(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656232
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】増加した表示エリアを有するディスプレイタイル
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20200220BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20200220BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/40 301
G09F9/00 336F
G02F1/1333
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-514500(P2017-514500)
(86)(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公表番号】特表2017-528767(P2017-528767A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015070974
(87)【国際公開番号】WO2016041907
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年8月20日
(31)【優先権主張番号】1416248.1
(32)【優先日】2014年9月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1416277.0
(32)【優先日】2014年9月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】104129319
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】500251180
【氏名又は名称】バルコ・ナムローゼ・フエンノートシャップ
(73)【特許権者】
【識別番号】516157946
【氏名又は名称】バルコ・コントロール・ルームズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BARCO CONTROL ROOMS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナース,ニコ
(72)【発明者】
【氏名】デバーレ,トム・アドリアン・ヘラルト
【審査官】
村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−140727(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2006−0007981(KR,A)
【文献】
特開2004−152984(JP,A)
【文献】
特開2011−047880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00−9/46
G02F1/133;1/1333;1/1334;
1/1339−1/1341;1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(2)を含むディスプレイタイルであって、前記フレーム(2)は第1の熱膨脹係数を有する第1の材料で作られており、第2の熱膨脹係数を有する第2の材料で作られた基板(1)に熱活性化接着テープ(3)によって固定され、
前記フレーム(2)は、それが、前記熱活性化接着テープ(3)によって前記基板(1)の側面に貼付けられる第1の部分(21)と、別の構造への固定界面として機能する第3の部分(23)と、前記第1の部分(21)と前記第3の部分(23)との間に位置付けられ、前記第1の部分(21)における歪みから前記第3の部分(23)を分離する第2の部分(22)という3つの部分に分割されることを特徴とする、ディスプレイタイル。
【請求項2】
少なくとも1つの開口(5)が前記フレーム(2)のエッジから延在し、前記フレーム(2)の前記第1の部分(21)および前記第2の部分(22)を横切って延在することをさらに特徴とする、請求項1に記載のディスプレイタイル。
【請求項3】
溝(6)が、前記フレーム(2)の前記第1の部分(21)および/または前記第2の部分(22)に形成されることをさらに特徴とする、請求項1または2に記載のディスプレイタイル。
【請求項4】
前記溝(6)は、前記フレーム(2)の両面に形成されることをさらに特徴とする、請求項3に記載のディスプレイタイル。
【請求項5】
前記溝(6)の深さは、前記フレーム(2)の厚さ(x)の少なくとも50%であることをさらに特徴とする、請求項3に記載のディスプレイタイル。
【請求項6】
前記フレームは、2つ以上のフレーム要素またはストリップ(2A、2B、2C、2D)に分けられることをさらに特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイタイル。
【請求項7】
前記別の構造は、バックライト要素(B)または支持構造(B)であることをさらに特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイタイル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のディスプレイタイルを備えた、ディスプレイ。
【請求項9】
フレームを含むディスプレイタイルを作製する方法であって、前記フレーム(2)は第1の熱膨脹係数を有する第1の材料で作られており、前記方法は、
前記フレーム(2)を、第2の熱膨脹係数を有する第2の材料で作られた基板(1)に熱活性化接着テープ(3)によって固定するステップと、
前記フレームを3つの部分に作製するステップと、
第1の部分(21)を前記熱活性化接着テープ(3)によって前記基板(1)の側面に貼付けるステップと、
第3の部分(23)を別の構造に固定するステップと、
第2の部分(22)を前記第1の部分(21)と前記第3の部分(23)との間に位置付け、前記第1の部分(21)における歪みから前記第3の部分(23)を分離するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイまたはディスプレイタイル用のフレーム、ディスプレイまたはディスプレイタイル自体、もしくは、ディスプレイまたはディスプレイタイル用のそのようなフレームを構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
図1は、タイル型ディスプレイの概略図を示す。
【0003】
ディスプレイタイルTは、たとえば液晶ディスプレイ装置のような発光型表示装置であってもよく、または、それは背面投射型表示装置であってもよい。
【0004】
図1はまた、画素すなわちピクセルPがディスプレイタイルT上にどのように配置されるかを概略的に示す。緑、赤、および青という3つのサブピクセルが互いに接近して位置し、それら全体で、表示される画像の画素を生成する。画素は、間隔Aで互いに追従する。破線は、画像が形成され視聴者によって見られ得る、ディスプレイタイルTの内部エリアを示す。破線とディスプレイタイルTのエッジとの間の空間は、非表示エリアである。非表示エリアはしばしば、LCDのLCDパネルを適所に保持することが主な機能であるベゼルBが占める空間に対応する。先行技術では、隣り合うディスプレイタイルT上に表示される2つの隣り合う画素P間の間隔は、主として、2つの隣り合うディスプレイタイルTを隔てる距離と、ベゼルBの幅とによって決定される。2つの隣り合うディスプレイタイルの表示エリア間の空間はしばしば、シームと呼ばれる。2つの隣り合うディスプレイタイルT間の最小距離は、ディスプレイタイルTの液晶パネル(または投射スクリーン)の整列不良、湾曲または損傷なく、ディスプレイタイルTの熱膨張および湿度膨張を可能にするために必要とされる間隙に依存する。
【0005】
熱膨張および湿度膨張、タイルの互いに対する相対運動、およびタイル間シームへのその影響という問題は、当該技術においても周知である。
【0006】
たとえばUS8,446,540「拡大された表示エリアを有する表示装置」(Display device having an enlarged display area)で提案されているように、ベゼルの幅を減少させることができ、またはベゼルを排除することができる。
【0007】
問題は、(たとえば対角線が1メートルを超える)大型の液晶パネルについては、パネルの重量が「固定部材」および「パネルガイド部分」によって及ぼされる力に打ち勝ち得るため、その解決策は確実ではないかもしれない、ということである。
【0008】
別の問題は、液晶パネルを引っ掻かないようにするために、パネルガイド部分は金属製ではないかもしれない、ということである。したがってそれは、それに印加される力に耐えられるほど十分に厚い必要がある。シームはこのため、パネルガイド部分の少なくとも2倍幅広くなり、厚くなるであろう。
【0009】
US8,446,540の著者はまた、液晶パネルをフレームに固定するための接着テープの使用を除外する。なぜなら、それは、アセンブリの信頼性および耐久性と相容れないためである。
【0010】
接着テープが十分に厚かったならば、信頼性および耐久性は向上され得るであろう。
たとえば、温度変化ΔT=40Kについて、α‐アルミニウム=23,8・10
−61/K、α‐ガラス=8,1・10
−61/K(αは熱膨脹係数)、および室温での総接合長L0=1500mmという値では、両端での長さの差ΔL=ΔT・L0/2・(α‐Al−α‐ガラス)=0,471mmが、応力のないアセンブリで(すなわち、アルミニウムおよび金属がともに接合されない場合に)起こるであろう。この構成においてΔαによって誘発される応力を補償するには、0,8mmの厚さを有する感圧性取付テープが好適であるはずである。
【0011】
しかしながら、感圧性取付テープのそのような厚さは、1mm未満のシームと相容れない。
【0012】
技術はまた、許容誤差(たとえば、液晶層を区切るガラスパネルの横寸法間の不整合)によって影響を受けた液晶パネルを確実に固定し、同時にベゼルまたはリムの使用を回避するための解決策を提供しない。
【0013】
技術を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の概要
本発明の目的は、ディスプレイまたはディスプレイタイル用のフレーム、ディスプレイまたはディスプレイタイル自体、もしくは、ディスプレイまたはディスプレイタイル用のそのようなフレームを構築する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態に従った、ディスプレイまたはディスプレイタイル用のフレーム、ディスプレイまたはディスプレイタイル自体、もしくは、ディスプレイまたはディスプレイタイル用のそのようなフレームを構築する方法は、上述の欠点のうちの1つ以上を克服し得る。
【0016】
本発明の一局面によれば、ディスプレイタイルは、第1の熱膨脹係数を有する第1の材料で作られ、第2の熱膨脹係数を有する第2の材料で作られた基板に熱活性化接着テープによって固定されたフレームを含み、フレームは、それが、基板の側面に貼付けられる第1の部分と、たとえばバックライト要素または支持構造のような別の構造への固定界面として機能する第3の部分と、第1の部分と第3の部分との間に位置付けられ、たとえば歪み軽減構造として、第1の部分における歪みから第3の部分を分離する第2の部分という3つの部分に分割されることを特徴とする。
【0017】
接着テープが活性化されるときに加熱されるフレームの第1の部分を、第1の部分よりも低い温度のままであるフレームの第3の部分から分離することは、基板へのフレームの固定が一旦完了すると、基板の過度の変形を防止する。
【0018】
特に、第1の熱膨脹係数は好ましくは、第2の熱膨脹係数よりも高い。
特に、第1の材料は好ましくは、23,8 10
−61/K以上の熱膨脹係数を有する金属である。金属は、たとえばアルミニウムであり得る。
【0019】
特に、第2の材料は好ましくは、ある熱膨脹係数を有するガラスである。ガラスは、たとえば、9,5 10
−61/K以下の熱膨脹係数を有するホウケイ酸ガラスであり得る。
【0020】
この発明のさらなる局面では、フレームは、2つ以上のフレーム要素またはフレームストリップに分割される。各フレームストリップは、基板の側面に貼付けられる第1の部分と、たとえばバックライト要素または支持構造のような別の構造への固定界面として機能する第3の部分と、第1の部分と第3の部分との間に位置付けられ、たとえば歪み軽減構造として動作するように、第1の部分における歪みから第3の部分を分離する第2の部分とを有する。
【0021】
フレームストリップの第1の部分における歪みからのフレームストリップの第3の部分の分離は、フレームストリップにおける1つ以上の開口によって保証され得る。開口は、フレームストリップの第1および第2の部分を横切って、基板から遠ざかって延在する。
【0022】
開口は、たとえば矩形であってもよい。矩形の角は丸くなっていてもよい。
この発明の別の局面では、(フレーム)ストリップの第3の部分は好ましくは、たとえば、フレーム部分におけるエッチングまたは型打ちによって、もしくは任意の同等の方法によって形成された溝により、フレームストリップの第1の部分における歪みから分離される。
【0023】
溝は、フレームストリップの両面に形成され得る。溝の深さは好ましくは、フレームストリップの第1および第2の部分におけるフレームストリップの厚さの半分よりも大きい。
【0024】
この発明のさらなる局面では、ディスプレイタイルは、接着テープによって第1の基板および第2の基板に固定されたフレームを含み、フレームは、それが、接着テープ(たとえば熱活性化接着テープ)によって第1の基板の側面に貼付けられる第1の部分と、接着テープ(たとえば熱活性化接着テープ)によって第2の基板の側面に貼付けられる第3の部分と、第1の部分と第3の部分との間に位置付けられる第2の部分という3つの部分に分割され、第2の部分は、第1および第3の部分よりも高い撓み性を有し、それにより、第1および第3の部分が異なる平面に位置付けられることを可能にすることを特徴とする。
【0025】
別の局面では、ディスプレイタイル用のフレームを作製する方法が提供され、フレームは第1の熱膨脹係数を有する第1の材料で作られており、この方法は、フレームを、第2の熱膨脹係数を有する第2の材料で作られた基板に熱活性化接着テープによって固定するステップと、フレームを3つの部分に作製するステップと、第1の部分を熱活性化接着テープによって基板の側面に貼付けるステップと、第3の部分を別の構造に固定するステップと、第2の部分を第1の部分と第3の部分との間に位置付け、第1の部分における歪みから第3の部分を分離するステップとを含む。
【0026】
別の局面では、ディスプレイタイル用のフレームを作製する方法が提供され、この方法は、フレームを接着テープによって第1の基板および第2の基板に固定するステップと、フレームを3つの部分に作製するステップと、第1の部分を熱活性化接着テープによって第1の基板の側面に貼付けるステップと、第3の部分を熱活性化接着テープによって第2の基板の側面に貼付けるステップと、第2の部分を第1の部分と第3の部分との間に位置付けるステップとを含み、第2の部分は、第1および第3の部分よりも高い撓み性を有し、それにより、第1の部分および第3の部分が異なる平面に位置付けられることを可能にする。
【0027】
この発明のその局面の一利点は、第1の基板の少なくとも1つの側面が第2の基板の対応する側面と同一平面上にない場合でも、その局面はフレームが第1の基板および第2の基板に貼付けられることを可能にし、第1の基板は第2の基板に平行である、ということである。
【0028】
この発明のさらなる局面では、溝が、フレームの第2の部分に形成され、溝は、第1および第2の基板に実質的に平行である。
【0029】
溝は、所望の方向におけるフレームの撓み性を増加させ、フレームの異なる部分が異なる平面にあることを可能にするであろう。
【0030】
この発明のさらなる局面では、溝は、フレームの両面に形成される。
この発明のさらなる局面では、溝の深さは、フレームの厚さの少なくとも50%である。
【0031】
別の局面では、この発明はディスプレイタイル用のフレームを提案し、フレームは第1の熱膨脹係数を有する第1の材料で作られており、第2の熱膨脹係数を有する第2の材料で作られた基板に熱活性化接着テープによって固定され、フレームは、熱活性化接着テープによって基板の側面に貼付けられる第1の部分と、別の構造への固定界面として機能する第3の部分と、第1の部分と第3の部分との間に位置付けられ、第1の部分における歪みから第3の部分を分離する第2の部分という3つの部分に分割される。さらなる局面では、少なくとも1つの開口がフレームのエッジから延在し、フレームの第1の部分および第2の部分を横切って延在する。さらなる局面では、溝が、フレームの第1の部分および/または第2の部分に形成される。溝は、フレームの両面に形成されてもよい。溝の深さは、フレームの厚さ(x)の少なくとも50%であってもよい。さらなる局面では、フレームは、2つ以上のフレーム要素またはストリップに分けられる。フレームに関するいずれかまたはすべての特徴は、フレーム要素またはストリップのうちの1つ以上に関し得る。さらなる局面によれば、前記別の構造は、バックライト要素または支持構造である。
【0032】
別の局面では、この発明はディスプレイタイル用のフレームを提案し、フレームは接着テープによって第1の基板および第2の基板に固定され、フレームは、接着テープによって第1の基板の側面に貼付けられる第1の部分と、接着テープによって第2の基板の側面に貼付けられる第3の部分と、第1の部分と第3の部分との間に位置付けられる第2の部分という部分に分割され、第2の部分は、第1および第3の部分よりも高い撓み性を有し、それにより、第1および第3の部分が異なる平面に位置付けられることを可能にする。溝が、フレームの第2の部分に形成されてもよく、溝は、第1および第2の基板に実質的に平行である。溝は、フレームの両面に形成されてもよい。溝の深さは、フレームの厚さ(x)の少なくとも50%である。
【0033】
別の局面では、この発明は、上述のようなフレームを含むディスプレイタイルを提案する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2A】ディスプレイタイル、そのフレーム、およびバックライト構造の分解図である。
【
図2B】非平面フレーム要素についての側面図の一例を示す図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に従って、基板およびフレームが熱活性化接着テープによってどのようにともに固定されるかを示す図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に従って、基板およびフレームが熱活性化接着テープによってどのようにともに固定されるかを示す図である。
【
図3C】本発明の一実施形態に従って、基板およびフレームが熱活性化接着テープによってどのようにともに固定されるかを示す図である。
【
図4A】本発明の一実施形態の接着テープの熱活性化中のフレームおよび基板の変形を示す図である。
【
図4B】本発明の一実施形態の接着テープの熱活性化後のフレームおよび基板の変形を示す図である。
【
図5】基板に貼付けられたフレームの領域における歪みによって生じる基板の変形を防止するための、本発明の一実施形態に従ったフレームの第1の適合例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従ったフレームの第2の適合例を示す図である。
【
図7A】フレームの第2の部分の変形を示す図である。
【
図7B】フレームの第2の部分の変形を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に従って、フレームの第1および第2の適合例をどのように組合せることができるかを示す図である。
【
図9A】本発明の一実施形態に従った、フレームに固定された第1および第2の基板を示す図である。
【
図9B】本発明の一実施形態に従った、フレームに固定された第1および第2の基板を示す図である。
【
図9C】本発明の一実施形態に従った、フレームに固定された第1および第2の基板を示す図である。
【
図9D】本発明の一実施形態に従った、フレームに固定された第1および第2の基板を示す図である。
【
図10】第1および第2の基板が異なる横寸法を有する場合、および/または整列されていない場合に、第1および第2の基板をフレームに固定する問題を示す図である。
【
図11】フレームの変形(すなわち撓み性)を可能にするとともに、基板のうちの一方の基板の少なくとも1つの側面が他方の基板の対応する側面と同一平面上にない場合でも、フレームが第1および第2の基板に貼付けられることを可能にする、本発明の一実施形態に従ったフレームの適合例を示す図である。
【
図11A】フレームの変形(すなわち撓み性)を可能にするとともに、基板のうちの一方の基板の少なくとも1つの側面が他方の基板の対応する側面と同一平面上にない場合でも、フレームが第1および第2の基板に貼付けられることを可能にする、本発明の一実施形態に従ったフレームの適合例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
実施形態の説明
本発明を、特定の実施形態に関して、ある図面を参照して説明するが、この発明はそれらに限定されず、請求項のみによって限定される。
【0036】
本発明の実施形態は、以下の利点のうちの1つ、またはいくつか、またはすべてを有するディスプレイタイルTの設計に関する:
− その形状および平坦度を保つ;
− その環境(高い湿度、温度変動…)にかかわらず、熱膨張はごくわずかしかない;および/または
− タイル型ディスプレイで使用される場合、隣り合うディスプレイタイルと整列されたままとなる。
【0037】
この発明はまた、シームの幅が、ディスプレイタイル上の隣り合うピクセル間の間隔と同じくらい小さいかまたはより小さくなるであろう、タイル型ディスプレイに関する。
【0038】
その目的のために、
図2、
図3、
図5、
図9および
図11を参照して、たとえばガラスのような、安定した透明の基板1が使用される。基板1は、背面投射型スクリーンの一部または液晶パネルにおけるガラスプレートのいずれかである。ガラスは、たとえばソーダ石灰ガラスである。任意の好適な透明材料または他のタイプのガラスが可能である。キャリア基板に使用される材料の熱膨脹係数は有利には、9.5・10
−6K
−1よりも低い。基板1は、実質的に平面である第1の側すなわち入射面を有する。入射面は、プロジェクタによって投射された光、またはバックライトが入射する、基板1の面または側である。基板1は、実質的に平面である第2の側すなわち出射面を有する。出射面は、光が視聴者に向かって出射する、基板1の面または側である。基板1の第1の側および第2の側は、実質的に平行である。線または表面、特に平面が基板に垂直であると言われる場合、それは、その線または表面が基板1の第1および第2の側に垂直であることを意味する。
【0039】
基板1は通常、
図2Aに示すように、第1の表面と、第1の表面に平行な第2の表面と、側面1A、1B、1Cおよび1Dとを有する平行六面体である。
【0040】
ディスプレイは(それが背面投射型ディスプレイであろうと、液晶ディスプレイすなわちLCDのような発光型ディスプレイであろうと)、固定フォーマットディスプレイであり得る。基板1は、他の層に関連付けられる。たとえば、基板1は、フレネルレンズおよび/または拡散層などの光学素子を支持できる。基板1はまた、LCDパネルの一部であり得る。その場合、基板1は液晶パネルの1つのコンポーネントに過ぎず、薄膜トランジスタが基板1上に形成可能であり、第1のガラス基板1と、第1のガラス基板1に平行な第2のガラス基板とが、液晶の層を囲むように空間を区切り、たとえばカラーフィルタのような追加の層が第2の表面上に形成可能であり…などとなっている。以下のこの発明の説明では、第1の基板1のみについて明示的に言及する。ディスプレイはまた、プラズマディスプレイであってもよい。
【0041】
基板1の周囲に沿った非表示エリアを回避するために、基板は、
図3B、
図3C、
図9C、
図9D、
図10および
図11に示すように、基板の側面1A、1B、1Cおよび1Dに沿って分布された接着フィルム3によってフレーム2に固定される。非表示エリアを回避することは、たとえば単一のパネルLCDおよびタイル型表示パネルの双方において有用である。
【0042】
フレーム2は有利には金属製である。これは、アセンブリの剛性について妥協することなく、フレームの厚さを減少させることを可能にする。フレームは、たとえば、0.1mm〜1mmの厚さを有するシート状にカットされたアルミニウムリボンであり得る。たとえば、フレームの厚さは0.2mmである。
【0043】
接着フィルム3の一例は、ここに引用により援用される、実用新案DE202009015262U1「潜在反応性の熱活性化接着化合物およびそれを用いて生成された接着剤」(Latent reaktive, hitzeaktivierbare Klebmasse und damit hergestellte Klebemittel)に挙げられている。熱活性化接着フィルムの熱活性化は、たとえば、(たとえばヒートガンによって提供されるような)熱風または近赤外線加熱によって行なわれ得る。
【0044】
熱活性化接着フィルムは、糊のような流体ではなく、隣り合うタイル間のシームに寄与するであろう接着フィルム3の厚さを制御することがより簡単である。
【0045】
熱活性化接着フィルムはまた、簡単に貼ることができるとともに、基板1に関連付けられた層間の糊の浸透、もしくは基板1の第1および/または第2の側への糊の流出のリスクを引き起こさない。糊の浸透は視覚的なアーチファクトを生じさせるため、これは非常に重要である。
【0046】
フレーム2は必ずしも一体型ではない。それはたとえば、
図2Aに示すように、たとえば2つ以上のフレームストリップ(2A、2B、2Cおよび2D)に分けられ得る。
図2Aに示すように、いくつかのフレームストリップが基板1の側面(たとえば1B)に貼付けられ得る。非平面フレームストリップ2Bについての側面図の一例を示す
図2Bによって示すように、フレームストリップは平面である必要がない。フレームストリップ(2A、2B、2Cおよび2D)は、基板1とバックライト構造B(たとえば液晶ディスプレイの場合)または支持構造B(たとえば背面投射型ディスプレイの場合)との間の機械的界面として使用される。構造Bへのフレーム2の固定は、たとえば、ねじSのようなねじと、ナットNのようなナットとによって行なわれ得る。
【0047】
図3Aおよび
図3Bに示すように、ストリップ、たとえば2Aが、基板1の側面のうちの1つ、たとえば1Aに貼られた熱活性化接着テープ3に押しつけられる。
図3Cに示すように、熱および圧力が、たとえば接合ヘッド4を用いてフレームストリップに印加される。接合ヘッドの使用は、フレームストリップのはっきり区切られた領域(
図3Aの斜線エリア)における熱および圧力の印加を可能にする。
【0048】
接着テープ3を活性化するために熱が印加されると、フレームストリップは加熱され膨張する。加熱および膨張は、接合ヘッドの真下で最大となるであろう。フレームストリップがたとえばアルミニウムのような金属で作られていても、温度は、フレームストリップの幅Wにわたって、より高い温度T+からより低い温度T−まで変化するであろう。その結果、
図4Aに示すように、フレームストリップは均一に膨張しない。同時に、ガラス基板1の寸法、特にフレームストリップ(2A、2B、2Cまたは2D)に貼付けられる側面(1A、1B、1Cまたは1D)の長さも、フレームストリップほどではないにせよ、同様に変化するであろう。
【0049】
フレームストリップ2Aが冷えると、フレームストリップ2Aはその最初の長さに戻り、基板1がフレームストリップのうちの1つ以上による圧縮応力を受けて座屈している
図4Bに示すように基板の変形を誘発するであろう。隣り合うタイル間のシームに対するそのような変形の影響は、シームに沿った、およびシーム毎のシーム幅のばらつきを引き起こし、それにより、タイル間のシームは、他の場合よりも視聴者に気付かれるようになるであろう。場合によっては、収縮が接着テープの不良を引き起こし得る。
【0050】
この問題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、金属フレームストリップの形状が、
図5に示すように変更される。
【0051】
フレームストリップ2は、第1の部分21、第2の部分22、および第3の部分23という3つの部分に分割される。第1の部分21は、基板1の側面に貼付けられるであろう。
【0052】
第2の部分22は、第1の部分21と第3の部分23との間の歪み軽減構造として作用する。第2の部分22は好ましくは、他の2つの部分21および23よりも撓み性が高い。
【0053】
フレームストリップにおける1つ以上の開口またはスリット5によって、少なくとも何らかの歪み軽減が保証される。開口5はフレームストリップのエッジから延在し、フレームストリップの第1および第2の部分を横切って延在する。
【0054】
開口5は矩形として形作られ得るが、他の形状寸法が可能である。たとえば、
図5に示すように、開口の角は丸くなっていてもよい。
【0055】
歪み軽減は、
図6に示すような、フレームストリップの第1および/または第2の部分にエッチングまたは型打ちされた溝6によっても保証され得る。
【0056】
溝6は、たとえば、それらが形成される領域に波形の様相を与える、フレームストリップ2の両面でのエッチングによって形成される。
【0057】
溝の深さは、理想的には、フレームストリップの厚さ(x)の50%よりも大きい。
溝6は好ましくは、基板1に実質的に垂直である。言い換えれば、溝6と基板1とによって作られる角度は、好ましくは90.0°+/−0.1°である。それに代えて、溝6と基板1とによって作られる角度は、好ましくは90.0°+/−0.5°である。それに代えて、溝6と基板1とによって作られる角度は、好ましくは90.0°+/−1.0°である。それに代えて、溝6と基板1とによって作られる角度は、好ましくは90.0°+/−5.0°である。それに代えて、溝6と基板1とによって作られる角度は、90.0°未満であるものの、45.0°よりも大きい。
【0058】
フレームストリップの第1の部分21における歪みからのフレームストリップの第3の部分23の分離をさらに向上させるために、開口5と溝6とを組合わせることも可能である。開口5と溝または波形6とは、異なる態様で組合わされ得る。開口5と溝または波形6とがどのように組合わされ得るかの一例を、
図8に示す。この例では、溝6は、開口5の真下でエッチングされる。
【0059】
前述のように、基板1は、たとえば液晶パネルでの場合のように、他の層および/または基板に関連付けられてもよい。
【0060】
その場合、
図9A、B、Cや、たとえば基板1が基板7よりも若干小さく、基板1および7の側面間に不整合Mをもたらす
図9Dに示すように、異なる基板および層は、若干異なる寸法を有するかもしれない。それに代えて、双方の基板がほぼ同一の寸法を有し得るものの、それらは整列されず、それらの側面が同一平面上にないことをもたらすかもしれない。
【0061】
基板1および7の寸法が異なり過ぎる場合、および/または双方の基板が整列されていない場合、それらをともにフレーム2に貼付けることは難しいかもしれない(接合は、予想されるよりも弱いかもしれず、または基板の一方または双方で存在さえしないかもしれない)。これを、フレームストリップ2A、熱活性化層3、基板1および7の断面を示す
図10に示す。
図10に見られるように、基板側面1Aおよび7A間の不整合Mにより、フレームストリップへの側面1Aの接合が非常に難しくまたは不可能になる。2つの接着テープ3Aおよび3Bは、基板7の側面7Aおよび基板1の側面1A上でそれぞれ使用され得るが、これは、接着ストリップ3Bとフレーム要素2Aとの間に接触が存在しないであろうということを妨げないであろう。
【0062】
この発明の一実施形態に従った、その問題に対する解決策は、基板1と7との間の境界に対応するフレーム要素の領域において、フレーム要素2Aの撓み性(すなわち柔軟性)を増加させることである。撓み性は、たとえば、
図11、特に
図11Aに示すように、フレーム要素に溝8をエッチングすることによって増加され得る。溝8の深さは好ましくは、フレーム要素2の厚さの50%よりも大きい。
【0063】
図11は、フレームストリップ2、熱活性化接着層3A、基板1および7を示す。熱活性化接着テープ3Aおよびオプションで3Bは、基板7の側面7Aおよびオプションで基板1の側面1Aでそれぞれ使用され得る。
【0064】
図11に示すように、フレーム2は、接着テープ3A3Bによって第1の基板1および第2の基板7にそれぞれ固定され得る。フレーム2は、オプションで熱活性化接着テープ3Bによって第1の基板1の側面に貼付けられ得る第1の部分31と、熱活性化接着テープ3Aによって第2の基板7の側面に貼付けられる第3の部分33と、第1の部分31と第3の部分33との間に位置付けられる第2の部分32という3つの部分に分割され、第2の部分32は、第1の部分31および第3の部分33よりも高い撓み性を有し(すなわち、より良好に追従または調節可能であり)、それにより、第1の部分31および第3の部分33が異なる平面に位置付けられることを可能にする。
【0065】
溝8は、フレーム2の第2の部分32に形成可能であり、溝8は第1の基板1および第2の基板7に実質的に平行である。溝8の深さは好ましくは、フレーム2の厚さの50%よりも大きい。溝8は、フレーム2の両面に形成可能である。
【0066】
フレーム2は、2つ以上のフレーム要素またはストリップ31、32、33に分けられ得る。熱活性化中の熱膨張と基板1および7の側面(たとえば1Aおよび7A)の位置間の不整合との双方に対処するであろうフレーム2、たとえば2A、2B、2C…は、フレーム2、たとえば2A、2B、2C…の第1の部分31に溝8を位置付けることによって得られ得る。フレーム2の所望の変形は、フレーム2が貼付けられる第1の基板1および第2の基板7に溝8が実質的に平行な状態で得られるであろう。
【0067】
言い換えれば、溝8と第1の基板1および第2の基板7とによって作られる角度は、好ましくは0.0°+/−0.1°である。それに代えて、溝8と第1の基板1および第2の基板7とによって作られる角度は、好ましくは0.0°+/−0.5°である。それに代えて、溝8と第1の基板1および第2の基板7とによって作られる角度は、好ましくは0.0°+/−1.0°である。それに代えて、溝8と第1の基板1および第2の基板7とによって作られる角度は、好ましくは0.0°+/−5.0°である。それに代えて、溝8と第1の基板1および第2の基板7とによって作られる角度は、0.0°よりも大きいものの、45.0°未満である。