(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パッケージが覆っている物質を保護するパッケージの能力は、パッケージを設計及び構築するために用いられる材料に大きく依存する(参照文献:Food Packaging and Preservation;M.Mathlouthi編、ISBN:0−8342−1349−4;Aspen publication;Copyright 1994;Plastic Packaging Materials for Food;Barrier Function,Mass Transport,Quality Assurance and Legislation:ISBN 3−527−28868−6;O.G Piringer編;A.L.Baner;Wiley−vch Verlag GmBH,2000)。好ましい包装材料は、水分、光、及び酸素の侵入を最小化し、これは、多くの場合バリア特性と呼ばれる。
【0003】
より大きな引張強度、破裂強度、剛性、引裂強度、耐屈曲性、遮断、及び摩擦係数を含む、強化された機械的バリア特性を備える多くのパッケージが開発されている。これらパッケージは、(パッケージにおける亀裂を防ぐことによって)圧力、温度、剪断力、及び透湿性等の物理的ストレスに耐えるための強度の提供に主に関与するポリマーマトリクスで作製される。材料の機械的特性を更に強化するために、炭酸カルシウムを含む鉱物をポリマーマトリクスに添加してもよい。炭酸カルシウムは、パッケージの縮み低減を強化し、表面仕上げを改善することが知られている(Functional Fillers for Plastics;ISBN−13 978−3−527−31054−8;Marino Xanthos編;copyright 2005 WILEY−VCH Verlag GmBH)。また、炭酸カルシウムは、より高価なプラスチック樹脂の代わりに使用することによってパッケージのコストを低減することが知られている。
【0004】
材料の光バリア特性は、典型的には、不透過性測定によって決定される。「不透過性」は、殆ど又は全く光を通すことができない材料として定義され、光透過率測定によって決定される。より高い光透過率値を有する材料は、より低い不透過性を有すると考えられ、逆もまた同様である。大部分の食品用パッケージは、光が食品と接触するのを防ぎ、食品の損傷を防ぐために、あまり光を透過しないように開発される。炭酸カルシウムは、ポリマーマトリクスを有する材料に添加したとき、材料の不透過性の強化又はその光透過率の低下に対して殆ど効果を有しないと従来は考えられていた。しかし、このような材料に添加したときに材料の不透過性を大きく強化することが知られている、炭酸カルシウム以外の鉱物が存在する。二酸化チタンは、材料の光透過率を大きく低下させ、食品包装において頻用される鉱物である。
【0005】
炭酸カルシウム及び二酸化チタンの光学特性は、十分に研究されており、混色法(Principles of Color technology;3rd edition;Roy Berns;ISBN 0−471−19459−X;Copyright 2000,John Wiley and Sons.150ページ)及びクベルカ−ムンク理論(Kubelka,P.and F.Munk;Z.tech,Physik 31(1930),1〜16)を用いて説明することができる。クベルカ−ムンク理論は、(二酸化チタン及び炭酸カルシウムの関数である)可視光散乱を介した不透過性が、プラスチック媒体と、直径0.1〜1.0マイクロメートルの色素サイズ範囲内の鉱物粒子との間の屈折率の差の結果であることを教示している。鉱物ブレンドとプラスチック媒体との屈折率の差が、光散乱を介した不透過性の機会を生み出す。例えば、炭酸カルシウムの屈折率は、547nmで約1.59であり、低密度ポリエチレン(LDPE)は、547nmで約1.52であり、デルタは0.7である。ルチル形二酸化チタンは、547nmで2.61の屈折率値を有し、LDPEは、1.52の値を有し、差は1.09である。したがって、等濃度では、二酸化チタンは、炭酸カルシウムよりも1桁大きい不透過性を提供する。
【0006】
炭酸カルシウム及び二酸化チタンの混合物を含む包装材料が作製されている。このような材料の一例は、炭酸カルシウム及び二酸化チタンを含むパッケージ組成物について教示している特開2013−252645号(P22013−252645A)に記載されている。具体的には、強化された酸素バリア特性を有する、包装用の二軸延伸多層ポリプロピレンフィルムの作製方法が教示された。この多層パッケージは、3〜15質量%の炭酸カルシウム及び0.5〜3質量%の酸化チタンを含む1層のポリプロピレン層を有すると記載された。この特許出願は、炭酸カルシウムが、材料に添加されたときに、その材料の不透過性を有意に増大させることについては教示も示唆もしていない。食品及び医薬品を含む物質の貯蔵寿命を延長するために、食品及び医薬品等の物質中に存在する光酸化感受性実体を保護することができる、高い光バリア特性を有する新規包装材料を特定する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、無論、変化し得ることを理解すべきである。また、本明細書で用いる用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定を意図するものではないことも理解すべきである。更に、本明細書において参照する全ての刊行物は、それぞれが本明細書に参照することによって組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に引用する目的のために、参照することによって組み込まれる。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いるとき、単数形の用語及び単数形「a」、「an」、及び「the」は、例えば、明らかに他の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「TiO
2」又は「TiO
2粒子(TiO
2 particle, the TiO
2 particle, a TiO
2 particle)」に対する言及は、複数のTiO
2粒子も含む。また、用語「TiO
2粒子」の使用は、実際問題として、多くの分子のTiO
2粒子も含む。
【0016】
更に、本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」とは、言及されるとき、指定の特徴、整数、工程、又は成分の存在を指定すると解釈すべきであるが、1つ以上の特徴、整数、工程、若しくは成分、又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。したがって、例えば、光感受性実体を含むサンプルは、追加の光感受性実体、又は他の光非感受性実体若しくは栄養素等の他の成分を含有してもよい。更に、用語「含む(comprising)」は、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」に包含される例を含むことを意図する。同様に、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、用語「からなる(consisting of)」に包含される例を含むことを意図する。
【0017】
材料の不透過性の測定
パッケージを透過した光の測定と、パッケージ内の1つ以上の光感受性実体の光酸化の測定との関係は、明確に理解されてはいない。典型的には、高い不透過性(及び/又は低い光透過率)を有する材料は、食品の損傷の保護を強化すると考えられていた。不透過性は、光を通さない材料の性質である。透過率が高いほど、典型的には、不透過性が低くなり、逆もまた同様である。
図1は、炭酸カルシウム濃度が具体的には2〜4重量%増大し、かつ用いられる二酸化チタンを添加していないとき、LPDEシートの不透過性が増大することを示す。
図2は、二酸化チタン濃度が具体的には0.1〜1重量%増大し、かつ炭酸カルシウムを添加していないとき、LPDEシートの不透過性が増大することを示す。二酸化チタンは、LPDEシート(マトリクス)のTAPPI不透過性の強化について、炭酸カルシウムよりも約10倍効率的である。
図3〜
図7は、炭酸カルシウム及び二酸化チタンの両方を含むLPDEシートの不透過性の増大を示す。
図3〜
図7に示す通り、炭酸カルシウム及び二酸化チタンの混合物を有するLPDEシートは、二酸化チタンの量が増加するにつれて不透過性が増大しており、これは、二酸化チタンと混合したとき、炭酸カルシウムを添加してもLPDEシートの不透過性は実質的に増大しないことを示す。実施した実験、得られたデータ、及び図面の構成の説明については、実施例の項を参照されたい。
【0018】
材料のLPFの測定
しかし、不透過性の測定は、材料の、その材料が覆っている物質を光酸化から保護する能力を正確に測定できなくてもよい。本発明は、リボフラビン、クルクミン(curcurim)、ミオグロビン、クロロフィル(全ての形態)、ビタミンA、及びエリトロシン等の実体の光酸化を保護する新規材料の特定に焦点を当てる。本発明で用いることができる他の光感受性実体としては、食品、医薬品、生物学的材料(例えば、タンパク質、酵素、及び化学物質)中にみられるものが挙げられる。1つ以上の光感受性実体の光酸化の速度は、「光保護係数」又は「LPF」と称され、不透過性及び/又は光透過率の測定とは異なる。LPFは、光感受性実体濃度の半分が光酸化するのに必要な時間である。したがって、1つ以上の光感受性実体を包装するのに用いられる高LPF値を有する材料は、光感受性実体の光酸化が生じる前に、低LPF値を有する材料よりも長く光の下で存在することができる。驚くべきことに、出願人らは、1)包装材料のLPF値と不透過性(光透過率)値との間に直接相関関係は存在しないこと、及び2)特定の濃度の炭酸カルシウム及び二酸化チタンを有する包装材料が極めて高いLPF値を有することを見出した。LPFの測定についての詳細な説明は、参照することによって本明細書に組み込まれる「Methods for Determing Photo Protective Materials」と題された国際公開第2013/163421号及び「Devices for Determining Photo Protective Materials」と題された国際公開第2013/162947号に更に記載されている。更なる情報は、本特許出願の実施例の項に見出すことができる。
【0019】
上述の通り、二酸化チタン及び炭酸カルシウムの混合物を含む包装材料の予想外かつ驚くべきLPF値が特定された。
図5及び
図6、並びに以下のチャートは、これら包装材料のLPF値を決定するために試験される二酸化チタン及び炭酸カルシウムの様々な混合物を含む3枚のLPDEシートを示す。LPF値は、予想よりもはるかに高く、
図1〜
図3及び
図8〜
図10に示す材料の不透過性の測定とは一致していなかった。言い換えれば、単に光が材料を通過するのを防ぐだけでは、光感受性実体の光酸化は阻止されない。
【0020】
本発明の包装材料は、相対部のTiO2に対する相対部のCaCO3を含む。相対炭酸カルシウムは、材料の重量%に材料を含有する層の厚さ(mil)を乗じたものとして定義される(ex.800の相対CaCO3は、包装構造物の厚さ40milの層中20重量%がCaCO3であるか又は20milの層中40重量%であり得る)、すなわち、CaCO3のTiO2に対する重量比が4.5、8.6、及び17.1であるとき、LPF値は、60超である。本発明は、鉱物フィラーの二酸化チタンに対する比、好ましくは、CaCO
3(好ましい鉱物フィラー):TiO
2比に言及する。本発明の1つの実施形態は、任意の所与の厚さの光保護性能について、4.5、8.6、及び17.1の範囲の好ましい比に言及する。
【0021】
本発明の材料は、パッケージを形成するために用いることができる。本発明の好ましいパッケージは、0.010インチ(0.0254センチメートル)以上、好ましくは0.010〜0.040インチ(0.0254〜0.1016センチメートル)、より好ましくは0.020〜0.040インチ(0.0508〜0.1016センチメートル)の厚さを有する薄肉カートン、例えば、ミルクカートンである。好ましいパッケージは、典型的には、20超、30超、40超、50超、60超、70超、80超であるが、100未満のTAPPI不透過性を有する。
【0022】
二酸化チタン
処理顔料:
任意の無機顔料を本発明で用いてよいことが企図される。無機顔料とは、ポリマー溶融物全体に均一に分散し、そのポリマー溶融物に色及び不透過性を付与する無機粒子状材料を意味する。無機顔料の幾つかの例としては、ZnO及びTiO
2が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で用いられるフィラーとしては、CaCO
3、BaSO
4、シリカ、タルク、又は粘土が挙げられる。好ましいフィラーは、CaCO
3であり、好ましい無機顔料は、二酸化チタン粒子である。
【0023】
具体的には、二酸化チタンは、本開示の方法及び生成物において特に有用な顔料である。本開示において有用な二酸化チタン(TiO
2)顔料は、ルチル又はアナターゼ結晶形態であってよい。それは、一般的に、塩化物法又は硫酸塩法によって作製される。塩化物法では、TiCl
4をTiO
2顔料に酸化させる。硫酸塩法では、硫酸及びチタン含有鉱石を溶解させ、得られる溶液を一連の工程に供してTiO
2を得る。硫酸塩法及び塩化物法はいずれも、「The Pigment Handbook」、Vol.1,2nd Ed.,John Wiley & Sons,NY(1988)により詳細に記載されており、その教示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。顔料は、顔料又はナノ粒子であってよい。
【0024】
「顔料」とは、1マイクロメートル未満の平均サイズを有する二酸化チタン顔料を意味する。典型的には、顔料は、Horiba LA300 Particle Size Analyzerによって測定したとき、約0.020〜約0.95マイクロメートル、より典型的には、約0.050〜約0.75マイクロメートル、最も典型的には、約0.075〜約0.60マイクロメートルの平均サイズを有する。
【0025】
二酸化チタン顔料は、実質的に純粋な二酸化チタンであってもよく、又は他の金属酸化物、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等を含有していてもよい。例えば、チタン化合物と他の金属化合物とを共酸化又は共沈することによって他の金属酸化物を顔料に配合してもよい。共酸化又は共沈した場合、顔料の全重量に基づいて、最大約20重量%、より典型的には、0.5〜5重量%、最も典型的には、約0.5〜約1.5重量%の他の金属酸化物が存在し得る。
【0026】
二酸化チタン顔料は、1つ以上の金属酸化物表面処理を有していてもよい。これら処理は、当業者に公知の技術を用いて適用してよい。金属酸化物処理の例としては、特に、シリカ、アルミナ、及びジルコニアが挙げられる。このような処理は、顔料の全重量に基づいて、約0.1〜約20重量%、典型的には、約0.5〜約12重量%、より典型的には、約0.5〜約3重量%の量で存在し得る。
【0027】
無機顔料は、約30〜約75m
2/g;より典型的には、約40〜約70m
2/g;更により典型的には、約45〜約65m
2/g、更により典型的には、約50〜約60m
2/gの表面積を有していてよい。
【0028】
また、本発明は、(組成物の全重量に基づいて)約0.1〜約50重量%、又は約0.5〜約30重量%、又は約0.5〜約10重量%、又は約0.5〜2重量%のナノ−TiO
2を組成物内で使用してもよい。ナノ−TiO
2は、約125nm以下、又は≦100nm、又は≦50nm、又は≦40nm、又は≦20nmの平均サイズ分布を有し得る。ナノ−TiO
2は、好ましくは、酸、ケイ素化合物、別の金属酸化物、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせでコーティングされる。コーティングは、約0.1〜約25重量%、又は0.1〜約10重量%、又は約0.3〜約5重量%、又は約0.7〜約2重量%の範囲であってよい。ナノ−TiO
2は、市販されているものであってもよく、又は米国特許第6,667,360号に開示されているもの等の当業者に公知の任意の手段によって作製してもよい。リン酸、金属リン酸塩、金属ハロゲン化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせを用いて、ナノ−TiO
2の結晶化度、非晶質含量、又は粉砕度(millability)を制御することができる。金属は、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、スズ、又は亜鉛であってよい。また、上に開示した通り、金属酸化物、酸、又はシラン等の表面剤でコーティングすることによって、粒子の表面反応性を制御することもできる。
【0029】
組成物は、更に、可塑剤、蛍光増白剤、接着促進剤、安定剤(例えば、加水分解安定剤、放射線安定剤、熱安定剤、及び紫外線(UV)安定剤)、抗酸化剤、紫外線吸収剤、静電気防止剤、着色剤、染料又は顔料、艶消し剤、フィラー、難燃剤、潤滑剤、強化剤(例えば、ガラスファイバー及びフレーク)、加工助剤、滑り止め剤、スリップ剤(例えば、タルク、粘着防止剤)、及び他の添加剤を含んでいてよい。
【0030】
TiO
2は、(組成物の全重量に基づいて)約0.1〜約80重量%、又は約0.5〜約30重量%、又は約0.5〜約10重量%、又は約/好ましくは1.5〜3重量%、組成物中に存在していてよい。TiO
2は、約350nm以下、又は≦250nm、又は≦125nm、又は≦100nm、又は≦50nm、又は≦40nm、又は≦20nmの平均サイズ分布を有し得る。TiO
2は、好ましくは、カルボン酸含有材料、ポリアルコール、アミド、アミン、ケイ素化合物、別の金属酸化物、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせでコーティングされる。コーティングは、約0.1〜約25重量%、又は0.1〜約10重量%、又は約0.3〜約5重量%、又は約0.7〜約2重量%の範囲であってよい。酸は、カルボン酸、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、サリチル酸、及びこれらのエステル又は塩であってよい。ケイ素化合物の例は、ケイ酸塩、オルガノアルコキシシラン、アミノシラン、エポキシシラン、及びメルカプトシラン、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含む、ケイ酸塩又は有機シラン若しくはシロキサンであってよい。金属酸化物の例としては、Al
2O
3、SiO
2、ZrO
2、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0031】
ポリマー組成物/ポリマー溶融物
ポリマー組成物/溶融物では、本開示の処理粒子と共に使用することができる溶融加工可能なポリマーは、高分子量ポリマーを含む。本開示において有用なポリマーは、高分子量の溶融加工可能なポリマーである。「高分子量」とは、ASTM法D1238−98によって測定したとき、0.01〜50、典型的には、2〜10のメルトインデックス値を有するポリマーを説明することを意味する。「溶融加工可能」とは、溶融状態のポリマーを得ることを含む段階を通して、押出成形するか又は他の方法で成形物品に変換することができるポリマーを意味する。本開示において使用するのに好適なポリマーとしては、一例として以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びエチレンと高級オレフィンとのコポリマー、例えば、4〜10個の炭素原子を含有するアルファオレフィン又は酢酸ビニル等のオレフィンを含むエチレン性不飽和モノマーのポリマー;ビニル、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、アクリルホモポリマー及びコポリマー;フェノール;アルキド;アミノ樹脂;エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリウレタン;フェノキシ樹脂、ポリスルホン;ポリカーボネート;ポリエステル及び塩素化ポリエステル;ポリエーテル;アセタール樹脂;ポリイミド;並びにポリオキシエチレン。ポリマーの混合物も企図される。また、本開示において使用するのに好適なポリマーとしては、様々なゴム及び/又はエラストマー、様々なジエンモノマーと上述のポリマーとの共重合、グラフト化、又は物理的ブレンドに基づく天然又は合成のポリマーが挙げられ、これらは全て当該技術分野において周知である。典型的には、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、及びポリエステル、並びにこれらの混合物からなる群から選択してよい。より典型的には、使用されるポリマーは、ポリオレフィンである。最も典型的には、使用されるポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンである。典型的なポリエチレンポリマーは、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0032】
他の添加剤
必要なとき、望ましいとき、又は従来通り、本開示の方法によって作製されたポリマー組成物中に、広範な添加剤が存在していてもよい。このような添加剤としては、ポリマー加工助剤、例えば、フルオロポリマー、フルオロエラストマー等、触媒、反応開始剤、抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール)、発泡剤、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン光安定剤又は「HALS」)、着色顔料を含む有機顔料、可塑剤、粘着防止剤(例えば、粘土、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、シリコーン油等)、均染剤、難燃剤、へこみ防止添加剤等が挙げられる。
【0033】
プラスチック物品を形成するポリマー組成物の調製
乾式及び湿式混合の両方によって、本発明のポリマー組成物に本発明のTiO
2粒子を添加してよい。湿式混合では、粒子をスラリーにするか又は溶媒に溶解させ、次いで、他の成分と混合してよい。本開示の1つの実施形態では、処理粒子を第1の高分子量の溶融加工可能なポリマーと接触させてよい。当業者に公知の任意の溶融配合技術を用いてよい。一般的に、処理粒子、他の添加剤、及び溶融加工可能なポリマーを合わせ、次いで、乾式ブレンド等の、ポリマー溶融物に剪断力を印加するブレンド操作で混合して、粒子を含有する、より典型的には、着色されたポリマーを形成する。溶融加工可能なポリマーは、通常、粒子、顆粒、ペレット、又はキューブの形態で入手可能である。乾式ブレンドの方法としては、袋の中で振盪するか又は密閉容器の中で混転させることが挙げられる。他の方法としては、アジテータ又はパドルを用いるブレンドが挙げられる。処理粒子及び溶融加工可能なポリマーは、スクリュー装置を用いて同時供給してよく、そのスクリュー装置は、ポリマーが溶融状態に達する前に処理粒子、ポリマー、及び溶融加工可能なポリマーを混合する。あるいは、スクリューフィーダ、ニーダー、高剪断ミキサ、ブレンドミキサ等を含む当該技術分野において公知の任意の方法を用いて、溶融ブレンドすることができる機器に成分を別々に供給してもよい。典型的な方法は、バンバリーミキサ、一軸及び二軸押出成形機、並びにハイブリッド連続ミキサを使用する。加工温度は、使用されるポリマー及びブレンド方法に依存し、当業者に周知である。混合の強度は、ポリマーの特性に依存する。本開示の方法によって作製された処理粒子を含有するポリマー組成物は、成形物品の作製において有用である。粒子含有ポリマー組成物及び成形ポリマー物品中に存在する粒子の量は、最終用途に依存して変動する。しかし、典型的には、ポリマー組成物中の粒子の量は、組成物の全重量に基づいて約30〜約90重量%、好ましくは、約50〜約80重量%の範囲である。例えば、成形物品、例えば、ポリマーフィルム等の最終用途における粒子の量は、約0.01〜約20重量%の範囲であってよく、好ましくは、約0.1〜約15重量%、より好ましくは、5〜10重量%である。成形物品は、典型的には、第1の高分子量の溶融加工可能なポリマーを含む処理粒子含有ポリマーを第2の高分子量の溶融加工可能なポリマーと溶融ブレンドして、最終製品を形成するために用いることができるポリマーを作製することによって作製される。処理粒子含有ポリマー組成物及び第2の高分子量ポリマーを、上に開示した通り、当該技術分野において公知の任意の手段を用いて溶融ブレンドする。このプロセスでは、二軸押出成形機が一般的に用いられる。共回転二軸押出成形機は、Werner及びPfleidererから入手可能である。溶融ブレンドポリマーを押出成形して成形物品を形成する。本開示に従って処理された無機粒子は、ポリマー溶融物全体に分散することができる。典型的には、処理無機粒子は、ポリマー溶融物全体に均一に分散することができる。このような粒子は、ポリマー内で何らかの軽度の集塊を示し得る。また、微量の粒子がポリマー溶融物の表面に移動することがあるが、任意のこのような移動は、粒子が粘着防止剤等の表面活性材として適格となるのに十分な程度ではない。1つの実施形態では、本開示は、マスターバッチとして使用することができるポリマー組成物に関する。マスターバッチとして使用するとき、ポリマーは、成形物品を形成するのに利用可能なポリマーブレンドに帰する不透過性及び粘度の両方を提供することができる。本開示の以下の実施例、説明的かつ典型的な実施形態の記載は、本開示の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、別の構造、及び等価物を使用することができる。1つの実施形態では、ポリマーフィルムは、他の従来の着色剤を実質的に含んでいなくてよく、本開示の処理二酸化チタン顔料のみを含有していてよい。
【実施例】
【0034】
パッケージの作製方法
139.7グラムのDuPont 20(低密度ポリエチレン樹脂;密度0.92g/cm
3;MFR(190℃/2.16kg)=1.9g/10分)を95グラムの50%CaCO
3濃縮物及び5.6グラムの50% TiO
2濃縮物と混合したとき、CaCO
3−TiO
2-ポリエチレン混合物が形成される。この組成物から、好ましいCaCO
3/TiO
2比である16.5を有する、25重量% CaCO
3及び1.5重量% TiO
2の材料が得られた。
【0035】
次いで、この混合物を、フロントロールが105℃及びリアロールが115℃の温度を有する2本ロールミルで配合した。フロントロール及びバックロールの両方にドクターブレードが設置されていた。フロントロール及びバックロールは、0.09cmのギャップを有する。次いで、DuPont 20ポリエチレンを、フロントロール及びバックロールの速度につき、635/635cm/分でバンド状にした。この混合物を、914/914cm/分のフロントロール及びバックロールの速度で添加し、次いで、2つのカットを作製した。そのとき配合ポリエチレンシートであった混合物をロールから引き出すことによって、ドクターブレードを用いて混合物を切断した。次に、配合ポリエチレンシートを球状にし、次いで、ミルのギャップに戻した。フロントロール及びバックロールの速度を1370.1066cm/分に増大させ、次いで、10個のカットを作製した。ポリエチレンシートを5cm×10cmのストリップに切断し、白色の封筒又はアルミホイル内で保存した。
【0036】
カーバープレスを用いて、2本ロールミル操作から得られたストリップを、次いで、以下の通り加工して、0.63〜0.89mmの範囲の平滑表面材料を得た。次に、ホットプレスの上盤及び下盤を約73〜81℃(163〜177°F)に設定した。次いで、以下の層を有するプレスアウトスタックを作製した:アルミニウム板、写真フェラル板(photographic feral plate)、マイラー、本発明のポリエチレンシート、マイラー、テンプレートカットアウト、写真フェラル板、及びアルミニウム板。次いで、プレスアウトスタックをホットプレスに入れた。約3450barの圧力を約2〜4分間、又は自動圧力調整間の時間間隔が減少するまで印加した。スタックを取り出し、1〜2分間コールドプレスに入れた。プレス後、スタックを加圧サンプルにし、加圧サンプルをコールドプレスから取り出し、ラベルを付け、次いで、アルミホイル又は白色の封筒内で暗所にて保存した。
【0037】
次いで、加圧サンプルをOPTIMETRIX(商標)と呼ばれる光保護測定装置に入れた。LPFの測定についての詳細な説明は、参照することによって本明細書に組み込まれる「Methods for Determining Photo Protective Materials」と題された国際公開第2013/163421号及び「Devices for Determining Photo Protective Materials」と題された国際公開第2013/162947号に更に記載されている。OPTIMETRIX(商標)を用いて、光酸化に対して感受性である実体リボフラビンの曝露及び分析を同時に行い、LPF値を特定した。OPTIMETRIX(商標)は、Xeアークランプの場合、15ppmのリボフラビン(pH7.4に平衡化)を含有する感光性実体(典型的には溶液形態)まで約4センチメートルで0.765ワット/cm^2の一定放射照度を放射する能力を有する。曝露時間の長さは40分である。典型的な曝露(フィルタなし)は、サンプル位置で約200,000〜250,000であった。リボフラビン溶液セルは、15ミリリットルの体積及び50センチメートルの路長を有しており、直径は1.9cmであった(波長フィルタが存在しない細胞表面で約60〜70ルーメン)。セルを冷却要素で覆って一定温度を維持した。実施した実験では、温度設定は4℃であった。曝露中セルの内容物を連続的に撹拌し、雰囲気に曝されたままにしておいた。溶液は酸素で飽和していると仮定した。リボフラビン溶液は、pH6.7の平衡化溶液中15ppmであり、使用前はアルミホイルで裏打ちした容器内で4℃にて保存した。本明細書に記載する革新的な装置は、リボフラビン溶液の曝露及び測定を同時に行った。測定技術は、リボフラビンの吸光度を観察するためにUV/Vis分光計を用いることを含む。
【0038】
革新的な技術は、1分の時間間隔で445nmにおける吸光度をモニタリングした。データを収集し、一次速度式であると仮定し、40分の曝露時間中445nmにおける吸光度減少の勾配に基づいて速度定数(分−1)を計算した。勾配値を逆数にし、0.693を乗じ、その積を60で除して、LPFの単位を時間に変換することによって、この勾配を「光保護係数」に変換し、これ以降LPFと呼ぶ。記載の好ましい組成物のLPF値は63であった。図中に示すLDPEマトリクスは、この方法を用いて作製した。別の例、139.7グラムのDuPont 20(低密度ポリエチレン樹脂(LDPE);密度0.92g/cm^3;MFR(190℃/2.16kg)=1.9g/10分)を、49.5グラムの50% CaCO
3濃縮物及び11.0グラムの50% TiO
2濃縮物と混合する。この組成物から、好ましいCaCO
3/TiO
2比である4.5を有する、13重量% CaCO
3及び3.0重量% TiO
2の材料が得られた。4.5の好ましい比から得られるLPF値は、76である。従来の方法を用いてTAPPI不透過性測定値を得た。
【0039】
比較例1不透過性測定
図1は、漸増濃度の炭酸カルシウムを有する(二酸化チタンは添加していない)LDPEシートの不透過性測定を示し、x軸は、「相対炭酸カルシウム」と記載する。この用語は、炭酸カルシウムフィラーの重量%にLDPEシートの全厚を乗じたものと定義される。したがって、TAPPI不透過性の基準値は、特定の路長内の材料の量、すなわち、厚さ及び炭酸カルシウムの重量%によって決定される。特定のLDPEマトリクスの不透過性に対して影響を及ぼすためには大量のCaCO3が必要である。例えば、約80%の不透過性の値を得るためには、サンプルが、約31milのサンプル中に25重量%のCaCO3を含有することが必要である(相対CaCO3は774)。
【0040】
比較例2不透過性測定
サンプルの不透過性は、典型的には、2つの異なる表面上に置かれたサンプルからの光反射を測定することを含む。表面は、標準化された白色及び黒色のタイルである。次いで、各表面からの反射光の比(白色反射に対する黒色反射;時にコントラスト比と称される)を、「不透過性」又は「半透明性」と命名する。100%不透過性がサンプルの半透明性がないことを示すので、用語「半透明」は必須である。この実施形態は、特定のレベルの半透明性を示すプラスチック物品に言及する。TAPPI試験法T425に従って測定したとき、不透過性の基準値、より具体的には、TAPPI不透過性は、サンプル厚さと半透明のプラスチックサンプル内の光保護材料の濃度との関係を理解するための回答として機能する。したがって、TAPPI不透過性の関係は、半透明のサンプルの厚さ掛ける炭酸カルシウム又は二酸化チタンの重量%の関数である。
【0041】
例えば、類似しているが同一ではない厚さ及び様々なレベルのTiO2(重量)で、TiO2のみを含有する半透明のサンプルを作製した。これらサンプルの不透過性値を記録した。
【0042】
図2は、漸増濃度の二酸化チタン(炭酸カルシウムは添加していない)を有するLPDEシートの不透過性測定を示す。二酸化チタンは、LDPEシートのTAPPI不透過性を著しく強化し、シート1枚当たり二酸化チタンは0.1〜1重量%しか必要ではない。比較すると(
図1)、炭酸カルシウムは、TAPPI不透過性を著しく強化するためにシート1枚当たり2〜4重量%を必要とし、これは、二酸化チタンが炭酸カルシウムよりもLDPEシートを約10倍効率的に強化することを証明する。したがって、不透過性は、二酸化チタンの存在によってより大きな影響を受け、炭酸カルシウムにはそれほど影響を受けない。
図7を参照。炭酸カルシウムは、二酸化チタンと混合したとき、不透過性の強化において軽微な役割を有する。
【0043】
比較例3不透過性測定
図3及び
図7は、漸増量の炭酸カルシウム及び二酸化チタン濃度を有するLDPEシートの不透過性測定を示す。
図3は、屈折率の差のクベルカ−ムンク理論の教示に対応してシートの厚さが一定であるとき、二酸化チタンの濃度が増加するにつれてLPDEシートの不透過性が増大することを示す。
図3は、クベルカ−ムンク理論により教示されている通り、強化された不透過性性能を示す鋭い外形の島を有する好ましい炭酸カルシウム:二酸化チタンブレンドが存在しないことを示す。
図4は、典型的に等高線図又は3Dワイヤフレームプロットと呼ばれる、
図3の三次元表示であり、更に、二酸化チタンは材料の量が増加するにつれて急速に不透過性を上昇させるが、チタンと炭酸カルシウムとをブレンドしても不透過性性能は強化されないことを示す。
【0044】
実施例1 LPF測定
二酸化チタン及び炭酸カルシウムの混合物を含む材料のとき、予想外かつ驚くべきLPF値が特定された。
図5、
図6、
図8、及び
図9で観察される通り、二酸化チタン及び炭酸カルシウムの様々な混合物を含むLDPEマトリクスを試験したところ、各シートが提供したLPF値は、それぞれのTAPPI不透過性よりもはるかに高かった(
図7〜
図10を比較)。