(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656230
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】大腿部の切除のための誘導装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20200220BHJP
A61B 17/17 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
A61B17/15
A61B17/17
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-513623(P2017-513623)
(86)(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公表番号】特表2017-526471(P2017-526471A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】IB2015056976
(87)【国際公開番号】WO2016038575
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】UD2014A000149
(32)【優先日】2014年9月11日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515326022
【氏名又は名称】リマコルポラテ・エッセ・ピ・ア
【氏名又は名称原語表記】LIMACORPORATE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ダッラ・プリア,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ドッソ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】スバイツ,ファウスト
【審査官】
吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/007806(WO,A1)
【文献】
特開2014−147540(JP,A)
【文献】
特開2005−000526(JP,A)
【文献】
特表2012−527984(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0172672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/15
A61B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿部(11)の切除のための装置であって、前記大腿部(11)の少なくとも二つのセクション(15,16)を得るために切断外科器具を受け入れるように構成された一つ又は複数の切除溝(13)を備える切除本体(12)を有し、
前記切除本体(12)は、互いに対して、安定的かつ解除可能であるように選択的に組み付け可能な二つの別部材から構成され、これら部材のうち、第1部材は、前記切除溝(13)を備える切断テンプレート(21)であり、第2部材は、前記大腿部(11)の長手軸心(F)に対する角度オフセットと、前記二つのセクション(15,16)間における前記大腿部(11)の前記長手軸心(F)に沿った軸心方向並進とを決定するように構成された、複数の計測及び参照穴(24)を備える計測及び参照部材(22)であり、
前記切断テンプレート(21)と前記計測及び参照部材(22)との間に解除可能保持手段(23)が設けられ、前記計測及び参照穴(24)は、整列した行及び列で軸心方向および角方向座標に関連付けられたマトリックス(M)に従って前記計測及び参照部材(22)上に形成されている、大腿部の切除のための装置。
【請求項2】
前記マトリックス(M)の行に沿って延出して右側へと左側へとの両方の、異なる値の角度位置を示す前記計測及び参照穴(24)のグループと、前記マトリックス(M)の列に沿って延出して異なる値の軸心方向位置を示す前記計測及び参照穴(24)のグループとを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記切除本体(12)は、組み付けられた第1切断状態をとるように構成されており、前記第1切断状態において、前記切断テンプレート(21)が外科器具との協働で第1セクション(15)を形成し、前記計測及び参照部材(22)と一体に接続されている、ている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記切除本体(12)は、組み付け解除された第2切断状態をとるように構成されており、前記第2切断状態において、前記切断テンプレート(21)が、組み付けられた前記第1切断状態に対して角度オフセットされるとともに軸心方向に並進移動し、外科器具との協働で、前記第1セクション(15)に対して角度オフセットされるとともに軸心方向に並進移動した第2セクション(16)を得るのに適する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記計測及び参照穴(24)のそれぞれは、前記第2切断状態を形成するべく、それ自身の角度及び軸心方向座標に関連付けられている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1切断状態において、前記計測及び参照穴(24)は、前記切断テンプレート(21)の前記第2切断状態を規定するために、角度及び軸心方向座標に対応して取り付け部材(35)を受け入れるのに適している、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記切断テンプレート(21)は、前記第2切断状態において、当該切断テンプレート(21)を位置決めするべく前記取り付け部材(35)を受け入れることに適した取付及び参照穴(34)を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記切除溝(13)は、V形状セクション(15,16)を形成するべく互いに対称かつ傾斜した二つの直線状切断プロファイルを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記切除溝(13)は、Z形状セクション(15,16)を形成する切断プロファイルを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記切除溝(13)は、傾斜セクション(15,16)を形成する切断プロファイルを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記切除溝(13)は、フラットセクション(15,16)を規定する切断プロファイルを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記解除可能保持手段(23)は、接続ピン(25)と、それと対応する接続開口部(26)とを有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記解除可能保持手段(23)は磁気式である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記解除可能保持手段(23)は機械式である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記解除可能保持手段(23)は磁気手段と機械手段との組み合わせである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト又は動物の先天性形成異常又は後天性形成異常における、股関節に関係する疾患の治療において、整形外科手術、特に、最小侵襲性補綴手術に使用可能な、ヒト又は動物の大腿部の切除のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
股関節形成異常は、世界中に広く分布する公知の疾患であって、赤ん坊の子宮内生活中に始まるが、人生の最初の5年間中に進展し続けることから後天性疾患とされる関節の奇形である。
【0003】
形成異常は関節の極度の緩みとして現れ、それによって、外力を受けた時、大腿骨骨頭が寛骨臼から出入りする。もしこの不安定性が診断されず治療さなければ、月日が経つにつれ、大腿骨骨頭が、筋肉の作用、次に、体重の作用を受けて、徐々に自然な位置とのその関係、又は原軸(paleocotyl)を失い、上昇して、股関節の恒久的な脱臼を構成し、新しい位置、新胚軸(neocotyl)を形成する。
【0004】
新生児において診断されれば、形成異常は、スプレッダを使用し、関節の位置を再規定することによってほとんど完全に治療することができる。
【0005】
もしも新生児において成形不全が時期に遅れず治療されなければ、それは発達して関節炎段階に達する可能性がある。
【0006】
その到達される段階に応じて、かつ、関節機能が保持されているとすると、再配向骨切断、典型的には、捕綴介入等の矯正的外科手術を使用して介入することが可能である。これらの処置は、それぞれ、関節頭間の関係を改善し、関節炎の発症を防止又は遅延させ、大腿骨骨頭のカバーを増大させ、それによって疾患の進行を遅延させることを目的とする。
【0007】
これらの処置は、大腿部の頭部を原軸(paleocotyl)に戻すことを目的として、大腿部をその一部、通常は1cmから4cmの長さ、を除去するために、二つのポイントで切除することからなる。この骨切除術から、二つの骨断端が作り出され、これらをその後再び互いに接続する。
【0008】
大腿部がフラットな切断部で分割されるフラット骨切除術を使用して処置することが知られている。この処置の欠点は、前記フラット切断部を再び接続することによって大腿部を再構築すると、大腿部は捩じり応力に対して最善の方法で抵抗することができなくなり、その結果、骨折や疑似関節炎が生じる可能性があることにある。
【0009】
フラット骨切除術の前記欠点を克服するために、関節の捻じれ安定性を可能にする、例えば、V形状(山形又は二つ山形)、斜め又はZ形状、等の骨切除術バリエーションを使用して手術することが知られている。事実、大腿部のV形状、斜め又はZ形状切断によって、捩じり応力に抗する骨断端の再結合が可能となる。
【0010】
V形状、斜め又はZ形状骨切除術中に、クリーンな切断部を形成し、切断されるべき大腿部の量を正確に測る目的で、大腿の切除のための装置を使用して、それらをピン及び/又はキルシュナーワイヤを使用して大腿部自身に当てることが知られている。その一例が特開2005−000526号公報(特許文献1)に記載されている。
【0011】
大腿部の切除のための公知の装置は、一般に、大腿部上に載置されるのに適した、平行六面体の主切除体を有している。
【0012】
前記主切除体は、単体であって、これは、例えばV形状で、切断作業用の案内テンプレートとして機能する、その形状が形成されるべき切断部分に合う複数の切断溝を備えている。
【0013】
前記切除溝は、前記大腿部の延出方向に沿って互いに適当な距離を置いて配設され、それによって異なる互いに離間した切断溝のみを使用することによって、正しい所望の部分を除去することが可能である。
【0014】
大腿部の切除用の公知の装置の一つの欠点は、骨断端に形成される切断部のプロファイルが、これら骨断端が互いに回転することを許容しないものであること、即ち、プロファイルが互いにフラットで平行である場合にのみ再結合することを可能するものであって、そのような状態は骨断端を回転させないことによってもたらされる。特に、もしも大腿部が或る捩じり変形によって軸心方向の延長を有していると、骨断端の再結合は不正確で有効でないものとなる。
【0015】
この問題が生じる理由は、形成異常を患う対象体は、大きな捩じり変形によって現れる大腿部の首部の顕著な前傾を有することが非常に多いことにある。健全な対象体では、首の線は約8〜13度前方に向いているのに対して、形成異常を患う対象体では、この値は例えば30度にも達しうる。
【0016】
形成異常を治療するための外科骨切除術中に、大腿部人工補綴を、寛骨人工補綴に対してベストな状態で向けるために、骨断端の相互の移動によって、即ち、それを互いに回転させることによって、大腿部の解剖学的前傾を回復することも一般的である。
【0017】
従って、二つの骨断端が前記相互に回転した位置で正確に結合されることを可能にすることが必要である。
【0018】
米国特許出願公開第2011/0015636号明細書(特許文献2)は、上腕骨関節用の切除誘導装置を記載しており、これは、二つの自由度、即ち、回転と平行移動、とを、上腕骨の関節の軸心に沿って提供する。前記誘導装置の目的は、そこで人工補綴を位置決めすることができる上腕骨の関節に着座(a seating)を実質的に形成することにある。
【0019】
米国特許出願公開第2011/0015636号明細書(特許文献2)に記載の前記切除誘導装置は、大腿部の骨セグメントとは異なる、上腕骨の骨セグメントに関するものである。更に、前記誘導装置は、上腕骨の関節の軸心に沿って作用し、これは人体の横断方向解剖学的平面に対して実質的に平行であって、人体の横断方向解剖学的平面に対して垂直である大腿部の長手軸心に対して直交している。従って、前記誘導装置は、大腿部の切除用、特に、除去される大腿部の長さと、骨断端間の角度とを規定し、それらを特に解剖学的前傾を回復するために効果的に介入することが可能となるように接続することを可能にする、大腿部の切除用には不安定で効果的でない。
【0020】
従って、現在の技術の前記欠点の少なくとも一つを克服することが可能な、整形外科手術、特に、最小侵襲性捕綴手術、に使用可能な、大腿部の切除のための装置を完成することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2005−000526号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0015636号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
特に、本発明の一つの目的は、すべてのタイプの骨切除術に使用可能な大腿部の切除のための装置を得ることにある。
【0023】
本発明のもう一つの目的は、除去される大腿部の長さと、骨断端間の角度とを規定し、それらを正確に結びつけることで、特に解剖学的前傾を回復するために効果的に介入することが可能となるようにする大腿部の切除用の装置を得ることにある。
【0024】
もう一つの目的は、使用が容易な大腿部の切除用の装置を得ることにある。
【0025】
本発明のもう一つの目的は、大腿部の長手軸心に沿って実質的に作用する大腿部の切除用の装置を得ることにある。
【0026】
本発明のもう一つの目的は、近位側大腿部の異常な角度の矯正においても有効に使用可能な装置を得ることにある。
【0027】
本出願人は、従来技術の欠点を克服しこれらおよびその他の目的および利点を得るために本発明を創出、テストおよび実施した。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、独立請求項に記載され特徴付けられ、従属請求項は、発明の主要な思想に基づいた本発明又はその変形における他の特徴を記載している。
【0029】
上記目的に応じて、本発明は、整形外科手術、特に、最小侵襲性捕綴手術、に使用可能な、大腿部の切除のための装置に関する。いくつかの形態の実施例において、前記大腿部切除用の装置は、大腿部の少なくとも二つのセクションを得るべく切断外科器具を受け入れるように構成された切除溝を備える切除本体を有する。
【0030】
本発明の一つの態様に依れば、前記切除本体は、安定的かつ解除可能であるように互いに対して選択的に組み付け可能な二つの別部材から構成され、これら部材のうち、第1部材は、前記切除溝を備える切断テンプレートである。第2部材は、前記大腿部の長手軸心に対する角度オフセットと、前記大腿部の二つのセクション間における大腿部の前記長手軸心に沿った軸心方向並進移動とを決定するように構成された複数の計測及び参照穴を備える計測及び参照部材である。更に、前記切断テンプレートと前記計測及び参照部材との間に解除可能な保持手段が設けられている。更に、前記計測及び参照用穴は、整列した行および列で軸心方向および回転方向座標に関連付けられたマトリックスに従って前記計測及び参照部材上に形成されている。
【0031】
前記解除可能保持手段の存在によって、前記切除本体が可変コンフィグレーションをとることを可能にしながら、前記切断テンプレートと前記計測及び参照部材とを互いに接続及び接続解除することが可能となる。
【0032】
本発明の一つの態様によれば、前記切除本体は、組み付けられた第1切断状態を取るように構成されており、前記第1切断状態において、前記切断テンプレートが外科器具との協働で第1セクションを形成し、前記
計測及び参照部材と一体に接続されている。
【0033】
更に、前記切除本体は、組み付け解除された第2切断状態をとるように構成され、この状態において、前記切断テンプレートは、組み付けられた第1切断状態に対して回転方向にオフセットされ軸心方向に並進移動し外科機器との協働で、第1セクションに対して回転方向にオフセットされ軸心方向に並進移動した第2セクションを得るのに適した状態となる。
【0034】
前記切断テンプレートがとることの可能な上記二つの状態によって、互いにオフセットされ角度を有する二つセクションを得ることが可能となり、これによって、大腿部の前傾を回復することが可能となる。前記二つのセクションは、本発明に依れば一つの装置を使用して得ることが可能であって、短時間で連続して得ることが可能である。
【0035】
更に、複数の計測及び参照穴が存在することにより、前記二つのセクションを高い精度で形成することが可能である。
【0036】
事実、穴の選択によって、どの程度、第2セクションが第1セクションに対して角度的にオフセットされ軸心方向に並進移動しているかを示す切断座標を同定することが可能なとなる。
【0037】
本開示のこれら及びその他の態様、特徴および利点は以下の説明、図面および添付の請求項を参照することによってより良く理解されるであろう。本明細書と一体化されその一部を形成する図面は、本発明のいくつかの実施形態を図示し、説明と共に、本開示の原理を記載することを目的とするものである。
【0038】
本明細書に記載される種々の態様および特徴は、可能な場合、それぞれ独立的に適用可能である。これらの個々の態様、例えば、添付の従属請求項に記載の態様および特徴は、分割出願の課題となりうるものである。
【0039】
尚、特許取得過程中に見出された態様又は特徴は、既に公知のものであれば、クレームされず請求放棄の課題とされるものと理解される。
【0040】
本発明のこれらおよびその他の特徴は添付の図面を参照して、非限定的具体例として提供される、いくつかの実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明による大腿部の切除のための装置の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
理解を容易にするために、これら図面において、可能な場合、同じ共通の要素を示すために同じ参照番号が使用されている。尚、一つの実施形態の要素および特徴は、更に銘記されることなく、他の実施形態に適宜組み込むことが可能であることが明記される。
以下、本発明の種々の実施形態について言及するが、それらの内の単数又は複数の例が添付の図面に図示されている。各例は、本発明を例示するために提供されるものであって、その限定と解釈されてはならない。例えば、一つの実施形態の一部として図示又は記載される特徴を、他の実施形態に適合又は連動させて、別の実施形態を作り出すことが可能である。尚、本発明は、それらの改造およびバリエーションをすべて含むものとされる。
【0043】
図1〜
図7は、整形外科手術、特に、最小侵襲性捕綴手術に使用可能で、更に、近位側大腿部の異常角形成を矯正するための手術に使用可能な、本明細書にかかる大腿部11の切除のための装置10の実施形態を説明するために使用される。大腿部11は、長手軸心Fを有する。
図4〜
図8を参照される。
【0044】
いくつかの実施形態において、装置10は、切断外科器具を受け入れるように構成された単数又は複数の切除溝13を備える切除本体12を有する。切除溝13は、貫通しており、前記切断外科器具が通過し、大腿部11の少なくとも二つのセクション15,16、特に、二つの相補的な骨断端18,19を形成することを可能にする。例えば、二つ、三つ又は四つ以上の、切除溝13を、中心線に対して対称、又は非対称に、対又は単体で設けることができる。例えば、
図1,2,4および6を使用して記載される可能な実施形態において、切除溝13に、例えば、異なるジオメトリでの切除(たとえば、Z形状、斜め、V形状、山型、又は二山型)を得るために異なる角度の傾斜を設けることができる。
【0045】
本発明によれば、切除本体12は、必要と作業工程とに応じて、互いに安定的で解除可能に、選択的に組み付け可能な二つの別々の部材21,22から構成される。
【0046】
具体的には、切除本体の第1部材は、切除溝13を備える切断テンプレート21であり、第2部材は、大腿部11の長手軸心Fに対する角度オフセットと、大腿部11の二つのセクション15,16間の軸心方向並進移動とを決定するように構成された複数の計測及び参照穴24を備える計測及び参照部材22である。前記軸心方向並進移動は、大腿部11の長手軸心Fに沿って行われる。
【0047】
具体的には、ここに記載の実施構成に依れば、切除本体12は、切断テンプレート21と計測及び参照部材22とを一体に互いに組み付けることが可能な、組み付けられた第1切断状態とすることが可能に構成可能である。この状態において、切断テンプレート21は、大腿部11に取り付け可能であり、第1セクション15を形成するために外科切断器具と協働するのに適したものとすることができる。
【0048】
切除本体12は、組み付け解除第2切断状態とすることが可能に構成され、この状態において、切断テンプレート21は組み付けられた前記第1切断状態に対して角度オフセットされ軸心方向に並進移動し、第1セクション15に対して角度オフセットされ軸心方向に並進移動した大腿部11の第2セクション16を得るべく外科切断器具と協働するのに適したものとなる。第2切断状態において、切断テンプレート21と計測及び参照部材22とは、互いから分離し、組み付け解除されている。いずれの場合においても、第2状態における大腿部11上の切断テンプレート21の位置は、組み付けられた、前記第1切断状態における計測及び参照部材22の位置と調整される。
【0049】
切断テンプレート21と計測及び参照部材22は、例えば、
図1に図示されているように、単一体を形成するべく、若しくは、例えば
図2に図示されているように、二つの別々の部材を形成するべく、選択的に接続することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、切断テンプレート21と計測及び参照部材22とは、例えば、スナップイン接続、同形状又は幾何学的接続、又は相互干渉接続、又は磁気保持、或いは、上述したものの組み合わせ、によって解除可能に接続することができる。
【0051】
具体的には、本明細書では、解除可能保持部材23が、切断テンプレート21と測定及び参照部材22との間に設けられている。
【0052】
機械式又は磁気式として構成することが可能な前記解除可能保持手段23は、上述したように、切断テンプレート21と
計測及び参照部材22との間の所望の接続形態を得るように構成される。
【0053】
いくつかの実施形態において、解除可能保持手段23は、接続ピン25とその接続を可能にする対応の開口部26とを含むことができる。好適には、接続ピン25は磁気接続ピンであり、開口部26は、接続ピン25との協働で磁気的保持作用を得るべく、強磁性体、又は、少なくとも磁界に対して応答するものを含む。
【0054】
具体的には、切断テンプレート21に接続ピン25(接続のオス部)を設け、計測及び参照部材22に、開口部26(接続のメス部)を設けることができる。他の実施形態ではその反対に、切断テンプレート21と計測及び参照部材22間の接続構成を逆にすることができ、開口部26(接続のメス部)を切断テンプレート21に設け、接続ピン25(接続のオス部)を計測及び参照部材22に設けることも可能である。
【0055】
いくつかの実施形態において、例えば
図1を参照して説明されるように、計測及び参照部材22に接続ピン25を設け、切断テンプレート21に開口部26を設けることができる。
【0056】
切除本体12は、前記組み付けおよび組み付け解除状態において大腿部11に直接に取り付けられる取り付け部材35を受け入れるのに適したものである。取り付け部材35は、例えば、外科整形分野において知られている、キルシュナーワイヤと、又は、例えば、キルシュナーワイヤによって挿入、案内される整形用のピン又はペグとして構成することができる。
【0057】
取り付け部材35は、大腿部11に挿入されて、装置10の第2切断状態と第1切断状態との両方において、そこに位置固定状態に保持することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、計測及び参照部材22は、装置10の第1切断状態を固定するべく取り付け部材35を受け入れることができ、これら部材35は、具体的には、対応の計測及び参照穴24に挿入される。
【0059】
計測及び参照部材22の所望の計測及び参照穴24と接続されると、取り付け部材35は、骨切除を完了させ、解剖学的前傾を回復させるために必要な角度オフセットと軸心方向並進移動との正確な反復可能な参照を提供する。
【0060】
事実、切断テンプレート21がその第2切断状態に置かれると、取り付け部材35との協働で、具体的には、後に詳述するように、それ自身の取り付け及び参照穴34によって、正しい角度および軸心方向位置にセンタリングされ案内される。
【0061】
好適には、計測及び参照穴24は、整列した行と列の軸心方向および回転方向座標に関連付けられたマトリックスMに従う計測及び参照部材22に規則的なジオメトリを備えたものとして形成することができ、ここで、前記行に沿って延出する計測及び参照穴24のグループが右側と左側との両方に向かって、異なる値の回転方向位置を示し、前記列に沿って延出する計測及び参照穴24のグループが異なる値の軸心方向位置を示す。
【0062】
特に、前記マトリックスMにおいて、大腿部11の軸心に沿って軸心方向位置のみが変化する中心グループの計測及び参照穴24と、一方向又は他方向において、大腿部11の長手軸心周りで角度方向位置を変化させることを可能にする計測及び参照穴の二つの側方グループとを同定することが可能である。勿論、二つのセクション15および16の軸心方向位置と回転方向位置との両方を変化させるために前記グループを様々な方法で組み合わせることが可能である。
【0063】
しかしながら、切断テンプレート21を第2切断状態に明確に向けるためには、二つの座標を同定する必要がある。切断テンプレート21は、事実、計測及び参照穴24によって選択された座標で固定された取り付け部材35によって大腿部11と前記第2切断状態において接続されるのに適している。
【0064】
ここに記載されるすべての実施形態と組み合わせることが可能ないくつかの実施形態において、前記二つの行が、同じ軸心方向並進移動を示すことができ、それによって、切断テンプレート21の第2切断状態を明確にする二つの異なる座標も、同じ軸心方向並進移動と関連付けられる。
【0065】
この理由により、計測及び参照部材22には、又、どの行が同じ軸心方向並進移動を規定し、従って、第1セクション15から所望の距離で第2セクション16を形成することを可能にするとともに、同時のその位置を明確にすることが可能な表示部39cを設けることができる。表示部39cは、視覚的なもの、又は感触的なもの、或いはそれらの組み合わせ、として構成することができる。例えば、表示部39cは、切り込み、凹部、陥没部、ノッチ、又は、それらに類似の浅浮彫り、などとして構成するこができる。
【0066】
切断テンプレート21には、使用中に外側を向く第1表面28と、例えば、
図3が参照されるように、使用中において大腿部11と接触する第2表面29を備えることができる。
【0067】
第2表面29は、大腿部11の立体構造に適合し、装置10用の安定した支持部を形成するのに適した形状にすることができる。
【0068】
切断テンプレート21は、切除溝13が貫通形成された単一体として形成することができる。
【0069】
切除溝13は、例えば、大腿部11のセクション15,16を形成しその切断を案内する、手動又はロボット操作される、カッタ、等の外科器具と協働するのに適したものとして構成することができる。
【0070】
切除溝13は、実施される骨切除術に適合する形状とすることができる。
【0071】
図1〜7を参照して記載される実施形態において、切除溝13は、互いに直線状かつ対称に傾斜して、V形状セクション(山形又は二山形)を形成する二つの切断プロファイルを有する。
【0072】
別の実施形態において、切除溝13は、Z形状セクション、又は、ここでも、斜め又はフラットセクションを形成する切断プロファイルを有する。
【0073】
切断テンプレート21は、当該切断テンプレート21の本体部に貫通形成されて、取り外し可能な安全部材32を受け入れるのに適した安全穴31を備えることができる。
【0074】
具体的には、安全穴31と安全部材32と大腿部11との接続は、大腿部11上において装置10を前記第1切断状態に安定化するのに適したものである。
【0075】
ここに記載されるすべての実施形態と組み合わせることが可能ないくつかの実施形態において、安全部材32はキルシュナーワイヤ、又は、キルシュナーワイヤによって案内されるピン又はペグとして構成することができる。
【0076】
前に簡単に説明したように、切断テンプレート21にも、取り付け部材35を受け入れるのに適した取り付け及び参照穴34を貫通形成することができる。
【0077】
取り付け及び参照穴34と取り付け部材35との接続によって、切断テンプレート21の前記第2切断状態を制約することが可能である。
【0078】
いくつかの実施形態において、取り付け及び参照穴34は、使用される取り付け部材35と同じ数設けることができる。
【0079】
例えば、
図1〜
図7を参照すると、取り付け及び参照穴34の数は少なくとも二つとすることができる。
【0080】
取り付け及び参照穴34は、大腿部11の延出方向に沿って、互いにアラインメント、特に、垂直にアラインメント、することができる。
【0081】
ここに記載されるすべての実施形態と組み合わせることが可能ないくつかの実施形態において、切断テンプレート21にも、それを第2切断状態に到達するように案内するように構成された表示部39a,39bを設けることができる。
【0082】
表示部39a,39bは、これらの読み取りを容易にするために第1表面28に形成することができる。例えば、切断テンプレート21は、左右表示部39aと位置及び回転角表示部39bとを備えることができる。これら表示部39a,39bも、切り込み、凹部、陥没部、ノッチ、又は、それらに類似の浅浮彫り、などとして構成するこができる。
【0083】
切断テンプレート21も、大腿部11の延出方向に沿って当該切断テンプレート21の第1表面28から突出するアセンブリプレート38を有する。当該アセンブリプレート38は、切断テンプレート21の大腿部11上での位置を安定化するのに適したものとすることができる。
【0084】
以下、明瞭性のために、ここに記載の実施形態による前記装置10を使用した可能な処置について説明する。
【0085】
先ず、切除本体12は、第1切断状態に構成される。即ち、切断テンプレート21が解除可能保持手段23によって計測及び参照部材22に接続される。
【0086】
次に、このように構成された切除本体12を備える装置10を、第2表面29が大腿部11上に載置されるように設定する。
【0087】
整形外科医によって正確に規定された、大腿部11に対する切断テンプレート21上に形成された切除溝13の現在の位置によって第1状態15の位置が規定される。
【0088】
第1セクション15を切断する前に、切断テンプレート21がとる必要のある前記組み付け解除第2切断状態が同定され規定され、二つの取り付け部材35をこれらが大腿部11に固定されるように計測及び参照穴24を通して挿入する。
【0089】
計測及び参照穴24の選択は、切断テンプレート21が前記第2切断状態においてとることが予想される位置に依存する。
【0090】
単なる例であるが
図4を参照すると、二つの取り付け部材35は、前記第2切断状態が第1状態に対して、例えば、30度左側で、3センチ軸心方向に並進移動するように回転されるように配置される。勿論、作業要件によっては、他の角度回転および他の並進移動の値も可能である。
【0091】
取り付け部材35は、外科処置の終了まで、安定的で、信頼性が高く正確な参照を規定するべく、大腿部11と接続された状態に留まる。更に、取り付け部材35は、装置10の第1切断状態をクランプし規定する。
【0092】
予防的措置として、切断テンプレート21の各安全穴31内に、安全ワイヤ32も挿入され、その後、大腿部11に固定されて、切断中の切除本体12の不意の動きを防止する。
【0093】
その後、第1セクション15を、ガイドとして切断テンプレート21上にある切除溝13を使用して大腿部11に形成し、それによって第1骨断端18を形成する。
【0094】
切除本体12を大腿部11から取り外し、それを取り付け部材35から外し、例えば、
図5に図示のように、安全ワイヤ32を取り外す。切断テンプレート21を計測及び参照部材22から分離し、解除可能保持手段23を解除する。
【0095】
切断テンプレート21を再び大腿部11に接続し、取り付け及び参照穴34を、大腿部11に挿入された状態に留まっていた二つの取り付け部材35を通して挿入する。
【0096】
例えば、切除溝13がここで、第1セクション15に対して、例えば、左側に30度、2センチ、オフセットされる。
【0097】
この状態においては、例えば、
図6が参照されるように、切断テンプレート21のみを大腿部11に接続するので十分である。
【0098】
前記第2切断状態において、第2セクション16が、ここでも、ガイドとして前記切断テンプレート21の切除溝13を使用して大腿部11に形成され、第2骨断端19を形成する。
【0099】
第2セクション16が形成されると、切断テンプレート21を大腿部11から取り外し、それを取り付け部材35から取り外す。
【0100】
まだ大腿部11に固定されたままである取り付け部材35と安全部材32とを、公知の技術を使用して安全にする。
【0101】
二つのセクション15,16を形成した後、大腿部11は二つの骨断端18,19に分割されており、骨部分41が除去される、即ち、
図4〜7を参照すると、大腿部11の3cmの長さ部分が除去される。
【0102】
二つの骨断端18,19は、例えば、第1骨断端18と接続して、それによって解剖学的前傾の正しいアラインメントを回復するために、例えば、第2骨断端19が30度回転されている場合にのみ、相補的部分15,16を有する。
【0103】
図8は、矢状解剖学的平面S、冠状解剖学的平面Cと横断解剖学的平面Tの三つの解剖学的平面が示されている人体Uを略示している。本装置10は、横断解剖学的平面Tに対して直交する大腿部11の長手軸心Fに沿って有効かつ好適に作動する。横断解剖学的平面Tは、それに沿って米国特許出願公開第2011/0015636号明細書に記載の誘導装置が作動する、大腿部の関節の軸心Aに対して平行である。
【0104】
二つの自由度を有し大腿部11の同じ長手軸心に沿って作動する大腿部11の切除用の本装置10によって、大腿部11を効果的かつ正確に分断し、それを、軸心方向および回転方向に位置変化させ、従って、骨の解剖の再調節を行うことが可能である。
【0105】
本発明の範囲から逸脱することなく、ここに記載したように、整形外科手術、特に、最小侵襲性静止補綴外科手術、に使用可能な、大腿部の切除用の装置10に対して改造およびパーツの追加を行うことが可能であることは勿論である。
【0106】
又、本発明をいくつかの具体例を参照して説明したが、当業者は、それら請求項によって規定される保護範囲内にすべて属する請求項に記載の特徴を有する、整形外科手術、特に、最小侵襲性静止補綴外科手術に使用可能な、大腿部の切除のための装置を様々な均等構成で達成することが可能であることも勿論である。