(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
局所的又は広域的な虚血性発作や循環損傷に苦しむ患者のための処置手順の少なくとも部分のための身体の少なくとも部分の二つの異なった温度ゾーンを確立及び制御するためのシステムであって、前記システムが、
脈管構造の内部を流れる血液に接触するためのSPEC入力流れポート及びSPEC出力流れポートと、
SPECポンプと、
SPEC熱交換器と、を含み、
周辺に配置したループを用いて前記身体に結合される全身的灌流体外回路(SPEC)と、
前記脈管構造の内部を流れる血液に接触するためのLPEC入力流れポート及びLPEC出力流れポートであって、前記LPEC入力流れポートが脳を灌流する目的で左又は右のいずれかの側の総頸動脈又は内頸動脈に位置する、LPEC入力流れポート及びLPEC出力流れポートと、
LPECポンプと、
LPEC熱交換器と、を含み、
血液を流すために脳に先導する脈管構造に結合される局所的灌流体外回路(LPEC)と、
前記SPECによって灌流される前記身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度を測定するために位置決めされる少なくとも一つのSPEC温度センサと、
前記LPECによって灌流される前記脳の温度を測定するために位置決めされる少なくとも一つのLPEC温度センサと、
動作コンソールであって、
前記SPEC熱交換器を駆動するためのSPECウォータチラー/ヒータと、
前記LPEC熱交換器を駆動するためのLPECウォータチラー/ヒータと、
前記少なくとも一つのSPEC温度センサ及び/又は前記少なくとも一つのLPEC温度センサの少なくとも一つの測定値を記録するための少なくとも一つのセンサインターフェースと、
グラフィックユーザインターフェースと、を含む動作コンソールと、
を含み、
前記グラフィックユーザインターフェースは、少なくとも最小限の動作シーケンスの動作ステップの、少なくとも前記最小限の動作シーケンスの各段階に適切な前記LPEC及びSPECのためのターゲット設定での実施のためにユーザ命令を表示するように構成され、
前記動作コンソールは、前記LPEC及びSPECを制御し、制御手順の実施のための命令を実行して、前記少なくとも一つのLPEC温度センサ及び少なくとも一つのSPEC温度センサの測定値を記録すると共に前記SPEC及びLPECの血液流量及び熱交換器温度をそれぞれ独立して制御し、
前記制御手順は、
前記SPECポンプにより前記SPEC出力流れポートから流れ出す前記血液の前記温度を、前記SPECによって制御させ、前記SPEC温度センサによって報告される温度測定値を調整させ、各段階の中核身体ターゲット範囲の範囲内にとどめさせ、また、
前記LPECによって、前記一つ以上のLPEC温度センサが、前記LPECが動作中である少なくとも前記最小限の動作シーケンスの各段階のためのターゲット領域温度範囲の範囲内の温度測定値を報告するように、前記LPECポンプにより前記LPEC出力流れポートから流れ出す前記血液の前記温度を、前記LPECによって制御させ、
前記最小限の動作シーケンスは、段階1を含み、段階1のSPECターゲット設定は、約32℃から約37℃の間のターゲット中核身体温度範囲内のSPEC温度センサ測定値であり、
前記最小限の動作シーケンスは、段階1の後の段階2を含み、段階2のLPECターゲット設定は、時間間隔を含み、LPEC温度センサ測定値は、約10℃から約32℃の間の局所的ターゲット温度範囲内である、システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に続くものは、局所的又は広域的な虚血性発作や循環損傷に苦しむ者の身体の少なくとも一部分の温度を制御するための本発明の方法、装置、及びシステムに関する、また、その実施形態の、様々な概念のより詳細な説明である。理解すべきことは、上で紹介し、また、下で一段と詳細に論述する様々な概念が、開示する概念が任意の特別の実施のやり方に限定されないので、任意の数々のやり方で実施できる、ということである。特定の実施及び用途の例については、主として図示の目的のために提供される。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「含む(includes)」は、含むことを意味するがそれに限定されず、用語「含んでいる(including)」は、含んでいることを意味するがそれに限定されない。用語「に基づく(based on)」は、少なくとも一部それに基づくことを意味する。
【0021】
本明細書中の原理の様々な例と関連して本明細書で説明する表面に関して、「上部」表面及び「底部」表面の言及は、基材に及び相互に対する様々な要素/部品の相対的な位置、整列及び/又は配向を示すために主として使用され、それらの用語は、任意の特定の座標系(例えば、重力座標系)を必ずしも示さない。このように、表面又は層の「底部」の言及は、示した表面又は層が地表面に面していることを必ずしも必要としない。同様に、「上側」、「下側」、「より上」、「真下」等々などの用語は、重力座標系などの任意の特定の座標系を必ずしも示さない。寧ろ、表面に及び相互に対する様々な要素/部品の相対的な位置、整列及び/又は配向を示すために主として使用される。
【0022】
用語「上に配設され」及び「上側に配設され」は、「に部分的に埋め込まれ」を含む「に埋め込まれ」の意味を包含する。加えて、特徴Bの「上に配設され」、「間に配設され」、又は「上側に配設され」ている特徴Aの言及は、特徴Aが特徴Bに接触している例、並びに、他の層及び/又は他の部品が特徴Aと特徴Bの間に位置決めされている例、を包含する。
【0023】
体外式膜型酸素供給法(ECMO)は、体外式ライフサポートとも呼ばれるが、集中治療医学で、例えば、心不全及び呼吸不全のケースで、幅広く使用される介入技術として使用されてきた。ECMOは、その人の心臓及び肺が生命を維持するのに低すぎる不十分な量のガス交換しか提供できない個人に対して心臓及び呼吸のサポートを提供するために使用されてきた。ECMOは、血液を身体の或る場所で脈管構造から取ることによって、また、事によっては多少の変更や処理の後で別の場所にそれを戻すことによって、作動する。例えば、ECMOは、血液を身体の脈管構造から取り出すために使用される場合があり、人工的に二酸化炭素を取り除いて酸素を赤血球に送り込む。体外サポート回路の初期の形式は、米国特許第3,881,483号(本明細書に参照によって組み込む)に開示されている。米国特許第7,704,220号及び第7,789,846号(本明細書に参照によって組み込む)は、体外サポートシステムの他の例を示している。米国特許第6,508,777号は、その個々が動脈サブシステムを静脈サブシステムに結合するループを開示している。米国特許第6,508,777号は、大動脈カテーテル配置のために蛍光透視や超音波を使用することを必要とする。
【0024】
本明細書中の原理に従ったシステム、方法及び装置の例は、身体の局所的ターゲット領域での患者血液及び組織温度の改善された制御を提供する。同時に、本明細書中のシステム、方法及び装置の例は、全身的又は局所化された循環の障害を有する患者の血液の流れをサポートする。本明細書中の原理に従ったシステム及び方法の例は、身体中の熱的ターゲットの二重制御を提供するために二つ以上の体外回路ループを使用する。二つ以上の体外回路は、身体の局所的ターゲット領域で、身体の他の領域と比べて、異なった温度を維持するために、身体の脈管構造の異なった部分に結合される場合がある。
【0025】
体外ループは、血液を一つの接続部から脈管構造に取ること、及び、それを脈管構造の他の場所で戻すこと、を全て伴う。殆どの場合、脈管構造を二つの細別、動脈及び静脈、を有するものと分類することができる。体外ループは、分類される場合があり、その細分によって血液が(いずれにせよ静脈又は動脈)から取られ、血液が(いずれにせよ静脈又は動脈)に戻される。例えば、ECMOシステムの一つの一般的なタイプは、血液を静脈側から取って、それを動脈側に戻すが、これは、VA ECMOと命名されている。他の可能な体外回路は、AV(血液を動脈側から取って静脈側に戻す)、VV(血液を静脈側から取って静脈側に戻す)、及び、AA(血液を動脈側から取って動脈側に戻す)である。本明細書中の原理に従った例では、血液を大動脈弓(動脈)から取ってそれを内頸動脈に戻す局所的ループは、AA回路である。局所的ループは、身体の局所的ターゲット領域を灌流するための局所的灌流体外回路(LPEC)である場合がある。LPEC入力流れポート及びLPEC出力流れポートは、第1及び第2の動脈場所に位置決めされるために適合される。本明細書中のシステム及び方法によれば、全身ループは、周辺に配置したループ(下で一段と詳細に説明する)であり、それによって、蛍光透視又は超音波診断の必要性が除去される。このように、本明細書中のシステム例及び方法例は、カテーテル処置室へのアクセスが利用可能でない救急状況で実施される場合がある。
【0026】
加えて、本明細書中のシステム例及び方法例は、全身ループが確立されるときから局所的ループが配置されるときの間に、12時間までの或いは24時間までの遅滞を提供する。例では、全身ループは、動脈場所と静脈場所の間に配置される場合がある。加えて、本明細書中のシステム例及び方法例は、患者に非同期的に適用されるべき全身体外回路及び局所的体外回路を提供する場合がある。「非同期的に」は、全身ループが第一の時間ポイント(t1)で適用され、局所的ループが第二の、後の時間ポイント(t2)で適用される、という意味で本明細書で使用される。局所的ループは、全身ループを妨げることなしに、第三の時間ポイント(t3)で取り除かれることもある。局所的ループのための挿入時間は、全身ループの挿入(即ち、Δt=t2−t1)に対して、約1時間、約6時間、約12時間、又は約24時間だけ、或いは、特定の患者及び医療チームに適していると決定された他の遅れ時間で、遅れることがある。局所的ループが取り除かれたか又はシャットダウンされたかのいずれかの後で全身ループが動作することを続けている時間間隔は、約1時間、約12時間、約24時間、約48時間、或いは、特定の患者及び医療チームの対応に適していると決定された任意の他の時間間隔、である場合がある。例では、全身ループ及び局所的ループは共に、約同じ時間に、或いは、単なる数分の遅れ乃至短縮で、取り除かれるか又はシャットダウンされるかのいずれかである。
【0027】
例によっては、システムは、制御システムを含む場合があり、制御システムは、身体の異なった領域での温度勾配の自動メンテナンスを提供し、したがって、身体の局所的ターゲット領域は、身体の他の領域と比べて異なった温度に維持されるように構成される。
【0028】
本明細書中の原理に従ったシステム、方法及び装置の例を使用して、身体の局所的領域(それに限定されないが脳など)は、身体の他の領域と比べて高めのレベルの低体温に維持される場合があり、結果として、身体の他部分の低体温の有害な効果は、回避される場合がある。
【0029】
図1Aは、本明細書中の原理に従った体外回路100の例を示している。体外回路の例は、入力流れポート102、出力流れポート104、及びポンプ106を含む。使用において、入力流れポート102及び出力流れポート104は、身体の領域に至る脈管構造の内部を流れる血液に接触するように配設される。ポンプ106は、体外回路100を通って循環する血液の流れを制御及び調整するために使用される。
【0030】
図1Bは、本明細書中の原理に従った体外回路100’の他の例を示しており、入力流れポート102、出力流れポート104、ポンプ106、及び熱交換器108(流れている流体の温度を制御するために使用される)を含む。使用において、熱交換器108は、身体の領域まで戻される血液の温度を制御するために使用される場合がある。
【0031】
図2A及び2Bは、本明細書中の原理に従った他の例の体外回路200、200’を示す。
図2Aでは、体外回路200の例は、ポンプ206を使用して調整されるように体外回路200を通って循環する血液の流れに基づいて血液を身体中の場所に戻すための注入器部材210を含む。
図2Bでは、体外回路200’の例は、ポンプ206を使用して調整されるように体外回路200を通って循環する血液の流れに基づいて血液を身体中の場所に戻すための注入器部材210と、熱交換器208(流れる流体の温度を制御するために使用される)と、を含む。注入器部材210は、血液を身体の血管から体外回路の中に取るための出力流れポートと、処理した血液を身体の血管に戻すための入力流れポートと、の双方を含む場合がある。非限定の例では、注入器部材210は、血液を身体の血管から体外回路の中に取るための出力ポートと、処理した血液を血管に戻すための入力流れポート(注入器部材)と、の双方を含む単一のカテーテルの部分又は部品である場合がある。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「注入器部材(injector member)」は、血液を身体の特定の場所の脈管構造に戻すために使用される体外回路システム例の部品を指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「脈管構造注入点(vasculature injection point)」は、身体の中に血液が注入されるカテーテル入口又は血管穿刺場所から離れた脈管構造の中の最遠位の場所を指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「周辺に配置したループ(peripheral placed loop)」は、動脈分岐部又は静脈分岐部を通り過ぎたデバイスを操縦するために普通使用される蛍光透視又は任意の他の等価なシステムから詳細な案内なしで、身体の血管の一部分に接触するように配置される場合のある血液出力(身体から回路に)カテーテル及び血液入力(回路から身体に)カテーテル(又は他の入力流れポート及び/又は出力流れポート部材)を有する体外回路例を指す。これは、全ての可能な配置のサブセットであり、幾つかが周辺の循環を通り、幾つかが中央の循環を通る。
【0035】
様々な用語における「周辺の(peripheral)」は、周辺循環システムを指すときに使用するのとは異なって本明細書で使用される。例えば、カテーテル(又は他の入力流れポート及び/又は出力流れポート部材)は、蛍光透視を使用せずに、大静脈に或いは下行大動脈の中の低くに又は腸骨動脈に接触するように配置されることがある。これらは、周辺循環システムというよりむしろ中央システムの一部と時々考えられる。
【0036】
救急の体外式膜型酸素供給法(ECMO)サポートのために使用される共通の回路は、周辺に配置したループとして実行される場合がある。本明細書中の原理に従って、ECMOカテーテル例は、蛍光透視を使用せずに、大静脈の中に或いは下行大動脈の中の低くに又は腸骨動脈の中に配置されることがある。救急手順例では、周辺に配置したループを有するECMOサポートを配置するための時間は、蛍光透視又は等価な視覚化システムを装備した「カテーテル処置室(cath lab)」に個人が先ず搬送されるべき場合に必要とされ得るものより短くなる場合がある。即ち、本明細書で使用される意味の範囲内で周辺に配置したループを含むシステム及び方法の例は、望ましくない遅延を導く可能性のある医療ケアユニットにおけるスケジュール決め問題又は段階決め問題の理由から蛍光透視又は他のX線視覚化システムを要求するものよりも患者の中に確立するのに著しく速くなる場合がある。
【0037】
心停止を被って心肺機能蘇生(CPR)手順によって全ての心臓機能に直ちに復位させ得ない個人を含めて、心停止を被った個人の例では、死亡及び罹患を回避するための代替的な戦略は、体外回路を用いて、それらの患者にECMOサポートを与えることである。
【0038】
「全身的灌流システム(systemic perfusion system)」は、本明細書で使用するとき、大静脈(下大静脈又は上大静脈)又は腸骨静脈のレベルで血液を静脈系から取って、動脈循環の中にうまくつながる腸骨動脈又は下行大動脈或いは他の動脈などの心臓からの給送に近接した動脈側に血液(注入器部材を介してなど)を戻すシステムを指す。
【0039】
「局所的灌流システム(local perfusion system)」は、注入された血液の主要な部分(約50%を超える)が、一般的な循環を通して心臓に戻る前に臓器系に送り込まれるように、配置された注入器部材を有するシステムを指す。
【0040】
本明細書中の原理に従った体外回路100、100’、200、又は200’のうちの任意のものを含む任意の体外回路例は、全身的灌流システム及び/又は局所的灌流システムとして実行される場合がある。体外回路100又は200に基づく例では、全身的灌流システム及び/又は局所的灌流システムは、ポンプ106又は206を含む体外回路要素である。
【0041】
本明細書中の原理に従った体外回路100、100’、200、又は200’のうちの任意のものを含む任意の体外回路例では、ポンプの少なくとも一部分は、使い捨てでもよい。
【0042】
本明細書中の原理に従った熱交換器を含み任意の体外回路100’及び/又は200’を含む任意の体外回路例では、熱交換器を含む部品は、酸素供給器を含んでいてもよい。部品は、使い捨て部品であってもよい。
【0043】
本明細書中の原理に従った例では、全身的灌流システム及び/又は局所的灌流システムは、膜型酸素供給要素、フィルタ、熱交換器、透析ユニット、光学的処置ゾーン、或いは、血液又は血液の化学成分の改質のための他の部品、のうちの一つ以上を含む場合もある。
【0044】
図3Aは、個人の身体の脈管構造の内部を流れる血液に接触するように位置決めされる注入器部材310を含む本明細書中の原理に従った体外回路300の例を示す。注入器部材310は、ポンプ306を使用して調整されるように体外回路300を通って循環する血液の流れに基づいて血液を身体中の場所に戻すため使用される。
図3Bは、ポンプ306を使用して調整される流れに基づいて血液314を身体に戻すために、脈管構造注入点312で、個人の身体の脈管構造に結合された注入器部材310を示す。
【0045】
非限定の例では、注入器部材310は、身体の局所的ターゲット領域の脈管構造の内部を流れる血液に接触するように位置決めされる場合がある。局所的ターゲット領域は、それに限定されないが、脳である場合がある。
【0046】
他の非限定の例では、注入器部材310は、周辺に配置したループを介して脈管構造の内部を流れる血液に接触するように位置決めされる場合がある。
【0047】
図4は、ポンプ406、熱交換器408、及び注入器部材410を含む本明細書中の原理に従った体外回路400の例を示す。注入器部材410は、個人の身体の脈管構造の内部を流れる血液に接触するように位置決めされる。ポンプ406は、ポンプドライブ416及びポンプコンソール417に結合される。熱交換器408は、ウォータチラー及び温度コントローラ418に結合される。注入器部材410は、ポンプ406を使用して調整されるように体外回路400を通って循環する血液の流れに基づいて、熱交換器408を使用して制御される温度で、血液を身体中の場所に戻すために使用される。
【0048】
治療的低体温は、虚血性創傷及び他の創傷から組織損傷の影響を防止又は軽減するために有利に使用される場合がある。例えば、虚血性創傷に続く組織損傷は、虚血の発症で始まって、血液の流れが復位した後の再灌流段階の全体にわたって続く場合がある。前臨床研究及び臨床研究は共に、再灌流段階が数時間から数日続く場合があり、しかも、治療的低体温がその段階の創傷の多くを阻止するために有利に使用される場合がある、という知見を支持している。そういった研究の例は、ポルダーマン ケイエイチの「Mechanisms of action, physiological effects, and complications of hypothermia」Crit. Care Med. 37(7 Suppl): S186−202 (2009)、ポルダーマン ケイエイチらの「Therapeutic hypothermia and controlled normothermia in the intensive care unit: Practical considerations, side effects, and cooling methods」Crit. Care Med. 37(3): 1101−20 (2009)、シュワルツ ビージーらの「Therapeutic Hypothermia for Acute Myocardial Infarction and Cardiac Arrest」Am. J. Cardiol. 110(3): 461−6 (2012)、及び、ムーアらの「Therapeutic hypothermia: Benefits, mechanisms and potential clinical applications in neurological, cardiac and kidney injury」Injury 42(9): 843−54 (2011)、に開示されている。それらの個々については、本明細書に参照によって組み込む。
【0049】
治療的低体温は、他の技術を用いて一般に利用可能でない制限的な虚血及び再灌流の細胞及び組織の損傷に関する幅広い組織保護の戦略を提供する。なぜならば、低体温が、それらの損傷を引き起こす多くの公知のアポトーシス経路を抑圧又は制限するからである。ポルダーマン ケイエイチの「Mechanisms of action, physiological effects, and complications of hypothermia」Crit. Care Med. 37(7 Suppl): S186−202 (2009)、ポルダーマン ケイエイチらの「Therapeutic hypothermia and controlled normothermia in the intensive care unit: Practical considerations, side effects, and cooling methods」Crit. Care Med. 37(3): 1101−20 (2009)、シュワルツ ビージーらの「Therapeutic Hypothermia for Acute Myocardial Infarction and Cardiac Arrest」Am. J. Cardiol. 110(3): 461−6 (2012)、及び、ムーアらの「Therapeutic hypothermia: Benefits, mechanisms and potential clinical applications in neurological, cardiac and kidney injury」Injury 42(9): 843−54 (2011)、を参照のこと。
【0050】
心停止(広域的虚血)では、治療的低体温は、神経保護の目的に関するケアの標準と考えられている。標準プロトコルの下では、冷却は、血行の回復後の約12〜約24時間の間に約32℃まで実行される場合がある。例えば、ノーラン ジェイピーら(Nolan JP et al.)の「Therapeutic Hypothermia After Cardiac Arrest」Circulation 108(1): 118−21 (2003)、及び、ピバディ エムエーら(Peberdy MA et al)の「Part 9: Post−Cardiac Arrest Care 2010 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care」Circulation 2; 122(18 suppl 3): S768−86 (2010)、を参照のこと。それらの個々については、本明細書に参照によって組み込む。
【0051】
卒中(脳の中の局所的虚血)の場合、組織損傷を制限するための治療的低体温の使用は、前臨床研究の結果によって支持されている。脳の32℃より下の選択的な冷却は、24℃〜28度の範囲の中ならなおさら、効果的であることがある。例えば、ファンデル ワープらの「Hypothermia in animal models of acute ischaemic stroke: a systematic review and meta−analysis」Brain 130(12): 3063−74 (2007)、及び、シュワルツらの「Hypothermia in animal models of acute ischaemic stroke: a systematic review and meta−analysis」Brain 130(12): 3063−74 (2011)、を参照のこと。それらの個々については、本明細書に参照によって組み込む。
【0052】
ECMOサポートは、心停止の患者のために使用される場合がある。例えば、スタブ ディーらの「Refractory cardiac arrest treated with mechanical CPR, hypothermia, ECMO and early reperfusion (the CHEER trial)」Resuscitation 86: 88−94 (2015)、グエン エムエルらの「Extracorporeal life support following out−of−hospital refractory cardiac arrest」Critical Care 15(1): R29 (2011)、及び、チェン ワイエスらの「Cardiopulmonary resuscitation with assisted extracorporeal life−support versus conventional cardiopulmonary resuscitation in adults with in−hospital cardiac arrest: an observational study and propensity analysis」The Lancet 372(9638): 554−61 (2008)、を参照のこと。それらの個々については、本明細書に参照によって組み込む。
【0053】
全身性低体温、即ち、身体の全体部分又は有効な部分を32℃より下の温度に冷却することは、心室細動、心静止、心拍出量の減少、及び、全身的血管抵抗の上昇、などの重篤な合併症を招く場合がある。これらの心臓中枢の副作用は、低めの低体温の温度が周術期の使用中の心肺バイパス(CPB)システムを介して日常的に適用されるにもかかわらず、低侵襲の全身性低体温が32℃より下で使用されるのを防止した。
【0054】
本明細書中の原理に従ったシステム例及び方法例は、脈管構造の中の血液の温度の、また、組織温度の、改善された制御を提供し、その一方、同時に個人の血液の流れをサポートする。例では、個人は、全身的又は局所化した循環の障害を有する。本明細書中のシステム例及び方法例は、心停止、又は虚血性卒中、或いは関係する状態に苦しむ個人に使用するために実装される場合がある。
【0055】
本明細書中の原理に従ったシステム例及び方法例は、全身及び局所的な血液の流れ及び組織温度の長期(数時間から数日続く)の制御に対して手段を成し遂げる十分な制御を可能にする手順を提供する。
【0056】
本明細書中の原理に従ったシステム例及び方法例では、身体の熱的ターゲットの二重制御を提供するために、体外回路の二つ以上のループを使用する。二つ以上の体外回路は、身体の脈管構造の異なった部分に結合される場合があり、身体の他の領域と比べて身体の局所的ターゲット領域で異なった温度を維持する。例えば、システム例は、制御システムを含む場合があり、身体の異なった領域での温度勾配の保全を容易にし、したがって、身体の局所的ターゲット領域は、身体の他の領域と異なった温度に維持される。
【0057】
例では、本明細書中の原理に従ったシステム及び方法は、局所的ターゲット領域に注入される血液が約10℃から約30℃の温度範囲に冷却されるのを容易にして、したがって、局所的ターゲット領域、の近位の、に結合された、又は、に局所的に配設された、センサによって測定される局所的ターゲット領域の温度は、30℃より下の治療的低体温の範囲に、或いは、手術する技術者や医療実務家(医者を含む)の選ぶ他の範囲に、持ち込まれる場合がある。身体の他の領域の脈管構造に向かう血液の温度は、血液注入温度を調整することによって、軽い治療的低体温の範囲(例えば、約32℃から34℃まで)に、或いは、正常体温の範囲(例えば、約35℃から37℃まで)に、保持される場合がある。例えば、長い動作の期間中に、身体の他の領域の脈管構造に向かう血液の温度は、平均中核身体温度及び/又は平均体系温度が、望んでいない範囲、例えば、心臓組織に対して悪影響を与えるか又は損傷を与える場合のある温度範囲、の中に移動するのを防止するために、上向きに調整される場合がある。
【0058】
非限定の例では、局所的ターゲット領域は、脳であり、身体の他の領域と異なった(低めの)温度に維持される。そういった例では、一つ以上の温度センサは、左鼻腔又は右鼻腔、の近位に配設され、に結合され、又は、に局所的に配設される、場合がある。中核(例えば、身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度)及び局所的組織ターゲット領域の臨床的関連温度を制御する目的で、一つ以上のセンサは、身体のそれらの領域の中に又は近くに配置される場合がある。当業者は、センサ読み取りの値を表す測定したデータが、身体の関心領域の温度の実際の値と正に同じではない、ということを理解する。寧ろ、測定したセンサの値は、臨床的関連温度を制御することを追求する制御手順に基づいた動作に有用である場合がある。非限定の例では、臨床的関連温度は、単一のセンサからの測定した値(二つ以上の異なったセンサ読み取りの平均又は加重平均を含む)に基づいて決定される場合がある。他の非限定の例では、臨床的関連温度は、二つ以上のセンサからの測定した値の平均に基づいて決定される場合がある。他の非限定の例では、臨床的関連温度は、二つ以上のセンサからの測定した値の加重平均に基づいて決定される場合がある。他の非限定の例では、臨床的関連温度は、測定したセンサ値の関数として関心領域の温度の幾つかの他のモデルに基づいて決定される場合がある。測定した温度、即ち、LPECセンサ温度又はSPECセンサ温度について本明細書で言及しているが、当業者なら理解するであろうことは、直接測定した値の関数として臨床的関連局所的温度のモデルがそれに含まれるということであり、そのモデルは、当業者に明らかであるような様々な方法と、特定の患者の立場に照らして医者や他の実務家にとって興味を引き得るモデルと、を含む場合がある。
【0059】
図5は、本明細書中の原理に従ったシステム500の例を示す。システム500の例は、身体の局所的ターゲット領域を灌流するための局所的灌流体外回路(LPEC)501及び全身的灌流体外回路(SPEC)551の例を含む。LPEC501は、LPEC入力流れポート502、LPEC出力流れポート504、LPECポンプ506、及び、LPEC熱交換器508を含む。
【0060】
LPEC入力流れポート502及びLPEC出力流れポート504は、個人の身体の局所的ターゲット領域に至る脈管構造の内部を流れる血液に接触するように配設される。
図5の非限定の例では、LPEC入力流れポート502及びLPEC出力流れポート504は、カテーテル511を介して脈管構造の内部を流れる血液に接触するように配設される。他の例では、LPEC入力流れポート502及びLPEC出力流れポート504は、脈管構造の内部を流れる血液に直接接触するように配設される。LPEC熱交換器は、局所的灌流のために身体の局所的ターゲット領域に戻る血液の温度を制御するために使用される。
【0061】
SPEC551は、SPEC入力流れポート552、SPEC出力流れポート554、及び、SPECポンプ556を含む。SPEC入力流れポート552及びSPEC出力流れポート554は、周辺に配置したループを介して脈管構造の内部を流れる血液に接触する。システム500は、SPECによって灌流される身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度を示すために、身体に結合される一つ以上のSPEC温度センサ560を含む。システム500は、ターゲット領域の内部の温度を示すために、身体の局所的ターゲット領域に結合される一つ以上のLPEC温度センサ565を同じく含む。システム500は、LPEC501及びSPEC551に結合される制御システム570を同じく含む。
【0062】
システム500の例では、一つ以上のSPEC温度センサ560は、膀胱温度センサ及び/又は直腸温度センサを含む場合がある。
【0063】
制御システム570は、一つ以上のSPEC温度センサ560が約32℃から約37℃未満までの範囲内の平均温度を示すように、SPEC551によって身体の全身温度を調整させる制御手順を実行するために、また、一つ以上のLPEC温度センサが約30℃より下の温度を示すように、LPEC501によって血液の温度をターゲット領域に制御させるために、プログラムされる場合がある。制御システムは、LPECポンプ506及びLPEC熱交換器508での流量及び温度を、SPECポンプ556での流量設定から独立して、設定するために、プログラムされる。
【0064】
システム500の例では、制御システム570は、SPECが身体の全身温度を調整するために使用された後の約12時間又は約24時間の範囲内で、LPECによって血液の温度をターゲット領域に制御させるために、プログラムされる場合がある。
【0065】
制御システム570は、プロセッサ実行可能命令を記憶するためのメモリと、命令を実行するためにメモリに結合される一つ以上の処理ユニットと、を含む場合があり、LPEC501及びSPEC551によって手順を実行させて、所望の温度を達成するために、LPECポンプ506及びLPEC熱交換器508での流量及び温度を、SPECポンプ556での流量設定から独立して、設定する。
【0066】
システム500の例では、制御システム570は、LPEC501によって血液の温度をターゲット領域に自動的に制御させるために、プログラムされる場合がある。システム500の他の例では、制御システム570は、例えば、医療実務家及び/又は技術者、からの手動入力に基づいて、LPEC501によって血液の温度をターゲット領域に制御させるために、プログラムされる場合がある。
【0067】
システム500の例では、制御システム570は、SPECポンプ556での流量を約1.0L/min〜約5.0L/minの範囲内の値に設定するためにプログラムされる場合がある。
【0068】
システム500の例では、制御システム570は、SPECによって血液の温度を増加させて、平均温度が約32℃より下に下降するのを防止するために、プログラムされる場合がある。システム500の他の例では、制御システム570は、注入される血液の温度をSPECによって制御させるために、プログラムされる場合があり、LPEC温度制御が開始する前に中核温度を約32℃から約34℃の帯(即ち、温度範囲)の中に保持し、また、LPEC制御が動作している間、中核温度を正常体温レベル(即ち、約35℃から約37℃)に保持する。
【0069】
システム500の例では、制御システム570は、LPECポンプでの流量を約100ml/min〜約500ml/minの範囲内の値に設定するためにプログラムされる場合がある。
【0070】
システム500の例では、制御システム570は、約10℃〜約32℃、より好ましくは、約10℃〜約30℃、の範囲内の最大値及び最小値を有する制御された帯域の範囲内にLPECセンサ測定値を保持するように、注入される血液の温度をLPECに調整させるためにプログラムされる場合がある。
【0071】
本明細書中の原理に従った任意のシステム例では、LPEC入力流れポートは、左若しくは右の総頸動脈又はそれらの場所の一方の下流の動脈に接触するように配設される場合がある。
【0072】
任意のシステム例では、LPECは、局所的ターゲット領域に向かって流れないLPECによって注入される血液の流れの割合を減らすために、クランプ、閉塞、又は部分的に閉塞するための手段を含む場合がある。
【0073】
任意のシステム例では、SPECは、救急体外式膜型酸素供給法サポートシステムである場合がある。
【0074】
任意のシステム例では、SPECは、周辺に配置したループを介して脈管構造に戻る血液の温度を制御するためのSPEC熱交換器を更に含む場合がある。この例では、制御システムは、SPEC熱交換器での温度を独立して設定するためにプログラムされる場合がある。
【0075】
図6は、本明細書中の原理に従ったシステム600の例を示す。システム600の例は、身体の局所的ターゲット領域を灌流するための局所的灌流体外回路(LPEC)601及び全身的灌流体外回路(SPEC)651の例を含む。LPEC601は、LPEC入力流れポート602、LPEC出力流れポート604、LPECポンプ606、及び、LPEC熱交換器608を含む。LPECポンプ606は、LPECポンプドライブ616及びLPECポンプコンソール617に結合される。LPEC熱交換器608は、ウォータチラー及び温度コントローラ618に結合される。
【0076】
LPEC入力流れポート602及びLPEC出力流れポート604は、個人の身体の局所的ターゲット領域に至る脈管構造の内部を流れる血液に接触するように配設される。
図6の非限定の例では、LPEC入力流れポート602及びLPEC出力流れポート604は、カテーテル611を介して脈管構造の内部を流れる血液に接触するように配設される。他の例では、LPEC入力流れポート602及びLPEC出力流れポート604は、脈管構造の内部を流れる血液に直接接触するように配設される。LPEC熱交換器は、局所的灌流のために身体の局所的ターゲット領域に戻る血液の温度を制御するために使用される。
【0077】
SPEC651は、SPEC入力流れポート652、SPEC出力流れポート654、及び、SPECポンプ656を含む。ポンプ656は、ポンプドライブ667及びポンプコンソール669に結合される。SPEC熱交換器658は、ウォータチラー及び温度コントローラ668に結合される。SPEC入力流れポート652及びSPEC出力流れポート654は、周辺に配置したループを介して脈管構造の内部を流れる血液に接触する。システム600は、SPECによって灌流される身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度を示すために、身体に結合される一つ以上のSPEC温度センサ560を含む。システム600は、ターゲット領域の内部の温度を示すために、身体の局所的ターゲット領域に結合される一つ以上のLPEC温度センサ665を同じく含む。システム600は、LPEC601及びSPEC651に結合される制御システム670を同じく含む。
【0078】
システム600の例では、一つ以上のSPEC温度センサ660は、膀胱温度センサ及び/又は直腸温度センサを含む場合がある。
【0079】
制御システム670は、一つ以上のSPEC温度センサ660が約32℃から約37℃未満までの範囲内の平均温度を示すように、注入される血液の温度を制御することによってSPEC651によって身体の全身温度を調整させる制御手順を実行するために、また、一つ以上のLPEC温度センサが約30℃より下の温度を示すように、LPEC601によって血液の温度をターゲット領域に制御させるために、プログラムされる場合がある。制御システムは、LPECポンプ606及びLPEC熱交換器608での流量及び温度を、SPECポンプ656での流量設定から独立して、設定するために、プログラムされる。
【0080】
制御システム670は、プロセッサ実行可能命令を記憶するためのメモリと、命令を実行するためにメモリに結合される一つ以上の処理ユニットと、を含む場合があり、LPEC601及びSPEC651によって手順を実行させて、所望の温度を達成するために、LPECポンプ606及びLPEC熱交換器608での流量及び温度を、SPECポンプ656での流量設定から独立して、設定する。
【0081】
システム600の例では、制御システム670は、LPEC601によって血液の温度をターゲット領域に自動的に制御させるために、プログラムされる場合がある。システム600の他の例では、制御システム670は、例えば、医療実務家及び/又は技術者、からの手動入力に基づいて、LPEC601によって血液の温度をターゲット領域に制御させるために、プログラムされる場合がある。
【0082】
図1A〜6の任意のもののシステム例を含む本明細書中の原理に従った任意のシステム例では、熱交換器は、それに限定されないが、半導体熱電気ヒータ/クーラシステム、である場合がある。熱電気デバイスは、能動要素に適用される電圧の極性に基づいて加熱及び冷却を生じさせる場合がある。そういった熱交換器例は、本明細書で説明するように身体の異なった部分を所望の温度範囲に維持するための必要とされる、熱を発生させるか又は血液から熱を取り除くために使用される場合がある。他の例では、熱交換器は、一方が加熱のために使用されるが他方が冷却のための使用される、別個のユニットを含むことがある。他の例では、熱交換器を含む熱交換器システムは、ポンプ駆動機構を含む場合もあり、ポンプヘッドを活動化させ、熱交換流体をポンプ送りして、それを熱交換器の中に循環させる。非限定の例では、熱交換器システムは、四つのポート(血液入口ポート、血液出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポート)を含む使い捨て部品である場合があり、水側の配管(水入口/水出口ポート)は、ポンプを含むヒータ/チラーに結合されており、熱電性を有することがあるか又は水を冷却するための圧縮機を使用することがある。ヒータ/チラーユニットは、設定した温度及び流量の水を熱交換器システムに貫流させるために使用される。温度センサは、血液回路の熱交換器の後で血液の温度を測定するために使用される場合がある。熱交換器システムは、スクリューポンプ、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ、蠕動ローラポンプ、又は、熱交換流体を循環させるための任意の適用できるポンピング技術、を含む場合がある。
【0083】
図1A〜6の任意のもののシステム例を含む本明細書中の原理に従った任意のシステム例では、一つ以上の温度センサ(SPEC又はLPECセンサを含む)は、耳、脳領域、膀胱、直腸、食道、又は、医療実務家、医者、又は技術者によって特定される他の場所、のうちの少なくとも一つからの測定値データを得るために配設及び構成されることがある。SPEC及び/又はLPECを身体の一部分の脈管構造に結合するためにカテーテルが使用される非限定の例では、少なくとも一つのセンサは、カテーテルの遠位先端での、バルーンの近位先端での、又は、他の所望の場所の、血液の温度をモニタするために使用されることがある。他の例では、温度の測定は、カテーテルの遠位先端で測定値を取らずに、血液回路の最後或いは熱交換器の直後で取られる。
【0084】
本明細書中の原理に従った、
図1A〜6のうちの任意のもののシステム例を含む、システム例は、熱交換器の部品の温度をモニタするように構成された一つ以上のセンサを含む場合がある。システムは、一つ以上の圧力センサを含むことがある。
【0085】
図7Aは、広域的な虚血性発作又は循環損傷に苦しむ患者のための処置手順の少なくとも部分のための身体の少なくとも部分の二つの異なった温度ゾーンを確立すること及びそれを制御することを提供する本明細書中の原理に従った方法例のフローチャートを示す。ブロック702で、SPECは、周辺に配置したループを介して身体に結合される。ブロック704で、LPECは、身体の局所的ターゲット領域に至る脈管構造の内部を流れる血液に結合される。
【0086】
図7Aのブロック706及び708で、温度センサは、身体の関心領域の温度パラメータを決定するために位置決めされる。ブロック706で、少なくとも一つのSPECセンサは、SPECによって灌流される身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度を測定するために位置決めされる。ブロック708で、少なくとも一つのLPECセンサは、LPECによって灌流される局所的ターゲット領域の温度を測定するために位置決めされる。
【0087】
ブロック710で、少なくとも最小限の動作シーケンスの動作ステップは、少なくとも最小限の動作シーケンス(
図8に関連して一段と詳細に説明される)の各段階に適切なLPEC及びSPECのためのターゲット設定で実行される。
【0088】
ブロック712で、制御手順は、少なくとも一つのLPECセンサ及び少なくとも一つのSPECセンサの測定値を記録するために、また、SPEC及びLPECの血液流量及び熱交換器温度をそれぞれ独立して制御するために、実行される。制御手順は、SPECによって、SPECによって注入される血液の温度を制御させ、SPEC温度センサの報告する温度測定値を調整させ、各段階でターゲット中核身体温度範囲の範囲内にとどめさせ、また、LPECによって、一つ以上のLPEC温度センサが、LPECが動作中である少なくとも最小限の動作シーケンスの各段階のためのターゲット領域温度範囲の範囲内の温度測定値を報告するように、ターゲット領域に注入される血液の温度を制御させる。
【0089】
図7Bは、局所的又は広域的な虚血性発作又は循環損傷に苦しむ患者のための処置手順の少なくとも部分のための身体の少なくとも部分の二つの異なった温度ゾーンを確立すること及びそれを制御することを提供する本明細書中の原理に従った他の方法例のフローチャートを示す。ブロック752で、ポンプを含むSPECは、周辺に配置したループを介して結合される。これは、周辺に配置したループを介して脈管構造の内部を流れる血液に接触するように、SPEC入力流れポート及びSPEC出力流れポートを結合することを含む。ブロック754で、ポンプ及び熱交換器を含むLPECは、身体の局所的ターゲット領域を灌流するための、身体の局所的ターゲット領域に至る脈管構造の内部を流れる血液に結合される。これは、身体の局所的ターゲット領域に至る脈管構造の内部を流れる血液に接触するように、LPEC入力流れポート及びLPEC出力流れポートを結合することを含む。
【0090】
図7Bのブロック756及び758で、温度センサからの測定値は、身体の関心領域の温度パラメータを決定するために使用される。ブロック756で、SPECによって灌流される身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度は、身体に結合される一つ以上のSPEC温度センサからの測定値データを用いて計算される。ブロック758で、局所的ターゲット領域の内部の温度は、局所的ターゲット領域に結合される一つ以上のLPEC温度センサからの測定値データを用いて計算される。ブロック756の計算は、ブロック758の計算の前に、後で、又はそれと実質上同時に、実行されることがある。
【0091】
ブロック760で、LPEC及びSPECに結合された少なくとも一つの処理ユニットを含む制御システムは、プロセッサ実行可能命令を実行するために使用され、一つ以上のSPEC温度センサが約32℃から約37℃未満までの範囲内の平均温度を示すように、SPECによって身体の全身温度を調整させ、また、一つ以上のLPEC温度センサが約30℃より下の温度を示すように、LPECによって血液の温度をターゲット領域に制御させる。制御システムは、LPECポンプ及びLPEC熱交換器での流量及び温度を、SPECポンプでの流量から独立して、設定するために、プログラムされる。
【0092】
本明細書中の原理に従った任意の方法例では、制御システムは、身体の一部分の計算した温度が指定した所望の温度範囲よりも上(又は下)である場合に、ポンプ及び/又は熱交換器によって血液を冷却する割合を増加(又は減少)させるために、プログラムされる場合がある。制御システムは、身体の局所的ターゲット領域又は他の部分が所望の温度範囲の範囲内にあるという信号を受信すると直ぐに、ポンプ及び/又は熱交換器によって動作を中止させるために、プログラムされる場合がある。
【0093】
本明細書中の原理に従った任意の方法例では、制御システムは、身体の領域の温度の所望の値と異なっている設定ポイント動作温度の上限及び設定ポイント動作温度の下限に基づいて、ポンプ及び/又は熱交換器によって血液を冷却する割合を増加(又は減少)させるために、プログラムされる場合がある。例えば、熱交換器の設定ポイント動作温度は、約1℃、約1.5℃、又は約2℃の値だけ、熱交換器に結合される身体の領域の温度の所望の値と異なっていることがある。制御システム例は、設定ポイント動作温度の上限又は設定ポイント動作温度の下限に達するまで、ポンプ及び/又は熱交換器によって動作させるために、プログラムされることがある。制御システム例は、身体の関心領域の温度が動作の範囲の他の極度までドリフトするまで、ポンプ及び/又は熱交換器によって動作を中止させるために、プログラムされることがある。
【0094】
本明細書中の原理に従った任意の方法例では、制御システムは、本明細書で説明するように、LPECポンプ及びLPEC熱交換器での流量及び温度を、SPECポンプでの流量から独立して、設定するために、プログラムされる場合がある。
【0095】
方法例では、LPEC入力ポートは、左頸動脈、右頸動脈、左若しくは右内頸動脈、又は、それらの場所の一方の下流の動脈、のいずれかに接触するように配設される場合がある。方法は、局所的ターゲット領域に向かって流れないLPECによって注入される血液の流れの割合を減らすために、或いは、LPECの注入される血液と混合する中核から血液の流れを制限するために、クランプ、閉塞、又は部分的に閉塞するための手段を使用することを更に含む場合がある。
【0096】
例では、方法は、SPECによってSPECポンプでの流量を約1.0L/min〜約5.0L/minの範囲内の値に設定させるために、制御システムを使用することを含む場合がある。制御システムは、SPECが身体の全身温度を調整するために使用された後の約12時間又は約24時間の範囲内で、LPECによって血液の温度をターゲット領域に制御させるために、使用される場合もある。制御システムは、SPECによって血液の温度を増加させて、平均温度が約32℃より下に下降するのを防止するために、使用される場合がある。
【0097】
例では、方法は、LPECによってLPECポンプでの流量を約100ml/min〜約500ml/minの範囲内の値に設定させるために、制御システムを使用することを含む場合がある。制御システムは、LPECによって血液の温度を約10℃〜約30℃の範囲内の値まで冷却させるために、使用される場合がある。
【0098】
図8は、局所的又は広域的な虚血性発作や循環損傷に苦しむ者の身体の少なくとも一部分の温度を制御するための本明細書中の原理に従った手順例を示す。非限定の例では、SPECは、ECMOである。
図8のバー802は、手順例のタイムラインを全体的に示しており、医療又は他の施設での個人の摂取後の手順中に実施される各技術の開始及び最後を示す。
図8に示すように、タイムラインは、局所的又は広域的な虚血性発作や循環損傷の発生の時(T0)から測定され、時間T1での摂取及びCPRがそれに続く。SPECは、時間T2で開始され、患者は、T3でカテーテル処置室に入り、LPECは、T4で開始される。ターゲット温度は、時間T5で達する。時間T6で、LPECは、中止され、SPECは、時間T7で中止される。バー802は、ECMO手順が、虚血性発作に苦しむ個人の摂取(バー808)の後の再灌流(バー810)と実質上同じ時間(T2)に開始される、ということを示している。それはまた、患者がショック非適応心停止であった場合でもあり、ECMOは、心臓が機能を開始する前にオンにされ、次いで、ECMOの血液の流れは、広域的灌流の回復であり、このように、ECMOは、再灌流と同時に起こることはないが、ECMOの開始は、再灌流を引き起こす。バー806は、再灌流期間及びECMOの適用の間に、身体の局所的ターゲット領域を治療的低体温の温度範囲の中に導くための、LPECの使用の開始及び最後を示している。
【0099】
図8に示すように、ECMOは、治療的低体温が中止された後の或る時間の期間中、続けられる。
図8は、個人が、実施されるべき局所的治療的低体温のために、カテーテル処置室を許可されることがあるということを示している。多くの医療又は他の施設は、個人がカテーテル処置室を許可され得る前に指定の評価(トリアージ)を必要とするために、適所にプロトコルを有することがある。その結果、治療的低体温の開始前に、時間的な追加の遅延が存在することがあり、局所的又は広域的な虚血性発作や循環損傷の後での組織損傷のリスクが増加する。本明細書中のシステム及び方法の例は、個人がカテーテル処置室を許可されることを必要とせずに、実施される場合があり、それによって組織損傷のリスクが軽減される。
【0100】
本明細書中の非限定なシステム例を用いて、局所的又は広域的な虚血性発作や循環損傷に苦しむ者の身体の少なくとも一部分の温度を制御するための本明細書中の原理に従った非限定の手順例は、次のとおりである。早期の救急ステージでは、ECMOサポートは、周辺に配置したループを用いて個人に適用され、膜型酸素供給部品及び熱交換器を備えた全身的灌流システム(「第一のループ」)を提供する。全身的灌流システムは、約1.0L/min〜約5L/minに及ぶ流量で流れを引き起こすポンプで動作する場合がある。血液は、身体の領域を約34+/−2℃の温度の全身性低体温に入れる温度で注入されることがある。個人に結合される温度センサからのデータ測定値は、中核又は全身温度をモニタするために使用される。例えば、適切な温度センサは、膀胱、直腸温度センサ、又は他のセンサに結合されるセンサである場合がある。
【0101】
次の24時間、好ましくは、約12時間未満乃至約6時間未満、より好ましくは、できるだけ早く、独立した局所的灌流回路(「第二のループ」)は、身体に適用されて、治療的低体温のために血液を直接大脳又は脳の領域(身体の局所的ターゲット領域)の中に灌流する。注入部材は、左若しくは右総頸動脈、又は、左若しくは右内頸動脈のいずれかの中に配置される。第二のループのポンプは、正常な内頸動脈のそれ(即ち、約100ml/min〜約500ml/minの値)に匹敵する流量を維持するために、動作する場合がある。局所的灌流回路は、少なくとも熱交換器を含む場合があり、注入される血液が10℃から30℃の範囲に冷却することができ、したがって、脳に局所的なセンサ(例えば、左又は右の鼻センサ)によって測定されるときの局所的ターゲット領域(脳)に向ける温度は、手術医、技術者、又は他の医療実務家によって選択される30℃より下の治療的低体温範囲又は他の範囲の中に導かれる場合がある。
【0102】
第二のループの適用の開始により、局所的ターゲット領域の中に注入される血液は、正常温度の血液(37℃)よりもかなり冷たくなる場合がある。血液が全身的流れの静脈側に戻るので、第二のループは、全身体系を冷却するのに貢献する場合もある。この理由のために、第二のループの動作の長期間を超えて、第一のループからの注入される血液の温度は、可能性を軽減するために、即ち、中核身体温度が望んでいない範囲の中に移動するのを防止するために、上向きに調整される場合がある。中核温度は、約32℃〜約34℃の軽い低体温範囲に保持される場合があり、或いは、第一のループの血液注入温度を調整することによって、約35℃〜約37℃の正常温度範囲に上昇される場合がある。
図8は、LPEC温度プロファイル及びSPEC温度プロファイル(温度対時間のグラフにプロットした)に関して非限定の動作シーケンス例を示している。
図8は、SPECが33℃に設定された段階1(SPEC動作中)の間、SPECが正常体温に設定されLPECが30℃に設定された段階2(SPEC及びLPEC双方動作中)の間、及び、患者が正常体温に完全に回復した段階3(LPECオフ、SPECオン)の間、の温度プロファイルを示している。
【0103】
本明細書で規定されているような「最小限の動作シーケンス」は、
図8の実施と関連する或るステップを含む。例えば、最小限の動作シーケンスは、次の五つのイベント、即ち、(T0)最初の患者イベント(心停止、卒中或いは他の虚血性又は循環性の損傷イベント)、(T2)本明細書で規定されているような周辺に配置したループを用いる第一のSPECの流れ開始 、(T4)LPECの流れの開始、(T6)LPECの流れの終了、及び、(T7)SPECの流れの停止、を含む場合がある。
【0104】
非限定の最小限の動作シーケンス例は、段階1(SPECだけ)、段階2(SPEC及びLPEC)、及び、段階3(LPEC完了後のSPECだけ)の温度帯を設定する非限定の三つの段階で温度制御を実行することを含む場合がある。非限定の最小限の動作シーケンス例は、より複雑な温度制御段階の構成を含む場合がある。非限定の例として、温度帯は、設定される場合があり、したがって、段階1は、(LPECが開始する前に)SPECだけを設定し、段階2では、SPECは、約1時間の間、変化なしのままにされ、次いで、SPECは、制御された正常温度帯まで変化され、その一方、段階の最初の12時間の間、LPECは、28℃〜30℃の寒冷帯に設定され、1時間当たり1℃で7時間の間制御した再加熱によって帯が正常温度(35℃〜37℃)になるまで続けられ、その後、段階3では、LPECの流れがなくなり、SPECは、正常体温に制御される。
【0105】
非限定の例では、三つの単純な段階を備えた最小限の動作シーケンスを実行するために、医者又はオペレータは、その段階で動作する場合にSPEC及びLPECの個々のために各段階の温度ターゲットを決定する。
【0106】
本明細書中の任意の例では、SPEC及び/又はLPECの間の温度制御は、任意のパターンに従う場合がある。本明細書中の任意の例では、最小限の動作シーケンスに従った制御手順は、温度制御パターンを実装し、したがって、温度センサは、ターゲット領域温度値の指定のパターンに従った温度測定値を報告する。例えば、温度制御パターンは、加温の間隔、それに続く、冷却の間隔を含む場合がある。別の例として、温度制御パターンは、温度の任意の機能に従う場合がある。
【0107】
例として、より複雑なシーケンスは、(T0)最初の患者イベント(心停止、卒中或いは他の虚血性又は循環性の損傷イベント)、(T2)本明細書で規定されているような周辺に配置したループを用いる第一のSPEC接続及び流れ開始、(T4)LPEC低体温の開始及び必要に応じてSPECターゲット温度帯のスイッチ、(T6)LPECの終了、LPECの撤回、必要であればSPEC温度帯の変更、(T7)SPECの停止、などの追加のイベントを含む場合がある。このより複雑な動作シーケンスは、段階1(SPECだけ)、段階2(SPEC及びLPEC)、及び、段階3(LPEC完了後のSPEC動作)、という少なくとも最小限の三つの温度制御段階を含む。より複雑な動作シーケンスを実行するために、医者又はオペレータは、その段階で動作する場合、SPEC及びLPECの個々のために各段階の温度ターゲットを決定する。他の更に細かいデータポイントは、追加又は観察されることがあり、例えば、冷却は、瞬時ではなく、T4で開始の場合に局所的領域は、T4後の或る時間(
図8のT5)にターゲット温度に達する場合があり、その時間は、LPECループの特定の流量及び注入温度、並びに、その間隔のSPECループの中核温度及び設定、に依存することがある。最小限の動作シーケンスの他の非限定の拡張では、段階2(LPECの最後)の最後での温度の上昇は、制御された再加温の手順で行われることがあり、注入されるLPEC血液温度は、1℃/時間又は2℃/時間又は0.1℃/時間、或いは、オペレータの選ぶかもしれない他の割合で、LPECセンサが正常体温の近くの領域に達するまで、LPECセンサ温度を上昇させるように変化される。この変形は、制御された再加温の最小限の段階2及び3間に第四の段階を追加したことであろう。最小限の動作シーケンスの他の非限定の拡張では、SPEC又はLPECのいずれかの温度の下降は、制御された割合であることがある。最小限の動作シーケンスの他の非限定の拡張では、シーケンスの任意のポイントは、分割されることがあり、例えば、SPEC動作の開始は、SPEC流れの開始と、その後の時間のSPEC冷却の開始に分割されることがある。
【0108】
第二のループが、同じく適用されている第一のループを欠いて適用される場合、全身体の温度は、第二のループの冷却負荷の下で下方にドリフトする場合がある。しかしながら、心臓の温度又は中核温度が約32℃より下にドリフトすることは、望ましくなく、回避されるべきである。本明細書中のシステム及び方法例は、個人がカテーテル処置室に着く前ですら、全身性低体温及び心臓サポートが短いタイムラインで利用可能にさせる。本明細書中のシステム及び方法例を用いて、局所的灌流回路が局所的ターゲット領域(例、脳の中)を約32℃より下の温度範囲まで冷却するために開始された後で、第一のループは、(温度センサの測定データに基づいて)正常体温レベル又は約32℃より上にとどまるように、支援の酸素添加された血液を提供して中核温度を加温するために使用される場合がある。本明細書中のシステム例及び方法例の制御システムは、第一及び第二のループの独立した動作を可能にする。その結果、第二のループは、所望の期間(非限定の例として、約6時間、好ましくは、約12時間)、加えて、更なる6〜12時間の適切な再加温期間、の後で、取り外されることがある。第二のループの冷却負荷が、局所的ターゲット領域(例、脳の中)が再加温されるので、軽減されるが、第一のループの動作は、中核温度を安定させるために、続けられる場合がある。
【0109】
図9は、制御システムとして使用され得る本明細書で説明する原理に従った装置900の非限定の例を示す。装置900は、少なくとも一つの通信インターフェース902、少なくとも一つのメモリ904、及び、少なくとも一つの処理ユニット906を含む。少なくとも一つの処理ユニット906は、少なくとも一つの通信インターフェース902及び少なくとも一つのメモリ904と通信可能に接続される。
【0110】
少なくとも一つのメモリ904は、プロセッサ実行可能命令908と、少なくとも一つのエネルギ記憶アセットのためのアナライザ910と、を記憶するように構成される。下で一段と詳細に説明するように、アナライザ910は、一つ以上のLPEC温度センサ及び/又は一つ以上のSPEC温度センサの測定値からのデータ912に基づいて、身体の関心領域の温度パラメータを決定するために使用される。アナライザ910は、身体に接続された一つ以上のSPEC温度センサからの測定値データを用いて、SPECによって灌流される身体の平均中核身体温度及び/又は平均体系温度を計算するために使用される場合がある。アナライザ910は、局所的ターゲット領域に接続された一つ以上のLPEC温度センサからの測定値データを用いて、局所的ターゲット領域の範囲内の温度を計算するために使用される場合がある。
【0111】
非限定の例では、少なくとも一つの処理ユニット906は、メモリ904に記憶されているプロセッサ実行可能命令908を実行して、アナライザ910からの計算に基づいてSPEC及び/又はLPECのために信号をコントローラ914に少なくとも送信する。SPEC及び/又はLPECのためにコントローラ914に送信される信号は、一つ以上のSPEC温度センサが約32℃から約37℃未満までの範囲内の平均温度を示すように、SPECによって身体の全身温度を調整させるように、また、一つ以上のLPEC温度センサが約30℃より下の温度を示すように、LPECによって血液の温度をターゲット領域に制御させるように、構成されている。少なくとも一つの処理ユニット906は、プロセッサ実行可能命令908を実行する場合があり、通信インターフェース902を制御して、信号をコントローラ914に送信する、並びに/或いは、メモリ904を制御して、計算した温度データ及び/又はコントローラ914のための信号を記憶する。非限定の例では、処理ユニット906は、プロセッサ実行可能命令908を実行する場合があり、通信インターフェース902によって信号を、コントローラに、無線でコントローラ914に、送信させる。
【0112】
図10は、本明細書中のシステム例の分散実装のために構成されたネットワーク環境1000の例の図である。ネットワーク環境1000は、一つ以上のサーバ1005及び1006を含む場合がある。理解されるであろうように、様々な分散型又は集中型の構成が実装されることがあり、例によっては、単一のサーバが使用される場合がある。ネットワーク環境は、サーバ1005及び1006に関連するデータベース1009を含むこともある。例によっては、データベース1009は、一つ以上のサーバ1005及び1006がモジュールを記憶できて
図1A〜8の任意に関して本明細書で説明するプロセッサのうちの一つ以上を実装できるが、測定値データ、アナライザ計算値、コントローラ信号データ等々を記憶する場合がある。ネットワーク環境は、電子デバイス1003を含むこともあり、それは通信インターフェースの一部分を果たすために少なくとも一つのGUIsをユーザに表示するように構成される。電子デバイス1003が一つ以上のサーバ1005及び1006から命令を一度受け取ると、GUIは、電子デバイス1003上にレンダリングされることがあり、ユーザによってサーバと相互作用させて、本明細書で説明する原理に従った任意の方法例を実行する。
【0113】
システム例では、サーバ1005及び1006、データベース1009、及び電子デバイス1003は、通信ネットワーク1001を介して相互に通信することがある。通信ネットワーク1001は、それに限定されないが、インターネット、イントラネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、MAN(メトロポリタンエリアネットワーク)、無線ネットワーク、光ネットワーク等々を含むことがある。システム例では、サーバ1005及び1006とデータベース1009と通信する電子デバイス1003は、情報をデータベース1009に要求するデータベースクエリを生成及び送信する場合がある。一つ以上のサーバ1005及び1006は、通信ネットワーク1001越しに、命令を電子デバイス1003に送信する場合がある。サーバ1005及び1006は、通信ネットワーク1001越しに、電子デバイス1003及びデータベース1009と相互作用する場合があり、GUIsを電子デバイス1003上にレンダリングする。
【0114】
図11は、本明細書中の原理に従った最小限の動作シーケンスのための制御手順を実行するために使用され得る装置例1100を示す。
図11の装置例1100は、インターフェース1103を含むディスプレイ1102、SPECチラー/ウォーマ1104、LPECチラー/ウォーマ1105、少なくとも一つのSPECセンサ1106、LPECセンサ1108及び1110、及び、LPEC血液ポンプ1112を含む。ディスプレイ例1102は、グラフィックユーザインターフェースをユーザに提供するために使用される場合があり、グラフィックユーザインターフェースは、制御手順のステップを実行するためにユーザから入力データを受け取るように、また、制御手順の実行に関連して出力データを提供するように、構成される。長いプロトコルの実行のために患者が動かされることのある、一般の「カテーテル処置室」、ハイブリッド手術室(OR)、又は、ICUでは、多くのデバイスが存在し、医療職員が、多くの同時の又は重複するタスクを実行することがある。以前から、幾つかの離散的ユニット及び幾つかの患者のケアに必要な動作/ステップを単純化することが非常に望まれている。本明細書中の原理に従った制御手順例は、(1)SPECループ中の血液熱交換器を駆動して注入されるSPEC血液を制御するためのウォータ/チラー、(2)LPECループ中の血液熱交換器を変更又は駆動して注入されるLPEC血液の温度を制御するためのウォータチラー/ヒータ、(3)少なくともSPECセンサ及びLPECセンサを読み取って記録するセンサインターフェース、(4)LPECセンサ温度及びSPECセンサ温度と、LPEC注入される血液温度及びSPEC注入される血液温度と、をオペレータに見せることのできる少なくともディスプレイ、及び、(5)オペレータがチラー温度を直接又は間接のいずれかで設定できるようにするインターフェース、を用いて実行される場合がある。
[コンピュータを使用する間接の手段]
装置例は、少なくともSPECチラー/ウォーマ、LPECチラー/ウォーマ、少なくとも一つのセンサインターフェース(SPECセンサ及び/又はLPECセンサと通信するための)、及び、最小限のユニタリオペレータコンソール(MUOC)としてのユーザインターフェースを含むディスプレイ、を含む単一の装置として構成される場合がある。例として、MUOCは、本明細書で概説しているような手動制御手順に適用できる場合のあるMedtronic Performer CPB(登録商標)体外式循環サポートシステム(メドトロニック株式会社、ミネソタ州ミネアポリス)などの標準心臓麻痺ポンプシステムに対する最小限の追加部として構成される場合がある。非限定のMUOC例は、LPECを100〜500ml/minの範囲で駆動するためのポンプを含むこともある。非限定のMUOC例は、半自動式制御手順を実行するために本明細書で規定されているようなユーザインターフェース及び計算デバイスを含む場合があり、したがって、動作の全ての段階では、温度帯は、装置において設定される場合があり、システムは、センサ温度が各段階中(本明細書で規定されているような最小限の動作シーケンスで規定される段階の意味の範囲内)にターゲットバウンドの外にドリフトする場合に、チラー温度を調整するためにオペレータに警告するであろう。非限定のMUOCへの拡張は、完全自動式制御手順を実行するために本明細書で規定されているようなユーザインターフェース及び計算デバイスを含む場合があり、したがって、動作の全ての段階では、温度帯は、装置において設定される場合があり、システムは、センサ温度が各段階中(本明細書で規定されているような最小限の動作シーケンスで規定される段階の意味の範囲内)にターゲットバウンドの外にドリフトする場合に、チラー温度を自動的に調整するであろう。
【0115】
本明細書で説明するシステム例の一つの態様は、医師、技術者及び他の実務家が、処置した患者の臨床利益のために二つの異なった制御された温度−時間プロファイルを身体の二つの異なった領域又はゾーンに適用する制御手順を適用すること、を可能にすることである。身体中核のゾーン及び局所的ターゲット組織ゾーン(例えば、脳)に適用されるようなそういった制御手順及び温度−時間プロファイルの一つの非限定の例は、
図8の非限定の例でグラフ化されている。例は、三度の段階、段階1(LPECなしでSPEC動作中)、段階2(SPEC及びLPEC双方動作中)、及び、段階3(再度LPECなしでSPEC動作中)に関して温度制御の設定を単純化させた。この例では、SPECは、最初(段階1)に設定されてSPECセンサを約33℃の温度帯に保持し、段階2では、SPECは、設定されて温度帯を正常体温(35℃〜37℃)に保持し、その一方、LPECは、設定されてLPECセンサを約30℃の温度帯に保持する。段階3では、LPECは、オフにされて、SPECは、設定されて制御された正常体温(35℃〜37℃)を保持する。
図8の例は、臨床利益を提供し得る制御された低体温温度−時間プロファイルの特徴を例証しており、例えば、段階1は、冷却に基づく灌流と周辺に配置したループの使用があれば、幾らかの低体温を患者に迅速に若しくはできるだけ迅速に送達する。段階2、できるだけ早く開始して、たとえ適合性を決定して蛍光透視を備えたカテーテル処置室に着くために時間をより必要とすることがあっても、深めの低体温がそのときターゲット局所的領域に送達され、そのうえ、中核が正常体温に戻って中核の低体温の副作用及びリスクファクタが回避される。最後に段階3は、処置プロトコル全体の所望の最後まで、完全な身体、双方ゾーンを制御された正常体温状態に戻す。しかしながら、制御手順の更に細かい詳細は、有益であることもある。医者オペレータ、技術者又は他のオペレータは、冷却時間及び加温時間を制御することを欲することがある。例えば、ターゲットが段階1の始めに1℃に、1分で又は10分で或いは1時間で達するために冷却の速度を制限又は設定すること。他の例では、SPEC制御プロファイルの段階1の最後又はLPEC制御プロファイルの段階2の最後での再加温段階は、1時間又は30分当たり1℃の制御された割合或いは医者オペレータによって望まれた幾つかの他の割合にする必要があることがある。更なる詳細は、人体が制御システムでは一定の負荷ではない、ということである。長年にわたり、分、時間、又は日のオーダで、人体は、血管(例えば、血管拡張及び血管収縮)の状態において及びそれ自体の熱エネルギ生成(例えば、震えは、それが始まると相当な熱を作り出すであろうし、睡眠又は低い意識状態は、筋肉及びニューラルマス当たり少ない熱を一般に作り出すであろう)において変化している。加えて、健康状態のために治療下の、おそらく合併症を持って同じく治療下の、患者は、任意の12時間の期間にわたって多種多様の薬を受けることがあり、その全てが、SPEC及びLPECの制御設定(注入される血液の流量及び温度)に対する組織温度に影響を与えることのある血管状態及び発熱に関して副作用を有する場合がある。ループ(SPEC又はLPEC)の任意の一方のための任意の短時間の制御手順は、ループセンサ測定値を観察し、注入される血液温度及び/又は流量を調整して、ループセンサ測定値をそのターゲット値の近くに動かすための手順である。これは調整であり、表示された規則に人が従うことによって、又は、計算デバイス、コンピュータシステムによって、或いは、個人からの入力とコンピュータ相互作用の双方を組み合わせるハイブリッドシステムによって、原則行うことができる。そういった制御手順は、患者の小さな変化に対して注入される血液温度を調整するための技量を含む場合があるが、異常な介入又は患者の大きなバリアンス(例えば、二次薬物ボーラスからの卒中又は血管拡張のスパイク)の通知を必要とすることがあるアラーム状態を宣言するための少なくとも幾つかの技量を含む場合もある。
【0116】
制御手順に従ったプロトコルの時間的経過は、他の考慮すべき事柄を示す場合がある。治療的低体温のプロトコルは、一般に低体温を多くの時間(12及び24時間の期間は異常ではない)について適用して、多くの場合、長い12時間や24時間の再加温の期間を有する。制御手順は、それらの長期間にわたって動作する場合があり、その一方、温度を分で調整又はステップ送りでき、約1℃毎分〜約10℃毎分のチラーの温度変化が可能である。熱交換器の幾つかのモデルでは、注入される血液の温度は、そのように速く又は同じ割合で変化する場合がある。その結果、ターゲット温度の小さく速い変化を安定させることは、コンピュータ駆動式制御サブシステムについて合理的に達成される場合がある(手動モードでの数時間の推移にわたって人が実行しそうでない)。
【0117】
完全な制御手順を実行して最小限の動作シーケンスをサポートするために、SPEC次いでLPECを取り付けるステップは、確保されなければならず、適切な時間でのSPEC中の流れ及びLPEC中の流れが開始されなければならない。流れが一度開始されると、流量は、設定されて随時変化される場合がある。流れが各ループで一度開始されると、温度制御は、医者、技術者又は他の実務家によって望まれた温度対時間プロファイルを得るために、そのループで実行される。その温度−時間プロファイルは、許容可能と指定されたターゲット温度並びに温度帯(27℃+/−3℃)を有することがある。制御手順は、システムが、温度をその指定した温度帯に保持できない場合に、エラーを宣言するか又は介入を呼びかけることができるべきである。非限定の介入の例は、自動式であることもあり、或いは、特別な医者に診察を求めることを伴うこともある。非限定の介入の例は、SPEC及びLPECの二つのループシステムのうちの変更であることもあり、或いは、ループカテーテルを通した又は静脈内の、薬物の投与であることもある。一つの可能な非限定の制御システムの実施では、ターゲット温度の達成は、チラー調整によって、注入される血液温度の自動調整を先ず実行することがあり、しかしながら、システムがその効果がないことを検出した場合、アラームが設定される場合があり、したがって、技術者又は他の実務家が動作コンソールから別個のコンソール(ポンプコンソール)に移動してループ中の流量を調整する場合がある。
【0118】
本明細書で説明するように、本明細書中のMUOC例は、(1)SPECループ中の血液熱交換器を駆動して注入されるSPEC血液を制御するためのウォータチラー/ウォーマ、(2)LPECループ中の血液熱交換器を変更又は駆動して注入されるLPEC血液の温度を制御するためのウォータチラー/ヒータ、(3)少なくともSPECセンサ及びLPECセンサを読み取って記録するセンサインターフェース、(4)LPECセンサ温度及びSPECセンサ温度と、LPEC注入した血液温度及びSPEC注入した血液温度と、をオペレータに見せることのできる少なくともディスプレイ、及び、(5)オペレータがチラー温度を直接又は間接のいずれかで設定できるようにするインターフェース、を含む場合がある。チラー温度の設定は、個人によって直接又はコンピュータシステム若しくは他の計算デバイスを用いて間接のいずれかで達成される場合がある。直接の設定は、ユーザインターフェースへの入力としてのチラー命令のための温度のユーザタイピング、或いは、その水温を設定するためにコンソールのユーザインターフェースのコンピュータシステムをオーバーライドすること、を含む。「間接」は、非限定の例では、許容性の温度帯の指定の値と、その温度に到達するための指定の時間と、を備えて所望のターゲット温度を設定することを意味し、コンソールコンピュータシステムは、命令を実行し、チラー温度を制御して、その設定を達成する。更なる非限定の、温度を「間接」設定する例は、コンソールコンピュータシステムを設定し、命令を実行し、システムによって、制御された再加温ルーチンにおいて、ターゲットループセンサ測定値を、現測定値から37℃まで、0.5℃毎時で、上昇させることである。更なる非限定の、間接の例は、性能をユーザに提供するためにプログラムされるコンピュータシステムを含み、この性能は、そのセンサ読み取りが、設定で示された許容可能な値の範囲の外側の値である場合に、アラーム帯を任意のセンサ読み取り周囲に設定すること、及び、ユーザの介入又は再設定を呼びかけるアラームを活動化させること、である。MUOCの例は、全てのチラー温度を直接設定する性能を備えて構成される場合があり、少なくとも一つのコンピュータシステム動作ルーチンは、チラーの値又はコンソールが設定できるかもしれないそういった他の値の間接設定のために実行される場合がある。
【0119】
図11は、本明細書で説明する原理に従った任意の方法例の実行中に使用され得る計算デバイス1200の例のブロック図である。計算デバイス1200は、本明細書で説明する原理に従った任意の方法例を実行するための一つ以上のコンピュータ実行可能命令(それに限定されないが、ソフトウェア又はファームウェアなど)を記憶するための一つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、それに限定されないが、一つ以上のタイプのハードウェアメモリ、非一時的な有形の媒体(例えば、一つ以上の磁気記憶ディスク、一つ以上の光学ディスク、一つ以上のUSBフラッシュドライブ)等々を含む場合がある。例えば、計算デバイス1200に含まれるメモリ1206は、本明細書で説明する方法を実行するためにプログラムされる、アナライザ1231及びコントローラ信号発生器1233などの、方法例を実行するためのコンピュータ可読及びコンピュータ実行可能命令若しくはソフトウェアを記憶する場合がある。計算デバイス1200は、システムハードウェアを制御するための、メモリ1206に記憶されるコンピュータ可読若しくはコンピュータ実行可能命令又はソフトウェア、或いは、他のプログラム、を実行するために、プロセッサ1202及び関連するコア1204、任意選択で一つ以上の追加のプロセッサ1202’及び関連するコア1204’(例えば、複数のプロセッサ/コアを有するコンピュータシステムの場合)も含む。プロセッサ1202及びプロセッサ1202’は、それぞれ単一のコアプロセッサ又は複数のコア(1204及び1204’)プロセッサである場合がある。
【0120】
仮想化は、計算デバイス1200において計算デバイスのインフラストラクチャ及びリソースが動的に共有できるように採用される場合がある。仮想マシン1214は、処理が複数の計算リソースではなくて一つの計算リソースだけを用いているように見えるように、マルチプロセッサで動いている処理を扱うために、提供される場合がある。複数の仮想マシンは、一つのプロセッサで用いることもできる。
【0121】
メモリ1206は、DRAM、SRAM、EDO RAM等々のコンピュータシステムメモリ又はランダムアクセスメモリを含む非一時的なコンピュータ可読媒体である場合がある。メモリ1206は、他のタイプのメモリも同じく、或いは、それらの組み合わせを含む場合がある。
【0122】
ユーザは、本明細書中のシステム例に従って提供され得る一つ以上のユーザインターフェース1229を表示できるタッチスクリーンディスプレイ又はコンピュータモニタなどの視覚ディスプレイデバイス1218を通して計算デバイス1200と相互作用することができる。計算デバイス300は、ユーザからの入力を受け取るための他のI/Oデバイス、例えば、キーボード又は任意の適切なマルチポイントタッチインターフェース1208、ポインティングデバイス1210(例えば、ペン、スタイラス、マウス、又はトラックパッド)を含む場合がある。キーボード1208及びポインティングデバイス1210は、視覚ディスプレイデバイス1218に接続される場合がある。計算デバイス1200は、他の適切な従来のI/O周辺機器を含む場合がある。様々な例では、視覚ディスプレイデバイス1218は、電子ペーパバッジ、Eインクデバイス、LCDバッジ、又は電子シェルフラベル(ESL)タイプデバイスである場合がある。
【0123】
計算デバイス1200は、本明細書で説明する原理に従った方法例及びシステム例又はそれらの部分を実施するユーザインターフェース1229を生成し得るアナライザ1231及びコントローラ信号発生器1233などの、データ及びコンピュータ可読命令及び/又はソフトウェアを記憶するためのハードドライブ、CD−ROM、又は他の非一時的なコンピュータ可読媒体などの一つ以上の記憶デバイス1224も含む場合がある。記憶デバイス1224の例は、本明細書で説明する原理に従った方法及びシステムを実施するために必要とされる任意の適切な情報を記憶するための一つ以上のデータベース1226を記憶する場合もある。データベースは、データベース中の一つ以上の項目を追加、削除、又は更新するために、任意の適切な時間にユーザによって又は自動的に更新される場合がある。例示的な記憶デバイス1224は、本明細書で説明する任意のシステム例及び方法例を実施するために使用されるセンサ測定値データ、アナライザ計算結果、コントローラ信号データ、及び任意の他のデータ/情報を記憶するための一つ以上のデータベース1226を記憶する場合がある。
【0124】
計算デバイス1200は、一つ以上のネットワークデバイス1222を介して、一つ以上のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又は様々な接続を通したインターネット)とインターフェースをとるように構成されたネットワークインターフェース1212を含む場合がある。様々な接続としては、それらに限定されないが、標準電話回線、LANリンク又はWANリンク(例えば、802.11、T1、T3、116kb、X.211)、ブロードバンド接続(例えば、ISDN、フレームリレー、ATM)、無線接続、コントローラエリアネットワーク(CAN)、又は上の任意の若しくは全ての組み合わせの幾つか、を含む。ネットワークインターフェース1212は、内蔵ネットワークアダプタ、ネットワークインターフェースカード、PCMCIAネットワークカード、カードバスネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、USBネットワークアダプタ、モデム、或いは、計算デバイス1200と、通信及び本明細書で説明する動作の実行が可能な任意のタイプのネットワークと、のインターフェースをとるのに適した任意の他のデバイス、を含む場合がある。更に、計算デバイス1200は、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、サーバ、ラップトップ、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ(例えば、iPad(登録商標)タブレットコンピュータ)、モバイル計算又は通信デバイス(例えば、iPhone(登録商標)通信デバイス)、又は、通信が可能であり且つ本明細書で説明する動作を実行するために十分なプロセッサ電力とメモリ容量を有する他の形態の計算及び電気通信デバイス、などの任意のコンピュータシステムである場合がある。
【0125】
計算デバイス1200は、任意のバージョンのMicrosoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティングシステム、異なったリリースのUnixオペレーティングシステム及びLinux(登録商標)オペレーティングシステム、任意のバージョンのマッキントッシュコンピュータ用のMacOS(登録商標)、任意の組み込み型オペレーティングシステム、任意のリアルタイムオペレーティングシステム、任意のオープンソースオペレーティングシステム、任意の独自開発型オペレーティングシステム、モバイル計算デバイス用の任意のオペレーティングシステム、又は、計算デバイス上での実行及び本明細書で説明する動作の実行が可能な任意の他オペレーティングシステム、などの任意のオペレーティングシステム1216を実行するように構成される場合がある。例では、オペレーティングシステム1216は、ネイティブモード又はエミュレートモードで実行される場合がある。例では、オペレーティングシステム1216は、一つ以上のクラウドマシンインスタンス上で実行される場合がある。
【0126】
図1A〜6の任意の一つ以上の例を含む本明細書中の原理に従った任意の例では、「計算デバイス」や「計算システム」は、制御手順を実行するためにプログラムされることがあり、手順例は、局所的及び全身温度をオペレータの決定した温度範囲の範囲内に移動及び保持する目的で、一つ以上のセンサ読み取りを観察してSPEC及びLPECの流量及び/又は注入される血液の温度設定を調整するために、採用される。そういった手順例は、それらに限定されないが、関係部位の血圧、血液化学データ、心拍、薬理学的操作(薬剤投与の量に基づくことを含む)の状況、或いは他の観察又は設定などの他の患者の観察を考慮に入れることもある。本明細書中の原理に従った制御手順例は、セットの命令或いはダイアル又はデジタル設定手段を変えるためにオペレータを訓練することによって手動で実行されることがあり、それによって、入力がセットの命令又は訓練に従って計算デバイス又はコンピュータシステムに提供され、計算デバイス又はコンピュータシステムによって手順が実行される。本明細書中の原理に従った他の制御手順例は、コンピュータシステム制御を用いて実行されることがあり、オペレータは、センサ温度(温度帯)のためのターゲット範囲を設定し、計算デバイス又はコンピュータシステムは、受け取った指示を実行して調整を実行し、SPEC及びLPECによって、設定したターゲット温度範囲の範囲内にあるセンサ読み取りが達成される。本明細書中の原理に従った制御手順例は、幾つかのハイブリッド構成を実行するように構成されることがあり、例えば、オペレータは、SPEC及びLPECの幾つかの設定を直接調整することがあり、それらの調整された設定を表す入力を受け取ることに基づいて、計算デバイス又はコンピュータシステムは、SPEC及びLPECの他の設定を調整して所望の温度制御を達成することがある。本明細書中の原理に従った制御手順例は、オペレータからのオーバーライド信号及び/又は承認信号に対応するように構成される場合があり、したがって、オペレータは、計算デバイス又はコンピュータシステムの出力するコンピュータ提案の設定変更について、オーバーライドするために位置させられるか又は承認することを要求されることがある。
【0127】
図1A〜6の任意の一つ以上の例を含む本明細書で説明する原理に従った二つのループシステムの利点は、SPECが、蛍光透視又はX線ガイダンスを必要としないアクセス、即ち、脈管構造の内部を流れる血液に接触する周辺に配置したループを用いるアクセス、によって実行されるので、カテーテル処置室又は適切な蛍光透視を備えた手術室へのアクセスを手配するより時間の掛かるステップ無しで、より速い若しくはより迅速な設定(それに限られないが救急室又はERなど)で患者に適用することができる、ということである。それが意味することは、SPECを用いる全身レベルでの軽い低体温の最初の適用が、既存のシステム又は手順を用いて達成できるものよりも速くなる場合があり、唯一のLPECを待つことが必要とされた場合に得られたであろうものよりも早めの低体温という幾つかの利点がもたらされる、ということである。
図1A〜6のいずれか一つ以上の例を含む本明細書で説明する原理に従った二つの独立したループの別の利点は、非同期的に適用することができ、それで、必要に応じてLPECを開始してLPECを中止するための手術医の特定の要望がSPECループ性能及び患者サポートを危うくしない、ということである。
【0128】
結論
様々な本発明の実施形態については、本明細書で説明及び図示してきたが、当業者は、機能を実行するため、及び/又は、本明細書で説明する結果及び/又は一つ以上の利点を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想到するであろうし、そういった変形及び/又は修正のそれぞれは、本明細書で説明する本発明の実施形態の範囲の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者は、本明細書で説明する全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であると意味されること、しかも、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、本発明の教示が使用される特定の用途に依存するであろうこと、を容易に理解するであろう。当業者は、本明細書で説明する特定の本発明の実施形態に等価な多くのものを認識し又は単なる日常の実験を用いて確認することが可能であろう。したがって、理解すべきことは、先の実施形態が単に例として提供されていること、しかも、添付の特許請求の範囲及びその等価なものの範囲内で、本発明の実施形態が具体的に説明及び権利請求されたのとは別のやり方で実施できること、である。本開示の本発明の実施形態は、本明細書で説明する各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に向けられている。加えて、二つ以上のそういった特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、そういった特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合に、本開示の本発明の範囲の範囲内に含まれる。
【0129】
上で説明した本発明の実施形態については、多数のやり方のうちのどれででも実行することができる。例えば、幾つかの実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせを用いて実行されることがある。実施形態の任意の態様が少なくとも部分的にソフトウェアで実行されるとき、ソフトウェアコードは、任意の適切なプロセッサ上で又はプロセッサの集合体上で実行することができ、それは単一のコンピュータに提供されるか又は多数のコンピュータ間で分散されるかにかかわらない。
【0130】
この点に関して、本発明の様々な態様は、一つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行されるときに、上で論じた技術の様々な態様を実装する方法を実行する一つ以上のプログラムで符号化されたコンピュータ可読記憶媒体(又は複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、一つ以上のフロッピィディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイスの回路構成、或いは、他の有形のコンピュータ記憶媒体又は非一時的な媒体)として少なくとも部分的に具体化されることがある。コンピュータ可読媒体は、可搬型にされる場合があり、したがって、その上に記憶されたプログラムは、一つ以上の異なったコンピュータ又は他のプロセッサ上にロードされる場合があり、上で論じたような本技術の様々な態様を実行する。
【0131】
用語「プログラム」又は「ソフトウェア」は、本明細書では一般的な意味で使用され、任意のタイプのコンピュータコード又はセットのコンピュータ実行可能命令を指しており、コンピュータ又は他のプロセッサをプログラムして上で論じたような本技術の様々な態様を実行するために採用される場合がある。追加的に、理解すべきことは、この実施形態の一つの態様に従って、実行時に本技術の方法を実行する一つ以上のコンピュータプログラムが、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に常駐する必要はないが、幾つかの異なったコンピュータ又はプロセッサ間にモジュール形式で分散させて、本技術の様々な態様を実行してもよい、ということである。
【0132】
コンピュータ実行可能命令は、一つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどの多くの形態にされることがある。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データタイプを実行する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で要望通りに組み合わせても分散させてもよい。
【0133】
また、本明細書で説明する技術は、その少なくとも一つの例が提供されている方法として具体化されることがある。方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けされることがある。したがって、実施形態は、構築されることがあり、動作が、図示とは異なる順序で実行され、たとえ図示実施形態で逐次動作として示されていても、幾つかの動作を同時に実行することを含むことがある。
【0134】
全ての定義は、本明細書で使用されるとき、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書の定義、及び/又は、定義された用語の通常の意味を支配すると理解すべきである。
【0135】
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、別に示すことが明らかな場合を除いて、「少なくとも一つ」を意味すると理解すべきである。
【0136】
明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用されるような成句「及び/又は」は、そのように結合された要素、即ち、或る場合には結合的に存在し他の場合には離接的に存在する要素、のうちの「一方又は双方」を意味すると理解すべきである。「及び/又は」と共に列挙される複数の要素は、同じように、即ち、そのように結合された要素のうちの「一方又は双方」と解釈すべきである。他の要素は、任意選択で「及び/又は」の節によって特に識別される要素以外が存在してもよく、それは特に識別されたそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらない。このように、非限定の例として、「A及び/又はB」の言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの言葉と関連して使用されるとき、一つの実施形態では、Aだけ(任意選択でB以外の要素を含む)を、他の実施形態では、Bだけ(任意選択でA以外の要素を含む)を、更に別の実施形態では、A及びBの双方(任意選択で他の要素を含む)を、指す場合がある。
【0137】
明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用されるとき、「又は」については、上で規定したような「及び/又は」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、列挙の項目を分けるときに、「又は」や「及び/又は」は、包括的なものであると、即ち、幾つかの要素又は列挙された要素のうちの少なくとも一つを含むだけでなく、一つより多くのものと任意選択で追加の非列挙の項目もまた含むと解釈するものとする。「のうちの一つだけ(only one of)」や「のうちの正に一つ(exactly one of)」或いは、特許請求の範囲で使用されるときの「からなる(consisting of)」などの、それに反することを明確に示す用語だけは、が使用されているときにのみ、幾つかの要素又は列挙された要素のうちの正に一つの要素を含むことを指すことになろう。一般に、本明細書で使用されるような用語「又は」は、「いずれか一方」、「のうちの一つ」、「のうちの一つだけ」、又は「のうちの正に一つ」などの排他性の用語に先行されるときに、排他的な選択肢(即ち、「一方又は他方であるが双方ではない」)を示すと解釈だけされるものとする。「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用されるときに、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0138】
明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用されるとき、一つ以上の要素の列挙に関連した成句「少なくとも一つ」は、要素の列挙の中の任意の一つ以上の要素から選択された少なくとも一つの要素を意味すること、しかしながら、必ずしも要素の列挙の範囲内で特に列挙されたあらゆる要素のうちの少なくとも一つを含む必要はないし、要素の列挙の中の要素の任意の組み合わせを除外しないこと、を理解すべきである。この定義により、成句「少なくとも一つ」が指す要素の列挙の範囲内で特に識別された要素以外が任意選択で存在することが同じく可能になるが、それは特に識別されたそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらない。このように、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一つ」(或いは、等価に「A又はBのうちの少なくとも一つ」、又は、等価に「A及び/又はBのうちの少なくとも一つ」)は、一つの実施形態では、少なくとも一つ(任意選択で二つ以上)のAを含み、Bが存在しない(任意選択でB以外の要素を含む)ことを、他の実施形態では、少なくとも一つ(任意選択で二つ以上)のBを含み、Aが存在しない(任意選択でA以外の要素を含む)ことを、更に別の実施形態では、少なくとも一つ(任意選択で二つ以上)のAを含み、少なくとも一つ(任意選択で二つ以上)のBを含む(任意選択で他の要素を含む)ことを、指す場合がある。
【0139】
特許請求の範囲並びに上の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」等々の全ての移行句は、オープンエンドであること、即ち、それに限定されないが含むことを意味すると理解すべきである。移行句「からなる」及び「から本質的になる」だけは、特許審査手続の米国特許審査便覧のセクション2111.03に記載されているように、それぞれクローズド又はセミクローズドの移行句であるものとする。