特許第6656170号(P6656170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656170
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】エアガイド及びエアガイドモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   B60K11/04 K
   B60K11/04 J
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-565156(P2016-565156)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(65)【公表番号】特表2017-514744(P2017-514744A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015059294
(87)【国際公開番号】WO2015165939
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】1453921
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、バッカ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ルイ、ラナール
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0220577(US,A1)
【文献】 特開2012−144125(JP,A)
【文献】 特開2013−18485(JP,A)
【文献】 特開2012−183851(JP,A)
【文献】 米国特許第5918663(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0102109(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/064488(WO,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第2971743(FR,A1)
【文献】 特開昭60−110527(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2965226(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の熱交換装置の前方に配置されるように構成された少なくとも1つの下流主ダクトと、吸気口に連結されるように構成された少なくとも1つの吸気口上流ダクトと、を有し、前記吸気口からの空気を前記熱交換装置に向けてガイドするように、前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトが前記下流主ダクトに連結されている、自動車両用エアガイドであって、
前記エアガイドは、一つの部品として形成されており、
前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトと前記少なくとも1つの下流主ダクトとの間の気流を制御するために、前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトと前記少なくとも1つの下流主ダクトとの間に取り付けられた、フラップパネルと、を備え、
前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、前記吸気口上流ダクトと前記下流主ダクトとが接続する部分から、前記自動車両の前部における前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトの開口まで、前方方向に広がり、
前記エアガイドは、前記吸気口からの空気を前記自動車両の追加装置に向けてガイドするように、前記自動車両の前記吸気口に連結されることが意図された少なくとも1つの追加給気ダクトを有し、
前記少なくとも1つの追加給気ダクトは、前記吸気口上流ダクトから分離しており、
前記少なくとも1つの追加給気ダクトは、前記エアガイドのフラップ支持体の上流の前記吸気口上流ダクトと連通している、自動車両用エアガイド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、可撓性材料から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアガイド。
【請求項3】
前記下流主ダクトは、前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトよりも剛性の材料から形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアガイド。
【請求項4】
前記エアガイドは、バイ・インジェクションにより得られることを特徴とする、請求項2又は3に記載のエアガイド。
【請求項5】
前記自動車両の保護ビームを受容するように前記吸気口上流ダクトの間に横方向ハウジングを形成することによって前記吸気口からの空気を前記熱交換装置にガイドするように、一方において前記自動車両の各吸気口に連結され他方において前記下流主ダクトに連結されることが意図された、2つの積み重ねられた吸気口上流ダクトを有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエアガイド。
【請求項6】
吸気口上流ダクトの両側に配置された2つの追加給気ダクトを有し、
前記追加給気ダクトは、前記自動車両の各ヘッドランプの領域に給気することが意図されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエアガイド。
【請求項7】
前記少なくとも1つの下流主ダクトが内部に配置された支持フレームを有し、
前記支持フレームは、前記自動車両の前記熱交換装置を保持するように構成された交換器支持体を備えていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエアガイド。
【請求項8】
前記少なくとも1つの下流主ダクトが内部に配置された支持フレームを有し、
前記支持フレームは、前記少なくとも1つの下流主ダクトの両側に横方向に配設された2つのヘッドランプ支持体を備えていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエアガイド。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のエアガイドと、前記エアガイド内に取り付けられた少なくとも1つのフラップパネルと、を有していることを特徴とする、エアガイドモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアガイド及びエアガイドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の前面は、1つの主吸気口から、又は、2つの吸気口から構成されている。2つの吸気口は、バンパービームによって分離された上方チャネル及び下方チャネルとして知られている。自動車の熱交換器、例えば車内の空調用に使用される熱交換器は、一般に、このバンパービームの後方に配置されている。
【0003】
空気を熱交換器に導くことのできるエアガイドチャネルは、一般に、熱交換器の熱的性能を向上させるように使用されている。しかしながら、いくつかのエアガイドチャネル同士の連結は常に完全に気密ではない。更に、組立作業及び組立作業における気密性は、大きな労働投入量を必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、製造がより安価で且つ組立がより簡単なエアガイド及びエアガイドモジュールを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明の対象は、自動車両の熱交換装置の前方に配置されることが意図された少なくとも1つの下流主ダクトと、吸気口に連結されることが意図された少なくとも1つの吸気口上流ダクトと、を有し、前記吸気口からの空気を前記熱交換装置に向けてガイドするように、前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトが前記下流主ダクトに連結されている、自動車両用エアガイドであって、前記エアガイドは、一つの部品として形成されており、前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、前方に向かって全体的に広がった形状を呈しており、前記少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、前記熱交換装置に連結されることが意図された前記下流主ダクトの後方開口により画成される平面に実質的に直交する方向に延在していることを特徴とする、自動車両用エアガイドである。
【0006】
上記構成により気密性が向上する。なぜならば、複数の連結部品をシールする必要がないからである。気密状態で組み立てるべき部品の点数が削減されることから、労働投入量が削減されるであろう。これにより製造コストも削減可能となる。エアガイドの分解も同様に簡単なものとなる。
【0007】
エアガイドは、以下に記載の1つ又は複数の特徴を単独で又は組み合わせて有し得る。
【0008】
少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、例えば、これが少なくとも部分的にエラストマー材材料から形成されるように、可撓性材料から形成されている。少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、例えば、EPDM、SEBS材料又はEPDMで充填されたポリプロピレンPP材料からなる。
【0009】
下流主ダクトは、少なくとも1つの吸気口上流ダクトよりも剛性の材料から形成される、ということが提案可能である。例えば、下流主ダクトは、PP GF30等の充填ポリマー材料、又はガラス充填ポリプロピレンから形成される。下流主ダクトの構造を補強することが必要である。なぜならば、下流主ダクトは、衝撃の際の破損を回避して損傷リスクを抑えることを可能とする一定の可撓性を呈しつつも、エアガイドの全体的機械的強度に寄与するからである。
【0010】
エアガイドは、例えば、バイ・インジェクションにより得られる。バイ・インジェクションにより、2つの異なる物質が同一の金型に射出されることが可能となる。これにより、少なくとも1つの吸気口上流ダクトがより可撓性のある材料を備えるように、エアガイドは異なる材料から構成されるにもかかわらず、エアガイドは一つの部品として形成される。他の実施形態によれば、吸気口上流ダクトは、下流主ダクトにモールドされている。
【0011】
少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、前方に向かって全体的に広がり、自動車両の吸気口に連結されることが意図される側において拡大する形状を呈している。吸気口上流ダクトの広がった形状も同様に、エアガイドの可撓性に寄与する。
【0012】
少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、熱交換装置に連結されることが意図された下流主ダクトの後方開口により画成される平面に実質的に直交する方向に延在している。少なくとも1つの吸気口上流ダクトが延在する長さは、吸収距離を画成している。この吸収距離に亘って、エアガイドは衝撃を吸収すべく変形し得る。少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、例えば、50乃至200ミリメートル、例えば80乃至120ミリメートルの間の吸収距離において延在している。
【0013】
少なくとも1つの吸気口上流ダクトの特別な形状を理由として及び/又は材料の特性の結果、少なくとも1つの吸気口上流ダクトは、一定の可撓性を呈することによりエアガイドに変形可能性を提供している。このような変形可能性により、エアガイドは、車両の前方で生じ得る低速時の衝撃、例えば停車時の衝撃において解放されたエネルギを吸収することができるとともに、特に、熱交換装置等のエアガイドの後方に設置されている車両の部品に対するダメージを限定的なものとすることができる。こうして、エアガイドは、空気を導くという機能に対して衝撃吸収にも寄与するという追加的な機能を確保している。
【0014】
更に、少なくとも1つの可撓性の吸気口上流ダクトにより、自動車両にエアガイドを組み付ける際の製造公差を吸収することが可能となる。実際に、いかなる間隙も、少なくとも1つの吸気口上流ダクトのわずかな変形によって、不利益を被ることなく補償され得る。これにより、必要とされる公差は、もはや、従来技術から公知のエアガイドダクトに要求される公差ほど厳しくない。従来技術では、エアガイドダクトは最小の間隙で組み付けられることが必要である。したがって、エアガイドは組立がより簡単で且つ製造がより安価となる。
【0015】
例示的な一実施形態によれば、エアガイドは、自動車両の保護ビームを受容するように吸気口上流ダクトの間に横方向ハウジングを形成することによって、吸気口からの空気を熱交換装置に向かってガイドするように、一方において自動車両の各吸気口に連結され他方において下流主ダクトに連結されることが意図された、2つの積み重ねられた吸気口上流ダクトを有する。
【0016】
例示的な一実施形態によれば、エアガイドは、吸気口からの空気をヘッドランプ又は追加の送風機等の自動車両の追加装置に向けてガイドするように、自動車両の吸気口に連結されることが意図された少なくとも1つの追加給気ダクトを有している。したがって、吸気口から入って来た気流は、熱交換装置に向かって案内されるだけでなく、他の装置を冷却するためにも使用され得る。
【0017】
例示的な一実施形態によれば、追加給気ダクトは、エアガイドのフラップ支持体の上流の吸気口上流ダクトと連通している。したがって、車両の吸気口と熱交換装置との間に配設された、特に加熱フェーズにおいて交換器の温度の上昇を促進して車両の燃料消費量を抑えることを可能とする制御されたフラップの存在から利点が得られる。これは、1つ以上の追加装置への気流の全て又は一部の配向を、必要に応じてフラップの傾きにより同様に制御するためである。
【0018】
他の例示的な実施形態によれば、追加給気ダクトは、吸気口上流ダクトから分離している。したがって、追加給気ダクトは、一つの同じ気流を追加の装置に向けてフラップの傾きと無関係にガイドする。
【0019】
エアガイドは、例えば、吸気口上流ダクトの両側に配置された2つの追加給気ダクトを有し、追加給気ダクトは、自動車両の各ヘッドランプの領域に給気することが意図されている。ヘッドランプに利用されている最新技術において、ヘッドランプの冷却が実際に必要とされている。吸気口からの気流がヘッドランプの方へそれることにより、大型の放熱板や複数の追加の送風機を使用する必要なく、ヘッドランプを冷却することが可能となる。
【0020】
エアガイドは、フラップパネルを保持するように構成された少なくとも1つのフラップ支持体を有し得る。
【0021】
エアガイドは、下流主ダクトが内部に配置された支持フレームを有し得る。
【0022】
支持フレームは、自動車両の熱交換装置を保持するように構成された交換器支持体を有し得る。したがって、エアガイドは、熱交換器及び換気システムを支持し得る。
【0023】
支持フレームは、少なくとも1つの下流主ダクトの両側に横方向に配設された2つのヘッドランプ支持体を備え得る。したがって、エアガイドは、ヘッドランプを支持し得る。
【0024】
また、本発明の対象は、上述のエアガイドと、このエアガイド内に取り付けられた少なくとも1つのフラップパネルと、を有するエアガイドモジュールである。エアガイドモジュールにより、フラップパネルとエアガイドの自動車両への組付前に、フラップパネルをエアガイドに対して予め組み付けることができるので、組付作業が容易となる。
【0025】
本発明の他の特徴や利点は、例示的且つ非排他的な例として示される以下の説明及び添付図面を熟読することでより明瞭に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、自動車両に取り付けられたエアガイドの側方からの概略縦断面図である。
図2図2は、図1のエアガイド及び自動車両の要素の前方からの概略図である。
図3図3は、前方から見たエアガイドモジュールの例示的実施形態を示す図である。
図4図4は、エアガイドモジュールの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図5図5は、エアガイドモジュールの更に別の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面において、実質的に同一の要素には同じ参照符号が付されている。
【0028】
図1及び2は、エアガイド1の第1の例を示す。
【0029】
エアガイド1は、自動車両2の前部において、車両の前面の支持構造体3(英語では「carrier」又は「bolster」)と車両のバンパーとの間に取り付けられている。支持構造体3は、一般に、車両のウィング及び長手方向部材に連結されている。バンパーにはラジエーターグリル4が取り付けられている。車両のタイプによっては、エアガイドは、前面構造ノズルに取り付けられている場合もある。構造ノズルは、図3に示すように、車両の熱交換装置5を支持している。更に他の例示的な実施形態によれば、図4及び図5に示すように、エアガイドそれ自体が、熱交換装置5を保持するように構成された支持フレーム6を有している。これについては、後に詳述する。
【0030】
図1の例に戻ると、エアガイド1は、自動車両2の熱交換装置5に連結された少なくとも1つの下流主ダクト7と、上部に配置された吸気口上流ダクト8と、下部に配置された吸気口上流ダクト9と、を有している。
【0031】
一方で、吸気口上流ダクト8、9は、自動車両2の各吸気口10、11に連結されている。上方チャネル及び下方チャネルとしてそれぞれ知られる吸気口10、11は、自動車両2の前方であってラジエーターグリル4の後方に配設されている。
【0032】
他方で、吸気口上流ダクト8、9は、吸気口10、11からの空気を熱交換装置5に向けてガイドするように、共通の下流主ダクト7に連結されている。図示しない別の例によれば、これらの吸気口上流ダクトは各下流主ダクトにそれぞれ連結され、これにより気流は各吸気口から各主ダクトに至るまで分離したままとなる。
【0033】
熱交換装置5は、下流主ダクト7の後方開口に対面する少なくとも1つの熱交換器を有している。熱交換装置5は、例えば、凝縮器12と、ラジエーター13と、換気システム14と、を有している。
【0034】
積み重ねられた吸気口上流ダクト8、9は、本例において平行に延在し、下流主ダクト7に連結されて、自動車両2の保護ビーム16が収容される横方向ハウジング15を形成している。
【0035】
下流主ダクト7及び吸気口上流ダクト8、9を備えたエアガイド1は、一つの部品として形成されている。この構成により気密性が向上する。なぜならば、複数の連結部品をシールする必要がないからである。気密な態様において組み立てるべき部品の点数が削減されることから、労働投入量が削減されるであろう。これにより製造コストも削減可能となる。エアガイドの分解も同様に簡単なものとなる。
【0036】
例示的な一実施形態によれば、エアガイド1は、自動車両2の給気吸入口10に連結された少なくとも1つの追加給気ダクト17を有している。この目的は、吸気口10からの空気を自動車両2の更なる装置、例えばヘッドランプや追加の送風機にガイドすることである。したがって、吸気口10から入って来た気流は、熱交換装置5に向かって案内されるだけでなく、他の装置を冷却するためにも使用され得る。
【0037】
図1に示す例示的な実施形態において、追加給気ダクト17は、フラップパネル19の上流の吸気口上流ダクト8と連通している。
【0038】
フラップは、例えば、パネル19に枢動可能に横方向に取り付けられた羽根板(slat)から形成されている。フラップの傾きは、空気の通過がブロックされる鉛直閉鎖位置と、最大量の空気流が通流し得る水平開放位置に至る複数の中間位置との間で制御され得る。
【0039】
制御されたフラップは、例えば、熱交換装置5の前方に配設される。これにより、特に加熱フェーズにおいて交換器の温度の上昇を促進して車両2の燃料消費量を抑えるように、フラップが閉鎖され得る。
【0040】
フラップパネル19を、エアガイド1のフラップ支持体18を用いてエアガイド1に取り付けてもよい。
【0041】
吸気口上流ダクト8、9の後方でフラップパネル19を所定位置に保持するように、フラップ支持体18を下流主ダクト7と吸気口上流ダクト8、9との間に配設してもよい(図1)。
【0042】
他の例示的な実施形態によれば、フラップパネル19は、吸気口上流ダクト8、9のそれぞれに取り付けられ、これにより気密性を向上させている。
【0043】
車両2への組付がより簡単なエアガイドモジュールを形成するように、フラップパネル19を、エアガイド1に予め取り付けてもよい。
【0044】
したがって、車両2の吸気口10、11と熱交換装置5との間に配設された制御されたフラップの存在から利点が得られる。これは、1つ以上の追加装置への気流の全て又は一部の配向を、必要に応じてフラップの傾きにより同様に制御するためである。
【0045】
図2からより良く理解されるように、エアガイド1は、例えば、上部に配設された吸気口上流ダクト8の両側に配置された2つの追加給気ダクト17を有している。
【0046】
追加給気ダクト17は、例えば、自動車両2の各ヘッドランプ(図示せず)の領域に給気することが意図されている。ヘッドランプに利用されている最新技術において、ヘッドランプの冷却が実際に必要とされている。吸気口10、11からの気流がヘッドランプの方へそれることにより、大型の放熱板や複数の追加の送風機を使用する必要なく、ヘッドランプを冷却することが可能となる。
【0047】
吸気口上流ダクト8、9は、例えば、これらが少なくとも部分的にエラストマー材材料から形成されるように、可撓性材料から形成される、ということが更に提案される。吸気口上流ダクト8、9は、例えば、EPDM、SEBS材料又はEPDMで充填されたポリプロピレンPP材料からなる。
【0048】
吸気口上流ダクト8、9は、熱交換装置5に連結された下流主ダクト7の後方開口により画成された面に実質的に直交する方向において、すなわち、エアガイドが自動車両2に取り付けられた場合において水平方向に延在している。吸気口上流ダクト8、9が延在する長さは、吸収距離Aを画成している。この吸収距離Aに亘って、エアガイド1は衝撃を吸収すべく変形し得る。吸気口上流ダクト8、9は、例えば、50乃至200ミリメートル、例えば80乃至120ミリメートルの間の吸収距離Aにおいて延在している(図1)。
【0049】
吸気口上流ダクト8、9の特別な形状を理由として及び/又は材料の特性の結果、吸気口上流ダクト8、9は、一定の可撓性を呈することによりエアガイドに変形可能性を提供している。このような変形可能性により、エアガイドは車両2の前方で生じ得る低速時の衝撃、例えば停車時の衝撃において解放されたエネルギを吸収することができるとともに、特に、熱交換装置等のエアガイドの後方に設置されている車両の部品に対するダメージを限定的なものとすることができる。こうして、エアガイドは、空気を導くという機能に対して衝撃吸収にも寄与するという追加的な機能を確保している。
【0050】
更に、可撓性の吸気口上流ダクト8、9により、自動車両2にエアガイドを組み付ける際の製造公差を吸収することが可能となる。実際に、バンパーへの接続時に生じるいかなる間隙も、吸気口上流ダクト8、9のわずかな変形によって、不利益を被ることなく補償され得る。これにより、必要とされる公差は、もはや、従来技術から公知エアガイドダクトに要求される公差ほど厳しくない。従来技術では、エアガイドダクトは最小の間隙で組み付けられることが必要である。したがって、エアガイドは組立がより簡単で且つ製造がより安価となる。
【0051】
図3に示すエアガイドの例示的な第2実施形態を参照されたい。
【0052】
この例示的な実施形態において、エアガイド1’は、追加給気ダクトを有していない。更に、エアガイド1’は、熱交換装置5を支持している前面構造ノズル22に取り付けられている。下流主ダクト7及び吸気口上流ダクト8、9の後方において、フラップパネル19を構造ノズル22に取り付けてもよい。
【0053】
例示的な本実施形態の特徴は、吸気口上流ダクト8、9がスリーブ形状を呈しているという点にある。すなわち、吸気口上流ダクト8、9は管状の薄壁であり、その端部が実質的にリップを形成している。
【0054】
吸気口上流ダクト8、9は、更に、前方に向かって全体的に広がり、自動車両2の吸気口10、11に連結されることが意図される側において拡大する形状を呈している。吸気口上流ダクト8、9のスリーブ状且つ広がった形状も同様に、エアガイド1の可撓性に寄与する。
【0055】
図4に示す例示的な第3実施形態において、エアガイド1’’は、下流主ダクト7が内部に配置された支持フレーム6を有している。
【0056】
支持フレーム6は、吸気口上流ダクト8、9よりも剛性の材料から形成されている。例えば、支持フレーム6は、PP GF30等の充填ポリマー材料、又はガラス充填ポリプロピレンから形成される。支持フレーム6の構造を補強することが必要である。なぜならば、支持フレーム6は、衝撃の際の破損を回避して損傷リスクを抑えることを可能とする一定の可撓性を呈しつつも、エアガイドの全体的機械的強度に寄与するからである。
【0057】
同様に、支持フレーム6は、熱交換装置5を保持するように熱交換装置5と協働する接続手段を備えた交換器支持体20を有している。例示的な一実施形態によれば、交換器支持体20は、下流主ダクト7の両側に配設されるとともに支持フレーム6の材料内に形成された穿孔接続ウィングを有している。接続ウィングは、熱交換装置5を保持するように熱交換装置5と協働することが意図されている。したがって、エアガイドは、熱交換装置5を支持し得る。
【0058】
エアガイドは、例えば、バイ・インジェクションにより得られる。これにより、特に吸気口上流ダクト8、9がより可撓性のある材料を備え、且つ支持フレーム6がより剛性のある材料を備えるように、エアガイドは異なる材料から構成されるにもかかわらず、エアガイドは一つの部品として形成される。
【0059】
エアガイドモジュールの例示的な第4実施形態を図5に示す。
【0060】
例示的な第3実施例と同様に、エアガイド1’’’は、下流主ダクト7の両側に配設された穿孔接続ウィングを有する交換器支持体20を設けられた支持フレーム6を有している。
【0061】
支持フレーム6は、更に、少なくとも1つの下流主ダクト7の両側に横方向に配設された2つのヘッドランプ支持体23を有している。ヘッドランプ支持体23は、例えば、実質的に平行に延在するとともに自動車両2の各ヘッドランプを保持して取り付けるように構成された2つの支持取付ブラケットを有している。ヘッドランプ支持体23は、例えば交換器支持体20の上方において横方向に延在している。
【0062】
エアガイドは、更に、上部に配設された自動車両2の吸気口10に連結されることが意図された2つの追加給気ダクト21を有している。吸気口10からの空気を各ヘッドランプへとガイドするように、追加給気ダクト21は吸気口上流ダクト8の両側に配設されている。
【0063】
追加給気ダクト21は、例えば、吸気口上流ダクト8から分離している。追加給気ダクト21は、例えば、壁により形成され、この壁の隅部が吸気口上流ダクト8の壁に連結されている。したがって、追加給気ダクト21は、部分的に吸気口上流ダクト8において、そして支持フレーム6において形成されている。これにより、追加給気ダクト21は、一つの同じ気流をヘッドランプに向けてフラップの傾きと無関係にガイドする。
【0064】
下流主ダクト7と、吸気口上流ダクト8、9、そして適切であれば、支持フレーム6と、交換器支持体20と、追加給気ダクト17、21と、ヘッドランプ支持体23と、を備えたエアガイドは、一つの部品として形成される。このようにして得られるエアガイドは、製造がより安価であり且つ組立がより簡単であり、従来技術から公知のエアガイドチャネルに比べて良好な気密性を呈することが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5