【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の主題は、流動接触分解ユニット(FCCU)から生じる分解流(ガス流及び液体流)を処理する方法であって、
− 前記流動接触分解ユニットの主精留塔のオーバーヘッドレシーバからのガス流を圧縮して部分的に凝縮する工程、
− 部分的に凝縮されたガス流を分離して上流液体及び上流ガスを回収する工程、
− 前記上流液体を加熱する工程、
− 加熱された上流液体を上流のストリッパに導入して、前記ストリッパの最上部でC2化合物が豊富な流れを回収して、前記ストリッパの底部でC3+ 炭化水素が豊富な第1の液体流を回収する工程、
− C3+ 炭化水素が豊富な第1の液体流を第1の熱交換器に導入する工程、
− 前記第1の熱交換器から回収された液体をスタビライザ塔に導入して、前記スタビライザ塔の最上部でC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富な流れを回収して、前記スタビライザ塔の側部からC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流を回収し、前記スタビライザ塔の底部からC5炭化水素、C6炭化水素及びC7+ 炭化水素が豊富な液体流を回収する工程、
− C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流を前記第1の熱交換器に導入する工程、
− 前記スタビライザ塔の底部からのC5炭化水素、C6炭化水素及びC7+ 炭化水素が豊富な液体流を主吸収器に導入して、上流ガスを主吸収器に導入し、前記主吸収器の最上部で第1のガス流を回収して、前記主吸収器の底部で第2の液体流を回収する工程、
− リーンオイルをスポンジ吸収器に導入する工程、
− 前記主吸収器からの第1のガス流を冷却してプロピレン吸収器に導入する工程、
− 前記第1の熱交換器からのC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流を冷却する工程、
− 前記第1の熱交換器から回収されたC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流を前記プロピレン吸収器に導入する工程、
− 前記プロピレン吸収器の底部でC3炭化水素が豊富な底部液体を回収して、前記プロピレン吸収器の最上部でC3炭化水素が乏しい最上部ガスを回収する工程、
− 前記プロピレン吸収器の最上部で回収された最上部ガスを前記スポンジ吸収器に導入し、好ましくは燃料ガス及びリッチオイルを回収する工程
を有する前記方法である。
【0008】
C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な流れは、更にC7+ 炭化水素が乏しい。
【0009】
有利には、本発明者らは、C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富で、C7+ 炭化水素が乏しい流れが軽いオフガスからプロピレンを吸収するのに優れた親和性を有することを発見した。従って、プロピレン吸収塔におけるプロピレン回収率を上昇させることが可能である。
【0010】
有利には、本発明者らは、C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な流れの温度を低下させることにより、軽いオフガスからより多くのプロピレンを吸収すべく流れの能力を高めることを発見した。従って、プロピレン吸収塔におけるプロピレン回収率を上昇させることが可能である。特に、プロピレン吸収塔に送られるC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な流れの温度は、20〜40℃の範囲内、好ましくは28〜32℃の範囲内である。
【0011】
有利には、本発明者らは、プロピレン吸収塔に導入する前に、主吸収器の最上部から回収されたガス流の温度を低下させることにより、プロピレンの吸収を高めることを発見した。従って、プロピレン吸収塔におけるプロピレン回収率を上昇させることが可能である。特に、プロピレンの吸収を高めるためにプロピレン吸収塔に導入する前に、主吸収器の最上部から回収されるガス流の温度は、40℃以下の温度、好ましくは25〜40℃の温度、更に好ましくは38〜40℃の温度である。
【0012】
本発明に係る方法は、生じた流れを上流液体及び上流ガスに分離する前に、プロピレン吸収器からのC3炭化水素、特にプロピレンが豊富な液体を、主精留塔からのガス流を圧縮して部分的に凝縮することにより得られた流れと混合する更なる工程を有することができる。この更なる工程によって、従来の方式と比較して、C3炭化水素、特にプロピレンの回収を向上させることが可能になる。
【0013】
本発明に係る方法は、単独で又は技術的に可能な全ての組み合わせに応じて、以下の特徴の1又は複数を更に有してもよい。
【0014】
− 本方法は、第1の熱交換器から回収されたC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体を第2の熱交換器に導入して水で冷却し、その後、プロピレン吸収器に導入する前に第3の熱交換器に導入して、有利にはプロピレン回収ユニットからのプロピレンの冷却流を用いて冷却する工程を有する。
【0015】
− 本方法は、
スタビライザ塔の最上部からのC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富な流れを凝縮器に導入する工程、
凝縮器から回収された流れを冷却する工程、
得られた流れを、スタビライザ塔に還流として導入される液体流、及び液化石油ガス(LPG )を回収すべく液化石油ガス処理ユニットに送られる液体流に分離する工程
を有する。
【0016】
− 生じた流れを上流液体及び上流ガスに分離する前に、主精留塔のオーバーヘッドレシーバからのガス流を圧縮して部分的に凝縮することにより得られた流れと、C2化合物が豊富な流れを混合する。
【0017】
− 生じた流れを上流液体及び上流ガスに分離する前に、主精留塔からのガス流を圧縮して部分的に凝縮することにより得られた流れと、主吸収器の底部で回収された第2の液体流を混合する。
【0018】
有利には、第1のガス流を、プロピレン吸収器に導入する前に冷却する。このため、液相へのより多くのプロピレンの吸収のために熱力学平衡をシフトすることが可能になる。有利には、プロピレン吸収器に導入する前の第1のガス流の温度は、35〜50℃の範囲内であり、好ましくは38〜43℃の範囲内であり、更に好ましくは38〜40℃の範囲内である。
【0019】
有利には、スポンジ吸収器は、主吸収器からのガスで失われる場合があるガソリンの範囲内の原料、主にC5化合物を捕捉することができる。生じた流れは、主精留塔に送られ得るリッチオイルである。
【0020】
有利には、スタビライザ塔の底部から回収されるC5炭化水素、C6炭化水素及びC7+ 炭化水素が豊富な液体流は、2つの液体流、つまり、貯蔵され得る安定化ガソリン及び主吸収器に送られ得る再生ガソリンに分離され得る。
【0021】
この方法を実施することにより、従来の方法と比較して、流動接触分解ユニットから生じるガス流からのプロピレン回収率を2〜3wt%の範囲内で高めることが可能になる。
【0022】
本発明の主題は更に、流動接触分解ユニット(FCCU)から生じる分解流(ガス流及び液体流)を処理する装置であって、
− 前記流動接触分解ユニットの主精留塔のオーバーヘッドレシーバからのガス流を圧縮して部分的に凝縮する手段と、
− 部分的に凝縮されたガス流を分離して上流液体及び上流ガスを回収する手段と、
− 前記上流液体を加熱する手段と、
− ストリッパと、前記ストリッパの最上部でC2化合物が豊富な流れを回収し、前記ストリッパの底部でC3+ 炭化水素が豊富な第1の液体流を回収するために、加熱された上流液体を前記ストリッパに導入する手段と、
− 第1の熱交換器と、前記第1の熱交換器にC3+ 炭化水素が豊富な第1の液体流を導入する手段と、
− スタビライザ塔と、前記第1の熱交換器からのC3+ 炭化水素が豊富な液体流を前記スタビライザ塔に導入して、前記スタビライザ塔の側部からC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な第1の液体流を回収し、前記スタビライザ塔の底部でC5炭化水素、C6炭化水素及びC7+ 炭化水素が豊富な第2の液体流を回収して前記スタビライザ塔の最上部でC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富なガス流を回収する手段と、
− C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な第1の液体流を前記第1の熱交換器に導入する手段と、
− 前記第1の熱交換器からのC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流を冷却する手段と、
− 主吸収器と、前記スタビライザ塔からのC5炭化水素、C6炭化水素及びC7+ 炭化水素が豊富な液体流、及び前記分離器からの上流ガスを前記主吸収器に導入して、前記主吸収器の最上部で第1のガス流を回収して前記主吸収器の底部で液体流を回収する手段と、
− プロピレン吸収器と、C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な冷却された液体流を前記プロピレン吸収器に導入する手段と、
− スポンジ吸収器と、前記スポンジ吸収器にリーンオイルを導入する手段と、
− 前記主吸収器からの第1のガス流を冷却する手段と、
− 前記主吸収器からの第1のガス流を前記プロピレン吸収器に導入し、前記プロピレン吸収器の最上部でC3炭化水素が乏しいガス流を回収して、前記プロピレン吸収器の底部でC3炭化水素が豊富な液体流を回収する手段と、
− 前記プロピレン吸収器の最上部で回収されたC3炭化水素が乏しいガス流を前記スポンジ吸収器に導入し、好ましくは前記スポンジ吸収器の最上部で燃料ガスを回収して前記スポンジ吸収器の底部でリッチオイルを回収する手段と
を備えたタイプの前記装置である。
【0023】
本装置は、生じた流れを上流液体及び上流ガスに分離する前に、プロピレン吸収器からのC3炭化水素が豊富な液体流を再利用して、主精留塔からのガス流を圧縮して部分的に凝縮することにより得られた流れと混合する手段を更に備えてもよい。
【0024】
本発明の装置は、単独で又は技術的に可能な全ての組み合わせに応じて、以下の特徴の1又は複数を更に有してもよい。
【0025】
− 第2の熱交換器、並びに第1の熱交換器から回収されたC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流を前記第2の熱交換器に導入する手段
【0026】
− 第3の熱交換器、並びに第2の熱交換器から回収されたC5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な液体流、及び有利には好ましくはプロピレン回収ユニットからのプロピレンの冷却流を前記第3の熱交換器に導入する手段
【0027】
− 第4の熱交換器、並びにC3+ 炭化水素が豊富な生じた流れをスタビライザ塔に導入する前に、C5炭化水素、C6炭化水素及びC7+ 炭化水素が豊富な液体及び第1の熱交換器から回収されたC3+ 炭化水素が豊富な液体流を前記第4の熱交換器に導入する手段
【0028】
− スタビライザ塔からのC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富な液体流の処理ユニットであって、
凝縮器、並びにスタビライザ塔の最上部からのC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富な液体流を前記凝縮器に導入する手段、
熱交換器、並びに凝縮器から回収された流れを熱交換器に導入する手段、
得られた流れを、スタビライザ塔に導入される液体流、及び液化石油ガス(LPG )を回収すべく液化石油ガス処理ユニットに送られる液体流に分離する分離手段
を有する前記処理ユニット
【0029】
− 生じた流れを上流液体及び上流ガスに分離する前に、C2化合物が豊富な流れを再利用して、主精留塔からのガス流を圧縮して部分的に凝縮することにより得られた流れと混合する手段
【0030】
− 生じた流れを上流液体及び上流ガスに分離する前に、主吸収器からの液体流を再利用して、主精留塔からのガス流を圧縮して部分的に凝縮することにより得られた流れと混合する手段
【0031】
本出願で印加される圧力は、計器で測定される相対的な内圧に相当し、bargで示される。
P(barg)(つまり相対圧力)=絶対圧力(バール)−大気圧(バール)
【0032】
本発明の方法及び装置は、単独で又は技術的に可能な全ての組み合わせに応じて、以下の好ましい特徴によって更に定められてもよい。
【0033】
− FCCUの主精留塔のオーバーヘッドレシーバからのガス流は、好ましくは30〜50℃の範囲内の温度であり、好ましくは38〜43℃の範囲内の温度である。
【0034】
− FCCUの主精留塔のオーバーヘッドレシーバからのガス流は、好ましくは1〜2bargの範囲内の圧力である。
【0035】
− FCCUの主精留塔のオーバーヘッドレシーバからのガス流内のプロピレンのモル含有率は、好ましくは15〜50 mol%の範囲内であり、好ましくは25〜45 mol%の範囲内である。
【0036】
− 圧縮器/凝縮器からの流れは14〜16bargの範囲内の圧力である。
【0037】
− 圧縮器/凝縮器からの流れの液体のモル比は、70 mol%より高く、好ましくは70〜80 mol%の範囲内である。
【0038】
− ストリッパに導入される加熱された流れは、50〜70℃の温度であり、好ましくは55〜65℃の温度である。
【0039】
− ストリッパは、14〜17bargの範囲内の圧力、好ましくは15〜16bargの範囲内の圧力で好ましくは動作する。
【0040】
− ストリッパの最上部からのC2炭化水素が豊富な流れのC3+ 炭化水素のモル含有率は45 mol%未満である。
【0041】
− ストリッパの最上部からのC2炭化水素が豊富な流れのC1炭化水素及びC2炭化水素のモル含有率は、20〜50 mol%の範囲内であり、好ましくは30〜40 mol%の範囲内である。
【0042】
− ストリッパの最上部からのC2炭化水素が豊富な流れは、50〜70℃の温度であり、好ましくは60〜65℃の温度である。
【0043】
− ストリッパの底部からのC3+ 炭化水素が豊富な流れは、85〜110 ℃の温度であり、好ましくは95〜100 ℃の温度である。
【0044】
− ストリッパの底部からのC3+ 炭化水素が豊富な流れのC3+ 炭化水素のモル含有率は、95 mol%より高く、好ましくは99 mol%より高い。
【0045】
− 第1及び第2の熱交換器の後のストリッパの底部からのC3+ 炭化水素が豊富な流れは、105 ℃より高い温度である。
【0046】
− スタビライザ塔は、10.5〜12.5bargの範囲内、好ましくは11〜12bargの範囲内の圧力で一般に動作する。
【0047】
− スタビライザ塔からのC5炭化水素及びC6炭化水素のモル含有率は、93 mol%より高い。
【0048】
− スタビライザ塔の側流からのC7+ 炭化水素のモル含有率は、22 mol%より低い。
【0049】
− スタビライザ塔の最上部からのC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富な流れのC5+ 炭化水素のモル含有率は1mol%より低い。
【0050】
− スタビライザ塔の最上部からのC3炭化水素及びC4炭化水素が豊富な流れのC3炭化水素及びC4炭化水素のモル含有率は98 mol%より高い。
【0051】
− C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な流れを第2の熱交換器で、50℃未満の温度に、好ましくは42℃未満の温度に冷却する。
【0052】
− C5炭化水素及びC6炭化水素が豊富な流れを第3の熱交換器で、20〜40℃の温度に、好ましくは28〜32℃の温度に冷却する。
【0053】
− プロピレンの熱流は一般に、25〜35℃の温度であり、好ましくは28〜30℃の温度である。
【0054】
− 主吸収器からのガス流を、40℃未満の温度に冷却する。
【0055】
− プロピレン吸収器は、12.5〜14bargの範囲内、好ましくは12.9〜13.5bargの範囲内の圧力で一般に動作する。
【0056】
− プロピレン吸収器の底部からの流れのC3炭化水素及びC4炭化水素のモル含有率は、一般に10 mol%より高く、好ましくは13 mol%より高い。
【0057】
− プロピレン吸収器の最上部からの流れのC3炭化水素のモル含有率は、10 mol%より低く、好ましくは7mol%より低い。
【0058】
− プロピレン吸収器は、12.5〜14bargの範囲内、好ましくは13〜13.6bargの範囲内の圧力で一般に動作する。
【0059】
− スタビライザ塔の最上部からの流れのC3炭化水素及びC4炭化水素のモル含有率は98 mol%より高い。
【0060】
本発明は、添付図面を参照して、単に一例として挙げられた以下の説明を読むと更に理解される。