特許第6656145号(P6656145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656145電気自動車用室温/中温電池のためのハイブリッド溶融/固体ナトリウムアノード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656145
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】電気自動車用室温/中温電池のためのハイブリッド溶融/固体ナトリウムアノード
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/39 20060101AFI20200220BHJP
   H01M 10/38 20060101ALI20200220BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20200220BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20200220BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20200220BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20200220BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20200220BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20200220BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20200220BHJP
【FI】
   H01M10/39 C
   H01M10/39 D
   H01M10/38
   H01M10/44 A
   H01M10/613
   H01M10/615
   H01M10/625
   H01M10/6571
   H01M10/658
   H01M10/663
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-517051(P2016-517051)
(86)(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公表番号】特表2016-526270(P2016-526270A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】US2014040297
(87)【国際公開番号】WO2014194231
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】61/829,136
(32)【優先日】2013年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517405758
【氏名又は名称】フィールド アップグレーディング ユーエスエー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
(72)【発明者】
【氏名】バーヴァラジュ・サイ
【審査官】 松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−510391(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/135283(WO,A2)
【文献】 特開2012−182087(JP,A)
【文献】 特開平10−097863(JP,A)
【文献】 特開昭53−081921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/39
H01M 10/38
H01M 10/44
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/6571
H01M 10/658
H01M 10/663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体から成る陽極液溶液の補給部と接触しているナトリウムアノードから成るアノード室と、イオン液体から成る陰極液溶液の補給部と接触しているカソードと、陽極液から陰極液を分離し、平面構造を有する固体NaSICON膜とから成る電気自動車用ナトリウムアノードハイブリッド電池であって、陽極液溶液を構成するイオン液体は、ナトリウム金属および液体状ナトリウムの密度と異なる密度を有し、ナトリウムアノードの融点より低い温度においてナトリウムアノードハイブリッド電池が作動している場合にナトリウムアノードは固体状であり、陽極液溶液を構成するイオン液体は、陽極液溶液が固体状ナトリウムアノードと固体NaSICON膜との間に配置され、ナトリウムアノードの融点以上の温度においてナトリウムアノードハイブリッド電池が作動している際にナトリウムアノードは溶融状であり、溶融状ナトリウムアノードは固体NaSICON膜に直接接触するように構成され、電池は垂直に平面構造が積層された二極構造を有することを特徴とする電気自動車用ナトリウムアノードハイブリッド電池。
【請求項2】
ハイブリッド電池が、−30℃〜130℃の温度範囲を超えて作動する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項3】
ナトリウムアノードを溶融する熱が、熱源によって供給される請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項4】
熱源が電気自動車の稼働からの廃熱から成る請求項3に記載のハイブリッド電池。
【請求項5】
熱源がヒーターである請求項3に記載のハイブリッド電池。
【請求項6】
アノード室が、更に陽極液溶液注入口と陽極液溶液排出口と陽極液溶液注入口および陽極液溶液排出口の間に配置される陽極液溶液リザーバーとを有する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項7】
更にカソードを収納するカソード室および陰極液溶液補給部を有し、カソード室は、更に陰極液溶液注入口と陰極液溶液排出口と陰極液溶液注入口および陰極液溶液排出口の間に配置される陰極液溶液リザーバーとを有する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項8】
更に、ナトリウムアノードと電気的に接触しているアノード集電体と、カソードと電気的に接触しているカソード集電体とを有する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項9】
更にアノード集電体およびカソード集電体の近傍に配置される二極エンドプレートを有する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項10】
陽極液溶液が、溶解されたナトリウムイオンを含むイオン液体(IL)から成る請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項11】
陽極液溶液が、更に、クロロアルミン酸塩アニオン、テトラフルオロホウ酸塩(TFB)アニオン、トリフラート(TFO)アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)アニオン、アルキルイミダゾリウム(IM)カチオン、ピロリジニウム(PY)カチオン及び非対称4級アンモニウム(QA)カチオンから選択される一つ以上の有機または無機イオンを含む請求項10に記載のハイブリッド電池。
【請求項12】
ナトリウムアノードと連結し、ハイブリッド電池の作動中にナトリウムアノードの所定体積を蓄えているナトリウムリザーバーを更に有する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項13】
更に、ナトリウムアノードハイブリッド電池の外側ケースの温度を52℃以下に維持するために外側ケース上に設置される絶縁体を有する請求項1に記載のハイブリッド電池。
【請求項14】
ナトリウムイオンを溶解し、ナトリウムによって劣化せず且つナトリウム金属および液体状ナトリウムの密度と異なる密度を有するイオン液体から成る陽極液溶液の補給部と接触しているナトリウムアノードから成るアノード室と、イオン液体から成る陰極液溶液の補給部と接触しているカソードと、陽極液から陰極液を分離する固体NaSICON膜とから成る電気自動車用ナトリウムアノードハイブリッド電池を得る工程と;陽極液を構成するイオン液体は、陽極液溶液が固体状ナトリウムアノードと固体NaSICON膜との間に配置され、陽極液溶液が固体状ナトリウムアノードを固体NaSICON膜から分離するようにナトリウムアノードの融点より低い温度においてナトリウムアノードハイブリッド電池を作動させる工程と;ナトリウムアノードを溶融状態に変換するように、ナトリウムアノードの融点以上の温度にナトリウムアノードを加熱する工程と;ナトリウムアノードが溶融して固体NaSICON膜に直接接触するように、ナトリウムアノードの融点以上の温度でナトリウムアノードハイブリッド電池を作動させる工程とから成る電気自動車用ナトリウムアノードハイブリッド電池を作動させる方法。
【請求項15】
アノード室が、更に陽極液溶液注入口と陽極液溶液排出口と陽極液溶液注入口および陽極液溶液排出口の間に配置される陽極液溶液リザーバーとを有し、更にナトリウムアノードが固体状で陽極液溶液をアノード室に循環させる工程を有する請求項14に記載のハイブリッド電池を作動させる方法。
【請求項16】
更にナトリウムアノードが固体状で陽極液溶液をアノード室に循環させることを中止する工程を有する請求項15に記載のハイブリッド電池を作動させる方法。
【請求項17】
更にナトリウムアノードが固体状でハイブリッド電池を充電する工程を有する請求項14に記載のハイブリッド電池を作動させる方法。
【請求項18】
陽極液溶液が、クロロアルミン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸(TFB)アニオン、トリフラート(TFO)アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)アニオン、アルキルイミダゾリウム(IM)カチオン、ピロリジニウム(PY)カチオン及び非対称4級アンモニウム(QA)カチオンから選択される1つ以上の有機イオンまたは無機イオンを含むイオン液体(IL)から成る請求項14に記載のハイブリッド電池を作動させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年5月30日出願の米国仮特許出願第61/829,136号(発明の名称:室温/中温電気自動車用電池のためのハイブリッド用溶融/固体ナトリウムアノード)の優先権を享受し、参照により本願に引用される。
【0002】
本発明は、電気自動車(EV)用電池に関する。詳しくは、本発明は、自動車が発進時には低温(固体ナトリウムアノードを有するような)で作動し、走行中はより高い温度(溶融ナトリウムアノードを有するような)で作動する電気自動車に使用されるナトリウムアノード電池に関する。
【背景技術】
【0003】
電池、特に電気自動車に使用されるように設計される電池の効率の増加が引き続き望まれている。現在利用されている「リチウムイオン電池」は、電気自動車に使用されるには適切でないと考えられる。その理由の一つに、現在の地球上でのリチウムの供給量は、電気自動車用電池に関して要求される量に対して十分ではないと考えられる。従って、ナトリウムのように大量に存在する材料から成る電気自動車用に設計された新しいタイプの電池が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、アノードにおいてナトリウムを含む「ハイブリッド」電池に関する実施態様を開示する。このハイブリッド電池は、ある温度範囲で使用するように設計されている。例えば、電池は、冷温においてまたは自動車が始動時および「発進」を必要とする時において、アノードは固体ナトリウ金属である(従って、この状態では金属がアノード上に固体金属としてメッキされている)。そのような固体ナトリウム金属を使用する電池は、始動時または−30℃に達するような低い温度範囲あるいは−50℃に達するような低い温度範囲で使用できる。同時に、電気自動車が一旦「始動」し、短時間作動する際、自動車のエンジンからの熱が直接電池に向けられるように設計されている。この熱は、固体ナトリウムアノードを溶融形態に「溶融」するように作動する。換言すれば、短時間経過した後に、自動車からの熱はアノードを溶融アノードに変換する(アノードが溶融すると、製造されるナトリウムが溶融され、溶融アノードに追加される)。低温で使用されるのに適した固体ナトリウムアノードは、電池の高い電流密度および電力の要求を満たす。それ故、アノードを溶融アノードに変換することにより(例えば、アノードを約100〜約130℃に加熱することにより)、純粋に固体状態のナトリウムアノードの性能と比較して、電池はより大きな電力および電流密度を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この固体および溶融Naアノード(温度による)の両方を使う“ハイブリッド”電池は、従来の電池に関連するいくつかの問題を解決することに注目すべきである。例えば、溶融Naアノードのみを使う電池は、約100℃以上の温度でしか作動できず、それ故より低い温度では作動しない。しかしながら、100℃未満の温度(−50℃まで低い温度でさえ)において電池を使用できる能力を有することは(例えば、自動車エンジンの“始動”のために電池を使用する場合)、寒い冬の数ヶ月の間(またはより寒い気候において)に自動車を使い続けられるためにも、いかなる電気自動車用電池において必要である。同時に時間経過後(例えば、自動車からの熱がアノードに直接作用してNaを溶融した後)に溶融Naアノードを使用できる電池を有することはまた、溶融Naアノードは固体Naアノードから得られるものより大きな効率および電力を提供できるために有利な性能を達成できる。それ故、本発明の電池は、溶融Naアノードを使用することに関連した利点と、自動車の始動や、より低温での電池の使用(例えば、“低温始動”問題を解決した)の可能性の両方を提供する。
【0006】
本発明において得られる上述の及び他の要旨ならびに利点が容易理解されるために、上述の簡単な記載より更に具体的な記載が、具合的な実施態様が記載される添付の図面を参照することによって示される。これらの図面は本発明の代表的な実施態様を表すものであり、本発明の要旨を限定するものではないことを理解すべきである。本発明は、更なる具体例や詳細を添付の図面を通じて示し、説明する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気自動車(EV)用電池は、自動車が発進時には低温(固体ナトリウムアノードを有するような)で作動し、走行中はより高い温度(溶融ナトリウムアノードを有するような)で作動できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、開示される発明の要旨の範囲のハイブリッドナトリウムアノード電気自動車電池の代表的なダイアグラムである。
図2図2は、追加の陽極液リザーバー及び陰極液リザーバーを含むハイブリッドナトリウムアノード電気自動車電池の代表的なスキーム図である。
図3図3は、開示されるハイブリッドナトリウムアノード電気自動車電池の熱、流れおよび充電/放電サイクルプロトコルを示す。
図4図4A−4Cは、図2のハイブリッドナトリウムアノード電気自動車電池の3種の作動モードを示すスキーム図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施態様は、類似の部分は類似の符号で示す図面を参照することにより最も良く理解されるであろう。図面中に一般的に記載され、図示される本発明の構成要素は、多くの種類の異なる構造で配列でき、設計できることは容易に理解できるであろう。それ故、以下の図面に示される本発明の方法や電池の実施態様のより詳細な説明は、本発明の請求の範囲で規定される要旨を限定するものではなく、本発明の実施態様の代表例にすぎない。
【0010】
本発明は、約−30℃〜130℃の広い温度範囲に渡って作動できるように設計された新しい電気自動車(EV)用ナトリウムアノード電池に関する。この温度範囲に渡って、約100℃未満ではナトリウムアノードが固体状で、約100℃を超えると溶融状である。本発明の電池は、比エネルギー約350Wh/kg、エネルギー密度約750Wh/l、約15年の寿命、1000サイクル以上のサイクル寿命を有するように設計される。それ故、新規の電気自動車用ハイブリッドナトリウム二次電池は、凖環境温度から約130℃の温度範囲において、ナトリウムが固体の場合およびナトリウムが溶融状の場合の条件で作動する。
【0011】
ある実施態様において、これに限定されないが、電池は、(1)ナトリウムアノード及び可逆的にナトリウムを沈積するための陽極液溶液、(2)効率的で低コストのカソード及び陰極液溶液、(3)ナトリウムイオン選択性固体伝導セパレーター、及び(4)固体/溶融のハイブリッドなナトリウム温度条件で、高エネルギーで高電力密度が実現できるような特異な電池設計を含む。
【0012】
アノードはナトリウム金属で、固体状態か溶融状態である。ナトリウム金属は、安価であり、大量に存在し、高電位電極対を形成でき、低融点を有し、動力学的に容易に入手でき、機構的に単純である(複数価の金属イオンに比べて)ため、開示する電気自動車分野において使用される。リチウムはコストの点において競争力が無く、2価の金属は電気化学的に更なる課題があり、更に高い原子量の金属は同様のエネルギー密度を有さない。固体ナトリウム金属アノードを使用する低温電池は、陽極液および陰極液も両方に供給できる1つの電解質を見出すことや高クーロン効率における不可逆的固体ナトリウムのメッキ析出の困難性、および低温での陰極液流における低カソード性能の点などの種々の理由で不可能であった。ここに提案する特別に革新的な概念は、NaSICON固体電解質セパレーターを使用し、二面の“ハイブリッド”固体/溶融ナトリウムアノードから成ることに基づく特別の電池構成である。NaSICON固体セパレーターは単一電解質の必要性を除外でき、陽極液および陰極液が、それぞれの電極において異なる化学物質から成ることができる。
【0013】
陽極液溶液はイオン液体(IL)から成る。陽極液溶液は、有機イオン及び無機イオンの添加剤を有するイオン液体(IL)に溶解されたナトリウム塩を含む。そのようなイオン添加剤としては、これに限定されないが、クロロアルミン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸(TFB)アニオン、トリフラート(TFO)アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)アニオン、アルキルイミダゾリウム(IM)カチオン、ピロリジニウム(PY)カチオン及び非対称4級アンモニウム(QA)カチオンが挙げられる。
【0014】
陽極液溶液は、−30℃〜100℃において、ナトリウム沈積プロセスの可逆性およびクーロン効率が増加し、(i)添加剤を形成する固体電解質界面(SEI)の使用、(ii)無機アニオンを含む(有機イオンを含むか含まない)低温ILの生成、(iii)化合物を形成する非SEIの供給が制限されながら超希薄ILの使用、(iv)同じ温度範囲に渡って最も高い電解質伝導度を維持しながら安定で且つナノ粒子状のフィルターを使用してIL/ナトリウムの反応を制限する。同時に、陽極液層は希薄(または“超希薄”)で、寄生ナトリウム反応を制限する。
【0015】
開示される作動温度においてナトリウムアノード二次電池に好適に使用できるのであれば、いかなる公知または新規のカソード及び陰極液溶液が使用できる。硫黄、金属ハロゲン化物、金属水酸化物およびカーボンフォスフェートから成るカソードは、ナトリウムイオン高伝導性を有する水性またはイオン液体の陰極液溶液である。公知のカソードシステムの例としては、これに限定されないが、Ni(OH)、S及びZnClが挙げられる。陰極液溶液の例としては、これに限定されないが、(i)NaOHを溶解し、Ni(OH)カソードに対する水性およびプロトン性有機溶媒、(ii)Sカソードに対するナトリウム塩が溶解するIL又は有機溶媒系(例えば、テトラグリム、n−メチルホルムアミド)NaAlCl、及び(iii)Na塩を溶解し、ZnClカソードに対するIL系NaAlClまたは有機塩化物(例えば、塩化コリン)が挙げられる。これらの低コストカソード及び陰極液溶液は、低コストのEV電池の供給を目的とする(〜$100/kWh)のに利用でき、所望のサイクル寿命およびエネルギー密度を目的とするのにも合致する。
【0016】
開示される実施態様の1つにおいて、電池は、低温で高い伝導性有し、カソード室とアノード室とを物理的に分離して両室の交差および望ましくない副反応を除外するナトリウムイオン伝導性固体セラミック電解質膜と一体化している。提案されるセラミック電解質は、ナトリウムはイオン伝導性である。ある実施態様において、セラミック電解質はナトリウムイオン超伝導性膜(NaSICON)から成り、これは溶融ナトリウムに対して安定で、室温における高いナトリウムイオン伝導性を有する。これらの膜は、厚く多孔質の支持層によって支持される薄くて緻密な機能層とから製造される。
【0017】
膜に関しては、NaSICONが伝導性に優れる(4mS/cm、175℃においては100mS/cm以上)。膜は、ある実施態様において、電池内で50−250μmの厚さにおいて、電位差降下を低減できる(“IR降下”)。さらに、NaSICONの特性の1つとして、膜の対の側での2つの区別される環境で効果的に作動することが可能であることである。これは、陽極液および陰極液のための溶液が異なってもよく、膜のそれぞれの側の圧力が異なってもよく、膜のそれぞれの側の反応物質や反応条件が異なってもよいなどを意味する。還元すれば電池を設計する人は、目的に合わせて調整でき、反応物質やそれぞれの固有の特別な反応を最適化する陽極液および陰極液の両方の条件を選択できる。
【0018】
NaSICONはCeramatec, Inc.社(米国、ユタ州、ソルトレークシティ)から入手可能なセラミック膜材料である。米国特許出願公開第2007/0138020号には、これに限定されないが、本実施態様で使用できるNaSICON膜および他の膜材料(βアルミナ材料など)の構造や性質が記載されている。この公開公報の全ての記載を特に参照により本発明に引用する。NaSICON材料の例としては、これに限定されないが、Na1−xZrSi3−x12(x=0〜3、特に2〜2.5)の組成式を有する。
【0019】
NaSICONセラミック膜は、支持される構造が機械的強度を損なうことなく緻密機能層の厚さを十分に小さく(伝導性を最大とするため)できるように種々の異なる構造で形成される。
【0020】
特異な電池構造は広い温度範囲に渡って作動を可能にする。ある実施態様において、電池は、約−30〜130℃で機能するハイブリッドナトリウムアノードを使用する(低温始動および高出力の利得を提供する)。電池設計は、電極性能および安全性を向上させるための陽極液および陰極液の両方の流量選択を含む。電池は、シール部材および平面構造内で積層された二極構造を含み、エネルギー密度および費用目標を達成する。
【0021】
図1は、ここに記載されるナトリウムアノードハイブリッド電池構造の1つの可能な形状を示す。ハイブリッド電池100は、カソード集電体112(メッシュであってもよい)に付着しているカソード110を有する。陰極液溶液または陰極液114はカソード110と接触している。より具体的には、注入口116及び排出口118を介し、陰極液114は電池を介して流れる(そのためにカソードに接触している)。陰極液114は、電気化学反応が起こるカソード110と接触している所定量の反応物質を有している。
【0022】
陰極液114は更に膜セパレーター120と接触する。膜セパレーター120はNaSICON膜(または他の類似の膜)などのナトリウムイオン伝導性膜であり、電池のアノード側から陰極液114を分離する。
【0023】
膜セパレーター120の反対側は、陽極液溶液または陽極液122及びナトリウムアノード124である。低温度において、ナトリウムアノード124は固体形状である。しかしながら、電気自動車が始動し走行した後、熱源126からの熱がナトリウムアノードに移動し、それにより固体ナトリウムが融解し、溶融ナトリウムに変換される。熱源126は、1つ以上のモーターや電気自動車の駆動部分などの電気自動車の作動中に発生する熱から成ってもよい。熱源126は、電気ヒーターから又は電池それ自身の作動からの熱から成っていてもよい。
【0024】
ある実施態様において、陽極液溶液または陽極液122は、ナトリウムアノード124とNaSICON膜セパレーター120との間に配置される。この目的は、もし電池作動中に固体ナトリウムが固化すると、セラミックNaSICON膜にひびが入るからである(NaSICONの界面での応力が高まるからである)。従って、ある実施態様において、これに限定されないが、所定量の陽極液は、膜セパレーター120とナトリウムアノード124(溶融状態または固体状態のいずれか)との間に常に配置される。
【0025】
開示される電池は、頂上に位置するアノード室と底部に位置するカソード室を伴う平面NaSICON膜を利用する特別な配向を有する。カソード室は、NaSICON膜セパレーター120と接触する陰極液114及びカソード110を含む。陰極液114は、116に陰極液が流入し、118から陰極液が流出するとして示されるように、任意で外部のリザーバーから循環されてもよい。カソード集電体128は、電池100の底部に位置されるものとして示される。カソード室の構成は使用されるカソードの型に基づいて異なるということが予想されることは理解できるであろう。
【0026】
アノード室は、陽極液122と接するナトリウムアノード124を含む。アノード集電体130は、ナトリウムアノード124と接触して電池100の頂部に配置される。図1に示すように、ナトリウム金属はNaSICON膜に接触して陽極液の頂部にある。このような状況では、物質の密度において相対的な差を引き起こす。すなわち、ナトリウム塩が溶解している陽極液溶液に基づく有機またはILの予測される密度と比較して、固体状におけるナトリウム金属の密度〜0.97g/cc及び液体状の密度〜0.93g/ccは低密度である。それ故、液体の陽極液溶液は、より高い密度のために固体ナトリウムと膜との間に配置されることが予想される。しかしながら、結果的にはナトリウムは膜と接触して残り、ナトリウムとNaSICONとの間にそれらの分離を容易にするためにマクロポーラス/ミクロポーラス構造を追加されることが望ましい。
【0027】
電気自動車が作動中(放電中)、ナトリウム金属アノードは、異なる温度や作動中の時間の経過において固体になったり溶融したりすることにより、−30℃〜130℃で機能する“ハイブリッド”アノードとして働く。溶融ナトリウムアノードは、高電流密度および高電力能力、更には樹枝結晶の形成の低減を介して電池の非効率性を減少させるために好ましい。これは、132中に陽極液が流入し、134から陰極液が流出することによって示される、陽極液を流すという概念を利用することにより達成される。低温始動および低温作動中、液体陽極液の薄い膜が、固体ナトリウムアノードとNaSICON膜との間の隙間を埋めるために使用される。電池は作動中に、ジュール熱、自動車の他の熱源または個別のヒーターを含む熱源126から加熱され、最終的にはナトリウムが溶融する約100℃の中温の作動温度に達する。その際、陽極液循環は停止し、溶融ナトリウムは直接NaSICONに接触する。低い温度における液体陽極液の役目は、ナトリウムイオンが、固体ナトリウムから固体NaSICON膜に移送されることを確実にすることである。
【0028】
液体陽極液122は、好ましくはイオン液体系であり、これはイオン液体が低温でNaを電着し、高温でもNaに対して安定である電解質の1つであるためである。更に、イオン液体はほぼ蒸気圧がゼロであり、不燃性であるため、作動安全性に寄与できる。イオン液体層による電位降下は、イオン液体の性質(凝固点、伝導性およびクーロン効率)を最適化することによって最小と出来る。イオン液体の好ましい例としては、これに限定されないが、(i)アニオン:テトラフルオロホウ酸塩(TFB)、トリフラート(TFO)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、並びに(ii)カチオン:アルキルイミダゾリウム(IM)、ピロリジニウム(PY)及び非対称4級アンモニウム(QA)型などが挙げられる。
【0029】
常温におけるプラグ無しの条件からの始動が必要であるため、低温におけるイオン伝導性はハイブリッド電池の作動に必要不可欠である。分子の対称性および分子量は、ガラス転移温度および融点に影響を及ぼし、両方とも重要なファクターである。非対称カチオンは、結晶しにくく、そのため低融点である。混合カチオン溶融塩の融点は、単独のカチオン溶融塩のそれより著しく低い。
【0030】
前述のように、電気化学的安定性は、添加剤を形成する固体電解質界面(SEI)の使用を通じて改良される。そのような添加剤は、ナトリウムの沈積および剥離のクーロン効率を改良する。しかしながら、固体ナトリウムの沈積が必須でない(ILが含まれていない場合に溶融体中で行われる)ハイブリッド構造の使用のため、より負の沈積過電圧によるクーロンロス対開路におけるクーロンロスが区別されなければいけない。ルイス酸の添加は、ナトリウムカチオンをより沈積しやすくする。他の添加剤としては、トリクロロメタンが安定層を形成することによりクーロン効率が改良すると思われる。
【0031】
ハイブリッド電池100はナトリウムが溶融状態の約100℃〜約130℃の時に最長で作動する。停止中、温度が約100℃未満に下ったら、陽極液循環が再開始し、陽極液層が固体ナトリウムアノードとNaSICON膜との間に再構築される。これらの特徴は、EV電池の要素を形成するための多様な選択制を付与しながら高いエネルギー及び電力密度を可能にする。中間温度(100℃〜130℃)操作では、更に、1)材料耐久性を改良し、2)費用効率の高い電池および積層材料を可能にし、3)単純な熱管理を可能にするという利点も含む。
【0032】
図示しないが、ハイブリッド電池100は、ここに記載されている温度での種々の作動中にハイブリッド電池100の効率的な作動を供給するために、温度、圧力および/または流量センサーなどのセンサー、流量バルブ、ポンプ及び好適な制御ソフトウェア及びハードウェアを有してもよいことは明らかであろう。
【0033】
ハイブリッド電池100は二極エンドプレート136、138を含むことにより、平面構造内に積層二極構成を可能にし、エネルギー密度および低製造コストの目的を改良する。
【0034】
ハイブリッド電池100の作動中、NaSICON膜セパレーター120を介してナトリウムイオンが伝導する。その結果、アノード室内のナトリウムの量は変化する。ある実施態様において、これに限定されないが、アノード集電体130と接触する為にスプリング(ばね)140が設けられてもよい。スプリング140の使用目的の一つは、ナトリウムアノード124の相変化により(例えば、固体から溶融状態およびその逆)、アノードは容積が変化した場合でも、集電体130がアノード124と接触し続けることを確実にすることである。換言すれば、集電体130及び/又はアノード124は、陽極液と十分に接触して電池が連続的に作動することを確実にするために、スプリングによるバイアスをかけられる。ある実施態様において、スプリング140は、アノードが固体から液体およびその逆に変化する際に、電池機能を補助するために望ましい。
【0035】
他の実施態様において、これに限定されないが、ハイブリッド電池の充電中に過剰のナトリウムを受け入れ、放電中にナトリウムを供給するナトリウムオーバーフローリザーバー142が設けられてもよい。ナトリウムオーバーフローリザーバー142は、アノード室から分離されてもよく、又アノード室の延長でもあってもよい。他の実施態様において、これに限定されないが、アノード室は、ハイブリッド電池作動中のナトリウムの体積変化に適応するために、可変容積やブラダーを伴って形成されてもよい。
【0036】
ある実施態様において、これに限定されないが、放電中にアノード室中の隙間を満たし、充電中に過剰の陽極液を保持する上記電池で、陽極液はリザーバー中に収納されてもよい。この陽極液層の使用はハイブリッド電池が適切に作動することを確実にするが、イオン液体陽極液の添加は、液体金属ナトリウム電池よりもクーロン電位ロスおよび電力低下(低電流)を示す。他の実施態様において、“L−形状”の一方の側にNaSICONを有し、他の側にNaSICON層の頂部を有するように設計された“L”形状電池がある。ナトリウムはその構造の一方でNaSICONと直接接触し、イオン液体陽極液は、ナトリウムアノードの頂部とNaSICONとの間のスペースを流れる。このL−形状電池の構成は、共通のカソード及びイオン液体または他の陰極液用の好適な材料を使うことが出来る。この構成において、ナトリウムが一旦溶融し、アノードの底部にいつも流れる。冷却されると、ナトリウムは室内の拡張された頂部に空間を作り出す。
【0037】
陰極液および陽極液は、特異なハイブリッド電池構造によるが、電極を有する陽極液室および陰極液室のそれぞれに流れる(そして、補充のための室を流れ出す)。それとは別に、ハイブリッド電池は、陽極液/陰極液が電極室内に残ったままの“流れない”システムもある。更にある実施態様において、陰極液へのナトリウムの露出を最小とするために、ナトリウムイオンを含む陽極液は流れず陰極液は流れるという考えの“ハイブリッド”(特に、水性陰極液を使用する場合)もある。もちろん、他の実施態様として、陰極液が流れ、陽極液が流れないように設計されてもよい。更なる実施態様として、陰極液/陽極液の両方とも流れないか、陰極液/陽極液の両方との流れるように設計されてもよい。
【0038】
更なる実施態様において、陽極液がアノードと別のタンクに収納され、陽極液の少量がアノードとNaSICON膜との間を流れることが出来るように設計されていてもよい。陽極液をアノードと異なるタンクに収納することは、電池のサイズを小さく出来るために有利である。
【0039】
図2は、開示されるハイブリッド電池の構成を可能にするような、外部の陽極液リザーバー及び陰極液リザーバーを有する図1と類似のハイブリッド電池100を示す。開示される実施態様において、外部の陽極液リザーバー144は、132の陽極液流を介してハイブリッド電池100に循環させる陽極液122のために設けられる。外部陽極液リザーバー144は、陽極液流134を介して電池から除去される陽極液もまた受け入れる。1つ以上の陽極液バルブ146及び、好適なセンサー、ポンプ、電子制御装置(図示せず)等を組み合わせて陽極液室内の陽極液循環を制御する。
【0040】
同様に、記載される実施態様において、外部の陰極液リザーバー148は、ハイブリッド電池100に循環させる陰極液を、116の陰極液流を介して供給する。外部の陰極液リザーバー148は、118から流れ出て電池から除去された陰極液もまた受け入れる。好適なセンサーと組み合わせた1つ以上の陰極液バルブ150、ポンプおよび電子制御装置(図示せず)が、陰極液室内の陰極液の循環を制御する。
【0041】
このハイブリッドフロー電池は、ハイブリッド電池100に他のEV電池では達成できない性能を与えるような、少なくとも3モードの運転を行うことが出来る。3モードの運転は、“ハイブリッド”構造(液体陽極液を有する固体ナトリウムアノード又はNaSICONに直接接触する溶融ナトリウムアノード)を含み、以下に示し、図2及び図4A−4Cに記載されるこの特異な技術を行う。第1の作動モードは、約−30℃〜約100℃の温度でナトリウムアノードが固体であり、NaSICOは低温でさえナトリウムイオンに伝導性を有しており、陽極液が液体で、陰極液も液体であるため、低温における電池の放電を可能にする。第2のモードは、高温(約110℃以上で、通常約100℃〜約130℃)において作動する好適な動力学が、電極および総電池の両方のより高い容量および電力を導く。第3のモードは、ナトリウムアノードが溶融状態で、NaSICON膜セパレーターに直接接触している時充電が優先的に生じる(必ずしも必要でないが)。
【0042】
ナトリウムアノードが溶融状態の際にハイブリッド電池を充電することがなぜ有利であるかは幾つかの理由がある。一般的に言えば、液体陽極液が固体ナトリウムアノードと一緒に使用されると、クーロン効率のロスが観測される。この室温におけるナトリウム金属電池の効率のロスは、主として放電中に生じ(例えば、ナトリウムの沈積)、これは充電中ではない。これは、ナトリウム沈積電位において、充電のいくらかは有機ILカチオンを還元する(その速度は極めて低いが)のに使われ、ほとんどが固体電解質界面(SEI)層の形成に使われるという理由のためである。ある有機カチオンは他のカチオンよりもより還元されにくく、添加剤が界面を保護するのに使用できる。無機カチオンは、より安定であるが、伝導性が低く、融点も高い(両方とも望ましくない)。それ故、開示されるハイブリッド電池構造は充電した時(外部プラグ電源で)、NaSICONとナトリウムとの間にIL陽極液を必要としないで、溶融アノード状態が生じる。
【0043】
液体ナトリウム状態においてハイブリッド電池の再充電が行われるため、陽極液はプロセスにおいて含まれないことが重要である。それ故に、陽極液中のカチオンは、低温ナトリウムメッキ(堆積)中の固体ナトリウムを沈積するために使用される高い負過電圧に曝されない、そのため、ハイブリッド電池の作動中、ナトリウムアノード温度が融点に上がった際に、陽極液循環は停止し、可能な限り、陽極液の実質的に全てがアノード室から除去される。
【0044】
図3は、開示されるハイブリッド電池の作動を評価する熱、流量および充電/放電サイクルプロトコルの例を示す。0点においてハイブリッド電池の低温始動を示し、ナトリウムアノード温度はほぼ−30℃である。この温度では、ナトリウムは固体であり、図4Aに示すように、陽極液循環を可能にするようにバルブ146は開いている、ナトリウムアノード温度は徐々に上がっていく。温度が100℃以上に達したら、バルブ146は閉じられ、陽極液流は停止し、図4Bに示されるように溶融ナトリウムアノードを伴って電池は長時間作動する(通常運転を示す)。ナトリウムアノード温度は次いで低下する。ナトリウムアノード温度が100℃以下に冷却されると、バルブ146は開き、図4Aに示すように陽極液流が再開する。最終的にナトリウムアノード温度が約−30℃に冷却される。上述のように、ナトリウムアノードハイブリッド電池は、図4Cに示すように、ナトリウムアノードが溶融状態の時に好ましくは充電される。
【0045】
上述のように、NaSICONは、いかなる所望のカソードが使用される場合のアノード手段からカソードを孤立させる機能を有する。可能性のあるカソードの例としては、硫黄、金属ハロゲン化物、ZnからZnO、NiOOHからNi(OH)、ハロゲン、空気などが挙げられる。
【0046】
以下の表1は、3種の異なるカソードの詳細をまとめたものである。
【0047】
【表1】
【0048】
NaSICON膜セパレーターの使用に伴い、カソードとアノード室との間での電解質の混合の心配なしに、2つの別々の最適化された電解質を使用できる。
【0049】
“ニッケル”カソードは、すでにNi−MH及びNi−Zn電池として広く発展し、商業化されている。このカソードは、水性濃アルカリNaOH陰極液中で機能し、固体NaSICON膜はアノード室からそれを分離することに寄与する。Na−NiOOH電池に関する関連する電気化学反応は以下の通りである。
【0050】
負極:Na ⇔ Na+e
【0051】
正極:NiOOH+HO+e ⇔ Ni(OH)+OH
【0052】
最終の反応:Na+NiOOH+HO ⇔ Ni(OH)+NaOH
【0053】
第2のカソードは硫黄カソードであり、これは軽く、活性で、安価で、容易に入手できるために大きな可能性を持っている。理論的容量は1672mAh/g(NaSに変換されることを基準として)であり、非気体状成分の使用においてもっともよく知られたものの一つである。このカソードと共に、イオン液体または均等の水が陰極液として使用され、この材料は低および高ナトリウムポリスルフィドを溶解し、それにより低温液体硫黄カソード(高温のそれと類似の)を形成する。硫黄物質をイオン液体と共に使用する利点の一つは、蒸気圧が無く、より密閉系で出来ることである。更に、硫黄カソード安全に使用できる。低温で作動した際のNa−S電池の理論的比エネルギーは954Wh/kgであり、Na−S電池の高温での作動の場合よりも高い。これは硫黄およびナトリウムスルフィド材料間で以下に示す反応が繰り返されるためである。
【0054】
開始反応:Na+x/16S+e ⇔ 1/2Na
x=4、6又は8
【0055】
開始反応:Na+x/16S+e ⇔ 1/2Na
x=4、6又は8
【0056】
最終反応:Na+1/2Na+e ⇔ Na
【0057】
総反応:1/16S+Na+e ⇔ 1/2Na
【0058】
以下の表1に示す第3カソードは、いかにリチウムイオン電池カソードが作動するかに似ている。ナトリウム金属カーボンホスフェート(carbonophosphate)カソード反応は以下の通りである。
【0059】
M(CO)(PO)+3Na+3e→NaM(CO)(PO
【0060】
第1の2つのカソードの場合、金属カソードの酸化および還元に含まれるイオンは、電解質中に蓄えられ、電解質の高容積を必要とする。必要とされる電解質の正確な容積は、陰極液中のそのイオンの溶解性によって決定される。これは、電解質の厚い層が必要とされ(陰極液抵抗を高くする)、または別の場所に設けられるイオンリザーバーの陰極液流を必要とする。カーボンホスフェートカソードにおいて、薄い層(物理的に可能なくらい薄い)でナトリウムイオン移送に十分であるため、電解質はナトリウムイオンリザーバーとして機能する。金属カーボンホスフェートはナトリウム金属カーボンホスフェートに相を変化する。マグネシウムカーボンホスフェートは現在好ましい。
【0061】
金属塩化物カソード系はまた、開示されるハイブリッド電池において安定である。これは、ZEBRA電池カソードと似ている金属塩化物は亜鉛、銅またはニッケルの塩化物、臭化物およびヨウ化物から選択される。ZnClは好ましいが、CuCl及びNiClもまた使用でき、高い電位を供給でき、可逆的なメッキのために適切な選択である。陰極液はイオン液体中に溶解するナトリウム塩化物とすることができる。
【0062】
開示されるハイブリッド電池化学の多くの重要な利点がある。第1に、電池電位が比較的高いことが期待され(>2.0V)、大きな容量のカソードにより得られるエネルギー密度が高い。それ故、必要とされるより少ない電池で、電気自動車使用に必要な高電位(例えば、40V)及びエネルギー密度を達成できる。第2に、活物質のコストが安価であり、電池に組み入れる前の追加のプロセスがほとんどあるいは全く必要としないで商品サイズの量を獲得することが出きる。これらの活物質のコストの見積りは、DOE(米エネルギー省)コスト目標に容易に合致できるのに必要なプライスポイント範囲内である。第3に、中温作動(<130℃)は、電池製造のための低コストのポリマー材料の使用を容易にする。そして最後に、全ての活物質が国内資源によって入手可能であり、米国は歴史的にこれらの材料の輸出利益国である。
【0063】
以下の表は、公知の高温NaS/ZEBRA電池と比較した開示されるハイブリッドナトリウムアノード電池のいくつかの重要な製造利点をまとめたものである。
【0064】
【表2】
【0065】
ある電気自動車は、電池の外部ケースの温度による要求があることを注目すべきである。この要求は、自動車の運転手が触れても大丈夫なようにこのケースが十分に低温を保つことである(換言すれば、運転手が自動車のフードを開けて電池ケースに触れた際、運転手の皮膚を火傷するような“あまりにも熱い”ということになってはいけない)。より具体的には、多くの電気自動車電池は、電池の外側ケースの温度が52℃を超えない(または、55℃)ことが要求される。電池の内部作動は100〜130℃の温度における溶融ナトリウムを含んでいるので、電池ケースまたは電池の他の部材において十分な絶縁(耐熱性を有する)し、外部電池ケース温度が確実に熱くならないようにするべきである。しかしながら、そのような絶縁は一般的に良く知られていることであり、簡単に達成できる。
【0066】
本発明の具体的な実施態様が図示され、記載されたが、本発明の要旨を逸脱しない限り数多くの改変が可能であり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0067】
本明細書に挙げられた全ての特許文献は、参照により本発明に引用される。
図1
図2
図3
図4