(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記在庫判定部は、前記車両が前記所定領域において前記非稼働状態から前記稼働状態に切り替わった場合には、前記在庫状態ではないことを表す情報を前記記録部に記録する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のシステム及び特許文献1、2のいずれも、車載器からのGPS位置データに基づいて車両の現在位置を把握しているが、車両の在庫管理を扱うことはできない。つまり、工場で生産される多くの車両に対し、車両毎に車両が置かれる在庫エリアや、在庫エリアに置かれた各車両の滞在日数等を管理することはできなかった。
また従来、複数の車両が置かれる在庫エリアや各車両の滞在日数等の在庫管理を、センターの管理者がコンピュータに対し手入力で行っていたので、入力作業に多くの時間と労力を要した。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の在庫状態を容易に管理できる管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る管理システムは、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 車両に搭載され、前記車両の位置情報および稼働情報を取得して外部に送信可能な車載器と、
前記車両の外部に設置され、前記車載器から前記位置情報および前記稼働情報を受信して管理する管理装置と、
を備えた管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記車両の識別情報が入力される入力部と、
前記車載器から受信した前記位置情報を、入力された前記識別情報と対応付けて記録する記録部と、
前記位置情報が所定領域に含まれて、かつ、前記稼働情報が前記車両の稼働状態を表す情報から非稼働状態を表す情報に切り替わった場合に前記車両を在庫状態の車両と判定し、前記記録部に前記在庫状態であることを表す情報を記録する在庫判定部と、を有する、
ことを特徴とする管理システム。
【0009】
上記(1)の構成の管理システムによれば、管理装置は、車載器から送信される位置情報及び稼働情報を受信し、稼働情報が車両の稼働状態を表す情報から非稼働状態を表す情報に切り替わった場合に車両を在庫状態の車両と判定する。したがって、車両の在庫状態を容易に管理できる。また、管理装置の管理者は、入庫管理を行う際、手入力を行うことなく、車両の在庫数を集計できる。これにより、入力操作の手間を省くことができる。また、管理装置の管理者は、車両が置かれている所定領域毎の車両の在庫数や各車両の滞在日数等の詳細な情報を把握できる。
このように、管理システムは、車載器から入力される車両の位置情報および稼働情報に基づいて、当該車両が在庫状態であるか否かを判定できる。したがって、ユーザは、この管理装置の記録を参照することにより、各車両が在庫状態であるか否かを認識することができる。
【0010】
(2) 前記在庫判定部は、前記車両が前記所定領域において前記非稼働状態から前記稼働状態に切り替わった場合には、前記在庫状態ではないことを表す情報を前記記録部に記録する、
ことを特徴とする上記(1)の構成の管理システム。
【0011】
上記(2)の構成の管理システムによれば、管理装置は、車載器から送信される位置情報及び稼働情報を受信し、車両が所定領域において非稼働状態から稼働状態に切り替わった場合には、在庫状態ではないことを表す情報を記録する。したがって、車両の非在庫状態になったことを自動で記録できる。また、管理装置の管理者は、出庫管理を行う際、手入力を行うことなく、車両の在庫数を集計できる。これにより、入力操作の手間を省くことができる。
このように、車両が在庫状態から例えば納品など在庫状態以外の状態になった場合においても、当該状態の移行が記録部に自動的に記録されるので、在庫状態以外になった車両が入力忘れなどにより誤って在庫状態として記録され続けることを防止できる。
【0012】
(3) 前記入力部は、前記識別情報として前記在庫状態が終了する予定日時を入力可能であり、
前記在庫判定部は、前記稼働情報が前記車両の稼働状態を表す情報から非稼働状態を表す情報に切り替わった日時が前記予定日時以降の場合には、前記在庫状態ではないことを表す情報を前記記録部に記録する、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の構成の管理システム。
【0013】
上記(3)の構成の管理システムによれば、例えば車両の納品日時を在庫状態が終了する予定日時として記録しておくことにより、車両が納品された可能性が高い場合に記録部に記録されている情報を在庫状態から在庫ではない状態に確実に更新できる。
【0014】
(4) 前記管理装置は、前記記録部に記録された情報を表示装置に表示させる表示制御部をさらに有し、
前記記録部は、複数の前記車両それぞれについて前記在庫状態か否かを記録し、
前記表示制御部は、前記在庫状態に関する情報を集計して前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかの構成の管理システム。
【0015】
上記(4)の構成の管理システムによれば、ユーザは、在庫状態に関する情報を表示装置で見ることができる。例えば、ユーザは、各所定領域における車両の在庫数を視覚的に把握できる。また、ユーザは、どこの場所に車両の在庫が多くあるかを把握できる。また、ユーザは、各場所における車両の在庫の推移を把握できる。
このように、ユーザは、表示装置を用いて複数の車両の在庫状態の集計結果を確認することができる。したがって、管理対象となる車両が多数にのぼる場合においても、これらの車両の在庫状態が集計された形で表示されるので、ユーザは在庫状態を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両の在庫状態を容易に管理できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
本実施形態の管理システムは、在庫エリアにおける車両の在庫状態を管理する。在庫エリアは、工場で生産された車両が置かれる置き場であり、本実施形態では、工場、ヤード、ボディーメーカー、ディーラーの駐車場の4つである。また、在庫管理は、工場で生産された車両に対し生産情報が入力されることで開始する。
【0021】
図1は、管理システム5の構成を示すブロック図である。管理システム5は、ネットワーク70を介して接続される、車載器10と、センターコンピュータ(以下、単にセンターと称する)30と、ユーザPC(単に、PCとも称する)50とを含む構成を有する。
【0022】
車載器10は、運行データを記録可能な運行記録装置(デジタルタコグラフ)を含む構成を有する。なお、車載器10は、ドライブレコーダ、カーナビゲーションシステム、ETC(Electronic Toll Collection System)カード、パネルメータ等を含む構成であってもよい。
【0023】
センター30は、在庫エリア90(
図4参照)に置かれる車両の在庫状態を管理する。なお、センター30は、自動車メーカや自動車販売会社が運営するコンピュータであってもよいし、インターネット上でクラウドサービスを提供するサーバ等であってもよい。
【0024】
PC50は、在庫エリアに置かれる車両の在庫状態を表すグラフ等を表示可能な、ユーザによって利用される汎用のコンピュータである。なお、PC(以下、ユーザPCという)50は、デスクトップ型のコンピュータであってもよいし、ユーザによって所持される、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0025】
ネットワーク70は、車載器10と広域通信を行う無線基地局8が接続されるインターネット等のパケット通信網であり、車載器10とセンター30とPC50との間で行われるデータ通信を中継する。車載器10と無線基地局8との間の通信は、LTE(Long Term Evolution)/4G((4th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)で行われてもよいし、無線LAN(Local Area Network)で行われてもよい。
【0026】
車載器10は、車両3(
図2参照)に搭載され、出入庫時刻、走行距離、走行時間、走行速度、速度オーバー、エンジン回転数オーバー、急発進、急加速、急減速等の運行データを記録する。車載器10は、CPU11、揮発メモリ26B、不揮発メモリ26A、カードI/F18、音声I/F19、RTC(時計IC)21、SW入力部22及び表示部27を有する。
【0027】
CPU11は、車載器10の各部を統括的に制御する。不揮発メモリ26Aは、CPU11によって実行される動作プログラム等を格納する。カードI/F18には、運転者が所持するメモリカード18Aが挿抜自在に接続される。CPU11は、カードI/F18に接続されたメモリカード18Aに対し、運行情報(運行データ、映像等のデータを含む)を書き込む。音声I/F19には、内蔵スピーカ20が接続される。内蔵スピーカ20は、警報等の音声を発する。
【0028】
RTC21(計時部)は、現在時刻を計時する。SW入力部22には、出庫ボタン、入庫ボタン等の各種ボタンのON/OFF信号が入力される。表示部27は、LCD(liquid crystal display)で構成され、通信や動作の状態の他、警報等を表示する。
【0029】
また、車載器10は、速度I/F12A、エンジン回転I/F12B、外部入力I/F13、センサ入力I/F14、アナログ入力I/F29、GPS受信部15、通信部24及び電源部25を有する。
【0030】
速度I/F12Aには、車両の速度を検出する車速センサ12Cが接続され、車速センサ12Cからの速度パルスが入力される。車速センサ12Cは、車載器10にオプションとして設けられてもよいし、車載器10とは別の装置として設けられてもよい。エンジン回転I/F12Bには、エンジン回転数センサ(図示せず)からの回転パルスが入力される。外部入力I/F13には、外部機器(図示せず)が接続される。
【0031】
センサ入力I/F14には、加速度(G値)を検知する(衝撃を感知する)加速度センサ(Gセンサ)28が接続され、Gセンサ28からの信号が入力される。アナログ入力I/F29には、燃料量を検知する燃料量センサ(図示せず)、エンジン温度(冷却水温)を検知する温度センサ(図示せず)等の信号が入力される。CPU11は、これらのI/Fを介して入力される情報を基に、各種の運転状態を検出する。
【0032】
GPS受信部15は、GPSアンテナ15aに接続され、GPS衛星から送信される信号を受信し、現在位置情報(GPS情報)を取得する。
【0033】
通信部24は、広域通信を行い、携帯回線網(モバイル通信網)を介して無線基地局8に接続されると、無線基地局8と繋がるインターネット等のネットワーク70を介して、センター30と通信を行う。
【0034】
電源部25は、バッテリ17に接続されたイグニッションスイッチ(IGN_SW)16がオンになると、車載器10の各部に電力を供給する。なお、電源部25は、二次電池を有し、イグニッションSWのオフ時にも、通信機能等の一部の機能が動作可能となるように僅かな電力を供給している。CPU11は、電源部25からの電力が供給されると、イグニッションSW16のオン状態を検知し、電源部25からの電力が遮断されると、イグニッションSW16のオフ状態を検知する。
【0035】
センター30は、汎用のオペレーティングシステムで動作するPCである。センター30は、CPU31、通信部32、表示部33、記憶部34、カードI/F35、操作部36、及びストレージ37を有する。
【0036】
CPU31は、センター30の各部を統括的に制御する。CPU31は、車載器10から送信されるイグニッションオン/オフ情報を基に、車両3の在庫状態を管理する。CPU31は、在庫エリアに置かれる車両の在庫状態を表すグラフ等を表示部33に表示させる。また、CPU31は、車載器10から送信される運行データを基に、走行履歴情報62を更新する。
【0037】
通信部32は、ネットワーク70を介して車載器10と通信可能である。また、通信部32は、ネットワーク70に接続された各種データベース(図示せず)とも接続可能であり、必要なデータを取得可能である。
【0038】
表示部33は、在庫エリアに置かれる車両の在庫状態を表すグラフ等を表示する。記憶部34は、車載器10から送信された運行データを基に、車両の在庫数を集計するプログラム等を格納する。カードI/F35には、メモリカード18Aが挿抜自在に装着される。カードI/F35は、車載器10によって計測され、メモリカード18Aに記憶された運行データを入力する。
【0039】
操作部36は、キーボードやマウス等を有し、センター30の管理者の操作を受け付ける。ストレージ37は、データベース37z(
図2参照)に含まれるマスタ情報61及び走行履歴情報62、また、在庫管理テーブル100(
図3参照)等のデータを記憶する。マスタ情報61、走行履歴情報62、及び在庫管理テーブル100の詳細については、後述する。
【0040】
ユーザPC50は、CPU51、通信部52、表示部53、記憶部54、操作部56、及び出力部57を有する。
【0041】
CPU51は、汎用のオペレーティングシステムで動作し、各部の動作を制御する。通信部52は、有線LANあるいは無線LANを介してネットワーク70に接続され、センター30と通信を行う。表示部53は、センター30から送信される車両の在庫数グラフ等を表示する。記憶部54は、各種プログラム等を記憶する。
【0042】
操作部56は、キーボードやマウス等を有し、ユーザの操作を受け付ける。ユーザの操作として、例えばセンター30に対し各種の在庫数グラフのデータや表示データを要求する操作が挙げられる。出力部57は、各種データをプリンタ等に出力して印刷可能である。
【0043】
図2は、車載器10、センター30及びユーザPC50でそれぞれ利用されるデータを示す図である。車載器10は、車両3の総走行距離、走行中の最高速度、イグニッションオン/オフ(ON/OFF)情報、GPS位置データ、積載重量、燃料量等の運行データを取得し、ネットワーク70を介してセンター30に送信する。
【0044】
センター30は、ストレージ37に、マスタ情報61及び走行履歴情報62を含むデータベース37zを記憶する。マスタ情報61は、車両マスタ61Aと車載器マスタ61Bと顧客マスタ61Cを含む。車両マスタ61Aは、車両毎に車両コード、生産情報及び販売情報(
図4参照)を含む。車載器マスタ61Bは、車載器毎に車載器シリアル番号及び機器情報を含む。顧客マスタ61Cは、顧客毎に顧客名及びその他顧客情報を含む。また、センター30は、データベース37zとは別に、在庫管理テーブル100をストレージ37に記憶する。
【0045】
図3は、在庫管理テーブル100の登録内容を示す図である。在庫管理テーブル100は、センター30のストレージ37に記憶される。センター30は、車載器10から送信されたデータあるいは操作部36を介して入力されたデータに基づき、車両3が在庫エリア90(
図4参照)内にある場合、在庫管理テーブル100に対し追加記録・更新等の在庫管理を行う。また、センター30は、全ての在庫エリアを対象とした(指定無しの)在庫管理テーブル100を作成してもよいし、指定された在庫エリアの在庫管理テーブル100を作成してもよい。
【0046】
在庫管理テーブル100は、車両毎に、在庫エリアの種類(ロケーションタイプ)、在庫エリアの位置(ロケーション)、車両コード、入庫日時、出庫日時、及び滞在日数のデータを登録している。滞在日数は、出庫日時から入庫日時を差し引いた日数である。なお、出庫日時には、実際に車両が出庫した日時の他、出庫する予定日時(例えば納品日等)を登録してもよい。現在日時より出庫日時が先である場合、ユーザは、出庫日時が予定日時を表していることを理解できる。なお、予定日時である場合、出庫日時の表示態様を変更する(例えば、書体を斜めに変更する)ことで、視覚的に分かりやすくしてもよい。この予定日時は、後述する予定日時と同様、車両の識別情報として利用することもできる。
【0047】
図3(A)は在庫エリアをヤードに指定した場合の在庫管理テーブル100を示す。
図3(A)では、在庫エリアの種類がヤードであり、5箇所のヤード(Yard1〜Yard5)が示される。例えば、在庫管理テーブル100の3行目には、在庫エリアの種類:Yard(ヤード),在庫エリアの位置:Yard3,車両コード:0003,入庫日時:9月23日,出庫日時:9月28日,滞在日数:5のデータが登録されている。
【0048】
車両が在庫状態にあるか否かは、現在日時と出庫日時とを比較することで、判定可能である。また、例えば、在庫管理テーブル100に登録される車両毎のデータ(在庫記録)の表示態様(文字色や背景色等)を変更することで、センター30の管理者やPC50のユーザが車両毎の在庫状態(入庫中、出庫済み等)を視認できるようにしてもよい。
【0049】
また、センター30は、車両の識別情報として、車両コードの代わりに、在庫状態が終了する日時、つまり出庫する予定日時を入力し登録できるようにしてもよい。予定日時は、車載器10からセンター30に送信されるデータに含めてもよいし、事前に納品日等により滞在期限等が決まっている場合、センター30の管理者が入力してもよい。センター30は、イグニッションオンからイグニッションオフに切り替わった日時が予定日時以降の場合には、在庫状態ではないことを表す情報を、在庫管理テーブル100に記録する。在庫状態ではないことを表す情報は、在庫管理テーブル100の予定日時の文字を、「経過」等の文字に書き換えることで記録されてもよいし、在庫管理テーブルに項目を追加して記録されてもよい。また、在庫状態でないことを表す情報(在庫状態の終了)は、在庫管理テーブルとは別のファイルでストレージ37に記録されてもよい。在庫状態でなくなった一例として、車両が納車済みであるサービス状態になったことが挙げられる。また、在庫状態でなくなった車両の在庫記録は、前述したように、在庫状態にある車両の在庫記録と異なる表示態様で表示されてもよい。
【0050】
このように、例えば車両の納品日時を在庫状態が終了する予定日時として記録しておくことにより、車両が納品された可能性が高い場合に、在庫管理テーブル100に記録されている情報を在庫状態から在庫ではない状態に確実に更新できる。
【0051】
図3(B)は在庫エリアを指定しない場合の在庫管理テーブル100を示す。この在庫管理テーブル100には、全在庫エリアにおける車両の在庫記録が示される。ここでは、在庫エリアとして、工場の駐車場、ヤード等が示される。なお、出庫日時が未登録(−)つまり空白である場合(
図3(B)の在庫管理テーブルの2行目)、車両が出庫しておらず、在庫エリアに滞在していることを表す。また、出庫日時が現在日時より先である場合(
図3(B)の在庫管理テーブルの3行目)、出庫日時は予定日時であることを表す。また、車両コードが日時情報で登録されている場合、車両コードは予定日時であることを表す(図示せず)。
【0052】
上記構成を有する管理システム5の動作を示す。
図4は車両3の生産から納品までの流れの中で行われるマスタ情報61の登録を示す図である。工場150では、車両3の組み付けD1、及び車載器10の取付D2の作業が行われる。これらの作業が完了すると、マスタ情報61に対し生産情報の入力(インプット)が行われる。生産情報は、車両シャーシ番号、車載器シリアル番号、出荷日及び生産情報を含む。生産情報がマスタ情報61に登録されることで、車両マスタ61Aに登録された車両3と、車載器マスタ61Bに登録された車載器10とが紐付けられる。生産情報が入力されると、車両の在庫管理が開始される。工場150で生産された車両3は、工場150内で出荷待ちとなり、その後、出荷される(D3)。
【0053】
工場150から出荷された車両3は、ヤード91に移動し、販売先が決まるまで待機する(D4)。販売先が決まると、ヤード91に入庫した車両3のマスタ情報61に対し販売情報の入力(インプット)が行われる。販売情報は、車両シャーシ番号、車載器シリアル番号、顧客名/ディーラー名、納車日及び販売情報を含む。これにより、マスタ情報61において、車両マスタ61Aに登録された車両3と、車載器マスタ61Bに登録された車載器10と、顧客マスタ61Cに登録された顧客とが紐付けられる。なお、車両マスタ61Aに登録された車両3及び車載器マスタ61Bに登録された車載器10が、顧客マスタ61Cに登録された顧客と紐付けられる迄の間、車両3は仮会社の所属とされる。
【0054】
販売情報が入力されると、ボディーメーカー92によって外装品が車両3に取り付けられる(D5)。外装品が取り付けられた車両3は、ディーラーの駐車場93に移動し、納品まで待機する(D6)。この後、販売先への車両3の納品が行われる(D7)。
【0055】
図5は、車両が置かれる在庫エリア毎に車両の在庫数を示すグラフである。車両3に車載器10が組み付けられた後、センター30は、車載器10から送信される車両3のGPS位置情報を基に、各車両3が置かれている在庫エリアを特定する。センター30は、車両3が置かれる在庫エリア毎に、車両3の在庫数を管理している。ここでは、車両が置かれる在庫エリアとして、工場、ヤード、ボディーメーカー、ディーラーの駐車場である場合を示す。なお、車両の在庫数の代わりに、各在庫エリアに置かれている期間を表す滞在割合が在庫数と共に、あるいは在庫数とは別に示されてもよい。
【0056】
図5(A)は、工場、ヤード、ボディーメーカー及びディーラーの駐車場の各在庫エリアにおける、車両の在庫数をある時点で示す円グラフである。工場150には、12台の車両が滞在している。ヤード91には、15台の車両が滞在している。ボディーメーカー92には、9台の車両が滞在している。ディーラーの駐車場93には、3台の車両が滞在している。
【0057】
図5(B)は、工場、ヤード、ボディーメーカー及びディーラーの駐車場の各在庫エリアにおける、車両の在庫数を月別に示す棒グラフである。縦軸は車両の在庫数を示し、横軸は月単位を示す。工場、ヤード、ボディーメーカー及びディーラーの駐車場における各在庫数の推移が分かる。例えば、工場150では、7月に車両の在庫は240台であったが、11月に在庫は100台にまで減っている。また、ヤードでは、7月に車両の在庫は260台であったが、11月に在庫は110台に減っている。また、ボディーメーカーでは、7月に車両の在庫は200台であったが、11月に在庫は80に減っている。また、ディーラーの駐車場93では、7月に車両の在庫は190台であったが、11月に在庫は40台に減っている。
【0058】
このように、車両が置かれる在庫エリア毎に滞在日数をグラフ化することで、センター30の管理者は、どこの場所に車両の在庫が多くあるか分かり易くなる。また、管理者は、各在庫エリアにおける車両の在庫の推移を把握できる。
【0059】
図6は、イグニッションオフのイベント処理手順を示すフローチャートである。センター30のCPU31は、車載器10から送信される車両3のイグニッションオン/オフ情報を受信する。この処理は、センター30のCPU31が車載器10から送信される車両3のイグニッションオフ情報を受信することで、CPU31によるイベント処理として実行される。また、CPU31は、車載器10から送信される車両3のGPS位置データを通信部32を介して受信する。このGPS位置データには、時刻データが含まれる。
【0060】
CPU31は、車載器10からイグニッションオフ情報を受信すると、受信したイグニッションオフの受信日時が納車日以降であるか否かを判別する(S1)。納車日以降である場合、CPU31は、納車済みであるとして、車両マスタ61Aに含まれる車両の状態をサービス状態に変更する(S2)。サービス状態となった車両3は、在庫として集計されない。この後、CPU31は、本処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS1でイグニッションオフの受信日時が納車日前である場合、CPU31は、車両3が在庫エリア90内であるか否かを判別する(S3)。ここでは、在庫エリア90は、前述したように、工場、ヤード、ボディメーカー、ディーラーの駐車場を含む。車両3が在庫エリア90に無い場合、CPU31は、対象外であるとして何もせず(S4)、本処理を終了する。なお、ここでは、他の条件に応じた処理(S2やS6など)との比較が明示的に分かりやすくなるよう、CPU31が何も処理しないこともステップ処理としてあげている。
【0062】
また、ステップS3で車両3が在庫エリア90にある場合、CPU31は、車両3の在庫エリア90への到着が初めてでないか否かを判別する(S5)。車両3が在庫エリアに初めて到着した場合、CPU31は、在庫管理テーブル100に対し、イグニッションオフ時の在庫位置(GPS位置)で在庫記録を開始する(S6)。このとき、CPU31は、在庫管理テーブル100の入庫日時にイグニッションオフ時の日時を入力して更新する。この後、CPU31は本処理を終了する。
【0063】
また、ステップS5で車両3が在庫エリア90に2回目以降の到着である場合、CPU31は、車両3の在庫場所が前回の在庫場所と異なるか否かを判別する(S7)。つまり、CPU31は、前回車両3が停車した場所と同じであるか否かを判別する。前回の在庫場所と同じである場合、CPU31は、在庫記録を再開する(S8)。一方、前回の在庫場所と異なる場合、CPU31は、イグニッションオフ時の在庫位置で在庫記録を新たに開始する(S9)。ステップS8,S9の処理後、CPU31は本処理を終了する。
【0064】
図7は、イグニッションオンのイベント処理手順を示すフローチャートである。CPU31は、車載器10からイグニッションオン情報を受信すると、車両3が在庫エリア90内であるか否かを判別する(S11)。車両3が在庫エリア90に無い場合、CPU31は、車両3が対象外であるとして、何もせず(S12)、本処理を終了する。
【0065】
また、ステップS11で車両3が在庫エリア90にある場合、CPU31は、車両3の在庫エリア90への到着が初めてでないか否かを判別する(S13)。車両3が在庫エリア90に初めて到着した場合、CPU31は、例えば在庫エリア90内で車両3が停車位置に向かって走行する状態にあるとして、何もせず(S14)、本処理を終了する。
【0066】
また、ステップS13で車両3が在庫エリアに2回目以降の到着である場合、CPU31は、車両3の在庫場所が前回の在庫場所と同じであるか否かを判別する(S15)。つまり、CPU31は、前回車両3が停車した場所と同じであるか否かを判別する。
【0067】
前回の在庫場所と異なる場合、CPU31は、前回の在庫記録にエラーフラグを立て、この在庫記録を無効にする(S16)。在庫記録がエラーになる場合、例えば、在庫管理テーブル100の該当するデータの表示態様(点滅表示等)が変更される。在庫記録がエラーとなる場合として、例えば、イグニッションオフからイグニッションオンになるまでの間、車両がフェリー等を使って走行せずに移動した場合が挙げられる。この後、CPU31は本処理を終了する。
【0068】
また、ステップS15で前回の在庫場所と同じである場合、CPU31は、在庫記録の終了として、在庫管理テーブル100の出庫日時にイグニッションオン時の日時を入力して更新する(S17)。この後、CPU31は本処理を終了する。
【0069】
このように、
図6及び
図7に示したイグニッションオフあるいはイグニッションオンのイベント処理を、センター30のCPU31が実行することで、在庫エリア90における車両の在庫状態を表す在庫管理テーブル100が自動で記録・更新される。
【0070】
図8は、管理システム5の動作手順を示すシーケンス図である。
図8に示す管理システム5の動作は、一例であり、他の動作例であってもよい。車載器10は、車両3のイグニッションSW16のオン/オフを常時監視している。また、車載器10は、GPS受信部15で受信したGPS信号を基に、GPS位置データを繰り返し取得可能である。
【0071】
車載器10は、あるタイミングでイグニッションSW16のオフ(イグニッションオフ)を検知する(T1)。車載器10は、イグニッションオフを検知すると、GPS位置データを取得する(T2)。車載器10は、イグニッションオフ情報、GPS位置データ、車両コード、走行距離、走行中の最高速度等を含むデータをセンター30に送信する(T3)。
【0072】
センター30は、車載器10から送信されたイグニッションオフを含むデータを基に、前述した
図6のイグニッションオフのイベント処理に従い、車両3の入庫を判断する(T4)。さらに、センター30は、ストレージ37に記憶される在庫管理テーブル100に車両コード、入庫日時等を登録し、在庫管理テーブル100を更新する(T5)。
【0073】
センター30は、更新された在庫管理テーブル100に登録されたデータを基に、各在庫エリアにおける在庫数を集計し、在庫数グラフ120,130を作成する(T6)。センター30は、作成した在庫数グラフ120,130を表示部33に表示する(T7)。
【0074】
ユーザPC50は、ネットワーク70を介して、センター30に対し在庫数グラフ120,130を要求する(T8)。センター30は、ユーザPC50からの在庫数グラフ120,130の要求を受け付けると、ネットワーク70を介して、在庫数グラフ120,130をユーザPC50に返信する(T9)。ユーザPC50は、センター30から送信された在庫数グラフ120,130を表示部53に表示する(T10)。
【0075】
また、車載器10は、あるタイミングでイグニッションSW16のオン(イグニッションオン)を検知する(T11)。イグニッションオン時の動作は、イグニッションオフ時と同様である。車載器10は、イグニッションオンを検知すると、GPS位置データを取得する(T12)。車載器10は、イグニッションオン情報、GPS位置データ、車両コード等を含むデータをセンター30に送信する(T13)。
【0076】
センター30は、車載器10から送信されたイグニッションオンを含むデータを基に、前述した
図7のイグニッションオンのイベント処理に従い、車両3の出庫を判断する(T14)。さらに、センター30は、ストレージ37に記憶される在庫管理テーブル100に車両コード、出庫日時等を登録し、在庫管理テーブル100を更新する(T15)。
【0077】
センター30は、更新された在庫管理テーブル100に登録されたデータを基に、各在庫エリアにおける在庫数を集計し、在庫数グラフ120,130を作成する(T16)。センター30は、作成した在庫数グラフ120,130を表示部33に表示する(T17)。以後、同様の動作が行われる。
【0078】
以上のように、本実施形態の管理システム5は、在庫エリアにあり、かつ、イグニッションオフである車両の数を、車両の在庫数とした。車載器10は、車両3のGPS位置データ及びイグニッションオフ情報を、センター30に送信する。センター30は、車載器10から送信されるGPS位置データとイグニッションオフ情報を受信することで、車両3の入庫を記録する。したがって、管理システム5は、車両の在庫状態を容易に管理できる。また、センターの管理者は、入庫管理を行う際、手入力を行うことなく、車両の在庫数を集計できる。これにより、入力操作の手間を省くことができる。また、センター30の管理者は、車両3が置かれている在庫エリア90毎の車両の在庫数や各車両の滞在日数等の詳細な情報を把握できる。
【0079】
このように、管理システムは、車載器から入力される車両の位置情報および稼働情報に基づいて、当該車両が在庫状態であるか否かを判定できる。したがって、ユーザは、この管理装置の記録を参照することにより、各車両が在庫状態であるか否かを認識することができる。
【0080】
また、センター30は、車載器10から送信されるGPS位置データとイグニッションオン情報を受信し、車両が在庫エリアにおいて非稼働状態から稼働状態に切り替わった場合には、在庫状態ではないことを表す情報を記録する。したがって、車両の非在庫状態になったことを自動で記録できる。また、センター30の管理者は、出庫管理を行う際、手入力を行うことなく、車両の在庫数を集計できる。これにより、入力操作の手間を省くことができる。
【0081】
このように、車両が在庫状態から例えば納品など在庫状態以外の状態になった場合においても、当該状態の移行がストレージ37に記憶されている在庫管理テーブルに自動的に記録されるので、在庫状態以外になった車両が入力忘れなどにより誤って在庫状態として記録され続けることを防止できる。
【0082】
また、センター30は、車両の識別情報として、車両コードの代わりに、在庫状態が終了する予定日時を入力可能である。予定日時は、車載器10からセンター30に送信されるデータに含めてもよいし、事前に滞在期限等が決まっている場合、センター30の管理者が入力してもよい。センター30は、イグニッションオンからイグニッションオフに切り替わった日時が予定日時以降の場合には、在庫状態ではないことを表す情報を、ストレージ37に記憶されている在庫管理テーブル100あるいは別のファイルに記録する。
【0083】
このように、例えば車両の納品日時を在庫状態が終了する予定日時として記録しておくことにより、車両が納品された可能性が高い場合にストレージ37に記録されている情報を在庫状態から在庫ではない状態に確実に更新できる。
【0084】
また、センター30の管理者及びPC50のユーザは、センター30の表示部33及びユーザPC50の表示部53に、それぞれ各在庫エリアにおける車両3の在庫数を円グラフで表示可能である。また、センター30の管理者及びPC50のユーザは、センター30の表示部33及びPC50の表示部53にそれぞれ表示される、各在庫エリアにおける車両の在庫数を月別に棒グラフで見ることができる。したがって、センター30の管理者及びPC50のユーザは、各在庫エリアにおける車両の在庫数を視覚的に把握できる。また、センター30の管理者及びPC50のユーザは、どこの場所に車両の在庫が多くあるかを把握できる。また、センター30の管理者及びPC50のユーザは、各場所における車両の在庫の推移を把握できる。
【0085】
また、車両毎に滞在日数や在庫エリア等を記録することができ、在庫管理の詳細な情報を得ることができる。例えば、工場内に車両の在庫数が多い場合、組み付け途中(仕掛中)の車両が多いことを把握でき、センターの管理者が工程を見直す、在庫数を減らす等の生産計画の改善を図ることもできる。
【0086】
また、センターの管理者及びPCのユーザは、在庫エリア毎に在庫数の変化の推移を確認し、時期に応じて適切な対策を立てることができる。例えば、7月に在庫数が増加する場合、事前に生産台数を減らす、販促活動を行う等、在庫数の低減に寄与する対策を講じることもできる。
【0087】
このように、ユーザは、表示装置を用いて複数の車両の在庫状態の集計結果を確認することができる。したがって、管理対象となる車両が多数にのぼる場合においても、これらの車両の在庫状態が集計された形で表示されるので、ユーザは在庫状態を容易に把握することができる。
【0088】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0089】
例えば、上記実施形態では、車両の稼働情報として、イグニッションオン/オフ情報を用いた。イグニッションオフを車両が駐車している判断としたが、車速センサから得られる速度が一定時間値0であること、運転席に座るドライバーが所定期間不在であること等で、車両の駐車の判断としてもよい。
【0090】
また、在庫数グラフ等を表示可能な表示装置は、センターの表示部やユーザPCの他、センターに直結された外部の表示装置や、ネットワークを介して接続される外部表示装置であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、在庫管理テーブルに登録される、入庫日時及び出庫日時に基づいて、在庫の有無を判断していたが、在庫の有無を表すフラグを登録できるようにしてもよく、この場合、フラグの値で即座に在庫の有無を判断できる。
【0092】
ここで、上述した本発明に係る管理システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両(3)に搭載され、前記車両の位置情報(GPS位置データ)および稼働情報(イグニッションオン/オフ情報)を取得して外部に送信可能な車載器(10)と、
前記車両の外部に設置され、前記車載器から前記位置情報および前記稼働情報を受信して管理する管理装置(センター30)と、
を備えた管理システム(5)において、
前記管理装置は、
前記車両の識別情報(車両コード)が入力される入力部(通信部32)と、
前記車載器から受信した前記位置情報を、入力された前記識別情報と対応付けて記録する記録部(ストレージ37)と、
前記位置情報が所定領域(在庫エリア90)に含まれて、かつ、前記稼働情報が前記車両の稼働状態を表す情報から非稼働状態を表す情報に切り替わった場合に前記車両を在庫状態の車両と判定し、前記記録部に前記在庫状態であることを表す情報を記録する在庫判定部(CPU31)と、を有する、
ことを特徴とする管理システム。
【0093】
[2] 前記在庫判定部は、前記車両が前記所定領域において前記非稼働状態から前記稼働状態に切り替わった場合には、前記在庫状態ではないことを表す情報(出庫日時)を前記記録部に記録する、
ことを特徴とする[1]に記載の管理システム。
【0094】
[3] 前記入力部は、前記識別情報として前記在庫状態が終了する予定日時を入力可能であり、
前記在庫判定部は、前記稼働情報が前記車両の稼働状態を表す情報から非稼働状態を表す情報に切り替わった日時が前記予定日時以降の場合には、前記在庫状態ではないことを表す情報を前記記録部に記録する、
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載の管理システム。
【0095】
[4] 前記管理装置は、前記記録部に記録された情報を表示装置(表示部53)に表示させる表示制御部(CPU31)をさらに有し、
前記記録部は、複数の前記車両それぞれについて前記在庫状態か否かを記録し、
前記表示制御部は、前記在庫状態に関する情報を集計して前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項[1]乃至[3]のいずれかに記載の管理システム。