(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ルーメン内に配置された作動要素であって、該作動要素への作動力の適用が前記器具に沿った反力を生じるように、該器具の末端の近くに取り付けられている、作動要素
をさらに含む、請求項1記載の器具。
第二の細長いボディの長さに沿って第二の角度でスパイラル状にされた第二のルーメンを含む第二の細長いボディであって、前記作業チャネルの空洞内をスライド式に移動するように構成されている、第二の細長いボディ
をさらに含む、請求項1記載の器具。
前記第二のルーメン内に配置された第二の作動要素であって、該第二の作動要素への第二の作動力の適用が前記第二の細長いボディに沿った第二の反力を生じるように、該第二の細長いボディの末端の近くに取り付けられている、第二の作動要素
をさらに含む、請求項8記載の器具。
前記第一の細長いボディの縦軸の周りに半径方向に分散された圧縮力が、前記第一の細長いボディの前記スパイラル状にされたルーメンを含む部分における正味曲げ力および回転力を減少させること、および
該第二の細長いボディの縦軸の周りに半径方向に分散された圧縮力が、前記第二の細長いボディの前記スパイラル状にされたルーメンを含む部分における正味曲げ力および回転力を減少させること
をさらに含む、請求項9記載の器具。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい態様の詳細な開示
特定の好ましい態様および例が以下に開示されるが、本発明の主題は、具体的に開示される態様を超えて他の代替態様および/または使用ならびにそれらの変形および均等物に及ぶ。したがって、明細書に付随する特許請求の範囲は、以下に記す特定の態様のいずれによっても限定されない。たとえば、本明細書に開示される任意の方法またはプロセスにおいて、方法またはプロセスの行為または動作は、任意の適当な順序で実施され得、必ずしも、開示される任意の特定の順序に限定されない。他方、特定の態様の理解に役立ち得るようなやり方で様々な動作が複数の別々の動作として記載されることもあるが、記載の順序は、それらの動作が順序依存性であることを暗示するものと解釈されるべきではない。加えて、本明細書に記載される構造、システムおよび/または装置は、統合された部品として具現化されてもよいし、または別々の部品として具現化されてもよい。
【0016】
様々な態様を比較するために、これらの態様の特定の局面および利点を記載する。必ずしもそのような局面または利点のすべてが任意の特定の態様によって達成されるわけではない。したがって、たとえば、本明細書に教示される一つの利点または利点の群を達成または最適化し、同じく本明細書に教示または暗示され得るような他の局面または利点を必ずしも達成しないようなやり方で様々な態様が実施されてもよい。
【0017】
1.概観
管腔内外科手術ロボットシステムは、やっかいな腕の動きおよび位置を要することなく、エルゴノミクス的な位置に着座し、ロボット内視鏡ツールを患者内の所望の解剖学的位置に制御する能力を外科医に提供する。
【0018】
ロボット内視鏡ツールは、その長さ沿いの少なくとも二つの地点で複数の自由度を提供することにより、人体内の管腔中で容易にナビゲートされる能力を有する。ツールの制御点は、人体内の曲がりくねった経路をナビゲートされるとき、有意に、より本能的な装置の制御を外科医に提供する。また、ツールの先端は、全360°のロール角の場合で0〜90°の屈曲が可能である。
【0019】
外科手術ロボットシステムは、患者内の所望の解剖学的位置への誘導に関して医師を支援するために、外部センサベースのナビゲーション技術および内部視覚ベースのナビゲーション技術の両方を組み込み得る。ナビゲーション情報は二次元表示手段または三次元表示手段で運ばれ得る。
【0020】
2.システム部品
図1は、本発明の態様のロボット内視鏡システムである。
図1に示すように、ロボットシステム100は、少なくとも一つのメカニカルアーム、たとえばアーム102を有するシステムカート101を含み得る。システムカート101は、遠隔に位置するコマンドコンソール(図示せず)と通信状態にあり得る。実際、システムカート101は、医師がコマンドコンソールから快適にシステム100を制御し得る間、患者へのアクセスを提供するように配置され得る。いくつかの態様において、システムカート100は、安定性および患者へのアクセスのために、手術台またはベッドに統合されてもよい。
【0021】
システム100内で、アーム102は、いくつかの態様においては制御電子部品、電源および光学ソースを含む多様なサポートシステムを含むシステムカート101に固く結合され得る。アーム102は、患者の手術部位へのアクセスを可能にするために複数のリンケージ110およびジョイント111から形成され得る。システムカート103は、電源112、空気圧113および制御・センサ電子部品114(中央処理ユニット、データバス、制御回路およびメモリのような部品を含む)ならびにアーム102のようなアームを駆動し得る関連するアクチュエータまたはモータを含み得る。パワーが、当業者には公知の多様な手段、たとえば電気配線、ギヤヘッド、エアチャンバを使用して、システムカート101からアーム102に運ばれ得る。システムカート101中の電子部品114はまた、コマンドコンソールから送られた制御信号を処理し、送信し得る。
【0022】
システムカート101はまた、車輪115によって示すように、可動性であってもよい。いくつかの態様において、システムカートは、患者の近くの所望の場所まで動かし得る。システムカート101は、空間の必要性を受け入れ、患者に対するモジュールおよび器具の適切な配置および移動を容易にするために、手術室中の様々な場所に配置され得る。この能力が、患者、医師、麻酔科医または選択された処置に求められる任意の外科的支援器具に干渉しない位置にアームを配置することを可能にする。処置中、器具を有するアームは、触覚デバイス、ジョイスティックまたはカスタマイズされたペンダントを有するコマンドコンソールを含み得る別々の制御装置を介するユーザ制御により、共同的に作動する。
【0023】
3.メカニカルアーム
アーム102の基端はカート101に固く取付けまたは結合され得る。メカニカルアーム102は、アーム一つあたり少なくとも一つのジョイント、たとえばジョイント111によって接続された複数のリンケージ110を含む。メカニカルアーム102がロボットアームであるならば、ジョイント111は、少なくとも一つの自由度の動きに作用するために、一つまたは複数のアクチュエータを含み得る。アーム102は、全体として、好ましくは、三つよりも多い自由度を有する。ワイヤおよび回路の組み合わせを通して、各アームはまた、パワーおよび制御信号をシステムカート101からアームの末端に位置する器具へと運び得る。
【0024】
いくつかの態様において、アームは、患者を載せた手術台に固く結合されてもよい。いくつかの態様において、アームは、手術台のベースに結合され、患者にアクセスするためにぐるりと延びてもよい。
【0025】
いくつかの態様において、メカニカルアームはロボット駆動でなくてもよい。そのような態様において、メカニカルアームは、ブレーキとカウンタバランスとの組み合わせを使用してアームの位置を保持するリンケージおよびセットアップジョイントで構成される。いくつかの態様において、カウンタバランスは、ガスばねまたはコイルばねから構成され得る。フェースセーフブレーキのようなブレーキは機械的または電気機械的であり得る。いくつかの態様において、アームは、重力支援パッシブサポートアームであってもよい。
【0026】
末端側で、各アームは、機構交換インタフェース(MCI)、たとえば116を介して、着脱可能な器具装置マニピュレータ(IDM)、たとえば117に結合され得る。好ましい態様において、MCI116は、空気圧、電力、電気信号および光学信号をアームからIDM117に通すためのコネクタを含み得る。いくつかの態様において、MCI116は、止めねじまたはベースプレート接続のような簡単なものであってもよい。
【0027】
IDM117は、ダイレクトドライブ、ハーモニックドライブ、ギヤドライブ、ベルト・プーリまたは磁気ドライブを含む、外科器具を操作するための多様な手段を有し得る。当業者は、器具装置に対してアクチュエータを制御するための多様な方法を使用し得ることを理解するであろう。
【0028】
ロボットシステム内で、MCI、たとえば116は、多様な処置特異的IDM、たとえば117と交換可能であり得る。この態様において、IDMの交換可能性は、ロボットシステム100が様々な処置を実施することを可能にする。
【0029】
好ましい態様は、末端にリストを有するジョイントレベルトルク感知を有するロボットアーム、たとえばKuka AGのLBR5を使用し得る。これらの態様は、七つのジョイントを有するロボットアームを有するが、実行中の処置を妨害しないようにリストを同じ姿勢に維持しながらも、患者、他のロボットアーム、手術台、医療関係者または手術の場に近い器具との潜在的なアーム衝突を回避するために余分なジョイントが提供されている。当業者は、少なくとも三つの自由度、より好ましくは六つ以上の自由度を有するロボットアームが本明細書に記載される発明の概念に入ることを理解し、さらに、一つより多いアームがさらなるモジュールを提供され得、各アームが共通または別々に一つまたは複数のカートに取り付けられ得ることを理解するであろう。
【0030】
4.仮軌道構造
システム100中のアーム102は、多様な処置に使用するために多様な姿勢に配置され得る。たとえば、システム100のアーム102は、別のロボットシステムと組み合わさって、そのIDMを整合させて、内視鏡ツール118の挿入および操作を容易にする「仮軌道」を形成するように配置され得る。他の処置の場合、アームは異なるふうに配置され得る。したがって、システム100中のアームの使用は、特定の医療処置と直に結び付く設計を有するロボットシステムには見られない融通性を提供する。システム100のアームは、潜在的にはるかに大きい行程および積荷能力を提供する。
【0031】
図2Aは本発明の態様のロボット外科手術システム200を示す。システム200は、内視鏡ツールベース206および208をそれぞれ保持する第一のアーム202および第二のアーム204を有する。ツールベース206は、それに機能的に接続された制御可能な内視鏡シース210を有する。ツールベース208は、それに機能的に接続されたフレキシブル内視鏡リーダ212を有する。
【0032】
アーム202および204は、シース210の基端216がリーダ212の基端222よりも末端方向にあり、リーダ212が二つのアームの間で約180°の角度でシース210と軸方向に整合した状態でとどまって、ほぼまっすぐ、すなわち180°である「仮軌道」を生じさせるように、ツールベース206および208を整合させる。後で説明するように、仮軌道は90〜180°の角度を有し得る。一つの態様において、シース210は、リーダ212がその中にスライド式に配置された状態で、たとえば、挿入およびナビゲーション中に絶えず仮軌道を維持しながら、患者の口中の気管内チューブ(図示せず)および患者211の中、そして最終的には患者の気管支系の中にロボット的に挿入される。アームは、コンソール203(
図2B)の前にいる医師(図示せず)の管理下、シース210および内視鏡212を互いに対して軸方向かつ患者211の中または外に移動させ得る。
【0033】
ナビゲーションは、たとえば、シース210をリーダ212に沿って患者211の中に進めることによって達成され、その後、リーダ212をシースの末端213よりも先に進めたのち、所望の目的地に達するまでシース210をリーダ212と均等に配し得る。他のナビゲーションモード、たとえば非限定的に、リーダ212の作業チャネルを通過するガイドワイヤを使用するモードを使用してもよい。医師は、ナビゲーションを支援し、医療処置を実施するための任意の数の視覚誘導様式またはそれらの組み合わせ、たとえば蛍光透視法、ビデオ、CT、MRなどを使用してもよい。そして、リーダ212の末端220を手術部位にナビゲートし得、リーダ212内の縦方向に整合した作業チャネルを通してツールを展開して所望の処置を実施する。仮軌道は、ナビゲーション処置および任意の後続の手術処置の間、維持されてもよい。当業者が理解するように、シースの中をスライドするフレキシブル内視鏡を使用して、ツールを要し得る、またはツールを全く要しない任意の数の代替処置を実施することができる。
【0034】
図2Bは、麻酔カート201が患者の頭部近くに提供されているシステム200のオーバヘッド図を示す。加えて、シース210、内視鏡リーダ212ならびに関連するアーム202および204ならびにツールベース206および208(
図2Aを参照)を制御するために、ユーザインタフェースを有する制御コンソール203が提供されている。
【0035】
図2Cは、
図2Aのシステム200の斜視図を示す。ツールモジュール206および208が、対応するシース210およびリーダ212とともに、アーム202および204に取り付けられ、180°の仮軌道中に配置されている。アームは一つのカート上に示され、それがさらなるコンパクトさおよび易動性を提供している。後で説明するように、ツールベース206および208は、シース210およびリーダ212中で腱を引っ張ってそれぞれの末端を操舵するためにプーリシステムまたは他の作動システムを有する。ツールベース206および208は、シースおよび内視鏡のための他の所望のユーティリティ、たとえば空気圧、電気的データ通信(たとえば視覚用)、機械的作動(たとえばモータ駆動軸)などを提供し得る。これらのユーティリティは、別個の供給源または両供給源の組み合わせからアームを介してツールベースに提供され得る。
【0036】
図2Dおよび2Eは、本発明の態様のロボット外科手術システムの多用性を示すアーム202および204の代替配置を示す。
図2D中、アーム202および204は、180°の仮軌道を維持しながらも器具(シース210およびリーダ212を含む)を水平から75°の角度で患者211の口の中に配置するように延び得る。これは、必要ならば、室内の空間要件を受け入れるために、処置中に実施されてもよい。75°の角度は、限定としてではなく、実例による説明のために選択されたものである。
【0037】
図2Eは、本発明の態様の、ツールベース206および208が整合して角度90°の仮軌道を形成しているアーム202および204の代替配置を示す。この態様において、器具(シース210およびリーダ212を含む)は、水平から75°の角度で患者213の口に入る。ツールベース206および208は、リーダ212が患者213の口に入る前にツールベース206で90°曲がるように整合している。リーダ212の曲がりを容易にするために、硬質または半硬質の構造、たとえば管を使用して、シース210内のリーダ212の滑らかな伸縮を保証してもよい。シース210内のリーダ212の伸縮は、リーダ212が追跡する線形経路に沿ってツールベース208をツールベース206に近づける、またはツールベース206から遠ざけることのいずれかによって制御され得る。シース210の伸縮は、シース210が追跡する線形経路に沿ってツールベース206を患者213に近づける、または患者213から遠ざけることによって制御され得る。シース210を伸縮させるときリーダ212の意図しない伸縮を避けるために、ツールベース208もまた、シース210に対して平行な線形経路に沿って動かしてもよい。
【0038】
仮軌道は、硬質の器具およびフレキシブルな器具の両方を駆動するのに有用であり、特に、伸縮動の要件がある場合に有用である。仮軌道の使用は一つの軌道に限定されず、複数の仮軌道からなることもでき、その場合、アームが協調して作動して、一つまたは複数の処置の実施中に個々の仮軌道を維持する。
【0039】
図3Aは、本発明の態様の、複数の仮軌道を有するシステムのオーバーヘッド図を示す。
図3A中、ロボットアーム302、304および306はそれぞれツールベース308、310および312を保持する。ツールベース308および310はフレキシブルツール314および316に機能的に結合され得る。ツール314およびツール316は遠隔ロボット制御フレキシブル内視鏡器具であり得る。ツールベース312はデュアルルーメンシース318に機能的に結合され得、このシース中、各ルーメンがツール314および316を受ける。アーム302および304はそれぞれ、ロボットアーム306とともに仮軌道を維持し得、三つすべてのアームの動きは、仮軌道を維持し、ツール314、316およびシース318を互いにおよび患者に対して動かすように協調され得る。
【0040】
図3Bは、さらなるロボットアーム320ならびに対応するツールベース322およびツール324を有する
図3Aのロボット外科手術システムの使用を示す。この態様において、シース325は三つのルーメンを有し得る。または、シース325は、ツール314、316および324へのアクセスを提供するために一つよりも多いシースを含み得る。理解されるように、アームの数を対応するモジュールおよび器具の数とともに増減させる能力は、大きな数および融通性の外科的構成を可能にし、それが他方で、高価なアームの他への転用および複数の相対的に安価なモジュールの使用を可能して、費用を減らしながらも大きな多用性を達成する。
【0041】
したがって、仮軌道を形成するためには、複数のアームおよび/またはプラットフォームを利用し得る。各プラットフォーム/アームは、その他のものに対してレジストレーションされなければならず、それは、視覚、レーザ、機械的、磁気的または固着を含む複数の様式によって達成することができる。一つの態様において、レジストレーションは、一つのベースを有するマルチアーム型装置により、機械的レジストレーションを使用して達成され得る。機械的レジストレーションにおいて、態様は、アーム/プラットフォームの配置、位置および配向を、一つのベースに対するそれらの位置、配向および配置に基づいてレジストレーションし得る。もう一つの態様において、レジストレーションは、複数のベースを有するシステムにより、個々のベースレジストレーションおよび複数のロボットアーム間の「ハンドシェイク」を使用して達成され得る。複数のベースを有する態様において、レジストレーションは、異なるベースから一斉にアームに触れ、(i)物理的接触、および(ii)それらのベースの相対位置に基づいて、位置、配向および配置を計算することによって達成され得る。いくつかの態様においては、レジストレーション目標を使用して、アームの位置および配向を互いに対してマッチさせてもよい。そのようなレジストレーションを通して、アームおよび器具駆動機構を互いに対して空間的に計算し得る。
【0042】
5.機構交換インタフェース
図1に戻ると、ロボット外科手術システム100は、たとえばIDM117およびツール118(エンドエフェクタとも知られる)を交換することによって複数の外科手術システム構成を提供するようなやり方で構成され得る。システムは、手術室中の様々な場所または好都合な近場に設置された一つまたは複数の可動ロボットプラットフォームを含み得る。各プラットフォームは、プラットフォームに結合されるロボットアームのためのパワー、空気圧、照明光源、データ通信ケーブルおよび制御電子部品のいくつかまたはすべてを提供し得、モジュールもまた、これらのユーティリティから供給を受け得る。または、システム100は、一つまたは複数の可動カート101に取り付けられた複数のアーム102を有してもよいし、またはアームは、複数の外科手術構成を提供するために、フロアに取り付けられてもよい。
【0043】
複数のアームおよびプラットフォームに加えて、いくつかの態様は、複数のモジュールまたはエンドエフェクタ機構の間で容易に交換するように設計されている。様々な外科手術処置または処置内の工程が、様々なモジュールおよび対応する器具セットの使用、たとえば異なるサイズのシースおよび内視鏡の組み合わせの間で交換することを要する場合もある。交換可能性は、様々な臨床処置および外科的手法の調節のためにシステムが再構成することを可能にする。
【0044】
図4は、本発明の態様の、交換可能なIDMおよびツールを有するロボット外科手術システムを示す。外科手術システム400はメカニカルアーム401を有し、このアームにIDM402およびツール403が取り付けられている。システムカート404に取り付けられた状態で、IDM405および406ならびに対応するツール407および408は、ロボットアーム401上に交換されもよいし、異なるロボットアーム(図示せず)によってピックアップされて別のIDMおよびツールとともに単独で使用されてもよい。各IDMは、指定された処置のための様々なタイプの器具およびツールを駆動するために使用され得る専用の電気化学的システムであり得る。器具を駆動するために、各IDMは、モータを含み得る独立駆動システムを含み得る。IDMは、校正およびアプリケーション関連情報を記録するセンサ(たとえばRFID)またはメモリチップを含み得る。新たな機構がロボットアームに接続されたのちシステム校正チェックが要求される場合もある。いくつかの態様において、IDMは内視鏡シースまたはフレキシブル内視鏡リーダを制御し得る。
【0045】
図4中、システム400は、グローバルレジストレーションおよびセンサの使用を通してIDM402をIDM405および406と自ら交換し得る。いくつかの態様において、IDM406および408は、システムカート404上の、識別および近接センサを用いて構成されている所定の「ドッキングステーション」に格納される。これらのステーションにおけるセンサは、どのIDMがドッキングステーションに「ドッキング」されているのか登録し、識別するために、RFID、光学スキャナ(たとえばバーコード)、EEPROMおよび物理的近接センサのような技術を利用し得る。ロボットアーム401およびIDMドッキングステーションがシステムカート404にあるとき、識別および近接センサは、ドッキングステーションにあるIDMをロボットアームに対して登録することを可能にする。同様に、一つのシステムカート上に複数のアームを有する態様においては、複数のアームが、上述の登録システムおよびセンサの組み合わせを使用して、ドッキングステーション上のIDMにアクセスし得る。
【0046】
図5は、本発明の態様のロボットシステムにおける機構交換インタフェースを示す。
図5Aは、本発明の態様の、ロボットシステム中のロボットアームに結合された機構交換インタフェースの実施形態を具体的に示す。
図5Aに示すように、ロボットアーム500の末端部分は、「オス型」機構交換インタフェース502に結合された関節型ジョイント501を含む。関節型ジョイント501は、ロボットアーム500に結合するように構成されている器具装置機構(図示せず)の操作に関してさらなる自由度を提供する。オス型機構交換インタフェース502は、IDM上の反対側のメス型レセプタクルコネクタインタフェース(図示せず)への強い物理的接続を提供するオス型コネクタインタフェース503を提供する。オス型コネクタインタフェース503上の球形の凹みが、IDM上のメス型レセプタクルインタフェース上の反対側の凹みに物理的に結合する。球形の凹みは、空気圧がロボットアーム500に沿ってオス型機構交換インタフェース502の中に運ばれると、延び得る。オス型機構交換インタフェース502はまた、空気圧をIDMに伝達するための接続504を提供する。加えて、機構交換インタフェースのこの態様は、オス型機構交換インタフェース502とその反対側のメス型インタフェースとが正しく整合していることを保証する整合センサ505を提供する。
【0047】
図5Bは、ロボットアーム500から切り離されたオス型機構交換インタフェース502の代替図を示す。
図5Aに関して説明したように、オス型機構交換インタフェース502は、フランジ様のオス型コネクタインタフェース503、空気コネクタ504および整合センサ505を提供する。加えて、電気信号をIDM上の反対側のインタフェース(図示せず)に接続するための電気インタフェース506。
【0048】
図5Cは、
図5Aおよび5Bのオス型機構交換インタフェース502と接続するための、器具装置マニピュレータに結合された反対側のメス型機構交換インタフェースを示す。
図5Cに示すように、器具装置マニピュレータ507が、ロボットアーム500上のオス型機構交換インタフェース502に接続するように構成されているメス型機構交換インタフェース508に結合されている。メス型機構交換インタフェース508は、オス型機構交換インタフェース502のフランジ様オス型コネクタインタフェース503に結合するように設計されているメス型レセプタクルインタフェース509を提供する。メス型レセプタクルインタフェース509はまた、オス型コネクタインタフェース503上の球形の凹みをつかむための溝を提供する。空気圧が加えられると、オス型コネクタ503上の球形の凹みは延び、オス型コネクタインタフェース503およびレセプタクルインタフェース509はIDM507をロボットアーム500に確実に結合する。また、反対側のメス型機構交換インタフェース508は、コネクタ504から運ばれた空気圧を受けるための空気圧コネクタ510を提供する。
【0049】
図5Dは、
図5Cのメス型機構交換インタフェース508の代替図を示す。前記のように、反対側の機構交換インタフェース508は、レセプタクルインタフェース509、ロボットアーム500上の機構交換インタフェース502とインタフェースするための空気コネクタ510を含む。加えて、機構交換インタフェース508はまた、電気信号(パワー、制御、センサ)を機構交換インタフェース502中のモジュール506に送信するための電気モジュール511を提供する。
【0050】
図6、7、8Aおよび8Bは、
図4のシステム400を使用して操作され得る交換可能なモジュールを示す。
図6は、患者605の腹部604に向けられている、一つのロボットアーム603上の器具インタフェース602を介して接続されたシングルポート腹腔鏡器具601を使用する本発明の態様を示す。
【0051】
図7は、それぞれが一対のアーム702、703および705、706を有する2セットのロボットサブシステム701および704を有する本発明の態様を示す。アーム702、703、705、706の末端の器具インタフェースを介して腹腔鏡器具707、708、709、710がそれぞれ接続され、すべての器具がいっしょに作動して一人の患者711における処置を実施する。
【0052】
図8Aは、一つのロボットアーム802を有し、そのロボットアーム802に器具インタフェース803を介して顕微鏡ツール804が接続されている、サブシステム801を有する本発明の態様を示す。いくつかの態様において、顕微鏡ツール804は、患者807の手術区域の視覚化を支援するために医師806によって使用される第二の顕微鏡ツール805とともに使用されてもよい。
【0053】
図8Bは、
図8Aのサブシステム801を、顕微手術を実施するためのサブシステム808とともに使用し得る本発明の態様を示す。サブシステム808はアーム809および810を提供し、各アームは、各それぞれのアーム上の器具インタフェースを介して接続された顕微手術ツール811および812を有する。いくつかの態様において、一つまたは複数のアームは、ロボットアームの到達範囲内の台または他の適当な保持機構、たとえばドッキングステーションで工具をピックアップし、交換し得る。
【0054】
いくつかの態様において、機構交換インタフェースは、対応するIDMを固定するための簡単なねじであり得る。他の態様において、機構交換インタフェースは、電気コネクタを有するボルトプレートであってもよい。
【0055】
6.器具装置マニピュレータ(IDM)
図9Aは、本発明の態様の、マニピュレータを含むロボット医療システムの一部分を示す。システム900は、ロボットアーム901、関節インタフェース902、器具装置マニピュレータ(「IDM」)903および内視鏡ツール904の部分図を含む。いくつかの態様において、ロボットアーム901は、単に、複数のジョイントおよびリンケージを有するより大きなロボットアームのリンケージであってもよい。関節インタフェース902はIDM903をロボットアーム901に結合する。結合に加えて、関節インタフェース902はまた、空気圧、パワー信号、制御信号およびフィードバック信号をアーム901およびIDM903へと、およびそれらから伝達し得る。
【0056】
IDM903は内視鏡ツール904を駆動し、制御する。いくつかの態様において、IDM903は、内視鏡ツール904を制御するために、出力シャフトを介して伝達される角運動を使用する。後で説明するように、IDM903は、ギヤヘッド、モータ、回転エンコーダ、パワー回路、制御回路を含み得る。
【0057】
内視鏡ツール904は、末端および基端を有するシャフト909を含み得る。IDM903から制御信号および駆動を受けるためのツールベース910がシャフト909の基端に結合され得る。ツールベース910によって受けられる信号により、内視鏡ツール904のシャフト909は、出力シャフト905、906、907および908(
図9Bを参照)を介して内視鏡ツール904のツールベース910に伝達される角運動に基づいて制御、操作および指向され得る。
【0058】
図9Bは、
図9Aに開示されたロボット医療システムの代替図を示す。
図9B中、出力シャフト905、906、907および908を露呈させるため、内視鏡ツール904はIDM903から取り外されている。加えて、IDM903の外殻/シェルの除去がIDMトップカバー911の下の部品を露呈させている。
【0059】
図10は、本発明の態様の、引張り感知装置を有する
図9A、9Bの独立駆動機構の代替図を示す。IDM903の切欠き
図1000中、平行駆動ユニット1001、1002、1003および1004がIDM903中の構造的に最大の部品である。いくつかの態様において、基端から末端まで、駆動ユニット1001は、回転エンコーダ1006、モータ1005およびギヤヘッド1007で構成され得る。駆動ユニット1002、1003および1004は同様に構成され得、トップカバー911の下にモータ、エンコーダおよびギヤヘッドを含む。いくつかの態様において、駆動ユニットに使用されるモータはブラシレスモータである。他の態様において、モータは直流サーボモータであってもよい。
【0060】
回転エンコーダ1006は、モータ1005のドライブシャフトの角速度をモニタし、計測する。いくつかの態様において、回転エンコーダ1006は冗長系回転エンコーダであってもよい。適切な冗長系エンコーダの構造、能力および使用が、2014年8月14日に出願された米国特許仮出願第62/037,520号に開示されている。この出願の全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0061】
モータ1005によって生成されたトルクは、モータ1005のロータに結合されたシャフトを介してギヤヘッド1007に伝達され得る。いくつかの態様においては、回転速度を犠牲にしてモータ出力のトルクを増すために、ギヤヘッド1007はモータ1005に取り付けられてもよい。ギヤヘッド1007によって生成された増大したトルクはギヤヘッドシャフト1008の中に伝達され得る。同様に、駆動ユニット1002、1003および1004がギヤヘッドシャフト906、907および908を介してそれぞれのトルクを外に伝達する。
【0062】
各個の駆動ユニットは、その末端でモータマウントに結合され、その基端近くでひずみゲートマウントに結合され得る。たとえば、駆動ユニット1001の末端はモータマウント1009およびひずみゲージマウント1010に固定されてもよい。同様に、駆動ユニット1002はモータマウント1011に固定され、同時にそれらの両方がひずみゲージマウント1010に固定されてもよい。いくつかの態様において、モータマウントは、重量を減らすためにアルミニウムから構成されている。いくつかの態様において、ひずみゲージマウントは駆動ユニットの側面に接着されてもよい。いくつかの態様において、ひずみゲージマウントは、重量を減らすためにアルミニウムから構成されてもよい。
【0063】
電気ひずみゲージ1012および1013が、ひずみゲージマウント1010に注封され、はんだ付けされ、ねじを使用してモータマウント1009および1011にそれぞれ取り付けられている。同様に、駆動ユニット1003および1004に近い一対のひずみゲージ(図示せず)が、ひずみゲージマウント1014に注封され、はんだ付けされ、ねじを使用してモータマウント1015および1016にそれぞれ取り付けられている。いくつかの態様において、電気ひずみゲージは、横ねじを使用して、それぞれのモータマウントに対して定位置に保持され得る。たとえば、横ねじ1019をモータマウント1009に挿入して、ひずみゲージ1012を定位置に保持し得る。いくつかの態様において、電気ひずみゲージ中のゲージ配線は垂直方向に配置されて、ひずみゲージマウント(1010)に対するモータマウント(1009、1011)の水平変位として計測され得る駆動ユニット中の任意の垂直方向ひずみまたは撓みを検出し得る。
【0064】
ひずみゲージ配線はひずみゲージマウント上の回路へと送られ得る。たとえば、ひずみゲージ1012は、ひずみゲージマウント1010に取り付けられ得る回路板1017へと送られ得る。同様に、ひずみゲージ1013は、同じくひずみゲージマウント1010に取り付けられ得る回路板1018へと送られ得る。いくつかの態様において、回路板1017および1018は、それぞれひずみゲージ1012および1013からの信号を処理または増幅し得る。ひずみゲージ1012および1013への回路板1017および1018の近接が、信号雑音比を減らしてより正確な読みを得るのに役立つ。
【0065】
図11Aは、
図9A、9Bおよび10の独立駆動機構を代替角度から見た切欠き図を示す。
図11Aに示すように、外殻/外皮1101の一部が切欠きされてIDM903の内部を露呈させている。前記のように、駆動ユニット1001は、モータ1005、回転エンコーダ1006およびギヤヘッド1007を含む。駆動ユニット1001は、モータマウント1009に結合され得、トップカバー911を通過し、このトップカバーを通して出力シャフト905を所望の角速度およびトルクで駆動し得る。モータマウント1009は、横ねじを使用して、垂直に整合されたひずみゲージ1012に結合され得る。ひずみゲージ1012は、モータマウント1009に結合することに加えて、ひずみゲージマウント1010の中に注封されてもよい。いくつかの態様において、出力シャフト905は、ギヤヘッドシャフトの上にラビリンスシールを含む。
【0066】
図11Bは、本発明の態様の、内視鏡ツールと組み合わされた前記独立駆動機構の切欠き図を示す。
図11Bに示すように、IDM903に取り付けられた内視鏡ツール904は、IDM903の出力シャフトと縦方向に整合したプーリ、たとえば出力シャフト905と同心であり得るプーリ1102を含む。プーリ1102は、ツールベース910内の精密加工チャンバ1103内に、プーリ1102がチャンバ1103内に固着され得ず、むしろチャンバ1103中の空間内で「浮く」ように収容され得る。
【0067】
プーリ1102のスプラインは、それらが出力シャフト905上のスプラインと整合し、ロックするように設計されている。いくつかの態様において、スプラインは、内視鏡ツールがIDM903と整合するための配向が一つしかあり得ないように設計されている。スプラインは、プーリ1102が出力シャフト905と同心的に整合することを保証するが、プーリ1102はまた、浮動するプーリ1102を出力シャフト905と整合した状態に配置し、軸方向に保持するための磁石1104の使用を組み込み得る。整合状態にロックされると、出力シャフト905およびプーリ1102の回転が内視鏡ツール904内のプルワイヤを引っ張って、シャフト909の屈曲を生じさせる。
【0068】
図12は、本発明の態様の、内視鏡ツールからのプルワイヤを有する前記独立駆動機構の代替図を示す。いくつかの態様において、内視鏡ツールは、シャフトを屈曲させ、制御するためにプルワイヤを使用し得る。これらの態様において、これらのプルワイヤ1201、1202、1203および1204は、それぞれIDM903の出力シャフト905、906、907および908によって張られ、または緩められ得る。したがって、プルワイヤはIDM903中の制御回路によってロボット制御され得る。
【0069】
出力シャフト905、906、907および908が角運動を介して力をプルワイヤ1201、1202、1203および1204上で伝達すると同時に、プルワイヤ1201、1202、1203および1204は力を出力シャフト、ひいてはモータマウントおよび駆動ユニットに戻す。たとえば、出力シャフトから離れる方向のプルワイヤの引張りは、モータマウント1009および1011を引く力を生じさせる。この力は、ひずみゲージ、たとえば1012および1013によって計測され得る。理由は、ひずみゲージはいずれもモータマウント1009および1011に結合され、ひずみゲージマウント1010中に注封されているからである。
【0070】
図13は、本発明の態様の、水平方向の力に対して垂直に向けられたひずみゲージによって水平方向の力を計測し得る方法を示す概念図を示す。線
図1300に示すように、力1301は、出力シャフト1302から離れる方向に向けられ得る。出力シャフト1302はモータマウント1303に結合されているため、力1301はモータマウント1303の水平方向変位を生じさせる。したがって、モータマウント1303および地面1305の両方に結合されたひずみゲージ1304は、モータマウント1303が力1301の方向にひずみゲージ1304を撓ませる(ひずみを生じさせる)とき、ひずみを感知し得る。ひずみの量は、ひずみゲージ1304の水平方向全幅に対するひずみゲージ1304の先端の水平方向変位の比として計測され得る。したがって、ひずみゲージ1304は、最終的に、出力シャフト1302に加わる力1301を計測し得る。
【0071】
いくつかの態様において、アセンブリは、器具装置マニピュレータ903の配向を計測するための装置、たとえば伏角計または加速度計を組み込み得る。ひずみゲージは、地面に対するその配向から生じる重力荷重効果に敏感であり得るため、ひずみゲージと組み合わせて、装置からの計測を使用してひずみゲージからの読みを校正し得る。たとえば、器具装置マニピュレータ903がその側面で配向されているならば、ひずみは出力シャフト上のひずみから生じ得ないとしても、駆動ユニットの重量がモータマウント上にひずみを生じさせ得、そのひずみがひずみゲージに伝達され得る。
【0072】
いくつかの態様において、ひずみゲージ回路板からの出力信号は、制御信号を処理するための別の回路板に結合され得る。いくつかの態様において、パワー信号は、制御信号を処理するための回路板とは別の回路板上の駆動ユニットへと送られる。
【0073】
前記のように、駆動ユニット1001、1002、1003および1004中のモータは、最終的に、出力シャフト、たとえば出力シャフト905、906、907および908を駆動する。いくつかの態様において、出力シャフトは、器具装置マニピュレータ903への流体進入を防ぐ無菌バリヤを使用して増強されてもよい。いくつかの態様において、バリヤは、流体進入を防ぐために出力シャフトの周囲にラビリンスシール(
図11Aの1105)を利用してもよい。いくつかの態様においては、トルクをツールに伝達するために、ギヤヘッドシャフトの末端が出力シャフトで覆われてもよい。いくつかの態様においては、磁気コンダクタンスを減らすために、出力シャフトがスチールキャップに被覆されてもよい。いくつかの態様においては、トルクの伝達を支援するために、出力シャフトがギヤヘッドシャフトに固定されてもよい。
【0074】
器具装置機構903はまた、外殻または外皮、たとえば外殻/外皮1101で覆われてもよい。外殻は、美観的に好ましいことに加えて、手術中、たとえば医療処置中に流体進入防護を提供する。いくつかの態様において、外殻は、電磁遮蔽、電磁両立性および静電気放電防護のために注型ウレタンを使用して構成され得る。
【0075】
本発明の態様において、個々に引張り状態にあるこれらの出力シャフトそれぞれは、操舵可能なカテーテル技術を利用する内視鏡ツール中のワイヤを引き得る。プルワイヤ中の引張り力が、出力シャフト905、906、907および908、さらにはモータマウント、たとえばモータマウント1109および1011に伝達され得る。
【0076】
7.内視鏡ツール設計
好ましい態様において、
図1のロボットシステム100は、管腔内処置のためにカスタマイズされたツール、たとえば内視鏡ツール118を駆動し得る。
図14は、本発明の態様の、
図1のロボットシステム100とともに使用され得る内視鏡ツールの図である。内視鏡ツール1400は、「シース」および「リーダ」と呼ばれる、入れ子式に収容された縦方向に整合した管状ボディの周囲に配置され得る。外径が大きいほうの管状ツールであるシース1401は、基端シース部分1402、末端シース部分1403および中央シースルーメン(図示せず)で構成され得る。シースベース1404に受けられた信号により、末端シース部分1403を術者の所望の方向に屈曲させ得る。シース1401内には、外径が小さいほうのリーダ1405が入れ子式に収容されている。リーダ1405は、基端リーダ部分1406および末端リーダ部分1407および中央作業チャネルを含み得る。シースベース1404と同様に、リーダベース1408は、多くの場合、IDM(たとえば
図9Aの903)からリーダベース1408に送られる制御信号に基づいて末端リーダ部分1407の屈曲を制御する。
【0077】
シースベース1404およびリーダベース1408は、いずれも類似した駆動機構を有し得、それらの駆動機構に、シース1401およびリーダ1405内の制御腱が固着されている。たとえば、シースベース1404の操作は、シース1401中の腱に引張り荷重をかけて、その中で、末端シース部分1403の撓みを制御されたやり方で生じさせ得る。同様に、リーダベース1408の操作は、リーダ1405中の腱に引張り荷重をかけて、末端リーダ部分1407の撓みを生じさせ得る。シースベース1404およびリーダベース1408の両方はまた、空気圧、電力、電気信号または光学信号をIDMからシース1401およびリーダ1404に送るためのカップリングを含み得る。
【0078】
シース1401およびリーダ1405内の制御腱は、屈曲部分を通過して屈曲部分から遠い位置に配置されたアンカに送られ得る。好ましい態様において、シース1401およびリーダ1405内の腱は、ステンレス鋼コイル、たとえばコイルパイプに通して送られるステンレス鋼制御腱からなり得る。当業者は、腱のために他の材料、たとえばKevlar、タングステンおよび炭素繊維を使用し得ることを理解するであろう。これらの腱への加重がシース1401およびリーダ1405の末端部分を制御可能なやり方で撓ませる。シース1401およびリーダ1405内の腱の長さに沿うコイルパイプの包含が軸方向圧縮を加重源に戻し得る。
【0079】
複数の腱を使用して、内視鏡ツール1400は、複数の自由度(それぞれが個別の腱に対応する)制御をその長さ沿いの2点(末端シース部分1403および末端リーダ部分1407)で提供することにより、人体内の管腔中で容易にナビゲートされる能力を有する。いくつかの態様においては、シース1401および/またはリーダ1405のいずれでも四つまでの腱を使用して、合わせて八つまでの自由度を提供し得る。他の態様においては、三つまでの腱を使用して、六つまでの自由度を提供し得る。
【0080】
いくつかの態様において、シース1401およびリーダ1405は360°ロールされて、さらに多くのツール可撓性を提供し得る。ロール角、複数の屈曲度および複数の屈曲点の組み合わせが、人体内の曲がりくねった経路をナビゲートされるとき、本能的な装置の制御に対する有意な改善を医師に提供する。
【0081】
図15A、15B、15C、16Aおよび16Bは概して、本発明の態様のロボット駆動内視鏡ツール、たとえば
図2のシース210およびリーダ212の局面を示す。
図15Aは、末端1501および基端1502ならびに二端の間に延びるルーメン1503を有するシース1500を有する内視鏡ツールを示す。ルーメン1503は、フレキシブル内視鏡(たとえば
図16のリーダ1600)をスライド式に受けるようにサイズ決めされ得る。シース1500は壁1504を有し、腱1505および1506がシース1500の壁1504の長手の内側で延びている。腱1505および1506は、壁1504中の導管1507および1508をスライド式に通過し、末端1501で終端し得る。いくつかの態様において、腱は鋼から形成され得る。腱1505の適切な引張りが末端1501を導管1507に向けて圧縮しながらも、らせん部分1510の曲げを最小限にし得る。同様に、腱1506の適切な引張りが末端1501を導管1508に向けて圧縮し得る。いくつかの態様において、ルーメン1503はシース1500と同心でなくてもよい。
【0082】
図15Aのシース1500からの腱1505および1506ならびに対応する導管1507および1508は、好ましくは、シース1500の全長にかけてまっすぐには延びず、らせん部分1510に沿ってシース1500の周囲でらせん状に延び、次いで末端部分1509に沿って縦方向にまっすぐに(すなわち中立軸に対してほぼ平行に)延びる。らせん部分1510は、シース1510から基端方向に延びる、末端部分1509の基端から始まり、任意の所望または可変性のピッチで任意の所望の長さで終端し得ることが理解されよう。らせん部分1510の長さおよびピッチは、シャフトの所望の可撓性およびらせん部分1510における摩擦の増大を考慮しながらシース1500の所望の性質に基づいて決定され得る。腱1505および1506は、らせん部分、たとえば内視鏡1500の基端および末端部分にないとき、シース1500の中心軸1511に対してほぼ平行に延び得る。
【0083】
いくつかの態様において、腱導管は互いに対して90°(たとえば3時、6時、9時および12時の方向)であってもよい。いくつかの態様において、腱は、たとえば全部で三つある場合、互いから120°離間していてもよい。いくつかの態様において、腱は等間隔でなくてもよい。いくつかの態様において、腱は中央ルーメンの片側にあってもよい。いくつかの態様において、腱の数は三つまたは四つとは違ってもよい。
【0084】
図15Bは、非らせん部分1509と可変ピッチのらせん部分1510との相違を明瞭に示すために一つの腱しか有しないシース1500の態様の三次元図を示す。一つの腱を使用し得るが、複数の腱を使用することが好ましい場合もある。
図15Cは、末端部分1509、可変ピッチらせん部分1510に沿って延びる四つの腱を有するシース1500の態様の三次元図を示す。
【0085】
図16Aは、
図15のシース1500内にスライド式に入るようにサイズ決めされ得る、末端1601および基端1602を有する内視鏡リーダ1600を示す。リーダ1600は、それを通過する少なくとも一つの作業チャネル1603を含み得る。シース1500の基端1502およびリーダ1600の基端1602はそれぞれ
図2のツールベース206および208に機能的に接続されている。腱1604および1605は、それぞれ壁1608中の導管1606および1607をスライド式に通過し、末端1601で終端する。
【0086】
図16Bは、画像撮影1609(たとえばCCDまたはCMOSカメラ、画像撮影繊維束の末端など)、光源1610(たとえばLED、光ファイバなど)を有し、かつ少なくとも一つの作業チャネル開口1603を含み得る、例示的態様である、リーダ1600の末端1601を示す。様々な公知の能力、たとえばカメラへの配線、通気、吸引、電気、光ファイバ、超音波トランスデューサ、EM感知およびOCT感知を末端で提供するための他のチャネルまたは作動電子部品1606がリーダ1600に沿って提供されてもよい。
【0087】
いくつかの態様において、リーダ1600の末端1601は、先に開示したようなツールを挿入するための「ポケット」を含み得る。いくつかの態様において、ポケットは、ツールを制御するためのインタフェースを含んでもよい。いくつかの態様においては、インタフェースと通信するために、電気または光学ケーブルのようなケーブルが存在してもよい。
【0088】
いくつかの態様において、
図15Aのシース1500および
図16Aのリーダ1600はいずれも、ロボット制御される操舵可能な末端を有し得る。この制御を可能にするシース1500およびリーダ1600の構造は実質的に同じであり得る。したがって、シース1500の構造の説明は、同じ原理がリーダ1600の構造にも当てはまるという理解のうえ、シース1500の構造に限定される。
【0089】
したがって、
図16Aのリーダ1600からの腱1604および1605ならびに対応する導管1606および1607は、リーダ1600の長さに沿って縦方向にまっすぐに(すなわち中立軸に対してほぼ平行に)延びず、リーダ1600の様々な部分に沿ってらせんに延びる。シース1500中のらせん状の腱および導管と同じく、リーダ1600のらせん部分は、シャフトの所望の可撓性およびらせん部分における摩擦の増大を考慮しながら、リーダの所望の性質に基づいて決定され得る。腱1604および1605は、らせん部分にないとき、リーダ1600の中心軸に対してほぼ平行に延びる。
【0090】
以下さらに詳細に説明するらせん部分は、曲げを末端部分に限定するのに役立ちながらも、末端部分に近いシャフトに沿って起こる任意の曲げを最小限にし得る。本発明のいくつかの態様において、シース1500およびリーダ1600中の導管のらせんピッチは、らせん部分の長さに沿って変化してもよく、それが、以下さらに詳細に説明するように、シャフトの剛性/剛さを変化させる。
【0091】
シース1500およびリーダ1600中のらせん導管およびらせん腱の使用は、特に解剖学的構造中の非直線経路をナビゲートされるとき、らせん導管を有しない従来のフレキシブルな器具に対して有意な利点を提示する。カーブした経路をナビゲートされるとき、シース1500およびリーダ1600がその長さの大部分にわたって可撓性のままであり、かつ制御可能に操舵可能な末端部分を有しながらも、末端曲げ部分に近い器具の二次的曲げを最小限にすることが好ましい場合がある。従来のフレキシブルな器具において、末端を屈曲させるための腱の引張りは、フレキシブルな器具の全長に沿って望まれない曲げおよびねじれ(それぞれ「マッスリング」および「カーブアラインメント」と呼ばれ得る)を生じさせた。
【0092】
図17A〜17Dは、腱が引かれたとき、従来技術のフレキシブルな器具が望ましくない「マッスリング」現象を示す様子を示す。
図17A中、従来の内視鏡1700は、内視鏡1700の長さに沿って、中立軸1701に対してほぼ並行に延びる四つの腱または制御ワイヤを有し得る。シャフト壁中の導管1704および1705(制御ルーメンとも知られる)中を延びる腱1702および1703だけが断面で示され、そのそれぞれが、内視鏡1700の末端の制御リング1706に固く接続されている。内視鏡1700は、曲げ部分1707およびシャフト1708を有するように意図的に設計されてもよい。いくつかのフレキシブルな器具において、シャフト1708は、補剛材のような、より剛性の材料を組み込んでもよい。
【0093】
図17Bは、理想とされる曲げ部分1707の屈曲を示す。腱1703を引く、またはそれに引張りを加えることにより、末端曲げ部分1707だけの屈曲は、φによって示される量を生じさせる。腱1702および1703の基端における長さの差はf(φ)となる。対照的に、シャフト1708は中立軸1701に沿ってまっすぐなままであろう。これは、末端領域1707よりも有意に高い剛性の基端領域1708を有することによって達成され得る。
【0094】
図17Cは、腱1703を引っ張ることから生じる現実的な結果を示す。
図17Cに示すように、腱1703を引くと、引張りは非局所的であるため、シャフトの全長に沿って圧縮力が生じる。理想的な状況において、腱1703が中立軸1701に沿うならば、圧縮荷重全体が中心軸に沿って等しく伝わり、大部分またはすべての曲げが曲げ部分1707で起こるであろう。しかし、たとえば内視鏡1700におけるように、腱1703がシャフト1708の周囲に沿って延びるならば、軸荷重は、中立軸の同じ半径方向配向で中立軸1701からずれて伝達され、それが中立軸に沿って蓄積的な動きを生じさせる。これがシャフト1708を曲がらせ(θとして示す)、シャフト1708の曲がりは曲げ部分1707の曲がりと同じ方向になる。内視鏡1700および末端曲げ部分1707が曲がるとき、導管1704および導管1705に沿う長さは変化しなければならない。腱1703は短縮しなければならず、腱1702は伸長しなければならないため、腱1702および1703が基端から延びる量はf(φ、θ)である。腱1703を引くことによってシャフト1707および末端曲げ部分1708が曲がるこの現象は「マッスリング」と呼ばれる。
【0095】
図17Dは、マッスリングに寄与する力を三次元で示す。
図17Dによって示すように、内視鏡1700に沿って腱1703を引っ張ると、器具の片側に向かって指向的に力1712が加わる。力1712の方向は、腱1703の引張りが腱をして末端曲げ部分1707の先端からシャフト1708のベースまでまっすぐな線をたどらせること、すなわち、点線1713によって示されるような最低エネルギー状態を反映する。理解されるように、シャフト1708が硬質である(すなわち、適用可能な力の下で曲げを起こさない)ならば、末端曲げ部分1707だけが曲がる。しかし、多くの用途において、マッスリング現象を十分に最小化するのに十分なほどシャフトの剛性を末端の剛性から異ならせることは望ましくない。
【0096】
図17E〜17Hは、従来のフレキシブルな器具が非直線経路における使用中にカーブアラインメント現象をこうむる様子を示す。
図17Eは、内視鏡1700のシャフト1708に沿って曲がりτを有することによって表された、非直線経路内で静止状態にある従来のフレキシブル内視鏡1700を示す。たとえば、これは、器具が気管支管腔中の曲がりを通過するようにナビゲートされることから生じ得る。非直線の曲がりのせいで、内視鏡1700中の腱1702および1703は、非直線の曲がりを受け入れるための長さ(F(τ)によって表される)だけ基端で伸長または短縮しなければならない。曲がりの上下では、矢印1709(伸長力)および1710(圧縮力)によってそれぞれ示すように、伸長および圧縮力がルーメン/導管上に存在する。これらの力は、曲がりの上側沿いの距離が中立軸よりも長く、曲がりの内側沿いの距離が中立軸よりも短いため、存在する。
【0097】
図17Fは、腱1703を引くとき、内視鏡1700の末端曲げ部分1707を曲がりτと同じ方向に屈曲させる機構を示す。これは、フレキシブルな器具の長さに沿って圧縮力を生じさせ(前記のように)、また、腱1703が、それが通過する非直線導管に対して下向きの力を加え、それが、解剖学的な曲がりくねりによってすでに圧縮されているシャフト1708にさらなる圧縮を加える。これらの圧縮リードは付加的であるため、シャフト1708は末端曲げ部分1707と同じ方向にさらに曲がる。非直線導管沿いのさらなる圧縮力は望まれない場合がある。理由は、(i)期せずして、フレキシブルな器具を身体構造に押し当てることがある;(ii)損傷の危険性が術者を悩ませる。理由は、術者は、身体構造が器具シャフトの輪郭を決定していると「想定」することができるべきであるとき、自分が実行していることを絶えずモニタしなければならないからである;(iii)器具を曲げるのに非効率的な方法である、(iv)予測性および制御性を支援するために曲げを末端部分に限定することが望ましい(すなわち、理想的な器具は、指示どおりに曲がり、かつ解剖学的な非直線経路の関数ではない曲げ部分を有する)、および(v)ユーザが予測不可能な追加的長さ(φ+θ+τ)だけ腱1103を引くことを強要する、からである。
【0098】
図17Gは、腱1702を引くことを要求する、曲がりτとは反対に末端を屈曲させることを望むシナリオを示す。腱1702を引くと、カーブの頂部に沿って圧縮荷重1711が加わり、それは、
図17Eに示すような静止状態の曲がりの場合の伸長荷重とは対照的である。腱1702は、その最低エネルギー状態、すなわち圧縮荷重1711が曲がりτの内側にかかる状態に戻ろうとし、腱1702が曲がりτの内側に載るようにシャフト1708を矢印1712の方向に回転させる。
図17Hに示すように、腱1702に対する引張りによる回転1712が圧縮荷重1711を動かして曲がりの内側に戻し、末端曲げ部分1707を曲がりτの方向に逆にカールさせて、所期の屈曲とは反対の屈曲を生じさせる。腱1702にかかる引張りおよびその結果として生じる回転1712が、実際に、内視鏡1700を
図17Fと同じ状態に戻す。末端の屈曲が曲がりτに向かって逆にカーブする現象は「カーブアラインメント」として知られている。カーブアラインメントは、マッスリングを生じさせる力と同じ力から生じ、これらの力が、マッスリングの場合には望ましくない側方運動を生じさせ、カーブアラインメントの場合には望ましくない回転運動を生じさせるということが理解されよう。マッスリングおよびカーブアラインメントの理論の説明は、実例として提供されるものであり、本発明の態様がこの説明によっていかなるふうにも限定されることはないことが理解されよう。
【0099】
図17Iおよび17Jは、
図15の1510のような本発明の態様におけるらせん部分の提供によってマッスリングおよびカーブアラインメント現象が実質的に解消される様子を示す。
図17Iに示すように、
図15のらせん部分1510におけるように制御ルーメンを内視鏡1700の周囲にらせんに延ばすことが、圧縮荷重1714を内視鏡1700の周囲の一つの腱1715から半径方向に分散させる。引っ張られた腱1715は圧縮荷重1714を中性軸を中心に複数の方向に対称に伝達するため、シャフトに加わる曲げモーメントもまた、シャフトの縦軸を中心に対称に分散し、それが、対抗する圧縮力と引張り力とを釣り合わせ、相殺する。曲げモーメントの分散は、最小限の正味曲げ力および回転力しか生じさせず、点線1816によって表されるような、中立軸に対して縦方向に平行である最低エネルギー状態を生じさせる。これが、マッスリングおよびカーブアラインメント現象を解消する、または実質的に減らす。
【0100】
いくつかの態様において、らせんのピッチは、摩擦およびらせん部分の剛性に影響するように変化させることができる。たとえば、らせん部分1510は、より大きな非らせん部分1509を許して、より大きな屈曲部分およびおそらくはより少ない摩擦を生じさせるために、より短くてもよい。
【0101】
しかし、らせん制御ルーメンはいくつかの代償を生じさせる。らせん制御ルーメンはやはり、腱の引張りによる座屈を阻止しない。加えて、マッスリングは大きく減少するが、「スパイラリング」(腱の引張りによる、渦巻きばね様パターンへのシャフトのカーブ)が非常に一般的である。そのうえ、らせん制御ルーメンは、腱がルーメン中でより長い距離を移動するとき、さらなる摩擦力に関する補正を要する。
【0102】
図18は、本発明の態様の、ルーメン内に軸方向に剛性の管を有するフレキシブル内視鏡ツールの構造を示す。
図18中、内視鏡ツールの一部分が一つのルーメン1801を有し、プルワイヤ1802がシャフト1800の周囲にらせんパターンに巻かれている。ルーメンの内では、軸方向に剛性の管1803がプルワイヤ1802の周囲かつルーメン1801内で「浮いた」状態にある。浮く管1803は、シャフト1800のらせん部分の始端および終端で固着された状態で、プルワイヤ1802の引張りおよび外部ねじ曲がりに応答して伸縮して、ルーメン1801の壁から伸縮力を軽減する。いくつかの態様において、管1803は、ルーメンの始端および終端で制御リングによって固着されてもよい。または、管1803は、はんだ付け、溶接、接着、結合または融着法を使用してルーメンの始端および終端に固着されてもよい。いくつかの態様においては、幾何学的係合、たとえばフレア形状を使用して管1803を固着してもよい。様々な態様において、管1803は、皮下管、コイルパイプ、ボーデンケーブル、トルク管、ステンレス鋼管またはニチノール管から形成され得る。
【0103】
図18の態様は、管を末端ピースおよび基端ピースに固着し、いずれかまたは両方のエンドピースの端を回転させることによって管をいっしょにねじることによって構成され得る。この態様においては、エンドピースの回転が、管が同じピッチ、やり方および配向でらせんに巻かれることを保証する。回転ののち、エンドピースをルーメンに固着すると、さらなる回転を防ぎ、らせんのピッチの変化を制限し得る。
【0104】
図19は、本発明の態様の、フレキシブル内視鏡ツールのルーメン内のらせんパターンの構造を示す。
図19中、ルーメン1900は、その壁に沿ってらせんまたはスパイラルパターンを形成する構造1901および1902を含む。好ましい態様において、構造は、軸方向に剛性である管形状の材料から形成される。いくつかの態様において、構造は、皮下管(「ハイポチューブ」)、コイルパイプまたはトルク管から形成されてもよい。構造1901および1902によって示すように、構造は、ルーメン1900の壁に沿って異なる出発点を有し得る。また、構造1901および1902の材料、組成および特性は、所望の剛性および長さのために選択され、構成され得る。構造1901および1902によって形成されるらせんパターンのピッチもまた、ルーメン1900の所望の剛性および可撓性のために構成され得る。いくつかの態様において、ルーメン1900は、フレキシブル内視鏡の主中央ルーメン、たとえば
図16のリーダ1600であってもよい。
【0105】
図20Aは、本発明の態様の、ロボット管腔内システムの内視鏡ツールを示す。内視鏡ツール2000は、支持ベース(図示せず)に近い可撓性シャフト部分2001と、末端2003に結合された可撓性屈曲部分2002とを含み得る。リーダ2005と同様に、内視鏡ツール2000は、シャフト内の腱に引張り加重をかけることによって屈曲させ得る。
【0106】
図20Bは、
図20Aの内視鏡ツール2000の代替図を示す。
図20Bに示すように、末端2003は、作業チャネル2004、四つの発光ダイオード2005およびデジタルカメラ2006を含み得る。デジタルカメラ2006は、LED2005と関連して、たとえば、解剖学的管腔内でのナビゲーションを支援するためにリアルタイムビデオを取り込むために使用され得る。いくつかの態様において、末端2003は、デジタル画像撮影手段および照明手段を収容する統合カメラアセンブリを含んでもよい。
【0107】
作業チャネル2004は、術中器具、たとえば手術部位での正確な屈曲のための曲げ撓みの通過のために使用され得る。他の態様において、作業チャネルは、洗い流し、吸引、照明またはレーザエネルギーのようなさらなる能力を提供するために組み込まれ得る。作業チャネルはまた、制御腱アセンブリおよび前述のさらなる能力のために必要な他のルーメンの送りを容易にし得る。内視鏡ツールの作業チャネルはまた、多様な他の治療物質を送達するように構成され得る。そのような物質は、アブレーション、放射または幹細胞のために極低温であり得る。これらの物質は、本発明の内視鏡ツールの挿入、屈曲および能力を使用して標的部位に正確に送達され得る。いくつかの態様において、作業チャネルは直径1.2ミリメートルの小ささであり得る。
【0108】
いくつかの態様においては、位置確認を支援するために電磁(EM)トラッカが末端2003に組み込まれてもよい。後で説明するように、静的電磁場においては、生成器を使用してEMトラッカの位置、ひいては末端2003の位置をリアルタイムで決定し得る。
【0109】
カメラ2006からの画像は、解剖学的空間内をナビゲートするのに理想的であり得る。したがって、ナビゲーション中、粘液のような内部体液によるカメラ2006の不明瞭化が問題を引き起こし得る。したがって、内視鏡ツール2000の末端2003はまた、カメラ2006を洗浄するための手段、たとえばカメラレンズに水を注ぎ、水を吸い取るための手段を含んでもよい。いくつかの態様において、作業チャネルは、カメラレンズの周囲で流体を用いて膨らませ、レンズがきれいになったならば吸引され得るバルーンを含んでもよい。
【0110】
内視鏡ツール2000は、管腔内空間内で小さな器具の送達および操作を可能にする。好ましい態様において、末端は、管腔内処置を実施するために、3ミリメートル(すなわち9フレンチ(French))以下の外径を維持するように小型化されてもよい。
【0111】
図21は、本発明の態様の内視鏡ツールの末端を示す。
図21Aにおけるように、内視鏡ツール2100は、外部ケーシング2102を有する末端2101を含む。ケーシング2102は、ステンレス鋼およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むいくつかの材料から構成され得る。末端2101は、ツールアクセスおよび制御をスライド式に提供するための作業チャネル2103を詰められ得る。末端2101はまた、カメラ2105を使用する場合の照明のための発光ダイオード2104のアレイを提供し得る。いくつかの態様において、カメラは、一つまたは複数のコンピュータプロセッサ、プリント回路板およびメモリを含むより大きなセンサアセンブリの一部であってもよい。いくつかの態様において、センサアセンブリはまた、ジャイロスコープおよび加速度計(用法は以下に説明する)のような他の電子センサを含んでもよい。
【0112】
8.内視鏡ツール製造
背景として、操舵可能なカテーテルは、旧来、プルルーメンを組機、すなわち編組機に入れ、ポリマージャケットを編組ワイヤ上に適用した状態で、ワイヤまたは繊維、すなわち編組ワイヤをプロセスマンドレルの周囲に編組することによって製造される。シースおよびリーダ内視鏡ツールの態様は、操舵可能なカテーテルの構成方法の局面を使用して構成され得る。
【0113】
図22は、本発明の態様の、らせんルーメンを有する内視鏡装置を構成する方法の流れ図を示す。まず、工程2201で、作業チャネルとして使用され得る中央ルーメンのための空洞を内視鏡中に形成するための主プロセスマンドレルを選択し得る。制御(プル)ルーメンとして使用するための空洞を内視鏡の壁に形成するための補助マンドレルが選択されてもよい。作業チャネルとプルルーメンとの間の相対サイズ差を反映するために、主プロセスマンドレルは補助マンドレルよりも大きな外径(OD)を示し得る。補助マンドレルは、PTFEのような平滑なコーティングでコートされてもよい金属または熱硬化性ポリマーで構成され得る。
【0114】
ステップ2202で、主プロセスマンドレルを、固定された編組コーンサポート管および編組コーンホルダに対して回転する編組機のフィードチューブに挿入し得る。同様に、補助マンドレルを、主プロセスマンドレルに対して平行にフィードチューブに挿入し得る。旧来の内視鏡構造においては、より小さな補助マンドレルが編組のためのホーンギヤの中心に通される。
【0115】
ステップ2203で、トレッドを有するプーラを使用して、主プロセスマンドレルをフィードチューブの中に前進させ得る。主プロセスマンドレルが進むと、それは最終的にノーズコーン中のセンターホールを通って出る。同様に、補助マンドレルを進ませて、同じくノーズコーン中の外側ホールを通って出させる。これは、補助マンドレルが一般に別々のフィードチューブに通して進められてホーンギヤの中心から出る旧来の内視鏡構成とは対照的である。
【0116】
ステップ2204で、主プロセスマンドレルおよび補助マンドレルがノーズコーンから出るとき、編組ワイヤを使用してそれらを編組する。ノーズコーンは丸い滑らかな形状を提供し、編組プロセス中、その上を、包囲するホーンギヤからの編組ワイヤが主プロセスマンドレルの周囲で容易にスライドし得る。主プロセスマンドレルおよび補助マンドレルの両方がノーズコーンから出るとき、ノーズコーンは回転して、外側ホール中の補助マンドレルが主プロセスマンドレルの周囲にスパイラル状に編組されることを保証する。主プロセスマンドレルおよび補助マンドレルがいっしょに編組されるとき、ホーンギヤは並進し、回転して、編組ワイヤを主プロセスマンドレルおよび補助マンドレルの両方の周囲に所定のパターンおよび密度で重ねてゆく。
【0117】
この編組法は、ノーズコーンが一般に、編組コーンホルダにキー締めされた止めねじを使用して編組コーンホルダに対して半径方向に固定される位置に保持される旧来の内視鏡構成法とは有意に異なる。したがって、らせん制御ルーメンを有するカテーテル様内視鏡を製造するためには、編組プロセスのための専用ハードウェアが必要である。
【0118】
図23は、本発明の態様の、らせんプルルーメンを有する内視鏡を製造するための専用システムを示す。システム2300において、ノーズコーン2301は、ノーズコーン2301をフィードチューブ2302に対して固定位置に保持する止めねじを使用して、回転するフィードチューブ2302に固く結合され得る。したがって、フィードチューブ2302が回転するときノーズコーン2301は回転する。対照的に、旧来のシステムは一般に、止めねじを使用して、ノーズコーン2301を、回転しない編組コーンサポートホルダ2305に固く結合する。
【0119】
主プロセスマンドレル2304を両構造に通して滑らかに引くために、ノーズコーン2301のセンターホール2303は回転フィードチューブ2302と整合し得る。いくつかの態様において、回転フィードチューブ2302は、マンドレルガイドチューブとも知られる編組コーンサポートチューブ2306の内径よりも小さい外径と、ノーズコーン2301のセンターホール2303の円周方向空間よりも大きい内径とを有する。回転フィードチューブ2302は、概して、主プロセスマンドレル2304および補助マンドレルがもつれることなくノーズコーン2301まで通過するのに十分な大きさであり得る。いくつかの態様において、回転フィードチューブ2302は、編組機のホーンギヤの中心を通過するのに十分な長さであり得る。いくつかの態様において、回転フィードチューブ2302は、フィードチューブ2302に通してノーズコーン2301の周囲の補助ホールまで通される補助マンドレルのための材料のボビンを保持し得る機構に取り付けられてもよい。
【0120】
いくつかの態様において、フィードチューブ2302は、フィードチューブ2302の回転速度、ひいてはノーズコーン2301の回転を制御する駆動機構に取り付けられてもよい。いくつかの態様において、駆動機構は回転ギヤ2307であってもよい。編組機が編組ワイヤ2308を主プロセスマンドレル2304の周囲に編組するとき、駆動機構は、編組機そのものに連動するか、あるいは、回転フィードチューブ2302の回転速度、ひいてはノーズコーン2301の回転速度を変化させるか、または一定に保持するように独立して制御されるかのいずれかである。回転速度および編組の速度が主プロセスマンドレル2304上の補助マンドレルのピッチを決定する。先に説明したように、これは、装置の可撓性、剛性および「押しやすさ」に影響し得る。
【0121】
図24は、本発明の態様の内視鏡装置中のらせんルーメンを製造するための専用ノーズコーンを示す。主プロセスマンドレル2401をノーズコーン2400に通して引くのと同時にノーズコーン2400を回転させると、ホーンギヤが編組ワイヤを主プロセスマンドレル2401の周囲に編組する方法と同様に、補助マンドレル2402、2403および2404を、センターホール2408を包囲する補助ホール2405、2406および2407それぞれに通してマンドレル2401の周囲にらせんパターンで適用することができる。
【0122】
もう一つの態様において、プルルーメンの円周方向配向を変化させると、内視鏡のらせん部分の剛性を変化させ得る。製造中、これは、スパイラルに動く補助マンドレルのピッチを変化させることによって達成され得る。マンドレルのピッチ(すなわち、縦軸からの角度)が増すと、編組複合材の曲げ剛性は低下する。逆に、補助マンドレルのピッチが減少すると、曲げ剛性は増大する。
図15Bに示すように、いくつかの態様において、補助マンドレルのピッチはらせん部分(1510)内で変化し得る。これらの態様において、編組複合材の曲げ剛性はらせん部分内でさえ変化し得る。
【0123】
図22に戻ると、工程2205で、編組プロセスが完了すると、ポリマーコーティングまたはジャケットを適用し、加熱し、編組複合材に接着し得る。ポリマーコーティングはまた、オーバー押出しまたはフィルム流延プロセスで適用されてもよい。ステップ2206で、接着ののち、マンドレルを編組複合材から取り出して、カメラおよび光ツールのための中央ルーメンまたは作業チャネル(主プロセスマンドレル)ならびに操舵制御のためのいくつかの制御ルーメン(補助マンドレル)を形成し得る。マンドレルを取り出したならば、編組複合材を仕上げ処理して完成させ得る(2207)。
【0124】
編組プロセス中、編組機を停止させて、編組複合材に変更を加えてもよい。いくつかの態様において、一つの変更はまっすぐなワイヤまたは補強ロッドの追加であり得る。補強ロッドは、編組積層複合材の座屈、軸剛性および曲げ剛性を有意に変化させ得る。補強ロッドは、患者に挿入し得るよう、装置の座屈を減らすために特別な座屈防止構造または手の支援を要し得る長めの内視鏡の場合に特に役立ち得る。いくつかの態様において、編組機は、ノーズコーン中のホールから主プロセスマンドレル上に引かれ得る補強ロッドを選択的に編組するように構成され得、補強ロッドは編組ワイヤによって捕らえられ、定位置に保持される。得られる内視鏡の末端領域中の補強ロッドの非存在が、末端における装置の可撓性を保存しながらも基端領域における剛性を増す。この性質の組み合わせが、医師にとって、得られた内視鏡を患者の管腔内空洞中にナビゲートし、挿入し、押し込みやすくする。
【0125】
回転ノーズコーン中のホールを使用して補助マンドレルを主プロセスマンドレルに適用することはいくつかの製造利点を提供する。ノーズコーン中のホールを使用することにより、マンドレルはホーンギヤから押されない。同じく編組ワイヤを織る役割を担う個々のホーンギヤの中心からマンドレルを押す結果、マンドレルは編組ワイヤと絡み合い、それが、得られる編組基材を縦方向の定位置にロックする。「0°構成」として知られるこの構成形態は、望ましい可撓性またはフープ強度のために製造者が編組基材を調節する能力を制限する。0°構成において、補助マンドレルは必然的に編組物によって「上下的」に閉じ込められて、その結果、右回りに編組されるすべての編組ワイヤが補助マンドレルの「上」に織られ、一方で、左回りに編組されるすべての編組ワイヤが補助マンドレルの「下」に織られる。0°構成は補助マンドレルを半径方向の定位置にロックするため、補助マンドレルのピッチを主プロセスマンドレルに沿って変化させることが求められる場合、望まれないこともある。
【0126】
加えて、補助マンドレルのための通路のとしてのホーンギヤの使用は、主プロセスマンドレルに適用し得る補助マンドレルの数を制限する。たとえば、16キャリア編組機は八つまでのマンドレルを適用することができ、24キャリア編組機は12までのマンドレルしか有することができない。対照的に、ノーズコーン中のホールの使用は、任意の数のマンドレルを主プロセスマンドレルまで通すことを可能にする。
【0127】
いくつかの態様において、補助マンドレルは、編組ワイヤの第二の外側層の恩典なしで主プロセスマンドレルに適用され得る。代わりに、補助マンドレルは編組ワイヤなしで適用され得る。これらの態様において、接着/融着されたポリマージャケットがマンドレル、ひいてはルーメンを定位置に保持し得る。または、いくつかの態様において、マンドレルは、編組複合材の周囲のキャスティングを使用して定位置に保持され得る。外側編組層は製造内視鏡ツールには存在しないため、装置断面の直径および円周は減少する。または、補助マンドレルは、主プロセスマンドレル上にポリマージャケットを付けることによって定位置に保持され得る。いくつかの態様において、キャスティングは、内視鏡ツールの外部材料と同じ材料であってもよい。
【0128】
いくつかの態様において、補助マンドレルは、編組ワイヤのように主プロセスマンドレルに編組されてもよい。たとえば、いくつかの態様において、補助マンドレルは、偶数個のホーンギヤを使用して編組され、一方で、奇数個のホーンギヤを使用して編組された編組ワイヤによって定位置に保持されてもよい。このようにして、補助マンドレル、ひいてはルーメンは中央ルーメンの壁に織り込まれ得る。また、さらなる恩典として、この手段を使用して製造された態様は小さめの周囲面積を有する傾向にある。
【0129】
または、いくつかの態様において、らせんルーメン構造は、押出し型を使用して製造されてもよい。これらの型は、PTFE、ペバックス、ポリウレタンおよびナイロンからジャケットを形成するためのらせんルーメン構造を生成し得る。いくつかの態様において、押出し構造は、編組マンドレルの周囲に型を使用して形成されてもよい。
【0130】
いくつかの態様において、らせんルーメン構成は、主プロセスマンドレルを編組機に通して延伸しながら回転させることによって実施され得る。ノーズコーンではなく主プロセスマンドレルを回転させることにより、編組プロセス中、補助マンドレルを固定ノーズコーンまたはホーンギヤの中心のいずれかに通して延伸し得る。この態様において、ノーズコーンはノーズコーンホルダに固く結合され得、主プロセスマンドレルは、ノーズコーンに通して延伸されながら回転される。
【0131】
図15のシース1500の構成と
図16のリーダ1600の構成とは実質的に同じである。したがって、当業者は、同じ原理が両ツールに当てはまることを理解するであろう。
【0132】
9.管腔内ナビゲーション
本発明の態様において、解剖学的管腔中の内視鏡ツールのナビゲーションは、低線量コンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって生成された二次元画像の収集に基づくコンピュータ生成三次元マップの使用を含み得る。術前処置中に患者の内部構造の断面をそれぞれが表す二次元CTスキャンを収集し得る。これらのスキャンを解析して、患者内の空洞および解剖学的空間、たとえば肺の気管支または尿道の経路を決定し得る。
【0133】
解析して患者内の適切な解剖学的空間を決定したならば、三次元空間中の中心線座標、すなわち管腔の中心を表す座標によってそれらの空間を管腔として表現し得る。これらの管腔の容積は、各中心線座標における直径距離の特定の計測値として表され得る。中心線および対応する直径距離計測値を追跡することにより、三次元ルーメンのコンピュータ生成モデルを生成し得る。したがって、グリッド座標データを使用して、患者の身体構造を表す三次元空間および空洞を表現し得る。
【0134】
図25は、中心線座標、直径計測値および解剖学的空間の間の関係を示す。
図25A中、解剖学的管腔2500は、中心線座標2501、2502、2503、2504、2505および2506によって縦方向におおよそ追跡され得、各中心線座標は管腔の中心をおおよそ近似する。「中心線」2507によって示されるこれらの座標を接続することにより、管腔を視覚化し得る。各中心線座標における管腔の直径を計測することによって管腔の容積をさらに視覚化してもよい。したがって、2508、2509、2510、2511、2512および2513は、座標2501、2502、2503、2504、2505および2506における管腔2500の計測値を表す。
【0135】
図25B中、管腔2500は、まず、中心線2507に基づいて三次元空間中の中心線座標2501、2502、2503、2504、2505および2506を位置決めすることにより、三次元空間中に視覚化され得る。各中心線座標において、直径2508、2509、2510、2511、2512および2513を有する二次元円形空間としてルーメン直径を視覚化し得る。これらの二次元円形空間を三次元で接続することにより、管腔2500を三次元モデル2514として近似し得る。より正確な近似は、中心線座標および計測の分解能を増すことによって、すなわち、所与の管腔または小部分に関する中心線座標および計測の密度を増すことによって決定され得る。中心線座標はまた、病変を含む、医師にとって対象の点を示すためのマーカを含み得る。
【0136】
解剖学的空間の三次元モデルを表現し、次いで生成したならば、術前ソフトウェアパッケージを使用して、生成されたモジュールに基づいて最適なナビゲーション経路を解析し、導出し得る。たとえば、ソフトウェアパッケージは、一つの病変(中心線座標によってマークされた)またはいくつかの病変への最短経路を導出し得る。この経路を、術者の好みに依存して二次元または三次元のいずれかで手術中に術者に提示し得る。
【0137】
図26は、本発明の態様の、解剖学的空間を表すコンピュータ生成三次元モデルを示す。先に述べたように、モデル2600は、術前に実施されたCTスキャンをレビューすることによって得られた中心線2601を使用して生成され得る。いくつかの態様においては、コンピュータソフトウェアが、モデル2600内、ひいては対応する解剖学的空間内で管腔内システムが手術部位2603にアクセスするのに最適な経路2602をマッピングし得る。いくつかの態様においては、手術部位2603を個々の中心線座標2604にリンクさせて、コンピュータアルゴリズムが管腔内システムのための最適経路2602を求めてモデル2600の中心線を局所解剖学的に探索することを許してもよい。
【0138】
患者の身体構造内で内視鏡ツールの末端を追跡し、コンピュータモデル内に配置するための位置をマッピングすると、管腔内システムのナビゲーション能力が高まる。内視鏡ツールの作業末端を追跡する、すなわち作業末端を「位置確認」するためには、いくつかの手法が個別に、または組み合わせてのいずれかで用いられ得る。
【0139】
センサベースの位置確認手法においては、内視鏡ツールの進行のリアルタイム指示を提供するために、電磁(EM)トラッカのようなセンサを内視鏡ツールの作業末端に結合し得る。EMベースの追跡においては、内視鏡ツールに埋め込まれたEMトラッカが、一つまたは複数の固定EMトランスミッタによって生成される電磁場の変動を計測する。トランスミッタ(または電磁場発生器)は、低強度磁場を発生させるために患者の近くに配置され得る。これがEMトラッカ中のセンサコイル中に小さな電流を誘発し、その電流はセンサと発生器との間の距離および角度に相関する。そして、電気信号はインタフェースユニット(オンチップまたはPCB)によってデジタル化され、ケーブル/配線を介してシステムカートに送り返され、さらにコマンドモジュールに送られ得る。そして、データを処理して、電流データを解釈し、トランスミッタに対するセンサの正確な位置および配向を計算し得る。これらの部品の個々の位置を計算するために、複数のセンサが内視鏡装置中の様々な位置で、たとえばリーダおよびシース中で使用されてもよい。したがって、EMトラッカは、人工的に生成された電磁場からの読みに基づき、患者の身体構造中を移動しながら電磁場強度の変化を検出し得る。
【0140】
図27は、本発明の態様の、電磁場発生器と組み合わされた電磁トラッカを利用するロボット管腔内システムを示す。ロボットシステム2700がロボット駆動内視鏡ツール2701を患者2702の中に駆動するとき、内視鏡ツール2701の末端の電磁(EM)トラッカ2703が、電磁場発生器2704によって生成された電磁場を検出し得る。EMトラッカ2703のEM読みは、解釈および解析のために、内視鏡ツール2701のシャフトを通してシステムカート2705およびコマンドモジュール2706(これには関連するソフトウェアモジュール、中央処理ユニット、データバスおよびメモリが含まれる)に伝達される。EMトラッカ2703からの読みを使用して、表示モジュール2707が、術者2708によるレビューのために事前に生成された三次元モデル内でのEMトラッカの相対位置を表示し得る。態様はまた、光ファイバ形センサのような他のタイプのセンサの使用に備える。追跡のために多様なセンサが使用され得るが、センサの選択は、本質的に、(i)内視鏡ツール内のセンサのサイズ、および(ii)センサを製造し、内視鏡ツール内に統合するコストに基づいて限定され得る。
【0141】
患者の身体構造中でセンサを追跡する前に、追跡システムは、異なる座標系の間で単一の物体を整合させる幾何学的変換を見いだす「レジストレーション」として知られるプロセスを要し得る。たとえば、患者における特定の解剖学的部位は、CTモデル座標中とEMセンサ座標中とでは二つの異なる表現を有する。これらの座標系の間で一貫性および共通言語を確立するために、システムは、これら二つの表現をリンクする変換、すなわちレジストレーションを見いださなければならない。換言するならば、電磁場発生器の位置に対するEMトラッカの位置を三次元座標系にマッピングして、対応する三次元モデル中の位置を特定し得る。
【0142】
いくつかの態様において、レジストレーションはいくつかの工程で実施され得る。
図28は、本発明の態様のレジストレーションプロセスの流れ図を示す。まず、工程2801で、術者は、内視鏡ツールの作業端を公知の出発位置に配置しなければならない。これは、内視鏡カメラからのビデオ画像データを使用して出発位置を確認することを含み得る。初期位置決めは、内視鏡の作業端に位置するカメラを通して解剖学的特徴を識別することによって達成され得る。たとえば、気管支鏡検査において、レジストレーションは、左右の肺の二つの主要な気管支を位置決めすることによって区別される、気管の基部を位置決めすることによって実施され得る。この位置は、内視鏡の末端のカメラによって受けられたビデオ画像を使用して確認され得る。いくつかの態様において、ビデオデータは、事前に生成された患者の身体構造のコンピュータモデルの様々な断面図と比較され得る。システムは、断面図を選別することにより、最小量の差、すなわち「誤差」で断面と対応する位置を識別して「マッチ」を見いだし得る。
【0143】
工程2802で、術者は、内視鏡ツールを、すでにマッピングされている唯一の解剖学的空間の中に「打ち込み」または「延ばし」得る。たとえば、気管支鏡検査において、術者は、内視鏡を気管の基部から唯一の気管支経路に打ち込み得る。気管の基部は二つの気管支に分かれるため、術者は、内視鏡ツールを一方の気管支に打ち込み、EMトラッカを使用して内視鏡ツールの作業端を追跡し得る。
【0144】
ステップ2803で、術者は内視鏡ツールの相対移動をモニタする。内視鏡ツールのモニタリングは、EMトラッカまたは蛍光透視法のいずれかを利用して、内視鏡ツールの相対移動を決定し得る。内視鏡ツールの作業端の相対変位の評価を、術前CTスキャンデータから生成されたコンピュータモデルと比較し得る。いくつかの態様においては、相対移動をコンピュータモデル中の中心線とマッチさせ得、変換マトリックスが最小誤差をもたらすところが正しいレジストレーションである。いくつかの態様において、システムおよび術者は、加速度計および/またはジャイロスコープからの挿入データ(以下に説明する)および配向データ(以下に説明する)を追跡し得る。
【0145】
工程2804において、術者は、位置データを比較し、解析する前に、より多くの解剖学的空間に打ち込むこと(2802)、より多くの位置情報を収集すること(2803)を決定し得る。たとえば、気管支鏡検査において、術者は、内視鏡を一つの気管支から引き抜いて気管に戻し、別の気管支に打ち込んで、より多くの位置データを収集する。術者は、満足したならば、術者は打ち込み(2802)および位置データのモニタリング(2803)を止め、データの処理に進み得る。
【0146】
工程2805において、システムは、収集した位置データを解析し、そのデータを、事前に生成されたコンピュータモデルと比較して、患者の身体構造内の内視鏡の変位をモデルとレジストレーションし得る。したがって、システムは、患者の身体構造の動きを患者の身体構造の三次元モデルと比較することにより、両空間(三次元コンピュータモデルおよび患者解剖学的空間)に対してトラッカをレジストレーションし得る。解析後、レジストレーションプロセスは完了し得る(2806)。
【0147】
いくつかの場合、内視鏡ツールの配向を確認するために「ロールレジストレーション」を実施する必要があり得る。これは、レジストレーションされていない解剖学的空間に打ち込む前、工程2801において特に重要であり得る。気管支鏡検査においては、正しい垂直配向が、術者が左右の気管支を区別し得ることを保証する。たとえば、気管基部内では、カメラが0°に向けられているのか、または180°に向けられているのかにかかわらず、左右の気管支の画像が非常に類似して見える場合がある。また、患者内での曲がりくねったナビゲーション中、内視鏡ツールの運動が一般にわずかな回転を生じさせるため、ロールレジストレーションは重要であり得る。
【0148】
作業チャネルがセンサによって占有され得る場合、ロールレジストレーションは手術部位で重要であり得る。たとえば、一つの作業チャネルしか有しない態様において、手術部位に到達すると、医師は、別のツール、たとえばグラスパまたは鉗子を使用するために、EMトラッカを内視鏡ツールから取り出す必要があり得る。しかし、取り出すと、システムは、EMトラッカなしでその位置確認能力を失い得る。したがって、手術部位から離れる準備ができたとき、EMトラッカの挿入は、正しい配向を保証するためにロールレジストレーションが再び実施されることを要求し得る。
【0149】
いくつかの態様において、内視鏡ツールの回転は、装置の作業末端内に取り付けられた加速度計を使用して追跡され得る。内視鏡にかかる重力を検出するための加速度計の使用は、地面に対する内視鏡ツールの位置に関する情報を提供する。内視鏡に対する地面の位置を使用して、特定のあいまいさを解消し得る。気管支鏡検査においては、たとえば、内視鏡の末端カメラの配向(0または180°)を知ることは、はじめに適切な気管支を決定するのに役立つであろう。また、ナビゲーション中、重力の方向、ひいては配向を追跡するための加速度計からのデータを使用して、制御コンソールに表示されるカメラ画像を自動修正して、表示画像が常に垂直に向いていることを保証し得る。
【0150】
好ましい態様においては、加速度計を有する3軸MEMSベースのセンサチップがデジタルカメラと同じプリント回路板上で内視鏡装置の先端近くに結合されてもよい。加速度計は、三つの異なる軸沿いの線加速を計測して、カテーテル先端の速度および方向を計算する。加速度計はまた、重力の方向を計測し、それにより、内視鏡装置の配向に関する絶対的情報を提供する。加速度計の読みは、I2Cのような通信プロトコルを介してデジタルまたはアナログ信号を使用して送信される。信号は、配線によってカテーテルの基端に送信されたのち、そこから、処理のためにシステムカートおよびコマンドモジュールへと送信され得る。
【0151】
3軸センサにおいて、加速度計は、内視鏡に対する地面の位置を決定することができる。内視鏡が90°までロールまたは屈曲しないならば、2軸加速度計もまた、有用であることもできる。または、加速度計の軸が重力の方向に対して垂直、すなわち地面に対して垂直なままであるならば、1軸センサが有用であり得る。または、ジャイロスコープを使用して回転速度を計測したのち、それを使用して内視鏡装置の屈曲を計算してもよい。
【0152】
いくつかの態様は、加速度計からの任意の配向読みを補足するために、EMトラッカを加速度計と組み合わせて利用する。また、いくつかの態様においては、内視鏡ツールを追跡するための蛍光透視法の使用がレジストレーションプロセスを補足し得る。当技術分野において公知であるように、蛍光透視法とは、フルオロスコープの使用により、X線を使用して患者の内部構造のリアルタイム動画を得る画像撮影技術である。蛍光透視法によって生成された二次元スキャンが、特定の状況で、たとえば適切な気管支を識別する状況で、位置確認を支援し得る。
【0153】
蛍光透視法を使用する追跡は、内視鏡上の多数の放射線不透過性マーカを使用して実施され得る。内視鏡の多くの特徴は、当然、カメラヘッド、制御リングおよびプルワイヤを含め、X線不透過性である。したがって、マーカ位置を内視鏡の金属部品とともに使用して三次元変換マトリックスを取得し得る。レジストレーションが達成されたならば、気管支位置を検出する視覚画像を三次元モデルに正確に相関させ得る。加えて、気管支全長および気管支位置を3Dで計測し、マップ中で強調することができる。
【0154】
センサベースの手法とは対照的に、視覚ベースの追跡は、末端に取り付けられたカメラによって生成された画像を使用して内視鏡ツールの位置を決定することを含む。たとえば、気管支鏡検査においては、特徴追跡アルゴリズムを使用して、気管支経路に対応する円形状を識別し、それらの形状の変化を画像間で追跡し得る。それらの特徴が画像から画像へと動くときそれらの特徴の方向を追跡することにより、システムは、どの気管支が選択されたのか、ならびにカメラの相対回転運動および並進運動を決定し得る。気管支経路の局所解剖学的マップの使用が視覚ベースのアルゴリズムをさらに増強し得る。
【0155】
特徴ベースの追跡に加えて、オプティカルフローのような画像処理技術を使用して、気管支鏡検査において気道局所構造中の気管支を識別してもよい。オプティカルフローとは、ビデオシーケンス中での一つの画像から次の画像への画素の変位である。気管支鏡検査に関して、オプティカルフローは、気管支鏡の先端で受けられたカメラ画像の変化に基づいて気管支鏡の先端の動きを推定するために使用され得る。具体的には、一連のビデオフレームにおいて、各フレームを解析して、一つのフレームから次のフレームへの画素の並進運動を検出し得る。たとえば、所与のフレーム中の画素が次のフレームで左に並進するように見えるならば、アルゴリズムは、カメラ、ひいては気管支鏡の先端が右に動いたと推測する。多くのフレームを何度も繰り返し比較することにより、気管支鏡の動き(ひいては位置)を決定し得る。
【0156】
また、立体的な画像取り込み(単眼的な画像取り込みではなく)が利用可能である場合、オプティカルフロー技術は、解剖学的領域の既存の三次元モデルを補足するためにも使用され得る。立体的画像取り込みを使用すると、二次元取り込み画像中の画素の深さを決定して、カメラビュー中の物体の三次元マップを構築し得る。この技術は、解剖学的管腔内を移動するように補外することにより、システムが、患者の身体構造内をナビゲートされながら内視鏡を取り囲む部位の三次元マップを展開することを可能にする。これらのマップは、所定の三次元コンピュータモデルを、そのモデルがデータを欠く、または低品質であるのいずれかである場合、拡張するために使用され得る。立体カメラ装置に加えて、深さセンサまたは特定の照明構造および画像取り込み技術、たとえばRGB-Dセンサまたは構造照明を使用しなければならない場合もある。
【0157】
追跡法にかかわらず(センサベースであるのか、視覚ベースであるのかのいずれか)、追跡は、内視鏡ツールそのものからのデータを使用することによって改善され得る。たとえば、
図2の内視鏡ツール200中、シース201およびリーダ205の相対挿入長さは気管内の既知の出発位置から計測され得る(気管支鏡検査の場合)。システムは、内視鏡ツールが気管支中に位置するかどうか、およびその気管支に沿って移動した距離を決定したのち、相対挿入長さおよび患者の気管支紋理の三次元モデルの中心線を使用して、作業端の位置のおおまかな推定を与え得る。また、内視鏡ツールからの他の制御情報、たとえば内視鏡装置の屈曲、ロールまたはピッチおよびヨーを使用してもよい。
【0158】
様々な画像様式に基づくリアルタイム画像撮影が、特に手術部位におけるナビゲーションをさらに増強するであろう。追跡は、手術部位へのおおよそのナビゲーションを支援し得るが、より正確な取り扱いが必要である場合、たとえば病変から生検材料を採取しようとする場合、さらなる様式が有用である場合もある。蛍光画像撮影、近赤外線画像撮影、酸素センサ、分子バイオマーカ画像および造影剤画像撮影のような画像撮影ツールが、コンピュータモデル中の病変の正確な座標を正確に指し示すのに役立ち、ひいては、手術部位における生検針の操作を支援し得る。正確な位置の非存在においては、内視鏡ツールを使用して手術部位の領域全体から公知の深さで生検材料を採取し、それにより、病変からの組織が採取されることを保証してもよい。
【0159】
いくつかの場合、分割型CTスキャン、ひいては得られるコンピュータモデルは肺の末梢の気管支を示さない(気管支鏡検査の場合)。これは、スキャン中の気道の不十分な膨張のせいであるか、または気管支のサイズがCTスキャンの解像度(一般には1ミリメートル程度)未満である理由で起こり得る。実際には、ロボットシステムが、処置中、マッピングされていない気管支の位置ならびに配置および配向を記録することによってコンピュータモデルを増強し得る。いくつかの態様においては、局所解剖学的構造が、医師が、それらの位置をマークし、末梢気管支を検査するためにその同じ位置に戻ることを許し得る。いくつかの態様において、内視鏡カメラは、取り込み画像に基づいて気管支の直径および形状を計測して、配置および配向に基づいてそれらの気管支をマッピングすることを可能にし得る。
【0160】
10.管腔内処置
図29Aは、本発明の態様の、解剖学的管腔内の内視鏡ツールの末端を示す。
図29A中、シャフト2901を含む内視鏡ツール2900が、手術部位2903に向かって解剖学的管腔2902中をナビゲートされる状態で示されている。ナビゲーション中、シャフト2901は非屈曲状態であり得る。
【0161】
図29Bは、解剖学的管腔内の手術部位で使用中の
図29Aの内視鏡ツールを示す。手術部位2903に到達したところで、シャフトと2901縦方向に整合した末端リーダ部分2904を、シャフト2901から、矢印2905によってマークされる方向に伸長させ得る。また、末端リーダ部分2904は、ツールを手術部位2903に向けるために屈曲させ得る。
【0162】
図29Cは、解剖学的管腔内の手術部位で使用中の
図29Bの内視鏡ツールを示す。手術部位が生検のための病変を含む場合、末端リーダ部分2904は、吸引針2907を手術部位2903の病変を標的に運ぶために、矢印2906によってマークされる方向に屈曲し得る。いくつかの態様において、末端リーダ部分2904は、術中評価のために解剖学的組織の試料を取り出すために生検鉗子を向けるように屈曲させ得る。内視鏡ツール2900は、そのエンドエフェクタのアクティブ化のために、生検鉗子に機能的に結合された腱を含み得る。
【0163】
図30Aは、本発明の態様の、解剖学的管腔内で末端撓み部分に結合された内視鏡ツールを示す。
図30A中、シャフト3001、撓み部分3002および鉗子3003を含む内視鏡ツール3000が、手術部位に向かって解剖学的管腔3004中をナビゲートされる状態で示されている。
図30Aに示すように、ナビゲーション中、シャフト3001および末端撓み部分3002はいずれも非屈曲状態であり得る。いくつかの態様において、撓み部分3002はシャフト3001内に引っ込められてもよい。撓み部分3002の構造、組成、能力および使用は、2014年3月7日に出願された米国特許出願第14/201,610号および2014年9月5日に出願された米国特許出願第14/479,095号に開示されている。これらの全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0164】
いくつかの態様において、撓み3002はシャフト3001と縦方向に整合し得る。いくつかの態様において、撓み3002は、シャフト3001の軸外し(中立軸)である作業チャネルを通して展開されて、撓み3002が、シャフト3001の末端に位置するカメラを覆い隠すことなく作動することを可能にし得る。この配置は、シャフト3001が静止したままであるとき、術者が、カメラを使用して撓み3002を屈曲させることを可能にする。
【0165】
他の態様と同様に、撓み部分3002の末端で使用するための鉗子3003のような様々なツールを撓み部分3002の作業チャネルを通して展開し得る。他のシナリオにおいては、グラスパ、メス、針およびプローブのような外科ツールが撓み部分3002の末端に配置されてもよい。内視鏡ツール3000において、他の態様におけるように、曲げ部分の末端のツールは、一つの処置の中で複数の治療を実施するために、術中に交換され得る。
【0166】
図30Bは、本発明の態様の、解剖学的管腔内の手術部位で使用中の鉗子ツールを有する
図30Aの内視鏡ツールを示す。解剖学的管腔3004を通過する内視鏡ツール3000のナビゲーションは、任意の数の上述した様々なナビゲーション技術によって誘導され得る。内視鏡ツール3000が手術部位3006におけるその所望の位置に達したならば、撓み部分3002が矢印3005の方向に屈曲して鉗子3003を手術部位3006に向け得る。内視鏡ツール3000は、鉗子3003を使用して、手術部位3006の組織の生検試料を採取し得る。
【0167】
図30Cは、本発明の態様の、解剖学的管腔内の手術部位で使用中のレーザ装置を有する
図30Aの内視鏡ツールを示す。手術部位3006に達すると、内視鏡ツール3000の撓み部分3002を屈曲させ、シャフト3001の作業チャネルおよび撓み部分3002を通してレーザツール3007を展開させ得る。レーザツール3007は、展開したならば、組織アブレーション、穿孔、切断、穿刺、壊死組織切除、切断または非表在組織へのアクセスのために、手術部位3006に向けてレーザ放射3008を放出させ得る。
【0168】
11.コマンドコンソール
図1のシステム100に関して説明したように、コマンドコンソールの態様が、術者、すなわち医師がロボット管腔内システムをエルゴノミクス的位置から遠隔制御することを可能にする。好ましい態様において、コマンドコンソールは、(i)術者がロボット内視鏡ツールを制御することを可能にし、かつ(ii)エルゴノミクス的位置からナビゲーション環境を表示する、ユーザインタフェースを利用する。
【0169】
図31は、本発明の態様のロボット管腔内システムのコマンドコンソールを示す。
図31に示すように、コマンドコンソール3100は、ベース3101、表示モジュール、たとえばモニタ3102ならびに制御モジュール、たとえばキーボード3103およびジョイスティック3104を含み得る。いくつかの態様において、コマンドモジュール機能は、メカニカルアームを有するシステムカート、たとえば
図1のシステム100のシステムカート101に統合されてもよい。
【0170】
ベース3101は、内視鏡ツールからの信号、たとえばカメラ画像および追跡データを解釈し、処理する役割を担う中央処理ユニット、メモリユニット、データバスおよび関連するデータ通信ポートを含み得る。他の態様において、信号の解釈および処理の負担は、関連するシステムカートとコマンドコンソール3100との間で分散されてもよい。ベース3101はまた、制御モジュール、たとえば3103および3104を通して術者3105からのコマンドおよび命令を解釈し、処理する役割を担ってもよい。
【0171】
制御モジュールは、術者3105のコマンドを捕らえる役割を担う。制御モジュールは、
図31のキーボード3103およびジョイスティック3104に加えて、当技術分野において公知の他の制御機構、たとえば非限定的に、コンピュータマウス、トラックパッド、トラックボール、制御パッドおよびビデオゲームコントローラを含んでもよい。いくつかの態様においては、手の動きおよび指の動きを捕らえて制御信号をシステムに送達してもよい。
【0172】
いくつかの態様においては、多様な制御手段があってもよい。たとえば、内視鏡ツールの制御は「速度モード」または「位置制御モード」のいずれかで実行され得る。「速度モード」は、直接的な手動制御に基づいて、たとえばジョイスティック3104を介して内視鏡ツールの末端のピッチおよびヨー挙動を直接制御することからなる。たとえば、ジョイスティック3104における右左の動きが内視鏡ツールの末端のヨーおよびピッチの動きにマッピングされてもよい。また、ジョイスティックにおける触覚フィードバックを使用して「速度モード」の制御を増強してもよい。たとえば、内視鏡ツールが特定の方向にさらに屈曲またはロールすることができないことを伝えるために振動がジョイスティック3104に送り返されてもよい。または、内視鏡ツールが最大屈曲またはロールに達したことを伝えるためにポップアップメッセージおよび/または音声フィードバック(たとえば警告音)が使用されてもよい。
【0173】
「位置制御モード」は、患者の三次元マップ中で位置を識別し、ロボットシステムに依存して、所定のコンピュータモデルに基づいて内視鏡ツールをその識別された位置にロボット的に操舵することからなる。患者の三次元マッピングへのその依存のせいで、位置制御モードは患者の身体構造の正確なマッピングを要求する。
【0174】
システムはまた、コマンドモジュール3101を使用することなく、術者によって手動で直接操作されてもよい。たとえば、システムセットアップ中、医師および助手がメカニカルアームおよび内視鏡ツールを移動させて、器具を患者および手術室の周囲に配置してもよい。直接操作中、システムは、人間オペレータからの力フィードバックおよび慣性制御に依存して適切な器具配向を決定し得る。
【0175】
表示モジュール3102は、モニタ、バーチャルリアリティ視聴装置、たとえばゴーグルもしくはめがねまたはシステムに関する視覚情報および内視鏡ツール中のカメラ(あるならば)からの視覚情報を表示するための他の手段を含み得る。いくつかの態様において、制御モジュールと表示モジュールとは、たとえば、タブレットまたはコンピュータ装置中のタッチスクリーン中に組み合わされてもよい。複合モジュールにおいて、術者3105は、コマンドをロボットシステムに入力することができるだけでなく、視覚データを見ることができる。
【0176】
もう一つの態様において、表示モジュールは、立体映像装置、たとえばバイザまたはゴーグル装置を使用して三次元画像を表示し得る。三次元画像を使用すると、術者は、患者の身体構造の三次元コンピュータ生成モデルの内部の仮想環境である、コンピュータモデルの「Endo View」を見て、患者内の装置の予想位置を近似し得る。「Endo View」を実際のカメラ画像と比較することにより、医師は、頭の中で自らを指向させ、内視鏡ツールが患者内の正しい位置にあることを確認し得る。これは、内視鏡ツールの末端の周囲の解剖学的構造のよりよい感覚を術者に与え得る。
【0177】
好ましい態様において、表示モジュール3102は、事前に生成された三次元モデルと、モデル中の所定の最適ナビゲーション経路と、内視鏡ツールの末端の現在位置における身体構造のCTスキャンとを同時に表示し得る。いくつかの態様においては、処置の状態をさらに明らかにするために、内視鏡ツールのモデルが患者の身体構造の三次元モデルとともに表示されてもよい。たとえば、生検が必要であり得るところの病変がCTスキャンで識別されていてもよい。
【0178】
手術中、内視鏡ツールの末端のカメラ手段および照明手段が術者のために表示モジュール中に基準画像を生成し得る。したがって、内視鏡ツールの末端の屈曲およびロールを生じさせるジョイスティック3104の方向が、末端の真正面にある解剖学的特徴の画像を生じさせる。ジョイスティック3104を上に差し向けると、カメラを有する内視鏡ツールの末端のピッチを増し得、一方で、ジョイスティック3104を下に差し向けると、ピッチを減らし得る。
【0179】
表示モジュール3102は、術者の設定および特定の処置に依存して、内視鏡ツールの様々なビューを自動的に表示し得る。たとえば、望むならば、最終ナビゲーション工程中、手術領域に接近したとき、管腔内装置のオーバヘッド蛍光透視図を表示し得る。
【0180】
本明細書における任意の態様とともに示された要素または部品は、特定の態様の場合に例示的であり、本明細書に開示される他の態様と組み合わせて使用されてもよい。本発明は様々な変形および代替形態を受け入れることができるが、その具体例が図面に示され、本明細書で詳細に説明されている。しかし、本発明は、開示される特定の形態または方法に限定されず、それどころか、そのすべての変形、均等物および代替を包含する。