【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、独立請求項に記載の方法によって解決される。
【0012】
独立請求項の対象は、自動車のための汎用モデリング方法に関する。この汎用モデリング方法は、以下を有する:
入力信号セットを供給する。この入力信号セットは、自動車の然るべきセンサの信号であって、自動車の装置を制御するために関連性のあり得る信号を有する。
自動車のシステムアーキテクチャに応じて入力信号セットからモデリング信号セットを選択する。
そして、モデリング信号セットを考慮に入れて離散時間的で選択的な状態空間モデル・モデリング関数を用いて出力信号セットを算出する。
この出力信号セットは、自動車の装置の相応のアクチュエータを操作するための信号セットとしての役割を担う。
【0013】
ここで、この方法の工程は、自動的に行うものでもよい。
【0014】
信号とは、本発明においては、センサにより検出される或る量であって、電気的な値に変換できるものとしてよい。
【0015】
自動車の装置を制御するとは、本発明においては、自動車の装置を操作することになるようなプロセスを意味する。この場合、好ましくは自動車の走行性に影響を与え得る装置である。
【0016】
自動車のシステムアーキテクチャとは、本発明においては、自動車をモデル化したもの、特に、自動車の走行性に影響を与え得る自動車側装置をモデル化したものであるとしてよい。
【0017】
出力信号セットとは、本発明においては、汎用モデリング方法の成果物となり得る複数の電気信号を意味するものとしてよい。この電気信号セットは、一または複数の自動車側装置の一または複数のアクチュエータのための入力変数としての役割をすることができる。最も簡単な場合、出力信号セットは、その値がゼロ信号とは異なる値を持つ電気信号だけを有するものでよい。しかしながら、出力信号セットは、入力信号セットと同じ次元(Dimension)を有するのでもよい。この場合、不要な出力信号はすべてゼロに設定することができる。
【0018】
本発明の教示により、自動車のアクチュエータの操作量のためのモデリング方法に関して汎用的な手段を提供できるという利点が得られる。したがって、汎用モデリング方法は、あらゆる自動車タイプと自動車モデルに適用することができる。
【0019】
本発明の実施形態が以下に詳細に説明される前に、まず、本発明は記載された構成要素または記載された方法工程に限定されないことに留意すべきである。さらに、使用される用語は限定を意図するものではなく、専ら例示的な性質を有するに過ぎない。明細書および特許請求の範囲において単数形が用いられるとすれば、文脈が明示的に排除しない限り、そこにはそれぞれ複数形も含まれている。文脈が明示的に除外しない限り、任意の方法工程を自動的に実行することができる。
【0020】
本発明による方法のさらなる例示的な実施形態を以下に説明する。
【0021】
第一の例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、状態空間モデル・モデリング関数が自動車モード関数を有することがさらに含まれる。汎用モデリング方法には、自動車モード関数のために、自動車の自動車モードを算出することがさらに含まれる。このとき、出力信号セットは、モデリング信号セットを自動車モード関数に適用した結果を考慮に入れて算出される。
【0022】
自動車モード関数とは、本発明においては、自動車の特定の動作状態を表すことのできる関数を意味するものとしてよい。例えば、一つの自動車モードが、自動車の振動減衰を意味することもある。この場合、ギア段、クラッチ状態、走行開始等を表すことができる関数を使用することができる。全てを合わせると自動車の振動減衰のための相応の自動車モード関数を作ることができる。
【0023】
この実施形態は、自動車の様々のモードを同じ方法で表現することができ、したがって、相応の自動車の装置であって、関係する複数の装置を操作できるという利点を有する。
【0024】
汎用モデリング方法には、状態空間モデル・モデリング関数が、自動車の自動車特有の基準システムに対応する基準システム関数を有することがさらに含まれる。そして、この場合、出力信号セットは、モデリング信号セットを基準システム関数に適用した結果を考慮に入れて算出される。
【0025】
基準システム関数とは、本発明においては、一般に自動車に関する基準として使用できる関数を意味するものとしてよい。この種の関数は、関数群(Funktionenschar)を有することもできる。
【0026】
この実施形態は、自動車を数学的関数として複合的に表すことができ、これにより、自動車のモデル化がより正確なものになり得るという利点を有する。
【0027】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、状態空間モデル・モデリング関数が、自動車の推定されたシステム挙動(Systemverhalten)を示す観測器(オブザーバ)システム(Beobachtersystem)をさらに有することがさらに含まれる。この場合、出力信号セットは、モデリング信号セットを観測器システムに適用した結果を考慮に入れて算出される。
【0028】
この実施形態は、自動車のモデル化がさらに正確になり得るという利点を有する。
【0029】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、入力信号セットもまたゼロ信号を有することがさらに含まれる。
【0030】
ゼロ信号とは、本発明においては、ゼロ値として作用し得る電気信号であるとしてよい。例えば、ゼロ信号は、電圧として信号が使える場合には、基準電位またはゼロ電位に相当し得る。例えば、電流として信号が形成されている場合、ゼロ信号は0Aの値となり、したがって無電流である。ゼロ信号は、汎用モデリング方法の基準量として用いることができる。
【0031】
この実施形態は、汎用モデリング方法に一つの基準量が使用できることで、信号がより小さな公差を持つことができるという利点を有する。これにより、本方法をより正確なものにできる。
【0032】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、入力信号セットからのモデリング信号セットの選択が、入力信号セットからの信号でモデリング信号セットに必要とされないものをゼロ化することを有することがさらに含まれる。この場合、ゼロ化は、ゼロ信号を用いることで、入力信号セットからの信号でモデリング信号セットに必要とされないものがゼロ信号の値に相当するようにして行われる。
【0033】
この実施形態は、信号エラーを低減できるという利点を有する。
【0034】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、自動車のシステムアーキテクチャの割り当て表を用いて自動車モードを算出することがさらに含まれる。
【0035】
つまり、この実施形態は、簡単な方法で、自動車のシステムアーキテクチャから特定の自動車モードが表現可能になり得るという利点を有する。
【0036】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、観測器システムが自動車の物理的なシステム記述(physikalische Systembeschreibung)を有することがさらに含まれる。
【0037】
物理的なシステム記述とは、本発明においては、自動車の物理的な振る舞い(挙動)を表現するものとしてよい。物理的な振る舞いを特徴付けることができる物理量は、例えば、モデル化する自動車の加速性、トラクション力等に関する記述であることもある。
【0038】
この実施形態は、汎用モデリング方法が、自動車の物理的な状況の一層正確な表現を使用できるという利点を有する。
【0039】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、出力信号セットの算出が、モデリング信号セットを自動車モード関数に適用した結果と、モデリング信号セットを基準システム関数に適用した結果と、モデリング信号セットを観測器システムに適用した結果とを制御関数に適用することを有することがさらに含まれる。このとき、制御関数は、離散時間的で選択的な状態空間モデル・モデリング関数の一部として機能する。
【0040】
制御関数とは、本発明においては、一または複数の然るべきレギュレータをモデリング信号セットに関して使用可能にできる関数であるとしてよい。
【0041】
この実施形態は、自動車の一の自動車側装置または複数の自動車側装置の制御を提供できるという利点を有する。
【0042】
さらなる例示的な実施形態によれば、汎用モデリング方法には、モデリング信号セットを自動車モード関数に適用した結果を算出するためのモデリング信号セットが、モデリング信号セットをモデリング関数に適用した結果を算出するためのモデリング信号セットとの違いを有することがさらに含まれる。これは、それぞれのモデリング信号セットについて、入力信号セットから信号を別異に選択したことにより生じる。
【0043】
この形態は、自動車モード関数、基準システム関数、および観測器システムに対して個々のモデリング信号セットを使用できるという利点を有する。この結果、汎用モデリング方法により、より正確な結果を生成することができる。
【0044】
したがって、本発明によれば、汎用モデリング方法を使用することで、任意の自動車モードおよび自動車を表現して自動車側の相応の装置に対して然るべき制御を行なうことが可能になる。
【0045】
以下に、本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。