特許第6656179号(P6656179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656179
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】ホウ素化化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20200220BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20200220BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   C07F5/02 FCSP
   C09K11/06 660
   C08G61/12
【請求項の数】21
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2016-572711(P2016-572711)
(86)(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公表番号】特表2017-524667(P2017-524667A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】GB2015051726
(87)【国際公開番号】WO2015189627
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年3月23日
(31)【優先権主張番号】1410567.0
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505395858
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスター
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MANCHESTER
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(72)【発明者】
【氏名】イングルソン,マイケル・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,マイケル・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】クロスリー,ダニエル・ルーク
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−155325(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102899027(CN,A)
【文献】 Organometallics,2002年,21,3856−3859
【文献】 Helvetica Chimica Acta,2012年,95(12),2474−2480
【文献】 Angew. Chem. Int. Ed.,2013年,52,4544−4548
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
C08G 61/12
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)〜(V):
【化1】
[式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換の(2〜10C)アルケニル、置換または非置換の(2〜10C)アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアミノ、置換または非置換の(1〜10C)アルコキシ、置換または非置換のアリールアルコキシ、およびヒドロキシルから選択され、
各πは、
【化2】
から独立して選択されるπa1、πa2、πa3、πa4、πa5またはπa6構造であり、
組み合わせたときに各πおよびπが、独立して、
【化3】
(式中、πbc1およびπbc4構造は、いずれかのまたは両方の窒素原子を介してそれぞれ1または2個のホウ素原子に直接結合しており、
πbc1およびπbc4構造は、いずれかのまたは両方のCを介して1または2つのπa構造に直接結合している。)から選択されるπbc構造を形成し、
πa1、πa2、πa3、πa4、πa5、πa6およびπbc1、πbc4を形成する環のいずれかまたはすべては、独立して、ハロ、(1〜20C)アルキル、(2〜20C)アルケニル、(2〜20C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、(1〜20C)アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基、シアノアクリレート基、およびジオキソシクロブテニル基(カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基およびシアノアクリレート基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する。)から選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい。]
の少なくとも1つの構造を含む化合物。
【請求項2】
組み合わせたときに各πおよびπが、独立して、下記に示されるπbc1構造を形成する、請求項1に記載の化合物。
【化4】
(式中、各πbc1構造は、独立して、ハロ、(1〜20C)アルキル、(2〜20C)アルケニル、(2〜20C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、(1〜20C)アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基、シアノアクリレート基、およびジオキソシクロブテニル基(カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基およびシアノアクリレート基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する。)から選択される1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている。)
【請求項3】
πa1、πa2、πa3、πa4、πa5、πa6およびπbc1、πbc4を形成する環のいずれかまたはすべてが、独立して、ハロ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、カルボキシル、ヒドロキシル、(1〜10C)アルコキシおよびアミノから選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
πa1、πa2、πa3、πa4、πa5、πa6およびπbc1、πbc4を形成する環のいずれかまたはすべてが、独立して、ハロ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
πa1、πa2、πa3、πa4、πa5、πa6を形成する環のいずれかまたはすべてが、独立して、ブロモまたは(1〜8C)アルキルから選択される1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されていてもよい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換の(2〜10C)アルケニル、置換または非置換の(2〜10C)アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、フッ素、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
各πが、
【化5】
(式中、
i)πa1、πa2、πa3およびπa6構造は、C1のいずれかもしくは両方を介して1もしくは2つのπ構造に直接結合しており、
πa1、πa2、πa3およびπa6構造は、C2のいずれかもしくは両方を介して1もしくは2個のホウ素原子に直接結合しており、
または
ii)πa1、πa2、πa3およびπa6構造は、C2のいずれかもしくは両方を介して1もしくは2つのπ構造に直接結合しており、
πa1、πa2、πa3およびπa6構造は、C1のいずれかもしくは両方を介して1もしくは2個のホウ素原子に直接結合しており、
かつ
πa1、πa2、πa3およびπa6構造は、独立して、請求項1、3、4または5のいずれか一項に記載の1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている。)から独立して選択される構造である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
下記から選択される少なくとも1つの構造を含む、請求項1に記載の化合物。
【化6】
(式中、
、R、RおよびRは、独立して、請求項1〜8のいずれか一項に記載の通りであり、
、R、RおよびRは、独立して、水素、(1〜20C)アルキル、(2〜20C)アルケニルおよび(2〜20C)アルキニルから選択され、
各Xは、水素であるか、または独立して、ブロモ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニルもしくは(2〜10C)アルキニルである。)
【請求項10】
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択され、
、R、RおよびRが、独立して、水素および(1〜10C)アルキルから選択され、
各Xが、水素であるか、あるいは独立して、ブロモもしくは(1〜10C)アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式(I)〜(V)の少なくとも2つの構造を含むポリマーまたはオリゴマーである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式(I)〜(V)の少なくとも1つの構造を含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、
a)式(I’)〜(V’):
【化7】
(式中、
π、πおよびπ構造は、独立して、請求項1〜11のいずれか一項に記載の通りである。)
のいずれかの構造を、試薬BX(各Xは、Cl、Br、アリールまたはヘテロアリールから選択される。)と反応させるステップと、
b)好塩性のルイス酸の存在下または不在下で、ステップa)の生成物を、弱求核試薬と反応させるステップと、
c)請求項1〜11のいずれか一項に記載の1つまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記弱求核試薬が、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
好塩性の典型元素ルイス酸がAlClである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップb)の反応が、クロリド供与体の存在下で追加的に実施される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップc)の生成物を、請求項1〜12のいずれか一項に記載の式(I)〜(V)の1つ以上の他の構造と連結させるステップd)をさらに含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
式(I)のうちの少なくとも1つの構造を含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、
a)式(I’)
【化8】
(式中、
π、πおよびπ構造は、独立して、請求項1〜11のいずれか一項に記載の通りである。)のうちの1つ以上の構造を含む化合物を、試薬BX(各Xは、Cl、Br、アリールまたはヘテロアリールから選択される。)と反応させるステップと、
b)請求項1〜11のいずれか一項に記載のまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
ステップb)の生成物を、請求項1〜11のいずれか一項に記載の式(I)〜(V)の少なくとも1つの構造に連結させるステップc)をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(I’)〜(V’)の少なくとも1つの構造を含む化合物がポリマーまたはオリゴマーである、請求項12または17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物を含む、半導体材料。
【請求項21】
請求項20に記載の半導体材料を含む、電子的、光学的または電気光学的デバイスまたは部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素化化合物、これらの製造方法および半導体の材料におけるこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になり、低いバンドギャップを有する共役系の合成に向けて多くの努力が払われてきた[1]。低いバンドギャップの材料を達成するために有効な方法は、供与体−受容体のπ共役系の合成を介することである[2]。供与体−受容体(D−A)π共役系は、主鎖に組み込まれた、電子豊富な共役部分(供与体)および電子不足の共役部分(受容体)を交互に含有する。このような系の特性は、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)および有機太陽電池(OPV)用途への可能性を有している[3]。D−Aポリマーの合成のフレキシビリティにより、フロンティア軌道エネルギー準位の調節が可能となり、材料の特性を微調整する能力を得ることができる[4]。より大きな軌道の相互作用は、二重結合性の特徴の増加およびキノン型メソマーの安定化をもたらすため、バンドギャップの減少は、供与体および受容体部分の強度を促進することを介して達成することができる。[1]現在の供与体−受容体モチーフは、極めて前途有望ではあるが、これまでにも増して性能の改善を示す材料を設計するための供与体および受容体ユニットの改変について、研究が依然として進行中である。
【0003】
1つの方法としては、LUMO準位を低下させることでバンドギャップを減少させる電子求引基を付加することにより、受容体部分の電子欠損を増加させることである[2]。ルイス酸の受容体部分への結合は、受容体の電子求引力を有意に増加させる有効な方式であることが示されている。これによってLUMOのエネルギーの有意な低減が生じ、これは、高い電子親和性および電子移動度を有する高性能な有機エレクトロニクスの開発に不可欠なものである[3]
【0004】
Poverenovら[4]は、ベンゾチアジアゾール(BT)含有D−Aポリマーが、少量のルイス酸を配位することによりドープすることができ、これが、導電率の劇的な増加をもたらすことを最近実証した。しかしながら、ルイス酸を結合させるこのような戦略の弱点は、生成した系が高感度であり、BT→Lewis酸供与結合が、水とルイス塩基の両方により容易に切断される点にある。
【0005】
このように、最適化された導電性を有する安定したD−A化合物を開発することが望ましい。
【0006】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、R、R、R、R、π、πおよびπが本明細書にて定義した通りである本明細書にて定義した式(I)〜(V)の1つまたは複数の部分を含む化合物が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、本明細書にて定義した式(I)〜(V)のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物を調製する方法であって、
a)本明細書にて定義した式(I’)〜(V’)のいずれかの部分を、試薬BXと反応させるステップ(式中、X、π、πおよびπは本明細書にて定義した通りである)と、
b)好塩性のルイス酸の存在下または不在下のいずれかで、ステップa)の生成物を、弱求核試薬と反応させるステップと、
c)本明細書にて定義したまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む方法が提供される。
【0009】
本発明の更なる態様によれば、本明細書にて定義した式(I)〜(V)のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物を調製する方法であって、
a)本明細書にて定義した式(I’)〜(V’)のいずれかの部分を、試薬BXと反応させるステップ(式中、X、π、πおよびπは本明細書にて定義した通りである)と、
b)好塩性の典型元素ルイス酸の存在下で、ステップa)の生成物を弱求核試薬と反応させるステップと、
c)本明細書にて定義したまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、本明細書にて定義した式(I)の1つまたは複数の部分を含む化合物を調製する方法であって、
a)本明細書にて定義した式(I’)の部分を試薬BXと反応させるステップ(式中、X、π、πおよびπは本明細書にて定義した通りである)と、
b)本明細書にて定義したまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップa)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む方法が提供される。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、本明細書にて定義した化合物を含む半導体材料が提供される。
【0012】
本発明の第5の態様に従い、本明細書にて定義した半導体材料を含む電子デバイスが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[定義]
別途述べられていない限り、以下の用語は、本明細書にて以下の意味を有する。
【0014】
用語「アルキル」は、直鎖と分枝の両方のアルキル基を含む。個々のアルキル基、例えば、「プロピル」等についての言及は、直鎖形のみに特定され、個々の分枝鎖アルキル基、例えば、「イソプロピル」等についての言及は分枝鎖形のみに特定される。例えば、「(1〜20C)アルキル」として、(1〜4C)アルキル、(1〜3C)アルキル、プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。同様の決まり事が、本明細書中に記載されている他の基にも適用される。
【0015】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、直鎖と分枝鎖の両方のアルケニルおよびアルキニル基を含む。
【0016】
用語「ヒドロカルビル」は、「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」の定義を包含する。
【0017】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0018】
用語「フルオロアルキル」は、1つまたは複数のフルオロ原子で置換されている、本明細書にて定義したアルキル基、例えば−CFまたは−CHCF等を意味する。フルオロアルキル基は、好適には、トリフルオロ置換アルキル基である。
【0019】
用語「π共役環系(π-conjugated ring system)」とは、結合してπ共役環系を形成する1、2、3または4つの環を含むことができる共役芳香族環系(conjugated aromatic ring system)を指す。一実施形態では、π共役環系は、1、2または3つの縮合した芳香族または芳香族複素環を含むアリールおよび/または芳香族複素環系であってよい。別の実施形態では、環系は、2つの芳香族または芳香族複素環の間で縮合した中央の非芳香族環を含む共役系を含むことができるが、ただしこの場合、環系全体が共役されたままであるものとする。
【0020】
用語「π供与体環系(π-donor ring system)」とは、π電子豊富な特徴(すなわち、芳香族核1つ当たりの電子密度がベンゼンを超える)を有する芳香族環系を指す。例えば、π供与体環系は、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾールおよびイミダゾールである。
【0021】
用語「π受容体環系(π-acceptor ring system)」とは、π電子不足の特徴(すなわち、芳香族核1つ当たりの電子密度がベンゼンより低い)を有する芳香族環系を指す。例えば、π受容体環系は、ベンゾチアジアゾール、ピリジン、ピリミジンおよびプリンである。
【0022】
用語「アリール」は、フェニル、ナフタレンまたはアントラセン環を表すように本明細書で使用される。一実施形態では、「アリール」は、フェニルまたはナフタレン、特にフェニルである。
【0023】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、N、O、S、SiまたはSeから選択される1個または複数の(例えば1〜4個、特に1、2または3個)ヘテロ原子を組み込んでいる芳香族の単環式、二環式または三環式の環を意味する。ヘテロアリール基の例は、5〜18環員を含有する単環式、二環式および三環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、5もしくは6員の単環式環、8、9もしくは10員の二環式環または15、16、17もしくは18員の三環式環であることができる。二環式または三環式環系内の各環は、好適には、5または6個の環原子を含む。
【0024】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環式」または「複素環」は、非芳香族の飽和または部分的に飽和した単環式、縮合した、架橋した、またはスピロ二環式の複素環系(複数可)を意味する。用語「ヘテロシクリル」は、一価の種と二価の種の両方を含む。単環式複素環は、約3〜12個(好適には、3〜7個)の環原子を含有し、1〜5個(好適には、1、2または3個)のヘテロ原子は、環内の窒素、酸素または硫黄から選択される。二環式複素環は、環内に、7〜17員の原子、好適には7〜12員の原子を含有する。二環式複素環は、約7〜約17個の環原子、好適には7〜12個の環原子を含有する。二環式複素環式(複数可)環は、縮合環系、スピロ環系、または架橋環系であってよい。当業者が理解しているように、いずれの複素環も、いずれの適切な原子を介してもよく、例えば、炭素または窒素原子等を介して、別の基と連結していてもよい。
【0025】
用語「弱求核試薬(weak nucleophile)」は、BX(式中、XはClまたはBrである)と可逆的に結合している任意の第3級アミンまたはホスフィンを意味する。例えば、弱求核試薬は、2,6−ジtertブチルピリジン、2,4,6−トリtertブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,6−ジクロロピリジン、ジ(イソプロピル)エチルアミン、N,N,4−トリメチルアニリン、トリ(メシチル)ホスフィン、およびジフェニルメチルアミンである。
【0026】
用語「好塩性の典型元素ルイス酸(halophilic main group Lewis acid)」は、ハロゲン化物イオン(ClおよびBrを含む)に対して親和性を有する任意の典型元素ルイス酸(main group Lewis acid)を意味する。例えば、好塩性の典型元素ルイス酸としては、AlCl、AlBr、GaCl、GaBr、BBr、およびそれらと同等に高いハロゲン化物イオン親和性を有する他の典型元素ルイス酸が挙げられる。しかしながら、当業者であれば、他の、非典型元素ルイス酸(例えばFeCl)もまた本発明の一部として使用することができることを理解するであろう。
【0027】
[本発明に係る化合物]
本明細書に記載のように、本発明の一態様では、式(I)〜(V)の1つまたは複数の部分を含む化合物を提供する:
【化1】
(式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換の(2〜10C)アルケニル、置換または非置換の(2〜10C)アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアミノ、置換または非置換の(1〜10C)アルコキシ、置換または非置換のアリールアルコキシ、およびヒドロキシルから選択され、
各πは、独立して、1、2、3または4つの6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環から形成されるπ共役π供与体環系(π-conjected π-donor system)を表し、
各πは、独立して、π共役6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環を表し、
各πは、独立して、πと組み合わせたときにπ受容体環系を形成するπ共役5〜6員ヘテロアリール環を表し、
π、πおよびπを形成する環のいずれかまたはすべては、独立して、ハロ、(1〜20C)アルキル、(2〜20C)アルケニル、(2〜20C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、(1〜20C)アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基、シアノアクリレート基、およびジオキソシクロブテニル基(カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基およびシアノアクリレート基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する)から選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい)。
【0028】
配位結合したルイス酸系の安定性は、受容体部分でのN→B供与結合形成を、供与体部分でのC−B結合形成と対にすることで、縮合C−Nキレート化したルイス酸付加体を形成することによって、強化することができることが判明した。ホウ素の配位による受容体LUMOエネルギー準位の有意な低下に加えて、芳香族供与体のホウ素化は、四配位ホウ素の誘導的効果によりHOMOエネルギー準位を上昇させることができ、これによって、より良い供与体基となることができる。したがって、HOMO−LUMOバンドギャップは、従来の化合物よりもさらに減少している。さらに、一度ホウ素化すれば、供与体および受容体ユニットは同一平面形状でロックされ、これによって、共役系に沿ってより良い伝達がもたらされ、オリゴマー/ポリマーの分子間充填を改変する。不可逆的結合の形成を介してモノマーのねじれを阻止することによって、材料の連続した繰り返し単位間に同一平面配置を実行することは、π共役の延長を最大にし、これによって、バンドギャップのさらなる低下ももたらし得る点で有利である。
【0029】
上述した利点に加えて、B−R1〜4に対するB−X結合のメタセシスは、水分安定性を有意に改善し、ある特定の場合には、電子密度が除去され、これによりさらに高い電子親和性が生じるため、受容体部分のLUMO準位のさらなる低下が生じる。
【0030】
、R、RおよびRに関して、用語「置換または非置換」は、任意の適切な置換基を指すことが当業者により理解されているが、ただし、これが化学的に可能であることを条件とする。適切な置換基として、例えば、ヒドロキシル、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、アリール(1〜10C)アルキル、ヘテロアリール(1〜10C)アルキル、パーハロアリールおよびフルオレニル(ヒドロキシル、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、アリール(1〜10C)アルキル、ヘテロアリール(1〜10C)アルキル、パーハロアリールおよびフルオレニルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に追加的に置換されている)が挙げられる。
【0031】
一実施形態では、π、πおよびπを形成する環のいずれかまたはすべては、独立して、ハロ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、(1〜10C)アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基、シアノアクリレート基、およびジオキソシクロブテニル基(カルボキシル、ホスホリル、スルホニル、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アミノ、メルカプト、シリル、シロキシ、アジド、ボロン酸基、スルホン酸基、ヒドロキサム酸基およびシアノアクリレート基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する)から選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0032】
一実施形態では、π、πおよびπを形成する環のいずれかまたはすべては、独立して、ハロ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、カルボキシル、ヒドロキシル、(1〜10C)アルコキシおよびアミノから選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0033】
π、πおよびπを形成する環のいずれかまたはすべては、好適には、独立して、ハロ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニル、(2〜10C)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択されるもう1つの環置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0034】
πを形成する環のいずれかまたはすべては、より好適には、独立して、ブロモまたは(1〜8C)アルキル(例えばメチルまたはオクチル)から選択される1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0035】
別の実施形態では、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換の(2〜10C)アルケニル、置換または非置換の(2〜10C)アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択される。
【0036】
、R、RおよびRは、好適には、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル(例えば、フルオロアルキル)、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択される。例えば、R、R、RおよびR置換基として、メチル、n−オクチル、フェニル、p−トリル、パーフルオロフェニル、置換または非置換のフルオレン、2−オクチルチオフェンおよびヒドロキシルが挙げられる。
【0037】
、R、RおよびRは、より好適には、それぞれ独立して、水素、フルオロ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル(例えば、フルオロアルキル)、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択される。例えば、R、R、RおよびR置換基として、メチル、n−オクチル、フェニル、p−トリル、パーフルオロフェニル、置換または非置換のフルオレン、2−オクチルチオフェンおよびヒドロキシルが挙げられる。
【0038】
別の実施形態では、各πは、独立して、1、2または3個の窒素原子を含有する6員フェニル環または6員ヘテロアリール環であり、各πは、独立して、N、O、SeまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール環であり、各πおよびπは、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている。各πは、好適には6員アリール環である。
【0039】
別の実施形態では、組み合わせたときに各πおよびπは、独立して、
【化2】
(式中、
πbc1、πbc2、πbc3およびπbc4部分は、いずれかのまたは両方の窒素原子を介してそれぞれ1または2個のホウ素原子に直接結合しており、
πbc1、πbc2、πbc3およびπbc4部分は、いずれかのまたは両方のCを介して1または2つのπ部分と直接結合しており、
πbc1、πbc2、πbc3およびπbc4部分は、それぞれ独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)
から選択される部分πbcを形成する。
【0040】
2個のN原子を有するπbc部分については、N原子のいずれかまたは両方が、ホウ素への供与結合を形成することができる。πbc部分がCにより1つのみのπ部分に連結している場合、このようなπbc部分は、(i)他のCにおいて、本明細書にて定義した任意の環置換基により置換されていてもよく、または(ii)他のCにおいて、本明細書に記載されている任意の方法で式(I)〜(V)の別の部分に連結していてもよい。
【0041】
組み合わせたときに各πおよびπは、好適には、独立して、
【化3】
(式中、πbc1、πbc2およびπbc4部分は、それぞれ独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)
から選択されるπbc部分を形成する。
【0042】
組み合わせたときに各πおよびπは、より好適には、独立して、以下に示すπbc1部分を形成する:
【化4】
(式中、πbc1およびπbc4部分のそれぞれは、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)。
【0043】
組み合わせたときに各πおよびπは、より好適には、独立して、以下に示すπbc1部分を形成する:
【化5】
(式中、各πbc1部分は、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)。
【0044】
別の実施形態では、各πは、独立して、1、2または3つの6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環から形成され、これらの環のいずれかまたはすべては、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている。
【0045】
各πは、好適には、
【化6】
(式中、πa1、πa2、πa3、πa4、πa5およびπa6部分は、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)
から独立して選択される部分である。
【0046】
各πは、より好適には、
【化7】
(式中、
i)πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、C1のいずれかもしくは両方を介してそれぞれ1もしくは2つのπ部分に直接結合しており、
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、C2のいずれかもしくは両方を介してそれぞれ1もしくは2個のホウ素原子に直接結合しており、
または
ii)πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、C2のいずれかもしくは両方を介してそれぞれ1もしくは2つのπ部分に直接結合しており、
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、C1のいずれかもしくは両方を介してそれぞれ1もしくは2個のホウ素原子に直接結合しており、
かつ
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)
から独立して選択される部分である。
【0047】
一実施形態では、各πは、
【化8】
(式中、
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、C1のいずれかまたは両方を介してそれぞれ1または2つのπ部分に直接結合しており、
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、C2のいずれかまたは両方を介してそれぞれ1または2個のホウ素原子に直接結合しており、
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されている)
から独立して選択される部分である。
【0048】
πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、独立して、任意の利用可能な箇所において、本明細書にて定義した1つまたは複数の環置換基で任意選択的に置換されていてもよい。したがって、πa1、πa2、πa3およびπa6部分が1個のみのホウ素原子に(1つのC2を介して)および1つのみのπ部分に(1つのC1を介して)結合している場合、残りのC1およびC2は自由に置換可能である。πa3およびπa6のN原子は、H原子、またはπ基に関して本明細書に記載の他の任意の置換基に結合している。πa1、πa2、πa3およびπa6部分は、任意の利用可能な箇所で、本明細書に記載されている任意の方法で、式(I)〜(V)の別の部分に、直接または間接的に連結していてもよい。
【0049】
別の実施形態では、化合物は、
【化9】
(式中、
、R、RおよびRは、独立して、本明細書にて定義した通りであり、
、R、RおよびRは、独立して、水素、(1〜20C)アルキル、(2〜20C)アルケニルおよび(2〜20C)アルキニルから選択され、
各Xは水素であるか、あるいは、独立して、
(i)ブロモ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニルもしくは(2〜10C)アルキニル、または
(ii)上で定義された構造式の1つを有する別の部分
を表す)
から選択される1つまたは複数の部分を含む。
【0050】
一実施形態では、R、R、RおよびRは、独立して、本明細書にて定義した通りであり、
、R、RおよびRは、独立して、水素、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニルおよび(2〜10C)アルキニルから選択され、
各Xは水素であるか、あるいは、独立して、
(i)ブロモ、(1〜10C)アルキル、(2〜10C)アルケニルもしくは(2〜10C)アルキニル、または
(ii)上で定義された構造式の1つを有する別の部分
を表す。
【0051】
、R、RおよびRは、好適には、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、置換または非置換の(1〜10C)アルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、およびヒドロキシルから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、水素および(1〜10C)アルキルから選択され、各Xは、水素であるか、あるいは、独立して、
(i)ブロモもしくは(1〜10C)アルキル、または
(ii)本明細書にて定義した構造式の1つを有する別の部分
を表す。
【0052】
、R、RおよびRは、より好適には、それぞれ独立して、メチル、n−オクチル、フェニル、p−トリル、パーフルオロフェニル、置換または非置換のフルオレン、2−オクチルチオフェン、ヒドロキシル、フルオロ、クロロおよびブロモから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、水素および(1〜10C)アルキルから選択され、各Xは水素であるか、あるいは、独立して
(i)ブロモもしくは(1〜10C)アルキル、または
(ii)本明細書にて定義した構造式の1つを有する別の部分
で表される。
【0053】
、R、RおよびRは、より好適には、それぞれ独立して、メチル、n−オクチル、フェニル、p−トリル、パーフルオロフェニル、置換または非置換のフルオレン、2−オクチルチオフェン、ヒドロキシル、フルオロから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、水素および(1〜10C)アルキルから選択され、各Xは水素であるか、あるいは、独立して、
(i)ブロモもしくは(1〜10C)アルキル、または
(ii)本明細書にて定義した構造式の1つを有する別の部分
で表される。
【0054】
別の実施形態では、化合物は、式(I)〜(V)の2つ以上の部分を含み、この2つ以上の部分は、直接結合で、または任意の適切な1つまたは複数のπ共役リンカーπで連結されている。任意の適切なπ共役リンカーを使用することができる。適切なπ共役リンカー(π)として、
【化10】
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、基:
−X−Q
であり、
は、不在、(1〜30C)アルキレン、(2〜30C)アルケニレン、(2〜30C)アルキニレン、−[(CH−O]−または−[O−(CH−(式中、nは1〜30である)からなる群から選択され、
は、水素、メチル、ヒドロキシル、カルボキシ、アミノ、−C=CHまたは−C≡CHから選択される末端基であり、
Mは、Ir、Pt、Rh、Re、Ru、Os、Cr、Cu、PdおよびAuから選択される金属であり、
Lは、独立して、ハロ、(1〜30C)ヒドロカルビル(N、O、S、SiまたはPから選択される1個または複数のヘテロ原子を任意選択的に含む)、またはアリールもしくはヘテロアリール基((1〜4C)アルキル、ハロ、アリールまたはヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換されている)からなる群から選択される配位子であり、
pは1〜4である)
が挙げられる。
【0055】
特に適切なπ共役リンカーは、
【化11】
である。
【0056】
化合物が、一緒に連結している式(I)〜(V)の2つの部分を含む実施形態では、化合物は、
(I)−(I);(I)−(II);(I)−(III);(I)−(IV);(I)−(V);(II)−(I);(II)−(II);(II)−(III);(II)−(IV);(II)−(V);(III)−(I);(III)−(II);(III)−(III);(III)−(IV);(III)−(V);(IV)−(I);(IV)−(II);(IV)−(III);(IV)−(IV);(IV)−(V);(V)−(I);(V)−(II);(V)−(III);(V)−(IV);(V)−(V);
(I)−πL−(I);(I)−πL−(II);(I)−πL−(III);(I)−πL−(IV);(I)−πL−(V);(II)−πL−(I);(II)−πL−(II);(II)−πL−(III);(II)−πL−(IV);(II)−πL−(V);(III)−πL−(I);(III)−πL−(II);(III)−πL−(III);(III)−πL−(IV);(III)−πL−(V);(IV)−πL−(I);(IV)−πL−(II);(IV)−πL−(III);(IV)−πL−(IV);(IV)−πL−(V);(V)−πL−(I);(V)−πL−(II);(V)−πL−(III);(V)−πL−(IV);または(V)−πL−(V)
の配置のいずれかを含んでもよい。
【0057】
なお、上記に使用されている記号に関して、「(I)−(I)」は、式(I)の部分が、式(I)の別の部分と直接結合で結合していることを意味する。したがって、「(I)−(II)」は、式(I)の部分が、式(II)の部分と直接結合していることを表している。同様に、記号「(I)−π−(I)」は、式(I)の部分が、式(I)の別の部分と、本明細書にて定義した1つまたは複数のπ共役リンカーπで結合していることを意味する。したがって「(I)−π−(II)」は、式(I)の部分が、式(II)の部分と、本明細書にて定義した1つまたは複数のπ共役リンカーπで結合していることを表している。
【0058】
特に適切な化合物は、構造:
【化12】
(式中、R、R、R、R、RおよびRは本明細書にて定義した通りである)
を有する。
【0059】
式(I)〜(V)の第3のおよび連続する部分は、連結した部分に直接連結していてもよく、または1つもしくは複数のπを介して連結していてもよい。
【0060】
別の実施形態では、化合物は、本明細書にて定義した式(I)〜(V)の2つ以上の部分(部分のそれぞれがモノマーを表す)を含むポリマーまたはオリゴマーである。ポリマーは、式(I)〜(V)で表される同一のモノマー(すなわち、ホモポリマー)または異なるモノマー(すなわち、コポリマー)を含んでもよく、これらのそれぞれは、直接連結していてもよく、または本明細書にて定義した1つもしくは複数のπ共役リンカーπで連結していてもよい。ポリマーまたはオリゴマーが、複数の異なるモノマーを含む場合、モノマーの配列は、ランダムでも、または秩序化されて(すなわち、ブロックコポリマー)いてもよい。
【0061】
一実施形態では、化合物は、以下のモノマー部分の1つを含むポリマー、コポリマーまたはオリゴマーであり、本明細書にて定義した式(I)〜(V)の部分のポリマー鎖内の平均パーセンテージは、>0%から≦100%の範囲である
【化13】
(式中、R、R、R、R、RおよびRは本明細書にて定義した通りである)。
【0062】
[本発明に係る方法]
本明細書に記載のように、本発明の一態様では、本明細書にて定義した式(I)〜(V)のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物を調製する方法であって、
a)以下に示す式(I’)〜(V’)
【化14】
(式中、
π、πおよびπ部分は、独立して、本明細書にて定義した通りである)
のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物を、試薬BX(各Xは、Cl、Br、アリールまたはヘテロアリールから選択される)と反応させるステップと、
b)好塩性のルイス酸の存在下でまたは不在下で、ステップa)の生成物を、弱求核試薬と反応させるステップと、
c)本明細書にて定義したまたは複数のR、R、RおよびRを用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む方法を提供する。
【0063】
本発明の更なる態様では、本明細書にて定義した式(I)〜(V)のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物を調製する方法であって、
a)以下に示す式(I’)〜(V’)
【化15】
(式中、
π、πおよびπ部分は、独立して、本明細書にて定義した通りである)のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物を、試薬BX(Xは、ClまたはBrから選択される)と反応させるステップと、
b)好塩性の典型元素ルイス酸の存在下で、ステップa)の生成物を、弱求核試薬と反応させるステップと、
c)本明細書にて定義したまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む方法を提供する。
【0064】
一実施形態では、ステップa)において、式(I)’〜(V)’の1つまたは複数の部分を含む化合物はポリマーまたはオリゴマーである。
【0065】
別の実施形態では、本明細書にて定義した式(I)〜(V)のいずれかの1つまたは複数の部分を含む化合物は、本明細書にて定義した式(I)〜(V)のいずれかの部分の1つからなる化合物であり、本発明に係る方法は、化合物をポリマーまたはオリゴマーへと配合する追加のステップ(複数可)を含む。
【0066】
一実施形態では、弱求核試薬は、2,6−ジtertブチルピリジン、2,4,6−トリtertブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,6−ジクロロピリジン、ジ(イソプロピル)エチルアミン、N,N,4−トリメチルアニリン、トリ(メシチル)ホスフィン、およびジフェニルメチルアミンからなる群から選択される。
【0067】
弱求核試薬は、好適には、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジンである。
【0068】
別の実施形態では、好塩性のルイス酸は、AlCl、AlBr、GaCl、GaBr、BBrおよびFeClからなる群から選択される。ルイス酸は、好適には、AlCl、AlBr、GaCl、GaBrおよびBBrから選択される。
【0069】
好塩性の典型元素ルイス酸は、より好適には、AlClである。
【0070】
別の実施形態では、ステップc)は、ステップb)の生成物を、Al(Z)、Zn(Z)またはSn(nBu)(Z)(式中、各Zは独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数のR、R、RまたはRで表される)からなる群から選択される試薬と反応させるステップを含む。
【0071】
ステップc)は、好適には、ステップb)の生成物を、Al(Z)、Zn(Z)またはSn(nBu)(Z)(式中、各Zは、独立して、メチル、フェニル、p−トリルまたはCを表す)からなる群から選択される試薬と反応させるステップを含む。
【0072】
別の実施形態では、ステップc)の前に、本発明に係る方法は、ステップb)の生成物を、クロリド供与試薬と反応させるステップをさらに含む。クロリド供与試薬は、好適には、化合物NRCl(式中、Rは(1〜5C)アルキルである)、または化合物PRCl(式中、Rは(1〜5C)アルキルまたはアリールである)である。クロリド供与試薬は、より好適には、NMeClまたはNBuClである。
【0073】
別の実施形態では、本発明に係る方法は、ステップc)の生成物を、本明細書にて定義した式(I)〜(V)の1つまたは複数の他の部分と連結するステップd)をさらに含む。ステップd)は、ステップc)の生成物を、式(I)〜(V)の1つもしくは複数の他の部分と直接連結するステップ、またはステップc)の生成物を、本明細書にて定義した1つもしくは複数のπを介して式(I)〜(V)の1つもしくは複数の他の部分と連結するステップを含んでもよい。
【0074】
本明細書に記載のように、本発明の別の態様では、本明細書にて定義した式(I)の1つまたは複数の部分を含む化合物を調製する方法であって、
a)以下に示す式(I’)
【化16】
(式中、
π、πおよびπ部分は、独立して、本明細書にて定義した通りである)
の1つまたは複数の部分を含む化合物を、
試薬BX
(Xは、
i)Cl、Br、アリールもしくはヘテロアリール、または
ii)ClもしくはBr
から選択される)
と反応させるステップと、
b)本明細書にて定義したまたは複数のR、R、RおよびR基を用いてホウ素原子を官能化するために、ステップb)の生成物に対して1つまたは複数の後続のステップを実施するステップと
を含む方法を提供する。
【0075】
式(I)の部分を生成することに加えて、上記方法はまた、本明細書にて定義した式(II)〜(V)の部分を含むある化合物を合成するために使用することもできる。1つのこのような化合物は本明細書に記載されている化合物32である。
【0076】
一実施形態では、本発明に係る方法は、ステップb)の生成物を、本明細書にて定義した式(I)〜(V)の1つまたは複数の他の部分と連結するステップc)をさらに含む。ステップc)は、ステップb)の生成物を、式(I)〜(V)の1つもしくは複数の他の部分と直接連結するステップ、またはステップb)の生成物を、本明細書にて定義した1つもしくは複数のπを介して式(I)〜(V)の1つもしくは複数の他の部分と連結するステップを含むことができる。
【0077】
別の実施形態では、ステップb)は、ステップa)の生成物を、Al(Z)、Zn(Z)またはSn(nBu)(Z)(式中、各Zは、独立して、本明細書にて定義した1つまたは複数のR、R、RまたはRで表される)からなる群から選択される試薬と反応させるステップを含む。
【0078】
ステップb)は、好適には、ステップa)の生成物を、Al(Z)、Zn(Z)またはSn(nBu)(Z)(式中、各Zは、独立して、メチル、フェニル、p−トリルまたはCを表す)からなる群から選択される試薬と反応させるステップを含む。
【0079】
[本発明に係る用途]
本明細書に記載のように、本発明の一態様では、本明細書にて定義した化合物を含む半導体材料を提供する。
【0080】
一実施形態では、半導体材料は、本明細書にて定義した化合物を含み、この化合物はポリマーまたはオリゴマーである。
【0081】
本発明はまた、本明細書にて定義した半導体材料を含む電子的、光学的または電気光学的部品またはデバイスを提供する。
【0082】
本明細書にて開示する新規のC,N−キレート化ボラン構造は、極めて発光性である材料の構築のために使用される四配位有機ホウ素化合物の大きなファミリーの新規メンバーである。これらの材料において、ホウ素の中心は、非発光性の緩和過程を低減し、大きな量子収率をもたらす、軽原子を強固にするユニットとして作用する。これにより、このファミリーの化合物は、一つにはこれらの強い発光および高いキャリヤ移動度が原因となって、多くの電子的および光学的部品およびデバイスにおいて広範囲におよぶ用途が発見されている。
【0083】
電子的、光学的または電気光学的部品またはデバイスとして、例えば、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)の部品、無線周波数特定(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、後方照明、光検知器、センサー、ロジック回路、メモリー素子、コンデンサー、太陽電池(PV)セル、光伝導体、および電子写真用素子が挙げられる。
【0084】
本発明の1つまたは複数の例を、添付の図面を参照しながら、例示をすることを目的として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1図1は、非ホウ素化BT−F8−BTについて、吸収および放出スペクトルを示す図である。
図2図2は、ホウ素化化合物29について、吸収および放出スペクトルを示す図である。
図3図3は、ホウ素化化合物30について、吸収および放出スペクトルを示している。
図4図4は、非ホウ素化BT−F8−BTと化合物29および30との吸収および放出スペクトルの比較を示す図である。
図5図5は、ホウ素化化合物26について、吸収および放出スペクトルを示す図である。
図6図6は、468nmで励起した、トルエンからスピンコーティングしたPF8−BTポリマー(ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−alt−ベンゾチアジアゾール)中に分散したホウ素化化合物45、29および30の5重量%混合物を由来とする薄膜の固体光ルミネセンススペクトルを示す図である。
図7図7は、トルエンに溶解したホウ素化化合物41、42および43について、吸収および放出スペクトルを示す図である。
図8図8は、非ホウ素化BT−F8−BTについて、X線構造を示す図である。
図9図9は、ホウ素化化合物29について、X線構造を示す図である。
図10図10は、化合物29について、X線の充填構造を示す図である。
図11図11は、ホウ素化化合物30について、X線構造を示す図である。
図12図12は、化合物30について、X線の充填構造を示す図である。
図13図13は、ホウ素化化合物22について、X線構造を示す図である。
図14図14は、化合物22について、X線の充填構造を示す図である。
図15図15は、化合物35について、X線の充填構造を示す図である。
図16図16は、化合物29について、分子軌道の計算モデリングを示す図である。
図17図17は、化合物22について、サイクリックボルタモグラムを示している。
図18図18は、化合物2、9、11、39および12について、サイクリックボルタモグラムを示す図である。
【実施例】
【0086】
[実施例1]
<化合物の調製>
(化合物1の合成)
【化17】
4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(2.54g、8.65mmol)、トリメチル(5−メチルチオフェン−2−イル)スタンナン(4.57g、17.3mmol)およびPd(PPh(1.00g、0.86mmol)を窒素雰囲気下、乾燥トルエン(50ml)中で混合し、還流下、100℃で24時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、次いで、DCM(150mL)で希釈した。次いで、反応混合物をブライン(1×100mL)、水(3×100mL)で洗浄し、次いで、MgSOで脱水した。溶媒を蒸発させた後、残渣を、シリカゲル[溶離液:ヘキサン/DCM(3/2)]上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、赤色の粉末として化合物1を生成した。収率:0.981g、34%。
【0087】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ =7.91 (d, J=3.6 Hz, 2H), 7.78 (s, 2H), 6.87 (dd, J=1.2, 4.6 Hz, 2H), 2.59 (s, 3H) ppm.
【0088】
(化合物2の合成)
【化18】
4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(2.00g、6.80mmol)、トリブチル(5−オクチルチオフェン−2−イル)スタンナン(7.26g、14.96mmol)およびPdCl(PPh(0.48g、0.68mmol)を窒素雰囲気下、乾燥THF(60ml)中で混合し、還流下、80℃で22時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、次いで、DCM(200mL)で希釈した。次いで、反応混合物をNaHCO飽和溶液(1×100mL)、ブライン(1×200mL)、水(1×200mL)で洗浄し、次いで、MgSOで脱水した。溶媒を蒸発させた後、残渣を、シリカゲル[溶離液:ヘキサン/クロロホルム(4/1)]上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、オレンジ色の粉末として化合物2を生成した。収率:1.08g、30%。
【0089】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ =7.94 (d, J=3.6 Hz, 2H), 7.79 (s, 2H), 6.88 (d, J=3.6 Hz, 2H), 2.90 (t, J= 7.6, 4H), 1.76 (m, 4H), 1.47-1.22 (m, 20H), 0.89 (t, J=7.2, 6H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ =152.62, 147.80, 136.84, 127.32, 125.75, 125.22, 125.12, 31.90, 31.70, 30.33, 29.39, 29.28, 29.20, 22.70, 14.16;
MALDI-TOF: C36H44BN2S3+の計算値524.2, 実測値523.9
【0090】
(化合物3の合成)
【化19】
4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.36g、4.6mmol)、トリブチル(9,9’−ジオクチル−9H−フルオレン−2−イル)−スタンナン、(6.70g、10.2mmol)およびPdCl(PPh(0.33g、0.047mmol)を窒素雰囲気下、乾燥THF(80ml)中で混合し、還流下、80℃で36時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、次いで、酢酸エチル(100mL)で希釈した。次いで、反応混合物をブライン(2×100mL)、水(2×200mL)で洗浄し、次いで、MgSOで脱水した。溶媒を蒸発させた後、残渣を、シリカゲル[溶離液:ヘキサン/DCM(9/1)]上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色の粘性の油状物質として化合物3を生成した。収率:1.73g、41%。
【0091】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ =8.04 (dd, J=1.5, 8 Hz, 2H), 7.96 (d, J=1.0 Hz, 2H), 7.90 (s, 2H), 7.88 (d, J=8 Hz, 2H), 7.79 (dd, J=1.0, 6.5, 2H), 7.41-7.33 (m, 6H), 2.05 (m, 8H), 1.25 - 1.07 (m, 40H), 0.81 (t, J=7.0, 6H), 0.79 (m, 8H);
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ = 154.4, 151.3, 151.1, 141.3, 140.7, 136.2, 133.6, 128.1, 127.9, 127.2, 126.8, 123.9, 123.0, 119.9, 119.7, 55.2, 40.3, 31.8, 30.1, 29.2, 29.2, 23.9, 22.6, 14.0;
MALDI-TOF: C64H84N2S+の計算値913.4, 実測値913.4
【0092】
(化合物4の合成)
【化20】
4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(2.7g、9.3mmol)、トリブチル(9,9’−ジオクチル−9H−フルオレン−2−イル)−スタンナン、(75g、11mmol)およびPdCl(PPh(0.64g、0.092mmol)を窒素雰囲気下、乾燥THF(80ml)中で混合し、還流下で36時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、次いで、酢酸エチル(100mL)で希釈した。次いで、反応混合物をブライン(2×100mL)、水(2×200mL)で洗浄し、次いで、MgSOで脱水した。溶媒を蒸発させた後、残渣を、シリカゲル[溶離液:ヘキサン/DCM(9/1)]上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色の粘性の油状物質として化合物4を生成した。収率:2.27g、54%。
【0093】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 7.96 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.94 - 7.90 (m, 1 H), 7.89 - 7.81 (m, 2 H), 7.80 - 7.73 (m, 1 H), 7.66 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.42 - 7.31 (m, 3 H), 2.02 (td, J = 7.0, 9.7 Hz, 4 H), 1.26 - 1.00 (m, 20 H), 0.85 - 0.63 (m, 10 H);
13C NMR (126MHz , CDCl3) δ = 154.0, 153.3, 151.3, 151.2, 141.7, 140.4, 135.2, 134.6, 132.3, 128.1, 127.9, 127.4, 126.9, 123.8, 123.0, 120.0, 119.8, 112.6, 55.2, 40.2, 31.8, 30.0, 29.2, 23.8, 22.6, 14.0;
MALDI-TOF: C35H43N2SBr+[M + H]+の計算値604.7, 実測値604.7
【0094】
(化合物5の合成)
【化21】
BCl(ヘプタン中1M溶液)(0.15mL、0.15mmol)を、YoungのNMR管内で、1(0.050g、0.015mmol)のDCM(0.7mL)中の鮮赤色溶液に添加すると、大量の濃青色の沈殿物の形成が生じた。2,6−ジクロロピリジン(0.022、0.15mmol)を反応混合物に添加し、これに続いて、20分間回転させた後、AlClを添加した。16時間回転させた後、やや溶けにくい所望の生成物をNMR試験用にC(1.5mL)で抽出した。低い溶解性により、13C{H}NMRスペクトルを記録する試みが妨げられた。
【0095】
1H NMR (400 MHz, C6D6) δ =7.58 (d, J=3.6Hz, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.04 (d, J=7.6, 1H), 6.86 (d, J=7.2 Hz, 1H), 6.59 (dd, J=1.0, 3.8, 1H), 2.18 (s, 3H), 2.15 (s, 3H) ppm;
11B NMR (128.4 MHz, CD2Cl2) δ =約4 (広幅) ppm.
【0096】
(化合物6の合成)
【化22】
BBr(ヘプタン中1M溶液)(0.10mL、0.10mmol)を、YoungのNMR管内で、1(0.033g、0.010mmol)のDCM(0.7mL)中の鮮赤色溶液に添加すると、大量の濃青色の沈殿物の形成が生じた。次いで、第2の当量のBBr(ヘプタン中1M溶液)(0.10mL、0.10mmol)を反応混合物に添加し(0.022、0.15mmol)、これに続いて、Hunigs塩基(0.017mL、0.010mmol)を添加した。次いで、反応混合物を20分間回転させ、次いで、60℃で16時間加熱した。16時間回転させた後、やや溶けにくい所望の生成物を、NMR試験用に乾燥THF(1.5mL)で抽出した。低い溶解性により、13C{H}NMRスペクトルを記録する試みが妨げられた。
【0097】
1H NMR (400 MHz, THF) δ =8.00 (d, J=4.0Hz, 1H), 7.92 (d, J=7.6, 1H), 7.64 (d, J=7.6, 1H), 6.886 (s, 1H), 6.81 (d, 3.6, 1H), 2.51 (s, 3H), 2.50 (s, 3H) ppm;
11B NMR (128.4 MHz, THF) δ =約17 ppm
【0098】
(化合物7の合成)
【化23】
BCl(ヘプタン中1M溶液)(0.60mL、0.6mmol)を、シュレンクフラスコ内で、2(0.312g、0.060mmol)のDCM(10mL)中の明るいオレンジ色の溶液に添加すると、濃青色への色の変化が生じ、反応混合物を16時間撹拌した(シュレンクフラスコの開口システムでは、窒素流の下で、気体のHClは溶液から失われるので塩基の添加は不必要であった)。溶媒を減圧下で除去し、濃青色の粉末として化合物7を単離した(322mg、89%)。
【0099】
1H NMR (400 MHz, C6D6): δ = 7.65 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 7.54 (s, 1 H), 7.11 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.97 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.73 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 2.68 (q, J= 8.0 Hz, 4 H), 1.72 - 1.52 (m, 4 H), 1.38 - 1.14 (m, 20 H), 0.92 (t, J = 6.9 Hz, 6 H);
13C NMR (101 MHz, DCM) δ = 151.3, 150.8, 150.0, 145.0, 134.7, 131.7, 129.2, 128.8, 127.9, 126.2, 126.0, 125.7, 122.2, 32.0, 31.7, 31.7, 30.6, 30.4, 29.4, 29.4, 29.2, 22.8, 14.0;
【0100】
類似の磁気環境により、すべてのCH共鳴が明瞭に観察されたわけではなく、一部のCH環境は溶媒により不明瞭となった。
11B NMR (128.4 MHz, C6D6) δ =約3 (広幅) ppm.
【0101】
(化合物8の合成)
【化24】
BBr(ヘプタン中1M溶液)(0.20mL、0.20mmol)を、YoungのNMR管内で、2(0.026g、0.005mmol)のDCM(0.7mL)中の明るいオレンジ色の溶液に添加すると、濃青色への色の変化および沈殿物の形成が生じた。2,6−ルチジン(0.011mL、0.1mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を60℃で24時間加熱し、ゆっくり冷却すると、化合物8の結晶が反応混合物から沈殿した。
【0102】
1H NMR (500 MHz, C6D6) δ =7.64 (d, J=3.2 Hz, 1 H), 7.55 (s, 1 H), 7.09 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 6.94 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 6.73(d, J=3.0, 1 H), 2.69 (t, J=7.57 Hz, 2 H), 2.65 (t, J=7.72 Hz, 2 H), 1.54-1.70 (m, 4 H), 1.37 - 1.18 (m, 20 H), 0.92 (t, J=6.94 Hz, 6 H) ppm;
11B NMR (128.4 MHz, C6D6) δ = 約6 (広幅) ppm.
【0103】
(化合物9の合成)
【化25】
AlMe(ヘプタン中2M溶液)(0.4mL、0.080mmol)の乾燥トルエン(3mL)中溶液を、7(0.20g、0.33mmol)の乾燥トルエン(3mL)中撹拌溶液にゆっくりと添加した。20分間撹拌後、過剰のAlMeおよび溶媒を減圧下で除去した。化合物9を、さらに精製せずに、濃青色/紫色の粉末として単離した(178mg、96%)。
【0104】
1H NMR (400 MHz, C6D6) δ =7.84 (d, J=3.8 Hz, 1 H), 7.35 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 7.11 (s, 1 H), 7.05 (d, J=7.3 Hz, 1 H), 6.78 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 2.81 (t, J=7.7 Hz, 2 H), 2.72 (t, J=7.6 Hz, 2 H), 1.76 - 1.61 (m, 4 H), 1.38 - 1.17 (m, 20 H), 0.92 (t, J=7.2, 3 H), 0.91 (t, J=7.2, 3 H), 0.72 (s, 6 H) ppm;
13C NMR (101 MHz, C6D6) δ =152.46, 149.50, 148.09, 147.56, 136.97, 130.76, 130.73, 130.24, 127.75, 127.72, 126.47, 126.03, 123.77, 120.63, 32.61, 32.49, 32.38, 31.29, 30.93, 30.11, 30.00, 29.84, 23.43, 17.85, 14.73, 14.71 ppm;
【0105】
類似の磁気環境により、すべてのCH共鳴が明瞭に観察されたわけでなかった。
中、20℃で、11B NMRスペクトルにおいて、いかなるピークも観察できなかった。
MALDI-TOF: C31H42BN2S3+[M - CH3]+の計算値549.7, 実測値549.6
【0106】
(化合物10の合成)
【化26】
Al(オクチル)(ヘプタン中0.477M溶液)(0.15mL、0.070mmol)の乾燥トルエン(2mL)中溶液を、化合物7(0.020g、0.033mmol)の乾燥トルエン(3mL)中撹拌溶液にゆっくりと添加した。3時間撹拌後、反応を水(5mL)でクエンチし、クロロホルム(3×20mL)で抽出し、脱水し(MgSO)、溶媒を減圧下で除去した。ヘキサンを溶離液として使用することによって塩基処理した(ヘキサン中5%NEt)シリカゲル上でのクロマトグラフィーで粗生成物を精製した。化合物10を濃青色/紫色の油状物質として単離した。収率(14mg、57%)。
【0107】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ =7.87 (d, J=4.0, 1H), 7.78 (d, J=7.6, 1H), 7.37 (d, J=7.6, 1H), 6.87 (d, J=4.0, 1H), 6.80 (s, 1H), 2.89 (t, J=7.6, 2H), 2.88 (t, J=7.6, 2H), 1.81-1.69 (m, 4H), 1.46-107 (m, 40H), 0.89 (2つの重なった三重線, 10H), 0.88 (t, J=6.8, 6H), 0.78 - 0.63 (m, 4H);
【0108】
11B NMRにおいていかなるピークも観察できなかった。
【0109】
(化合物11の合成)
【化27】
PhBCl(0.013mL、0.1mmol)を、YoungのNMR管内で、2(0.52g、0.010mmol)のDCM(0.7mL)中の明るいオレンジ色の溶液に添加すると、濃緑色への色の変化が生じ、反応混合物を16時間回転させた。2,6−ルチジン(0.011mL、0.1mmol)を反応混合物に添加し、16時間回転させた後、溶媒を減圧下で除去して、濃青色/緑色の残渣を残した。残渣をベンゼン(0.7mL)に溶解し、AlMe(ヘプタン中2M溶液)(0.05mL、0.01mmol)を添加した。反応混合物を16時間回転させた後、過剰のAlMeおよび溶媒を減圧下で除去した。ヘキサンを溶離液として使用することによって塩基処理した(ヘキサン中5%NEt)シリカゲル上でのクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、化合物11を濃青色の残渣として単離した(22mg、35%)。
【0110】
1H NMR (400 MHz, C6D6) δ =7.84 (d, J=3.8 Hz, 1 H), 7.79 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 7.5 (d, J=7.57 Hz, 1 H), 7.36 - 7.28 (m, 2 H), 7.22 (t, J=7.2 Hz, 2 H), 7.47 (tt, J=1.4, 7.2, 1 H), 6.86 (d, J=3.5 Hz, 1 H), 6.74 (s, 1 H), 2.88 (t, J=7.7 Hz, 2 H), 2.83 (t, J=7.7 Hz, 2 H), 1.79 - 1.56 (m, 4 H), 1.45 - 1.24 (m, 20 H), 0.90 (t, J=6.8, 6 H), 0.69 (s, 3 H) ppm;
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ =151.86, 149.06, 147.69, 147.34 - 147.37 (m, 1 C) 135.53, 131.73, 130.20, 129.85, 128.18, 127.67, 127.10, 126.03, 125.38, 125.32, 123.51, 120.98, 31.83, 31.58, 31.52, 30.92, 30.50, 30.25, 29.31, 29.25, 29.21, 29.12, 22.65, 14.09 ppm;
【0111】
類似の磁気環境により、すべてのCH共鳴が明瞭に観察されたわけではなかった。
11B NMRにおいていかなるピークも観察できなかった。
MALDI-TOF: C36H44BN2S3+[M - C6H5]+の計算値611.8, 実測値611.8
【0112】
(化合物12の合成)
【化28】
Zn(C(152mg、0.4mmol)を化合物7のトルエン(5mL)溶液に添加し、反応混合物を3時間撹拌し、次いで、湿性トルエンの添加後、溶液をシリカのプラグに通した。溶媒を減圧下で除去して、濃青色の残渣を生成した(収率151mg、92%)。
【0113】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 7.88 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 7.83 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.61 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.89 (d, J = 3.5 Hz, 1 H), 6.78 (s, 1 H), 2.89 (t, J=7.6, 2 H), 2.82 (t, J=7.6, 2H), 1.81 - 1.64 (m, 4 H), 1.49 - 1.20 (m, 22 H), 0.89 (t, J= 6.8, 3H), 0.88 (t, J=6.8, 3 H).
13C NMR (126MHz , CDCl3) δ = 150.4, 148.9, 147.8, 146.0, 133.8, 128.8, 127.0, 127.0, 124.6, 123.4, 122.7, 122.6, 30.8, 30.8, 30.5, 30.5, 29.4, 29.3, 28.3, 28.3, 28.2, 28.1, 28.1, 21.6, 21.6, 13.0, 13.0
19F NMR (376MHz , CDCl3) δ = -132.43 (dd, J=22.56, 7.90, 4F), -156.58 (t, 20.30, 2F), -162.40 (m, 8F )
MALDI-TOF: C42H39BN2SF10+の計算値868.7, 実測値868.7
【0114】
(化合物13の合成)
【化29】
THF(1.4mL)に溶解したZn(p−トリル)の0.25M溶液を蒸発乾固し、次いで、乾燥トルエン(3mL)中に懸濁させた。化合物7(20mg、0.033mmol)を懸濁液に添加し、反応混合物を室温で12時間保存した。ヘキサンを溶離液として使用することによって塩基処理した(ヘキサン中5%NEt)シリカゲル上でのクロマトグラフィーで粗生成物を精製した。溶媒を減圧下で除去して、濃青色の残渣を生成した(収率5.5mg、23%)。
【0115】
1H NMR (400MHz ,CDCl3 ) δ = 7.82 (d, J = 3.5 Hz, 1 H), 7.76 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.47 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.17 (d, J = 8.1 Hz, 4 H), 7.07 (d, J = 7.8 Hz, 4 H), 6.85 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 6.79 (s, 1 H), 2.88 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.81 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.32 (s, 6 H), 1.81 - 1.64 (m, 4 H), 1.48 - 1.38 (m, 4 H), 1.38 - 1.21 (m, 20 H), 0.91 (t, J= 5.2 Hz, 6H)
13C NMR (126MHz , CDCl3) δ = 151.7, 150.8, 148.9, 147.9, 147.5, 135.5, 133.2, 131.0, 130.2, 128.5, 128.1, 127.3, 125.5, 125.1, 123.7, 121.5, 31.9, 31.6, 31.5, 30.6, 30.3, 29.4, 29.3, 29.3, 29.2, 22.7, 22.7, 21.2, 14.1
【0116】
(化合物14の合成)
【化30】
BCl(DCM中1M溶液)(0.15mL、0.12mmol)を、シュレンクフラスコ内で、化合物3(0.078g、0.085mmol)のDCM(3mL)中の明るいオレンジ色の溶液に添加した。反応混合物を16時間撹拌した時点で、濃青色への色の変化が観察された。溶媒および過剰のBClを減圧下で除去して、濃青色の残渣を生成した。
【0117】
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ =8.61 (d, J=7.5 Hz, 1 H), 8.40 (s, 1 H), 8.16 (d, J=7.2 Hz, 1 H), 8.02 (s, 1 H), 8.01 (d, J=7.6, 1H), 7.94 - 7.89 (m, 2 H), 7.82 (d, J=5.7 Hz, 1 H), 7.35 - 7.47 (m, 6 H), 2.17- 2.03 (m, 8 H), 1.25 - 1.02 (m, 40 H), 0.85 - 0.66 (m, 20 H) ppm;
13C NMR (126 MHz, CD2Cl2) δ =154.09, 152.22, 152.03, 152.00, 151.93, 146.17, 143.84, 143.22, 140.93, 140.78, 134.36, 134.07, 131.53, 128.77, 128.58, 128.44, 128.23, 127.62, 127.59, 127.07, 125.53, 124.50, 123.72, 123.57, 121.20, 120.78, 120.68, 116.92, 55.99, 55.81, 41.10, 40.77, 32.37, 30.65, 30.56, 29.82, 29.78, 24.53, 24.50, 23.18, 23.17, 14.40 ppm;
【0118】
類似の磁気環境により、すべてのCHまたはCH共鳴が明瞭に観察されたわけではなかった。
11B NMR (128.4 MHz, CD2Cl2): δ =10.0 (s) ppm.
【0119】
(化合物15の合成)
【化31】
ヘプタン中の2M(0.11mL、0.22mmol)のAlMeを、14(935mg、0.10mmol)のトルエン(3mL)溶液に添加した。10分後、過剰のAlMeを減圧下で除去した。次いで、反応混合物を、塩基処理したシリカ(5%NEt/95%ヘキサン)を介して濾過し、溶媒を減圧下で除去して、暗紫色の残渣を生成した。
【0120】
1H NMR (500MHz ,DCM) δ = 8.37 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 8.10 - 7.98 (m, 4 H), 7.96 (s, 1 H), 7.90 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.86-7.78 (m , 2 H), 7.46-7.30 (m., 6 H), 2.07 (m., 8 H), 1.04-1.24 (m., 40 H), 0.83-0.68 (m, 20H), 0.47 (s, 6 H) ppm;
13C NMR (101MHz ,DCM) δ = 154.3, 151.7, 151.5, 148.5, 148.3, 142.0, 141.9, 141.3, 140.6, 134.7, 131.9, 130.9, 129.4, 129.2, 128.0, 127.7, 127.3, 127.1, 126.9, 123.7, 123.2, 123.1, 123.1, 120.2, 120.2, 120.0, 116.6, 55.5, 54.9, 32.0, 30.3, 30.2, 29.4, 29.4, 24.2, 24.1, 22.8, 17.9, 14.0.
【0121】
(化合物16の合成)
【化32】
Zn(p−トリル)(240mg、1mmol)を化合物14のトルエン(5mL)溶液に添加し、反応混合物を3時間撹拌し、次いで、湿性トルエンの添加後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液ヘキサン)を介して溶液を精製して、暗紫色の残渣を生成した。(収率152mg、57.3%)。
【0122】
1H NMR (500MHz ,CDCl3) δ = 8.43 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 8.08 (s, 1 H), 8.04 (d, J=7.5, 1 H), 7.98 - 7.92 (m, 2 H), 7.88 (d, J= 7.5, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.80-7.78 (m, 1H), 7.65-7.62 (m, 1 H), 7.44 - 7.33 (m, 4 H), 7.31 - 7.21 (m, 6 H), 7.09 (d, J = 7.6 Hz, 4 H), 2.33 (s, 6 H), 2.12-1.99 (m, 8 H), 1.25 - 1.07 (m, 40 H), 0.83 (t, J=7.5, 6H), 0.82 (t, J=7.5, 6H), 0.77 (m, 8 H).
【0123】
(化合物17の合成)
【化33】
Zn(C(97mg、0.242mmol)を、インサイチューで作製した化合物14のトルエン(5mL)溶液(110mg、0.11mmol)に添加し、反応混合物を3時間撹拌し、次いで、「湿性(wet)」トルエン(入手してそのまま使用した、精製されていないトルエン)を添加して、未反応のジアリール亜鉛試薬をクエンチした後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液ヘキサン)を介して溶液を精製して、暗紫色の残渣として化合物17を生成した。(収率131mg、94%)。
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.58 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 8.21 - 8.07 (m, 2 H), 8.03 (s, 1 H), 7.94 (m., 2 H), 7.89 - 7.78 (m, 2 H), 7.74 (br. s., 1 H), 7.49 - 7.30 (m, 6 H), 2.11 (m., 8 H), 1.13 (m 40 H), 0.89 - 0.66 (m, 20 H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 153.7, 151.5, 151.3, 151.3, 150.2, 147.8, 143.0, 142.4, 140.4, 140.2, 133.6, 133.0, 131.0, 128.1, 128.1, 127.9, 127.8, 127.7, 127.0, 126.9, 125.8, 124.3, 123.8, 123.0, 122.9, 120.4, 120.2, 120.1, 116.3, 55.3, 55.0, 40.7, 40.3, 31.8, 30.1, 30.0, 29.2, 29.2, 29.2, 23.9, 23.8, 22.6, 22.6, 14.0, 14.0;
【0124】
19F NMR (376MHz , CDCl3) δ = -131.55 (dd, J=23.31, 8.65, 4F), -156.65 (t, 20.68, 2F), -162.62 (m, 4F) ppm;
11B NMR (128.4 MHz, CD2Cl2): δ =約-4.0 (広幅).
MALDI-TOF: C70H83BF5N2S+[M - C6F5]+の計算値1090.3, 実測値1090.4
【0125】
(化合物18の合成)
【化34】
シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー[溶離液:ヘキサン/DCM(3/2)]を介して化合物1の反応混合物から化合物18を単離して、黄色の粉末を生成した。(収率:0.252g、10%)。
【0126】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.91 (d, J = 3.5 Hz, 1 H), 7.86 - 7.80 (m, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.66 - 7.61 (m, J = 7.8 Hz, 1 H), 6.87 (dd, J = 1.0, 3.5 Hz, 1 H), 2.58 (d, J = 1.0 Hz, 3H)
【0127】
(化合物19の合成)
【化35】
BCl(DCM中およそ0.8M溶液)(0.3mL、0.24mmol)を、シュレンクフラスコ内で、化合物18(0.031g、0.1mmol)のDCM(3mL)中の明るい黄色の溶液に添加した。反応混合物は、暗紫色の色に即時に変化し、室温で16時間撹拌した。溶媒および過剰のBClを減圧下で除去して、化合物19を生成した。
【0128】
(化合物20の合成)
【化36】
次いで、化合物19を含有する反応混合物を、乾燥トルエン(8mL)に再溶解し、AlMe(ヘプタン中2M溶液)(0.12mL、0.24mmol)のトルエン(1.0mL)溶液をゆっくりと添加した。10分後、過剰のAlMeおよび溶媒を減圧下で除去した。ペンタンを溶離液として使用することによって、塩基処理した(ヘキサン中5%NEt)シリカゲル上でのクロマトグラフィーで粗生成物を精製した。暗い/紫色の大気安定性の固体として、化合物20を単離した(11mg、収率32.6%)。
【0129】
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ =7.86 (d, J=7.56 Hz, 1 H), 7.27 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 6.80 (d, J=0.8 Hz, 1 H), 2.53 (s, 3 H), 0.28 (s, 6 H) ppm;
13C NMR (101 MHz, CD2Cl2) δ =153.47, 147.86, 144.25, 136.18, 131.55, 129.50, 127.60, 120.60, 107.84, 15.94 ppm;
11B NMR (128.4 MHz, CD2Cl2): δ =約1 (s) ppm.
【0130】
(化合物21の合成)
【化37】
BCl(DCM中1M溶液)(2mL、2mmol)を、シュレンクフラスコ内で、化合物4(200mg、0.33mmol)のDCM(3mL)中の明るい黄色の溶液に添加した。反応混合物を16時間撹拌した時点で、暗紫色への色の変化が観察された。溶液を脱気し、溶媒を減圧下で除去して、暗紫色の残渣を生成した。次いで、反応混合物をトルエン(3mL)に溶解し、Zn(C(265mg、0.66mmol)を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、次いで、湿性トルエンの添加後、溶液をシリカのプラグに通した。溶媒を減圧下で除去して、暗紫色の残渣を生成した。(収率296mg、95%)。
【0131】
1H NMR (500MHz ,CDCl3) δ = 8.32 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 8.15 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 8.05 (s, 1 H), 7.80 (s, 1 H), 7.75 - 7.65 (m, 1 H), 7.46 - 7.28 (m, 3 H), 2.08 (t, J = 8.3 Hz, 4 H), 1.24 - 1.02 (m, 20 H), 0.88 - 0.61 (m, 10 H);
11B NMR (128.4 MHz, CDCl3) δ =約-4 (広幅) ppm.
19F NMR (376MHz , CDCl3) δ = -131.48 (dd, J=22.56, 7.90, 4 F), -156.17 (d, J=20.68, 2 F), -162.31 (m, 4 F);
【0132】
(化合物22の合成)
【化38】
化合物21(150mg、0.16mmol)、2,5−ビス(トリブチルスタンニル)−チエノ[3,2−b]チオフェン(56mg、0.8mmol)およびPd(PPh(17mg、0.016mmol)の混合物をトルエン(4mL)に溶解し、100℃で40時間加熱した。溶媒を蒸発させた後、残渣を、シリカゲル[溶離液:ヘキサン/DCM(6/4)]上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、濃緑色の残渣として、化合物22を生成した。(収率51mg、35%)。
【0133】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.53 - 8.43 (m, 4 H), 8.16 (d, J = 7.8 Hz, 2 H), 8.03 (s, 2 H), 7.78 (s, 2 H), 7.74 - 7.65 (m, 2 H), 7.40 - 7.29 (m, 6 H), 2.06 (t, J = 8.2 Hz, 8 H), 1.23 - 1.01 (m, 40 H), 0.85 - 0.62 (m, 20 H);
19F NMR (376MHz ,CDCl3) δ = -131.52 (dd, J=24.06, 8.65, 4F), -156.32 (t, 20.30, 2F), -162.42 (m, 8F )
【0134】
(化合物23の合成)
【化39】
化合物23を、化合物22の反応混合物から単離した。
【0135】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ= 8.45 - 8.38 (m, 2 H), 8.08 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 8.02 (s, 1 H), 7.78 (s, 1 H), 7.73 - 7.64 (m, 1 H), 7.51 (d, J = 5.3 Hz, 1 H), 7.40 - 7.28 (m, 3 H), 2.06 (t, J = 8.2 Hz, 4 H), 1.23 - 1.01 (m, 20 H), 0.85 - 0.60 (m, 10 H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 152.0, 151.3, 150.3, 147.7, 143.1, 140.6, 140.3, 140.1, 139.0, 129.5, 128.5, 128.0, 127.9, 127.7, 126.9, 125.9, 125.6, 124.3, 122.9, 121.0, 120.4, 119.6, 116.3, 55.0, 40.6, 31.8, 30.0, 29.2, 29.1, 23.8, 22.5, 14.0
19F NMR (376MHz , ,CDCl3) δ = -131.51 (dd, J=22.56, 8.65, 4F), -156.32 (t, 20.30, 2F), -162.49 (m, 8F )
【0136】
(化合物24の合成)
【化40】
化合物21(80mg、0.84mmol)、トリメチル(5−メチル−2−チエニル)−スタンナン(25mg、0.95mmol)およびPd(PPh(4mg、0.004mmol)の混合物をTHF(1mL)に溶解し、80℃で20時間加熱した。溶媒を蒸発させた後、残渣を分取シリカゲルTLC[溶離液:ヘキサン/DCM(8/2)]で精製して、濃青色の残渣として化合物24を生成した。収率75mg、92%。
【0137】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.41 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 8.01 (s, 1H), 8.01 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.95 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 7.77 (s, 1 H), 7.74 - 7.65 (m, 1 H), 7.43 - 7.30 (m, 3 H), 6.91 (d, J = 3.5 Hz, 1 H), 2.61 (s, 3 H), 2.06 (t, J = 8.3 Hz, 4 H), 1.27 - 1.01 (m, 20 H), 0.86 - 0.62 (m, 10 H);
13C NMR (101MHz , CDCl3) δ = 152.1, 151.3, 150.2, 147.6, 143.2, 142.8, 140.4, 135.0, 128.7, 128.1, 127.9, 127.6, 127.1, 127.0, 126.8, 125.9, 125.8, 124.2, 122.9, 120.3, 116.2, 55.0, 40.6, 31.8, 30.0, 29.2, 29.1, 23.7, 22.5, 15.5, 14.0
19F NMR (376MHz , CDCl3) δ = -131.55 (dd, J=22.56, 8.65, 4F), -156.32 (t, 20.68, 2F), -162.60 (m, 8F)
【0138】
(化合物25の合成)
【化41】
BCl(ヘキサン中1M溶液)(0.015mL、0.015mmol)を、YoungのNMR管内で、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ベンゾチアジアゾール)ポリ−F8BT(8mg、0.015mmol)のDCM(1mL)中溶液に添加し、3時間回転させた後、黄色から濃青色への色の変化が生じた。NMR試験は、反応が成功したことを示唆した。溶媒を減圧下で除去して、濃青色の残渣を生成した。
【0139】
1H NMR (500 MHz, DCM) δ =8.71 - 8.63 (広幅), 8.60 - 8.55 (広幅), 8.53 - 8.47 (広幅), 8.25 - 8.97 (m, 広幅), 2.30- 2.04 (広幅), 1.33 - 1.03 (m, 広幅), 0.91 - 0.74 (m, 広幅) ppm;
【0140】
11B NMRにおいて、いかなるピークも観察できなかった。
【0141】
(化合物26の合成)
【化42】
AlMe(ヘプタン中2M)(0.11mL、0.22mmol)の乾燥トルエン(1mL)中溶液を、化合物25の乾燥トルエン(4mL)中撹拌溶液に添加した。溶液の色は濃青色から紫色に変化し、20分後、溶媒および過剰のAlMeを減圧下で除去し、次いで、この生成物をメタノール中に沈殿させた。収率38mg。
【0142】
1H NMR (400MHz ,CD2Cl) δ = 8.53 - 8.35 (m, 1 H), 8.19 - 7.93 (m, 7 H), 2.18 (br. s., 4 H), 1.25 - 1.06 (m, 26 H), 0.79 (t, J = 6.3 Hz, 8 H), 0.51 (br. s., 6 H).
【0143】
(化合物27の合成)
【化43】
AlCl(6mg、0.04mmol)を化合物7(25mg、0.04mmol)のDCM(0.7mL)中溶液に添加した。溶液の色は濃青色から暗赤色に変化した。
【0144】
1H NMR (400 MHz, DCM): δ=8.66 (d, J=8.0, 1H), 8.37 (s, 1H), 8.14 (d, J=6.8, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 3.09 - 2.92 (m, 4H), 1.86 - 1.73 (m, 4H), 1.49 - 1.19 (m, 20H), 0.87 (t, 6H) ppm;
27Al NMR (104.3 MHz, DCM): δ =約103 (広幅) ppm.
【0145】
11B NMRにおいて、いかなるピークも観察できなかった。
【0146】
(化合物28の合成)
【化44】
BCl(DCM中1M溶液)(0.40mL、0.40mmol)を、YoungのNMR管内で、4,4’−(9,9−ジオクチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)(BT−F8−BT)(66mg、0.01mmol)のDCM(0.7mL)中の明るい黄色の溶液に添加した。溶液の色は即時に暗赤色に変化した。2,4,6−トリtブチルピリジン(50mg)およびAlCl(40mg、0.3mmol)を反応混合物に添加した。16時間回転させた後、AlCl(14mg、0.1mmol)を添加し、溶液をさらに16時間回転した時点で溶液は濃緑色に変化した。次いで、NBuCl(48mg、0.2mmol)を反応混合物に添加すると、溶液は暗紫色に変化した。NMR試験は、所望の生成物が形成されたことを示した。
【0147】
1H NMR (400 MHz, DCM) δ =8.71 (d, J=7.2Hz, 2H), 8.46 (s, 2H), 8.04 (m, 2H), 8.31 (d, J=8.8 Hz, 2H), 8.16 (s, 2H), 2.22 (m, 4H), 0.72 (t, J=6.8 Hz, 6H) ppm;
【0148】
(化合物29の合成)
【化45】
化合物28(0.45mmol)を含有する反応混合物およびホウ素化のイオン副生成物(例えば、アンモニウム[AlCl])をDCM(15mL)に溶解し、ZnPh(400mg、1.82mmol)を添加した。次いで、反応混合物を16時間撹拌し、この後、これをシリカのプラグに通した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、塩基処理した[ヘキサン/NEt(95:5)]シリカゲル[溶離液:ヘキサン/DCM(8:2)]上でのカラムクロマトグラフィーで生成物を単離した。収率(236mg、53%)。
【0149】
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ = 8.39 (d, J = 7.1 Hz, 2 H), 8.18 (s, 2 H), 7.90 - 7.77 (m, 6 H), 7.31 - 7.15 (m, 20 H), 2.32 - 2.13 (m, 4 H), 1.18 (m, 20 H), 0.97 (m., 4 H), 0.82 (t, J = 6.7 Hz, 6 H);
13C NMR (101MHz, CD2Cl2) δ = 155.8, 155.3, 152.7, 150.4, 148.2, 142.4, 134.0, 133.7, 131.0, 130.4, 128.1, 126.5, 126.4, 123.9, 119.5, 117.3, 55.1, 41.3, 32.4, 30.7, 29.8, 24.7, 23.2, 14.4;
11B NMR (128.4 MHz, CD2Cl2): δ = 2.0 (広幅);
MALDI-TOF: C59H59B2N4S2+[M - C6H5]+の計算値909.9, 実測値910.0
【0150】
(化合物30の合成)
【化46】
ホウ素化からのイオン副生成物(例えば、アンモニウム[AlCl])も含有する化合物28(0.45mmol)の反応混合物をDCM(15mL)に溶解し、Zn(C(728mg、1.82mmol)を添加した。次いで、反応混合物を16時間撹拌し、その後、これをシリカのプラグに通した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、塩基処理した[ヘキサン/NEt(95:5)]シリカゲル[溶離液:ヘキサン/DCM(8:2)]上でのカラムクロマトグラフィーにより生成物を単離した。収率(435mg、71%)。
【0151】
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ =8.48 (d, J = 6.8 Hz, 2 H), 8.10 (s, 2 H), 8.02 - 7.85 (m, 4 H), 7.67 (s, 2 H), 2.25 - 2.05 (m, 4 H), 1.20-1.00 (m, 20 H), 0.78-0.68 (m, 10 H);
13C NMR (101MHz, CDCl3) δ = 154.9, 150.7, 147.0, 142.2, 133.5, 129.7, 128.7, 125.0, 125.0, 119.4, 116.5, 55.0, 40.9, 31.8, 30.0, 29.2, 29.1, 22.5, 14.0;
19F NMR (376MHz , CDCl3) δ = -132.23 (dd, J=22.56, 8.27, 8F), -157.83 (t, 20.68, 4F), -163.77 (m, 8F);
11B NMR (128.4 MHz, CDCl3): δ = 3.0 (広幅);
MALDI-TOF: C59H44B2F15N4S2+[M - C6F5]+の計算値1179.8, 実測値1179.7
【0152】
(化合物31の合成)
【化47】
4,4’−(9,9−ジオクチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)(BT−F8−BT)(512mg、0.78mmol)をクロロホルム(5mL)に溶解し、臭素(0.9mL、1.7mmol)を添加した。次いで、反応混合物を18時間撹拌し、その後、反応混合物をNa溶液でクエンチし、ブライン(50mL)、次いで、水(50mL)で洗浄し、脱水した(MgSO)。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:ヘキサン./EtOAc(98/2)]を介して精製して、化合物31および黄色の固体を生成した。収率(612mg、97%)
【0153】
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ = 8.05 - 7.84 (m, 8 H), 7.65 (d, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.25 - 1.98 (m, 4 H), 1.22 - 1.02 (m., 20 H), 1.00 - 0.82 (m, 4 H), 0.76 (t, J = 6.7 Hz, 6 H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 153.7, 153.0, 151.6, 140.9, 135.4, 134.1, 132.1, 128.2, 127.8, 123.8, 120.1, 112.6, 55.3, 40.0, 31.6, 29.9, 29.1, 23.9, 22.5, 22.5, 14.0;
【0154】
(化合物32の合成)
【化48】
BCl(DCM中1M)(4.5mL、4.5mmol)を、化合物31(430mg、0.53mmol)のDCM(5mL)中溶液に添加した。反応物を、窒素の動的流れの下で20時間撹拌し、その後、これを脱気し、溶媒を減圧下で除去した。反応混合物残渣をDCM(5mL)に溶解し、次いで、ZnPh(574mg、2.61mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を4時間撹拌したままでおいた。これをDCM(5mL)で希釈し、溶液をシリカのプラグに通した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー[溶離液:クロロホルム/ヘキサン(7/3)]を介して生成物を単離して、暗紫色の残渣として化合物32を生成した。(収率347mg、58%)。
【0155】
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ = 8.22 (d, J=7.95 Hz, 2 H) 8.01 - 8.12 (m, 4 H) 7.76 (s, 2 H) 7.15 - 7.32 (m, 21 H) 2.04 - 2.20 (m, 4 H) 1.23 (br. s., 5 H) 1.16 (br. s., 16 H) 0.86 - 0.99 (m, 5 H) 0.83 (t, J=6.72 Hz, 6 H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 154.3, 153.0, 152.1, 149.9, 147.7, 142.2, 135.3, 133.5, 130.0, 129.2, 127.6, 126.6, 126.1, 123.6, 116.4, 110.6, 54.3, 40.8, 31.8, 30.1, 29.2, 29.2, 24.1, 22.6, 14.1;
11B NMR (128.4 MHz, CDCl3): δ = 約2.0 (広幅);
【0156】
(化合物33の合成)
【化49】
9−(ヘプタデカン−9−イル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール(0.62g、0.94mmol、1当量)およびブロモベンゾチアジアゾール(0.46g、2.13mmol、2.2当量)を脱気し、乾燥THF(10mL)に溶解した。KPO.HO(1.30g、5.62、6eq)、Pd(dba)(42.9mg、0.047mmol、0.05当量)およびS−PHOS(38.5mg、0.094mmol、0.1当量)を反応混合物に添加した。室温で20分間混合後、赤茶色の溶液は緑色に変化した。脱気したHOを添加すると、反応混合物は茶色−オレンジ色から次に黄色に変化した。反応物を70℃で24時間撹拌した。冷却した混合物をCHClで抽出し、ブラインの水、次いで、水で洗浄し、MgSOで脱水した。溶媒の蒸発後、オレンジ色の残渣の油状物質を、塩基処理したシリカゲル(5%トリエチルアミン、95%ヘキサン)クロマトグラフィー(ヘキサン、これに続くクロロホルム:ヘキサン、2:8)で精製して、黄色の結晶を得た。収率(0.4857g、77%)。
【0157】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.78 (t, 3JHH = 8 Hz, 6H), 1.16 (m, br, 18H), 1.30 (m, br, 6H), 2.01 (m, br, 2H), 2.45 (m, br, 2H), 4.82 (m, br, 1H), 7.78 (m, 3JHH = 8 Hz, 4H), 7.85 (dd, br, 2H), 8.04 (dd, br, 2H), 8.10 (s, br,1H), 8.29 (t, br, 2H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ = 14.0, 22.5, 26.8, 29.2, 29.3, 29.4, 31.7, 33.8, 56.5, 110.3, 113.1, 120.1, 120.3, 120.5, 122.3, 123.6, 127.8, 129.7, 134.3, 134.9, 135.5, 139.4, 142.8, 153.8, 155.7;
【0158】
(化合物34の合成)
【化50】
化合物33(100mg、0.1484mmol、1当量)およびトリ−tert−ブチルピリジン(TBP)(73.4mg、0.2967mmol、2当量)をCHCl(3mL)に溶解し、これに続いて、CHCl中BCl(0.6mL、1M、4当量)を添加した。AlCl(40mg、0.2967mmol、2当量)を添加し、室温で2時間撹拌すると、赤色の溶液は青色に変化した。追加の2当量のAlClを添加し、2時間撹拌した。過剰のBClの除去後、反応混合物をCHCl(5mL)に再溶解し、NMeCl(32.5mg、0.2967mmol、2当量)を添加した。溶液は、ピンク−紫色に即時に変化した。続いて、CHClの除去後、反応混合物をトルエン(20mL)に再溶解し、Zn(C(237.4mg、0.5936mmol、4当量)を添加した。反応物を60℃で一晩撹拌したままにしておくと、紫色の溶液が生じた。蒸発後、塩基処理した(5%トリエチルアミン95%ヘキサン)分取TLC(ヘキサン:CHCl、7:3)での精製により、紫色の固体を得た。収率(47.7mg、0.035mmol、24%)。
【0159】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 0.76 (t, 3JHH = 8 Hz, 6H), 1.15(m, br, 18H), 1.32 (m, br, 6H), 2.10 (m, br, 2H), 2.41 (m, br, 2H), 4.69 (m, br, 1H), 7.91 (br, 2H), 7.97 (br, 2H), 8.03 (br, 3H), 8.20 (s, br,1H), 8.45 (br, 1H), 8.50 (br, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ = 14.0, 22.5, 27.0, 29.2, 29.3, 29.5, 31.7, 33.9, 56.5, 102.0, 104.7, 119.4, 121.6 (br), 124.4, 124.9, 125.2, 125.4, 125.7, 127.1, 127.5, 130.2, 133.4, 136.2 (br), 138.7 (br), 139.8, 141.4 (br), 143.1, 146.4 (br), 147.1, 148.8 (br), 155.0;
19F NMR (376 MHz, CDCl3) = -162.8 (m, 2F), -156.7 (m, 1F), -131.8 (d, 3JFF= 18.8 Hz, 2F).
【0160】
(化合物35の合成)
【化51】
BCl(DCM中1M)(0.4mL、0.4mmol)を、3−(7−ブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール−4−イル)−10−(2−エチルヘキシル)−10H−フェノチアジン(33mg、0.06mmol)のDCM(2mL)中撹拌溶液に添加した。溶液の色はオレンジ色から濃青色に即時に変化した。3時間後、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジン(16mg、0.06mmol)を反応混合物に添加すると、溶液の色が濃青色から濃緑色へと即時に変化した。16時間撹拌した後、溶媒および過剰のBClを減圧下で除去し、反応混合物をDCM(2mL)中に再溶解した。Zn(Ph)(31mg、0.14mmol)を反応混合物に添加し、これを3時間撹拌した。反応混合物を、シリカゲルを介して濾過し、分取シリカゲルTLC[溶離液:ヘキサン/DCM(8/2)]で精製して、濃青色/緑色の残渣として化合物35を生成した。収率(17mg、39%)
【0161】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.87 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.80 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 7.70 (s, 1 H), 7.24 - 6.96 (m, 12 H), 6.85 - 6.77 (m, 2 H), 6.74 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 3.50 (d, J = 6.7 Hz, 2 H), 1.68 (td, J = 6.1, 12.2 Hz, 1 H), 1.25 - 0.95 (m, 8 H), 0.72 (t, J = 7.0 Hz, 3 H), 0.63 (t, J = 7.5 Hz, 3 H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ = 153.0, 147.5, 145.7, 145.6, 135.6, 133.6, 133.5, 128.9, 127.7, 127.4, 127.3, 126.2, 126.2, 124.6, 124.6, 124.2, 122.5, 122.3, 121.6, 121.3, 116.1, 109.9, 50.9, 35.6, 30.4, 28.3, 23.7, 23.0, 14.0, 10.3;
11B NMR (128.4 MHz, CDCl3): δ = 2.0 (広幅);
【0162】
(化合物36の合成)
【化52】
2,5−ジブロモ−3,4−ジニトロ−チオフェン(1.01g、3.0mmol)、トリブチル(9,9’−ジオクチル−9H−フルオレン−2−イル)−スタンナン(5.0g、7.3mmol)、Pd(dba)(140mg、0.15mmol)およびS−Phos(264mg、0.6mmol)をTHF(30mL)に溶解し、反応混合物を70℃で20時間撹拌した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固し、されたシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:ヘキサン/DCM(8/2)]を使用して精製して、淡黄色の固体として化合物36を生成した。収率(1.72g、59%)
【0163】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.82 (d, J = 7.6 Hz, 2 H), 7.78 (dt, J = 1.5, 3.9 Hz, 2 H), 7.58 - 7.49 (m, 4 H), 7.46 - 7.35 (m, 6 H), 2.14 - 1.92 (m, 8 H), 1.28 - 1.03 (m, 40 H), 0.84 (t, J = 7.1 Hz, 12 H), 0.78 - 0.59 (m, 8 H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 151.6, 151.3, 143.9, 141.2, 139.6, 136.7, 128.3, 127.9, 127.1, 126.3, 123.6, 123.0, 120.4, 120.2, 77.3, 76.7, 55.4, 40.1, 31.7, 29.9, 29.2, 23.8, 22.6, 14.0;
【0164】
(化合物37の合成)
【化53】
化合物35(300mg、0.32mmol)を、エタノール(18mL)とトルエン(6mL)の混合物に溶解した。スズ粉末(0.5g、2.5mmol)をこの溶液に添加し、濃縮HCl(37%)(6mL)を懸濁液に滴下添加した。次いで、反応混合物を50℃で6時間加熱した。次いで、反応混合物を水性NaOH(2M)で中和し、DCMで抽出した(3×20mL)。有機層を合わせ、減圧下で蒸発乾固した。反応混合物をDCM(10ml)に溶解し、トリメチルアミン(2mL)を添加した。グリオキサール(HO中40重量%)(0.5mL、3.4mmol)を反応混合物に滴下添加し、16時間撹拌した。反応混合物を脱水し(MgSO)、減圧下で蒸発乾固し、シリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:ヘキサン/DCM(8/2)]を使用して精製して、暗赤色の残渣として化合物37を生成した。収率(232mg、79%)
【0165】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.59 (s, 2 H), 8.31 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 8.11 (s, 2 H), 7.84 (d, J = 7.9 Hz, 2 H), 7.77 (d, J = 7.1 Hz, 2 H), 7.44 - 7.31 (m, 6 H), 2.17 - 1.96 (m, 8 H), 1.26 - 1.02 (m, 40 H), 0.87 - 0.65 (m, 20 H);
【0166】
(化合物38の合成)
【化54】
BCl(DCM中1M)(0.1mL、0.1mmol)を、37(57mg、0.06mmol)のDCM(2mL)中撹拌溶液に添加した。暗赤色の溶液は、緑色に即時に変化し、溶液を10分間撹拌し、次いで、過剰のBClおよび溶媒を減圧下で除去した。生成した残渣をDCM(2mL)に溶解し、AlMe(ヘプタン中2M)(0.1mL、0.2mmol)を反応混合物に添加した。10分後、過剰のAlMeおよび溶媒を減圧下で除去した。生成した残渣を分取シリカゲルTLC[溶離液:ヘキサン/DCM(8/2)]で精製して、濃緑色の残渣として化合物38を生成した。収率(42mg、68%)
【0167】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.76 (d, J = 2.3 Hz, 1 H), 8.31 - 8.18 (m, 2 H), 8.08 (s, 1 H), 7.89 - 7.72 (m, 4 H), 7.60 (s, 1 H), 7.43 - 7.28 (m, 6 H), 2.17 - 1.91 (m, 8 H), 1.24 - 1.13 (m, 14 H), 1.09 (br. s., 29 H), 0.80 (t, J = 6.9 Hz, 22 H), 0.34 (s, 6 H);
【0168】
(化合物39の合成)
【化55】
BCl(DCM中1M溶液)(0.12mL、0.12mmol)を、シュレンクフラスコ内で、化合物2(0.50g、0.1mmol)のDCM(3mL)中の明るいオレンジ色の溶液に添加した。反応混合物を窒素の動的流れの下で16時間撹拌した時点で濃青色への色の変化が観察された。溶媒および過剰のBClを減圧下で除去して、濃青色の残渣を生成した。残渣をトルエンに再溶解し、次いで、Zn(Ph)(50mg、0.23mmol)を反応混合物に添加し、3時間撹拌し、次いで、溶液を、シリカゲルを介して濾過し、溶媒を減圧下で除去して、濃青色の残渣として化合物39を生成した。(収率46mg、69%)。
【0169】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 7.76 (d, J = 3.7 Hz, 1 H), 7.65 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.38 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.31 - 7.14 (m, 10 H), 6.84 - 6.76 (m, 2 H), 2.87 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.81 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.73 (五重線d, J = 7.6, 15.1 Hz, 4 H), 1.49 - 1.20 (m, 20 H), 0.98 - 0.83 (m, 6 H);
13C NMR (101MHz , CDCl3) δ = 160.7 (広幅), 154.0 (広幅), 151.5, 148.9, 147.8, 147.4, 135.4, 133.2, 130.9, 130.3, 127.9, 127.6, 127.3, 126.0, 125.4, 124.9, 123.6, 121.6, 31.9, 31.8, 31.6, 31.5, 30.5, 30.2, 29.3, 29.3, 29.2, 29.2, 29.1, 22.7, 14.1;
【0170】
類似の磁気環境により、いくつかのCH共鳴は明瞭に観察されなかった。
11B NMR (128.4 MHz, CDCl3) δ =認められず
MALDI-TOF: C36H44BN2S3+[M - C6H5]+の計算値611.8, 実測値611.7
【0171】
(化合物40の合成)
【化56】
BCl(DCM中1M溶液)(0.15mL、0.12mmol)を、シュレンクフラスコ内で、化合物3(0.095g、0.1mmol)のDCM(3mL)中の明るいオレンジ色の溶液に添加した。反応混合物を16時間撹拌した時点で濃青色への色の変化が観察された。溶媒および過剰のBClを減圧下で除去することによって、濃青色の残渣を生成した。5−トリメチルスタンニル−2−メチルチオフェン(81mg、0.3mmol)およびAlCl(1mg)を反応混合物に添加した。反応混合物は、青色から紫色へと即時に変化した。16時間撹拌後、反応混合物を減圧下で蒸発乾固し、塩基処理した(ヘキサン中5%NEt)分取シリカゲルTLC[溶離液:ヘキサン]を使用して残渣を精製して、紫色の残渣として化合物40を生成した。収率(75mg、64%)
【0172】
(化合物41〜43の合成)
【化57】
BCl(DCM中1M)(×当量)および2,4,6−トリtertブチルピリジン(×当量)をポリ−F8BTのトルエン中撹拌溶液に添加した。次いで、反応混合物を密閉した装置内で16時間撹拌した。次いで、Zn(Ph)(2.2×当量)を反応混合物に添加し、反応混合物を3時間撹拌した。次いで、反応混合物をシリカのプラグに通し、メタノールの滴下添加で沈殿させた。
【0173】
化合物41=80%ホウ素化。収率(390mg、)
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.55 - 8.39 (m, 1 H), 8.16 - 7.70 (m, 7.6 H), 7.41 - 7.14 (m, 12 H), 2.11 (br. s., 5.4 H), 1.24 - 1.04 (m, 27 H, 1.04 - 0.73 (m, 11 H);
Mn = 16000
化合物42=42%ホウ素化
化合物43=25%ホウ素化
【0174】
(化合物44の合成)
【化58】
BCl(DCM中1M)(0.3mL、0.3mmol)を、ポリ((9,9−ジオクチルフルオレン)−2,7−ジイル−alt−[4,7−ビス(3−ヘキシルチエン−5−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール]−2’,2’’−ジイル)(100mg、0.11mmol)のトルエン(10mL)中溶液に添加すると、反応混合物の色は暗赤色から濃緑色へと即時に変化した。反応混合物を、窒素の動的流れの下で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を脱気し、AlMe(ヘプタン中2M)(0.2mL、0.4mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、次いで、脱気した。次いで、反応混合物を、シリカのプラグに通し、メタノールの添加で沈殿させた。次いで、ヘキサン、アセトンおよび最終的にはクロロホルムを使用するSoxhlet抽出で、生成した濃緑色の粉末を精製した。次いで、メタノールの添加によりクロロホルム溶液を沈殿させ、生成した濃緑色の粉末を濾取し、乾燥させた。収率(31mg、31%)
【0175】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.03 (br. s., 1 H), 7.92 (br. d., 1 H), 7.80 (br. t., 2 H), 7.64 - 7.49 (m, 5 H), 2.90 (br. s., 2 H), 2.82 (br. s., 2 H), 2.05 (br. s., 4 H), 1.54 - 1.03 (m, 48 H), 0.96 - 0.69 (m, 20 H), 0.51 (br, s, 6 H);
Mn = 33000
【0176】
(化合物45の合成)
【化59】
Zn(Ph)(110mg、0.5mmol)を、化合物14(212mg、0.213mmol、前述のようにインサイチューで作製した)のDCM(5mL)溶液に添加し、反応物を3時間撹拌し、次いで、溶液を、シリカゲルを介して濾過し、溶媒を減圧下で除去して、暗紫色の残渣として化合物45を生成した。(収率231mg、0.213mmol、99%)。
【0177】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.52 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 8.18 (s, 1 H), 8.12 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 8.06 (s, 1 H), 8.01 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.95 (s, 1 H), 7.87 (dd, J = 2.4, 5.4 Hz, 1 H), 7.76 - 7.68 (m, 1 H), 7.53 - 7.24 (m, 16 H), 2.27 - 2.03 (m, 8 H), 1.36 - 1.20 (m, 40 H), 1.00 - 0.76 (m, 20 H) ;
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ = 154.3, 153.0, 152.2, 151.3, 149.1, 147.8, 142.4, 140.7, 135.3, 133.6, 130.1, 128.9, 127.6, 127.4, 126.7, 126.1, 125.8, 123.5, 122.7, 120.6, 116.4, 110.5, 54.8, 40.6, 31.7, 30.0, 29.2, 29.1, 23.9, 22.5, 14.0
11B NMR (128.4 MHz, CD2Cl2): δ = 2.0 (広幅な一重線);
【0178】
類似の磁気環境により、いくつかのCHまたはCH共鳴は明瞭に観察されなかった。
MALDI-TOF: C70H88BN2S+[M - C6H5]+の計算値1000.4, 実測値1000.5
【0179】
(化合物46の合成)
【化60】
化合物32(70mg、0.06mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジボロン酸(40mg、0.06mmol)およびビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(8mg、0.016mg)をTHF(5mL)に溶解し、次いで、2M KPO(0.62mL、0.12mmol)を溶液に添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、水(30mL)で洗浄し、脱水した(MgSO)。溶液を減圧下で濃縮し、メタノール中で沈殿させた。生成した濃青色の固体を濾取し、次いで、乾燥させた。収率(47mg、55%);
【0180】
1H NMR (400MHz ,CDCl3) δ = 8.47 (br. s., 2 H), 8.24 - 7.87. (br. m., 10 H), 7.76 (br. s., 3 H), 7.32 (br. s., 11 H), 7.24 (br. s., 17 H), 2.25 - 1.96 (m, 7 H), 1.31 - 0.68 (br. m., 80 H);
Mn = 32000
【0181】
[実施例2]
<吸収および発光実験>
DCM中、室温で、0.5〜2×10−5の範囲の溶液に対するUV−Vis吸収スペクトルを、Varian Cary 5000UV−Vis−NIR分光光度計で記録した。DCM中、室温で、蛍光スペクトルを0.5〜2x10−5の範囲の溶液について、Varian Cary Eclipse蛍光計で記録した。蛍光量子収率をトルエン溶液について測定し、クレシルバイオレット(QY=メタノール中54%)を標準として使用して予測した。固体蛍光および絶対的量子収率を、Hamamatsu C9920−02 Absolute量子収率測定装置を使用してポリマーホスト/5重量%の発光体のスピンコーティング膜上で測定した。
【0182】
図1に、非ホウ素化BT−F8−BTに対する吸収および発光スペクトルを示すす。化合物は、以下の通り特徴付けられた:
吸光係数=23329M−1cm−1
λmax=392nm
吸収開始=436nm
バンドギャップ=2.83eV
発光λmax=518nm
【0183】
図2に、ホウ素化化合物29に対する吸収および発光スペクトルを示す。化合物は、以下の通り特徴付けられた:
吸光係数=20303M−1cm−1
λmax=539nm
吸収開始=613nm
バンドギャップ=2.02eV
発光λmax=707nm
【0184】
図3に、ホウ素化化合物30に対する吸収および発光スペクトルを示す。化合物は、以下の通り特徴付けられた:
吸光係数=10427M−1cm−1
λmax=541nm
吸収開始=617nm
バンドギャップ=2.00eV
発光λmax=717nm
【0185】
図4および下記表1に、非ホウ素化BT−F8−BTと化合物29および30とに対する吸収および発光スペクトルの比較を示す。
【0186】
【表1】
【0187】
上記データは、ジホウ素化およびはしご構造の形成の際の、光学的バンドギャップにおける有意な減少および発光における大きな深色移動を示している。ホウ素上のC置換基をフェニル基に置き換えることによって、UV−Vis吸光度スペクトルおよび発光λmaxにわずかな変化が生じたが、フェニル置換した化合物は、はるかに強い蛍光を実証している。
【0188】
図5に、ホウ素化化合物26に対する吸収および発光スペクトルを示す。化合物は、以下の通り特徴付けられた:
吸光係数=13254M−1cm−1
λmax=592nm
吸収開始=660nm
バンドギャップ=1.88eV
発光λmax=715nm
【0189】
上記データは、F8BTのホウ素化の際の、光学的バンドギャップにおける有意な減少および発光における大きな深色移動を示している。このポリマーはまた、固体においていくらかの蛍光も示している。
【0190】
図6に、468nmで励起し、トルエンからスピンコーティングしたPF8−BTポリマーに分散した、ホウ素化化合物45、29および30の5重量%混合物を由来とする薄膜の固体光ルミネセンススペクトルを示す。
【0191】
【表2】
【0192】
図7に、トルエンに溶解したホウ素化化合物41、42および43に対する吸収および発光スペクトルを示す。
【0193】
[実施例3]
<X線分析>
すべての化合物に対するデータは、Mo Kα照射(グラファイトモノクロメーター、λ=0.71073)を備えた回折計Oxford Xcalibur Sapphire2のいずれかで記録した。CrysAlisPro[5]ソフトウエアパッケージをデータ収集、セルリファインメントおよびデータ整理に使用した。SCALE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズム、またはCu Kα照射(グラファイトモノクロメーター、λ=1.54178)を備えた回折計Bruker APEX−IIに導入された球面調和関数を使用して、実験に基づく吸収補正を適用した。Bruker APEX2ソフトウエアパッケージをデータ収集に使用し、Bruker SAINT[6]ソフトウエアパッケージをセルリファインメントおよびデータ整理に使用した。SADABS−2008/1−Bruker AXS面検出器のスケーリングおよび吸収補正を使用して、実験に基づく吸収補正を適用した。すべての構造は、直接的方法を使用して解明され[7]、Crystals[8]ソフトウエアパッケージを使用してFに対してリファインした。非水素原子は、異方性の方法でリファインした。水素原子はすべて差分マップ上に位置付け、幾何的に再配置した。
【0194】
図8に、非ホウ素化BT−F8−BTに対するX線構造を示している。構造は、好ましくない立体相互作用を示した、隣接するπ供与体とπ受容体のユニット間の有意なねじれを示す。
【0195】
図9に、ホウ素化化合物29に対するX線構造を示している。なお、図中では、オクチルR置換基は、わかりやすくするために省略している。図10に、化合物29のX線の充填構造を示す。近接した四級中心が、コアの最密充填を阻止し、その一方で、骨格を有する周辺BPhπ−πスタックは、密接なπ−π接触を介して3D充填を可能にしていることが観察された。
【0196】
図11に、ホウ素化化合物30に対するX線構造を示す。隣接するπ供与体ユニットおよびπ受容体ユニットのねじれ角が、非ホウ素化BT−F8−BTと比べて有意に減少していることが観察できた。図12に、化合物30のX線の充填構造を示す。なお、図中でオクチルR置換基は、わかりやすくするために省略している。C−F−−−C−F相互作用が固体充填より優位に立っていることが見て取れるが、その一方で近接した四級中心の存在によりいかなるπ−πスタッキングも観察されていない。
【0197】
図13に、ホウ素化化合物22についてのX線構造を示す。図14に、化合物22のX線の充填構造を示す。この化合物は、C置換されたはしご型化合物(化合物30)と類似の充填構造を有するように見られ、C−F−−−C−F相互作用が固体充填よりも優位に立っている。いかなるπ−πスタッキングも観察されなかった。
【0198】
図15に、ホウ素化化合物35についてのX線構造を示す。π−πスタッキング相互作用が観察された。
【0199】
[実施例4]
<コンピューター分析>
試料は、Gaussian09を使用してM06−2x/6311G(dp)レベルで最適化し、ゼロの仮想周波数(imaginary frequencies)を有することが確認された。
【0200】
図16に、化合物29の分子軌道計算モデリングを示す。HOMOは主にフルオレン上に位置していることが見て取れるが、周辺フェニル基にはHOMOの特徴はない。LUMOは、ベンゾチアジアゾール上に独占的に位置しているのが見られ、いかなるLUMO特徴も周辺のフェニル基上に観察されていない。
【0201】
[実施例5]
<サイクリックボルタンメトリー>
窒素流の下でCH−Instrument 1110C Electrochemical/Analyzer定電位電解装置を使用して、サイクリックボルタンメトリーを実施した。使用前に脱気し、乾燥溶媒系から得た蒸留塩化メチレン中で、0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(Fluka≧99.0%)を支持電解質として用いて、0.001M分析溶液を使用して測定を行った。ガラス状炭素は作用電極として、白金ワイヤは対電極として機能した。Ag/AgNO非水性基準電極を使用した。すべてのスキャンは、フェロセン/フェロセニウム(Fc/Fc)のレドックス対(今回の作業では、真空下で5.39eVと測定されている)に対して較正した[9]。フェロセン/フェロセニウム(Fc/Fc)レドックス対(E1/2Fc,Fc+)の半波電位は、E1/2、Fc,Fc+=(Eap+Ecp)/2(式中、EapおよびEcpはそれぞれアノードおよびカソードのピーク電位である)から予測した。
【0202】
図17に、化合物22についてのサイクリックボルタモグラムを示す。スキャンから抽出したデータを下記表2に提供する。
【0203】
【表3】
【0204】
この分子のサイクリックボルタンメトリー測定は、2つの可逆的酸化ピークおよび少なくとも1つの可逆的還元ピークを示している。この分子は、−4.44eVという極めて低いLUMOを明示している。
【0205】
図18および表3に、化合物2、9、11、39および12についてのサイクリックボルタモグラムを示す。このシリーズは、ホウ素上の置換基を変化させることによって可能となる分子のフロンティア軌道エネルギーの調節を示している。
【0206】
【表4】
【0207】
[実施例6]
<OLEDデバイス実験>
一連の最適化されていないOLEDデバイス(デバイス1〜4、表4)を、溶液処理(solution processing)により製作した。発光層(EmL)を、80重量%のPF8−BT/15重量%のPF8TFB(PF8TFB=ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)])(後者は正孔輸送を改善するために使用)中に5重量%の適当なホウ素化化合物を含有するトルエン溶液から堆積させた。デバイスを、ITO(45nm)/Plexcore OC(登録商標)(65nm)/PF8−TFB(22nm)/EmL(100nm)/Ba(3.5nm)のように構築した。5重量%の45および95%のPF8−BTのみを含有する溶液からEmLが堆積されている追加のデバイスを製作した(すなわち、正孔輸送材料PF8TFBの不在下のデバイス4)。
【0208】
【表5】
【0209】
すべてのデバイスは、低い立ち上がり電圧を保有し、PF8−BTホストにおけるこれらの光ルミネセンスデータと類似のエレクトロルミネッセンススペクトルを示したが、発光最高点がわずかに青色シフトしていた(18〜30nm)。デバイス1および4は、両方とも45を発光体として含有したが、これらは一連の化合物の中で一番高い最大EQE値(それぞれ0.46および0.48%)を示し、λmaxが678nmであり、幅広い発光がNIRに伸びていた。この発光が顕著であったデバイス2を除いて、すべてのデバイスは、F8−BTホストからの最小量の緑色の発光を示した。
【0210】
以上、本発明に係る特定の実施形態について、参照および例証を主な目的として本明細書にて説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正が当業者とって明らかなものである。
【0211】
[参考文献]
1. K. Colladet, S, Fourier, T. J. Cleij, L. Lutsen, J. Gelan, D. Vanderzande, L. H. Nguyen, H. Neugebauer, S. Sariciftci, A. Aguirre, G. Janssen and E. Goovaerts, Macromolecules 2007, 40, 65-72.
2. Van Mullekom, H. A. M.; Vekemans, J. A. J. M.; Havinga, E. E.; Meijer, E. W. Mater. Sci. Eng., R 2001, 32, 1-40.
3. G. C. Welch and G. C. Bazan, J. Am. Chem. Soc., 2011, 133 (12), 4632-4644.
4. Poverenov, N. Zamoshchik, A. Patra, Y. Ridelman and M. Bendikov, J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 5138?5149.
5. CrysAlisPro, Agilent Technologies, Version 1.171.35.19 (release 27-10-2011 CrysAlis171 .NET)
(compiled Oct 27 2011,15:02:11)
6. APEX2 V2012.2-0
7. SIR92, Altomare, A., Cascarano, G., Giacovazzo, C., Guagliardi, A., Burla, M.C., Polidori, G. & Camalli, M. (1994). J. Appl. Cryst. 27, 435.
8. Crystals, Version 14.40b, January 2012, Betteridge, P.W., Carruthers, J.R., Cooper, R.I., Prout, K. & Watkin, D.J. (2003). J. Appl. Cryst. 36, 1487.
9. C. M. Cardona , W. Li , A.E. Kaifer , D. Stockdale , G. C. Bazan , Adv. Mater. 2011, 23, 2367-2371.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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