(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運動評価部が、前記第1の訓練情報と前記第1の運動情報との比較に基づいて、前記第1の評価情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のリハビリテーション支援装置。
前記運動情報取得部が、前記第2の訓練情報に基づいて移動される前記保持部の第2の運動情報を取得し、前記運動評価部が、前記第2の運動情報を評価して、第2の評価情報を生成し、前記訓練情報設定部が、前記第1の評価情報及び/又は前記第2の評価情報に基づいて、前記第2の訓練情報を生成することを特徴とする請求項3に記載のリハビリテーション支援装置。
前記訓練情報設定部による前記訓練情報の生成が、前記記憶部に予め定められた複数の前記訓練情報の中から選択することによって行われることを特徴とする請求項3又は4に記載のリハビリテーション支援装置。
使用者の運動機能の初期の評価情報を入力するインターフェース部をさらに具備し、前記訓練情報設定部が、前記初期の評価情報に基づいて前記第1の訓練情報を生成し且つ前記第1の訓練情報を前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のリハビリテーション支援装置。
前記表示部が、前記保持部の移動に応じて前記運動情報をリアルタイムに表示することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のリハビリテーション支援装置。
前記訓練情報及び前記運動情報が、前記保持部の位置、前記保持部の移動時間、前記保持部の速度、前記保持部の加速度、及び、前記保持部に加わる力のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のリハビリテーション支援装置。
前記評価情報を対応する別の評価情報に変換するか又は前記対応する別の評価情報を前記評価情報に変換する評価情報変換部をさらに具備することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のリハビリテーション支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施形態によっていかなる意味においても制限されるものではない。
【0031】
図1は、本発明の実施形態によるリハビリテーション支援装置1の斜視図であり、
図2は、リハビリテーション支援装置1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態によるリハビリテーション支援装置1は、上肢片麻痺の患者を対象として構成されている。
【0032】
リハビリテーション支援装置1は、患者用の椅子2と共に使用される。また、リハビリテーション支援装置1の設定等を行うためのパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である医療者用端末3と、リハビリテーション支援装置1と医療者用端末3との間の情報のやり取りを行うためのUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の携帯型記憶装置である医療者キー4及び患者キー5とが、使用される。なお、本発明に係るリハビリテーション支援装置1は、医療者用端末3、医療者キー4及び患者キー5も含み、この場合、リハビリテーション支援システムともいう。
【0033】
リハビリテーション支援装置1は、装置本体10と、保持部20と、アーム部30と、表示部であるディスプレイ40と、駆動部50とを有している。また、リハビリテーション支援装置1は、入出力部60と、中央処理部70と、記憶部80とを有している。
【0034】
装置本体10は、リハビリテーション支援装置1の状態を示す各種ランプ及び緊急停止ボタンを備えたフロントパネル11と、患者が使用するコントローラ12と、運搬用のハンドル13及びキャスタ14とを有している。また、装置本体10は、携帯型記憶装置用のインターフェース部として、医療者キー及び患者キー(USBメモリ)を挿入するためのUSBスロット(図示せず)を有している。
【0035】
右腕の訓練を行う場合には、
図1に示されるように、椅子2及びディスプレイ40を患者の正面に配置するために、リハビリテーション支援装置1に対して左側に配置する。他方、左腕の訓練を行う場合には、椅子2及びディスプレイ40をリハビリテーション支援装置1に対して右側に配置する。右腕の訓練を行う場合、椅子2に着座した患者は、右手の掌を下に向けて保持部20に対して固定する。
【0036】
図3は、使用状態の保持部20の斜視図であり、
図4は、保持部20の取付アダプタ21の斜視図であり、
図5は、保持部20の動作を示す図である。保持部20は、取付アダプタ21と、把持部材22と、必要に応じて前腕支持部材23とを有している。
【0037】
取付アダプタ21は、取付部21aと、半円弧状の第1揺動部材21bと、半円弧状の第2揺動部材21cとを有している。取付部21aは、アーム部30の中心軸線と一致する軸線α1周りに回転可能にアーム部30の上端に取り付けられる。第1揺動部材21bは、その円弧の軌跡に沿って、すなわち円弧を含む円の中心を通る軸線α2周りに、揺動可能に取付部21aの上面に取り付けられている。第2揺動部材21cは、第1揺動部材21bの円弧の内側、すなわち上側に配置されている。第2揺動部材21cは、その円弧の両端が第1揺動部材21bの円弧の両端に回転可能に取り付けられている。したがって、第2揺動部材21cは、その両端を結ぶ軸線α3周りに揺動可能に第1揺動部材21bに取り付けられている。
【0038】
把持部材22は、患者の手を支持するプレート状の部材であり、患者が把持する図示しないグリップと、患者の手を固定する固定バンド22aとを有している。前腕支持部材23は、前腕を支持するプレート状の部材であり、患者の状態又は体格に応じて前腕の長さ方向に伸縮自在に構成されている。前腕支持部材23は、患者の前腕を固定する固定バンド23aを有している。前腕支持部材23の端部には、把持部材22を着脱可能に取り付けることができる。
【0039】
把持部材22及び前腕支持部材23は、取付アダプタ21の第2揺動部材21cに取り付けられる。したがって、把持部材22及び前腕支持部材23は、
図5(a)に示されるような軸線α1周りの回転と、
図5(b)に示されるような軸線α2周りの揺動と、
図5(c)に示されるような軸線α3周りの揺動とが可能となる。その結果、保持部20は、患者の動きに応じて受動的に動作し、患者の動きを阻害することがない。
【0040】
なお、
図6は、別の使用状態の保持部20の斜視図であり、患者の状態に応じて、前腕支持部材23を使用することなく、把持部材22のみを取付アダプタ21に取り付けて使用してもよい。
【0041】
図7は、アーム部30の斜視図であり、
図8は、アーム部30の駆動部50の拡大斜視図であり、
図9は、アーム部30の第1回転駆動ユニット52の拡大斜視図である。なお、
図7において、上述した保持部20とは異なるボール形状の保持部20が取り付けられている。
【0042】
アーム部30は、円柱状又は棒状の機構であり、未使用時には、その軸線方向が鉛直方向と平行になるように配置される。アーム部30は、下方に配置された固定アーム31と、上方に配置された可動アーム32とを有している。アーム部30の下端、すなわち固定アーム31の下端は、装置本体10内に配置された駆動部50によって支持されている。アーム部30の上端、すなわち可動アーム32の上端には、上述したように、保持部20が着脱可能に取り付けられている。
【0043】
駆動部50は、直進駆動ユニット51と、第1回転駆動ユニット52と、第2回転駆動ユニット53と、第1アームフレーム54と、第2アームフレーム55とを有している。
【0044】
直進駆動ユニット51は、DCサーボモータ(図示せず)と、DCサーボモータに接続されてアーム部30内に延びる直動機構(図示せず)とを有している。直進駆動ユニット51によって、アーム部30は、その長手方向の長さ又は高さZが調節可能となっている。すなわち、直進駆動ユニット51は、DCサーボモータによって直動機構を伸縮させ、直動機構に取り付けられたナット又はハウジングを介して、可動アーム32を長手方向に沿って移動させる。
【0045】
第1回転駆動ユニット52と第2回転駆動ユニット53とは、同一の構成を有している。したがって、
図9を参照しながら、第1回転駆動ユニット52について説明する。第1回転駆動ユニット52は、DCサーボモータ52aと、より径の小さい小プーリー52bと、より径の大きい大プーリー52cと、小プーリー52b及び大プーリー52cを接続するベルト52dと、ギヤ機構52eと、エンコーダ52fとを有している。
【0046】
DCサーボモータ52aによる回転は、小プーリー52bと大プーリー52cとベルト52dとを介して、回転速度を減少させながら、ギヤ機構52eに伝達される。ギヤ機構52eは、内部に図示しないウォームギヤを有している。伝達されたDCサーボモータ52aによる回転は、DCサーボモータ52aと平行な回転軸線を有するウォームを回転させ、ウォームと噛合するウォームホイールを軸線β1周りに回転させる。DCサーボモータ52aの回転角度は、エンコーダ52fによって検出される。同様に、第2回転駆動ユニット53は、ウォームホイールを軸線β2周りに回転させる。
【0047】
アーム部30は、第2アームフレーム55に取り付けられている。第2アームフレーム55は、第2回転駆動ユニット53を介して第1アームフレーム54に取り付けられている。第1アームフレーム54は、第1回転駆動ユニット52を介して装置本体10の固定フレーム15に取り付けられている。すなわち、駆動部50は、装置本体10の固定フレーム15に対して固定されることによって、装置本体10に取り付けられている。
【0048】
アーム部30及び駆動部50が上述した構成を有することによって、アーム部30は、その下端が自在継手によって装置本体10に取り付けられているかのように動作可能となる。すなわち、アーム部30は、第1回転駆動ユニット52によって、軸線β1周りに揺動可能であり、第2回転駆動ユニット53によって、軸線β2周りに揺動可能であり、これらの揺動運動は、独立して行うことができる。その結果、アーム部30、特に保持部20を、所定の角度範囲内で球面上の任意の経路に沿って移動させることが可能となる。言い換えると、保持部20を、
図7に示されるような球面座標系において、角度θ及び角度φの両方向についてそれぞれ独立に所定の角度範囲内で移動させることが可能となる。なお、角度φの範囲は0度から360度である。
【0049】
さらに、上述したように、アーム部30の長手方向の長さZを調節することができることから、保持部20を、角度θの角度範囲内であってアーム部30の長さZ範囲内の空間上の任意の位置に配置することが可能である。したがって、本実施形態によるリハビリテーション支援装置1は、3次元(3自由度の運動)でリハビリテーションの訓練を行うことが可能である。
【0050】
リハビリテーション支援装置1は、第1回転駆動ユニット52及び第2回転駆動ユニット53のエンコーダ52f以外にもポテンショメータ56や、その他各種センサをさらに有し、位置、角度、力及び圧力、時間等を検出可能である。例えば、ポテンショメータ56は、アーム部30の軸線β1及び軸線β2周りの揺動の負荷を間接的に検出する。具体的には、回転角を検出し、予め線型近似された回転角と対応する負荷の関係から、実際の負荷を算出する。その結果に基づいて、第1回転駆動ユニット52及び第2回転駆動ユニット53を制御することによって、アーム部30の揺動を補助するようにアーム部30を移動させることができ、又は、アーム部30の揺動に抵抗するように、すなわち患者の感じる負荷を増大させるようにアーム部30を移動させることができる。また、アーム部30の下端は、図示しない弾性部材によって包囲されており、それによって、全方向におけるアーム部30の移動に対する所定の負荷を生成している。
【0051】
図2を参照しながら、リハビリテーション支援装置1の入出力部60と、中央処理部70と、記憶部80とについて説明する。
【0052】
入出力部60は、上述した、保持部20とアーム部30とディスプレイ40と、駆動部50と、運動情報取得部61と、インターフェース部62とを有している。運動情報取得部61は、上述したエンコーダ52f及びポテンショメータ56を含む各種センサを有している。インターフェース部62は、医療者キー及び患者キー等のUSBメモリ内の情報を読み込み又はUSBメモリに書き込みをするためのインターフェース回路を有している。なお、入出力部60は、キーボードやマウス等の入力デバイスを有していてもよい。
【0053】
中央処理部70は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。中央処理部70は、リハビリテーション支援装置1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。中央処理部70は、予め記憶部80に記憶されているコンピュータプログラムに基づいて処理を行う。中央処理部70は、制御部71と、運動評価部72と、訓練情報設定部73と、評価情報予測部74と、評価情報変換部75とを有している。中央処理部70が有するこれらの各部は、中央処理部70が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。その実行される処理の際に、中央処理部70は、入出力部60から信号を受信し、信号を送信する。例えば、中央処理部70は、駆動部50に対しては、制御信号を送信すると共にそのフィードバック信号や各種センサからの信号を受信する。なお、医療者用端末3が、運動評価部72と、訓練情報設定部73と、評価情報予測部74と、評価情報変換部75とを有していてもよい。
【0054】
記憶部80は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置又はハードディスク等の固定ディスク装置を有している。記憶部80には、リハビリテーション支援装置1の各種処理に用いられる制御プログラム等のコンピュータプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)、データベース及びテーブル等が記憶されている。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部80にインストールされてもよい。
【0055】
次に、リハビリテーション支援装置1を使用するための訓練アプリケーションプログラムについて説明する。
【0056】
訓練アプリケーションプログラムは、リハビリテーション支援装置1上で動作する装置用アプリケーションプログラム100と、医療者用端末3上で動作する端末用アプリケーションプログラム200とからなる。装置用アプリケーションプログラム100は、予め記憶部80に記憶されている。端末用アプリケーションプログラム200は、上述したような公知のセットアッププログラム等を用いて、医療者用端末3にインストールして使用する。
【0057】
まず、端末用アプリケーションプログラム200について説明する。
図10は、端末用アプリケーションプログラム200による画面の一例を示す図であり、ログイン後のメインメニュー画面201である。端末用アプリケーションプログラム200による画面は、医療者用端末3が有するディスプレイ3a(
図1)に表示される。
【0058】
図10を参照すると、メインメニュー画面201の左上には、患者名欄210が配置されている。患者名欄210には、訓練の設定又は編集をしようとしている患者名が表示される。また、メインメニュー画面201の右上には、ログインユーザー情報欄211が配置されている。ログインユーザー情報欄211には、ログインしているユーザー名、例えば医療者名と、病院名とが表示される。さらに、メインメニュー画面201には、使用者の編集ボタン212と、病院名の編集ボタン213と、キー(医療者キー4及び患者キー5)の編集ボタン214と、訓練記録ボタン215と、グラフボタン216と、医療者の変更ボタン217と、ログアウトボタン218とが、配置されている。
【0059】
使用者の編集ボタン212をクリックすると、医療者の登録、並びに、患者の登録、削除及び編集を行う画面が表示される。医療者の登録を行うことによって、端末用アプリケーションプログラム200上の医療者リストに登録される。医療者が医療者リストに登録されることで、当該登録された医療者の医療者キー4を作成することができる。患者の登録をすることによって、端末用アプリケーションプログラム200上の患者リストに登録される。患者が患者リストに登録されることで、当該登録された患者の患者キー5を作成することができる。なお、患者の登録、削除及び編集を行う画面では、患者名や性別、生年月日の入力に加え、麻痺の側、すなわち左麻痺、右麻痺又は両麻痺の中から選択できるようになっている。
【0060】
病院名の編集ボタン213をクリックすると、病院名の登録を行う画面が表示される。医療者用端末3で初めて端末用アプリケーションプログラム200を起動したときには、まずは病院名を登録する。
【0061】
キーの編集ボタン214をクリックすると、医療者キー4及び患者キー5の作成及び変更を行う画面が表示される。医療者キー4を医療者用端末3に接続し、医療者キー4の作成を行うことよって、登録された医療者の中から選択された医療者の情報のみが、医療者キー4に記憶される。また、医療者キー4の変更を行うことよって、登録された医療者の中から選択された別の医療者の情報のみが、医療者キー4に上書き記憶される。すなわち、医療者キー4に記憶可能な医療者の情報は1人分である。同様に、患者キー5を医療者用端末3に接続し、患者キー5の作成を行うことよって、登録された患者の中から選択された患者の情報が、患者キー5に記憶される。また、患者キー5の変更を行うことによって、登録された患者の中から選択された別の患者の情報が、患者キー5に上書き記憶される。すなわち、患者キー5に記憶可能な患者の情報は1人分である。さらに、患者キー5の作成及び変更を行う画面では、患者の状態に応じた訓練プログラム又は訓練内容、すなわち訓練プログラムを複数保存したセッションの内容の登録、編集及び確認ができる。
【0062】
訓練記録ボタン215及びグラフボタン216は、後述するように、患者の実施した訓練の記録、すなわち訓練結果を時系列及び訓練内容で整理されたデータで確認し、これらが視覚的に分かりやすいようにグラフ表示にして確認する場合にクリックされる。なお、医療者の変更ボタン217は、ログインしている医療者を変更する際にクリックされる。
【0063】
メインメニュー画面201は、ログインしたユーザーによって、すなわち医療者かシステム管理者かによって、又は、患者キー5が医療者用端末3に接続されているか否かによって、操作可能なボタンが変化する。例えば、訓練記録ボタン215及びグラフボタン216は、訓練結果が記憶された患者キー5が医療者用端末3に接続されている場合にのみクリックすることができる。
【0064】
図11は、端末用アプリケーションプログラム200による画面の別の例を示す図であり、訓練内容の登録、編集及び確認を行うための訓練内容調整画面202である。訓練内容調整画面202の左上の患者名欄210及びログインユーザー情報欄211は、メインメニュー画面201と同様に表示される。訓練内容調整画面202の患者名欄210の下には、セッション名欄220が配置されている。
【0065】
訓練内容調整画面202は、主に左右の2つの領域に分かれていて、左の領域はさらに上下2つの領域に分かれている。訓練内容調整画面202の左の領域において、上方には、ライブラリ欄221が配置され、下方には、セッション内容欄222が配置され、右の領域には、訓練内容欄223が配置されている。ライブラリ欄221とセッション内容欄222との間には、追加ボタン224が配置されている。セッション内容欄222の下には、削除ボタン225と取消ボタン226と確定ボタン227とが配置されている。訓練内容調整画面202の右下には、戻るボタン228と取消ボタン229と保存ボタン230とが配置されている。
【0066】
ライブラリ欄221には、プルダウンメニュー欄221aと訓練表示欄221bとが配置されている。プルダウンメニュー欄221aから選択されたメニュー内容に応じて、訓練表示欄221bに表示される訓練パターンが変化する。ライブラリ欄221のプルダウンメニュー欄221aでは、「基本訓練パターン」、「セッション履歴」及び「訓練履歴」が選択可能である。基本訓練パターンを選択すると、後述するように、予め設定されている複数の基本的な訓練パターンの一覧が訓練表示欄221bに表示される。セッション履歴を選択すると、接続された患者キー5の患者に対して過去に作成したことのあるセッションの履歴が訓練表示欄221bに表示され、訓練履歴を選択すると、接続された患者キー5の患者が過去に実施したことのある訓練パターンの履歴が訓練表示欄221bに表示される。
【0067】
ここで、セッションとは、患者の状態に合わせて調整された同一種類又は異なる種類の複数の訓練パターンの組み合わせであり、その実施の順序を定めた訓練計画のことをいい、訓練情報ともいう。セッションの内容は、患者の状態の変化、すなわち通常は回復の状態に応じて、変更され、最適化されるべきものである。したがって、患者キー5には、1つのセッションのみ記憶可能である。
【0068】
1つのセッションは、ライブラリ欄221の訓練表示欄221bに表示された訓練パターンを選択して追加ボタン224をクリックし、それがセッション内容欄222に追加されることによって、作成される。リハビリテーションの訓練は、セッション内容欄222に表示された訓練パターンを上から下へと順番に行われる。セッション内容欄222に表示された訓練パターンの順番は、マウス等のポインティングデバイスによるドラッグ・アンド・ドロップ操作等によって変更可能である。また、削除ボタン225をクリックすると、セッション内容欄222において選択された訓練パターンが削除される。取消ボタン226をクリックすると、セッション内容欄222にある訓練パターンのすべてが削除される。
【0069】
訓練内容欄223には、セッション内容欄222において選択されている訓練パターンの設定が表示される。訓練内容欄223では、表示されている訓練パターンの調整が行われる。訓練内容欄223には、負荷欄231と、訓練座標欄232と、訓練回数欄233と、倍率欄234と、速度欄235と、ランダム欄236と、確認機能欄237と、訓練モード欄238と、訓練図欄239とが、配置されている。
【0070】
負荷欄231では、患者がアーム部30を動かす際に感じる負荷の程度を、「重い」、「中間」及び「軽い」の中から選択する。訓練座標欄232では、アーム部30の移動範囲を、「2次元」又は「3次元」のいずれかから選択する。訓練座標欄232は、セッション内容欄222において選択されている訓練パターンによっては表示されない場合もある。訓練回数欄233では、訓練パターンを繰り返す回数を患者の状態にあわせて、変更する。倍率欄234では、初期値として予めプログラム上決められた動作範囲を基準として、患者の状態にあわせて、動作範囲を拡大又は縮小するように、数値を変更する。速度欄235では、訓練パターンでのアーム部30の移動速度を患者の状態にあわせて、変更する。ランダム欄236では、保持部20の到達すべき目標点の順序をランダムに設定する。確認機能欄237では、保持部20が目標点に到達したときに、コントローラ12を操作し、患者が確認しながら訓練を行えるように設定する。それによって、患者が惰性的に訓練を行うことを防止し、よりインタラクティブな訓練を行うことができる。
【0071】
訓練モード欄238では、後述するように、予め設定されている複数の基本的な訓練モードの一覧が表示され、択一的に選択可能になっている。訓練図欄239には、選択された訓練パターンの軌跡が表示される。最後に、確定ボタン227をクリックすることによって、訓練内容の調整が完了する。また、患者キー5には、患者の情報と共にセッションの内容が記憶される。
【0072】
次に、基本訓練パターンについて説明する。基本訓練パターンは、「8方向空中保持」、「8方向リーチ(左回り)」、「8方向リーチ(右回り)」、「ジグザグ軌跡」、「円軌跡」、「多角軌跡1」、「多角軌跡2」、「前方リーチ」、「回旋リーチ」、「外転リーチ(2次元)」、「放射リーチ(2次元)」、「放射リーチ(3次元)」、「放射リーチ(上方)」、「放射リーチ(下方)」、「模擬リーチ(口元)」、「模擬リーチ(肩)」及び「模擬リーチ(頭部)」の17パターンを含む。しかしながら、その他の訓練パターンを基本訓練パターンとして含むようにしてもよい。
【0073】
図12から
図26は、訓練図欄239に表示される各基本訓練パターンの訓練図である。訓練図には、アーム部30の開始点からアーム部30を動作させるべき方向、位置、角度及び順番等が、目標点として示されている。言い換えると、アーム部30の動作を示すことによって、患者の行うべき訓練の動作を示している。丸印は目標点を表し、目標点が複数ある場合には、丸印の横に付した数字の順番にアーム部30を動作させる。点Aは、基本位置、すなわち初期位置である。目標点及び基本位置を結ぶ線は、辿るべき経路を示している。なお、上述したランダム欄236にチェックを入れると、この数字の順番がランダムに設定される。
【0074】
図12は、8方向空中保持の訓練図である。8方向空中保持の訓練は、中心点と8方向の目標点から構成されている。患者は、肩関節外転70度且つ肘関節屈曲90度のように、胸の高さから訓練を開始し、目標点に向かって力を加える。目標点に到達すると、目標点の色が赤から黄に変化するので、患者は、黄色の状態を維持するように数秒間、アーム部30を保持する。
【0075】
図13は、8方向リーチ(左回り)の訓練図であり、
図14は、ジグザグ軌跡の訓練図であり、
図15は、円軌跡の訓練図であり、
図16は、多角軌跡1の訓練図であり、
図17は、多角軌跡2の訓練図である。8方向リーチ(右回り)の訓練は、
図13に示された数字とは逆の順に動作を行う。患者は、肩関節外転70度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始する。
【0076】
図18は、前方リーチの訓練図である。この訓練を行う際、患者は、肩関節外転80度から90度且つ肘関節屈曲90°の肢位から訓練を開始し、アーム部30を前方へ押し出す。
図19は、回旋リーチの訓練図である。患者は、肩関節外転0度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始し、アーム部30を前外側方向へワイピングする。
図20は、外転リーチ(2次元)の訓練図である。患者は、肩関節外転80度から90度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始し、アーム部30を前方だけでなく外側への放射状に動かす。
【0077】
図21は、放射リーチ(2次元)の訓練図である。患者は、肩関節外転0度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始し、アーム部30を前方へ放射状に押し出す。
図22は、放射リーチ(3次元)の訓練図である。患者は、肩関節外転0度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始し、アーム部30を3次元的に上方へも動かす。
図23は、放射リーチ(上方)の訓練図である。患者は、肩関節外転0度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始し、アーム部30を3次元的に上方向へ向かって前方に放射状で押し出す。
図24は、放射リーチ(下方)の訓練図である。患者は、肩関節外転0度且つ肘関節屈曲90度の肢位から訓練を開始し、アーム部30を3次元的に下方向へ向かって前方に放射状で押し出す。
【0078】
図25は、模擬リーチ(口元)の訓練図である。この訓練では、机上に置かれたカップを口元まで運ぶ動作の訓練で、日常生活の一部を模擬した動作を訓練することができる。
図26は、模擬リーチ(肩)の訓練図である。この訓練では、肩関節外転0度且つ肘関節屈曲45度の肢位から、肘関節が完全に屈曲するまで、肩甲骨を内転させながら、上肢を引き上げる動作を訓練することができる。
図27は、模擬リーチ(頭部)の訓練図である。この訓練では、上肢を腰の位置から頭部に向かって拳上する動作を訓練することができる。
【0079】
次に、訓練モードについて説明する。訓練モードは、患者の訓練動作をリハビリテーション支援装置1がどのように支援するかに応じて異なる、「全介助運動」、「自動介助(初動時負荷)」、「自動介助(段階的)」、「自動運動(軌道アシスト)」及び「自動運動」の5つのモードを含む。訓練モードは、この記載した順番で、より高度な訓練モードとなり、症状に応じて訓練モードを選択できる。すなわち症状が重度であれば、より容易な訓練モードを、症状が軽度であれば、より高度な訓練モードを選択する。しかしながら、その他の訓練モードを含むようにしてもよい。
【0080】
全介助運動モードでは、アーム部30がセッションの訓練パターンの軌道に沿って自動的に動作する。すなわち、全介助運動モードでは、患者が能動的に動作させることはなく、アーム部30は、リハビリテーション支援装置1によって他動的に動作する。全介助運動モードは、介助によって随意運動を促す徒手療法と同様の訓練に相当する。
【0081】
自動介助(初動時負荷)モードでは、患者が、アーム部30の初動時においてセッションの訓練パターンに応じた正しい方向に力を加えることで、アーム部30が、訓練パターンの軌道に沿って自動的に動作する。したがって、自動介助(初動時負荷)モードは、目標点まで到達する筋力のない患者に対して随意運動を促し、目標点への到達を補助する。
【0082】
自動介助(段階的)モードでは、セッションの訓練パターンの軌道が、複数のセグメントに分割される。患者は、各セグメントでのアーム部30の初動時において正しい方向に力を加えることで、アーム部30が訓練パターンの軌道に沿って自動的に動作する。患者が、各セグメントの終点、すなわち次のセグメントの始点において、正しい方向に力を加えないと、アーム部30は停止する。したがって、患者は間欠的に随意的に上肢を動かさなければならず、自動介助(初動時負荷)モードよりも高度な訓練モードである。
【0083】
自動運動(軌道アシスト)モードでは、アーム部30が、セッションの訓練パターンの軌道に沿って自動的に動作する。患者は、その動作にしたがって、随意的に力を加える。その際に、患者が、軌道に沿った正しい方向に力を加えるとアーム部30は加速し、軌道から外れた方向に力を加えるとアーム部30は減速する。自動運動(軌道アシスト)モードでは、一定の方向のみへの随意運動を学習できる。
【0084】
自動運動モードでは、アーム部30は自動的には動作せず、また、訓練パターンの軌道に沿って動作させるような支援も行われない。患者がアーム部30に力を加えると、加えた力の強さに応じて速度及び加速度が変化し、患者が加えた力の方向へアーム部30が移動する。患者は、アーム部30の動作範囲内において、保持部20を自在に移動させることができる。自動運動モードでは、上肢の動きに対して動作する筋肉の協調運動などを学習できる。
【0085】
次に、装置用アプリケーションプログラム100について説明する。
図28は、装置用アプリケーションプログラム100による画面の一例を示す図であり、訓練前の初期設定をすべて完了した後の訓練画面101である。装置用アプリケーションプログラム100による画面は、ディスプレイ40に表示される。
【0086】
図28を参照すると、訓練画面101の上部の表示バーには、患者名欄110と、実施している訓練パターン欄111と、医療者名欄112と、病院名欄113とが配置されている。訓練画面101の下部の表示バーには、訓練パターン欄111に表示された訓練パターンの設定内容が表示されている。訓練パターン欄111には、予め作成されたセッションの内容に応じて、訓練パターンが順次表示される。訓練画面101の中央には、アーム部30の状態がリアルタイムで表示される訓練図欄114が配置されている。訓練図欄114の左には、コントローラ12の操作によって訓練図欄114を拡大又は縮小する際の目安となる拡大バー115が配置されている。また、訓練図欄114の右には、コントローラ12の操作によって訓練の「開始」、「中断」又は「停止」等を行う際に、リハビリテーション支援装置1に送信するコマンドに対応するコントローラ12に配置されたボタンのイメージを示す操作表示部116が配置されている。さらに訓練画面101には、セッションの経過時間を示すセッション経過時間欄117と、訓練パターンの経過時間を示す訓練パターン経過時間欄118とが、配置されている。
【0087】
訓練図欄114には、例えば
図12から
図27に示されるような訓練パターンに応じて、アーム部30の基本位置Aからアーム部30を動作させるべき方向、位置、角度及び順番等が、アーム部30のリアルタイムな状態と共に示されている。また、各種センサによって検出された信号に基づいて算出された、アーム部30に加わる力の方向が矢印で示されている。
【0088】
リハビリテーション支援装置1に医療者キー4が接続されている場合には、医療者用端末3で作成されたセッションの内容を変更することができる。すなわち、装置用アプリケーションプログラム100は、端末用アプリケーションプログラム200の訓練内容調整画面202に相当する画面及び機能を有している。そのため、装置用アプリケーションプログラム100及び端末用アプリケーションプログラム200は、実質的に同一のプログラムであってもよい。
【0089】
初めてリハビリテーション支援装置1を使用する場合には、まず、医療者キー4をリハビリテーション支援装置1に接続して、医療者キー4に記憶された病院名を、リハビリテーション支援装置1の記憶部80に記憶させる。次いで、患者キー5をリハビリテーション支援装置1に接続して、患者キー5に記憶された患者の情報及びセッションの内容を、リハビリテーション支援装置1の記憶部80に記憶させる。なお、接続された医療者キー4及び患者キー5を、リハビリテーション支援装置1の記憶部80の一部としてみなしてもよい。
【0090】
例えば右腕の訓練を行う患者は、椅子2に着座し、アーム部30の保持部20に対して右手を固定する。保持部20は、訓練を行う患者の身長に応じた最適な高さになるように椅子2の座面高さを変更するなどして調整される。次いで、患者が安全に効果的な訓練を行うことができるように、装置用アプリケーションプログラム100を用いて、患者の動作範囲を、リハビリテーション支援装置1の記憶部80及びリハビリテーション支援装置1に接続された患者キー5に記憶させる。この場合、全介助運動モードを用いた強制的な動作範囲及び自動運動モードを用いた主体的な動作範囲の両方を記憶させる。
【0091】
図29は、患者が訓練する様子を示す図である。患者は、ディスプレイ40に表示された訓練画面101、特に訓練図欄114を見ながら訓練を行う。訓練を行ったセッション及び訓練パターンの履歴は、リハビリテーション支援装置1の記憶部80及びリハビリテーション支援装置1に接続されている患者キー5に記憶される。また、各種センサによって検出された位置、角度、力及び圧力、時間等に基づき、様々な訓練ログが、同様に、記憶部80及び患者キー5に記憶される。
【0092】
訓練ログは、例えば、保持部20の速度及び加速度、関節の可動域、訓練時移動距離、理想軌道との距離の差、訓練実施時間(ルート到達時間)及び空間での荷重ベクトル等が挙げられる。ここで、訓練ログに加えて、これに対応するセッションの内容、すなわち訓練モード及び訓練パターン及び最初に登録した年齢や性別等を含む情報を、運動情報と称する。すなわち、訓練終了後の記憶部80及び患者キー5には、訓練開始前から記憶されているセッションの内容と共に訓練ログを含む運動情報が記憶されている。
【0093】
次に、行った訓練のセッションの内容とその結果に基づいて、訓練の評価を行う運動評価部72について説明する。すなわち、運動評価部72は、訓練情報及び運動情報に基づいて評価情報を生成する。
【0094】
運動評価部72は、例えば、運動情報、特に訓練ログから算出される「抵抗の割合」、「随意運動の割合」、「介助運動の可動域」、「開始点から目標点までの時間」、「自動運動の可動域」、「力の方向正確性」、「運動軌跡の正確性」及び「運動の滑らかさ」といった評価情報を生成する。訓練記録ボタン215及びグラフボタン216をクリックすると、これら評価情報を訓練記録及びグラフの2種類で表示し、印刷することができる。また、グラフデータはファイルに出力することができる。
【0095】
抵抗の割合とは、訓練中に正しい方向に力を加えなかった時間の割合を示す。運動機能が改善されると0%に近くなる。
【0096】
随意運動の割合とは、全介助運動モードでの動作範囲と自動運動モードでの動作範囲との割合を示す。運動機能が改善されると100%に近くなる。
【0097】
介助運動の可動域とは、開始点から目標点までの直線距離と介助運動による動作範囲(距離)との割合を示す。ここで介助運動とは、自動運動モード以外のすべての訓練モードをいう。運動機能が改善されると100%に近くなる。
【0098】
開始点から目標点までの時間とは、開始点から目標点に到達するまでの時間を示す。すべての開始点から目標点までの時間の平均値である。運動機能が改善されると0に近くなる。
【0099】
自動運動の可動域とは、訓練で設定された距離と訓練で辿った軌道の距離との割合を示す。運動機能が改善されると100%に近くなる。
【0100】
力の方向正確性とは、目標点の方向に正しく力を加えた時間の割合を示す。運動機能が改善されると100%に近くなる。
【0101】
運動軌跡の正確性とは、開始点から目標点までの直線距離と実際に辿った軌道の距離との割合を示す。運動機能が改善されると100%に近くなる。
【0102】
運動の滑らかさとは、開始点から目標点までの速度のピーク数と実際のピーク数との割合を示す。理想的な速度のピーク数は、1である。運動機能が改善されると100%に近くなる。
【0103】
評価情報をグラフで表示させる場合、訓練モードの特徴の違いから、表示させる訓練モードに応じて、表示されるグラフの種類が変化する。全介助運動モードの結果では、抵抗の割合、随意運動の割合及び介助運動の可動域のグラフが表示される。自動介助(初動時負荷)モードの結果では、抵抗の割合、開始点から目標点までの時間及び介助運動の可動域のグラフが表示される。自動介助(段階的)モードでは、開始点から目標点までの時間及び自動運動の可動域のグラフが表示される。自動運動(軌道アシスト)モードでは、力の方向正確性のグラフが表示される。自動運動モードでは、運動軌道の正確性、運動の滑らかさ、力の方向正確性及び自動運動の可動域のグラフが表示される。
【0104】
なお、評価情報は、運動情報に加え、他の情報と併せて訓練ログから算出される情報を評価情報としてもよく、算出された定量的データの他に、理想軌道と実際の軌道とが描く視覚的な図形であってもよい。
【0105】
次に、患者に応じた最適なセッションを生成する訓練情報設定部73について説明する。訓練情報設定部73は、セッションの内容、すなわち訓練情報と、その内容による訓練の評価情報とに基づいて、新たな訓練情報を生成する。
【0106】
リハビリテーションの訓練の基本的な考え方として、患者が容易に行えるような運動を繰り返し行っても効果は低く、また、患者の限界を大きく超えるような運動は、むしろ回復の妨げになる。関節可動域や負荷等に関して患者の限界を少し超えた運動を行うことが重要である。
【0107】
したがって、訓練情報設定部73は、抵抗の割合や力の方向正確性といった各項目の評価情報の分析を行う。訓練情報設定部73は、これら各項目が、所定の評価以上の場合に対応する訓練のレベル(すなわち難易度)を上げ、所定の評価以下の場合に対応する訓練のレベルを下げるように、新たな訓練情報を生成し、現在の訓練情報を更新する。訓練情報設定部73は、分析の結果、訓練情報が所定の評価以上でも以下でもない場合には、新たな訓練情報を生成せずに、前回の訓練情報を次の訓練時に使う。
【0108】
また、訓練情報設定部73は、訓練の際の体調等、一時的な要因を考慮し、所定の評価が所定回数続いた場合に、訓練のレベルを上げるように又は下げるようにしてもよい。例えば、随意運動の割合は、上述したように、運動機能が改善されると100%に近くなることから、90%が3回連続した場合に、訓練のレベルを上げ、60%が3回連続した場合に、訓練のレベルを下げるようにしてもよい。
【0109】
訓練のレベルの調整は、上述したような訓練モード及び訓練パターンの変更であってもよく、訓練内容調整画面202に含まれるその他の項目、例えば負荷欄231や倍率欄234等の調整であってもよく、又は、より細かい調整であってもよい。例えば、最初は全介助運動モードで訓練を行っていたが、それを自動介助(初動時負荷)モードに切り替えることによって訓練のレベルを上げることができる。また、一連の訓練パターン、例えば
図21に示されるような放射リーチ(2次元)であっても、患者が得意とする方向、例えば目標点1へ向かう方向の訓練の回数を減らし、患者が苦手とする方向、例えば目標点5へ向かう方向の訓練の回数を増やすようにしてもよい。同様に、訓練内容調整画面202の負荷欄231において、患者が得意とする方向の負荷を高くし、患者が苦手とする方向の負荷を軽くしてもよい。また、訓練内容調整画面202の倍率欄234において、動作範囲を拡大又は縮小するようにしてもよい。
【0110】
訓練情報設定部73は、新たな訓練情報を生成する際に、予め定められた標準セッションの中から選択するようにしてもよい。標準セッションは、例えば、「反射」から始まり、「共同運動」、「分離運動」及び「個別関節運動」を順次含み、すなわち、より重度な患者が行うセッションを基準としている。
【0111】
反射セッションでは、訓練パターンは患者の状態に応じた適切な訓練パターンが選択され、訓練モードは全介助運動モードである。共同運動セッションでは、訓練パターンは患者の状態に応じた適切な訓練パターンから選択可能であり、訓練モードは全介助運動モード及び自動介助(初動時負荷)モードのいずれか一方である。分離運動セッションでは、訓練パターンは前方リーチ、外転リーチ(2次元)、放射リーチ(2次元)及び回旋リーチから選択可能であり、訓練モードは全介助運動モード、自動介助(初動時負荷)モード、自動介助(段階的)モード及び自動(軌道アシスト)モードから選択可能である。個別関節運動セッションでは、訓練パターンは前方リーチ、外転リーチ(2次元)、放射リーチ(2次元)、回旋リーチ及び放射リーチ(3次元)から選択可能であり、訓練モードは全介助運動モード、自動介助(初動時負荷)モード、自動介助(段階的)モード、自動運動(軌道アシスト)モード及び自動運動モードから選択可能である。
【0112】
訓練情報設定部73は、1つのセッションによる訓練の評価情報と、その結果生成された新たなセッションによる訓練の評価情報とに基づいて、さらに別の新たな訓練情報を生成してもよい。すなわち、訓練情報設定部73によって生成された新たな訓練情報に基づく訓練を行い、それに対する評価情報を検証することによって、生成された訓練情報の評価を行うことができる。言い換えると、訓練情報設定部73が生成した訓練情報をフィードバックし、次回の訓練情報の生成に適用することができる。訓練情報設定部73は、生成した訓練情報に基づく患者の運動情報の結果をフィードバックすることによって、より効率的且つ効果的な訓練情報を生成することが可能となる。
【0113】
訓練情報設定部73による訓練情報の生成の際又は生成された訓練情報のフィードバックの際に、リハビリテーション支援装置1の記憶部80に記憶されている他の患者の評価情報及び訓練情報を参照し、利用するようにしてもよい。すなわち、部分的にでも類似する状態の患者の評価情報及び訓練情報があれば、それに基づいてより効率的且つ効果的な訓練情報を生成することが可能となる。こうした評価情報及び訓練情報を、USBメモリ等の携帯型記憶装置を介して、他のリハビリテーション支援装置1との間で共有するようにしてもよい。
【0114】
例えば、1人の重症の患者の運動情報、評価情報及び訓練情報を、回復に至るまで長期に亘り蓄積する。同様に、同程度の症状の患者や麻痺の部位の異なる患者等、複数の患者に関しても同様にこれらの情報を蓄積する。蓄積された情報を基に、訓練実績データベースを構築する。訓練実績データベースは、リハビリテーション支援装置1の記憶部80又は医療者用端末3の記憶部に記憶される。訓練情報設定部73は、訓練実績データベースを参照してマッチング処理をすることにより、当該患者に類似した評価情報及び訓練情報を抽出し、新たな訓練情報を生成してもよい。
【0115】
次に、患者の現時点における評価情報に基づいて、将来的な予測の評価情報、すなわち予測評価情報を生成する評価情報予測部74について説明する。評価情報予測部74は、リハビリテーション支援装置1の記憶部80に記憶されている他の患者の評価情報の変遷、又は、予めリハビリテーション支援装置1の記憶部80に一般的な情報として記憶された患者の回復曲線など、すなわち時系列的な変化を参照しながら、患者の現時点における評価情報に基づいて、将来的な予測評価情報を生成する。
【0116】
例えば、評価情報予測部74の予測の際に、上述した訓練実績データベースを利用してもよい。評価情報予測部74は、訓練実績データベースを参照してマッチング処理をすることにより、当該患者に類似した評価情報及び訓練情報を抽出し、予測評価情報を生成してもよい。患者に対して予測評価情報を提示することによって、患者の訓練に対するモチベーションを維持させることができる。
【0117】
図30は、通信システム300の概略構成の一例を示す図である。通信システム300は、運動情報、評価情報及び訓練情報を有するリハビリテーション支援装置1及び医療者用端末3と、管理サーバ301とを有する。リハビリテーション支援装置1及び医療者用端末3は、インターネット302を介して接続されている。
図30では、2つのリハビリテーション支援装置1及び1つの医療者用端末3がインターネット302に接続されているが、図示するための便宜上のものであって、インターネット302で接続されるリハビリテーション支援装置1及び医療者用端末3の数は、これに限定されない。管理サーバ301は、上述した訓練実績データベースを有していてもよい。すなわち、インターネット302を介して接続されたリハビリテーション支援装置1及び医療者用端末3は、運動情報、評価情報及び訓練情報を、管理サーバ301に送信し、管理サーバ301内に訓練実績データベースを構築し、それを共有化する。それによって、より多くの情報を集約することができるようになる。
【0118】
リハビリテーション支援装置1又は医療者用端末3の訓練情報設定部73又は評価情報予測部74は、管理サーバ301の訓練実績データベースを参照し、利用することができる。それによって、患者にとってより最適な訓練情報を生成することが可能となり、より正確な評価情報の予測を行うことが可能となる。なお、管理サーバ301が、訓練情報設定部73又は評価情報予測部74を有し、リハビリテーション支援装置1又は医療者用端末3は、管理サーバ301にその結果を照会するようにしてもよい。
【0119】
次に、リハビリテーション支援装置1による訓練の効果を確認しながら、リハビリテーション支援装置1の評価情報を、対応する別の評価情報に変換し又はその逆の変換を行う評価情報変換部75について説明する。
【0120】
患者の状態及び回復度合いを評価する方法、すなわち運動機能評価の方法として様々な手法があるが、本明細書では、Fugel−Meyer Assessment(以下、「FMA」という。)を用いる。当然のことながら、他の評価方法に対しても本発明を適用することができる。
【0121】
FMAは、33の評価項目を有し、評価結果は、麻痺評価点として数値化される。FMAでは、各評価項目に対して0点、1点又は2点の中から選択され、最高で66点である。評価項目の例として、屈筋共同運動は、座位で麻痺側の耳まで手を挙上する運動である。当該運動によれば、肘関節の屈曲、前腕の回外、肩甲骨の伸展及び挙上、並びに、肩関節の外転及び外旋が評価される。別の例として、伸筋共同運動は、座位で非麻痺側の膝に触れる運動である。当該運動によれば、肩関節の内転及び内旋、肘関節の伸展、並びに、前腕の回内が評価される。
【0122】
まず、リハビリテーション支援装置1を用いて行った臨床試験について説明する。臨床試験は、複数の医療者に対して、最適なセッションの作成に関する説明をすることなく、各医療者が担当する上肢麻痺の患者用にセッションを作成してもらう。対象となる患者は、臨床試験を開始する前に、FMAで運動機能評価がされ、その後、医療者が独自に判断して作成したセッションに基づいて、リハビリテーション支援装置1を使用した訓練を行ってもらった。訓練期間は、6週間であり、医療者は、患者の状態に合わせて適宜新たなセッションを作成し、患者は、その新たなセッションに基づいて訓練を行った。訓練期間終了後、患者は、再度FMAで運動機能評価がされた。
【0123】
図31は、特定の患者に対して、訓練モード毎の訓練回数をまとめた実施例のグラフである。
図31のグラフにおいて、横軸は、訓練を開始してからの週を示し、縦軸は訓練回数を示す。当然のことながら、医療者が作成したセッションに応じて、週毎の訓練モード毎の訓練回数は、患者毎に異なる。30人の患者のこのような臨床試験データをさらにまとめたのが表1から表3である。
【0124】
表1は、各訓練モードによる訓練回数のデータにクラスター分析を適用して層別化を行った結果である。患者をA群とB群の2つに層別化し、これらの比較を行う。A群には17人の患者が分類され、B群には13人の患者が分類された。A群は、全介助運動モードと自動介助(初動時負荷)モードの2種類が約99%を占める低負荷群であり、B群は、全介助運動モードから自動運動モードまでのすべてのモードを含む高負荷群である。
【0126】
表2及び表3は、表1においてA群及びB群に層別化されたそれぞれの患者を、FMAの麻痺評価点が30点未満か又は30点以上かで分類した結果である。麻痺評価点が30点とは、リハビリテーション支援装置1を使用した訓練に関し、分類のための境界条件として、一般的に重症とされる患者の基準点として判断された点数である。表2は、FMAの麻痺評価点が30点未満の患者がリハビリテーション支援装置1を使用した訓練期間前後のFMAの麻痺評価点である。FMAの麻痺評価点が30点未満の患者は、上述したように相対的に重症である。表3は、FMAの麻痺評価点が30点以上の患者がリハビリテーション支援装置1を使用した訓練期間前後のFMAの麻痺評価点である。FMAの麻痺評価点が30点以上の患者は、相対的に軽症である。
【0129】
重症例の表2を参照すると、重症例でA群に分類される患者は、12人であり、重症例でB群に分類される患者は、5人である。低負荷群であるA群の患者の麻痺評価点の変化量が、12.6点であるのに対し、高負荷群であるB群の患者の麻痺評価点の変化量は、8.0点である。すなわち、重症の患者に対しては、全介助運動モードのような低負荷の訓練モードを行う方が、回復が良好である。
【0130】
他方、軽症例の表3を参照すると、軽症例でA群に分類される患者は、5人であり、軽症例でB群に分類される患者は、8人である。低負荷群であるA群の患者の麻痺評価点の変化量が、3.8点であるのに対し、高負荷群であるB群の患者の麻痺評価点の変化量は、9.3点である。すなわち、軽症の患者に対しては、自動運動モードのような高負荷の訓練モードを行う方が、回復が良好である。
【0131】
図32は、特定の患者に対して、訓練パターン毎の訓練回数をまとめた実施例のグラフである。
図32のグラフにおいて、横軸は、訓練を開始してからの週を示し、縦軸は訓練回数を示す。当然のことながら、医療者が作成したセッションに応じて、週毎の訓練パターン毎の訓練回数は、患者毎に異なる。30人の患者のこのような臨床試験データをさらにまとめたのが表4から表6である。
【0132】
表4は、表1の場合と同様に、各訓練パターンによる訓練回数のデータにクラスター分析を適用して層別化を行った結果である。C群には10人の患者が分類され、D群には20人の患者が分類された。C群は、放射リーチ(2次元)を中心に訓練が行われた非多彩群であり、D群は、5種類の訓練パターンによって訓練が行われた多彩群である。
【0134】
表5及び表6は、表4においてC群及びD群に層別化されたそれぞれの患者を、FMAの麻痺評価点が30点未満か又は30点以上かで分類した結果である。表5は、FMAの麻痺評価点が30点未満の患者がリハビリテーション支援装置1を使用した訓練期間前後のFMAの麻痺評価点である。表3は、FMAの麻痺評価点が30点以上の患者がリハビリテーション支援装置1を使用した訓練期間前後のFMAの麻痺評価点である。
【0137】
重症例の表5を参照すると、重症例でC群に分類される患者は、6人であり、重症例でD群に分類される患者は、11人である。非多彩群であるC群の患者の麻痺評価点の変化量が、11.9点であるのに対し、多彩群であるD群の患者の麻痺評価点の変化量は、11.0点である。すなわち、重症の患者に対しては、非多彩(単純)な訓練パターンを行う方が、回復が良好である。
【0138】
他方、軽症例の表6を参照すると、軽症例でC群に分類される患者は、4人であり、軽症例でD群に分類される患者は、9人である。非多彩群であるC群の患者の麻痺評価点の変化量が、4.8点であるのに対し、多彩群であるD群の患者の麻痺評価点の変化量は、8.2点である。すなわち、軽症の患者に対しては、多彩な訓練パターンを行う方が、回復が良好である。
【0139】
上述した実施例によれば、軽症又は重症等の患者の状態に応じた最適な訓練モード及び訓練パターンの傾向が明らかになった。
【0140】
こうした臨床試験を繰り返し、且つ、応用することによって、FMAの各評価項目の点数と、リハビリテーション支援装置1における評価情報とを対応させることが可能となる。すなわち、中央処理部70の評価情報変換部75では、FMAによる評価情報とリハビリテーション支援装置1による評価情報とを相互に変換可能である。そのため、記憶部80には、評価情報変換部75が参照するために、計算式又はパラメータ又はマップの形式の変換情報が記憶されている。
【0141】
なお、キーボード等によるインターフェース部62を介してFMAによる初期の評価情報を入力し、評価情報変換部75によって変換した評価情報に基づいて、訓練情報設定部73によって、最初のセッションを生成するようにしてもよい。
【0142】
図33は、本発明の実施形態によるリハビリテーション支援装置1の使用方法のフローチャートである。
【0143】
図33を参照すると、まずステップS1において、訓練を開始する前に、初期設定が済んでいるか否か判定される。初期設定が済んでいる場合には、ステップS3に進む。一方、初期設定が済んでいない場合には、ステップS2に進んで初期設定が行われる。初期設定は、リハビリテーション支援装置1に対する病院名の記憶や患者の動作範囲の記憶等である。
【0144】
次いで、ステップS3において、記憶部80からの訓練情報の読み込みと、読み込んだ訓練情報のディスプレイ40への表示が行われる。表示された訓練情報に基づいて、患者は訓練を行う。次いで、ステップS4において、表示された訓練情報に基づいて患者によって移動されるアーム部30の保持部20の運動情報を記憶部80に記憶すると共に運動情報をリアルタイムにディスプレイ40に表示する。したがって、患者に対して、理想軌道と実際の軌道とが描く図形が、訓練の評価情報として視覚的にフィードバックされる。
【0145】
次いで、ステップS5において、訓練がすべて終了したか否か判定される。訓練がすべて終了していない場合には、ステップS3へ進んで、再び訓練が行われる。訓練がすべて終了している場合には、ステップS10へ進む。ステップS10において、運動評価処理が実行される。次いで、ステップS20において、訓練情報設定処理が実行され、処理を終了する。
【0146】
図34は、運動評価処理のフローチャートである。運動評価処理は、中央処理部70の運動評価部72によって実行される。
【0147】
図34を参照すると、まずステップS11において、訓練情報の読み込みが行われる。次いで、ステップS12において、ステップS11で読み込まれた訓練情報に基づいて行われた訓練における運動情報の読み込みが行われる。次いで、ステップS13において、読み込まれた訓練情報及び運動情報の比較が行われる。次いで、ステップS14において、ステップS13における比較結果に基づき、評価情報の生成が行われ、処理を終了する。
【0148】
図35は、訓練情報設定処理のフローチャートである。訓練情報設定処理は、中央処理部70の訓練情報設定部73によって実行される。
【0149】
図35を参照すると、まずステップS21において、評価情報の読み込みが行われる。次いで、ステップS22において、評価情報の分析が行われる。次いで、ステップS23において、訓練情報の更新が必要か否か判定される。訓練情報の更新が必要ない場合には、処理を終了する。一方、訓練情報の更新が必要な場合には、ステップS24へ進む。ステップS24において、訓練情報の生成及び記憶、すなわち更新が行われ、処理を終了する。
【0150】
図36は、評価情報予測処理のフローチャートである。評価情報予測処理は、中央処理部70の評価情報予測部74によって実行される。
【0151】
図36を参照すると、まずステップS31において、患者の現時点における評価情報の読み込みが行われる。次いで、ステップS32において、訓練実績データベースの読み込みが行われる。次いで、ステップS33において、評価情報のマッチングが行われる。次いで、ステップS34において、予測評価情報の生成が行われ、処理を終了する。
【0152】
図37は、評価情報変換処理のフローチャートである。評価情報変換処理は、中央処理部70の評価情報変換部75によって実行される。
【0153】
図37を参照すると、まずステップS41において、評価情報の読み込みが行われる。次いで、ステップS42において、評価情報の変換が行われる。次いで、ステップS43において、別の評価情報の生成が行われ、処理を終了する。
【0154】
本発明に係るリハビリテーション支援装置1によれば、療法士の疲労や医療保険制度上のリハビリテーション時間の上限に制限を受けることなく、正しい動作を正確に且つ安全に、十分量、反復した訓練を行うことができる。その結果、療法士の負担が軽減し、療法士はより巧緻な訓練に集中することが可能となる。また、1人の療法士が多数の患者に対応することが可能となる。
【0155】
また、訓練モードを使い分けることにより、患者の状態にかかわらず軽症の患者も重症の患者も、1台のリハビリテーション支援装置1を用いて訓練を行うことが可能となる。また、その際の設定及び設定の変更も容易である。また、療法士の経験や熟練度によらず、訓練内容を標準化できることから、リハビリテーションの医学的な質も標準化することができ、患者の運動機能回復の程度についても均一化できる。
【0156】
また、リハビリテーション支援装置1によれば、訓練中に運動機能評価も同時に行うことができ、且つ、運動機能評価を客観的且つばらつきなく行うことができる。また、運動機能評価をグラフ等で随時確認できることから、患者のモチベーションを維持させることができる。さらに、リハビリテーション支援装置1は、医療者が近くにいなくても訓練を行えることから、患者の都合に合わせて自主的に訓練を行うことができる。さらに、リハビリテーション支援装置1によれば、患者の状態に応じて、半自動的又は自動的に適切な訓練プログラムを選択することが可能となる。
【0157】
上述した実施形態では、リハビリテーション支援装置1を上肢麻痺の患者を対象として構成したが、下肢麻痺の患者を対象とするように、アーム部を構成してもよい。さらに、リハビリテーション支援装置1を、腕以外にも手首、肘、肩又は膝等を対象とするようにアーム部を構成してもよい。
【0158】
また、本発明に係るリハビリテーション支援装置1は、その他様々な訓練用途に適用してもよく、例えば、上肢の関節の癒着及び拘縮の予防及び関節可動域の改善だけでなく、疼痛の軽減、筋緊張の軽減、座位バランスの向上、運動認知の改善及び上肢の筋力強化等に適用可能である。