(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの形態は、移動作業機(例えばオフハイウェイ車)用の油圧回路構造に関するものであり、油圧ハイブリッドシステムを提供する。油圧ハイブリッドシステムは、移動作業機の、燃費の経済性の改善、エミッションの低減、及び/又は、生産性の改善が可能である。油圧ハイブリッドシステムは、当技術分野で周知の比較可能な電気ハイブリッドシステムよりも安価である。又、油圧ハイブリッドシステムは、ホイールローダ及び/又はバックホウローダでの使用に適合していてもよい。
【0004】
本発明の別の形態は、油圧トランスフォーマと、流量制御弁・サブシステムと、高圧の油圧アキュムレータとの組み合わせに関するものである。油圧トランスフォーマは、拡張された圧力範囲で、エネルギーが供給及び/又は回収されるようにすることができ、そして、油圧アキュムレータは、エネルギーの格納と解放との双方が可能である。ある実施形態において、油圧回路構造は、重力に補助されてリフト及び/又はチルトシリンダが下方へ移動する際に、リフト及び/又はチルトシリンダからエネルギーを回収する。又、ある実施形態では、移動作業機のパワートレインから、ブレーキエネルギーを回収することができる。エネルギーは、油圧アキュムレータ内に格納され、後に、生産性を向上させる、燃費の経済性を向上させる、或いはそれらの双方を実現する、様々な機能のために使用することができる。生産性が向上されるとき、格納されたエネルギーは、原動機を補足するように使用することができ、その結果、作業回路の様々な務めの速さを増大させることによって、サイクルタイムを減少するように、第2の動力供給源として機能する。又、格納されたエネルギーは、移動作業機のパワートレインの加速を強めるように使用することができる。油圧回路構造が燃費の経済性を向上させる実施形態では、エンジン出力の要求を一定にするように、エネルギーの格納及び解放の双方を行うことができる。エンジン出力の要求を一定にすることで、燃費の経済性に関して、エンジンを最適な設定で運転することができる(例えば、燃費の経済性に最適化された、エンジンの回転速度及びエンジンのトルク出力で)。
【0005】
油圧トランスフォーマは、エンジンの均しを直接的に行うことができる。負荷サイクルの、平均動力要求が低い一部の間、トランスフォーマの第1のポンプモータは、ポンプとして作動してもよく、それによってアキュムレータを蓄圧する。油圧回路は、アキュムレータの蓄圧中に開かれるアキュムレータ分離弁を含み、更に、アキュムレータの蓄圧中に閉じられるアキュムレータ・ブリード弁を含んでいる。負荷サイクルの、平均動力が高い一部の間、トランスフォーマの第1のポンプモータをモータとして使用することで、アキュムレータに格納されたエネルギーを、動力取り出し機構のシャフト(すなわちPTOシャフト)に対して、直接的に供給することができる。PTOシャフトに対するエネルギーの送受により、原動機は、原動機の作動範囲のうち、最も効率が良い領域で作動することができる。直接的なエンジンの均しは、エンジンの小型化を可能にし、それにより、油圧システムのコストの少なくとも一部を回収することができる。更に、エンジンの小型化は、種々の排気規制及び/又は効率規制(例えばTier4規制)を守るようにして、委託者ブランド名製造(すなわちOEM)を可能にする。
【0006】
実用的な作動性能を達成するために、正確な流量の割り当てを要求してもよい。正確な流量の割り当ては、移動作業機の作動を円滑にさせ、及び/又は、移動作業機の運転者の期待へ応えるものとなる。運転者の期待は、従来の移動作業機の運転中に運転者が経験したことに基づいていてよい。正確な流量の割り当てを達成するために、油圧回路構造の方向制御弁及び/又はモード弁からの、位置フィードバックを実行してもよい。位置フィードバックは、線形可変差動変圧器(すなわちLVDTs)により提供してもよい。ある実施形態において、LVDTsは、方向制御弁及び/又はモード弁へ組み入れられて統合されていてもよい。又、ある実施形態では、従来の方向制御弁に対してLVDTsが付加されていてもよい。又、ある実施形態では、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット(すなわちECU)が、方向制御弁へ提供される制御パイロット圧力(control pilot pressure)を調整することにより、方向制御弁の位置を直接的に制御する。
【0007】
油圧システム構造は、油圧システム構造の流量要求の一部又は全てを満たすように、アキュムレータ内に格納されたエネルギーを供給可能であると、ハイブリッドシステムの制御部により算出された場合に、主ポンプ或いは複数の主ポンプをデストロークする権限を含んでいてもよい。その通信の形態は、移動作業機の基本油圧システムの構造に依存する。ある従来の移動作業機は、主ポンプ又は複数の主ポンプに対するパイロット圧力を含んでいる。又、より最近のある従来の移動作業機は、電子制御の主ポンプへ送信される、アナログ或いはデジタルの電気信号を使用することがある。この信号は、負荷感知圧力の計測、超過流量圧力の計測、及び/又は、使用圧力(service pressure)(例えば、チルトシリンダ及び/又はリフトシリンダの使用圧力)を利用して計算することができる。種々の圧力の計測値は、コントローラエリアネットワーク・バス(すなわちCANバス)を介して、ハイブリッドシステム・ECUへ伝達することができる。
【0008】
ある実施形態において、トランスフォーマとチルト設備とリフト設備との間の流量制御は、弁サブシステムの電子制御ユニットによって制御される。適切な位置フィードバックと流量制御機能とを有する、そのような弁システムの1つは、オハイオ州クリーブランドのイートン コーポレーションにより販売されているZTS16サブシステムである。弁サブシステムは、位置フィードバック及び流量制御機能を備えた、一対のパイロット作動式比例弁を含んでいてよい。弁サブシステムは、チルト設備及びリフト設備の双方に対して同時に流れを供給することを可能にし、或いは、チルト設備及びリフト設備の双方から同時に流れを回収することを可能にし、或いは、チルト設備又はリフト設備の一方から流れを供給又は回収することを可能にする。又、弁サブシステムは、モード弁として機能してもよい。弁サブシステムは、それらの弁の位置を決定してもよい。更に、チルト設備及びリフト設備の方向制御弁の位置を決定してもよい。それにより、等流量のオリフィス面積が算出され、運転者からの要求流量に等しい総計になるように、異なる流路の間で流れを分けることができる。
【0009】
運転者からの要求流量は、移動作業機がどのように構成されているのかに応じて、油圧パイロット圧力或いは電気信号の何れか一方により作動される、ジョイスティック信号によって評価してもよい。要求流量は、ジョイスティック指令とシステム圧力との双方に基づいて、油圧システム・ECUによって算出される。ジョイスティック指令及びシステム圧力からの要求流量を解決するために、オペレーティングマップを利用してもよい。オペレーティングマップは、油圧システム・ECUのメモリに格納されたルックアップテーブルであってもよい。流れの経路決定は、流量の追跡、トルクの追跡、及びエネルギー回収に基づいて、対象の関数(objective function)を使用してエネルギーの回収を最も効率的にする、制御アルゴリズムによって算出することができる。
【0010】
動力取り出し機構の出力シャフトを、原動機や原動機に連結された変速機から分離するために、クラッチを使用することができる。クラッチを分離することにより、エネルギー回収システムが使用されていないときの、油圧トランスフォーマの使用による機械的損失を取り除くことができる。クラッチは、油圧システム・電子制御ユニットにより命令される。油圧システム・ECUは、移動作業機の構成に応じて、電子信号又は油圧信号を送信する。変速機は、自動変速式マニュアル・トランスミッション(AMT)であってもよい。このようなAMTは、オハイオ州クリーブランドのイートン コーポレーションにより販売されている。
【0011】
AMTは、パワートレインの制御が、油圧システムにより取り出し及び返送される動力を把握(account for)できるようにすることが可能である。AMTは、クラッチを組み入れていてもよい。AMTは、単純化された変速機の制御を提供することができる。更に、AMTは、油圧トランスフォーマからの動力の第2の供給源を許容して、原動機の動力要求を事実上負荷軽減することにより、移動作業機の燃費の経済性の可能性を増大させることができる。従来のホイールローダでは、従来のトルクコンバータが、原動機を事実上負荷軽減するように動力の第2の供給源を許容していない。AMTは、原動機が、単純及び制御可能な方法で、油圧トランスフォーマにより負荷軽減及び負荷を付与されるようにすることができる。
【0012】
通常の開状態の2位置2方向弁は、アキュムレータから抜き取りをする(bleed down)ように使用することができる。ブリードダウン弁は、油圧システム・ECUによって制御することができる。油圧ブリードダウン弁は、移動作業機が運転停止されるとき、及び/又は、特定の緊急の動力損失状況が発生した場合に、アキュムレータを放圧させることによって、安全な保守サービスを提供することができる。
【0013】
通常の閉状態の2位置2方向弁は、アキュムレータを分離するように使用することができる。アキュムレータを分離することにより、アキュムレータ内にエネルギーが格納されているときに、アキュムレータからの漏れを防止することができる。アキュムレータ分離弁は、アキュムレータへ又はアキュムレータからの流れが要求されるあらゆる時間に開状態にされる。アキュムレータ分離弁が閉じられるときは、リリーフ弁が第1のポンプモータを跨いでの圧力を制限する。
【0014】
本発明の他の形態は、油圧システム構造をライドコントロール・モードへ設定することを含んでいる。ライドコントロール・モード弁を付加してもよく、油圧回路構造で、従来のライドコントロール・システムの機能を達成してもよい。油圧回路構造が実質的な高圧アキュムレータを既に含む場合、ライドコントロール・モードのための別個のアキュムレータは不要である。ライドコントロール・モードは、従来のライドコントロール・アキュムレータの追加費用無しで付加することができ、代わりに油圧システムの油圧アキュムレータを共用する。油圧システムの油圧アキュムレータが、通常のライドコントロール・アキュムレータより大きい場合、ライドコントロール・システムの性能を、従来のライドコントロール・システムよりも改善することができる。更に、第1のポンプモータは、蓄積された圧力を調整するように使用することができる。蓄積された圧力の調整により、ライドコントロールのために能動的な制動(active damping)を達成することができる。そのような能動的に制動された(actively dampened)ライドコントロールは、ライドコントロールの性能を著しく改善することができる。
【0015】
本発明の更に別の形態は、油圧システムのモード弁によって、チルトシリンダ及び/又はリフトシリンダへ又はそれらからの、流れの大部分を提供することに関するものである。特に、油圧システムは、油圧アキュムレータ及び油圧トランスフォーマを含む、エネルギー回収システムを含んでいる。方向制御弁が完全に閉じられることにより、チルト油圧シリンダ及び/又はリフト油圧シリンダのロッド側からタンクへの、油圧流路が封じられる。ハイブリッドシステムの油圧システムのモード弁は、方向制御弁を通る流路に代わる流路を提供するように使用できる。ある実施形態では、従来の2位置2方向弁が利用可能である。別の実施形態では、3位置3方向弁を使用してもよい。それらの弁は、チルトシリンダ及び/又はリフトシリンダのロッド側へ接続される。ある実施形態では、従来の2位置2方向弁がリフトシリンダのロッド側へ接続され、3方向3位置弁がチルトシリンダのロッド側へ接続される。別の実施形態では、同様の2方向2位置弁及び/又は3方向3位置弁を、チルトシリンダ及び/又はリフトシリンダとの、別の組み合わせ方で使用してもよい。2方向弁及び/又は3方向弁が、チルトシリンダ及び/又はリフトシリンダのロッド側をタンクへ接続するように使用される場合、方向制御弁により提供されるロッド〜タンクの機能性と同じ機能性を、2方向及び/又は3方向弁によっても提供することができる。
【0016】
3方向3位置弁によって、チルト設備及び/又はリフト設備の圧力供給部(supply)に対する接続を構成することができる。ロッド側をリフト及び/又はチルト供給部へ接続し、更に、チルト及び/又はリフト供給部を油圧シリンダのヘッド側へ接続することにより、油圧シリンダは、ロッド面積と等しい効果的なピストン面積を備える、高速作動型の1方向シリンダへと変換される。この構成は、最小量の流れを利用してシリンダを迅速に伸ばすことができる。更に、この構成は、油圧シリンダの伸張に費やされるエネルギーを少なくすることができ、それによって、燃費の経済性をより改善することができる。
【0017】
本発明の更に別の形態は、監視制御アルゴリズムによる、油圧システムのハイブリッドシステム機能性の整合に関するものである。ある実施形態において、監視制御アルゴリズムは、油圧システム・ECUに存在している。監視制御アルゴリズムは、監視制御部によって実行され、様々なハイブリッド機能の計画が、移動作業機によって現在実行されている特定の負荷サイクルに適合するように、予測的な動力管理と最適な制御アルゴリズムとを使用する。ハイブリッドシステム・ECUは、負荷のどのクラスが実行されているかを判定するために、負荷サイクル識別アルゴリズムを含んでいる。これにより、ハイブリッドシステム・ECUは、負荷サイクルのクラスに応じて、制御モチーフ(control motifs)一式から選択する。ある実施形態では、作業機の運転者が、性能モード(performance mode)を選択することによって、負荷サイクルの分類に影響を与えることがある。特に、「ハイパワー」モードは、制御モチーフ一式を最大の生産性へ適合させることができる。「エコノミープラス」モードは、基本の「エコノミー」モードの平均経済性を維持しながら、燃費の経済性の改善に焦点を合わせたものである。リアルタイムに負荷サイクルへ適合することにより、及び、作業機の運転者が性能モードを選択することを可能にすることにより、ハイブリッドシステムは、その制御モチーフを、あらゆる作業状況にとって最適になるように、自動的に適合させることができる。
【0018】
ある実施形態では、ハイブリッドシステムの状態を正確に表すために、監視制御部によって計測値一式を利用してもよい。エンジン速度、アクセルペダルの状態、ブレーキペダルの状態、及び、前進−ニュートラル−後退ギヤが示すもの(index)を含む不確定要素は、自動車のコミュニケーション・バス(例えば、自動車のCANバス、CAN J1939バス等)から直接的に読み取ることができる。
【0019】
様々な追加の形態が、続く明細書の中で説明されている。それらの形態は、個々の特徴及び特徴の組み合わせに関連している。前述した概略的な説明と、以下に詳述する説明との双方が、模範的かつ説明的なものに過ぎず、本明細書に開示された実施形態が基づく幅広い概念を制限するものではないことは、理解されることになる。
【0020】
断り書きのない限り、種々の図を通して同様の参照符号が同様の部位を示している、以下の図面を参照しながら、非限定的及び非包括的な実施形態が説明されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照しながら様々な実施形態を詳細に説明しており、それらの図面では、夫々の図を通して、同様の参照符号が、同様の部位、同様の機構、及び/又は、同様の構成要素を示している。様々な実施形態を参照することは、本明細書に添付されたクレームの範囲を限定するものではない。加えて、本明細書で説明されているあらゆる実施例は、限定することを意図したものではなく、添付のクレームに関して考え得る多くの実施形態の幾つかを、単に説明するものである。
【0027】
本発明は、概して、移動作業機で使用する油圧回路構造に関するものである。本発明の基礎概念に従う油圧回路構造は、推進回路、操向回路、及び/又は、作業回路を含んでいる。典型的な最新の移動作業機では、特定の重要な制御回路(例えば操向回路)に油圧的に動力を提供するように、優先権が与えられる。
【0028】
本発明の基礎概念に従う油圧システム10は、移動作業機800、800’に搭載することができる。
図3及び
図4に示された実施形態では、本発明の基礎概念に従い、第1のホイールローダ800が図示されている。
図5に示された実施形態では、本発明の基礎概念に従い、ホイールローダ800’が図示されている。
図3〜
図5で提供される実施例は、ホイールローダ800、800’向けであるが、油圧システム10は、本発明の基礎概念に従う別の移動作業機に適合していてもよい。
【0029】
図1及び
図2に示されているように、油圧システム10は、様々な構成要素、サブシステム、及び、制御ユニットを含んでいる。ある実施形態では、それらの構成要素、制御ユニット、及び、サブシステムが、
図1及び
図2に図示されているように同時に使用されていてもよい。又、別の実施形態では、本発明の基礎概念に従う付加的な実施形態を提供するために、特定の構成要素、サブシステム、及び/又は、制御ユニットのみが使用されていてもよい。ある実施形態は、
図1及び
図2に図示された油圧システムから、1つ以上の制御ユニット、構成要素、及び/又は、サブシステムを取り除いたものであってもよい。又、ある実施形態は、
図1及び
図2に図示された油圧システムに対して、1つ以上の付加的な制御ユニット、構成要素、及び/又は、サブシステムを追加したものであってもよい。
【0030】
本発明の基礎概念に従う油圧システム10は、移動作業機800、800’に対し、油圧ハイブリッドシステムを提供する。油圧システム10は、ポート52を備えるアキュムレータ50を含み、アキュムレータ50は、加圧された油圧液がポート52へ強制的に送り込まれるときに、エネルギーを受容する。又、アキュムレータ50は、ポート52から油圧液を放出することができ、それによって油圧システム10へエネルギーを供給する。更に、移動作業機800、800’は、原動機90を含んでいる。図示のように、原動機90は、ディーゼルエンジン、定容サイクル機関、ガスタービンエンジン等の、内燃機関であってもよい。又、図示のように、原動機90は、移動作業機800、800’に対して供給される、実質的に全エネルギーを提供することができる。アキュムレータ50は、移動作業機800、800’の様々なアクチュエータから特定のエネルギーを回収し、更に、減速時の移動作業機800、800’からエネルギーを回収することができる。それによって、アキュムレータ50は、慣性エネルギーを、アキュムレータ50内へ蓄圧される位置エネルギーへ変換することができる。更に、油圧システム10は、移動作業機800、800’の様々な配置から生じる位置エネルギーを、アキュムレータ50内へ蓄圧される位置エネルギーへ変換することができる。移動作業機800、800’のそのような位置エネルギーは、重力により作用され、移動作業機800、800’によって運搬される負荷を含むことができる。移動作業機800、800’は、それ自体が高い位置(例えば丘の頂上)にあってもよい。重力が、移動作業機800、800’の負荷へ作用すること、或いは、移動作業機800、800’自体へ作用することを許容することで、負荷の及び/又は移動作業機800、800’の位置エネルギーを、アキュムレータ50内の位置エネルギーへ変換することができる。
【0031】
油圧システム10は、アキュムレータ50内に蓄圧された位置エネルギーを放出することができる。アキュムレータ50内に蓄圧された位置エネルギーの放出によって、油圧システム10は、移動作業機800、800’の様々なアクチュエータを駆動することができ、移動作業機800、800’のドライブトレインを駆動し、それによって移動作業機800、800’を動かすことができ、原動機90を始動させることができ(例えば、油圧始動モータに動力供給して)、移動作業機800、800’をより高い位置へ上昇させることができ、移動作業機800、800’により運搬される負荷をより高い位置へ上昇させること等ができる。
【0032】
ある実施形態において、油圧システム10は、移動作業機800、800’用のライドコントロール・システムを提供することができる。特に、移動作業機800、800’の負荷を運ぶ様々なアクチュエータは、移動作業機800、800’が、起伏のある地形を通過する際、及び/又は、別の動負荷に遭う際に、緩衝されることがある。油圧システム及びライドコントロール・システムの双方は、油圧システム10内への油圧エネルギーの蓄圧及び放出に、同じアキュムレータ50を使用することができる。
【0033】
ここで、
図3及び
図4を参照すると、移動作業機800の実施例が詳細に示されている。特に、移動作業機800は、原動機90によって動力供給される。原動機90は、油圧システム10に対して動力供給し、それによって移動作業機800のドライブトレイン890を推進させる。
図1に示されているように、原動機90は、変速機100に接続されている。図示の実施形態では、変速機100が、自動変速式マニュアル・トランスミッション(すなわちAMT)である。別の実施形態では、変速機100が、従来の複数の変速機のうちの1つであってもよい。そのような従来の変速機には、静油圧変速機、トルクコンバータを備えた自動変速機、或いは、原動機90と変速機の入力軸との間にクラッチを備えた従来のシフト式変速機が含まれる。
【0034】
図示の実施形態において、変速機100は、後方のドライブトレイン892に対する第1の入出力シャフト102と、前方のドライブトレイン894に対する第2の入出力シャフト104とを含んでいる。別の実施形態では、変速機100が、単一の入出力シャフトによって、移動作業機のドライブトレインに接続されていてもよい。
【0035】
運転者は、トランスミッション・セレクタ106を使用して、移動作業機800の方向を制御することができる。特に、前進形態、後退形態、ニュートラル形態、及び/又は、駐車形態が、トランスミッション・セレクタ106によって選択される。ある実施形態では、トランスミッション・セレクタ106が、変速機100の様々なギヤ比を選択するために使用されてもよい。又、ある実施形態では、トランスミッション・セレクタ106が、1つ以上の入出力シャフト102、104を選択解除するために使用されてもよく、それによってドライブトレイン892、894の一方が選択解除される。
【0036】
図1に示されているように、原動機90は、基本油圧システム270に対しても動力供給する。図示のように、基本油圧システム270は、電子制御ユニット272(すなわちECU)を含んでいる。更に、基本油圧システム270は、電子制御ユニット272により使用されるメモリ274を含んでいる。ある実施形態では、基本油圧システム270に、(複数の)優先制御油圧回路(例えば操向回路)が含まれている。
【0037】
基本油圧システム270は、移動作業機800、800’の第1の油圧アクチュエータ830、830’、及び/又は、移動作業機800、800’の第2の油圧アクチュエータ860、860’に対して、動力を提供する。ある実施形態において、第1のアクチュエータ830、830’及び第2の油圧アクチュエータ860、860’は、(複数の)優先制御油圧回路から除外されており、その代わりに、基本油圧システム270内の非優先回路として動力供給される。図示の実施形態では、第1の油圧シリンダ830、830’がリフトシリンダであり、第2の油圧シリンダ860、860’がチルトシリンダである。又、図示の実施形態において、リフトシリンダ830、830’は、共に平行に結合される一対の油圧シリンダを含み、チルトシリンダ860、860’は、単一の油圧シリンダである。別の実施形態では、油圧シリンダ830、830’、860、860’が、複数の油圧シリンダ、及び/又は、単一の油圧シリンダを含んでいてもよい。図示の実施形態において、リフトシリンダ830、830’は、ブームを動かすことで、高位置と低位置との間でバケット826、826’を移動させるために利用され、それによってバケット826、826’の高さが変えられる。又、図示の実施形態において、チルトシリンダ860、860’は、バケット826、826’を傾けるために利用される。リフトシリンダ830、830’、チルトシリンダ860、860’、及び、ドライブトレイン890は、運転者によって同時に使用されるとき、バケット826、826’を、様々な掘削形態、運搬形態、及び、投入形態に配置するように使用される。それによって、ホイールローダ800、800’は、部材の移動、及び/又は、他の有用な機能を提供するように使用される。
【0038】
図1に示されているように、原動機90、基本油圧システム270、及び/又は、変速機100は、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250によって制御することができる。特に、油圧システム・電子制御ユニット250は、センサ入力252を受信し、アクチュエータ出力262を提供することができる。図示のように、センサ入力252及びアクチュエータ出力262は、特定のセンサ及び/又は特定のアクチュエータ制御器に対して、直接接続することができる。更に、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250は、信号線256を介して、原動機からの入力及び出力を受ける。同様に、油圧システム・電子制御ユニット250は、信号線254を介して、変速機100に対して、入力信号及び出力信号を送信及び受信することができる。加えて、油圧システム・電子制御ユニット250は、信号線258を介して、基本油圧システム270に対して、入力信号及び出力信号を送信及び/又は受信することができる。又、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250は、実行可能プログラム、システム情報、及び/又は、様々なシステム状態の情報を、メモリ260へ格納することができる。
図1に示されているように、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250は、移動作業機800、800’のコントローラエリアネットワーク・バス264(すなわちCANバス)を介して、通信することができる。ある実施形態では、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250が、別のコントローラエリアネットワーク・バス266を介して通信してもよい。実施例の形態では、コントローラエリアネットワーク・バス266が、流量制御弁・サブシステム150へ、及び又は、流量制御弁・サブシステム150から、情報を伝える。更に、油圧システム・電子制御ユニット250は、アクセル制御インタフェース296及び/又はブレーキ制御インタフェース298に対して、信号を受信及び/又は信号を送信する。基本油圧システム・電子制御ユニット272と、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250とは、協働して、アクセル296及びブレーキ298からの信号を含む様々な信号を受信することができる。別の様々な信号には、負荷感知圧力信号280、非優先回路P_EF圧力信号282、タンク圧力信号284、ジョイスティック・リフト信号276(すなわちリフト信号)、ジョイスティック・チルト信号278(すなわちチルト信号)、及び/又は、その他の信号が含まれていてよい。
図1に示されているように、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250は、原動機90、基本油圧システム270、及び/又は、変速機100への、監視制御機能を有している。他の実施形態では、別の構造が利用されていてもよい。
【0039】
図1に示されているように、油圧システム10は、油圧トランスフォーマ20を含んでいる。油圧トランスフォーマ20は、第1回転群22と第2回転群32とを含んでいる。図示の実施形態では、第1回転群22が第1のポンプモータ、第2回転群32が第2のポンプモータである。第1及び第2回転群22、32は、シャフト30によって、共に回転可能に接続されている。第1回転群22は、第1ポート24、第2ポート26、及び、可変斜板28を含んでいる。同様に、第2回転群32は、第1ポート34、第2ポート36、及び、可変斜板38を含んでいる。ある実施形態では、可変斜板28、38が、オーバーセンターへ移動してもよい。又、ある実施形態では、可変斜板28及び38の一方或いは双方が、夫々、変位センサ29、39(例えばLVDT)を備えていてもよい。
【0040】
更に、第1回転群22及び第2回転群32は、シャフト40へ回転可能に接続されている。シャフト40は、入出力シャフトとして図示されており、又、動力取り出し機構(すなわちPTO)80へ接続されている。動力取り出し機構80は、クラッチ84へ接続されるシャフト82を含んでいる。クラッチ84が連結されるとき、動力取り出し機構80、及びそれによってシャフト40は、変速機100へ回転可能に接続される。又、クラッチ84が離されるとき、動力取り出し機構80、及びそれによって変速機100は、互いに回転可能に接続されなくなる。それによって、油圧トランスフォーマ20は、変速機100、更には原動機90に対して回転可能に接続される。
【0041】
その結果、動力取り出し機構80は、変速機100に対して油圧トランスフォーマ20を選択的に接続する。それにより、エネルギーは、油圧トランスフォーマ20へ伝達され、変速機100から伝達される。又、それによって、エネルギーが、油圧アキュムレータ50及びドライブトレイン890から伝えられる。又、それによって、アキュムレータ50は、慣性エネルギー及び位置エネルギーを、移動作業機800、800’から収集し、そのエネルギーを、アキュムレータ50内の位置エネルギーとして蓄圧する。更に、油圧システム10は、アキュムレータ50からの位置エネルギーをドライブトレイン890へ伝達し、それによって移動作業機800、800’を推進させることができる。
【0042】
原動機90は、油圧トランスフォーマ20を介して、アキュムレータ50へエネルギーを供給することができる。特に、原動機90は、変速機100及び動力取り出し機構80を介して、トランスフォーマ20へ接続することができる。それにより、第1回転群22は、油圧タンク500から油圧アキュムレータ50へ油圧液を送ることができ、アキュムレータ50内の油圧液の圧力を高めることができる。
【0043】
更に、エネルギーは、変速機100と、リフトシリンダ830、830’及び/又はチルトシリンダ860、860’との間で、移すことができる。特に、第2回転群32は、流量制御弁・サブシステム150を介して、リフトシリンダ830、830’及び/又はチルトシリンダ860、860’に対して、回転可能に接続することができる。その結果、油圧トランスフォーマ20は、慣性エネルギー及び/又は位置エネルギーを、移動作業機800、800’と、移動作業機800、800’のバケット826、826’及びブーム824、824’とへ、及びそれらから、移すことができる。
【0044】
又、油圧システム10は、アキュムレータ50と、リフトシリンダ830、830’及び/又はチルトシリンダ860、860’との間で、エネルギーを移すことができる。特に、アキュムレータ50からのエネルギーは、ブーム824、824’及びバケット826、826’の上昇に利用することができ、更に、ブーム824、824’及びバケット826、826’の位置エネルギーは、油圧アキュムレータ50へ送ることができる(例えば、ブーム824、824’及びバケット826、826’に重力が作用し、リフトシリンダ830、830’が、
図5に示されているように、オーバーランニング方向847へ移動するとき)。
【0045】
図1に示されているように、油圧システム10は、第1の方向制御弁(すなわちDCV)110及び第2の方向制御弁130を含んでいる。図示のように、方向制御弁110は、リフトシリンダ830、830’を作動させるために用いられ、又、方向制御弁130は、チルトシリンダ860、860’を作動させるために用いられる。基本油圧システム270は、加圧された油圧液を、非優先回路P_EFの高圧側を介して方向制御弁110、130へ供給することができ、そして、方向制御弁110、130は、それに応じて、加圧された油圧液を、油圧シリンダ830、830’、860、860’に対して送ることができる。本発明の基礎概念に従い、方向制御弁110、130は、油圧トランスフォーマ20が連結された(例えば、PTOのクラッチ84が連結された)状態で、アクチュエータ830、830’、860、860’を作動させることができ、更に、油圧トランスフォーマ20が離された状態(例えば、PTOのクラッチ84が離された状態)でも、アクチュエータ830、830’、860、860’を作動させることができる。油圧シリンダ830、830’、860、860’は、基本油圧システム270の非優先回路P_EFと、油圧トランスフォーマ20との双方によって、同時に、動力が供給されてもよい(例えば、PTOのクラッチ84が連結されているとき)。非優先回路P_EFと、油圧トランスフォーマ20とは、アクチュエータ830、830’、860、860’への加圧された油圧液の供給を、分担することができる。油圧システム・電子制御ユニット250は、この供給の分担作業を調整することができる(例えば、油圧の整合、流量の配分等)。
【0046】
第1の方向制御弁110は、第1ポート112、第2ポート114、第3ポート116、及び、第4ポート118を含んでいる。方向制御弁110内のスプールは、スプール位置に応じて、ポート112、114、116、118の間の接続及び/又は非接続を設定する。特に、第1の配置122は、ポート112、114、116、118の各々を遮断する。第2の配置124は、第1ポート112と第3ポート116とを接続し、更に、第2ポート114と第4ポート118とを接続する。第3の配置126は、第1ポート112と第4ポート118とを接続し、更に、第2ポート114と第3ポート116とを接続する。ある実施形態では、スプールが位置を変えることができ、それにより、スプールの位置に応じて、様々なポートが同時に付加的な油圧的抵抗と接続される。又、第1の方向制御弁110は、スプールに接続された位置センサ120を含んでいる。図示の実施形態では、位置センサ120が線形可変差動変圧器(すなわちLVDT)である。位置センサ120からの出力は、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250、及び/又は、基本油圧システム270へ送信される。
【0047】
第2の方向制御弁130は、第1ポート132、第2ポート134、第3ポート136、及び、第4ポート138を含んでいる。方向制御弁130内のスプールは、スプール位置に応じて、ポート132、134、136、138の間の接続及び/又は非接続を設定する。特に、第1の配置142は、ポート132、134、136、138の各々を遮断する。第2の配置144は、第1ポート132と第3ポート136とを接続し、更に、第2ポート134と第4ポート138とを接続する。第3の配置146は、第1ポート132と第4ポート138とを接続し、更に、第2ポート134と第3ポート136とを接続する。ある実施形態では、スプールが位置を変えることができ、それにより、スプールの位置に応じて、様々なポートが同時に付加的な油圧的抵抗と接続される。又、第2の方向制御弁130は、スプールに接続された位置センサ140を含んでいる。図示の実施形態では、位置センサ140が線形可変差動変圧器(すなわちLVDT)である。位置センサ140からの出力は、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250、及び/又は、基本油圧システム270へ送信される。
【0048】
図1に示されているように、アキュムレータ・ブリード弁64は、アキュムレータ50のポート52へ接続されている。アキュムレータ・ブリード弁64は、第1ポート66と第2ポート68とを有している。又、アキュムレータ・ブリード弁64は、第1の配置70と第2の配置72とを含んでいる。第1の配置70では、アキュムレータ・ブリード弁64のスプールが、第1ポート66を第2ポート68へ接続する。第2の配置72では、第1ポート66と第2ポート68とが遮断される。油圧システム10がハイブリッド油圧システムとして構成されるとき、アキュムレータ・ブリード弁64は、通常、第2の配置72に位置する。とりわけ、アキュムレータ・ブリード弁64は、様々な理由のために、アキュムレータ50を放圧するように用いられる。例えば、油圧システム10の整備の際には、油圧アキュムレータ50の圧力を解放することが求められる。又、移動作業機800、800’が運転停止されるときは、油圧アキュムレータ50の圧力を解放することが望ましい。更に、油圧アキュムレータ50の内部圧力を解放することが望ましい、別の通常状態及び異常状態があるかもしれず、すると、アキュムレータ・ブリード弁64は、第1の配置70に設定され、それによって油圧アキュムレータ50をタンク500へ放圧させる。
【0049】
油圧システム10は、アキュムレータ分離弁54を含んでいる。図示のように、アキュムレータ分離弁54は、第1ポート56と第2ポート58とを有している。又、アキュムレータ分離弁54は、第1の配置60と第2の配置62とを含んでいる。第1の配置60では、第1ポート56と第2ポート58とが遮断される。第2の配置62では、第1ポート56が第2ポート58と接続される。アキュムレータ分離弁54を第1の配置60に位置させることにより、アキュムレータ50は、油圧システム10の他の構成要素から、効率的に分離される。油圧システム10がハイブリッドモードで運転されるとき、アキュムレータ分離弁54は、通常、第2の配置62で運用される。又、油圧システム10がパッシブ・ライドコントロール・システム(passive ride control system)として運転されるとき、アキュムレータ分離弁54は、第1の配置60に設定され、それによって、アキュムレータ50を油圧トランスフォーマ20から分離する。しかしながら、ライドコントロール弁330は、油圧アキュムレータ50とリフトシリンダ830、830’とを接続してもよい。又、油圧システム10がアクティブ・ライドコントロール・システム(active ride control system)として運転されるとき、アキュムレータ分離弁54は、第2の配置62に設定され、それによって、アキュムレータ50を油圧トランスフォーマ20へ流体的に接続する。更に、ライドコントロール弁330は、油圧アキュムレータ50とリフトシリンダ830、830’とを接続してもよい。
【0050】
ライドコントロール弁330は、第1ポート332と第2ポート334とを含んでいる。又、ライドコントロール弁330は、第1の配置336と第2の配置338とを含んでいる。ライドコントロール弁330が第1の配置336にあるとき、第1ポート332と第2ポート334とが接続される。又、ライドコントロール弁330が第2の配置338にあるとき、第1ポート332と第2ポート334とが遮断される。更に、ライドコントロール弁330が第1の配置336にあるとき、油圧システム10は、ライドコントロールを作業機800、800’へ提供する。特に、アキュムレータ50は、リフトシリンダ830、830’と油圧液を動的に交換することができる。移動作業機800、800’が動的条件に遭遇しているとき、油圧アキュムレータ50は、リフトシリンダ830、830’に対して、エネルギーを吸収及び放出することができる。それにより、リフトシリンダ830、830’は、エネルギーを吸収するばね質量緩衝システム(spring-mass-damper system)として利用されることができる。ある実施形態において、アキュムレータ分離弁54は、第2の配置62へ設定され、それによって、油圧トランスフォーマ20の第1回転群22をアキュムレータ50へ接続する。ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250、及び/又は、基本油圧システム・電子制御ユニット272は、移動作業機800、800’の様々な動的条件を監視してもよい。又、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250、及び/又は、基本油圧システム・ECU272は、第1回転群22の可変斜板28を動的に調整することができ、それにより、第1回転群22、アキュムレータ50、及びリフトシリンダ830、830’と共に、能動的かつ動的にライドコントロールを提供するように、応答信号を送信する。
【0051】
図1及び
図2に示されているように、油圧システム10は、流量制御弁・サブシステム150を含んでいる。ある実施形態及びあるモードでは、流量制御弁・サブシステム150が、方向制御弁110及び/又は130から独立して、リフトシリンダ830、830’及び/又はチルトシリンダ860、860’を動作させてもよい。又、別の実施形態及び/又は別のモードでは、流量制御弁・サブシステム150が、第1及び/又は第2の方向制御弁100、130と協働して、リフトシリンダ830、830’及び/又はチルトシリンダ860、860’を動作させてもよい。
【0052】
ここで、
図2を参照すると、流量制御弁・サブシステム150が詳細に示されている。図示のように、流量制御弁・サブシステム150は、タンク500へ油圧液を戻すために利用できる、戻りライン502への接続を含んでいる。図示のように、流量制御弁・サブシステム150は、油圧液のパイロット圧力(pilot hydraulic fluid pressure)の供給源540に接続された、ライン526への接続を含んでいてもよい。更に、図示のように、流量制御弁・サブシステム150は、チルトシリンダ860、860’へ接続された、ライン530への接続を含んでいてもよい。又、図示のように、流量制御弁・サブシステム150は、リフトシリンダ830、830’へ接続された、ライン532への接続を含んでいてもよい。流量制御弁システム150は、油圧システム・電子制御ユニット250から信号を受信する、第1モード・パイロット弁180を含んでいる。更に、流量制御弁・サブシステム150は、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250から信号を受信する、第2モード・パイロット弁220を含んでいる。第1モード・パイロット弁180によって受信される信号は、第1モード・パイロット弁180が第1モード弁160へ油圧信号を送信することをもたらす。それにより、第1モード弁160は、リフトシリンダ830、830’へ及びリフトシリンダ830、830’から、油圧液を移動させる。同様に、第2モード・パイロット弁220によって受信される信号は、第2モード・パイロット弁220が第2モード弁200へ油圧信号を送信することをもたらす。それにより、第2モード弁200は、チルトシリンダ860、860’へ及びチルトシリンダ860、860’から、油圧液を移動させる。
【0053】
ここで、第1モード弁160と第1モード・パイロット弁180とへの接続、及び、それらの間の接続について、詳細に説明する。特に、第1モード弁160は、第1ポート162、第2ポート164、及び第3ポート166を含んでいる。又、第1モード弁160は、第1の配置172、第2の配置174、及び第3の配置176を含んでいる。第1モード弁160のスプールに、位置センサ170が接続されている。スプールが第1の配置172にあるとき、第1ポート162、第2ポート164、及び第3ポート166が遮断される。第1モード弁160のスプールが第2の配置174にあるとき、第1ポート162が第3ポート166に接続され、又、第2ポート164が遮断される。第1モード弁160のスプールが第3の配置176にあるとき、第2ポート164が第3ポート166に接続され、又、第1ポート162が遮断される。
【0054】
第1モード・パイロット弁180は、第1ポート182、第2ポート184、第3ポート186、及び第4ポート188を含んでいる。又、第1モード・パイロット弁180は、第1の配置192、第2の配置194、及び第3の配置196を含んでいる。第1モード・パイロット弁180は、アクチュエータ190を含んでいる。このアクチュエータは、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250から電気信号を受信し、それに応じて、第1モード・パイロット弁180のスプールを作動させる。特に、アクチュエータ190は、スプールを第1の配置192へ位置させ、それによって、第2ポート184を第3ポート186及び第4ポート188へ接続させる。第1モード・パイロット弁180が第1の配置192にあるとき、第1ポート182は遮断される。又、第1モード・パイロット弁180が第2の配置194にあるとき、第1ポート182が第3ポート186と接続され、第2ポート184が第4ポート188と接続される。又、第1モード・パイロット弁180が第3の配置196にあるとき、第1ポート182が第4ポート188と接続され、第2ポート184が第3ポート186と接続される。第1ポート182は、油圧ライン526へ接続され、それによってパイロット圧力の供給源540と接続される。第2ポート184は、油圧ライン502へ接続され、それによってタンク500と接続される。第3ポート186は、第1モード弁160のスプールのアクチュエータと接続された、パイロットライン152へ接続される。特に、パイロットライン152が加圧される場合、第1モード弁160は、第2の配置174へと促される。第4ポート188は、第1モード弁160のアクチュエータと順に接続される、パイロットライン154へ接続される。特に、パイロットライン154が加圧される場合、第1モード弁160のスプールは、第3の配置176へと促される。第1モード弁160の第1ポート162は、ライン520へ接続される。更に、このライン520は、油圧トランスフォーマ20の第2回転群32と接続されている。第1モード弁160の第2ポート164は、油圧ライン502と接続され、それによってタンク500へ接続される。第3ポート166は、ライン532へ接続される。更に、このライン532は、リフトシリンダ830、830’と接続されている。圧力変換器を備える油圧ライン532内の監視圧力によって、リフトシリンダの点検圧力286が監視されてもよい。
【0055】
ここで、第2モード弁200と第2モード・パイロット弁220とへの接続、及び、それらの間の接続について、詳細に説明する。特に、第2モード弁200は、第1ポート202、第2ポート204、及び第3ポート206を含んでいる。又、第2モード弁200は、第1の配置212、第2の配置214、及び第3の配置216を含んでいる。第2モード弁200のスプールに、位置センサ210が接続されている。スプールが第1の配置212にあるとき、第1ポート202、第2ポート204、及び第3ポート206が遮断される。第2モード弁200のスプールが第2の配置214にあるとき、第1ポート202が第3ポート206に接続され、又、第2ポート204が遮断される。第2モード弁200のスプールが第3の配置216にあるとき、第2ポート204が第3ポート206に接続され、又、第1ポート202が遮断される。
【0056】
第2モード・パイロット弁220は、第1ポート222、第2ポート224、第3ポート226、及び第4ポート228を含んでいる。又、第2モード・パイロット弁220は、第1の配置232、第2の配置234、及び第3の配置236を含んでいる。第2モード・パイロット弁220は、アクチュエータ230を含んでいる。このアクチュエータ230は、ハイブリッドシステム・電子制御ユニット250から電気信号を受信し、それに応じて、第2モード・パイロット弁220のスプールを作動させる。特に、アクチュエータ230は、スプールを第1の配置232へ位置させ、それによって、第2ポート224を第3ポート226及び第4ポート228へ接続させる。第2モード・パイロット弁220が第1の配置232へ設定されているとき、第1ポート222は遮断される。又、第2モード・パイロット弁220が第2の配置234へ設定されているとき、第1ポート222が第3ポート226と接続され、第2ポート224が第4ポート228と接続される。又、第2モード・パイロット弁220が第3の配置236にあるとき、第1ポート222が第4ポート228と接続され、第2ポート224が第3ポート226と接続される。第1ポート222は、油圧ライン526へ接続され、それによってパイロット圧力の供給源540と接続される。第2ポート224は、ライン502へ接続され、それによってタンク500と接続される。第3ポート226は、第2モード弁200のスプールのアクチュエータと接続された、パイロットライン156へ接続される。特に、パイロットライン156が加圧される場合、第2モード弁200は、第2の配置214へと促される。第4ポート228は、第2モード弁200のアクチュエータと順に接続される、パイロットライン158へ接続される。特に、パイロットライン158が加圧される場合、第2モード弁200のスプールは、第3の配置216へと促される。第2モード弁200の第1ポート202は、ライン520へ接続される。更に、このライン520は、油圧トランスフォーマ20の第2回転群32と接続されている。第2モード弁200の第2ポート204は、油圧ライン502と接続され、それによってタンク500へ接続される。第3ポート206は、ライン530へ接続される。更に、このライン530は、チルトシリンダ860、860’と接続されている。圧力変換器を備える油圧ライン530内の監視圧力によって、チルトシリンダの点検圧力288が監視されてもよい。
【0057】
図1に示されているように、リフトシリンダ830、830’は、第1チャンバ842(例えばヘッドチャンバ)へ接続された第1ポート832(例えばヘッド側ポート)と、第2チャンバ844(例えばロッド側チャンバ)へ接続された第2ポート834(例えばロッド側ポート)とを含んでいる。又、リフトシリンダ830、830’は、第2チャンバ844から第1チャンバ842を隔てるピストン846を含んでいる。ロッド840、840’が、ピストン846へ接続されており、第2チャンバ844を通って延びている。同様に、チルトシリンダ860、860’は、第1チャンバ872(例えばヘッドチャンバ)へ接続された第1ポート862(例えばヘッド側ポート)と、第2チャンバ874(例えばロッド側チャンバ)へ接続された第2ポート864(例えばロッド側ポート)とを含んでいる。又、チルトシリンダ860、860’は、第2チャンバ874から第1チャンバ872を隔てるピストン876を含んでいる。ロッド870、870’が、ピストン876へ接続されており、第2チャンバ874を通って延びている。
【0058】
図1に示されているように、流量制御弁・サブシステム150は、信号ライン266によって制御され、その結果、専用のコントローラエリアネットワークを介して制御される。図示の実施形態において、流量制御弁・サブシステム150は、型番ZTS16で知られ、オハイオ州クリーブランドのイートン コーポレーションにより販売されているバルブである。別の実施形態では、他のバルブを使用してもよい。
【0059】
図1に示されているように、リフトシリンダ830、830’とタンク500との間に、2方向2位置弁300が接続されている。特に、弁300は、第1ポート302と第2ポート304とを含んでいる。又、弁300は、第1の配置306と第2の配置308とを含んでいる。第1の配置306にあるとき、2方向弁300は、第1及び第2ポート302、304を遮断する。又、第2の配置308にあるとき、2方向弁300は、第1ポート302と第2ポート304とを接続する。
【0060】
図1に示されているように、チルトシリンダ860、860’と、タンク500或いは非優先回路P_EFの高圧側との間に、3方向3位置弁310が接続されている。特に、3方向3位置弁310は、第1ポート312、第2ポート314、及び第3ポート316を含んでいる。又、弁310は、第1の配置318、第2の配置320、及び第3の配置322を含んでいる。図示のように、弁310が第1の配置318にあるとき、第1ポート312、第2ポート314、及び第3ポート316が遮断される。第2の配置320では、第1ポート312が第2ポート314と接続され、第3ポート316が遮断される。弁310が第3の配置322にあるとき、第1ポート312が第3ポート316と接続され、第2ポート314が遮断される。第3ポート316は、ライン508へ接続され、それによってタンク500と接続される。ポート314は、ライン528、528Bへ接続され、それによって非優先回路P_EFの高圧側と接続される。
【0061】
次に、
図1に示されている様々な接続について、それらの接続がなされている様々な流体ラインに関連して、詳細に説明する。流体ラインは、夫々、油圧システム10のノードとして考えることができる。油圧流体ライン502は、タンク500、第1回転群22の第2ポート26、第2回転群32の第2ポート36、リリーフ弁74の第2ポート78、アキュムレータ・ブリード弁64の第2ポート68、及び、上述したような流量制御弁・サブシステム150内の様々なポートに対して接続される。又、油圧ライン504は、タンク500へ接続される。更に、油圧ライン504は、方向制御弁130の第2ポート134と、方向制御弁110の第2ポート114とへ接続される。油圧ライン506は、タンク500と接続され、更に、弁300の第2ポート304と接続される。油圧ライン508は、タンク500と、弁310の第3ポート316とに対して接続される。
【0062】
油圧ライン520は、第2回転群32のポート34と接続され、更に、上述したような流量制御弁・サブシステム150内の様々なポートに対して接続される。油圧ライン520では、圧力292が計測される。油圧ライン522は、第1回転群22の第1ポート24と、リリーフ弁74の第1ポート76と、アキュムレータ分離弁54の第2ポート58とに対して接続される。油圧ライン524は、アキュムレータ分離弁54の第1ポート56と、アキュムレータ50のポート52と、アキュムレータ・ブリード弁64の第1ポート66と、弁330の第2ポート334とに対して接続することができる。油圧ライン524では、圧力290が採用される。油圧ライン526は、パイロット圧力の供給源540と、上述したような流量制御弁・サブシステム150内の様々な接続とに対して接続することができる。
【0063】
油圧ライン528、528Aは、非優先回路P_EFの高圧側と、逆止弁128と、逆止弁148とに対して接続することができる。逆止弁128は、方向制御弁110の第1ポート112に配置されている。同様に、逆止弁148は、方向制御弁130の第1ポート132に配置されている。逆止弁128は、油圧ライン528、528Aから第1ポート112へ流れ込む流れを許容するが、第1ポート112から油圧ライン528、528A内へ流出しないように、流れを維持する。逆止弁148は、油圧ライン528、528Aから第1ポート132へ流れ込む流れを許容するが、第1ポート132から油圧ライン528、528A内へ流出しないように、流れを維持する。油圧ライン528、528Bは、弁310の第2ポート314を、非優先回路P_EFの高圧側へ接続する。
【0064】
油圧ライン530は、方向制御弁130の第4ポート138と、チルトシリンダ860、860’の第1ポート862と、第2モード弁200の第3ポート206とに対して接続される。油圧ライン532は、方向制御弁110の第4ポート118、2方向弁330の第1ポート332、リフトシリンダ830、830’のポート832、及び、第1モード弁160の第3ポート166に対して接続される。油圧ライン534は、方向制御弁130の第3ポート136、チルトシリンダ860、860’の第2ポート864、及び、弁310の第1ポート312に対して接続される。油圧ライン536は、方向制御弁110の第3ポート116、リフトシリンダ830、830’の第2ポート834、及び、弁300の第1ポート302に対して接続される。
【0065】
続いて、
図3及び
図4を参照して、ホイールローダ800の実施例の様々な特徴について、詳細に説明する。ホイールローダ800は、オペレータ室818を含んでいる。リフトシリンダ830(例えば一対の油圧シリンダ)は、ホイールローダ800のシャーシ816に対して、第1の端部で取り付けられている。図示のように、第1の端部は、油圧シリンダのヘッド側端部に相当する。それにより、油圧シリンダのシリンダハウジングとシャーシ816との間に、一対の第1アタッチメント856が構成される。又、リフトシリンダ830のロッド840と、ホイールローダ800のブーム824との間には、一対の第2アタッチメント858が構成される。それにより、ブーム824を、リフトシリンダ830によって駆動することができる。
【0066】
図5に示されているように、リフトシリンダ830’(例えば一対の油圧シリンダ)は、ホイールローダ800’のシャーシ816’に対して、第1の端部で取り付けられている。図示のように、第1の端部は、油圧シリンダのヘッド側端部に相当する。それにより、油圧シリンダのシリンダハウジングとシャーシ816’との間に、一対の第1アタッチメント856’が構成される。又、リフトシリンダ830’のロッド840’と、ホイールローダ800’のブーム824’との間には、一対の第2アタッチメント858’が構成される。それにより、ブーム824’を、リフトシリンダ830’によって駆動することができる。ホイールローダ800’は、オペレータ室818’を含んでいる。
【0067】
図3及び
図4に示されているように、チルトシリンダ860は、ホイールローダ800のシャーシ816に対して、第1の端部で取り付けられている。図示のように、第1の端部は、油圧シリンダ860のヘッド側端部に相当する。それにより、油圧シリンダ860のシリンダハウジングとシャーシ816との間に、第1アタッチメント886が構成される。又、チルトシリンダ860のロッド870と、ホイールローダ800のバケット結合部828との間には、第2アタッチメント888が構成される。バケット826は、バケット結合部828によって、チルトシリンダ860と協働して駆動することができる。
【0068】
図5に示されているように、チルトシリンダ860’は、ホイールローダ800’のシャーシ816’に対して、第1の端部で取り付けられている。図示のように、第1の端部は、油圧シリンダ860’のヘッド側端部に相当する。それにより、第1アタッチメント886’は、第1アタッチメント886と同様に、油圧シリンダ860’のシリンダハウジングとシャーシ816’との間に構成される。又、チルトシリンダ860’のロッド870’と、ホイールローダ800’のバケット結合部828’との間には、第2アタッチメント888’が構成される。バケット826’は、バケット結合部828’によって、チルトシリンダ860’と協働して駆動することができる。油圧シリンダ860’を伸ばすと(例えば、ロッド870’を方向821へ動かすことで)、バケット826’が上向き方向825へ傾けられる。バケット結合部828’は、
図5に示されているように、油圧シリンダ860’の伸張をバケット826’の上向き方向825への傾斜へと変換する、「Z形材(Z-Bar)」のバケット結合部であってもよい。「Z形材」のバケット結合部は、第1端部827aと第2端部827bとの間で、ブーム824’に回転可能に取り付けられる、揺動部材827を含んでいる。第1端部827aは、第2アタッチメント888’を含んでいる。第2端部827bは、バケットリンク829の第2端部829bにおいて、バケットリンク829に対して回転可能に取り付けられる。バケットリンク829の第1端部829aは、バケット826’に対して回転可能に取り付けられる。油圧シリンダ860’は、伸張して、揺動部材827を方向823へ揺動させる。
【0069】
チルトシリンダ860とホイールローダ800の実施例のバケット826との間の、相対的な運動は、チルトシリンダ860’とホイールローダ800’の実施例のバケット826’との間の、相対的な運動と反対である。特に、チルトシリンダ860の伸張は、バケット826を下方向へ傾斜させる(
図4参照)。
【0070】
次に、油圧システム10の様々な分類の特徴について、本発明の基礎概念に従って説明する。
【0071】
アキュムレータ50は、油圧トランスフォーマ20のポンプモータ22に接続される。アクチュエータ830、830’、860、860’から供給或いは回収される流れは、任意の圧力であってよい。アキュムレータ50内に蓄圧された油圧液は、通常、非常に高圧である。油圧トランスフォーマ20は、ライドコントロールが可能なときを除いて、アクチュエータ830、830’、860、860’と、アキュムレータ50との間を分離させる。弁330を配置336へ開くことでライドコントロールが可能なとき、方向制御弁110が閉じられ(すなわち配置122にされ)、アキュムレータ50が、リフトシリンダ830、830’のヘッド側チャンバ842に対して、直接的に接続される。
【0072】
アキュムレータ50は、双方向に分離されてもよい(例えば、アキュムレータ分離弁54、アキュムレータ・ブリード弁64、及びライドコントロール弁330が閉じられるとき)。
【0073】
油圧システム10は、駆動シャフトの計測速度と、斜板の計測変位量(例えば変位センサ29、39による)とを用いて、エネルギー回収システム・トランスフォーマ20から到来する流量を推定する。それは、モード弁及び方向制御弁110、130、160、200の位置フィードバックと組み合わされ、運転者からの要求流量と正確に整合される。それにより、油圧システム10は、従来の作業機と同じ感覚になるように、作業機を維持する。推定流量を組み合わせることによって、モード弁及び方向制御弁110、130、160、200の正確な開放量が実現でき、そして、システム動力(system dynamics)が健全に制御され、エネルギーの回収中及び回収したエネルギーを使用中の、アクチュエータ830、830’、860、860’によって、生産的な作業を行うことが可能となる。
【0074】
トランスフォーマ20は、流量の制御を実現するために、比例型の計量部(proportional metering)の代わりに利用することができる。多くの場合、アクチュエータ830、830’、860、860’の動作は、ポンプモータ32の制御斜板38の使用により、スロットリング無しで制御される。リフト及びチルトアクチュエータ830、830’、860、860’からエネルギーが同時に供給又は回収されるとき、及び/又は、トランスフォーマ・ポンプモータ32の流入許容量(sinking capacity)を超える流量が回収されているときに、スロットリングが行われ、そのような場合には、方向制御弁110、130及び通常のメータアウト制御を用いて、過剰な流量をタンク500へ減らすことができる。
【0075】
油圧システム・電子制御ユニット250は、基本電子制御ユニット270とインタフェース接続されている。これは、油圧システムの付加的なエネルギー供給源が、移動作業機800、800’の総体的な動力管理の中に考慮することが可能なときに、基本油圧システム270の主ポンプをデストロークする手段を提供する。さもなければ、ある時間中に、ハイブリッドシステムが基本油圧制御と競合することがあり、又、別の時間中には、2つのエネルギー供給源が付加されることがある。本発明の基礎概念に従うと、移動作業機800、800’の総体的な動力の軌線が、一定になりかつ誇張されることがないように、基本油圧システム270の主ポンプを制御して、付加的なエネルギー供給源を考慮することが好適である。更に、これによって、効率的なエンジンの運転が可能になる。
【0076】
「スラッシュボックス」と呼ばれるトルクコンバータを備える従来のホイールローダは、ハイブリッドシステムが潜在的に提供可能などんなエネルギーの節約にも関係なく、エンジンを最大出力に維持させることがある。本発明の基礎概念に従うと、変速機100とハイブリッドシステム・電子制御ユニット250との間の直接的なインタフェース、及び、トルクコンバータの自動変速式マニュアル・トランスミッションへの付加的な置き換えは、不要なエンジンの飽和を回避することとなる。
【0077】
本発明の基礎概念に従うと、タンク弁300及び310にロッドが利用され、両者は、独立した計測の必要性を回避し、更に、スロットリングの損失を低減するためのものである(例えば、2極弁(binary valve)は、同じサイズの比例弁よりも損失が少ないことがある)。更に、チルトアクチュエータ830、830’の両ポート862及び864の与圧が可能になることで、低動力及び迅速な伸張という特徴が提供される。
【0078】
本発明の基礎概念に従い、トランスフォーマ20は、連続的に回転するように設定されてもよく、それにより、流量制御の全権を有する。これは、エンジンの負荷の一定化と、特定の別のハイブリッドシステムの、トランスフォーマの断続的な回転では利用できない、別の機能性とを可能にする。
【0079】
本発明の基礎概念に従い、複数のアクチュエータ(例えば、複数のリニアアクチュエータ)をハイブリッド化(hybridized)して、共通のトランスフォーマ20を共用してもよい。
【0080】
本発明の基礎概念に従うと、モード弁及び方向制御弁110、130、160、200の双方の、明確な位置フィードバックが提供される。これは、トランスフォーマ・ポンプモータ22、32の回転速度及び斜板変位量を把握することと併せて、正確な流量制御、及び、従来の移動作業機と同様の感覚及び動作の作業機を維持する能力をもたらす。
【0081】
本発明の基礎概念に従い、油圧システム10は、負荷感知式主ポンプ制御構造(load sense main pump control architecture)を組み入れてもよい。ハイブリッドシステム・ECU250に対する入出力は、負荷感知構造に必要な全てのインタフェースを提供するように設定されてもよい。
【0082】
本発明の基礎概念に従い、トランスフォーマ20は、流れの一部がトランスフォーマ20へバイパスされるとき、移動作業機800、800’の全体の流量より小さいサイズであってもよい。特に、アクチュエータ830、830’、860、860’から流れが戻るときに、トランスフォーマ20の最大容量に達した場合、方向制御弁110、130、160、200を渡して、過剰な流量を送ることができる。同様に、アクチュエータ830、830’、860、860’へ流れが提供されるときに、トランスフォーマ20の最大容量に達した場合、要求された過剰な流れは、基本油圧システム270によって提供することができ、方向制御弁110、130を渡して送られる。同様に、トランスフォーマ20が変速機100と連結可能な際、トランスフォーマ20が移動作業機800、800’を減速するように作用するときに、トランスフォーマ20の最大容量に達した場合(例えば、アクチュエータ830、830’、860、860’から戻る流れと組み合わされて)、方向制御弁110、130、160、200を渡して、過剰な流量を送ることができ、及び/又は、PTOのクラッチ84を離すことができる。PTOのクラッチ84が離される場合は、従来型のブレーキが、移動作業機800、800’を完全に減速させることができる。PTOのクラッチ84が連結される場合は、従来型のブレーキが、移動作業機800、800’を完全に或いは部分的に減速させることができる。同様に、トランスフォーマ20が移動作業機800、800’を加速するように作用するときに、トランスフォーマ20の最大容量に達した場合、流量は、トランスフォーマ20を少なくとも部分的に負荷軽減するように、基本油圧システム270によって提供することができ、方向制御弁110、130を渡して送られる。
【0083】
トランスフォーマ20の部分的な使用を促進すること、及び、その結果アキュムレータ50の部分的な使用を促進することによって、油圧システム10は、移動作業機800、800’の制御特性(例えば運転者の感覚)を維持しながら、より小さい容量の及び/又はより入手が容易な、トランスフォーマ20及び/又はアキュムレータ50の使用が可能になる。トランスフォーマ20の部分的な使用は、それでも移動作業機800、800’の負荷サイクルの相当な部分をカバーすることができる。換言すれば、トランスフォーマ20及び/又はアキュムレータ50は、移動作業機800、800’のピーク容量よりも、むしろ、経済的なモデルに基づいた大きさにすることができる。これは、特に、稀に見るピーク容量の事象の負荷サイクルにおいて有益である。
【0084】
上述した様々な実施形態は、説明のためにのみ提供したものであり、本明細書に添付のクレームを限定するように解釈されるべきではない。当業者は、本明細書に説明及び記載された実施例及び適用例に従うことなく、又、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく成される、様々な改造や変更を容易に理解するであろう。