(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロボットは、前記第一の多関節アームと前記第二の多関節アームとの両方を有する一台の双腕型ロボットであることを特徴とする、請求項1記載の箱組立ておよび梱包システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1におけるような大型機械による自動化では、組み立てる箱の形状に変更があった場合に大規模な設備の変更が必要となる。一方、特許文献2におけるような手法では、真空ポンプ等によって発生する吸引力で物体を吸着する吸着器を多数使用してダンボールの把持および固定を行っているため設備コストが増加する。また、梱包箱を二本の多関節アームで吸着保持して筒状にするので、梱包箱の取回しの自由度が低いため作業効率が低下し、さらに、梱包箱が形状を自己保持しにくい弾性的な材質のものの場合に適切な組立てが困難になるという問題がある。
【0008】
それゆえこの発明は、商品梱包作業のラインに配置された汎用ロボットに対して簡単な治具を組み合わせることで、設備の大幅な小型化を可能とし、設備費用を抑え、プログラムの変更のみで異なる形状や材質の梱包箱の組立ておよび商品の梱包に対応可能とする箱組立ておよび梱包システムを提供することを目的とする。
【0009】
さらにこの発明は、梱包箱が形状を自己保持しにくい弾性的な材質のものの場合でも適切な組立てを可能とする箱組立ておよび梱包システムを提供することを目的とし、また、それらの箱組立ておよび梱包システム用のコントローラを提供することを目的とする。
【0010】
さらにこの発明は、梱包箱および梱包対象を供給する機構と、梱包された梱包対象を次工程に搬送する搬送機構とが連動して一連の梱包工程を完了させることで、梱包工程の効率的な自動化を可能とする箱組立ておよび梱包システム並びに、そのシステム用のコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を有利に解決するこの発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムは、
梱包箱の組立ておよびその梱包箱での梱包対象の梱包を行う箱組立ておよび梱包システムにおいて、
所定位置に固定されて前記梱包箱の胴部の側部を突き当てられる第一の治具と、
所定位置に固定されて前記梱包箱のフラップ部およびタック部を突き当てられる第二の治具と、
二本の多関節アームを有する一台のロボットもしくは、各々一本の多関節アームを有する二台のロボットと、
を具え、
前記二本の多関節アームのうちの第一の多関節アームのエンドエフェクタは、前記梱包箱を解放可能に保持する梱包箱保持機構と、その梱包箱の前記胴部を角筒形状に維持する梱包箱角筒形状維持機構とを有し、
前記二本の多関節アームのうちの第二の多関節アームのエンドエフェクタは、前記第一の多関節アームの前記梱包箱保持機構が保持する前記梱包箱の前記フラップ部および前記タック部に当接する折り曲げ部材と、前記梱包対象を解放可能に把持する梱包対象把持機構とを有し、
前記第一の多関節アームは、平坦に畳まれた形状の前記梱包箱を前記梱包箱保持機構で保持して移動させ、その梱包箱の前記胴部を前記第一の治具との協働で平坦に畳まれた形状から角筒形状に折り起こして、その梱包箱の折り起こされた前記胴部を
前記第一の治具との協働で前記平坦に畳まれた形状と反対の側に折り曲げてから前記梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に維持し、
前記第二の多関節アームは、前記折り曲げ部材を移動させ、前記第一の多関節アームが前記梱包箱保持機構で保持する前記梱包箱の前記フラップ部および前記タック部にその折り曲げ部材を当接させて、前記第二の治具との協働で前記梱包箱の前記フラップ部の折り曲げと前記タック部の折り曲げおよび前記胴部の端部への差し込みとを順次に行って前記梱包箱の底部と蓋部とをそれぞれ形成するとともに、前記梱包対象把持機構で把持した前記梱包対象を移動させて前記底部の形成と前記蓋部の形成との間に前記端部から前記胴部内に挿入することを特徴とするものである。
【0012】
また、この発明の第2の態様の箱組立ておよび梱包システムは、
前記第一の多関節アームに対して前記梱包箱を供給する梱包箱供給機構と、
前記第二の多関節アームに対して前記梱包対象を供給する梱包対象供給機構と、
前記第一の多関節アームおよび前記第二の多関節アームにより梱包された前記梱包対象を次工程へと搬出する搬出機構と、
を具え、
前記第一の多関節アームと、前記第二の多関節アームと、前記梱包箱供給機構と、前記梱包対象供給機構と、前記搬出機構とが連動して、前記第一の多関節アームに対して前記梱包箱供給機構により前記梱包箱を供給し、前記第二の多関節アームに対して前記梱包対象供給機構により前記梱包対象を供給し、前記第一の多関節アームおよび前記第二の多関節アームにより梱包された前記梱包対象を前記搬出機構により次工程へと搬出することで一連の梱包工程を完了させることを特徴とするものである。
【0013】
一方、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システム用コントローラは、
前記第一の多関節アームが、平坦に畳まれた形状の前記梱包箱を前記梱包箱保持機構で保持して移動させ、その梱包箱の前記胴部を前記第一の治具との協働で平坦に畳まれた形状から角筒形状に折り起こして、その梱包箱の折り起こされた前記胴部を前記梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に維持し、
前記第二の多関節アームが、前記折り曲げ部材を移動させ、前記第一の多関節アームが前記梱包箱保持機構で保持する前記梱包箱の前記フラップ部および前記タック部にその折り曲げ部材を当接させて、前記第二の治具との協働で前記梱包箱の前記フラップ部の折り曲げと前記タック部の折り曲げおよび前記胴部の端部への差し込みとを順次に行って前記梱包箱の底部と蓋部とをそれぞれ形成するとともに、前記梱包対象把持機構で把持した前記梱包対象を移動させて前記底部の形成と前記蓋部の形成との間に前記端部から前記胴部内に挿入するように、
前記箱組立ておよび梱包システムの前記一もしくは二台のロボットの前記第一の多関節アームおよび前記第二の多関節アームの動作を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の第2の態様の箱組立ておよび梱包システム用コントローラは、
前記第一の多関節アームと、前記第二の多関節アームと、前記梱包箱供給機構と、前記梱包対象供給機構と、前記搬出機構とが連動して、前記第一の多関節アームに対して前記梱包箱供給機構により前記梱包箱を供給し、前記第二の多関節アームに対して前記梱包対象供給機構により前記梱包対象を供給し、前記第一の多関節アームおよび前記第二の多関節アームにより梱包された前記梱包対象を前記搬出機構により次工程へと搬出することで一連の梱包工程を完了させるように、
前記第一の多関節アームと、前記第二の多関節アームと、前記梱包箱供給機構と、前記梱包対象供給機構と、前記搬出機構との動作を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムにあっては、一もしくは二台のロボットが有する二本の多関節アームのうちの第一の多関節アームのエンドエフェクタが、梱包箱を解放可能に保持する梱包箱保持機構と、その梱包箱の胴部を角筒形状に維持する梱包箱角筒形状維持機構とを有し、その第一の多関節アームが、例えば梱包箱供給機構により供給される平坦に畳まれた形状の梱包箱を梱包箱保持機構で保持して移動させ、その梱包箱の胴部を、所定位置に固定されて梱包箱の胴部の側部を突き当てられる第一の治具との協働で平坦に畳まれた形状から角筒形状に折り起こして、その梱包箱の折り起こされた胴部を梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に維持する。
【0016】
また、上記二本の多関節アームのうちの第二の多関節アームのエンドエフェクタが、第一の多関節アームの梱包箱保持機構が保持する梱包箱のフラップ部およびタック部に当接する折り曲げ部材と、梱包対象を解放可能に把持する梱包対象把持機構とを有し、その第二の多関節アームが、折り曲げ部材を移動させ、第一の多関節アームが梱包箱保持機構で保持する梱包箱のフラップ部およびタック部に折り曲げ部材を当接させて、所定位置に固定されて梱包箱のフラップ部およびタック部を突き当てられる第二の治具との協働で梱包箱のフラップ部の折り曲げとタック部の折り曲げおよび胴部の端部への差し込みとを順次に行って梱包箱の底部と蓋部とをそれぞれ形成するとともに、例えば梱包品供給機構により供給される梱包対象を梱包対象把持機構で把持して移動させて底部の形成と蓋部の形成との間に胴部の端部から胴部内に挿入し、このようにして梱包箱で梱包対象を梱包した梱包品を例えば搬出機構により次工程へと搬出する。これによって、梱包箱の組立て作業およびその梱包箱での商品等の梱包対象の梱包作業が完了する。
【0017】
従って、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムによれば、商品梱包作業のラインに配置された一もしくは二台の汎用ロボットに対して簡単な構成の第一および第二の治具を組み合わせることでシステムを構成することができるので、設備を大幅に小型化し、設備費用を抑え、プログラムの変更のみで異なる形状や材質の梱包箱の組立ておよび異なる商品の梱包に対応することができる。
【0018】
しかも、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムによれば、第一の多関節アームが、エンドエフェクタの梱包箱角筒形状維持機構で、梱包箱の折り起こされた胴部を角筒形状に維持するので、梱包箱が形状を自己保持しにくい弾性的な材質のものの場合でもその胴部を角筒形状に維持しながら取り回して、梱包箱の適切な組立てを行うことができる。
【0019】
なお、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムにおいては、前記ロボットは、前記第一の多関節アームと前記第二の多関節アームとの両方を有する一台の双腕型ロボットであると、設備をさらに小型化するとともに設備費用をさらに抑えられるので好ましい。
【0020】
また、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムにおいては、前記第一の多関節アームは、前記梱包箱の前記折り起こされた胴部を前記第一の治具との協働で前記平坦に畳まれた形状と反対の側に折り曲げてから前記梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に維持するものであると、梱包箱が形状を自己保持しにくい弾性的な材質のものの場合でも、その胴部を確実に角筒形状に維持することができる。
【0021】
さらに、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システムにおいては、
前記第一の多関節アームに対して前記梱包箱を供給する梱包箱供給機構と、
前記第二の多関節アームに対して前記梱包対象を供給する梱包対象供給機構と、
前記第一の多関節アームおよび前記第二の多関節アームにより前記梱包箱で前記梱包対象を梱包した梱包品を次工程へと搬出する搬出機構と、
のうちの一つまたは二つを具えていると、作業の自動化を促進することができるので好ましい。
そして、それら三つを全て具えている、この発明の第2の態様の箱組立ておよび梱包システムによれば、一連の梱包工程を全て自動化することができる。
【0022】
一方、この発明の第1の態様の箱組立ておよび梱包システム用コントローラによれば、第一の多関節アームが、例えば梱包箱供給機構により供給される平坦に畳まれた形状の梱包箱を梱包箱保持機構で保持して移動させ、その梱包箱の胴部を第一の治具との協働で平坦に畳まれた形状から角筒形状に折り起こして、その梱包箱の折り起こされた胴部を梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に維持し、また、第二の多関節アームが、折り曲げ部材を移動させ、第一の多関節アームが梱包箱保持機構で保持する梱包箱のフラップ部およびタック部に折り曲げ部材を当接させて、第二の治具との協働で梱包箱のフラップ部の折り曲げとタック部の折り曲げおよび胴部の端部への差し込みとを順次に行って梱包箱の底部と蓋部とをそれぞれ形成するとともに、例えば梱包品供給機構により供給される梱包対象を梱包対象把持機構で把持して移動させて底部の形成と蓋部の形成との間に端部から胴部内に挿入し、このようにして梱包箱で梱包対象を梱包した梱包品を例えば搬出機構により次工程へと搬出するように、箱組立ておよび梱包システムの一もしくは二台のロボットの第一および第二の多関節アームの動作を制御するので、商品梱包作業のラインに配置された一もしくは二台の汎用ロボットと簡単な構成の第一および第二の治具との組み合わせによって、箱組立て作業および梱包作業を自動的に行うことができる。
【0023】
さらに、この発明の第2の態様の箱組立ておよび梱包システム用コントローラによれば、第一の多関節アームと、第二の多関節アームと、梱包箱供給機構と、梱包対象供給機構と、搬出機構とが連動して、第一の多関節アームに対して梱包箱供給機構により梱包箱を供給し、第二の多関節アームに対して梱包対象供給機構により梱包対象を供給し、第一の多関節アームおよび第二の多関節アームにより梱包箱で梱包対象を梱包した梱包品を搬出機構により次工程へと搬出することで一連の梱包工程を完了させるように、箱組立ておよび梱包システムの第一の多関節アームと、第二の多関節アームと、梱包箱供給機構と、梱包対象供給機構と、搬出機構との動作を制御するので、梱包工程の効率的な自動化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の箱組立ておよび梱包システムの一実施形態の全体構成を示す平面図である。
【
図2】上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが梱包に用いる梱包箱の一例を示す展開図である。
【
図3】(a)および(b)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが具えるロボットを示す正面図および側面図である。
【
図4】(a)および(b)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが具えるロボットを示す平面図および斜視図である。
【
図5】(a),(b),(c)および(d)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが具える第一の治具としての梱包箱角筒形状折り起こし治具を示す平面図、正面図、側面図および斜視図である。
【
図6】(a),(b),(c)および(d)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが具える第二の治具としての梱包箱フラップ部折り曲げ治具を示す平面図、正面図、側面図および斜視図である。
【
図7】(a),(b),(c),(d),(e)および(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの左腕のエンドエフェクタが有する梱包箱保持機構と梱包箱角筒形状維持機構とを示す平面図、正面図、左右側面図および左右斜視図である。
【
図8】(a),(b),(c),(d),(e)および(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの右腕のエンドエフェクタが有する梱包対象把持機構と棒状移動治具とを示す平面図、正面図、左右側面図および左右斜視図である。
【
図9】(a),(b),(c),(d),(e)および(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの左腕が平坦に畳まれた形状の梱包箱を梱包箱保持機構で保持して上記梱包箱角筒形状折り起こし治具(第一の治具)との協働で角筒形状に折り起こし、その角筒形状に折り起こされた梱包箱を第一の構成例の梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に保つ工程を順次に示す説明図である。
【
図10】(a)および(b)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムにおいて角筒形状に折り起こされた梱包箱を第二の構成例の梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に保つ工程を示す説明図であり、(c),(d)および(e)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムにおいて角筒形状に折り起こされた梱包箱を第三の構成例の梱包箱角筒形状維持機構で角筒形状に保つ工程を示す説明図である。
【
図11】(a),(b)および(c)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの左腕が保持する角筒形状に折り起こした梱包箱の内フラップ部をそのロボットの右腕が棒状移動治具により上記梱包箱フラップ部折り曲げ治具(第二の治具)との協働で折り曲げる工程を順次に示す説明図である。
【
図12】(a),(b),(c),(d),(e)および(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの左腕が保持する角筒形状に折り起こした梱包箱の外フラップ部およびタック部をそのロボットの右腕が棒状移動治具により上記梱包箱フラップ部折り曲げ治具(第二の治具)との協働で折り曲げて梱包箱の胴部の端部へ差し込む工程を順次に示す説明図である。
【
図13】(a),(b)および(c)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの左腕が保持する角筒形状に折り起こした梱包箱の内フラップ部をそのロボットの右腕が棒状移動治具により上記梱包箱フラップ部折り曲げ治具との協働で折り曲げつつ、同時に上記梱包箱の外フラップ部をそのロボットの右腕が上記梱包箱フラップ部折り曲げ治具との協働で折り曲げる工程を順次に示す説明図である。
【
図14】上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムのロボットの左腕が保持する角筒形状に折り起こした梱包箱の胴部内へ、そのロボットの右腕が梱包対象把持機構で把持した梱包対象を挿入する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、
図1は、この発明の箱組立ておよび梱包システムの一実施形態の全体構成を示す平面図であり、この実施形態の箱組立ておよび梱包システムは、汎用の双腕ロボット1と、第二の治具としての梱包箱フラップ部折り曲げ治具10と、梱包対象の搬入・搬出用コンベア20と、梱包対象を双腕ロボット1へ供給する梱包対象供給機構30と、組立て前の平坦に畳まれた形状の梱包箱を双腕ロボット1へ供給する梱包箱供給機構40と、梱包対象を梱包箱で梱包した梱包品をコンベア20に搬出する搬出機構としての梱包品搬出機構50とを具え、梱包箱供給機構40は、梱包箱置き場42と、第一の治具としての梱包箱角筒形状折り起こし治具44とを有している。なお、双腕ロボット1としては例えばカワダロボティクス株式会社製の、双腕を持つ人型ロボットの上半身を台車部分で支持する構成の作業ロボット、商品名「NEXTAGE」(登録商標)を使用することができる。
【0026】
図2は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが梱包に用いる梱包箱の一例を示す展開図であり、この実施形態の箱組立ておよび梱包システムが組み立てて梱包に用いる梱包箱100は、角筒状に組み立てられる胴部106と、のり代部107とを有し、梱包箱100はその胴部106の端部同士がのり代部107により接着されており、角筒形状に折り起こすことができる。胴部106は、互いに対向する第一側面104aおよび第二側面104bと、それらの側面間に位置する第三側面104cとを有している。そして胴部106の角筒軸線方向(図では上下方向)両端部からはそれぞれ、第一内フラップ部101aと第二内フラップ部101bと外フラップ部102とが延在し、それらの外フラップ部102の先端からはタック部103が延在している。
【0027】
図3(a)および
図3(b)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムが具える双腕ロボット1を示す正面図および側面図、また
図4(a)および
図4(b)は、その双腕ロボット1を示す平面図および斜視図であり、この双腕ロボット1は、複数の駆動軸を持ち、手先を任意の位置姿勢に移動可能な多関節アームである右腕2aおよび左腕2bを有している。右腕2aの先端にはエンドエフェクタ3aが取り付けられ、エンドエフェクタ3aは、梱包対象把持部4と棒状移動治具5とを有している。左腕2bの先端にはエンドエフェクタ3bが取り付けられ、エンドエフェクタ3bは、梱包箱吸着保持部6と梱包箱形状維持部7とを有している。
【0028】
図5(a),
図5(b),
図5(c)および
図5(d)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムの梱包箱供給機構40が有する梱包箱置き場42と梱包箱角筒形状折り起こし治具44(第一の治具)とを示す平面図、正面図、側面図および斜視図であり、梱包箱角筒形状折り起こし治具44は断面L字状をなし、梱包箱置き場42はその梱包箱角筒形状折り起こし治具44の正面から突出して水平に延在する複数、図示例では4本の棒状部品にて構成されており、梱包箱角筒形状折り起こし治具44の正面には、梱包箱置き場42上に平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを配置した時に、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aが当接するように高さが調整されて、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aが収まる程度の幅を持つ切り欠き部45が設けられている。これら梱包箱置き場42と梱包箱角筒形状折り起こし治具44とは、双腕ロボット1の作業範囲内の所定位置、例えば
図1では双腕ロボット1の左側の位置に固定されている。
【0029】
図6(a),
図6(b),
図6(c)および
図6(d)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムの梱包箱フラップ部折り曲げ治具10(第二の治具)を示す平面図、正面図、側面図および斜視図であり、梱包箱フラップ部折り曲げ治具10は、3本の棒状部材10a〜10cを基台10d上に立設されて構成され、それらの棒状部材のうち両側の第一棒状部材10aおよび第三棒状部材10cは、中央の第二棒状部材10bよりも太い外径の中央部10eを有しており、中央部10eの上側にはテーパー部10fが設けられ、中央部10eの側面にはその中央部10eを上方から見たときにD字状となる切り欠き部10gが設けられている。中央部10eの長さは、梱包箱100の胴部106の開口部の一辺の長さよりも短く成形されており、また中央部10eの直径は、胴部106の開口部の上記一辺と交わる異なる一辺の長さよりも短く成形されている。
【0030】
図7(a),
図7(b),
図7(c),
図7(d),
図7(e)および
図7(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムの双腕ロボット1の左腕のエンドエフェクタ3bが有する、梱包箱保持機構としての梱包箱吸着保持部6と、梱包箱角筒形状維持機構としての梱包箱形状維持部7と、伸縮動作機構8と、回転動作機構9とを示す平面図、正面図、左右側面図および左右斜視図であり、梱包箱吸着保持部6は、真空ポンプ等によって発生する吸引力で梱包箱を吸着保持する複数、図示例では2個の吸着器6aを下向きに有している。また、梱包箱形状維持部7は、梱包箱吸着保持部6の吸着器6aと概略同一平面
上に位置する保持面7aと、その保持面7aよりも下向きに突出する突条部の側面である押当て面7bを持つ押当て部材7cとを有している。そして伸縮動作機構8は、例えばエアシリンダにより押当て部材7cを移動させて、保持面7aに対し押当て面7bを接近させたり離間させたりし、回転動作機構9は、伸縮動作機構8の伸縮と連動して動作し、押当て部材7cを回転させ、保持面7aに対する押当て面7bの角度を変更するとともに、押当て部材7cの下向き方向に突出する高さを変更させたりする。
【0031】
図8(a),
図8(b),
図8(c),
図8(d),
図8(e)および
図8(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムの双腕ロボット1の右腕のエンドエフェクタ3aが有する、梱包対象把持機構としての梱包対象把持部4と折り曲げ部材としての棒状移動治具5とを示す平面図、正面図、側面図および斜視図であり、梱包対象把持部4は、例えばエアシリンダで一対の板状把持部材を互いに接近および離間移動させて梱包対象を把持および解放する把持機構からなる。また、棒状移動治具5はその上端部を、梱包対象把持部4から離間した位置でブラケットに固定支持されて、右腕2aの動作により任意の位置および姿勢に移動する。
【0032】
搬入・搬出用コンベア20は、梱包対象の位置を認識するための例えば光学式のセンサ21を有している。梱包対象供給機構30は、搬入・搬出用コンベア20上の梱包対象200を把持する、例えば上記梱包対象把持部4と同様の構成の梱包対象把持機構31と、梱包対象把持機構31が把持した梱包対象200を梱包対象把持機構31と一緒に水平に移動させる例えばサーボモータ駆動のボールネジと直線案内機構とが組み合わされた移動機構32と、梱包対象200の向きを調整する例えばステップモータ駆動の回転機構33とを有している。
【0033】
梱包箱供給機構40は、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aをストックする梱包箱ストック部41と、双腕ロボット1が梱包箱を取り出すための上記梱包箱置き場42と、梱包箱ストック部41の下端部に側部を掛止された平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの中央部を下側から例えば吸着器で吸着し、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを一部ずつ水平に引き出して梱包箱置き場42へと搬送する、例えば上記移動機構32と同様の構成の梱包箱搬送機構43と、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを角筒形状に折り起こすのに使用される上記第一の治具としての梱包箱角筒形状折り起こし治具44とを有している。
【0034】
梱包品搬出機構50は、例えば
図1に示すように双腕ロボット1の斜め前方の所定位置に位置する梱包品置き場51と、梱包品置き場51上に置かれた、梱包対象200を梱包箱100で梱包した梱包品201を把持する、例えば上記梱包対象把持機構31と同様の構成の梱包品把持機構52と、梱包品把持機構52が把持した梱包品201を梱包品把持機構52と一緒に水平に移動させ、搬入・搬出用コンベア20上に移動させる、例えば上記移動機構32と同様の構成の移動機構53とを有している。
【0035】
上述した構成を具えるこの実施形態の箱組立ておよび梱包システムは、双腕ロボット1の上半身を支持する台車部分内に収容された、予め制御プログラムを与えられた通常のコンピュータおよびそのコンピュータで制御されてモータ等を駆動する駆動回路を有する、この発明の一実施形態の図示しない箱組立ておよび梱包システム用コントローラにより、例えば双腕ロボット1の動作に加えて、搬出用コンベア20と梱包対象供給機構30と梱包箱供給機構40と梱包品搬出機構50との動作を制御されて、例えば以下の如くして梱包箱の組立ておよび梱包対象の梱包の作業を行う。
【0036】
図9(a),
図9(b),
図9(c),
図9(d),
図9(e)および
図9(f)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムの双腕ロボット1の左腕が平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを梱包箱保持機構としての梱包箱吸着保持部6で保持して上記梱包箱角筒形状折り起こし治具(第一の治具)44との協働で角筒形状に折り起こし、その角筒形状に折り起こされた梱包箱100bを梱包箱角筒形状維持機構の第一の構成例としての梱包箱形状維持部7で角筒形状に保つ工程を順次に示す説明図である。また、
図10(a)および
図10(b)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムにおいて角筒形状に折り起こされた梱包箱100bを梱包箱角筒形状維持機構の第二の構成例としての梱包箱形状維持部7で角筒形状に保つ工程を示す説明図であり、
図10(c),
図10(d)および
図10(e)は、上記実施形態の箱組立ておよび梱包システムにおいて角筒形状に折り起こされた梱包箱100bを梱包箱角筒形状維持機構の第三の構成例としての梱包箱形状維持部7で角筒形状に保つ工程を示す説明図である。
【0037】
(梱包箱の供給)
ここでは先ず、梱包箱搬送機構43が、梱包箱ストック部41にストックされている平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを一部取り出して梱包箱置き場42に移動させ、その平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを、第二側面104bと第三側面104cとの間の第一角部105aが梱包箱角筒形状折り起こし治具44の持つ切り欠き部45に当接する所定の位置および姿勢となるように梱包箱置き場42に載置する。次に、双腕ロボット1が左腕2bを移動させて、左腕のエンドエフェクタ3bの梱包箱吸着保持部6の動作により、
図9(a)に示すように、梱包箱置き場42上の平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第一側面104aを吸着保持する。ここで、
図9(b)に示すように、梱包箱形状保持部7の押当て部材7cは、押当て面7bの長さの分だけ平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを下方向に押しつけることで平坦に畳まれた形状の梱包箱100aに変形を生じさせ、その平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの変形部分は、梱包箱角筒形状折り起こし治具44の正面に設けられて梱包箱置き場42を形成する棒状部品の隙間に収まる。
【0038】
(梱包箱の角筒形状への変形)
次いで、双腕ロボット1が左腕2bを斜め上方に移動させて、
図9(c)に太矢印で示すように、梱包箱置き場42と接している平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第二側面104bが滑らないように平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第一角部105aを梱包箱角筒形状折り起こし治具44の正面に当接させたまま、左腕2bの梱包箱吸着保持部6で吸着保持した平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第一側面104aを梱包箱角筒形状折り起こし治具44側に寄せながら持ち上げる。この時、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第一角部105aが切り欠き部45に入り込んだ状態から平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを持ち上げ始めることで、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第二側面104bが梱包箱角筒形状折り起こし治具44から浮き上がることなく平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを持ち上げることができ、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第三側面104cを梱包箱角筒形状折り起こし治具44側に当接させるように持ち上げるにつれて、第一角部105aは折りたたまれた状態から広がっていき、
図9(d)に示すように、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの持つ弾性力により第三側面104cが梱包箱角筒形状折り起こし治具44の正面に平行になるように変形することで、第一角部105aが切り欠き部45から抜け出る。これにより、梱包箱100の胴部106が概略角筒形状に折り起こされて、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aが、角筒形状の胴部106を持つ角筒形状に折り起こされた梱包箱100bに変形される。
【0039】
次に、双腕ロボット1が左腕2bを斜め下方向に移動させて、
図9(e)に太矢印で示すように、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第二角部105bがさらに屈曲するように梱包箱角筒形状折り起こし治具44で角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第三側面104cに圧力をかける。角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの各角部には溝が設けられているため、側面に圧力をかけることで、平坦であった第二角部105bに折り目が付き、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bがその弾性回復力により平坦形状に戻るのが防止される。
【0040】
梱包箱形状維持部7は、
図9(f)に示すように、押当て面7bが角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第三側面104cに押し当てられ、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第二角部105bの角度が実質的に直角に維持されるように取り付け位置が調整される、梱包箱角筒形状維持機構の第一の構成例を備えている。梱包箱吸着保持部6により保持されている角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの上記の弾性回復力により、
図9(f)に太矢印で示すように、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第三側面104cには押当て部材7cの押当て面7bに押し当てる力が働いており、また梱包箱吸着保持部6の吸着器6aにより、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第一側面104aには保持面7aに押し当てる力が働いているので、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの胴部106は角筒形状を維持される。
【0041】
なお、梱包箱形状維持部7は、
図10(a)および
図10(b)に示すように、押当て面7bを持つ押当て部材7cを保持面7aに対して
平行に水平方向に移動させる、例えばエアシリンダを用いた伸縮動作機構8を有し、伸縮動作機構8による押当て部材7cの伸縮動作移動量は、押当て面7bが角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第三側面104cに押し当てられ、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第二角部105bの角度が実質的に直角に維持されるように調整される、梱包箱角筒形状維持機構の第二の構成例を備えていても良い。この第二の構成例の梱包箱角筒形状維持機構を備えることで、梱包箱置き場42上の平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを吸着保持する際に、梱包箱形状維持部7の押当て面7bと平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第二角部105bとの位置関係を厳密に調整する必要が無くなるため、大きさの異なる梱包箱100であってもエンドエフェクタ3bを変更することなく取り扱うことができる。
【0042】
さらに梱包箱形状維持部7は、
図10(c),
図10(d)および
図10(e)に示すように、押当て面7bを持つ押当て部材7cを保持面7aに対して
平行に水平方向に移動させる、例えばエアシリンダを用いた伸縮動作機構8を有するとともに、伸縮動作機構8が伸展時には梱包箱形状維持部7の押当て面7bが保持面7aと
平行になりつつ上方向へと持ちあがる、例えばカム構造を用いた回転動作機構9を有し、伸縮動作機構8および回転動作機構9による押当て部材7cの伸縮動作および回転動作の移動量は、押当て面7bが梱包箱100の第三側面104cに押し当てられ、梱包箱100の第二角部105bの角度が実質的に直角に維持されるように調整される、第三の構成例の梱包箱
角筒形状維持機構を備えても良い。この第三の構成例の梱包箱
角筒形状維持機構を備えることで、梱包箱置き場42上の平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを吸着保持する際に、梱包箱形状維持部7の押当て面7bと、平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第二角部105bとの位置関係を厳密に調整する必要が無く、さらに
図10(c)に示すように、梱包箱置き場42上の平坦に畳まれた形状の梱包箱100aの第一側面104aを吸着保持する際に、回転動作機構9により梱包箱形状維持部7の押当て面7bが保持面7aよりも上方向へと持ちあがるため、梱包箱形状維持部7の押当て部材7cが平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを下方向に押しつけることなく平坦に畳まれた形状の梱包箱100aを吸着保持することができ、梱包箱形状維持部7の押当て面7bを長くして角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第三側面104cに押当てる範囲を広くすることで、第二角部105bの角度をより強固に直角に維持することができる。
【0043】
(底部のフラップ部の折り曲げ)
次いで、双腕ロボット1が左腕2bを移動させて、
図11(a)に示すように、角筒形状の胴部を持つ角筒形状に折り起こされた梱包箱100bを、第一開口部106a側の第一内フラップ部101aが梱包箱フラップ部折り曲げ治具10の第一棒状部材10aの上部に接触するようにする。この時、第一開口部106a側の外フラップ部102が第一棒状部材10aと第二棒状部材10bとの間に来るように、角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの位置を調整する。
【0044】
次に、双腕ロボット1が、右腕2aを移動させて、
図11(b)に示すように、右腕2aのエンドエフェクタ3aが有する棒状移動治具5により、第一開口部106a側の第二内フラップ部101bを上方から下方へ折り曲げた後、
図11(c)に示すように、右腕2aのエンドエフェクタ3aと左腕2bのエンドエフェクタ3bとの位置関係を変えないまま右腕2aおよび左腕2bを下方に移動させて、第一開口部106a側の第一内フラップ部101aを梱包箱フラップ部折り曲げ治具10の第一棒状部材10aに当接させることで、第一内フラップ部101aを、同じ開口部側の第二内フラップ部101bに外側から被せて折り曲げる。
【0045】
次に、双腕ロボット1が右腕2aおよび左腕2bを移動させて、
図12(a)および
図12(b)に示すように、梱包箱フラップ部折り曲げ治具10の第二棒状部材10bに第一開口部106a側の外フラップ部102を沿わせるとともに、梱包箱フラップ部折り曲げ治具10の第一棒状部材10aに、同じ開口部側の第二内フラップ部101bに外側から被せられて折り曲げられた第一内フラップ部101aを当接させ、第二棒状部材10bによって外フラップ部102を押すことで、外フラップ部102を第一内フラップ部101aおよび第二内フラップ部
101bに覆い被さるように折り曲げる。
【0046】
次に、双腕ロボット1が右腕2aおよび左腕2bの相対位置を調整して、
図12(b)に示すように、右腕2aのエンドエフェクタ3aの棒状移動治具5を、折り曲げられた外フラップ部102の内側に挿入し、その後、双腕ロボット1が右腕2aを移動させて、
図12(c)に示すように、外フラップ部102に繋がるタック部103を、棒状移動治具5と第二棒状部材10bとによって折り曲げる。この時、第三棒状部材10cは外フラップ部102を押さえた状態となる。
【0047】
次に、双腕ロボット1が左腕2bを移動させて、
図12(d)に示すように、折り曲げられたタック部103を角筒形状に折り起こされた梱包箱100bの第一開口部106a内に挿入する。タック部103の挿入が始まった段階で双腕ロボット1は、右腕2aを移動させることで右腕2aのエンドエフェクタ3aの棒状移動治具5を上方に引き抜き、その後、左腕2bを水平方向に移動させることで、
図12(e)に示すように、第三棒状部材10cの中央部10eが外フラップ部102の中央部付近を押さえ、タック部103が第一開口部106a内にさらに深く挿入され、
図12(f)に示すように、左腕2bを水平方向にさらに移動させることで、第一開口部106aの内フラップ部101aおよび外フラップ部101bの組付けを完了する。中央部10eの長さは第一開口部106aの一辺の長さよりも短く成形されており、また中央部10eの直径は第一開口部106aの一辺の長さよりも短く成形されており、中央部10eが第一開口部106aの面を超えて外フラップ部102を押し込むことで、タック部103を第一開口部106a内により深く挿入し、内フラップ部101aおよび外フラップ部101bを確実に組み付けることができる。
【0048】
なお、上述した第一内フラップ部101aおよび第二内フラップ部101bの折り曲げと外フラップ部102の折り曲げとは並行して行ってもよく、
図13(a),
図13(b),
図13(c)にそれぞれ側方および上方から見て示すように、第一内フラップ部101aを第一棒状部材10aに当接させて折り曲げながら、外フラップ部102を第二棒状部材10bに当接させて折り曲げてもよい。ここで、第一棒状部材10aの中央部10eの上部に設けられたテーパー部10fと、第一棒状部材10aの中央部10eの側面に設けられたD字状となる切り欠き部10gとにより、第一内フラップ部101aを折り曲げるため角筒形状に折り起こされた梱包箱100b全体を下方向へと移動させる際に、外フラップ部102が第二棒状部材10bに当接することで第一開口部106a側に折り曲げられて第一内フラップ部の中央部10eに上方向から接触した場合に、外フラップ部102は、テーパー部10fに沿って折り曲げられ、さらにD字状切り欠き部10gに沿って下方向へと移動するため、外フラップ部102が中央部10eに引っ掛かることなく、第一内フラップ部101aおよび外フラップ部102を折り曲げることができる。
【0049】
(梱包対象の供給)
その一方、
図1に示すように搬入・搬出用コンベア20上を流れる梱包対象200をセンサ21が認識すると、梱包対象把持機構31が梱包対象200を把持する。梱包対象把持機構31で把持された梱包対象200は、梱包対象把持機構31と一緒に移動機構32により移動されて回転機構33上に載置される。回転機構33は、梱包対象200が規定された向きになるように梱包対象200を回転させる。梱包対象200の向きの確認は、梱包対象供給機構30や双腕ロボット1が備えたカメラ等の認識用機器で実施しても良い。
【0050】
(梱包対象の挿入)
次いで、双腕ロボット1が右腕2aを移動させて、回転機構33上に載置された梱包対象200を右腕2aのエンドエフェクタ3aの梱包対象把持部4により把持し、第一内フラップ部101a、第二内フラップ部101bおよび外フラップ部102が組付けられた状態の第一開口部106aが下側に来るように左腕2bを移動させ、さらに、
図14に示すように、梱包対象200を第二開口部106bから胴部106内に挿入できるように、右腕2aを移動させる。
【0051】
次に、梱包対象把持部4が把持動作を解除して梱包対象200を解放し、梱包対象200を第二開口部106b内に梱包対象200の自重による移動で挿入する。この時、第一開口部106a側のフラップ部の組付けが梱包対象200を挿入する時の衝撃で外れないように、第一開口部106a側の外フラップ部102を支えるための梱包箱フラップ部支持治具60を、双腕ロボット1の作業範囲内の所定位置、例えば
図1では双腕ロボット1の前方の折り曲げ治具10の隣の位置に固定配置しても良い。
【0052】
(上部のフラップ部の折り曲げ)
次いで、双腕ロボット1が右腕2aおよび左腕2bを移動させて、梱包箱100の上部の第二開口部106b側の第一内フラップ部101a、第二内フラップ部101b、外フラップ部102およびタック部103を、第一開口部106a側のフラップ部の折り曲げと同様の手順で折り曲げ、梱包を完了する。
【0053】
(梱包品の搬出)
次いで、双腕ロボット1が左腕2bを移動させて、梱包を終えた梱包対象である梱包品201を、梱包品搬出機構50の梱包品置き場51に移動させる。梱包品搬出機構50は、梱包品置き場51に移動された梱包品201を梱包品把持機構52により把持し、移動機構53の動作により、
図1に示すように、梱包品201を移送して搬入・搬出用コンベア20上に載置し、搬入・搬出用コンベア20は、その載置された梱包品201を次工程へと搬出する。
【0054】
従って、この実施形態の箱組立ておよび梱包システム並びにそのシステム用のこの実施形態のコントローラによれば、梱包作業のラインに配置された一台の汎用双腕ロボット1に対して簡単な構成の梱包箱角筒形状折り起こし治具44および梱包箱フラップ部折り曲げ治具10を組み合わせることで箱組立ておよび梱包システムを構成することができるので、設備を大幅に小型化し、設備費用を抑え、プログラムの変更のみで異なる形状や材質の梱包箱の組立ておよび異なる商品の梱包に対応することができる。
【0055】
しかも、この実施形態の箱組立ておよび梱包システム並びにそのシステム用のこの実施形態のコントローラによれば、ロボットが、何れも多関節アームである右腕2aと左腕2bとの両方を有する一台の双腕型ロボット1であるので、設備をさらに小型化するとともに設備費用をさらに抑えることができる。
【0056】
さらに、この実施形態の箱組立ておよび梱包システム並びにそのシステム用のこの実施形態のコントローラによれば、第一の多関節アームである左腕2bが、梱包箱100の折り起こされた胴部106を梱包箱角筒形状折り起こし治具44との協働で平坦に畳まれた形状と反対の側に折り曲げてから梱包箱形状維持部7で角筒形状に維持するので、梱包箱100が形状を自己保持しにくいプラスチック等の弾性的な材質のものの場合でも、その胴部106を確実に角筒形状に維持することができる。
【0057】
さらに、この実施形態の箱組立ておよび梱包システム並びにそのシステム用のこの実施形態のコントローラによれば、第一の多関節アームである左腕2bが、エンドエフェクタ3bの梱包箱形状維持部7で、梱包箱100の折り起こされた胴部106を角筒形状に維持するので、梱包箱100が形状を自己保持しにくいプラスチック等の弾性的な材質のものの場合でも、その胴部106を角筒形状に維持しながら取り回して、梱包箱100の適切な組立てを行うことができる。
【0058】
さらに、この実施形態の箱組立ておよび梱包システム並びにそのシステム用のこの実施形態のコントローラによれば、搬入・搬出用コンベア20と、梱包対象供給機構30と、梱包箱供給機構40と、梱包品搬出機構50とを具えているので、双腕ロボット1への梱包箱および梱包対象の供給と、梱包対象の梱包と、梱包した梱包対象を次工程に搬送するまでの一連の梱包工程を効率良く行うことができ、作業の自動化を促進することができる。
【0059】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、1台の双腕ロボット1に代えて従来の単腕型ロボットを2台用いても良い。
【0060】
さらに、第一の治具および第二の治具の構成も、上述の例に限られず、特許請求の範囲の記載範囲内で所要に応じて適宜変更しても良い。