(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したような歯車研削盤では、ワークを移動させるためのスペースをカウンタコラムの周囲に確保しなければならない。旋回搬送装置の場合には、ワーク旋回軸を中心としてワークを旋回可能とするための空間が前記スペースに相当する。一方、カウンタコラムは、テールストックによるワークへの押し付け力の付与に伴い、撓み等を生じない構造が求められる。特にカウンタコラムを一本の柱状とした場合、高い研削条件(精度、時間等)が求められるほど、その断面形状は大きくする必要がある。この場合、前記スペースをカウンタコラムの周りに確保することで、装置全体が大きくなってしまう。旋回搬送方式の代わりに、ワーク加工位置とワーク交換位置を直接または複数回の屈曲箇所を有するレール上を搬送するライン搬送方式を採用しても、処理速度の低速化に繋がるだけでなく、結局はその搬送経路をカウンタコラム周りに設ける必要がある点は変わりがない。
【0008】
本発明は、上記課題に応えるためになされたものであって、ワークを搬送するためのスペースを確保しつつ、小型化を図ることが可能な歯車研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る歯車研削装置は、ベッドと、歯車となるワークを前記ベッド上で回転可能に支持するワークテーブルと、前記ワークを研削する砥石と、前記砥石を、回転駆動させると共に、前記ベッド上で前記ワークテーブルに対して
水平方向である第一方向に移動可能に支持する砥石支持部と、前記ワークテーブルに支持された前記ワークを鉛直方向の上方から押さえるテールストックと、前記ベッド上で前記テールストックを移動可能に支持するテールストック支持部と、前記ワークテーブルに前記ワークを設置可能なワーク加工位置と、前記テールストック支持部を挟んで前記ワーク加工位置と反対側の位置であって加工済みのワークを未加工のワークと交換可能なワーク交換位置との間を、前記ワークを移動させるワーク搬送部と、を備え、前記テールストック支持部には、前記ワーク加工位置と前記ワーク交換位置とを連通させ、前記ワークが通過可能な搬送開口部が形成され
、前記ワーク搬送部は、鉛直方向に延びるワーク旋回軸を中心とする回転軸本体と、前記テールストック支持部に固定され、前記回転軸本体の一方の端部に接続され、前記回転軸本体を前記ワーク旋回軸周り及び鉛直方向に移動させる回転軸駆動部と、前記回転軸本体の他方の端部に接続され、前記回転軸本体の延びる方向と直交する方向に延びるグリップ支持部と、前記グリップ支持部に接続され、前記ワークを着脱可能な一対のグリップ装置と、を有し、一対の前記グリップ装置は、一方の前記グリップ装置が前記ワーク加工位置に配置されている場合に、他方の前記グリップ装置が前記ワーク交換位置に配置されるように前記グリップ支持部に固定されており、前記回転軸本体は、前記搬送開口部内に配置されており、前記ワーク搬送部は、前記ワーク加工位置と前記ワーク交換位置との間を、前記ワーク旋回軸を中心として旋回させて前記ワークを移動させることが可能である。
【0010】
このような構成によれば、テールストック支持部の周りでワークを搬送する場合に比べて、ベッドに対してワーク搬送に伴う必要な面積を抑えることができる。
【0011】
また、本発明の第二態様に係る歯車研削装置では、第一態様において、前記ワーク搬送部は、鉛直方向に延びるワーク旋回軸を中心とする回転軸本体と、前記回転軸本体の一方の端部に接続され、前記回転軸本体を前記ワーク旋回軸周り及び鉛直方向に移動させる回転軸駆動部と、前記回転軸本体の他方の端部に接続され、前記回転軸本体の延びる方向と直交する方向に延びるグリップ支持部と、前記グリップ支持部に接続され、前記ワークを着脱可能な一対のグリップ装置と、を有し、一対の前記グリップ装置は、一方の前記グリップ装置が前記ワーク加工位置に配置されている場合に、他方の前記グリップ装置が前記ワーク交換位置に配置されるように前記グリップ支持部に固定されており、前記ワーク旋回軸は、前記搬送開口部内に配置されており、前記ワーク搬送部は、前記ワーク加工位置と前記ワーク交換位置との間を、前記ワーク旋回軸を中心として旋回させて前記ワークを移動させることが可能であってもよい。
【0012】
このような構成とすることで、ワークの搬送速度の向上を、簡易且つ小型な機構にて実現することができる。
【0013】
また、本発明の第三態様に係る歯車研削装置では、第一または第二態様において、前記テールストック支持部の前記搬送開口部内に取り付けられ、前記ワークと前記砥石とが噛み合い可能な回転位相関係となるような歯合わせ動作を前記ワークテーブルに行わせる歯合わせ装置を有していてもよい。
【0014】
このような構成とすることで、外部からの歯合わせ装置へのアクセス性が向上する。これにより、歯合わせ装置のメンテナンス時の作業性の向上をコンパクトな体系で実現することができる。
【0015】
また、本発明の第四態様に係る歯車研削装置では、第一から第三態様のいずれか一つにおいて、前記テールストック支持部は、前記ベッドに対して鉛直方向の上方に延び、前記ワークテーブルを挟み込むように
水平方向であって前記第一方向と直交する第二方向に離れて配置された一対の支持脚と、鉛直方向の上方で一対の前記支持脚を繋ぐ支持脚上方連結部と、を有し、前記搬送開口部は、少なくとも前記一対の支持脚及び前記支持脚上方連結部により画定されると共に、前記ワーク加工位置と前記ワーク交換位置とを連通させるように形成されていてもよい。
【0016】
このような構成とすることで、支持脚上方連結部によって支持脚が連結されていることで、テールストック支持部としての剛性を向上させることができる。この結果、支持脚の寸法を相対的に小さくすることが可能となる。
【0017】
また、本発明の第五態様に係る歯車研削装置では、第四態様において、前記テールストック支持部は、鉛直方向の下方で一対の前記支持脚を繋ぐ支持脚下方連結部を、有し、前記搬送開口部は、更に、前記支持脚下方連結部により画定されていてもよい。
【0018】
このような構成とすることで、テールストック支持部の自重及びテールストックによるワークテーブル上のワークの押し付け力により発生する荷重を、ベッド上で分散して支持することができる。このため、ベッドの剛性を従来同様に高くする必要がなくなるため、装置全体を小型化することができる。
【0019】
また、本発明の第六態様に係る歯車研削装置では、第一から第五態様のいずれか一つにおいて、前記搬送開口部の前記ワーク加工位置側の開口部分の鉛直方向の下方を閉塞するように固定されている固定シャッター部と、前記固定シャッター部よりも前記ワークテーブルに近い位置で鉛直方向に可動可能に取り付けられている可動シャッター部と、を備え、前記固定シャッター部と前記可動シャッター部により、前記搬送開口部の前記ワーク加工位置側の開口部分を閉塞可
能であってもよい。
【0020】
このような構成とすることで、固定シャッター部及び可動シャッター部によってワークの加工時に飛散するクーラントから歯合わせ装置を保護することができる。また、搬送開口部のワーク加工位置側の開口部分の一部が固定シャッター部によって覆われている。そのため、搬送開口部のワーク加工位置側の開口部分の全体を可動シャッター部で覆う場合に比べて、可動シャッター部の可動時間を短くすることができる。これにより、サイクルタイムを短縮することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワークを搬送するためのスペースを確保しつつ、小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態について
図1から
図7を参照して説明する。
歯車研削装置1は、歯車となるワークWを砥石Tで研削する研削装置である。歯車研削装置1では、砥石TとワークWとを同期回転させながら接触させることでワークWが研削される。ワークWは、例えば、円盤状や円筒状に形成されている被加工対象である。ワークWは、砥石Tによって、外周面や形成されている歯が研削される。
【0024】
砥石Tは、円筒状に形成されている。砥石Tの外周面には、所望の歯車の歯形に対応する螺旋状の研削歯が形成されている。
【0025】
歯車研削装置1は、
図1、
図2及び
図6に示すように、ベッド2と、ワークテーブル3と、砥石支持部4と、ドレッシング装置5と、テールストック6と、テールストック支持部7と、ドレッシング装置移動部55と、テールストック移動部65と、ワーク旋回搬送部(ワーク搬送部)8と、歯合わせ装置9とを備えている。
【0026】
ベッド2は、
図1に示すように、床面に設置される台座である。ベッド2には、ワークテーブル3と、砥石支持部4と、テールストック支持部7と、が取り付けられている。
【0027】
ワークテーブル3は、ベッド2上でワークWを回転可能に支持している。ワークテーブル3は、ワークWを砥石Tと対面させることが可能な位置でベッド2に対して取り付けられている。ワークテーブル3は、鉛直方向Dvに延びるテーブル軸線O3を中心としてベッド2に対して回転可能とされている。
【0028】
砥石支持部4は、ワークWを研削する砥石Tを回転駆動させる。砥石支持部4は、ベッド2上でワークテーブル3に対して砥石Tを移動可能に支持している。砥石支持部4は、
図2に示すように、砥石支持部本体41と、砥石移動部42と、砥石駆動部43とを有している。
【0029】
砥石支持部本体41は、ベッド2上で、ワークテーブル3に対して離れて配置されている。砥石支持部本体41は、ワークテーブル3に対して砥石Tを水平方向に移動可能とされている。ここで、ベッド2に対する砥石支持部本体41の移動方向を第一方向D1と称する。第一方向D1は、水平方向の一つであって、ベッド2の長手方向である。したがって、砥石支持部本体41は、ワークテーブル3に対する砥石Tの第一方向D1の位置を調整する。
【0030】
砥石移動部42は、砥石支持部本体41に対して鉛直方向Dvに移動可能とされている。したがって、砥石移動部42は、ワークテーブル3に対する砥石Tの鉛直方向Dvの位置を調整する。
【0031】
砥石駆動部43は、砥石移動部42に対して第一方向D1と直交する水平方向(第二方向D2)に移動可能とされている。第二方向D2は、第一方向D1及び鉛直方向Dvと直交する方向であって、ベッド2の幅方向である。砥石駆動部43には、砥石Tが着脱可能に取り付けられている。また、砥石駆動部43は、モータ等の駆動源の動力によって、第一方向D1と交差する方向に延びる砥石回転軸線O4を中心に砥石Tを回転させながら移動させる。したがって、砥石駆動部43は、砥石Tを回転させつつ、ワークテーブル3に対する砥石Tの第二方向D2の位置を調整する。
【0032】
図1及び
図2に示すように、ドレッシング装置5は、砥石Tをドレッシング可能とされている。ドレッシング装置5は、回転駆動されるドレッシング工具を有している。ドレッシング装置5は、ドレッシング工具を砥石Tに接触させることで砥石Tを研いでいる。ドレッシング装置5は、ドレッシング装置移動部55を介して、テールストック支持部7に対して鉛直方向Dvに移動可能に支持されている。
【0033】
テールストック支持部7は、テールストック6及びドレッシング装置5を鉛直方向Dvに移動可能に支持している。テールストック支持部7は、砥石支持部4に対してワークテーブル3を挟んで第一方向D1に離れた位置に配置されている。テールストック支持部7は、
図3から
図6に示すように、一対の支持脚71と、支持脚上方連結部72と、天板713と、支持脚下方連結部73と、固定板部74と、第一ガイドレール75と、第二ガイドレール76と、上方補強部77と、固定シャッター部78と、可動シャッター部79とを有している。
【0034】
テールストック6は、ワークテーブル3に支持されたワークWに鉛直方向Dvの上方からワークWをワークテーブル3に向かって押さえている。
【0035】
支持脚71は、支持脚本体部711と、支持脚補強部712とを有している。支持脚本体部711は矩形平板状をなしている。支持脚本体部711は最も広い面が第二方向D2に向くように配置されている。一対の支持脚71(71a、71b)は、支持脚下方連結部73を介して、ベッド2に対して固定されている。このような構成とすることで、テールストック支持部の自重及びテールストックによるワークテーブル上のワークの押し付け力により発生する荷重を、ベッド上で分散して支持することができる。各支持脚71は鉛直方向Dvに延びている。各支持脚71は、第二方向D2において、テーブル軸線O3及び後述するワーク旋回軸O5を含む平面に対して、概ね等間隔となるように離間して配置されている。また、支持脚71の一方の第二方向D2の端面は、砥石駆動部43の第二方向D2の端面よりも、前記平面に近い側に配置されている。
【0036】
支持脚上方連結部72は矩形平板状をなしている。支持脚上方連結部72は、最も広い面が第一方向D1に向けて配置されている。支持脚上方連結部72の鉛直方向の両端面は、砥石支持部4の対峙側に配置された支持脚補強部712に各々接続されている。
【0037】
天板713は矩形平板状をなしている。天板713は、最も広い面が鉛直方向Dvに向けて配置されている。天板713の鉛直方向Dvの下面は、支持脚71及び支持脚上方連結部72の鉛直方向Dvの上端と、接続されている。これにより、支持脚71と天板713は門型形状をなしている。
【0038】
支持脚下方連結部73は、矩形平板状をなしている。支持脚下方連結部73は、最も広い面が鉛直方向Dvに向けて配置されている。支持脚下方連結部73は、ベッド上面20に固定されている。これにより、支持脚下方連結部73は、支持脚71をベッド2に固定している。支持脚下方連結部73には、
図5に示すように、後述する歯合わせ装置9が固定されている。
【0039】
テールストック支持部7には、
図3に示すように、搬送開口部70が形成されている。搬送開口部70は、テールストック支持部7に形成された開口である。搬送開口部70は、一対の支持脚71と、支持脚下方連結部73と、固定板部74とに囲まれた空間である。搬送開口部70は、テールストック支持部7を第一方向D1に貫通するように形成された開口である。搬送開口部70は、ワークWが通過可能な大きさで形成されている。
【0040】
ワーク加工位置Xは、
図6に示すように、ワークテーブル3にワークWを設置可能な位置である。ワーク加工位置Xでは、ワークWは砥石Tによって研削される。また、ワーク交換位置Yは、加工済みのワークWを未加工のワークWと交換可能な位置である。ワーク交換位置Yは、テールストック支持部7を挟んで砥石支持部4と反対側の位置である。つまり、ワーク交換位置Yは、ワーク加工位置Xに対して、鉛直方向Dv及び第二方向D2の位置が同じ位置であって、第一方向D1に離れた位置である。したがって、テールストック支持部7では、搬送開口部70は、第一方向D1に離れた位置であるワーク加工位置Xとワーク交換位置Yとを連通させるように形成されている。
【0041】
固定板部74は、
図3に示すように、支持脚上方連結部72と支持脚下方連結部73との間で一対の支持脚71を繋いでいる。固定板部74は、支持脚71及び支持脚上方連結部72と接続されている。固定板部74は、最も広い面が鉛直方向Dvを向く矩形板状をなしている。固定板部74は、後述するワーク旋回搬送部8の回転軸本体81が挿通される軸挿通孔741が第二方向D2の中心付近に形成されている。
【0042】
第一ガイドレール75、は支持脚上方連結部72の砥石支持部4側に面する側に固定されている。第一ガイドレール75は、鉛直方向Dvに直線状をなして延びている。第一ガイドレール75は二本からなり、各第一ガイドレール75は、後述するワーク旋回搬送部8のワーク加工位置Xとワーク交換位置Yの水平面における中心を結ぶ線分に対して等間隔となるように第二方向D2に離間して配置されている。
【0043】
第二ガイドレール76は、支持脚上方連結部72の砥石支持部4側に面する側に固定されている。第二ガイドレール76は、鉛直方向Dvに直線状をなして延びている。第二ガイドレール76は二本からなり、各第二ガイドレール76は、後述するワーク旋回搬送部8のワーク加工位置Xとワーク交換位置Yの水平面における中心を結ぶ線分に対して等間隔となるように、第二方向D2に離間して配置されている。一対の第二ガイドレール76は、一対の第一ガイドレール75を第二方向D2の内側に挟み込むように配置されている。
【0044】
固定シャッター部78は、
図5及び
図6に示すように、搬送開口部70のワーク加工位置X側の開口部分の鉛直方向Dvの下方を部分的に閉塞している。固定シャッター部78は、後述する歯合わせ装置9の取付位置よりもワークテーブル3に近い位置で支持脚下方連結部73に固定されている。固定シャッター部78は、支持脚下方連結部73の鉛直方向の上方を向く面から鉛直方向Dvの上方に向かって延びている。固定シャッター部78は、矩形平板状をなしている。
【0045】
可動シャッター部79は、
図6に示すように、固定シャッター部78とともに、搬送開口部70のワーク加工位置X側の開口部分を閉塞可能とされている。これにより、可動シャッター部79は、固定シャッター部78とともに、ワークWの加工時に飛散するクーラント(研削油等の冷却剤)の搬送開口部70内への侵入を防いでいる。可動シャッター部79は、搬送開口部70のワーク加工位置X側の開口部分の鉛直方向Dvの上方を部分的に閉塞または開放させる。可動シャッター部79は、固定シャッター部78よりもワークテーブル3に近い位置に設けられている。可動シャッター部79は、鉛直方向Dvに可動可能に支持脚上方連結部72に取り付けられている。可動シャッター部79は、前記搬送開口部70のワーク加工位置X側の開口部分が、充分に閉塞される位置まで可動可能とされている。可動シャッター部79は、蛇腹状をなしており、支持脚上方連結部72から鉛直方向Dvの下方に向かって伸びるように可動する。固定シャッター部78及び可動シャッター部79によって搬送開口部70が閉塞された状態では、可動シャッター部79の先端と固定シャッター部78の先端とが第一方向D1において位置が重なっている。
【0046】
テールストック移動部65は、テールストック6を鉛直方向Dvに移動可能に支持している。テールストック移動部65は、第一ガイドレール75を介して、鉛直方向Dvに移動可能となるように支持脚上方連結部72に取り付けられている。テールストック移動部65は、不図示のモータ等の駆動装置によって第一ガイドレール75に対して移動される。
【0047】
ドレッシング装置移動部55は、ドレッシング装置5を第一方向D1に移動可能に支持している。ドレッシング装置移動部55は、第二ガイドレール76を介して、鉛直方向Dvに移動可能となるように支持脚上方連結部72に支持されている。ドレッシング装置移動部55は、不図示のモータ等の駆動装置によって第二ガイドレール76に対して移動される。
【0048】
ワーク旋回搬送部8は、
図6及び
図7に示すように、ワーク加工位置Xとワーク交換位置Yとの間を、ワーク旋回軸O5を中心として旋回させてワークWを移動させる。ワーク旋回軸O5は、搬送開口部70内に配置されている。ワーク旋回搬送部8は、回転軸本体81と、回転軸駆動部82と、グリップ支持部83と、グリップ装置84と、を有する。
【0049】
回転軸本体81は、円柱状をなして鉛直方向Dvに延びている。回転軸本体81の鉛直方向Dvの中心軸は、ワーク旋回軸O5と一致する。回転軸本体81は、軸挿通孔741に挿通されている。
【0050】
回転軸駆動部82は、回転軸本体81をワーク旋回軸O5周り及び鉛直方向Dvに移動させる。回転軸駆動部82は回転軸本体81の一方の端部(第一端部)に接続されている。回転軸駆動部82は固定板部74上に固定されている。
【0051】
なお、回転軸駆動部82は、カムユニットとモータを組み合わせたものであることが望ましい。カムユニットの採用により、回転軸本体81のワーク旋回軸O5周り及び鉛直方向Dvへの移動を、簡素な構成で実現できる。また、カムユニットとモータを組み合わせた構成とすることで、回転軸駆動部82のコンパクト化及び回転軸本体81のワーク旋回軸O5周りの移動の高速化を、実現することができる。
【0052】
グリップ支持部83は、回転軸本体81の他方の端部(第二端部)に接続されている。グリップ支持部83は、回転軸方向の鉛直方向Dvの下方の端部に接続されている。グリップ支持部83は、回転軸本体81の延びる方向である鉛直方向Dvと直交する方向に延びている。グリップ支持部83は、回転軸本体81とともに回転する。
【0053】
グリップ装置84は、ワークWを着脱可能とされている。グリップ装置84は、グリップ支持部83に対して一対設けられている。一対のグリップ装置84は、回転軸本体81に対して対称となるように、グリップ支持部83の両端にそれぞれ接続されている。一対のグリップ装置84は、一方のグリップ装置84がワーク加工位置Xに配置されている際に、他方のグリップ装置84がワーク交換位置Yに配置されるようにグリップ支持部83に固定されている。
【0054】
このようなワーク旋回搬送部8では、交換時に、回転軸駆動部82によって回転軸本体81が鉛直方向Dvの上方に移動される。これにより、ワーク加工位置Xでグリップ装置84に掴まれたワークWがワークテーブル3に対して鉛直方向Dvの上方に移動する。その後、回転軸駆動部82によって回転軸本体81が回転されることで、ワーク加工位置Xのグリップ装置84がワーク交換位置Yまで旋回移動される。旋回移動後に、回転軸駆動部82によって回転軸本体81が鉛直方向Dvの下方に移動される。その結果、ワーク加工位置XのワークWがワーク交換位置Yまで移動するとともに、ワーク交換位置YのワークWがワーク加工位置Xでワークテーブル3に設置される。
【0055】
歯合わせ装置9は、非接触の電磁式のセンサ(不図示)によって、ワークテーブル3に取り付けられたワークWの歯の位相を検出する。その後、歯合わせ装置9では、検出した位相に基づきワークテーブル3を回転させて、ワークWの歯と砥石Tの研削歯の位相を合わせる。これにより、歯合わせ装置9は、ワークWと砥石とTが噛み合い可能な回転位相関係となるような歯合わせ動作をワークテーブル3に行わせる。
【0056】
歯合わせ装置9は、テールストック支持部7の搬送開口部70内に取り付けられている。歯合わせ装置9は、固定シャッター部78から第一方向D1に離れて支持脚下方連結部73に配置されている。
【0057】
上記のような歯車研削装置1では、テールストック支持部7内に形成された搬送開口部70内に回転軸本体81が配置されている。そのため、ワーク加工位置Xとワーク交換位置Yとの間でワークWを移動させる際には、ワークWは搬送開口部70内で回転軸本体81の周りを移動する。したがって、テールストック支持部7の周りを旋回するようにワークWを移動させる場合に比べて、ワークWを移動させる際の旋回半径を小さくすることができる。その結果、ワーク旋回搬送部8を小さくすることができる。したがって、ベッド2に対してワーク旋回搬送部8を設置する際に必要な面積を抑えることができる。これにより、ワークWを搬送するためのスペースを確保しつつ、歯車研削装置1全体として小型化を図ることができる。
【0058】
また、ワークWを移動させる際の旋回半径が小さくなることで、ワークWを移動させる際の移動時間が短縮される。その結果、サイクルタイムの短縮を図ることができる。また、装置全体を小型化することができる。
【0059】
また、回転軸駆動部82をカムユニットとモータで構成することにより、全体をコンパクト化できると共に、回転軸本体81のワーク旋回軸O5周りの移動を高速化できる。
【0060】
また、一対の支持脚71と支持脚上方連結部72が門型形状になし、その内側の空間が搬送開口部70として形成されている。支持脚上方連結部72によって支持脚71が連結されていることで、テールストック支持部7としての剛性を向上させることができる。そして、剛性が向上した支持上方連結部に回転軸駆動部82が固定されている。そのため、安定した状態で回転軸駆動部82を固定でき、搬送開口部70内で回転軸本体81を安定して駆動できる。したがって、搬送開口部70内でワークWを安定して搬送することができる。
【0061】
また、歯合わせ装置9は、搬送開口部70に設けられている。そのため、外部からの歯合わせ装置9へのアクセス性が向上する。これにより、歯合わせ装置9のメンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0062】
また、歯合わせ装置9では、ワークWと砥石Tとの位相を合わせるために、ワークWの位置を測定後にワークテーブル3を回転させる必要がある。仮に、砥石支持部4に歯合わせ装置9が取り付けられていると、ワークWの位置を確認するために砥石支持部4をワークテーブル3に近づけなければならない。しかしながら、ワークテーブル3を回転させる際には、ワークWと砥石Tとが接触することを防ぐために、砥石支持部4をワークWから離すように移動させなければならない。その結果、歯合わせを行うためだけに砥石支持部4を移動させるために余分な時間が必要となる。ところが、本実施形態では、歯合わせ装置9が、砥石支持部4ではなくテールストック支持部7に取り付けられている。これにより、歯合わせ時に砥石支持部4を移動させる必要がなくなり、作業時間を短縮させることができる。
【0063】
また、固定シャッター部78及び可動シャッター部79によってワークWの加工時に飛散するクーラント(研削油等の冷却剤)から歯合わせ装置9を保護することができる。また、一部が固定シャッター部78によって覆われているため、搬送開口部70のワーク加工位置X側の開口部分の全体を可動シャッター部79で覆う場合に比べて、可動シャッター部79の可動時間を短くすることができる。これにより、加工時のサイクルタイムを短縮することができる。
【0064】
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0065】
なお、テールストック支持部7は一対の支持脚71を有する構造に限定されるものではない。テールストック支持部7は、テールストック6及びドレッシング装置5を移動可能であればよい。したがって、テールストック支持部7は、例えば、一本の柱として形成されていてもよい。
【0066】
また、支持脚71は二つであることに限定されるものではない。支持脚71は、テールストック6に生じる負荷を支持することが可能な剛性を確保できればよい。したがって、支持脚71は、三つ以上であってもよい。
【0067】
また、搬送開口部70は一対の支持脚71と、支持脚上方連結部72と、支持脚下方連結部73とによって形成されていることに限定されるものではない。搬送開口部70は、ワークWが通過可能な大きさでテールストック支持部7に形成されていればよい。したがって、搬送開口部70は、一本の柱として形成されたテールストック支持部7を貫通する孔として形成されていてもよい。また、例えば、一対の支持脚71を、支持脚下方連結部73を介さずに、直接ベッド2に接続に接続する場合、搬送開口部70は、一対の支持脚71と、支持脚上方連結部72と、ベッド2(ベッド上面20)とによって形成されていてもよい。
【0068】
また、支持脚71は鉛直方向Dvのみに真直ぐ延びる形状であることに限定されるものではない。支持脚71は、ベッド上面20に対して傾斜するように、鉛直方向Dvに対して傾いた方向に延びていてもよい。
【0069】
また、テールストック支持部7は支持脚下方連結部73を介してベッド2に固定される構造に限定されるものではない。例えば、テールストック支持部7は、支持脚下方連結部73を有しておらず、支持脚71がベッド2に直接固定される構造であってもよい。この場合、テールストック支持部7は、一対の支持脚71と支持脚上方連結部72とによってベッド2に対して門型形状となるように形成されていてもよい。
【0070】
また、テールストック支持部7は支持脚上方連結部72を介してテールストック6を支持する構造に限定されるものではない。例えば、テールストック支持部7は、支持脚上方連結部72を有しておらず、支持脚71でテールストック6を直接支持する構造であってもよい。
【0071】
また、テールストック移動部65はテールストック6を鉛直方向Dvのみに移動させることに限定されるものではない。テールストック移動部65は、ワークテーブル3に向かうようにテールストック6を移動させることができればよい。したがって、例えば、テールストック移動部65は、湾曲した移動経路をたどるようにテールストック6をテールストック支持部7に対して移動させてもよい。また、テールストック移動部65は、テールストック6をテールストック支持部7の周りを旋回するように移動させてもよい。
【0072】
また、ドレッシング装置5はテールストック支持部7に取り付けられていることに限定されるものではない、ドレッシング装置5は、テールストック支持部7以外の別の部材によってベッド2上に設けられていてもよい。
【0073】
また、ドレッシング装置移動部55はドレッシング装置5を鉛直方向Dvのみに移動させることに限定されるものではない。ドレッシング装置移動部55は、ドレッシング装置5を砥石Tに向かって移動させることができればよい。したがって、例えば、ドレッシング装置移動部55は、湾曲した移動経路をたどるようにドレッシング装置5をテールストック支持部7に対して移動させてもよい。また、ドレッシング装置移動部55は、ドレッシング装置5をテールストック支持部7の周りを旋回するように移動させてもよい。
【0074】
また、ワークWの搬送方式として旋回搬送方式を採用する場合に限定されるものではない。旋回搬送方式の代わりに、ワーク加工位置とワーク交換位置を直接または複数回の屈曲箇所を有するレール上を搬送するライン搬送方式を採用して、そのレールが搬送開口部70内に配されることでもよい。