【文献】
KIM James et al.,”Analysis of Cartilage-Polydioxanone Foil Composite Grafts”,Facial Plast Surg,2013年12月,29(6),502-505
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
近位端が前記ボディに固定されていて、遠位端が前記ボディに固定されていない第2のアームであって、前記第2のアームの前記遠位端は、前記ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されている、前記第2のアームを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のインプラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載されているのは、体内に配置されるインプラント、インプラントを送達するツール、並びに、体内に配置するインプラント及びツールを使用するシステム及び方法であり、特に、鼻インプラント、鼻インプラントを送達するツール、並びに、そのようなインプラント及びツールを使用するシステム及び方法である。これらは、外来患者の処置を含む、最小限の侵襲性の処置において有用となりうるものであり、結果として、痛みを最小限に抑え、回復を速めることが可能である。これらのシステム、アセンブリ、及び方法は、例えば、医師の診察室や診療所において使用されてよく、場合によっては、適切な局所麻酔薬さえあればよい。これらのインプラント、アセンブリ、システム、及び方法は、内鼻弁や外鼻弁などの鼻組織を支持又は修復することに特に有用であろう。インプラントによっては、鼻の機能又は鼻の美容の改善の為の長期的なソリューションを提供することが可能であり、長期間にわたって分解する半永久的なインプラントは、インプラントが劣化しない間に鼻組織を短期的に支持することが可能であり、鼻組織を強化し、鼻組織を長期的に支持する身体反応(例えば、線維形成反応)を引き起こすことが可能である。鼻を処置するシステムは、周辺の鼻組織を構造的に支持する生体吸収性材料を含む、事前整形された、又は整形可能な鼻インプラントを使用することが可能である。本アセンブリ及びシステムは、患者の鼻組織を貫通して、患者の鼻の中でインプラントを厳密に位置決めできるようにすることが可能である。
【0009】
本発明の一態様は、患者の鼻の一組織セクションを支持する方法を提供し、本方法は、鼻の組織(例えば、粘膜、筋肉、又は皮膚組織)に送達ツールを挿入するステップと、遠位端に第1のアームを含むインプラントを、送達ツールから遠位方向に前進させて、インプラントの遠位端を鼻組織内に配置するステップと、前進させるステップの間に、アームをインプラントの中心長手軸から離すステップと、送達ツールを引き抜いて、インプラントの中央部を患者の皮膚の深い場所に配置するステップと、その組織セクションをインプラントで支持するステップと、を含む。
【0010】
実施形態によっては、インプラントは第2のアームを含み、本方法は更に、前進させるステップの間に、第2のアームをインプラントの中心長手軸から離すステップを含む。実施形態によっては、インプラントは第2のアームを含み、本方法は更に、第1のアームと第2のアームを離すステップを含む。
【0011】
実施形態によっては、インプラントの中央部が、鼻軟骨と患者の皮膚との間に配置される。
【0012】
実施形態によっては、インプラントを遠位方向に前進させるステップは、上顎鼻骨縫合線又はその近くにおいて、インプラントを、患者の皮膚と上顎骨との間で前進させるステップを含む。
【0013】
実施形態によっては、インプラントの中央部は、曲げ剛性が10N−mm
2から590N−mm
2、30N−mm
2から450N−mm
2、60N−mm
2から250N−mm
2、75N−mm
2から200N−mm
2、9N−mm
2から130N−mm
2、又は50N−mm
2から130N−mm
2である。実施形態によっては、インプラントは、本質的には生体吸収性材料で構成される。実施形態によっては、インプラントは、2種類以上の生体吸収性材料を含む。実施形態によっては、インプラントは、生体吸収性材料及び非吸収性材料を含む。
【0014】
実施形態によっては、インプラントを送達ツールに装填するステップを含む。実施形態によっては、送達ツールは、ハンドル部と、ハンドル部より遠位に配置された針と、を含み、装填するステップは、インプラントをハンドル部に装填し、インプラントを針内へと前進させるステップを含む。実施形態によっては、送達ツールは針を含み、挿入するステップは、針の遠位端を鼻の組織(例えば、粘膜組織)に挿入するステップを含む。実施形態によっては、インプラントを針に装填するステップを含む。これらの実施形態の幾つかでは、装填するステップは、インプラントを針の近位端に装填するステップを含み、本方法は更に、挿入するステップの前にインプラントを針の遠位端まで前進させるステップを含む。これらの実施形態の幾つかでは、装填するステップは、インプラントを針の近位端に装填するステップを含み、本方法は更に、挿入するステップの前にインプラントを針の遠位端まで前進させるステップを含む。更に又、これらの実施形態の幾つかでは、本方法は、挿入するステップの間に、インプラントと針との間で既知の方向を維持するステップを含む。
【0015】
本発明の別の態様は、本質的には生体吸収性材料で構成されるボディと、遠位端に配置された第1のアームと、近位端に張力緩和セクションと、を含む鼻インプラントを提供し、ボディは、遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に配置された中央部と、を含み、中央部は、曲げ剛性が10N−mm
2から590N−mm
2、30N−mm
2から450N−mm
2、60N−mm
2から250N−mm
2、又は75N−mm
2から200N−mm
2、50N−mm
2から130N−mm
2であり、第1のアームは、近位端がボディに固定されており、遠位端がボディに固定されておらず、第1のアームの遠位端は、ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されている。
【0016】
実施形態によっては、遠位端に配置された第2のアームを含み、第2のアームは、近位端がボディに固定されており、遠位端がボディに固定されておらず、第2のアームの遠位端は、ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されている。これらの実施形態の幾つかでは、第1及び第2のアームは、それらの配備時構成に向かって付勢されている。これらの実施形態の幾つかでは、第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向内側の面にベベルを含む。実施形態によっては、第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向外側の面にベベルを含む。
【0017】
実施形態によっては、中央部は、2つのセクションの断面積が異なる複数のセクションを含む。実施形態によっては、中央部はリッジを含む。実施形態によっては、インプラントは、とがっていない近位端を含む。
【0018】
本発明の別の態様は、鼻インプラント送達ツールを提供し、これは、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びる針であって、非円形断面を有する内腔を有し、鋭い遠位端を有する針と、鼻インプラントを針内腔に沿って動かし、針の遠位端の開口部から出すように適合されているアクチュエータと、を含む。
【0019】
実施形態によっては、送達ツールは更に、針内腔と連通していて、鼻インプラントを針内腔に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを含む。実施形態によっては、インプラント装填チャンバは、鼻インプラントが針内腔内へと前進するにつれて、鼻インプラントを配備時構成から送達時構成に移行させるように適合されている。幾つかのそのような実施形態では、インプラント装填チャンバは、鼻インプラントが針内腔内へと前進するにつれて、鼻インプラントを配備時構成から送達時構成に移行させるように適合されている。
【0020】
実施形態によっては、鼻インプラントが針内腔の遠位端にあるときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含む。幾つかのそのような実施形態では、アクチュエータレジスタは、アクチュエータ上又はハンドル上にマーキングを含む。
【0021】
実施形態によっては、インプラントの少なくとも遠位部分が針内腔から出たときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含む。幾つかのそのような実施形態では、アクチュエータレジスタは、アクチュエータがそれ以上移動しないようにする停止要素である。
【0022】
本発明の別の態様は、送達ツールを含むシステムを提供し、送達ツールは、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びる針であって、非円形断面を有する内腔を有し、長軸及び短軸と、鋭い遠位端とを有する針と、鼻インプラントを針内腔に沿って動かし、針の遠位端の開口部から出すように適合されているアクチュエータと、を含み、本システムは更に、針内腔内に配置されて、第1及び第2のアームを遠位端に含む鼻インプラントを含み、第1及び第2のアームはそれぞれ、近位端がインプラントに固定されており、遠位端がインプラントに固定されておらず、各アームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されており、第1及び第2のアームはそれぞれ、長軸の対向する端部において針内腔の内面と係合するベベル面を含む。
【0023】
実施形態によっては、本システムは、インプラントの遠位端にある第2のアームを含み、第2のアームは、近位端がインプラントに固定されており、遠位端がインプラントに固定されておらず、第2のアームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されていて、第2のアームは、針内腔の内面と、長軸の、第1のアームと反対側の端部において係合するベベル面を含む。
【0024】
実施形態によっては、送達ツールは更に、針内腔と連通していて、鼻インプラントを針内腔に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを含む。幾つかのそのような実施形態では、インプラント装填チャンバは、鼻インプラントが針内腔内へと前進するにつれて、鼻インプラントを配備時構成から送達時構成に移行させるように適合されている。
【0025】
実施形態によっては、送達ツールは更に、鼻インプラントが針内腔の遠位端にあるときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含む。幾つかのそのような実施形態では、アクチュエータレジスタは、アクチュエータ上又はハンドル上に(1つ以上の)マーキングを含む。
【0026】
実施形態によっては、送達ツールは更に、インプラントの少なくとも遠位部分が針内腔から出たときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含む。幾つかのそのような実施形態では、アクチュエータレジスタは、アクチュエータがそれ以上移動しないようにする停止要素である。実施形態によっては、送達ツールは、インプラント(例えば、インプラントの遠位部分)が針内腔から出たという信号を与えるように構成されたインジケータを含む。
【0027】
実施形態によっては、鼻インプラントの第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向内側の面にベベルを含む。実施形態によっては、鼻インプラントは更に、近位端に張力緩和セクションを含む。実施形態によっては、鼻インプラントは更に、近位端と遠位端との間に配置された中央部であって、曲げ剛性が50N−mm
2から130N−mm
2である中央部を含む。実施形態によっては、鼻インプラントは、本質的には生分解性材料で構成される。
【0028】
一般に、一実施形態では、鼻インプラントは、ボディと、第1のアームと、を含み、ボディは、遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に配置された中央部と、を含み、中央部は、曲げ剛性が約9N−mm
2から130N−mm
2であり、第1のアームは、ボディの遠位端に配置されており、近位端がボディに固定されており、遠位端がボディに固定されておらず、第1のアームの遠位端は、ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されている。
【0029】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでよい。ボディは、本質的には生体吸収性材料で構成されてよい。インプラントの少なくとも1つの部分が、生体吸収性材料で構成されてよい。インプラントは、2つ以上の異なる生体吸収性材料を含んでよい。第1のアーム、及び中央部の一部分は、第1の生体吸収プロファイルを有する第1の生体吸収性材料を含んでよく、近位端は、第2の生体吸収プロファイルを有する第2の生体吸収性材料を含んでよく、第2の生体吸収プロファイルは第1の生体吸収プロファイルより短くてよい。インプラントは更に、インプラント内に1つ以上の張力緩和セクションを含んでよい。中央部の曲げ剛性は約130N−mm
2未満であってよい。インプラントの少なくとも2つの部分の曲げ剛性の値が異なってよい。インプラントは更に、非吸収性材料で構成される部分を含んでよい。遠位端、近位端、及び中央部のうちの少なくとも1つが、非吸収性又は吸収性の材料で作られたコアと、コアとは異なる非吸収性又は吸収性の材料で作られた外層とで構成されてよい。コアと外層は、互いに対して固定されて積層されてよい。コアと前記外層は、互いに対して摺動可能に係合していてよい。インプラントは更に、近位端がボディに固定されていて、遠位端がボディに固定されていない第2のアームを含んでよく、第2のアームの遠位端は、ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されてよい。第1及び第2のアームは、それらの配備時構成に向かって付勢されてよい。第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向内側の面にベベルを含んでよい。第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向外側の面にベベルを含んでよい。中央部は、断面積が異なる複数のセクションを含んでよい。中央部は、複数の小さな突起を含んでよい。インプラントは更に、とがっていない近位端を更に含んでよい。第1及び第2のアームは、配備時構成に向かって自己展開するように構成されてよい。中央部の曲げ剛性は約50N−mm
2から約130N−mm
2であってよい。
【0030】
一般に、一実施形態では、患者の鼻の一組織セクションを支持する方法が、鼻の組織に送達ツールを挿入するステップと、遠位端に第1のアームを含むインプラントを、送達ツールから遠位方向に前進させて、インプラントの遠位端を鼻組織内に配置するステップと、前進させるステップの間に、第1のアームをインプラントの中心長手軸から離すステップと、送達ツールを引き抜いて、インプラントの中央部を鼻組織内に配置するステップであって、インプラントの中央部は曲げ剛性が約9N−mm
2から約130N−mm
2である、引き抜くステップと、その組織セクションをインプラントで支持するステップと、を含む。
【0031】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでよい。インプラントは第2のアームを含んでよく、本方法は更に、前進させるステップの間に、第2のアームをインプラントの中心長手軸から離すステップを含んでよい。インプラントを前進させるステップは、送達ツールの一部分を後退させて、第1のアーム及び第2のアームが自己展開してインプラントの中心長手軸から離れることを可能にするステップを含んでよい。インプラントを前進させるステップは、第1のアーム及び第2のアームがそれぞれ組織と係合することによってインプラントの中心長手軸から離れるように、インプラントを遠位方向に押すステップを含んでよい。インプラントを前進させるステップは、第1のアーム及び第2のアームがそれぞれ組織と係合することによってインプラントの中心長手軸から離れるように、インプラントを遠位方向に押し、送達ツールの一部分を後退させるステップを含んでよい。インプラントを前進させるステップは、第1のアームが第1のアーム切開路を形成することを含んでよく、第1のアーム切開路は、送達ツールの長手軸からオフセットしてよい長手軸を有してよい。インプラントを前進させるステップは、第2のアームが第2のアーム切開路を形成することを含んでよく、第2のアーム切開路は、送達ツールの長手軸からオフセットしてよい長手軸を有してよい。第1のアーム切開路と第2のアーム切開路は、180度未満の角度を成してよい。前進させるステップは、第1のアーム及び第2のアームがそれぞれ、第1のアームと第2のアームとの間に位置する組織部分と係合することを含んでよい。中央部の曲げ剛性は約50N−mm
2から約130N−mm
2であってよい。インプラントは、本質的には生体吸収性材料で構成されてよい。インプラントは、2つ以上の生体吸収性材料を含んでよい。インプラントは、生体吸収性材料及び非吸収性材料を含んでよい。本方法は更に、インプラントを送達ツールに装填するステップを含んでよい。送達ツールは、ハンドル部と、ハンドル部より遠位に配置された針と、を含んでよく、装填するステップは、インプラントをハンドル部に装填し、インプラントを針内へと前進させるステップを含んでよい。送達ツールは針を含んでよく、挿入するステップは、針の遠位端を鼻の組織に挿入するステップを含んでよい。本方法は更に、インプラントを針に装填するステップを含んでよい。装填するステップは、インプラントを針の近位端に装填するステップを含んでよく、本方法は更に、挿入するステップの前にインプラントを針の遠位端まで前進させるステップを含んでよい。装填するステップは、インプラントを針の近位端に入れる前に、インプラントの第1のアームを折り畳むステップを含んでよい。装填するステップは、インプラントを針の近位端に入れる前に、インプラントの第1のアーム及び第2のアームを折り畳むステップを含んでよい。本方法は更に、挿入するステップの間に、インプラントと針との間で既知の方向を維持するステップを含んでよい。インプラントと針との間で既知の方向を維持するステップは、インプラントを、針の、非円形断面を有する内腔の一部分と係合させるステップを含んでよい。
【0032】
一般に、一実施形態では、鼻インプラント送達ツールが、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びる針であって、内腔を有し、内腔の一部分が非円形断面を有し、鋭い遠位端を有する針と、鼻インプラントを針内腔に沿って動かし、針の遠位端の開口部から出すように適合されているアクチュエータと、を含む。
【0033】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでよい。針は、外面上に低摩擦コーティングを含んでよい。針は、針に沿う様々な場所に、ほぼ縞模様のマーキングを含んでよい。送達ツールは更に、針内腔と連通していて、鼻インプラントを針内腔に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを含んでよい。インプラント装填チャンバは、鼻インプラントが針内腔内へと前進するにつれて、鼻インプラントを配備時構成から送達時構成に移行させるように適合されてよい。送達ツールは更に、鼻インプラントが針内腔の遠位端にあってよいときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含んでよい。アクチュエータレジスタは、アクチュエータ上又はハンドル上にマーキングを含んでよい。送達ツールは更に、インプラントの少なくとも遠位部分が針内腔から出たときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含んでよい。アクチュエータレジスタは、アクチュエータがそれ以上移動しないようにする停止要素であってよい。
【0034】
一般に、一実施形態では、システムが送達ツールを含み、送達ツールは、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びる針であって、内腔を有し、内腔の一部分が非円形断面を有し、長軸及び短軸と、鋭い遠位端とを有する針と、鼻インプラントを針内腔に沿って動かし、針の遠位端の開口部から出すように適合されているアクチュエータと、を含み、本システムは更に、針内腔内に配置されて、第1のアームを遠位端に含む鼻インプラントを含んでよく、アームは、近位端がインプラントに固定されており、遠位端がインプラントに固定されておらず、アームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されている。
【0035】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでよい。本システムは更に、インプラントの遠位端にある第2のアームを含んでよく、第2のアームは、インプラントに固定されている近位端と、インプラントに固定されていない遠位端とを有してよく、第2のアームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されていてよい。第1のアームは、針内腔の内面と、長軸の端部において係合するベベル面を含んでよい。第2のアームは、針内腔の内面と、長軸の、第1のアームと反対側の端部において係合するベベル面を含んでよい。
【0036】
送達ツールは更に、針内腔と連通していて、鼻インプラントを針内腔に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを含んでよい。インプラント装填チャンバは、鼻インプラントが針内腔内へと前進するにつれて、鼻インプラントを配備時構成から送達時構成に移行させるように適合されていてよい。送達ツールは更に、鼻インプラントが針内腔の遠位端にあってよいときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含んでよい。アクチュエータレジスタは、アクチュエータ上又はハンドル上にマーキングを含んでよい。送達ツールは更に、インプラントの少なくとも遠位部分が針内腔から出てよいときのアクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含んでよい。送達ツールは更に、インプラントの遠位部分が針内腔から出たという信号を与えるように構成されたインジケータを含んでよい。アクチュエータレジスタは、アクチュエータがそれ以上移動しないようにする停止要素であってよい。鼻インプラントの第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向内側の面にベベルを含んでよい。鼻インプラントは更に、近位端と前記遠位端との間に配置された中央部を含んでよく、中央部は曲げ剛性が約9N−mm
2から約130N−mm
2であってよい。鼻インプラントは更に、近位端と前記遠位端との間に配置された中央部を含んでよく、中央部は曲げ剛性が約130N−mm
2未満であってよい。鼻インプラントは更に、近位端と前記遠位端との間に配置された中央部を含んでよく、中央部は曲げ剛性が約50N−mm
2から約130N−mm
2であってよい。鼻インプラントは更に、近位端に張力緩和セクションを含んでよい。鼻インプラントは、本質的には生分解性材料で構成されてよい。本システムは、針内腔の内面と係合する先端部又は端部を有する第1のアームを有する鼻インプラントを含んでよい。鼻インプラントは、上述の実施形態のインプラントのいずれかであってよい。
【0037】
本発明の新規な特徴については、後続の特許請求の範囲において具体的に示される。本発明の原理が利用されている例示的実施形態を示す以下の詳細説明と、添付図面とを参照することにより、本発明の特徴及び利点がよりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書に記載されているのは、体組織の修正、強化、修復、及び支持の為のインプラント、装置、及びシステム、並びに、インプラント、装置、及びシステムの使用方法である。そのようなシステム及び方法は、体内の任意の組織を支持又は修正することに使用されてよいが、患者の鼻の中の鼻組織内での使用に特に有利である場合があり、例えば、鼻呼吸や鼻の美容的外観の修正を支援する為の鼻組織内での使用に特に有利である場合がある。本明細書に記載のシステムは、大まかには、患者の体内に配置されるインプラントと、インプラントを患者に送達するインプラント送達ツールと、鼻インプラントを送達ツール内に通して移動させるように適合されたアクチュエータと、を含むが、これらのシステム構成要素は、互いに対して独立して使用されてもよい。インプラント送達ツールは、ハンドルと、体組織に穴をあける穴あけ端部(針)と、を含んでよい。インプラントは、組織を支持すること、又はインプラントが体内の定位置にあるときに組織形状を変化させることの為の十分な強度を有する。インプラントは又、インプラントの送達中に形状が変化すること、又はインプラントが体内の定位置にあるときに組織が動くことを可能にすることの為の十分な可撓性を有する。インプラント送達ツールは、手持ち式送達ツールであってよく、体表面の比較的近くに、例えば、軟骨、又は他の結合組織、筋肉、又は皮膚の下又は中に、インプラントを配置するように構成されてよい。インプラント送達ツールは、体表面を貫通する(例えば、皮膚、粘液、又は上皮を貫通する)小さな、比較的目立たない開口を形成し、下層組織を通り抜けてインプラントを患者に送達する為の、小さな穴あけ端部(針)を有してよい。インプラント送達ツールは、インプラントを最小限の侵襲性で体の開口に通して組織に送達することが可能であり、傷を最小限に抑えることが可能である。そのような、本明細書に記載の、侵襲性が最小限であるシステム及び方法は、痛み、感染、及び腫れを最小限に抑えることに加えて、インプラント送達後に皮膚及び組織の開口を覆う大きな包帯の使用を不要にすることも可能であり、本システム及び方法を使用しない場合には、そのような大きな包帯が患者の不快感を引き起こしたり、余計な注目を集めたりする可能性がある。このことは、鼻の中で鼻インプラントを受ける場合のように、患者が非常に目立つ場所でインプラントを受け、包帯を患者の顔面に当てる場合には、特に重要であろう。場合によっては、インプラント送達は、非常に素早く、わずか数秒又は数分で実施することが可能である。本明細書に記載のシステム及び方法は、非常に安全であることが可能であり、外科的処置がほぼ不要である。本システム及び方法は、病院で実施されるだけでなく、診療所又は外来患者用施設又は別の院外ケア施設で実施されることも概ね可能である。インプラントを患者の体内に送達する送達ツールは、インプラントを体内に配置する為に比較的小さな針(血液を吸引したり、IV(静脈内)ラインを患者内に配置したりすることに使用される針とほぼ同等サイズの針)を使用することにより、治癒しやすい小さな穴を形成することが可能である。
【0040】
インプラントは、皮膚表面の近くに配置されてよく、或いは、体組織の奥深くに配置されてよい。インプラントは、埋め込まれたときに組織に対して比較的平坦に横たわるように、少なくとも1つの寸法(例えば、高さ)において低プロファイルになるように整形されてよい。患者の鼻の表面近くに鼻インプラントが配置される場合は、患者を見たときにインプラントの存在が明らかでないように、インプラントを低プロファイルにすることが可能である。
【0041】
インプラントは、異なる複数の構成又は形状を有することが可能であってよく、例えば、インプラント送達時には送達時構成をとり、完全に配備されたときには配備時構成をとり、送達又は配備の前、途中、又は後には他の構成をとることが可能であってよい。インプラントは、縮小構成と展開構成とを有してよい。インプラントは、インプラント送達ツールに収まるように、且つ、送達ツールによって形成される小さな配置穴をくぐり抜けられるように、縮小可能であるか、縮小するように構成されてよい。インプラントは、患者内に配置されたときに、その支持機能又は組織整形機能を実施する為に、体組織内で展開するように構成されてよい。展開したインプラントは、体の構造又は組織をよりよく支持又は修正したり、インプラントを定位置で保持することを支援したりすることが可能である。インプラントは、インプラントボディと突起部を有してよく、突起部は、インプラントボディに対して独立又は相対的に動くことが可能であってよい。突起部は、外向き姿勢からインプラントの中心長手軸に向かって動くことが可能であり、これによって、インプラントの全体プロファイルを縮小させることにより、比較的大きな断面プロファイルを有するインプラントが、体組織内で展開構成をとる前に、送達装置の比較的小さな領域に(一時的に)収まるようにすることが可能である。端部はフォーク状であってよく、2つ以上のインプラント突起部(例えば、フォークの端部にあるアーム)同士が、互いに寄り合うことによって全体インプラントプロファイルを縮小させることも可能であり、或いは、分岐して(例えば、互いに離れて)全体インプラントプロファイルを展開することが可能である。インプラントボディ又は突起部(アーム)が壊れることなく形状を変化させることが可能であるように、インプラントはエラストマ材料又は他の可撓材料を含んでよい。インプラント又はインプラントの一部分(例えば、アーム)は、インプラント又はインプラントのその一部分の一部又は全体にわたって曲線形状又は円弧形状であってよい。インプラント、特にインプラント突起部(アーム)は、インプラントをインプラント送達ツール内に誘導すること、又はインプラントを組織内に誘導することに有用であろう1つ以上の形体(例えば、ベベル)を含んでよい。ベベルは、突起部の端部上にあってよい。
【0042】
本明細書に記載のインプラント、装置、システム、及び方法は、いかなる体組織内で使用されてもよいが、特に、内鼻弁又は他の鼻組織を支持又は修正することに有用であろう。内鼻弁は、呼吸、並びに空気(酸素)が体を出入りする仕組みを制御する、複雑な3次元構造物である。内鼻弁の機能障害は、人の呼吸能力に劇的且つ悪い影響を及ぼす。
【0043】
図1は、顔の下層の解剖学的構造及び組織を示す。下にある、構造を与える軟骨及び骨がよく見えるように、上にある皮膚及び筋肉の外層を省略している。鼻は、顔の中心に位置しており、嗅覚(においを感じること)及び呼吸制御において重要な役割を果たす。鼻は、空気流を制限することにより、呼吸を制御する。鼻には、各側に1つずつ、合わせて2つの(各鼻腔から始まる)空気流路があり、これらが結合して、体内への単一空気流路が形成される。鼻からの空気は、気管内を流れて肺に入り、肺では、空気が肺の小葉内に広がり、体全体で使用される酸素が吸収される。鼻の2つの空気流路のそれぞれには、各鼻空気流路に沿って、2種類の鼻弁(外鼻弁及び内鼻弁と呼ばれる)を含む幾つかのセグメントがあり、これらのセグメントは、鼻を通る空気流を制御するように作用し、外鼻弁及び内鼻弁は一緒に、体に出入りする空気流を制御する。これらの弁によって引き起こされる空気流抵抗の大きさは「ちょうど良い」ことが必要であり、抵抗が大きすぎても小さすぎても、呼吸の問題や他の問題が発生する。これらの弁は、空気流を取り囲む組織であり、これらの弁が空気流にもたらす抵抗の大きさは、これらの弁の形状及びサイズ(これらの内部断面積)によってほぼ決定される。各流路上の内鼻弁は、鼻内流路のうちの最も狭いセグメントであり、大まかには、抵抗のほとんどを発生させる。空気流の制御という重要な機能のほかに、内鼻弁は又、鼻にその特徴的な形状を与えることに寄与する。鼻弁は、鼻及び顔の様々な構造物によって形状決定及び支持され、外側鼻軟骨がその形状及び機能において重要な役割を果たす。内鼻弁の構造が大きく変化すると(或いは、小さな変化であっても)、鼻の美容的外観が変化するばかりでなく、鼻呼吸が損なわれる可能性がある。これらの変化は、概して内鼻弁の断面積を減らすように作用し、手術、他の医療処置、又は顔の外傷が原因となる可能性がある。更に、鼻弁構造は人によってばらつきがあり、人によっては、軟骨の軟化又は奇形によって弁が著しく狭くなっている場合があり、これは通常、鼻閉とされる。弁領域が狭くなると、空気流の加速度が上昇し、同時に管腔内圧が低下して、弁がつぶれることになる。正常な鼻弁であっても大きな呼吸圧力がかかるとつぶれる可能性がある一方、機能障害を起こしている内鼻弁は、正常呼吸時であってもつぶれる可能性があり、望ましくない結果として、酸素流量が減少し、いびきや口呼吸が起こる。
【0044】
鼻は、顔から突き出ている外鼻と、外鼻の下層にある鼻腔と、を含む。外鼻は、最上部から最下部にかけて、鼻根、鼻梁、鼻背部(鼻堤)、自由鼻先端(鼻尖)、及び鼻小柱を有する。外鼻は、頭骨内の鼻腔の梨状開口部の連続的な自由縁部である梨状口につながっており、鼻骨及び上顎骨によって形成されている。
図1に示されるように、鼻は、顔の中心に位置し、頭部の骨が枠になっており、前頭骨2が鼻の上方にあり、外側上顎骨前頭突起6が鼻の外側にあり、上顎骨前鼻棘20が鼻の下方にある(この図では、鼻の向こう側にある別の外側上顎骨前頭突起が見えていない)。外鼻は、外側から内側にかけて大まかに3つの層に分けることができ、それらは、上にある皮膚及び筋肉の層(この図では省略されている)、中間の軟骨及び骨格の層、並びに内側の粘膜層(この図ではよく見えない)である。
【0045】
中間の軟骨及び骨格の層は、鼻を形成、構築、及び支持する一方、鼻が可撓であって様々な方向に揺れ動いたり曲がったりすることを可能にするように構成されてもいる。又、鼻は、上部から下部にかけて大まかに3つのセクションに分けることができ、それらは、骨が多い上部(上方)3分の1、軟骨性の中間部3分の1、及び軟骨性の下部(下方)3分の1である。上部3分の1は、対になっている左鼻骨4a及び右鼻骨4bを含み、これらは鼻の中央でつながって、鼻梁の上部(又は上方)部分を形成している。鼻骨4aは(外側上顎骨前頭突起6とともに)上方で前頭骨2とつながって、前頭鼻骨(鼻根点)縫合線5を形成している。鼻骨4aは、外側の上顎骨前頭突起6において上顎骨とつながって、上顎鼻骨縫合線7(又は鼻骨上顎縫合線)において線維性連結を形成している。中間部3分の1の軟骨及び骨格の層は、中隔軟骨10を含み、中隔軟骨10は、鼻の中隔の一部を形成し、鼻の内部で鼻腔同士及び2つの空気流路を隔てている。中隔軟骨10の外側突起8は、上方で上部外側軟骨11と同化している(この図では、鼻の向こう側にある別の外側突起が鼻の向こう側で上部外側軟骨と同化している様子は見えない)。
図1は又、小鼻翼軟骨24を示しており、小鼻翼軟骨24は、幾つかある副軟骨の1つであって、鼻を支持し、可動にするとともに、鼻の複雑な3次元形状に影響を及ぼしている。上部外側軟骨11は、通常かなり堅く、鼻の側部を支持する役割のほとんどを担っている。上部外側軟骨11は、中隔軟骨組織とともに、内鼻弁を形成することに寄与しており、内鼻弁は、上部外側軟骨の下の、鼻の内側にあり、この図ではよく見えない。上述のように、内鼻弁は2つある(鼻の各側に1つずつある)。各内鼻弁は、中隔軟骨10、上部外側軟骨の尾側縁13、及び下鼻甲介先端によって形成されており、内側の境界が中隔軟骨10によって形成されており、外側の境界が上部外側軟骨の尾側縁13によって形成されており、下方の境界が下鼻甲介先端(この図では見えない)によって形成されており、各内鼻弁は、空気流が通り抜ける開口を取り囲んでいる。上部外側軟骨が中隔(中隔軟骨)とつながることで、内鼻弁角度(単に「弁角度」とも呼ばれる)を画定する角度が形成される。内鼻弁角度は、鼻気道の最も狭い部分であり、そこを通る空気流を制御する抵抗を発生させる。人の鼻弁角度には、ある程度の自然なばらつきがあり、又、弁角度は、加齢の自然な結果として、経年変化しうる。弁角度は、ある程度は遺伝によって決定され、又、各民族は民族に特有の平均弁角度を有する。更に、特定の民族の中でも人によって弁角度にはばらつきがあり、同じ人の左右の弁の間にもばらつきがある。鼻弁角度は、手術、外傷、又は別の介入の結果として変化する可能性もある。弁の弁角度が約10度を下回っている場合は、弁がつぶれているとほぼ見なされてよく、この為、息を吸い込むと鼻の側壁がつぶれて鼻気道が閉鎖されることとなり、この弁は、本明細書に記載されるような処置を受けるメリットがあると考えられる。弁角度が約10度を上回っている場合も、何らかの気道閉鎖、美容的問題、又は別の問題が起こる可能性があり、その場合も処置を受けるメリットがあると考えられるが、弁の機能障害は、概ね、弁のつぶれほど深刻ではない。処置の必要がある弁は、本明細書に記載のインプラント、装置、システム、及び方法を使用する処置の対象になりうる。
【0046】
下部3分の1の軟骨及び骨格の層は、鼻孔及び鼻先端の形状に寄与する大鼻翼軟骨(その場所にちなんで、且つ、上部外側軟骨と区別する為に、下部外側軟骨又は下方外側軟骨とも呼ばれる)を含む。この軟骨は、上部外側軟骨より軟らかくて動きやすく、鼻先端を可動にしている。大鼻翼軟骨14は、U字形であり、外側脚16及び内側脚18を含む。大鼻翼軟骨14は、鼻孔17の周囲の外鼻弁の一部を形成しているが、外側の骨には全く届いていない。下部3分の1の軟骨及び骨格の層は又、外側脚16と骨との間のギャップを埋める鼻翼の翼部線維脂肪組織26を含む。
図1は又、小さな副鼻翼軟骨12を示しており、これは、軟骨及び骨格の層の大鼻翼軟骨と外側軟骨8とをつないでいる。
【0047】
前述のように、鼻は複雑な3次元構造である。鼻の機能又は外観(美観)を改善又は維持する為には、鼻の形状を修正したり、鼻の構造をより良く支持したりすることが望ましい場合があるが、鼻の一側面の修正を、別の部分に悪影響を及ぼさずに行うことが困難である可能性がある。実際、これまでの外科的介入は、鼻弁機能の変化の一因となっており、これに対しては、本明細書に記載のシステム及び方法による処置が行われてよい。本明細書に記載されているのは、鼻を含む体の構造又は形状の一側面を修正又は支持する為に機能するインプラント、装置、システム、及び方法である。
図2A及び
図2Bは、インプラント32が患者の鼻に埋め込まれて患者の鼻の一組織セクションを支持している様子を示す、それぞれ、正面図及び側面図である。インプラント32は、鼻の機能又は外観を維持又は改善することに有用であろう。インプラント32は皮膚及び筋肉の下にあり、皮膚及び筋肉は、インプラントと、下にある鼻構造及びインプラントとをより良く示す為に省略されている。
図2A及び
図2Bは、インプラント32が内鼻弁を支持又は修正する為に定位置にある様子を示している。インプラント32は、皮膚及び筋肉の下の軟骨及び骨格の層にある複数の構造物を並置している。インプラント32のボディは、近位端34と、遠位端36と、近位端と遠位端との間の中央部38と、を有する。中央部38は、鼻軟骨と患者の皮膚又は筋肉との間の位置にある。中央部38は、上部外側軟骨11と、下部外側軟骨の下部外側脚16とを並置している。上述のように、上部外側軟骨の尾方端は、中隔軟骨とともに、内鼻弁角度を画定しており、インプラント32の中央部38は更に、上部外側軟骨11の尾方端48を並置しており、それによって内鼻弁壁の上に位置するか、内鼻弁壁に作用して、内鼻弁の形状を支持又は修正している。インプラント32の遠位端36は、軟骨及び骨格の上部にある複数の構造物を並置する。
図2A及び
図2Bのこれらの例では、インプラント32の遠位端36はフォーク状であり、第1のアーム40及び第2のアーム42がフォークの歯を形成している。各アームは、近位端がインプラントボディに固定されていて、遠位端がインプラントボディに固定されていない。この例では、アームは、鼻骨4aと、上顎骨の前頭突起6と、上顎鼻骨縫合線7(鼻骨上顎縫合線)とを並置している。変形形態によっては、インプラントの遠位端は、上部層にある1つ以上の構造物、又は中間部又は下部の軟骨及び骨格の層にあるいずれかの構造物又は組織(例えば、副軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、中隔軟骨、上顎骨など)と並置又は近接されてよい。
【0048】
患者の鼻の一組織セクションを支持する一方法は、鼻の粘膜組織に送達ツールを挿入するステップと、遠位端に第1及び第2のアームを含むインプラントを、送達ツールから遠位方向に前進させて、インプラントの遠位端を鼻組織内に配置するステップと、上記前進させるステップの間にインプラントの第1のアームと第2のアームを離すステップと、送達ツールを引き抜いて、インプラントの中央部を、鼻軟骨と患者の皮膚との間の位置に配置するステップと、インプラントにより、その組織セクションを支持するステップと、を含んでよい。
【0049】
インプラントが、体組織内、例えば、鼻組織内又は他の任意の種類の体内組織内で定位置にある場合には、骨又は他の構造物が、インプラントに対してカンチレバー支持を提供することが可能である。例えば、鼻弁を支持するインプラントを、上顎骨の開始部を越えて延ばすことにより、カンチレバー支持が得られる。インプラント32は、インプラントの様々な部分の間に1つ以上の力をかけることにより、修正又は支持が必要な組織を修正又は支持する為の力を与えることが可能である。インプラント32は、1つ以上の下層構造物(例えば、上顎骨や鼻骨などの骨構造物、副軟骨、上部軟骨、又は下部軟骨)から、支持が必要な構造物(例えば、副軟骨、上部軟骨、又は下部軟骨(例えば、上部外側軟骨の尾部領域))に力をかけることが可能である。上部軟骨と下部軟骨とをつなぐことにより、内鼻弁が支持又は強化され、鼻の外観又は呼吸が改善され、或いは、いびきなどの問題が軽減される。上述のように、上部外側軟骨11、特に、その尾側縁が、背部隔壁の鼻背部軟骨、及び下鼻甲介とともに、内鼻弁の境界を画定している。インプラント32は、内鼻弁を支持又は修正するように作用する。一具体例として、力がインプラントによってかけられて、上部外側軟骨の尾部(下部)領域を修正又は支持し、これによって、内鼻弁及び内鼻弁角度を修正又は支持することが可能である。弁角度は、応答として、増えたり、減ったり、不変のままであったりしてよいが、一般には、不変のままか、増える。この図では鼻の上層の皮膚及び組織が省略されているが、それらの皮膚及び組織は、力をかけることが可能であり、どの場所でも、インプラントの長さ方向に、インプラントを下層組織に対して保持することが可能であり、これは、例えば、インプラントを上顎骨又は鼻骨に対して保持したり、インプラントの長さ全体にわたって保持したりすることにより、可能である。鼻骨4は、インプラント32に力をかけることが可能である。インプラントは、構造物を支持するレバーとして動作することが可能である。構造物、例えば、骨(例えば、鼻骨又は顔面骨)、軟骨などの体構造物は、インプラントに力をかけることによって、インプラントを長さ方向に支持し、体構造物、例えば、鼻弁を支持することが可能である。例えば、鼻骨又は上顎骨は、上部外側軟骨8及び下部外側軟骨16に力をかけることが可能である。
【0050】
変形形態によっては、インプラントは、鼻弁の修復に適する生体適合性インプラントである。インプラントは、患者の鼻の鼻弁の強化に使用されてよい。インプラントは、軟骨を支持することが可能であり、吸入中の軟骨の動きに抵抗するか、動きを低減することによって、患者の気道を開いたままにすることに寄与することが可能である。
図2A及び
図2Bのインプラント32は、患者の鼻の軟骨及び骨格の層の複数の特定の構造物、並びに上層の筋肉/皮膚を並置しているか、これらと近接しているが、インプラント全体、又はインプラントの1つ以上の領域が、患者の体の任意の(体)腔、構造物、又は組織と並置又は近接配置されてよい。例えば、突起部(アーム)又は他の突起部、或いは、アーム又は他の突起部の一部、中央領域、中央領域の一部、遠位端、近位端、張力緩和部分、特徴、リッジなどが、患者の体の任意の(体)腔、構造物、又は組織と並置又は近接配置されてよい。変形形態によっては、インプラント、又はインプラントの一領域が、1つ以上の任意の腔、構造物、又は組織と並置又は近接されてよく、例えば、顔面骨又は鼻骨、軟骨、結合組織、筋膜、脂肪、気道上皮、扁平上皮、鼻腔扁平上皮、靱帯、筋肉、粘液、皮膚、(翼部)線維脂肪組織、血管、粘膜、鼻粘膜、前頭骨、涙骨、上顎骨(例えば、前鼻棘、前頭突起)、鼻骨、鋤骨、鼻骨上顎縫合線、鼻骨前頭縫合線、副鼻軟骨、上部外側軟骨(上部外側軟骨の頭蓋境界、尾側境界、又は中央領域を含む)、下部外側軟骨、大鼻翼軟骨(例えば、外側脚、内側脚)、小軟骨、中隔軟骨(例えば、外側突起、鼻中隔軟骨)などと並置又は近接されてよい。インプラントは、1つ以上の他のインプラント又は合成構造物と並置又は近接配置されてよい。(体)腔、構造物、又は組織と並置又は近接配置されたインプラントは、それに作用してよく、(例えば、それを支持してよく、それに力をかけたり、それからの力に抵抗したりしてよく、それからの力に対する支点として作用してよく)、或いは、それに作用しなくてよい。例えば、インプラントの一部分が一組織の全体にまたがって位置してよいが、その組織に対して実質的な相互作用又は影響がなくてもよい。インプラントは、上述の組織のうちの1つ以上の組織の上又は下に配置されてよい。インプラントは、これらの組織に対して任意の向きに配置されてよく、腔、構造物、組織、又は別のインプラントの長軸又は短軸に対してほぼ平行、垂直、又は斜めに位置してよい。実施例によっては、インプラントは、鼻組織内に配置される。実施形態によっては、インプラントは、一部分が鼻組織の中に配置され、一部分が周囲の組織(例えば、上顎)の中に配置される。インプラントは、(例えば、本明細書に記載されているような)構造物、組織、又は別のインプラントに(例えば、接着剤、縫合、ねじなどにより)取り付けられてよく、或いは、(例えば、本明細書に記載されているような)構造物、組織、又は別のインプラントと近接して位置するか、接触していてよい。インプラントを、粘膜組織に通して挿入する為に、インプラントの近位先端と鼻孔周縁との間に十分な隙間があるようにインプラントが配置されてよい。インプラントは、インプラントと、構造物、組織、又は別のインプラントとの間の力(例えば、圧縮力)によって、定位置に保持されてよい。インプラントは、上層からインプラントにかかる力によって(少なくとも一部分が)定位置に保持されてよい。特定の実施例によっては、鼻インプラントの遠位端が、上顎骨及び/又は鼻骨及び/又は鼻骨上顎縫合線に当たる状態で、それらの骨又は縫合線に対してインプラントを押す上層の皮膚及び筋肉(の堅さ)によって(少なくとも一部分が)定位置に保持される。
【0051】
図3Aは、体組織に作用するインプラントを示しており、その略長手方向のボディが、第1の端部70と、第2の端部72と、第1の端部と第2の端部との間に配置された中央部と、を有する。実施例によっては、インプラントの第1の端部は、組織内の挿入部位の近位側に位置する。インプラント32の第2の端部(遠位端)70は、第1のアーム76a及び第2のアーム76bを有し、各アームは、近位端がボディに固定されていて、遠位端がボディに固定されていない。
【0052】
変形形態によっては、インプラントは、様々な構成を有するように適合されている。例えば、インプラントは、縮小構成と展開構成とを有してよい。インプラントは、縮小構成と展開構成との間の(連続的な)範囲の構成を有することが可能であってよい。場合によっては、インプラントは、これらの構成のいずれにおいても保持されることが可能であってよい。縮小構成は、送達時の構成と考えてよく、例えば、インプラントをインプラント送達装置内に通して移動させて体組織内に配置することにより、インプラントを送達することに有用であろう。縮小されたインプラントは、比較的小さい送達装置に容易に入るように十分小さくてよい。インプラントの展開構成は、配備時の構成と考えてよく、例えば、インプラントが体内で定位置に配置された後にインプラントを体組織内で保持することに有用であろう。展開構成は又、或いはその代わりに、生体吸収性インプラントの生体吸収に役立つことが可能であり、これは、例えば、生体吸収に関係する体液の経路をインプラントに提供することにより、可能である。送達時構成と配備時構成との間の範囲の構成は、例えば、配備の過程でインプラントを所望の位置まで誘導することを支援しうる。
【0053】
変形形態によっては、インプラントのアームは、インプラントボディに対して相対的に動くように適合されてよい。アームは、インプラントボディの中心軸に対して、離れるか、その周囲を動くか、近づくように適合されてよい。アーム、又はアームの一部分が、アームを第1の位置から第2の位置まで動かすように適合された材料を含んでよい。アームを動かす材料は、例えば、弾性変形可能材料又は形状記憶材料であってよい。アームは、第2の位置まで動くように付勢されてよい。
【0054】
2つ以上のアームが、折れたり、ひび割れたりすることなく、互いに向かって、又は互いに離れるように動かされる(例えば、押されるか引っ張られる)ことが可能であるように適合されてよい。アームは、折れたり、ひび割れたりすることなく、第1の位置から第2の位置まで、インプラントボディの中心長手軸に対して10°まで、20°まで、30°まで、40°まで、45°まで、50°まで、60°まで、70°まで、80°まで、90°まで、145°まで、又は180°まで動く為に十分可動(例えば、変形可能、可撓)であることが可能であり、或いは、これらの範囲のいずれの間でも動くこと(例えば、30°から70°まで、10°から50°まで動くこと)が可能である。実施例によっては、インプラントにおいて第1の位置にあるアームは、インプラントの中心長手軸に平行(又はほぼ平行)な向きであってよく、それから、アームが、その第1の位置、及びインプラントボディの中心軸に対して(例えば、上述のように、10°まで、20°までの)斜めの向きになるように、第2の位置まで動いてよい。
【0055】
実施例によっては、インプラントは第1及び第2のアームを有しており、これらのアームの遠位端は、ボディの中心長手軸から離れるように適合されている。第1及び第2のアームは、送達時構成から配備時構成に向かって動いてよく、即ち、縮小構成から展開構成に動いてよい。実施例によっては、第1及び第2のアームは、それぞれの配備時構成に向かって付勢されている。実施例によっては、付勢されているアームは、(例えば、インプラントを送達装置から引き抜くことによって)送達装置からの力がかからなくなったときに、送達時構成から配備時構成に向かって動くことが可能である。
【0056】
インプラントのアーム、例えば、第1及び第2のアーム76a及び76bは、形状又は構成が異なっていてよく、或いは、形状又は構成が同じであってよい。これらのアームは、互いの鏡像であってよい。遠位端は、遠位アームの代わりに、又は遠位アームに加えて、突起部を有してよい。アーム又は突起部は、インプラント又はインプラントアームの機能を実施することに有用であることが可能であり、その機能を実施する為に、単独で作用すること、互いに作用し合うこと、又は別の構造物とともに作用することが可能である。そのような機能として、例えば、送達ツール内でインプラントを誘導する機能、送達ツール内でインプラントを方向づける機能、アクチュエータ(プッシュロッド)、送達ツール、又は患者組織に対してインプラントを方向づける機能、送達ツール内でインプラントを保持する機能、患者に対してインプラントを方向づける機能、患者組織を切断したり、患者組織内のアーム移動を可能にしたりする機能、患者組織を圧迫したり移動させたりする機能、患者組織内でインプラントを保持する機能、患者組織に対して力をかける機能などがあってよい。アーム又は突起部は、逆棘、バンプ、繊毛又は繊毛上のもの、一般に細長いロッド、毛、フック、ループ、プロング、ロッド、スパイク、ねじ、歯などであってよく、又はこれらを有してよい。アーム又は突起部は、比較的剛性であってよく、或いは、比較的可撓性であってよい。アーム又は突起部は、インプラントの別の部分又は残りの全ての部分より可撓性又は剛性であってよい。アーム又は突起部は、インプラントの別の部分、又は別のインプラント、又は体組織に力をかけてよい。アーム又は突起部は、アーム又は突起部と、インプラントの別の部分、又は別のインプラント、又は体組織との間に摩擦(例えば、静摩擦)を与えるか引き起こしてよい。インプラントは、1個以上のアーム、突起部、又は突出部を有してよく、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、6個超、10個超、20個超、100個超、1000個超などのアーム、突起部、又は突出部を有してよい。アーム又は突起部は、第1の次元方向においては(例えば、深さ方向において、或いは、インプラントの中心長手軸から離れて延びる場合には)比較的可撓であってよく、第2の軸方向においては(例えば、幅方向、又は左右方向、又は長さ方向においては)比較的さほど可撓でないか非可撓であってよい。アームは、内側に(例えば、インプラントの中心長手軸に向かって)引っ張られるか押されること、及び、外側に(例えば、インプラントの中心長手軸から離れるように)押されるか展開されることが可能であるように構成されてよい。
【0057】
図3A及び
図3Bは又、第1のアーム76a及び第2のアーム76bが、インプラント32の遠位端72の半径方向内側の面に第1のアーム内側ベベル80a及び第2のアーム内側ベベル80bをそれぞれ有する様子を示している。ベベル(例えば、90°以外の任意の角度で別のベベルと接触する傾斜面)、特に内側ベベルは、例えば、インプラント又はインプラントアームを体組織内に誘導することに有用であろう。第1のアーム内側ベベル80aは第1の鋭い端部81aを有し、第2のアーム内側ベベル80bは第2の鋭い端部81bを有する。内側ベベルの鋭い端部は、インプラント配備時に組織内を切り進むこと、並びに、インプラントアームが移動する経路を体組織内に設けることに、特に有用であろう。例えば、内側ベベルの鋭い端部は、必要以上の切り裂きや過剰な損傷を引き起こすことなく組織内を切り進んだり移動したりすることが可能である。ボディ及びアームを有するインプラントの実施例によっては、アームの断面積は、ボディの断面積より小さい。一般に、組織を小さく鋭く切り進む場合は、組織をより大きく裂いたり切ったりする場合より、痛みが少なく、治りが早い。後で詳述するように、インプラント配備時に、ベベルの鋭い端部が組織内を切り進むことが可能であり、鋭い端部が組織内を移動するにつれて、そのあとを、ベベルの、角度が付いた端部部分と、アームのその他の部分とがついていくことが可能である。遠位端が当たる組織内の切れ目、切り口、又は経路の断面積は、インプラントボディ、又はインプラント送達装置の組織接触部分よりも小さいことが可能である。ベベルは、送達装置の先頭で、組織内を通るアームを誘導するように作用し、アームは、インプラントを収容する送達装置の遠位端より小さい為、ベベルによってできる切り口、並びに、ベベル及びアームによって形成される挿入経路は、場合によっては、アームがその経路を通れるほどに大きければよく、送達装置又はインプラントボディがその経路を通れるほど大きくなくてよい。インプラント配備時に、可撓であるか、そうでなければ(例えば、インプラントボディに対して)可動であるアームを有するインプラントが、押されるか、それ以外の形で体組織内を進ませられてよく、内側ベベルの面(又は角度が付いた部分)が、体組織を押し退けながら進んで、アームを、インプラントボディの中心長手軸から離してよい(離して配備時構成に向かわせてよい)。その代わりに、又はこれに加えて、インプラントアームは、配備時構成に向かって付勢されてよく、ベベルは、付勢されたインプラントアームが、配備時構成及び体組織内の配備時インプラント位置に向かって動くことを支援することが可能である。
【0058】
本明細書に記載のシステムは送達ツールを含んでよく、送達ツールは、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びる針と、鼻インプラントを針内腔に沿って移動させて針の遠位端にある開口部から外に出すように適合されたアクチュエータと、を含む。(例えば、送達ツール又はシステム内にある)針は、断面が長軸と短軸と鋭い遠位端とを有する非円形である内腔を有してよい。本システムは更に鼻インプラントを含んでよく、鼻インプラントは、針内腔内に配置されて、その遠位端に第1のアームを含み、第1のアームは、近位端がインプラントに固定されており、遠位端がインプラントに固定されておらず、第1のアームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢され、第1のアームは、長軸の一端において針内腔の内面と係合されたベベル面を含む。システムのインプラントは更に第2のアームをその遠位端に含んでよく、第2のアームは、近位端がインプラントに固定されており、遠位端がインプラントに固定されておらず、第2のアームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢され、第2のアームは、長軸の、第1のアームとは反対側の端部において針内腔の内面と係合されたベベル面を含む。
【0059】
図3Aは又、第1のアーム76a又は第2のアーム76bのそれぞれが、インプラント32の遠位端72の半径方向外側の面に第1のアーム外側ベベル78a及び第2のアーム外側ベベル78bをそれぞれ有する様子を示している。外側ベベルは、例えば、インプラントを送達装置内に誘導すること、インプラントを縮小して縮小構成にすること、送達装置内でインプラントを方向づけること、送達装置内を通るインプラントを誘導することなどに有用であろう。第1のアーム76a上の内側ベベル80a及び外側ベベル78aは、二重ベベルを形成しており、これらのベベル又は傾斜面は、端部を共有し(例えば、2つの傾斜面が90°以外の任意の角度で互いに接触し)、或いは、互いに対して朝顔形に開いてよい。実施例によっては、第1及び第2の、或いは内側及び外側のベベル又は傾斜面は、90°以外の任意の角度で別のものと接触し、端部を共有しない(例えば、これらのベベルは別々の端部から形成される)。インプラント又はアーム又は突起部は、90°以外の任意の角度で別のものと接触する1つ以上のベベル又は傾斜面又は端部を有してよい。ベベルは、アーム又は突起部の端部に位置してよく、或いは、突起部又は突出部の側面に沿って位置してよい。
【0060】
インプラント、アーム、又は突起部は、他の、又は追加の形体を有してよく、例えば、把持部、プロング、歯などを有してよい。形体は、インプラント、アーム、又は突起部を送達装置内又は組織内の定位置に保持するように、インプラント、アーム、又は突起部に対して角度が付けられてよい。アーム又は突起部の形体は、インプラントの実質的な近位方向及び/又は遠位方向の動き、或いは、左右の(横方向の)動きを制限又は阻止することが可能である。
図3Aは、複数のセグメントを有するインプラント32を示している。
【0061】
インプラントは、1つ以上の、本明細書に記載のような近位端形体、遠位端形体、又はボディ形体、或いは、米国特許出願公開第2011/0251634号(ゴンザレス等(Gonzales et al.))、米国特許出願公開第2012/0109298号(イヤド・サイディ(Iyad Saidi)、又は2014年2月27日に出願された米国特許出願第14/192,365号に示されているいずれかの形体を有してよい。
図3A及び
図3Bに示されたインプラント32は、近位端に近位形体74を有する。図示されるように、近位形体74は、とがっていない端部である。近位形体は、鋭いか平らであってもよいが、一般には、丸みをおびているか、組織を傷つけない形体である。組織を傷つけない端部は、インプラントの近位端が、組織内(例えば、鼻組織内)の定位置にあるときに、組織を損傷したり切ったり、組織から出たりすることを防ぐことが可能である。近位形体は、インプラントが埋め込まれる組織においてインプラントを固定するか、他の方法で定位置に保持することに役立ちうる。後で詳述するように、近位形体は又、送達装置内でインプラントを方向づけること、又は、インプラントを送達装置内に通して移動させてインプラントを組織に埋め込むことを支援する為に、プランジャ又はアクチュエータを受けるか、これと結合するように構成されてよい。近位形体とアクチュエータ又はプランジャは、何らかの形でアクチュエータがインプラントを移動させることを可能にするように、相互に作用することが可能である。例えば、インプラントは凹状端部を有してよく、プランジャ又はアクチュエータは凸状端部を有してよい。インプラント32は又、張力緩和セクション82を有する。図示されるように、張力緩和セクション82は、インプラントの別の部分より、断面積(例えば、直径)が比較的小さい。張力緩和セクションは、別の領域より広くてもよいが、構成又は材料が異なることにより張力緩和を実施することが可能である。張力緩和セクションは、インプラントの別の領域より可撓であってよく、或いは曲げ剛性が小さくてよい。張力緩和領域は、鼻を曲げることができるように、鼻などの組織の動きを吸収することに有用であろう。鼻又は顔の組織で使用されるインプラントは、インプラントが鼻組織内の定位置にあるときに鼻の動きを吸収するように、張力緩和セクションが粘膜に隣接するように構成されてよい。張力緩和セクションは、インプラントを組織内で保持する為に、とがっていない端部などの近位形体と連動して動作することが可能である(例えば、くびれ部分の周りで組織が襟状になって、近位端が、襟状部を通り抜ける動きを妨げることが可能である)。
【0062】
インプラント32は又、中央ブリッジ領域を有する。中央ブリッジ領域は、支持が必要な場所、例えば、弱い場所やつぶれた場所に、両端部の構造物の間で橋を架けることに特に有用であろう。そのような場所は、特に支持が必要であるような、特に弱いか、特に大きな力が広くかかっている場所であると考えられる。中央ブリッジ領域は、鼻の中の、弱くなっているか、つぶれている鼻弁に橋を架けることが可能である。ブリッジ領域に対する支持は、インプラントの、ブリッジ領域の近くの領域から得られる。中央領域は、1つ以上のリブ(リッジとも呼ばれる)を含んでよい。インプラント32は、複数のリブ80a、80b(又はリッジ)を有しており、これらが中央ブリッジ領域であってよい。リブなどのボディ形体は、組織をリブ、谷、又は別のものでつかむことなどにより、インプラントを定位置に固定することに役立ちうる。インプラントは、1つ以上のリブ又は他のボディ形体、例えば、ベベル、スカロップ、ウィングなどを有してよい。インプラントは、0個から50個のボディ形体(リブなど)を有してよく、或いは、0個のボディ形体(リブなど)、1個のボディ形体(リブなど)、2個のボディ形体(リブなど)、3個のボディ形体(リブなど)、4個のボディ形体(リブなど)、5個のボディ形体(リブなど)、5個のボディ形体(リブなど)から10個のボディ形体(リブなど)、10個のボディ形体(リブなど)から20個のボディ形体(リブなど)、20個のボディ形体(リブなど)から30個のボディ形体(リブなど)、30個のボディ形体(リブなど)から50個のボディ形体(リブなど)など、或いは、これらの数のいずれかの間の任意の数のボディ形体(リブなど)を有してよい。
図3Aに示されるように、第1のリブは第1のリブ幅W1を有し、第2のリブは第2のリブ幅W2を有する。リブ幅W1及びW2は、サイズが同じであってよく、異なってもよい。第1のリブは第1のリブ径を有してよく、第2のリブは第2のリブ径を有してよい。第1及び第2のリブ径は、サイズが同じであってよく、異なってもよい。例えば、一端、例えば、遠位端に沿うリブは、(例えば、上顎骨に対する)より大きなてこの作用を与える為に、より太いか大径であってよく、近位端に沿うリブは、インプラントがより可撓であるように、より細いか小径であってよい。又、場合によっては、遠位端に沿う形体がより細いか小径であってよく、これは、例えば、鼻の外側表面上に好ましからぬリブ外形が見える可能性のある場合に、このリブ外形を減らすか無くす為である。リブなどの形体は、例えば、呼吸時(吸気時及び呼気時)に、より細くてよく、鼻が動くことを可能にしてよい。リブは、インプラントの表面積を相対的に大きくすることが可能であり、このことは、生分解性インプラントの生分解の速度又は均一性に寄与しうる。リブは、インプラントの可撓性に寄与しうる。即ち、リブを増やすか、リブ間の谷を大きくすることにより、インプラントの可撓性を高めることが可能である。
【0063】
変形形態によっては、インプラントは、少なくとも1つの寸法(長さ、幅、高さ)において比較的低プロファイルであってよい(例えば、高さが低くてよい)。インプラントの高さは、例えば、1mm未満、2mm未満、3mm未満、4mm未満、5mm未満、10mm未満、20mm未満、又はこれらの間の任意のサイズ、例えば、1mmから2mm、1mmから5mm、2mmから4mmなどであってよい。インプラントは、低プロファイルであることが特に有利である場合があり、これは、例えば、治りやすい比較的小さなインプラント穴に挿入できる為であり、或いは、インプラントが埋め込まれる空間の構造にフィットする望ましい形状でありうる為であり、或いは、埋め込まれたときに目立ちにくいと考えられる為である。インプラントの高さは、インプラント環境及び所望のインプラント効果に基づいて選択されてよい。例えば、顔及び鼻においては、下層の軟骨及び骨が顔及び鼻の形状をほぼ決定するが、筋肉及び皮膚も同様の役割を果たす。下層の軟骨及び骨を覆う筋肉、皮膚、及び関連組織は、それらが覆っている下層構造物の形状をとる傾向がある。皮膚及び筋肉の厚さは、人によって異なる。皮膚や筋肉が比較的厚い人々もいれば、薄い人々もいる。比較的高さがあるインプラントが軟骨又は骨の上に配置される場合、上層の筋肉及び皮膚が薄いと、隆起又は突起が目立つ可能性があり、これは、その人を見るだけでそれとわかる可能性があり、その人は、注目されることで不快になったり人目を気にしたりする可能性があるが、筋肉及び皮膚が厚い人の場合は、隆起又は突起が目立たない可能性があり、インプラントをよりよく収容又はマスクすることが可能である。比較的高さがないインプラントであれば、比較的低プロファイルとなって、インプラントが鼻の中で定位置にあるときに皮膚を通して目立つことがないようにできる。低プロファイルのインプラントであっても、場合によっては、近くで見たり、触ったりすると、小さな隆起又は突起がそれとわかることがある。インプラントのボディは、曲がるか折れてよいが(且つ、まっすぐではない様々な形態を有してよいが)、一般には、比較的まっすぐであり、曲がるか折れることが可能である。例えば、インプラントが、最小曲げ半径で15mm±0.5mmまで曲がることが可能である。
【0064】
インプラントの異なる各領域が、強度、可撓性、剛性、曲げ剛性などの材料特性を有していてよい。インプラントの材料特性は、体構造の材料特性に近くなるように選択可能である。例えば、鼻インプラントの曲げ剛性は、軟骨などの鼻組織の曲げ剛性と同等か、これに近くなるようにできる。後述するように、一部の鼻軟骨は、弾性係数が5MPaから32MPaと測定される。インプラント、又はインプラントの一部分、例えば、中央領域、端部領域、アーム領域、近位形体、遠位形体、突起、隆起、又は他の、本明細書に記載のインプラントの部分は、弾性係数が5MPaから32MPaであってよく、或いは2、4、5、10、15、20、25、30、32、35、40、又は50MPaを上回ってよく、或いは2、4、5、10、15、20、25、30、32、35、40、又は50MPaを下回ってよく、或いはこれらの間の任意の値、例えば、2MPaから50MPa、10MPaから30MPaなどの間の任意の値であってよい。中隔軟骨で形成される一部のバッテン移植片の曲げ剛性は、50N−mm
2から130N−mm
2、又は50N−mm
2から140N−mm
2と測定されており、インプラント、又はインプラントの一部分の曲げ剛性もこの範囲内にすることが可能である。インプラントの曲げ剛性は、これより大きくても小さくてもよい。例えば、体の他の支持構造がインプラントとともに作用して支持を強化するので、インプラントによる支持がそれほど必要でない場合や、組織による支持が弱い為に、インプラントによる、より大きな支持が必要である場合もある。インプラント、又はインプラントの一部分、例えば、中央領域、端部領域、アーム領域、近位形体、遠位形体、突起、隆起、又は他の、本明細書に記載のインプラントの部分は、曲げ剛性が10超、30超、50超、75超、100超、150超、200超、300超、400超、又は600未満、500未満、420未満、400未満、300未満、200未満、130未満、100未満、50未満であってよい。例えば、インプラント、又はインプラントの一部分は、曲げ剛性が10N−mm
2から590N−mm
2、30N−mm
2から450N−mm
2、60N−mm
2から250N−mm
2、75N−mm
2から200N−mm
2、50N−mm
2から130N−mm
2、又は9N−mm
2から130N−mm
2であってよい。実施形態によっては、インプラントの中央部は、曲げ剛性が約130N−mm
2未満である。実施形態によっては、インプラントの中央部は、曲げ剛性が約10N−mm
2から約130N−mm
2である。実施形態によっては、インプラントの中央部は、曲げ剛性が約50N−mm
2から約130N−mm
2である。生体吸収性インプラントの材料特性は時間とともに変化する為、生体吸収性インプラントは、体内で、又は体液に曝されて、ある程度の時間が経過した後に、いずれかの材料特性、例えば、上述のいずれかの材料特性を有するように構成される。
【0065】
本発明の別の態様は、インプラントを送達するインプラント送達ツールを提供する。インプラント送達ツールは、送達ハンドル及びアクチュエータを含んでよい。送達ツールは、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びる針と、鋭い遠位端と、を含んでよい。インプラント送達ツールのアクチュエータは、インプラント(例えば、鼻インプラント)を針内腔に沿って移動させ、針の遠位端にある開口部から外に出すように適合されてよい。変形形態によっては、針は、内腔の断面が非円形であってよい。このツールは、手持ち式であるように適合されてよい。このツールは、インプラントを患者の鼻又は顔に送達するように適合されてよい。送達ツールは、インプラント又は送達ツールの状態に関する信号を出力するように構成されたインジケータを含んでよい。
図6Bは、インジケータインジケータを有する送達ツール400を示す。送達ツール400のプランジャ404上のスナップ形体406は、プランジャが遠位方向に進んでインプラント(この図では示されず)を遠位方向に移動させたときに、送達ツール400のハンドル402上の結合ポケット408の中に入るか、これにパチンと嵌まるように構成される。スナップ形体を結合ポケットの中に入れるか、これにパチンと嵌めると、可聴の「クリック」音、「スナップ」音、又は他の音が発生してよい。スナップ形体は、結合ポケットとの接続においてロック又は保持されてよい。インプラントが送達ツール内の特定の場所にあるとき、或いは、インプラントが部分的又は完全に配備されたときに、結合形体が結合ポケットに入ることが可能である。実施例によっては、インプラントの位置(例えば、遠位位置、配備位置)などをインジケータで示すステップが含まれる。例えば、ハンドルのポケット内のスナップ形体を手動押下することにより、結合形体をハンドルから取り外すかロック解除することが可能である。これは、例えば、プランジャを外して、追加(第2、第3など)のインプラントを送達ツールに再装填する場合に有用であろう。インジケータは、インプラントが(送達ツール内の定位置に)装填されているという信号、インプラントの一部が針の外に出ている(例えば、インプラントの遠位部分が針の外に出ている)という信号、或いは、インプラント全体が針の外に出ることが可能であるという信号を出力することが可能である。信号は、例えば、可聴信号(例えば、ビープ、ブザー、音声など)、可触信号(例えば、振動信号)、可視信号(例えば、着色光又は白色光の信号、点滅光又は持続光の信号)などであってよい。
【0066】
図4Aから4D、及び
図5Aから5Bは、インプラント送達ツール300の様々な図を示す。インプラント送達ツール300は、ハンドル302及びアクチュエータ306を含む。ハンドル302は、把持可能なハンドルであってよい把持可能ハウジング308と、針312とを有する。針312は、体組織に穴をあけるように適合された鋭い遠位端314を有してよい。実施例によっては、針の遠位端は、鼻又は顔の組織(例えば、本明細書に記載のいずれか)に穴をあけるのに十分な鋭さを有してよい。鋭い遠位端が鼻の引き裂きを最小限に抑えることが可能である。針は任意のサイズであってよく、例えば、当該技術分野において知られている皮下注射針のサイズであってよく、例えば、外径が8ゲージ、10ゲージ、12ゲージ、14ゲージ、16ゲージ、18ゲージ、20ゲージなどであってよい。針のサイズは、鼻及び顔の粘膜と上皮と筋肉と皮膚と軟骨又は骨との間にフィットするように決定されてよい。実施例によっては、針は、鼻の粘膜/皮膚と軟骨との間にフィットしてよい。針は、インプラントを組織内に通して配置するのに十分な長さであってよい(例えば、少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも115mm、少なくとも125mm、又は少なくとも150mmであってよい)。針の遠位端は、内側のインプラントにフィットするように適合された開口部を含んでよい。針312は、インプラントを収容又は保持するように適合されてよい内腔を有する。内腔は、任意の断面輪郭を有してよく、例えば、円形、非円形、長円形又は卵形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形などの断面輪郭を有してよい。変形形態によっては、内腔の様々な領域が、様々な断面輪郭を有してよい。断面が非円形である内腔が、送達ツールのハンドルを基準に方向づけられてよく、送達ツールのハンドルは、内腔の方向を制御すること(並びに、内腔内で方向づけられるインプラントを制御すること)が可能である。ハンドルは、インプラント送達中にインプラントの方向を制御することが可能である。内腔は、1個、2個、又は2個、3個、4個、5個、又は、2個超、3個超、4個超、又は5個超の、異なる断面輪郭を有してよい。例えば、近位部分は円形であってよく、遠位部分は非円形であってよい。実施例によっては、近位内腔領域が円形であってよく、中間内腔領域が非円形(例えば、長円形、卵形、楕円形、又は他の任意の、上述されたものを含む形状)であってよく、遠位内腔領域が円形であってよい。断面が非円形である内腔は、長軸及び短軸を有してよい。インプラントは、針の内腔、又はハンドルの内腔と係合するように構成されてよく、或いは、係合してよい。ハンドル内腔又は針内腔に配置されたインプラントは、その遠位端に第1及び第2のアームを有してよく、第1及び第2のアームは、それぞれ、近位端がインプラントに固定されていてよく、遠位端がインプラントに固定されていなくてよく、各アームの遠位端は、インプラントの中心長手軸から離れて針内腔内での送達時構成から針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されていてよく、第1及び第2のアームは、それぞれが、長軸の対抗する両端部において針内腔の内面と係合するベベル面(例えば、外側ベベル面)を含む。実施例によっては、挿入するステップの間にインプラントと内腔(針)との間で既知の方向を維持するステップが含まれる。
【0067】
図4Cに示される針312の外側に、マーキング316が含まれる。マーキング316は、インプラントの配備前に針が挿入される深さを示すことが可能である。例えば、マーキング316は、インプラントの近位端の場所を示すことが可能である。針をマーキングまで組織に挿入することにより、針を所望の深さまで(例えば、十分深く)体組織に挿入することが確実に可能である。アクチュエータ306は、把持可能ハンドル307及びアクチュエータボディ304を含む。アクチュエータ306及びハンドル302は、アクチュエータ306が遠位方向に動かされたときに、インプラントを針内腔に通して(針内腔内部を)移動させて、針の遠位端にある開口部から出すように適合されてよい。1つの送達ツール及びアクチュエータが、複数のインプラントを配置するように構成されてよい。アクチュエータボディ309は、インプラントを動かして(押して)送達ツールに通すことが可能である。アクチュエータ306の遠位端311は、インプラントの近位端と結合するように構成されてよい。遠位端311の断面径は、インプラントの近位端と比べて、小さくても、同等でも、大きくてもよい。ハンドル302はガイド326を有する。ガイド326は、アクチュエータ306を受けるように構成されている。例えば、アクチュエータ306をガイド326に沿って動かす(押す)ことにより、アクチュエータがインプラントを位置決めすること、インプラントを方向づけること、インプラントを配備すること、アクチュエータを縮小させることなどが可能なように、アクチュエータがガイドされることが可能であってよい。ガイドは、インプラントを誘導することが可能であるが、全体としてアクチュエータを誘導する。ガイドとアクチュエータは、相補的な形状を有してよい。例えば、ガイドはトラフであってよく、アクチュエータは、トラフ内に途中までぴったり入るロッドであってよい。全体として、アクチュエータが送達ツールを通してインプラントに作用する(インプラントを動かす)ことが可能であるように、アクチュエータの一部分が、ガイド内での待機時に、ガイドの上方に位置する。
【0068】
アクチュエータ306はマーキング318を含む。マーキング318は、送達ツール又はインプラントに対して相対的なアクチュエータの位置を示すことが可能である。例えば、マーキング318は、インプラントが、インプラントを組織内に配備する為の所望位置にあること、インプラントの遠位端が送達ツールの遠位端にあること、インプラントが部分的配備位置にあること、インプラントが組織内に完全に送達(配備)されていることなどを示すように構成されてよい。マーキングは、インプラントが、ある姿勢にあること、(配備前姿勢で)配備可能な状態にあること、部分的に配備されていること、又は完全に配備されていることを示すことに有用であろう。例えば、マーカは、インプラントのアーム(フォーク領域)が配備及び展開されていて、インプラントの残り部分が送達ツール内にあることを示すことが可能である。マーキングは、(例えば、送達ツールに対して相対的な)アクチュエータ又はインプラントの位置を示すものでありさえすれば、任意のタイプのマーキングであってよく、例えば、線、複数の線、太線、突起、環、色、蛍光マーカなどであってよい。インプラントの配備を完了する(例えば、インプラントの、アームを含まない部分(例えば、インプラントボディ)を組織から出す)為に、送達ツールを組織から引き抜くことが可能であり、これは、アクチュエータによってインプラントを(組織内の)定位置に保持したまま針を引き抜くことなどにより、可能である。アクチュエータは、何らかの理由、例えば、今述べた理由などにより、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個以上のマーキングを含んでよい。更に、アクチュエータは、様々な長さのインプラントに対応する様々なマーキングを有してよい。アクチュエータ306は更に、アクチュエータが送達ツール内をそれ以上移動しないように止める停止機構を含んでよい。
図4A及び
図4Bは、例えば、インプラントを配備する準備が整った配備位置にあるアクチュエータ306を示している。
図4C及び
図4Dは、例えば、インプラントの配備中又は配備後の配備位置にあるアクチュエータ306’を示している。
図5Aは、マーキング318が見えている、配備前のアクチュエータ306’’を示す。
図5Bでは、(もはや見えない)マーキング318は、送達ツールと位置が揃っていて、アクチュエータ306’’’の位置と、配備前位置にある針の先端でインプラントが定位置にあることと、を示している(配備後、アクチュエータ306は、
図4C及び
図4Dに示されたような位置にあることが可能である)。送達ツール300は、インプラントの厳密な配置を可能にする為に様々な形体を含んでよく、例えば、針上のマーキング、アクチュエータ(プランジャ)上のマーキングなどを含んでよい。
【0069】
上述のように、インプラントは、痛みや傷を最小限に抑える為に、体の小さな開口部を利用して、最小限の侵襲性で配置可能である。しかしながら、例えば、組織の処置対象領域が体の小さな開口部より大きい場合には、インプラントを小さな開口部より大きくすることが有利であろう。そのような場合は、インプラントを縮小構成で開口部に通して配置し、体内での配置中又は配置後に展開することが可能である。更に、挿入中に展開されたインプラントは、組織に力をかけることが可能である(これは、例えば、インプラントを定位置に保持することに役立ちうる)。変形形態によっては、送達ツールは、インプラントを、展開構成の状態で受け入れ、体の小さな開口部を何とか通り抜けるように縮小してから体組織に送達するように構成されてよい。インプラントは、縮小構成のままで送達されてよい。インプラントは、展開構成で送達されてよく、或いは送達中に展開されてよい。送達ツールは、インプラントを展開構成で送達ツールに装填する装填チャンバと、インプラントの形状を変化させる1つ以上の整形チャンバと、を含んでよい。送達ツールは、針内腔と連通していて、鼻インプラントを針内腔内に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを含んでよい。
【0070】
図6Aは、インプラントを送達ツール内に装填する装填チャンバ310を有するハンドル302を示す。装填チャンバ310は、(上部に)開口部を有し、インプラントを展開構成(例えば、インプラントアームの遠位端同士が互いに間隔を置いて離れている状態)で受け入れるように構成されている。
図6Aは、ハンドル302の装填チャンバ310内にインプラント32がある様子を示している。インプラント32は、展開構成の状態であり、各アームがインプラントの中心長手軸から離れて展開されている(展開構成のインプラントは、配備時構成と同じであってよいが、配備時構成と異なっていてもよい)。装填チャンバは、全体として、矩形形状であってよいが、インプラントを(例えば、展開構成で)受け入れることが可能であって、(例えば、プランジャ/アクチュエータによって)インプラントを装填チャンバに通して動かすことが可能であれば、卵形又は別の形状であってよい。装填チャンバは、上部が塞がれていてよいが(ルーフを有してよいが)、一般には、インプラントの挿入を可能にする為に上部が開いている。装填チャンバは、フロアを有し、一般には、第1及び第2の横壁(側部)と近位壁及び遠位壁(端部)とを有し、近位壁及び遠位壁は、それぞれが第1及び第2の横壁と(例えば、一方の端で)接続されている。近位壁及び遠位壁は、それぞれが開口部を有してよく、近位壁の開口部は、プランジャ/アクチュエータが装填チャンバに入ることを可能にするように構成されていて、遠位壁の開口部は、針内腔と開放連通している。装填チャンバの近位壁は、インプラント、又はアクチュエータのプランジャが通り抜けることを可能にするように構成された開口部を有してよい。インプラントは、装填チャンバのフロアに横たわるように、上部から装填チャンバ内に配置されて(落とされて)よい。
図7は、アクチュエータ/プランジャ(の一部分)を受け入れる溝326も示しており、これによって、プランジャは、上述のように、溝に誘導されて、装填チャンバのフロアに沿って動くことが可能である。プランジャは、装填チャンバ内でインプラントを動かして、装填チャンバの遠位端からインプラントを出すことが可能である。インプラント32の第1及び第2のアーム76a、76bは、インプラントが針の近位端に入る際には、畳むことが可能である。
【0071】
インプラント全体を装填チャンバに直接装填してよいが、インプラントガイドを使用してインプラントを送達ツール内に装填するほうが容易であろう。
図6Aは、ガイドを有するハンドル302を示しており、ガイドは、送達ツールハンドルの両横側部に第1の側部ガイド330及び第2の側部ガイド332を有する。ガイドは、図示されるように、インプラント(例えば、インプラントの近位端)を送達ツールハンドルフロア上でガイドする為に、下向きに傾斜している。インプラント32は、送達ツール内に配置されて(落とされて)よく、これは、インプラントの近位部分を第1の側部ガイド330及び第2の側部ガイド332の上に、又は第1の側部ガイド330と第2の側部ガイド332との間に配置し(落とし)、インプラント32の遠位部分を装填チャンバ302内に配置する(落とす)ことにより、行われてよい。ガイドは、ほぼ垂直であってよいが、底部においてインプラントを定位置に誘導することを支援する為に、フロアに向かって内向きに角度を付けられてよい。
図6Aに示されるように、プランジャ331の遠位端331’は、インプラント32の近位端と係合する準備が整っている。例えば、プランジャ331が遠位方向に動いて、プランジャ331の遠位端331’が、インプラント32の近位端と係合し、インプラントを動かす(押す)ことにより、インプラント32は遠位方向に動く。プランジャ331は、ユーザがアクチュエータ306のハンドル307を使用することによって制御されてよく、インプラント32を、装填チャンバに通して、装填チャンバの遠位端から出してよい。インプラント32は、針の内腔に入ってよいが(その間に縮小構成に変化してよいが)、一般には、インプラントを縮小して第2の構成にするように構成された整形チャンバに入る。
図7は、インプラントが送達ツールの内側に沿って動くにつれて整形される様子を示す。インプラント32は、(例えば、近位端にあるプランジャ/アクチュエータによって)装填チャンバ311に沿って動いて、整形チャンバ340に入る。この例では、装填チャンバはほぼ卵形であり、インプラントが装填チャンバの卵形の遠位端に沿って動くにつれて、弾性変形可能なアーム76a及び76bが装填チャンバによって整形(圧縮)されて、インプラントの中心長手軸に向かって内側に動く。プランジャ/アクチュエータがインプラントを送達ツールに通して遠位方向に動かすにつれて、インプラントのアームが整形(圧縮)されてよい。インプラント32’及びアーム76a’及び76b’は、ここでは、部分的縮小構成の状態で整形チャンバ内にある。この例では、整形チャンバの遠位端はほぼ卵形であり、インプラントが整形チャンバの卵形の遠位端に沿って動くにつれて、弾性変形可能なアーム76a’及び76b’が整形チャンバによって整形(圧縮)されて、インプラントの中心長手軸に向かって内側に動く。インプラントは、針312内に入れられる。インプラント32’’並びにアーム76a’’及び76b’’は、ここでは、送達時構成で針内にあり、送達時構成は、完全又はほぼ完全な縮小構成であってよい。縮小構成のアームは、インプラントと同サイズのフットプリントを有してよい。アームの領域を通る断面領域が、インプラントを通る断面領域とほぼ同規模であるように、アームは縮小構成であってよい。アームは、断面領域を通る領域を完全に埋めなくても、断面領域を画定することが可能である。インプラントは、針内を動くのに十分な小ささであってよい(例えば、14、16、18などのゲージの針であってよい)。インプラントの最大径は、2.0mm、1.5mm、1.2mm、1.0mm、0.8mm、又は0.6mmであってよい。インプラント32は、ベベル(例えば、アームの遠位端の半径方向外側の面上のベベル)と、装填チャンバ又は整形チャンバ又は針内腔の内壁との相互作用により、縮小構成になることを支援されてよい。図示されているのはベベル付きのアームを2本有するインプラントであるが、インプラントは、ベベルがなくてもよく、ベベルが1個でもよく、各アームに1個のベベルがあってよく、各アームに2個のベベルがあってもよく、その他であってもよく、0個、1個、2個、3個、4個、又は5個以上のアームを有してよい。
【0072】
装填チャンバ、整形チャンバ、及び針を使用して上述のようにインプラントを整形することは、インプラントが送達ツール内で展開構成から縮小構成に移行しさえすれば、別の方法で実施されてもよい。例えば、インプラント送達ツールは、装填チャンバだけを有してよく、装填チャンバは、整形チャンバを使用せずに上述のようにインプラントを整形してよく、インプラントは、装填チャンバから針に直接移動してよい。インプラント送達ツールは、複数の整形チャンバを有してよく、それぞれは、インプラント構成を少しずつ変化させてよい。整形チャンバは、卵形であってよく、或いは矩形であってよく、或いは他の形状であってもよい。
【0073】
変形形態によっては、インプラントは、以下のステップのうちの1つ以上に従い、送達装置を使用して体組織に埋め込まれてよく、それらのステップは、以下のとおりである。インプラント送達部位を触診して、埋め込み場所を決定するステップ。送達ハンドルから装填チャンバが抜けるまで、送達ハンドルからプランジャを後退させるステップ。
図6Aに示されるように、装填チャンバ内にインプラントを平らに置くステップ。プランジャのマーカが送達装置ハンドルの後部と面一になるまでプランジャをゆっくり前進させることにより、針の先端においてインプラントを位置決めするステップ。インプラントアーム(フォーク)の先端が、インプラント先端ベベルの基部において見えていて、装填時と同じ平面内にあることを確認するステップ。鼻組織の粘膜側に針を挿入するステップ。(例えば、先端がターゲット端部位置から十分(例えば、約4mm)離れるまで)カニューレを前進させ、針位置を触診するステップ。針上のマーカが挿入位置において粘膜表面近くにあることを確認するステップ。アーム(フォーク)が適正な面内にあるように、送達ツールの向きを確認するステップ。送達装置のプランジャを完全押下位置まで前進させるステップ。インプラントを配備するステップ。(例えば、それによって、インプラントを針の遠位端より先に配備して組織と係合させるステップ。)針を組織からゆっくり引き抜くステップ。
【0074】
インプラントは、埋め込み時に(インプラントが針から出て体組織に入る埋め込み動作の間に)様々な形状又は様々な構成になることが可能である。インプラント32は、組織内での埋め込み中に送達時構成から配備時構成に向かって動くことが可能である。1つ以上の遠位アームがインプラントの中心長手軸から離れることにより、インプラントは、縮小構成又は圧縮構成から展開構成に移行することが可能である。アーム(例えば、アームの遠位端)は、中心長手軸から離れるように付勢されてよい。
図8は、配備中の、針312内のインプラント32’’を示す。矢印342a及び342bは、アーム76a’’及び76b’’が針から出て組織に入る際にとる動きを示す。アームは、まっすぐに出てよいが、一般には、アームの遠位端が曲がって中心長手軸から離れるように分岐する。アーム間で組織を捕らえることが可能である。アームを分岐させることは、力を組織の広い領域に分散させることに寄与しうる。鼻組織内では、テント状になることや遠位方向への移動が、阻止されるか最小限に抑えられることが可能である。アームを分岐させることにより、針又は送達装置の引き抜き時にインプラントを定位置に保持することも可能である。ベベルは、アームの分岐を支援することが可能である。組織内を動く際に、アームの動きが、アームの遠位端の半径方向内側の面にあるベベルによって支援されることが可能である。ベベルは、組織内を切り進んで、組織内にアームを誘導することが可能である。図示されているのはベベル付きのアームを2本有するインプラントであるが、インプラントは、ベベルがなくてもよく、ベベルが1個でもよく、各アームに1個のベベルがあってよく、各アームに2個のベベルがあってもよく、その他であってもよく、0個、1個、2個、3個、4個、又は5個以上のアームを有してよい。インプラントは、アクチュエータ/プランジャによって体組織内へ進められて(押されて)よい。
【0075】
縮小姿勢にあるインプラントは、そのまま組織内に配備されてから、縮小構成から送達時構成に移行してよいが、一般には、配備前に方向づけが行われてよい。インプラントは、送達ツールハンドル内で方向づけられてよいが、一般には、針内で方向づけられる。インプラントは、(送達ツールハンドル内、又は針内で)非円形内腔によって方向づけられてよい。長軸及び短軸を有する非円形内腔によって、インプラントのアームが長軸の外側方向に(且つ、中心長手軸から離れるように)(わずかに)分岐することが可能になってよく、これによって、インプラントを(アームを介して)長軸の方向に方向づけることが可能になってよい。これは、例えば、プランジャがインプラントツールハンドル内でインプラントを移動させているときに行われてよいが、一般には、インプラントが針内を移動しているときに行われる。実施例によっては、インプラントが方向づけられた後に、針が円形断面領域を有してよく、インプラントは、その方向を維持しながら、円形断面領域内を移動することが可能である。例えば、円形断面領域内の移動距離は、比較的短くてよい。
【0076】
インプラントは、針内腔の外側において、針内腔内での送達時構成から、配備時構成に移行することが可能である。インプラントが針の遠位端から出る際に、アームは互いに離れるように移動する(分岐する)ことが可能である。インプラントは、インプラントツールがインプラントから引き抜かれる前に完全に配備することが可能であり、或いは、インプラントは部分的に配備してよい(例えば、インプラントのアーム以外の部分が送達ツールの針内に配置されていながら、アームを配備することが可能であり、アームが配備された時点で、針をインプラントから引き抜いて組織から離すことにより、インプラントを定位置に残すことが可能である)。実施例によっては、アクチュエータは、インプラントを組織内へ更に押すことが可能である(アーム上の内側ベベルの支援により、アームを組織内へ動かすことが可能である)。又、実施例によっては、送達ツールをインプラント及びアクチュエータから引き抜く際に、アクチュエータがインプラントを定位置に保持することが可能であり、その後、アクチュエータを引き抜くと、インプラントが組織内の定位置に残る。組織内を切り進む内側ベベルによる支援を受け、且つ/又は、付勢されているアームが、付勢されていない構成に戻ろうとすることによる支援を受け、インプラントは組織内を移動することが可能である。インプラントは、送達装置の遠位端から出る際に、配備時構成から送達時構成に移行することが可能である。
【0077】
実施形態によっては、インプラントを前進させるステップは、インプラントの第1のアーム及び第2のアームがそれぞれ組織と係合することによってインプラントの中心長手軸から離れるように、インプラントを遠位方向に押すステップを含む。実施形態によっては、インプラントを前進させるステップは、送達ツールの一部分(例えば、針)を後退させて、インプラントの第1のアーム及び第2のアームが自己展開してインプラントの中心長手軸から離れることを可能にするステップを含んでよい。場合によっては、前進させるステップは、押すステップと後退させるステップとの組み合わせを含んでよい。例えば、インプラントを前進させるステップは、第1のアーム及び第2のアームがそれぞれ組織と係合することによってインプラントの中心長手軸から離れるように、インプラントを遠位方向に押し、送達ツールの一部分を後退させるステップを含んでよい。
【0078】
インプラントが組織と係合したときに、インプラントの第1のアーム及び第2のアームは、それぞれが切開路を形成することが可能である。例えば、インプラントを前進させるステップは、第1のアームが第1のアーム切開路を形成することを含んでよく、第1のアーム切開路は、送達ツールの長手軸からオフセットしている長手軸を有する。前進させるステップは又、第2のアームが第2のアーム切開路を形成することを含んでよく、第2のアーム切開路も、送達ツールの長手軸からオフセットしている長手軸を有する。第1のアーム切開路及び第2のアーム切開路によって形成される長手軸は、曲線形状又は円弧形状を含んでよい。第1のアーム切開路と第2のアーム切開路は、180度未満の角度を成してよい。インプラントを前進させるステップは又、第1のアーム及び第2のアームがそれぞれ、第1のアームと第2のアームとの間に位置する組織部分と係合することを含んでよい。
【0079】
図9Aは、配備時構成のインプラント100を示す。送達時構成の同じインプラントを
図9Bに示す。インプラント100は、第1のフック102及び第2のフック106を有する。体組織をつかんだり保持したりすること、並びに、インプラントを組織内の定位置に保持したり固定したりすることには、フックが有用であろう。フックは、フックの基部においてインプラントと、或いはインプラントの中心線と角度を成す為に曲がるか折れてよく、その角度は、例えば、30°まで、30°から45°まで、45°から60°まで、60°から90°まで、又は90°であってよい。インプラントは、
図9Aに示されるように、近位端に対して相対的に、又は近位端に向かって曲がるか折れてよく、或いは、遠位端に対して相対的に、又は遠位端に向かって曲がるか折れてよい。フック角度は、何らかの理由で選択されてよい。例えば、インプラントの全体サイズ(「フットプリント」)を最小限に抑える為に小さな角度を選択してよく、そのようなインプラントは小さな空間に収まることが可能である。例えば、表面積が大きいか、様々な種類の組織がある領域に(インプラントを保持する)抵抗力を行き渡らせる為に大きな角度を選択してよく、そのようなインプラントは、大きな面積の瘢痕組織を形成して、鼻弁をよりよく支持し、鼻弁のつぶれを抑えることが可能である。インプラントは1つのフックを有してよく、或いは、2つ以上のフックを有してよい。2つ以上のフックを有するインプラントは、それらのフックが(例えば、インプラントの中線を挟んで)互いに対向していてよく、或いは、2つ以上のフックが、例えば
図9A及び
図9Bに示されるように、互いにオフセットしていてよい。フックを有するインプラント(フック付きインプラント)は、縮小された形態で体組織内に配置されてよく、組織に入った時点で、展開して体組織を捕らえるかひっかけることにより、インプラントを組織内の定位置で保持することが可能である。インプラントのフックは、体組織内で、力がかからなくなったこと(例えば、インプラントを保持又は圧縮してきた挿入器から抜けたこと)により、又は(組織内のインプラントがツールで操作されて)力が加わったことにより、又は刺激に対する反応として、展開することが可能である。
図9A及び
図Bに示されるように、フックを有するインプラントは、展開構成と縮小構成とを有してよい。展開構成では、フックは、インプラントのボディ又は側部から(例えば、ある角度で)伸長することが可能である。縮小構成では、フックは、インプラントの主軸の近くに水平に置かれるか、インプラントの主ボディに収まるか、部分的又は完全に引っ込むことが可能である。
図9Bは、中心長手軸に向かって内側に曲がるか折れることにより、縮小構成又は送達時構成を形成するインプラントを示している。この例では、縮小構成又は送達時構成のときに、第1及び第2のフック102’及び106’が、インプラントのボディに対して、近接して、又は面一で、水平に置かれることが可能である。フックは、展開される方向に付勢されていてよく、(上述のような)送達ツール又は針の内腔からの力によって、インプラントボディに近接又は接触して定位置に、縮小されて保持されてよい。(縮小時又は展開時に)実質的長手軸を有するインプラントを形成する為に、インプラント上の(付勢されている)一対のフックは、互いにオフセットしていてよい。例えば、そのようなインプラントは、インプラントの主軸が曲がるか折れる局所領域を有してよい。1つのフックを有するインプラントは、長手軸を有してよいが、その代わりに、フックに向かって(又はフックから離れて)曲がる軸を有してもよい。展開されたフック付きインプラントのフックは、送達ツールに入る際に、又は送達ツール内を移動する際に縮小されることによって針内に収まることが可能であり、フック部分は針によって圧縮されることが可能である。
【0080】
インプラント100は、展開構成と縮小構成とを有してよい。変形形態によっては、フックを有するインプラントは、送達ツール又は針の内部にあるときは縮小構成を有してよい。実施形態によっては、フックは縮小構成であってよく、縮小構成のフックを有して送達装置の内部に配置されたインプラントは、縮小された形態で送達装置によって保持されてよい。又、変形形態によっては、インプラントは、展開された形態であってよく、送達装置によって誘導又は整形されて縮小構成になってよい。
【0081】
インプラントは、インプラントの所望の支持特性及び整形特性を提供する任意の生体適合性材料で作られてよい。インプラントは、部分的又は全体的に、当該技術分野において知られている非生分解性材料、例えば、任意のポリマー、金属、又は形状記憶材料を原料としてよい。インプラントは、有機材料及び/又は無機材料を原料としてよい。インプラントの材料は、単一材料(例えば、チタン、又はポリエチレンテレフタレート、又は複数の材料の組み合わせ)から編まれるか織られた固体(例えば、チタン、ニチノール、又はゴアテックス)であってよい。織られた材料は、埋め込み後の組織の内部成長を可能にする細孔を有してよい。代表的な合成ポリマーとして、アルキルセルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、ヒドロキシアルキルセルロース、ニトロセルロース、ポリアルキレングリコール、酸化ポリアルキレン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレン、ポリアミド、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリグリコライド、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルのポリマー、ポリアクリルアミド、ポリオルトエステル、ポリフェアゼン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ(エーテルケトン)、シリコンベースのポリマー、これらの混合物及びコポリマーがある。
【0082】
これらの広いクラスのポリマーの具体例として、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(酸化エチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(乳酸)、ポリ(ブチル酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ[ラクチド−コ−グリコライド]、ポリ(フマル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリエチレングリコールを有するポリ(カプロラクトン)又はポリ(乳酸)のコポリマー、及びこれらの混合物がある。
【0083】
インプラントで使用されるポリマーは、非生分解性であってよい。使用されてよい非生分解性ポリマーの例として、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリ(メス)アクリル酸、ポリアミド、シリコンベースのポリマー及びコポリマー、及びこれらの混合物がある。
【0084】
実施形態によっては、インプラントは、1つ以上の生体適合性材料と、非吸収材料との組み合わせを含んでよい。例えば、場合によっては、遠位端、近位端、又は中央部のうちの少なくとも1つが、非吸収性又は吸収性の材料で作られたコアで構成されてよい。そして、インプラントは、コアとは異なる非吸収性又は吸収性の材料で作られた外層を含んでよい。実施例によっては、コアと外層は、互いに対して固定されて積層されている。又、実施例によっては、コアと外層は、互いに対して摺動可能に係合している。
【0085】
実施形態によっては、インプラントの第1及び第2のアームは、配備時構成に向かって自己展開するように構成されている。実施形態によっては、インプラントの第1及び第2のアームは、組織、又は送達ツールの一部分と係合することにより、配備時構成に移行するように構成されている。
【0086】
例えば、インプラント、又はインプラントのアーム又は形体は、形状記憶材料を含んでよい。変形形態によっては、インプラントは、生体適合性且つ生体吸収性の材料、例えば、生体吸収性ポリマーを含む。生体吸収性又は生分解性のインプラントは、一時的な期間の間、鼻組織のような体組織に構造及び支持を提供することが可能であり、インプラントが分解した後を含む長期間にわたって体組織に構造及び支持を提供する瘢痕組織又は他の組織の形成を誘発するか引き起こすことが可能である。生物学的に形成された瘢痕組織又は他の組織は、インプラントに比べて、より快適であり、より長期の支持が得られ、より安定して定位置にとどまることなどが可能であることにより、有利であろう。インプラントの一部分又は全体が、生体内で細かく分解しうる(生分解性である、とも言う)ものであってよく、且つ、生体吸収性であってよい。インプラント又はインプラントボディは、本質的には生体吸収性材料で構成されてよい。インプラント又はインプラントボディは、2つ以上の異なる生体吸収性材料を含んでよい。本明細書に記載の方法は、インプラントが生体吸収性部分と非生体吸収性部分の両方を含む場合には、インプラント、又はインプラントの一部分だけを生分解及び生体吸収させることを含んでよい。生体吸収は、組織及び器官によって推進されることが可能である。生体吸収を行う組織及び器官は、血液、リンパ液、粘膜、唾液などの体液を含んでよい。バクテリアも、材料の生体吸収を支援することが可能である。インプラントは、部分的又は全体的に、1つ以上の生体適合性且つ生分解性の材料を原料としてよく、それらは、例えば、天然由来ポリマー又は合成ポリマーであってよい。生分解性インプラントは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコライド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコライド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(ラクチド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(グリコライド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(ラクチド−コ−グリコライド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(グリコール酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチラート)又はポリ(ヒドロキシブチラート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキラート)、ポリエチレングリコール及びポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、又はこれらの混合物又はコポリマーを原料としてよい。実施例によっては、インプラントは、ポリ−L−乳酸(PLLA)又はポリ−D−乳酸(PDLA)、又はこの両方を含む。実施例によっては、インプラントは、PLLA/PDLAコポリマー比が90:10、80:20、70:30、60:40、50:50であり、或いは、これらの値のいずれかの間である。実施例によっては、インプラントは、PLLA/PDLAコポリマー比が70:30±10%である。
【0087】
インプラントは、様々なセクションを有してよく、各セクションは、各セクションの所望の特性に基づいて、且つ、各セクションが係合する組織のタイプと、その組織タイプの典型的な特性とに基づいて、様々な生体吸収性材料から作られている。インプラントのアーム及び中央部は、近位端より長い構造的支持を提供することが望ましいであろう。例えば、アーム及び中央部は、第1の生体吸収プロファイルを有する第1の生体吸収性材料で作られてよく、近位端は、第2の生体吸収プロファイルを有する第2の生体吸収性材料で作られてよい。第2の生体吸収プロファイルは、第1の生体吸収プロファイルより短くてよい。
【0088】
本明細書に記載の生分解性インプラント、又はインプラントの一部分は、60か月以内、36か月以内、24か月以内、18か月以内、12か月以内、9か月以内、6か月以内、3か月以内、又は1か月以内に、或いは、これらの期間のいずれかの間の任意の時点で(吸収されるべく)生分解するように構成されてよい。例えば、インプラントは、9か月から12か月の間、3か月から12か月の間、1か月から12か月の間などに分解するように構成されてよい。インプラント全体が生分解性材料で構成されている場合は、これらの期間にインプラント全体又はほぼ全体が分解することが可能である。例えば、生分解性インプラントは、材料特性が著しく変質するように分解することが可能である。生体吸収性インプラントの材料特性は経時変化する為、生体吸収性インプラントは、体内での、又は体液に曝されての上述のいずれかの期間の後に、本明細書の他の場所に記載の材料特性などの、いずれかの材料特性を有するように構成されてよい。実施例によっては、生体吸収性インプラントは、体内に3か月、6か月、9か月、又は12か月あった後の曲げ剛性が15N−mm
2未満、10N−mm
2未満、5N−mm
2未満、4.2N−mm
2未満、4N−mm
2未満、3N−mm
2未満、2N−mm
2未満、又は1N−mm
2未満である(又は、そうであるように構成されている)。インプラントが生分解性材料と非生分解性材料の両方を含む場合には、生分解性部分がこれらの期間のいずれかで分解することが可能であり、非生分解性材料は分解しなくてよい。体内に埋め込まれたインプラントは、体組織及び体液に曝されて生分解を引き起こす可能性がある。インプラントは、様々な理由で上記の列挙された時間内に生分解するように選択又は構成されてよい。例えば、所望の材料特性(例えば、可撓性、強度など)を有するインプラントが、粘液に曝されると、粘液に曝されていないインプラントの場合と異なる時間枠で分解する可能性がある。インプラントの分解がよりゆっくり行われれば、分解前に所望の瘢痕組織又は他の組織を形成する時間をより長く取ることが可能であろう。
【0089】
インプラントは更なる材料を含んでよく、例えば、抗生物質、別の抗菌剤、抗カビ剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、軟骨成長誘発剤、充血除去剤、薬剤、成長因子、微粒子、粘液溶解剤、ステロイド、ビタミンなどを含んでよい。そのような材料は、インプラントに貼り付けたり、接着したり、塗布したり、練り込んだりしてよい。そのような材料は、インプラントとともに体組織に挿入されてよい。そのような材料は、様々な時点で必要とされる場合があり、時間的制約があったり、持続放出型であったりする場合がある。例えば、抗炎症剤は、あまりに早い炎症や痛みを抑える為に埋め込み直後から有効であってよいが、後の瘢痕形成や治癒の段階では望ましくない可能性がある。これは、インプラントの除去後に組織を支持する新しい組織を与える治癒過程を、抗炎症剤が妨げる可能性がある為である。例えば、インプラントは、早い時期の不適切又は不要な反応を抑える為に、数日又は数週間経ってから、軟骨成長誘発剤、例えば、線維芽細胞成長因子(FGF、例えば、塩基性線維芽細胞成長因子(FBF2))又は形質転換成長因子(TGF、例えば、TGFβ1)を放出するように構成されてよい。
【0090】
実施例
鼻組織内でのインプラント試験。
図10A及び
図10Bは、上部外側軟骨と下部外側軟骨との接合の後方点において最もつぶれている領域を支持する為に、複数のインプラント32が患者の鼻に埋め込まれている様子を示す。
【0091】
曲げ剛性の決定。吸収性鼻インプラント及び埋め込み可能シートの曲げ剛性を決定した。
【0092】
曲げ剛性は、曲げスチフネスとも呼ばれ、この特性は、曲げ力による撓みに対する物体の抗力を表す。曲げ剛性は、関心対象曲げ軸の周りの被験物質の曲げ弾性率(E)と二次慣性モーメント(I)との積として定義される。
曲げ剛性=E×I
【0093】
曲げ剛性の妥当性を理解する為に、曲げ剛性を得る為に掛け合わされる2つのパラメータについて調べる。第1のパラメータは、曲げ弾性率(曲げ係数とも呼ばれる)であり、これは、ある構成要素にかかる応力の大きさの、その応力の結果としての曲げの大きさに対する比である。応力は単位面積当たりの力として定義される為、曲げ弾性率は、材料特性のみによって決定される値であって、対象構成要素の形状には左右されない、という点に注意することが重要である。即ち、ある特定の材料については、単位面積当たりの力が一定であれば、構成要素の形状に関係なく、ひずみ(変形)の量は結果として同じである。この値は、典型的には、様々な材料に関して、断面積が安定している被験物質の3点曲げ試験により、実験的に得られる。代替として、引張係数(ヤング係数とも呼ばれる)で代用することもできる。これは、引張係数が、ほとんどの均質且つ等方的な材料においてほぼ同一であり、引張試験によって、より容易に得られる為である。曲げ弾性率は、簡単に言えば、材料の形状に無関係の、曲げ応力と結果としての変形との固有の関係の尺度である。
【0094】
曲げ剛性を得る為に掛け合わされる第2のパラメータは、二次慣性モーメント(I)である。これは、特定の構成要素の幾何学的特性であって、選択された軸に対して、断面を構成する複数の点がどのように分散しているかを反映する。曲げ剛性の計算において、二次慣性モーメントは、曲げ力による撓みに対する構成要素の抗力に対する、その構成要素のサイズ及び形状の寄与分を表す。
【0095】
上述の説明は、曲げ力による撓みに対する構成要素の抗力(曲げ剛性)が、原材料の応力/ひずみ応答と、特定の形状、及び曲げ力をかけられたときのその形状の向きと、の両方によって決まることを示している。
【0096】
曲げ剛性又は曲げスチフネスは、曲げ力に対する構造の抗力を具体的に示す有用な特性である。曲げ剛性は、材料の応力−ひずみ応答の寄与分と、構造の具体的形状との両方を包含している。シート状及びロッド状の各吸収性インプラントについて、曲げ剛性の試験を実施した。健康な軟骨とほぼ同等の曲げ剛性を有するインプラントであれば、弱くなった軟骨、治癒しつつある軟骨、又は隣接する軟骨からの適切な支持を欠く軟組織を支持することに適合しうる。
【0097】
埋め込み可能な装置の曲げ剛性を、健康な軟骨の曲げ剛性と比較する為に、弱くなったか治癒しつつある軟骨及び隣接する軟組織を支持する鼻手術で一般的に使用されるタイプの軟骨のサイズ、形状、及び軟骨弾性係数についての情報を、まず取得する。文献によれば、その強度及びまっすぐさから、軟骨移植片材料の好ましい原料として中隔軟骨が使用される(ポーシャ VD, MD, メネセス JVL, MD, PhD(Pochat VD, MD, Meneses JVL, MD, PhD)著「鼻形成術における中隔軟骨の役割:移植片選択の死体分析及び評価(The Role of Septal Cartilage in Rhinoplasty: Cadaveric Analysis and Assessment of Graft Selection)」、エステティック・サージェリー・ジャーナル(Aesthetic Surgery Journal), 31 (8)891−896(2011))。軟骨移植片のサイズ及び形状は、用途、移植片材料の原料、患者の解剖学的構造、及び医師の好みに依存する。鼻翼バッテン移植片は、埋め込み可能な装置との比較に使用するのに適する移植片であり、それは、鼻翼バッテン移植片が、鼻外側壁(下部及び上部外側軟骨、並びに隣接する軟組織)に構造を追加する為によく使用される移植片であり、吸気中に鼻弁がつぶれることを防ぐことにより鼻の空気流を改善することを意図されている為である(ミリマン, MD(Millman, MD)著「つぶれた鼻弁の管理の為の鼻翼バッテン移植片の設置(Alar Batten Grafting for Management of the Collapsed Nasal Valve)」、ザ・ラリンゴスコープ(The Laryngoscope) 112, (2002年3月))。これは、重要な臨床ニーズであり、本明細書に記載の装置は、これに適合しうる。鼻翼バッテン移植片の標準的治療は、患者の解剖学的構造に応じて異なる楕円又は矩形の形状にトリミングされた中隔軟骨の使用である。移植片の幅の適切な範囲は6〜12mmである。摘出される中隔軟骨の一部の通常の厚さは、1mmから1.7mmの範囲である(ポーシャ(Pochat)の既出文献)。又、文献によれば、中隔軟骨の弾性係数の範囲は5MPaから32MPaである(ヴェストリッヒ RW, ウィリアム・ローソン, MD, DDS等(Westreich RW, William Lawson, MD, DDS, et al)著「鼻軟骨の弾性を規定する:カンチレバーモデルに基づくトライポッド理論の生体力学的試験(Defining Nasal Cartilage Elasticity: Biomechanical Testing of the Tripod Theory Based on a Cantilevered Model)」、アーカイブス・オブ・フェイシャル・プラスティック・サージェリー(Arch Facial Plast Surg), 9(4)264−270(2007))。矩形断面の移植片を仮定すると、曲げ剛性の範囲は10N*mm^
2から590N*mm^
2である。この範囲は、全てが最小である条件及び全てが最大である条件の発生を表す。これは、実際には、特に厚さ及び弾性係数に関しては、起こりそうにない。ヴェストリッヒ等(Westreich et al.)は、中隔軟骨が薄くなるようにトリミングされない場合には弾性係数が著しく高くなる、と報告している。厚い中隔はトリミングされて弾性係数が低くなり、薄い中隔はトリミングされずに、高い弾性係数が維持される可能性が高い。鼻翼バッテン移植片に使用される典型的な移植片の中隔曲げ剛性の妥当な予想範囲は、50N*mm^
2から130N*mm^
2である。この範囲は、最小曲げ剛性条件として、弾性係数5MPa、厚さ1.7mm、及び幅6mm、最大曲げ剛性条件として、弾性係数32MPa、厚さ1mm、及び幅12mmを仮定して得られるものである。本明細書に記載されているのは、曲げ剛性がこの範囲内であるINEX吸収性インプラントの曲げ剛性であり、これは、中隔軟骨を含む鼻翼バッテン移植片の剛性と同等の剛性を有する支持構造を与える為のものである。
【0098】
力学的試験。この試験は、Gen 2吸収性鼻インプラントの中心構造部分に直接適用可能な単一ロッドサブセットを含む、複数の形状の埋め込み可能シートの曲げ剛性を評価する。更に、やはり鼻手術で使用されるように表示されている他の吸収性及び非吸収性ポリマーインプラントに関する試験データも提示される。
【0099】
目的。3点曲げ試験をセットアップすることにより、INEX埋め込み可能シート(様々な形状)、Ethicon PDS(商標)可撓性プレート(様々な形状)、及びMedpor(登録商標)外科用外側鼻弁インプラントの曲げ剛性を定量化する。
被験物質:
【0100】
A:Ethicon PDS(商標)可撓性プレート
【0101】
a.製品寸法:0.5×40×50mm[様々なトリミング形状で試験を実施した。表Aを参照]
【0103】
c.ロット:CL9KMRZ0 有効期限:2015年12月
【0104】
B:Medpor(登録商標)外科用インプラント、外側鼻弁
【0105】
a.製品寸法:13×3.5×0.85mm
【0107】
c.ロット:F268A01 有効期限:2019年2月
【0109】
a.製品寸法:1.1×24.5×20.0mm[様々なトリミング形状で試験を実施した。表Cを参照]
【0110】
b.カタログ番号:Spiro IM01
【0111】
c.ロット:161245[Spectrum Plastics Group]
【0112】
方法及び全般セットアップ。ASTM標準D790−10:非補強及び補強プラスチック並びに電気的絶縁材料の曲げ特性で規定されている単純な支持物による3点曲げ構成で各タイプのサンプルをセットアップした。後述の各図面は、各サンプルがどのように装填及び支持されたかを示す。2つのピンゲージが万力の顎に接着された。このセットアップにより、試験者は、必要に応じて顎の離隔幅を調節できる。
【0113】
この使用されたセットアップは、標準に従う許容可能な実施であるD790−10で規定されているデフォルトセットアップに対する修正を表す。使用される支持物及び装填先端部の半径が5mm[0.197インチ]である標準状態。この試験に使用された2つの下部支持物は、0.060インチ[1.53mm]のドエルピンであった。これは、試験サンプルのサイズが小さい場合には適切である。サンプルの形状に合わせて、異なる3つの装填先端部を使用した。大小両方のチゼルポイント先端部、並びにラウンドプランジャである。大小のチゼルポイント先端部は、それぞれ1.5mm[0.059インチ]及び1.0mm[0.039インチ]の平坦な装填面を特徴とする。ラウンド先端部プランジャは、半径が4mm[0.157インチ]である。各装填先端部スタイルの用途については、表Aを参照。
【0114】
設備。表Aで指定されている試験セットアップごとに支持物の幅を確認する為に、キャリパー(CAL109)を使用した。
【0115】
全ての力及び変位のデータをエクセルのファイルに読み込む為に、Mark−10収集ソフトウェア[MEAURgauge V 1.8.2]を使用した。データ収集速度は、毎秒20ポイント[20Hz]に設定した。試験スタンドは、サンプルを毎分1インチの速度で圧縮方向に装填するように設定した。個々の被験物質のそれぞれについて、表Aに示された個々のパラメータに従ってセットアップ及び試験を実施した。
【0116】
データ分析:収集されたデータは、力対変位曲線の形式である。これらの曲線から、初期の直線部分を分離し、勾配をエクセルで、直線のトレンドラインを用いて計算した。曲げ剛性は、曲げ弾性率(E)と面積慣性モーメント(I)の積として定義される。曲げ剛性は、以下に示される単純支持梁の中心偏位に関する方程式を解くことによって試験データから得られる力/変位勾配を用いて計算することが可能である。
【表1】
【0117】
【数1】
を、曲げ剛性(E×I)について解く為に変形する。
【数2】
【0119】
【数4】
は、試験支持物の幅に基づく定数。
【0120】
曲げ剛性の計算を各チャートに示し、2つの試験サンプルから、平均力/変位勾配に基づいて計算した。
【0122】
結論。上記の試験データが示すところによれば、INEX埋め込み可能シートの単一ロッドサブセットの曲げ剛性は約80N*mm^
2であり、これは、中隔軟骨で形成されるバッテン移植片の予想される剛性範囲(50〜130N*mm^
2)に匹敵する。Gen 2吸収性鼻インプラントは、前述の単一ロッドサブセットと同等の構造部分を有する。従って、この吸収性鼻インプラントも、中隔軟骨で構成されるバッテン移植片の予想される剛性範囲に匹敵する曲げ剛性を有する。
【0123】
図11から
図14は、上述のインプラント及び送達システムと類似のインプラント送達システム、インプラント送達ツール、及びインプラントの例を示す。
図11A及び
図11Bは、ベベル端部を有するモールドインプラント1800の図面を示し、これには、製造時に使用される保持エレメント1802が含まれる。装置が成形されてから、線1804及び1806に沿って切断されてよく、これにより、アーム1808及び1810のベベル端部がそれぞれ形成され、例えば、図示されている63度のトリム角が形成される。
【0124】
図12Aから
図12Cは、ベベル端部を有するモールドインプラントの図面を示す。図示されるように、装置1900の全長は、0.74インチから1.04インチの範囲であってよい。アーム1902及び1904は、非稼働時のそれらの先端部の広がりが0.166インチから0.206インチである。これらの図面は、既に詳述されたような、本発明のインプラントに使用可能な寸法を例示している。
図12Cの詳細Aは、点1906においてアーム1902及び1904が交差する様子を示す。点1906においてアーム1902及び1904が交差することにより、ある角度が形成される。
図12Cに示された角度は、90°未満の鋭角である。実施形態によっては、アーム1902及び1904は、アーム1902、1904が90°未満の角度を成すように組織と係合することが可能である。実施形態によっては、アーム1902、1904の間の角度は、インプラントが組織に埋め込まれた時点で180°未満である。
【0125】
図13A及び
図13B、並びに
図14は、ハンドル1302、アクチュエータ1306、インプラント装填チャンバ1310を有するインプラント送達装置1300の図面を示しており、針312が鋭い遠位端1314を有する。
【0126】
本発明に関係する更なる詳細に関しては、材料及び製造技術が、当業者のレベル範囲内にあるものとして用いられてよい。一般的又は必然的に用いられる追加行為の観点から、本発明の方法ベースの態様に関しても同じことが成立するであろう。又、記載されている発明の変形形態の任意選択の特徴はどれも、独立して、又は本明細書に記載の特徴のうちの任意の1つ以上のものと組み合わせて、記載且つ特許請求され得ると考えられる。同様に、単数のアイテムへの参照は、同じアイテムが複数存在する可能性を包含する。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、「said」、及び「the」は、文脈上明らかに矛盾する場合を除き、複数形も包含するものとする。更に、特許請求の範囲が、任意選択の構成要素を全て除外するように書かれうることに注意されたい。従って、本明細書は、特許請求の範囲の構成要素の記述、又は「否定的」限定の使用に関連して「唯一(solely)」、「のみ(only)」などのような排他的術語を使用する為の先行詞として働くものとする。本明細書において別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明の広さは、本明細書によって限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲で使用される文言の単純な意味によってのみ限定されるものとする。
【0127】
実施例において使用される場合も含め、本明細書及び特許請求の範囲において使用されているように、且つ、特に断らない限り、あらゆる数値は、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句が前置されているものとして読まれてよく、たとえ、その語句が明示的に現れていなくても、そのように読まれてよい。「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句は、大きさ及び/又は位置を示す場合に、記載された値及び/又は位置が、妥当な予想範囲の値及び/又は位置に収まっていることを示す為に使用されてよい。例えば、数値は、述べられた値(又は値の範囲)の±0.1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±2%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±5%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±10%の値であってよく、他のそのような値であってよい。本明細書に記載のいかなる数値範囲も、そこに包含される全ての副範囲を包含するものとする。
〔付記1〕
ボディであって、
遠位端と、
近位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に配置された中央部であって、曲げ剛性が約9N−mm2から約130N−mm2である前記中央部と、を含む前記ボディと、
前記遠位端に配置された第1のアームであって、前記アームは、近位端が前記ボディに固定されており、遠位端が前記ボディに固定されておらず、前記アームの前記遠位端は、前記ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されている、前記アームと、
を含む鼻インプラント。
〔付記2〕
前記ボディは、本質的には生体吸収性材料で構成される、付記1に記載のインプラント。
〔付記3〕
前記インプラントの少なくとも1つの部分が生体吸収性材料で構成されている、付記1に記載のインプラント。
〔付記4〕
前記インプラントは、2つ以上の異なる生体吸収性材料を含む、付記3に記載のインプラント。
〔付記5〕
前記第1のアーム、及び前記中央部の一部分は、第1の生体吸収プロファイルを有する第1の生体吸収性材料を含み、前記近位端は、第2の生体吸収プロファイルを有する第2の生体吸収性材料を含み、前記第2の生体吸収プロファイルは前記第1の生体吸収プロファイルより短い、付記4に記載のインプラント。
〔付記6〕
前記インプラント内に1つ以上の張力緩和セクションを更に含む、付記1から5のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記7〕
前記中央部の曲げ剛性は約130N−mm2未満である、付記1から6のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記8〕
前記インプラントの少なくとも2つの部分の曲げ剛性の値が異なる、付記1から7のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記9〕
非吸収性材料で構成される部分を更に含む、付記1から8のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記10〕
前記遠位端、前記近位端、及び前記中央部のうちの少なくとも1つが、非吸収性又は吸収性の材料で作られたコアと、前記コアとは異なる非吸収性又は吸収性の材料で作られた外層とで構成される、付記1から9のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記11〕
前記コアと前記外層は、互いに対して固定されて積層されている、付記10に記載のインプラント。
〔付記12〕
前記コアと前記外層は、互いに対して摺動可能に係合している、付記10に記載のインプラント。
〔付記13〕
近位端が前記ボディに固定されていて、遠位端が前記ボディに固定されていない第2のアームであって、前記第2のアームの前記遠位端は、前記ボディの中心長手軸から離れて送達時構成から配備時構成へと移行するように適合されている、前記第2のアームを更に含む、付記1から12のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記14〕
前記第1及び第2のアームは、それらの配備時構成に向かって付勢されている、付記13に記載のインプラント。
〔付記15〕
前記第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向内側の面にベベルを含む、付記13から14のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記16〕
前記第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向外側の面にベベルを含む、付記13から14のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記17〕
前記中央部は、断面積が異なる複数のセクションを含む、付記1から16のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記18〕
前記中央部は、複数の小さな突起を含む、付記1から17のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記19〕
とがっていない近位端を更に含む、付記1から18のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記20〕
前記第1及び第2のアームは、前記配備時構成に向かって自己展開するように構成されている、付記12から18のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記21〕
前記中央部の曲げ剛性は約50N−mm2から約130N−mm2である、付記1から20のいずれか一項に記載のインプラント。
〔付記22〕
患者の鼻の一組織セクションを支持する方法であって、
前記鼻の組織に送達ツールを挿入するステップと、
遠位端に第1のアームを含むインプラントを、前記送達ツールから遠位方向に前進させて、前記インプラントの遠位端を前記鼻組織内に配置するステップと、
前記前進させるステップの間に、前記第1のアームを前記インプラントの中心長手軸から離すステップと、
前記送達ツールを引き抜いて、前記インプラントの中央部を前記鼻組織内に配置するステップであって、前記インプラントの前記中央部は曲げ剛性が約9N−mm2から約130N−mm2である、前記引き抜くステップと、
前記組織セクションを前記インプラントで支持するステップと、
を含む方法。
〔付記23〕
前記インプラントは第2のアームを含み、前記方法は更に、前記前進させるステップの間に、前記第2のアームを前記インプラントの前記中心長手軸から離すステップを含む、付記22に記載の方法。
〔付記24〕
前記インプラントを前進させる前記ステップは、前記送達ツールの一部分を後退させて、前記第1のアーム及び前記第2のアームが自己展開して前記インプラントの前記中心長手軸から離れることを可能にするステップを含む、付記23に記載の方法。
〔付記25〕
前記インプラントを前進させる前記ステップは、前記第1のアーム及び前記第2のアームがそれぞれ前記組織と係合することによって前記インプラントの前記中心長手軸から離れるように、前記インプラントを遠位方向に押すステップを含む、付記23に記載の方法。
〔付記26〕
前記インプラントを前進させる前記ステップは、前記第1のアーム及び前記第2のアームがそれぞれ前記組織と係合することによって前記インプラントの前記中心長手軸から離れるように、前記インプラントを遠位方向に押し、前記送達ツールの一部分を後退させるステップを含む、付記23に記載の方法。
〔付記27〕
前記インプラントを前進させる前記ステップは、前記第1のアームが第1のアーム切開路を形成することを含み、前記第1のアーム切開路は、前記送達ツールの長手軸からオフセットしている長手軸を有する、付記23から26のいずれか一項に記載の方法。
〔付記28〕
前記インプラントを前進させる前記ステップは、前記第2のアームが第2のアーム切開路を形成することを含み、前記第2のアーム切開路は、前記送達ツールの長手軸からオフセットしている長手軸を有する、付記23から27のいずれか一項に記載の方法。
〔付記29〕
前記第1のアーム切開路と前記第2のアーム切開路は、180度未満の角度を成す、付記28に記載の方法。
〔付記30〕
前記前進させるステップは、前記第1のアーム及び前記第2のアームがそれぞれ、前記第1のアームと前記第2のアームとの間に位置する組織部分と係合することを含む、付記23から29のいずれか一項に記載の方法。
〔付記31〕
前記中央部の曲げ剛性は約50N−mm2から約130N−mm2である、付記22から30のいずれか一項に記載の方法。
〔付記32〕
前記インプラントは、本質的には生体吸収性材料で構成される、付記22から31のいずれか一項に記載の方法。
〔付記33〕
前記インプラントは、2つ以上の生体吸収性材料を含む、付記22から32のいずれか一項に記載の方法。
〔付記34〕
前記インプラントは、生体吸収性材料及び非吸収性材料を含む、付記22から33のいずれか一項に記載の方法。
〔付記35〕
前記インプラントを前記送達ツールに装填するステップを更に含む、付記22から34のいずれか一項に記載の方法。
〔付記36〕
前記送達ツールは、ハンドル部と、前記ハンドル部より遠位に配置された針と、を含み、前記装填するステップは、前記インプラントを前記ハンドル部に装填し、前記インプラントを前記針内へと前進させるステップを含む、付記35に記載の方法。
〔付記37〕
前記送達ツールは針を含み、前記挿入するステップは、前記針の遠位端を前記鼻の組織に挿入するステップを含む、付記22から36のいずれか一項に記載の方法。
〔付記38〕
前記インプラントを前記針に装填するステップを更に含む、付記36に記載の方法。
〔付記39〕
前記装填するステップは、前記インプラントを前記針の近位端に装填するステップを含み、前記方法は更に、前記挿入するステップの前に前記インプラントを前記針の前記遠位端まで前進させるステップを含む、付記36に記載の方法。
〔付記40〕
前記装填するステップは、前記インプラントを前記針の前記近位端に入れる前に、前記インプラントの前記第1のアームを折り畳むステップを含む、付記39に記載の方法。
〔付記41〕
前記装填するステップは、前記インプラントを前記針の前記近位端に入れる前に、前記インプラントの前記第1のアーム及び前記第2のアームを折り畳むステップを含む、付記39に記載の方法。
〔付記42〕
前記挿入するステップの間に、前記インプラントと前記針との間で既知の方向を維持するステップを更に含む、付記36から41のいずれか一項に記載の方法。
〔付記43〕
前記インプラントと前記針との間で前記既知の方向を維持する前記ステップは、前記インプラントを、前記針の、非円形断面を有する内腔の一部分と係合させるステップを含む、付記42に記載の方法。
〔付記44〕
ハンドルと、
前記ハンドルから遠位方向に延びる針であって、内腔を有し、前記内腔の一部分が非円形断面を有し、鋭い遠位端を有する、前記針と、
鼻インプラントを前記針内腔に沿って動かし、前記針の前記遠位端の開口部から出すように適合されているアクチュエータと、
を含む鼻インプラント送達ツール。
〔付記45〕
前記針は、外面上に低摩擦コーティングを含む、付記44に記載の送達ツール。
〔付記46〕
前記針は、前記針に沿う様々な場所に、ほぼ縞模様のマーキングを含む、付記44から45のいずれか一項に記載の送達ツール。
〔付記47〕
前記針内腔と連通していて、前記鼻インプラントを前記針内腔に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを更に含む、付記44から46のいずれか一項に記載の送達ツール。
〔付記48〕
前記インプラント装填チャンバは、前記鼻インプラントが前記針内腔内へと前進するにつれて、前記鼻インプラントを配備時構成から送達時構成に移行させるように適合されている、付記47に記載の送達ツール。
〔付記49〕
前記鼻インプラントが前記針内腔の前記遠位端にあるときの前記アクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを更に含む、付記44から47のいずれか一項に記載の送達ツール。
〔付記50〕
前記アクチュエータレジスタは、前記アクチュエータ上又は前記ハンドル上にマーキングを含む、付記49に記載の送達ツール。
〔付記51〕
前記インプラントの少なくとも遠位部分が前記針内腔から出たときの前記アクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを更に含む、付記44から50のいずれか一項に記載の送達ツール。
〔付記52〕
前記アクチュエータレジスタは、前記アクチュエータがそれ以上移動しないようにする停止要素である、付記51に記載の送達ツール。
〔付記53〕
送達ツールであって、
ハンドルと、
前記ハンドルから遠位方向に延びる針であって、内腔を有し、前記内腔の一部分が非円形断面を有し、長軸及び短軸と、鋭い遠位端とを有する、前記針と、
鼻インプラントを前記針内腔に沿って動かし、前記針の前記遠位端の開口部から出すように適合されているアクチュエータと、を含む前記送達ツールを含み、
前記針内腔内に配置されて、第1のアームを遠位端に含む鼻インプラントであって、前記アームは、近位端が前記インプラントに固定されており、遠位端が前記インプラントに固定されておらず、前記アームの前記遠位端は、前記インプラントの中心長手軸から離れて前記針内腔内での送達時構成から前記針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されている、前記鼻インプラントを更に含む、
システム。
〔付記54〕
前記インプラントの前記遠位端にある第2のアームであって、前記第2のアームは、近位端が前記インプラントに固定されており、遠位端が前記インプラントに固定されておらず、前記第2のアームの前記遠位端は、前記インプラントの中心長手軸から離れて前記針内腔内での送達時構成から前記針内腔外での配備時構成へと移行するように付勢されている、前記第2のアームを更に含む、付記53に記載のシステム。
〔付記55〕
前記第1のアームは、前記針内腔の内面と、前記長軸の端部において係合するベベル面を含む、付記53又は54に記載のシステム。
〔付記56〕
前記第2のアームは、前記針内腔の内面と、前記長軸の、前記第1のアームと反対側の端部において係合するベベル面を含む、付記55に記載のシステム。
〔付記57〕
前記送達ツールは更に、前記針内腔と連通していて、前記鼻インプラントを前記針内腔に装填するように適合されたインプラント装填チャンバを含む、付記53から56のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記58〕
前記インプラント装填チャンバは、前記鼻インプラントが前記針内腔内へと前進するにつれて、前記鼻インプラントを前記配備時構成から前記送達時構成に移行させるように適合されている、付記57に記載のシステム。
〔付記59〕
前記送達ツールは更に、前記鼻インプラントが前記針内腔の前記遠位端にあるときの前記アクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含む、付記53から58のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記60〕
前記アクチュエータレジスタは、前記アクチュエータ上又は前記ハンドル上にマーキングを含む、付記59に記載のシステム。
〔付記61〕
前記送達ツールは更に、前記インプラントの少なくとも遠位部分が前記針内腔から出たときの前記アクチュエータの位置を示すように適合されたアクチュエータレジスタを含む、付記53から60のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記62〕
前記送達ツールは、前記インプラントの遠位部分が前記針内腔から出たという信号を与えるように構成されたインジケータを含む、付記53から61のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記63〕
前記アクチュエータレジスタは、前記アクチュエータがそれ以上移動しないようにする停止要素である、付記61に記載のシステム。
〔付記64〕
前記鼻インプラントの前記第1及び第2のアームは、それぞれが、それぞれの遠位端の半径方向内側の面にベベルを含む、付記54に記載のシステム。
〔付記65〕
前記鼻インプラントは更に、前記近位端と前記遠位端との間に配置された中央部であって、曲げ剛性が約9N−mm2から約130N−mm2である前記中央部を含む、付記53から64のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記66〕
前記鼻インプラントは更に、前記近位端と前記遠位端との間に配置された中央部であって、曲げ剛性が約130N−mm2未満である前記中央部を含む、付記53から64のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記67〕
前記鼻インプラントは更に、前記近位端と前記遠位端との間に配置された中央部であって、曲げ剛性が約50N−mm2から約130N−mm2である前記中央部を含む、付記53から64のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記68〕
前記鼻インプラントは更に、前記近位端に張力緩和セクションを含む、付記53から67のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記69〕
前記鼻インプラントは、本質的には生分解性材料で構成される、付記53から68のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記70〕
前記第1のアームは、前記針内腔の内面と係合する先端部又は端部を含む、付記53から68のいずれか一項に記載のシステム。
〔付記71〕
前記鼻インプラントは、付記1から21のいずれか一項に記載のインプラントである、付記53から70のいずれか一項に記載のシステム。