得る。他の整定時間もまた、例えば、5〜10マイクロ秒の範囲内で達成され得る。過渡整定時間は、周囲のレーザアセンブリまたはレーザ温度制御ループとの熱的相互作用が存在しないように、オフ状態からオン状態に循環するとき、正味ゼロの熱過渡を提供するように最適化される。
図3A−Fに示されるように、種々の波長過渡応答、出力パワー過渡、およびレーザ電流波形が、達成され得る。
【0018】
コントローラ250は、
図4に示されるように、全ての状態組み合わせのレーザ変調をサポートしながら、一定総電流(一次電流および二次電流の合計)を印加し、パッケージ内の全ての近接したレーザアセンブリ201、202、203、204にわたって名目印加エネルギープロファイル(例えば、熱プロファイル)を維持するように構成される。示されるように、
図4は、オンおよびオフ状態を循環するレーザ231、232、233、234の状態を示す。
【0019】
レーザアセンブリ201、202、203、204の構成および配置に基づいて、種々の一次電流および二次電流が、最適なレーザ性能を達成するために使用され得る。例えば、外側レーザアセンブリ201および204は、内側アセンブリ202および203が、2つの近傍アセンブリを有することに起因して、上昇した熱条件を有し得るため、内側レーザアセンブリ202および203と異なる電流組み合わせを有し得る。横側に1つのみのレーザアセンブリ(例えば、それぞれ、202および203)を有する外側レーザアセンブリ201および204は、異なる熱条件を有する。
【0020】
1つのみのレーザアセンブリの構成に対して、レーザアセンブリおよびパッケージの熱特性は、適切な一次および二次電流の選択に影響を及ぼすであろう。
【0021】
レーザアセンブリ201、202、203、204がオン状態とオフ状態との間で切り替えられるときに一次電流および二次電流を変動させることによって、多重レーザパッケージ内の熱過渡は、より連続的なエネルギー負荷を通して減少させられ得る。
【0022】
一次および二次電流を制御することはまた、状態間の整定時間を減少させ、固定された測定時間におけるさらなる状態(改良された信号対雑音比)を測定するための潜在性を提供し得る。
【0023】
一次および二次電流を制御することはまた、種々の分野(例えば、工業、商業、医療、消費者等)における個別の波長分光測定用途における測定時間を減少させ得る。
【0024】
一次および二次電流を制御することはさらに、熱分散を正規化し、潜在的に、放出されるレーザビームのパワー安定性および波長安定性を改良する。
【0025】
変調モードでは、一次電流および二次電流を制御することは、個々のレーザアセンブリに対する安定化時間を改良し、アレイ内の近接したレーザにわたる熱変動を低減させる。
【0026】
一例示的実施形態では、アレイは、あらゆる状態の組み合わせを通して変調される複数の近接して搭載されるリッジ導波路型レーザを含む。前述のようにレーザアセンブリに供給される一次電流および二次電流を制御することによって、アレイは、変調状態間で10マイクロ秒以内に安定化され得る。
【0027】
種々の例示的実施形態において示されるようなレーザアセンブリおよび制御システムの構築および配置は、例証にすぎないことに留意することが重要である。わずかのみの実施形態が本開示に詳細に説明されているが、本開示を精査する当業者は、本明細書に説明される主題の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が可能である(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、搭載配置、材料の使用、色、配向等における変形例)ことを容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されるように示される要素は、複数の部品または要素から構築され得、要素の位置は、逆転または別様に変更され得、個別の要素または位置の性質もしくは数は、改変または変更され得る。任意のプロセスまたは方法ステップの順序もしくはシーケンスは、代替実施形態に従って、変更または再シーケンス化され得る。他の代用、修正、変更、および省略もまた、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の例示的実施形態の設計、動作条件、および配置においてなされ得る。