(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656163
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】油圧シリンダーカバー
(51)【国際特許分類】
F15B 15/14 20060101AFI20200220BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20200220BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
F15B15/14 335C
E02F3/36 C
E02F9/00 K
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-561613(P2016-561613)
(86)(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公表番号】特表2017-515060(P2017-515060A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015057075
(87)【国際公開番号】WO2015158546
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年3月15日
(31)【優先権主張番号】14165300.6
(32)【優先日】2014年4月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513055436
【氏名又は名称】キャタピラー ワーク ツールズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ランベルト・レオナルドゥス・ヴァン・ゲメールト
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0093770(US,A1)
【文献】
特開平04−222725(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/035300(WO,A1)
【文献】
特開2001−233235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28
E02F 3/28− 3/413
E02F 3/42− 3/43; 3/84− 3/85; 9/00−9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の油圧シリンダー(100)用の油圧シリンダーカバー(10)であって、
第1端部(20)および第2端部(22)を有する本体(12)と、
前記第1端部(20)に位置付けされたフランジ(14)と、
前記油圧シリンダー(100)のピストンロッドアイ(102)に接続するための前記フランジ(14)に設けられたカバーアイ(16)と、を備え、
前記フランジ(14)が、弓状縁部(42)の反対側に直線状縁部(40)を備え、前記カバーアイ(16)が、前記直線状縁部(40)と前記弓状縁部(42)との間の前記フランジ上に配置され、前記弓状縁部(42)が、前記本体(12)の内面(28)上に位置付けられ、連結される油圧シリンダーカバー(10)。
【請求項2】
前記油圧シリンダー(100)は、シリンダー胴部(104)をさらに備え、前記本体(12)が前記油圧シリンダー(100)の前記シリンダー胴部(104)を収容するように構成されるルーメン(18)を備えたチューブとして形成される、請求項1に記載の油圧シリンダーカバー(10)。
【請求項3】
前記第2端部(22)から延在する長手方向開口部(36)をさらに備え、前記ルーメン(18)は前記長手方向開口部(36)を通ってアクセス可能である、請求項2に記載の油圧シリンダーカバー(10)。
【請求項4】
前記本体(12)が前記フランジ(14)を受容するために連結部(24)を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧シリンダーカバー(10)。
【請求項5】
前記本体(12)が、前記連結部(24)から延在する傾斜開口部(32)を備えている、請求項4に記載の油圧シリンダーカバー(10)。
【請求項6】
前記カバーアイ(16)が、前記直線状縁部(40)と前記弓状縁部(42)との間に位置付けされている、請求項1に記載の油圧シリンダーカバー(10)。
【請求項7】
前記カバーアイ(16)および前記フランジ(14)が単一の一体構造物として鋳造され、かつ前記本体(12)に連結される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の油圧シリンダーカバー(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は油圧シリンダーの分野に関し、より詳細には、建設および/または解体ツールに使用される油圧シリンダーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧シリンダーは、建設機器、製造機械、および土木エンジニアリングに使用されてよい。油圧シリンダーは、一方向のストロークを通じて一方向の力を与えるものであってよい。
【0003】
油圧シリンダーは、硬質冷延在する鋼板で形成されるピストンロッドを有してもよい。このピストンロッドはピストンに装着されてよく、かつロッドエンドヘッドを通じてシリンダー胴部から延在してよい。ピストンロッドは、油圧アクチュエータを工事施工用の工作機械へ接続してもよい。ピストンロッドは、工作機械へ接続するためのピストンロッドアイを有してよい。
【0004】
工事中、ピストンロッドはシリンダー胴部から伸張されてよい、またデブリなどの落下する工事材料に晒されてもよい。特に、解体工事中では落下デブリが伸張ピストンロッドに損傷を与えることがある。油圧シリンダーカバーは、伸張ピストンロッドをこのようなデブリから保護するために提供されてよい。この油圧シリンダーカバーは、シリンダー胴部上へ摺動可能に搭載され、かつピストンロッドアイに連結されてよい。ピストンロッドがシリンダー胴部から伸張するにつれて 油圧シリンダーカバーはそれに対応してシリンダー胴部に沿って移動する。油圧シリンダーカバーは、露出ピストンロッドの長さ以上に延在してもよい。
【0005】
本開示は、先行技術システムの1つ以上の態様を、少なくとも一部でも、改善または克服することを目的とする。
【発明の開示】
【0006】
第1態様において、本開示は工作機械の油圧シリンダー用の油圧シリンダーカバーについて説明し、該油圧シリンダーカバーは、第1端部および第2端部を有する本体と、第1端部に連結されたフランジと、油圧シリンダーのピストンロッドアイに接続するためのフランジ上に設けられたカバーアイと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上述の特徴や利点およびその他の特徴や利点は、様々な実施形態に係る以下の説明を添付図面と合わせて読むことにより、より完全に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本開示に係る油圧シリンダーカバーの等角図である。
【
図2】
図2は、ピストンロッドが伸張している状態で輪郭が描画されかつ油圧シリンダー上に位置付けされた
図1の油圧シリンダーカバーの等角図である。
【
図3】
図3は、ピストンロッドが伸張している状態で油圧シリンダー上に位置付けされた
図1の油圧シリンダーカバーの等角図である。
【
図4】
図4は、閉じた剪断ジョーの上に設置された
図1の油圧シリンダーカバーの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この開示は、一般に工作機械に設けられる油圧シリンダー上に組み付けるための油圧シリンダーカバー10に関する。
【0009】
図1は油圧シリンダーカバー10を示す。この油圧シリンダーカバー10は本体12と、フランジ14と、カバーアイ16とを備えてよい。
【0010】
本体12はチューブの形で提供されてよい。本体12は縦軸Lに沿って延在してよい。本体12はルーメン18を有してもよい。このルーメン18は油圧シリンダー(図示せず)のシリンダー胴部を収容するように構成されてよい。本体12は油圧シリンダーのシリンダー胴部を摺動可能に収容してよい。本体12は内面28を有する。一実施形態において、この内面28は曲面であってよい。内面28の一部分は摺動可能にシリンダー胴部と接触してよい。
【0011】
本体12を第1端部20および第2端部22を有する。フランジ14は本体12の第1端部20に連結されてよい。フランジ14は第1端部20において本体12に溶接されてよい。フランジ14は第1端部20の先端部において連結されてよい。
【0012】
第1端部20は連結部24を有してもよい。この連結部24はフランジ14を受容するように構成されてよい。連結部24は本体12の湾曲内面28上に提供されてよい。連結部24は第1端部20の先端部上に形成されてよい。連結部24は、縦軸Lに対して実質的に横方向であってよい。
【0013】
一実施形態において、連結部24は一対のブラケットを備えてよい。ブラケットは内面28からルーメン18内へ延在してよい。各ブラケットは、フランジ14の一部分に当接するブラケット・アバットメント表面を有してよい。フランジ14は、湾曲内面28およびブラケットにおいて本体12に連結されてよい。
【0014】
本体12は、傾斜開口部32をさらに備えてよい。この傾斜開口部32は、連結部24から始まって本体12内へ延在してよい。油圧シリンダー(図示せず)のピストンロッドは傾斜開口部32を通って延在してよい。傾斜開口部32は、縦軸Lに対して傾斜してよい。ルーメン18の端部は、傾斜開口部32を通ってアクセス可能であってよい。
【0015】
本体12は、第2端部22においてアパーチャ34を有してよい。このアパーチャ34は、ルーメン18の直径に等しい直径を有してよい。アパーチャ34は、シリンダー胴部を摺動可能に収容してよい。アパーチャ34の平面は、縦軸Lに対して横方向であってよい。ルーメン18の端部は、アパーチャ34を通ってアクセス可能であってよい。アパーチャ34を通ってアクセス可能な端部は、傾斜開口部32を通ってアクセス可能な端部の反対側であってよい。
【0016】
本体12は長手方向開口部36を有してよい。長手方向開口部36は第2端部22から延在してよい。長手方向開口部36は、アパーチャ34と傾斜開口部32との間に延在してよい。長手方向開口部36は一方の端部において傾斜開口部32に境界をつけてよい、かつ反対側端部は連結部24によって閉ざされてよい。長手方向開口部36は、連結部24の反対側の本体12上に位置付けされてよい。長手方向開口部36は縦軸Lに対して平行であってよい。ルーメン18の側面は長手方向開口部36を通ってアクセス可能であってよい。
【0017】
本体12は、少なくとも1つのガイド38をさらに備えてよい。このガイド38はシリンダー胴部に接触してよい。ガイド38はアパーチャ34に隣接して配置されてもよい。ガイド38は内面28上に位置付けされよい。ガイド38はルーメン18内へ延在してもよい。
【0018】
フランジ14は、2つの側面を持つ板として形成されてよい。ルーメン側面50はルーメン18に面していてよい、かつ反対側カバーアイ側面48はカバーアイ16を支持してよい。フランジ14は2つの側面を取り囲む2つの縁部を有してよい。フランジ14は直線状縁部40および弓状縁部42を有してよい。直線状縁部40は弓状縁部42の反対側にあってよい。この直線状縁部40および弓状縁部42は両方とも縦軸Lに対して実質的に横方向であってよい。
【0019】
この弓状縁部42は、本体12上に嵌まり込むように構成されてよい。弓状縁部42は本体12の内面28に嵌まり込むような形状にしてよい。直線状縁部40は自由縁部であってよい。
【0020】
フランジ14は一対の斜面部44をさらに備えてよい。斜面部44はフランジ14の反対側端部に位置付けされてよい。各斜面部44は直線状縁部40と弓状縁部42との間に位置付けされてよい。斜面部44は、直線状縁部40と弓状縁部42を基準にして傾斜していてよい。
【0021】
一実施形態において、フランジ14は斜面部44を備えていなくてもよい。直線状縁部40は弓状縁部42と直結されてよい。フランジ14は弓状縁部42において本体12に連結されてよい。
【0022】
カバーアイ16は、フランジ14のカバーアイ側面48上に位置付けされてよい。カバーアイ16はフランジ14から本体12のルーメン18から離れる方向に延在してよい。カバーアイ16は、縦軸Lに対して実質的に平行な方向に延在してよい。カバーアイ16は直線状縁部40と弓状縁部42との間に位置付けされてよい。カバーアイ16は、直線状縁部40および弓状縁部42に対してそれぞれ平面である反対側縁部53を有してよい。カバーアイ16は本体12に直結されてなくてもよい。
【0023】
カバーアイ16はピンホール46を有してよい。ピンホール46はフランジ14に実質的に平行であってよい。ピンホール46はアイ側面48に実質的に平行であってよい。ピンホール46は縦軸Lに対して実質的に横方向であってよい。ピンホール46はカバーアイ16を通って延在してよい、かつカバーアイ16の両反対側に開口部を有してよい。溝52は、ピンホール46の開口部を含む両側面をカバーアイ側面48に接合させてよい。
【0024】
本体12、フランジ14およびカバーアイ16は単一の一体構造物として形成されてよい。一実施形態において、カバーアイ16およびフランジ14は単一の一体構造物として鋳造され、かつ本体12に連結されてよい。フランジ14は本体12に溶接されてよい。溶接部26は斜面部44において作製されてよい。フランジ14は連結部24において溶接面30と内面28との間に保持されてよい。一代替実施形態において、ルーメン側面50は内面28上へ溶接されてよい。
【0025】
なお更なる実施形態において、カバーアイ16はフランジ14と共に機械加工されてよい。
【0026】
図2は、油圧シリンダーカバー10を備えた油圧シリンダー100を示す。油圧シリンダーカバー10の第1端部20はピストンロッドアイ102に位置付けされてよい。第2端部22はシリンダー胴部104上に位置付けされてよい。第2端部22におけるガイド38はシリンダー胴部104と係合してよい。
【0027】
カバーアイ16は、ピストンロッドアイ102上に設けられたクレビス108内へ嵌まり込んでよい。カバーアイ16はピン54を通ってピストンロッドアイ102へ連結されてよい。カバーアイ16がピストンロッドアイ102に連結することによって、相対的な回転方向の動きが可能になってよい、またピストンロッド106の軸方向の動きが油圧シリンダーカバー10の対応する軸方向の動きをもたらしてよい。カバーアイ16がピストンロッドアイ102に連結している状態で、ピストンロッド106はフランジ14の直線状縁部40から離間されてよい。ピストンロッドアイ102はフランジ14に接触しなくてもよい。
【0028】
油圧シリンダーカバー10の第2端部22におけるアパーチャ34は、本体12を通っておよびルーメン18内へのシリンダー胴部104の通過を可能にしてよい。ピストンロッド106は、シリンダー胴部104からおよび本体12のルーメン18を通って延在してよい。伸張されたピストンロッド106は油圧シリンダーカバー10によって保護されてよい。
【0029】
図3を参照すると、油圧シリンダーカバー10は油圧シリンダー100上に位置付けされてよい。ピストンロッド106の伸縮は油圧シリンダーカバー10の対応する移動をもたらすことができる。ピストンロッド106がシリンダー胴部104内に後退している状態で、油圧シリンダーカバー10はシリンダー胴部104の上に位置付けされてよい。ピストンロッド106がシリンダー胴部104から伸張している状態で、油圧シリンダーカバー10はシリンダー胴部104から移動してかつピストンロッド106の上に位置付けされてよい。
【0030】
図4を参照すると、油圧シリンダーカバー10と共に油圧シリンダー100が工作機械、特に剪断ジョーセット200上に搭載されている。ジョーセットが開位置から閉位置へ移動する状態でピストンロッド106は伸張されてよくかつデブリからの損傷に晒されてもよい。油圧シリンダー10は解体工事中にピストンロッド106を保護できる。
【0031】
当業者は、本開示の油圧シリンダーカバー10を得るために、前述の実施形態に変更または組み合わせが加えられてもよいことを認識するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本開示は、工事作業中に油圧シリンダーのピストンロッドを保護する油圧シリンダーカバー10について記載する。油圧シリンダーカバー10は、フランジ14上に設けられるカバーアイ16を有してよい。フランジ14は、油圧シリンダーカバー10の本体12に連結されてよい。油圧シリンダーカバー10は、カバーアイ16を通って油圧シリンダーへ接続されてよい。
【0033】
解体工事などの工事作業中に発生した力は、ピストンロッドアイ102を通ってカバーアイ16へ伝達されてよい。これらの力はフランジ14を通って消散されてよい。特に、高い力が剪断作業中に発生されてよい。これらの高い力はカバーアイ16とフランジ14との間に応力破壊を引き起こさないと思われる。それはこれらの力がフランジ14を通ってカバーアイ16の周りに消散されるからである。
【0034】
したがって、準拠法によって許可されるように、本開示には、本明細書に添付されている請求項に列挙した対象事項のすべての改変および同等物が含まれる。さらに、本開示のあらゆる可能な変形物において、上述の要素の任意の組み合わせは本明細書に特段の指示がない限り、本開示に包含されるものである。
【0035】
いずれの請求項において記述される技術的特徴部の後に参照符号を付しているところでは、その参照符号は請求項の理解度を高める唯一の目的で含まれたのであって、したがって、参照符号の有無によって上述の技術的特徴部またはいかなる請求要素の適用範囲にいかなる制限する効果を有するものではない。
【0036】
当業者は、本開示が、開示またはそれの本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態にて具体化され得ることを認識するであろう。したがって、上述の実施形態は、すべての点において本明細書に記載される開示を限定するものではなく、例示するものであると見なされるべきである。そこで、発明の適用範囲は、添付の請求項によって指示されるものであり、請求項の同等物の意義および範囲内で起こるすべての変更は、したがってその範囲内に包含されると意図されている。
【0037】
本出願が優先権を主張する、欧州特許出願番号第14165300.6号の開示が、参照によって本明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0038】
10:油圧シリンダーカバー、12:本体、14:フランジ、16:カバーアイ、18:ルーメン、20:第1端部、22:第2端部、24:連結部、26:溶接部、28:湾曲内面、30:溶接面、32:傾斜開口部、34:アパーチャ、36:長手方向開口部、38:ガイド、40:直線状縁部、42:弓状縁部、44:斜面部、46:ピンホール、48:カバーアイ側面、50:ルーメン側面、52:溝、53:反対側縁部、54:ピン、100:油圧シリンダー、102:ピストンロッドアイ、104:シリンダー胴部、106:ピストンロッド、108:クレビス、200:剪断ジョーセット、L:縦軸