(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蒸し工程において、真空蒸し機により真空下で水蒸気を供給して織布を88℃に−1℃から+1℃の許容範囲内で1時間保持することを特徴とする請求項4に記載の二重ガーゼ織物の製法。
製織工程と蒸し工程との間において行うパディング工程において、製織工程で製織した二重ガーゼ織物の織布に、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、銀の混合物質からなる加工剤を塗布し、
その後の乾燥工程において、エアーブラスト乾燥機により140℃から150℃の加熱風を出力して前記織布を乾燥させ、
その後の洗い工程において、前記織布に対してウインス機による常温水で10分間、−1分から+1分の許容範囲内で洗いを行い、
その後の乾燥工程において、エアーブラスト乾燥機により100℃の加熱風を−5℃から+5℃の許容範囲内で出力して前記織布を乾燥させることを特徴とする請求項5に記載の二重ガーゼ織物の製法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的なガーゼは木綿の糸からなる目の粗い平織物の布であり、目が粗い分、通気性が良く、軽くて柔らかい特徴を有する。この通気性の良さと吸湿性があることから、赤ちゃん用の肌着、ハンカチ、掛け布団などに用いられており、肌触りが良いことからシャツやストールに使用されることがある。また、ガーゼタオルは乾きやすい、かさばらないというメリットがある。ガーゼは、水洗いをすることができるが、ストールやシャツの場合は型崩れや縮みが問題となる。
【0006】
また、シャツに使用される糸には、紙と同じ木材パルプを原料とし、シルクに似た光沢、手触りが特徴のレーヨンがある。レーヨンは、ドレープ性に優れているが、水に弱い素材であり、水分を含むと糸が太くなり糸同士が引っ張る力が強くなるため縮みやすい素材である。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、ガーゼ織物にレーヨンの優れた特性を取り込み、織布の質感、風合いを向上させ、かつガーゼ織物およびレーヨンの弱点である縮みを抑制した二重ガーゼ織物およびその製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る二重ガーゼ織物は、織布の表側をなす表織組織と、裏側をなす裏織組織と、双方の織組織を結ぶ結合部を備えるドビー織の二重ガーゼ織物であって、表織組織は、竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸からなる経糸と、綿糸の無撚糸からなる緯糸とを製織してなり、裏織組織は、竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸からなる経糸と、綿糸のコンパクトサイロ糸からなる緯糸とを製織してなり、結合部は、表織組織の一部の緯糸を裏織組織の一部の経糸に織り込んでなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る二重ガーゼ織物において、織布は真空下で水蒸気による熱処理と乾燥とが施されたものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る二重ガーゼ織物において、表織組織と裏織組織の経糸をなすレーヨンのコンパクトサイロ糸は、撚り係数3.10から3.16で、英式綿番手表示30から40番手の単糸であり、表織組織の緯糸をなす綿糸の無撚糸は、英式綿番手表示30から40番手の単糸であり、裏織組織の緯糸をなす綿糸のコンパクトサイロ糸は、撚り係数3.29から3.95で、英式綿番手表示30から40番手の単糸であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る二重ガーゼ織物の製法は、一方のビームから複数の経糸を繰り出し、製織した織布を他方のビームに巻き取るドビー織機により二重ガーゼ織物を製織する製織工程において、竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸からなる経糸と、綿糸の無撚糸からなる緯糸で織布の表側をなす表織組織を製織し、竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸からなる経糸と、綿糸のコンパクトサイロ糸からなる緯糸で織布の裏側をなす裏織組織を製織し、表織組織の一部の緯糸を裏織組織の一部の経糸に織り込んで表織組織と裏織組織を結ぶ結合部を形成し、蒸し工程において、製織工程で製織した二重ガーゼ織物の織布に真空下で水蒸気による熱処理と乾燥とを施すことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る二重ガーゼ織物の製法において、蒸し工程において、真空蒸し機により真空下で水蒸気を供給して織布を88℃に−1℃から+1℃の許容範囲内で1時間保持する。
【0013】
また、本発明に係る二重ガーゼ織物の製法において、製織工程と蒸し工程との間において行うパディング工程において、製織工程で製織した二重ガーゼ織物の織布に、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、銀の混合物質からなる加工剤を塗布し、その後の乾燥工程において、エアーブラスト乾燥機により140℃から150℃の加熱風を出力して前記織布を乾燥させ、その後の洗い工程において、前記織布に対してウインス機による常温水で10分間、−1分から+1分の許容範囲内で洗いを行い、その後の乾燥工程において、エアーブラスト乾燥機により100℃の加熱風を−5℃から+5℃の許容範囲内で出力して前記織布を乾燥させることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(織組織)
図1および
図2において、二重ガーゼ織物1は、ドビー織の織布であり、織布の表側をなす表織組織2と、裏側をなす裏織組織3と、双方の織組織2、3を結ぶ結合部4を備える。
【0016】
表織組織2は、経糸21に竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸を使用し、緯糸22に綿糸の無撚糸を使用して製織されたものである。この実施の形態では、経糸21をなすレーヨンのコンパクトサイロ糸は、撚り係数3.10で、英式綿番手表示30番手の単糸であり、緯糸22をなす綿糸の無撚糸は、英式綿番手表示30番手の単糸である。
【0017】
また、裏織組織は、経糸31に竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸を使用し、緯糸32に綿糸のコンパクトサイロ糸を使用して製織されたものである。経糸31をなすレーヨンのコンパクトサイロ糸は、撚り係数3.10で、英式綿番手表示30番手の単糸であり、緯糸32をなす綿糸のコンパクトサイロ糸は、撚り係数3.29で、英式綿番手表示30番手の単糸である。
【0018】
この表織組織と裏織組織の経糸をなすレーヨンのコンパクトサイロ糸には、撚り係数3.10から3.16で、英式綿番手表示30から40番手の単糸を使用可能である。また、表織組織の緯糸をなす綿糸の無撚糸には、英式綿番手表示30から40番手の単糸を使用可能である。また、裏織組織の緯糸をなす綿糸のコンパクトサイロ糸には、撚り係数3.29から3.95で、英式綿番手表示30から40番手の単糸を使用可能である。
【0019】
結合部4では、表織組織2の一部の緯糸22を裏織組織3の一部の経糸31に織り込んでいる。この例では、緯糸22が16本に1本の割合いで、縦糸31が28本に1本の割合で相互に織り込まれている。この割合は限定的な値ではなく、適宜に設定することができる。また、表織組織2の一部の経糸21を裏織組織3の一部の緯糸32に織り込むことも可能である。
【0020】
このように、本実施の形態に係る二重ガーゼ織物1は、表織組織2が経糸21に竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸を配し、緯糸22に綿糸の無撚糸を配してなるので、レーヨンの特性、つまり吸湿性、吸水性が良く、光沢があり着心地が優れてドレープ性があることと、無撚糸の特性、つまりふんわりとしてやわらかな風合いであることを同時に有して、織布の質感、風合いが向上する。
【0021】
また、裏織組織3が経糸31に竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸を配し、緯糸32に綿糸のコンパクトサイロ糸を配してなるので、裏織組織3によって二重ガーゼ織物1としての十分な強度が確保される。
【0022】
このガーゼ織物1の織布には、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、銀の混合物質からなる加工剤が塗布されている。この加工剤は、光触媒を進化させたものであり、光がなくても作用するハイブリッド触媒で、花粉、ハウスダスト、カビ等のタンパク質や、汗、ニオイ、不衛生タンパク質を分解して水に変える機能を有している。
【0023】
1.「酸化チタン」(TiO2)=代表的な光触媒の物質で、花粉・ハウスダスト・カビ・汗・ニオイ等のタンパク質、不衛生タンパク質を分解する。酸化チタンは、安全性の高い物質で、女性のファンデーションの主成分として使用されており、食品添加物としてホワイトチョコレートなどにも使われている。
【0024】
2.「ハイドロキシアパタイト」(HAp : Ca10(Po4)6(OH)2)=カルシウムの一種で、花粉・ハウスダスト・カビ・汗・ニオイ等のタンパク質、不衛生タンパク質を繊維の中で吸着する。
【0025】
3.「銀」(Ag)=酸化チタンの電極となり、分解活動を促進する。この微量の銀が光に変わってエネルギー源となるため、光がない状態でも分解が進む。以上3つの働きで、タンパク質を分解する。
【0026】
上記の酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、銀の混合物質の塗布は、必ずしも必要なものではなく、前記混合物質を塗布しない織布の製造も可能である。
【0027】
さらに、本発明の実施の形態に係る二重ガーゼ織物の織布は、性質のことなる3種の糸、すなわち竹原料由来のレーヨンのコンパクトサイロ糸と、綿糸の無撚糸と、綿糸のコンパクトサイロ糸とからなるのであっても、その製造過程において真空下で水蒸気による熱処理と真空乾燥とを施されることで、事前に意図的に縮ませた形態をなし、その縮が織布の全体に万遍なく生じた形態となる。このため、洗濯等の要因に対して形状の変形が起こり難く、縫製後の衣類は、偏った縮に起因する型崩れが抑制されたものとなる。
(織機構造)
図3は、二重ガーゼ織物1を製織するための織機の構成を示す模式図である。経糸21、31は、経糸ビーム41、別名製織ビームに巻き取られており、製織後の織布がクロスビーム42に巻き取られる。
【0028】
開口装置5は、経糸21、31を上下に操作して経糸21、31の相互間に杼口を形成するものであり、主たる構成が複数の綜絖51とドビー装置52からなる。綜絖51は複数の綜絖糸511と綜絖糸511を束ねる綜絖枠512からなり、各綜絖糸51は経糸21、31を通す綜絖目513を有している。ドビー装置52は各綜絖51を個別に独立して上下に操作して杼口を形成する。
【0029】
綜絖糸511とクロスビーム42の間で、杼口に対応する位置には、緯入れ装置61、62を配置している。緯入れ装置61、62は、杼口に緯糸22、32を通すものであり、ここではエアジェット装置を使用している。エアジェット装置は圧縮空気の噴射で緯糸22、32を杼口に通すものである。経糸21、31の移動方向において綜絖糸511の下流側、すなわち杼口と綜絖糸511の間には、緯糸22、32を押さえる筬7を配置している。
(製織工程)
図4から
図12を参照して二重ガーゼ織物1の製織工程の一例を説明するが、製織工程の織り手順は以下に説明するものに限らない。
【0030】
以下においては、表織組織2の緯糸22を無撚糸にするために、以下の操作を行う。
【0031】
ここでは、英式綿番手表示30番手の綿単糸で、撚り係数3.29のコンパクトサイロ糸と、英式綿番手表示80番手の単糸で、撚り係数3.29のコンパクトサイロ糸からなる
水溶性の糸とを合糸し、さらに逆方向に撚って双糸にする。この時元の糸の撚りはなくなって無撚糸になっているが、
水溶性の糸が撚り係数3.29の撚りで絡んでいる。このままで生地にした後、染色等で水につけることで、水溶性の糸は溶けてなくなり、出来上がった生地は無撚糸となる。
【0032】
また、ここでは説明のために、各綜絖51に支持された経糸21、31に符号a、b、c、dを与えている。符号a、cの経糸21は表織組織2のものであり、符号aの経糸21が第1の綜絖51aに支持されており、符号cの経糸21が第3の綜絖51cに支持されている。
【0033】
また、符号b、dの経糸31は裏織組織3のものであり、符号bの経糸31が第2の綜絖51bに支持されており、符号dの経糸31が第4の綜絖51dに支持されている。
【0034】
図5に示すように、第3の綜絖51cを上方に移動させ、符号cの経糸21を引き上げて、表織組織2の経糸21の相互間に杼口を開口させる。また、第2の綜絖51bを下方に移動させ、符号bの経糸31を押し下げて、裏織組織3の経糸31の相互間に杼口を開口させる。この状態で、緯入れ装置6の各ノズルからそれぞれ緯糸22、32を供給し、各杼口に緯糸22、32を通す。そして、筬7で緯糸22、32を押した後に、
図6に示すように、第2の綜絖51b、第3の綜絖51cを戻す。
【0035】
次に、
図7に示すように、第1の綜絖51aを上方に移動させ、符号aの経糸21を引き上げて、表織組織2の経糸21の相互間に杼口を開口させる。また、第4の綜絖51dを下方に移動させ、符号dの経糸31を押し下げて、裏織組織3の経糸31の相互間に杼口を開口させる。この状態で、緯入れ装置6の各ノズルからそれぞれ緯糸22、32を供給し、各杼口に緯糸22、32を通す。そして、筬7で緯糸22、32を押した後に、
図8に示すように、第1の綜絖51a、第4の綜絖51dを戻す。
(結合部の織方)
図9に示すように、第3の綜絖51cを上方に移動させ、符号cの経糸21を引き上げて、表織組織2の経糸21の相互間に杼口を開口させる。このとき、一部の符号dの経糸31を支持する第5の綜絖51eを第3の綜絖51cとともに上方に移動させる。
【0036】
また、第2の綜絖51bを押し下げ、符号bの経糸31を押し下げて、裏織組織3の経糸31の相互間に杼口を開口させる。この状態で、緯入れ装置6の各ノズルからそれぞれ緯糸22、32を供給し、各杼口に緯糸22、32を通す。そして、筬7で緯糸22、32を押した後に、
図10に示すように、第2の綜絖51b、第3の綜絖51c、第5の綜絖51eを戻す。
【0037】
この結果、表織組織2の経糸21の相互間の杼口を通る緯糸22が一部の符号dの経糸31の下方に位置する。
【0038】
次に、
図11に示すように、第1の綜絖51aを上方に移動させ、符号aの経糸21を引き上げて、表織組織2の経糸21の相互間に杼口を開口させる。また、第4の綜絖51dを押し下げ、符号dの経糸31を押し下げて、裏織組織3の経糸31の相互間に杼口を開口させる。このとき、先述の一部の符号dの経糸31も同じ様に押し下げられる。
【0039】
この状態で、緯入れ装置6の各ノズルからそれぞれ緯糸22、32を供給し、各杼口に緯糸22、32を通す。そして、筬7で緯糸22、32を押した後に、
図12に示すように、第1の綜絖51a、第4の綜絖51dを戻す。
【0040】
この結果、表織組織2の一部の緯糸22が裏織組織3の一部の経糸31に織り込まれる。
【0041】
以下に、二重ガーゼ織物の製法を説明する。
(無地の後染めを行うケース)
1.荒巻工程
経糸21、31、すなわち竹原料由来のレーヨンからなるコンパクトサイロ糸で、撚り係数3.10で、英式綿番手表示30番手の単糸を、荒巻機で荒巻ビームに巻き取る。
2.サイジング工程
経糸21、31を荒巻ビームから繰り出し、サイジング機で糊付けを行った後に、経糸ビーム41に巻き取る。
3.精錬漂白工程
緯糸22、32になるコンパクトサイロ糸、すなわち撚り係数3.29で、英式綿番手表示30番手の綿単糸を、チーズ染色機で精錬漂白する。
4.撚糸工程
無撚糸の緯糸22は、英式綿番手表示30番手の綿単糸で、撚り係数3.29のコンパクトサイロ糸と、英式綿番手表示80番手の単糸で、撚り係数3.29のコンパクトサイロ糸からなる
水溶性の糸とを合糸し、さらに逆方向に撚って双糸にしたものである。この時元の糸の撚りはなくなって無撚糸になっているが、
水溶性の糸が撚り係数3.29の撚りで絡んでいる。
5.緯糸巻き工程
ワインダー機により緯糸22、32を織機に使用する緯糸のボビンに巻き取る。
6.製織工程
先に述べた製織工程を行う。製織によって、二重ガーゼ織物の織布を得る。織布は、表織組織2は、竹原料由来のレーヨンからなるコンパクトサイロ糸である経糸21と、綿糸の無撚糸である緯糸22からなり、裏織組織は、竹原料由来のレーヨンからなるコンパクトサイロ糸である経糸31と、綿糸のコンパクトサイロ糸である緯糸32からなる。
7.染色工程
ウインス染色機により織布を染色する。濃色の場合は、90℃の洗浄液(石鹸溶液)で20分行うソーピング処理を2度行う。無撚糸の緯糸22に絡んだ
水溶性の糸は無くなる。
8.乾燥工程
ソーピング処理した織布を乾燥機により生地として乾燥させる。
9.パディング工程
乾燥した二重ガーゼ織物の生地に、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、銀の混合物質からなる加工剤を塗布し、マングルによって2.3kgで加圧して絞り率69%に脱水する。ここで、T=(絞り率)=(絞り後の水分の重量)/(布の乾き重量)×100%
10.乾燥工程
脱水した二重ガーゼ織物をエアーブラスト乾燥機により乾燥させる。風量出力30%で140℃から150℃の加熱風を出力し、1分当たり6mで織布を移動させつつ乾燥させる。エアーブラスト乾燥機は最大排気量の定格風量が18.000m
3/hである。
11.洗い工程
ウインス洗浄機により常温水で10分間、−1分から+1分の許容範囲内で、織布を洗う。柔軟剤1g/lを添加する。濃色の場合は、FIX2g/lを添加し、60℃の温水で15分間の洗浄を2度行う。
12.乾燥工程
洗浄した二重ガーゼ織物をエアーブラスト乾燥機により乾燥させる。風量出力10%で100℃の加熱風を、−5℃から+5℃の許容範囲内で出力し、1分当たり5mで織布を移動させつつ乾燥させる。エアーブラスト乾燥機は最大排気量の定格風量が18.000m
3/hである。
13.蒸し工程
真空蒸し機により真空下で水蒸気を供給して織布を88℃に、−1℃から+1℃の許容範囲内で1時間保持し、熱処理を行う。その後、再度の真空処理によって乾燥と冷却を行う。
【0042】
この蒸し工程では、レーヨン、綿の無撚糸、綿のコンパクトサイロ糸の複数種類の糸で製織した二重ガーゼ織物に、熱と水分を同時に織布の全体に浸透させ、かつ真空乾燥を行う。この結果、異質な糸の組み合わせからなる織布にあっても、全体に万遍なく縮が生じた形態となる。このため、本発明に係る二重ガーゼ織物は、洗濯等の要因に対して形状の変形が起こり難く、洗濯前後における織布の寸法変化率は、−3%以内となる。そして、縫製後の衣類は、偏った縮に起因する型崩れが抑制されたものとなる。
(先染めを行うケース)
1.染色工程
経糸21、31、緯糸22、32をチーズ染色機で染色する。
2.荒巻工程
経糸21、31を荒巻機で荒巻ビームに巻き取る。
3.サイジング工程
経糸21、31を荒巻ビームから繰り出し、サイジング機で糊付けを行った後に、経糸ビーム41に巻き取る。
4.撚糸工程
無撚糸の緯糸22は、英式綿番手表示30番手の綿単糸で、撚り係数3.29のコンパクトサイロ糸と、英式綿番手表示80番手の単糸で、撚り係数3.29のコンパクトサイロ糸からなる
水溶性の糸とを合糸し、さらに逆方向に撚って双糸にしたものである。この時元の糸の撚りはなくなって無撚糸になっているが、
水溶性の糸が撚り係数3.29の撚りで絡んでいる。
5.緯糸巻き工程
ワインダー機により緯糸22、32を織機に使用する緯糸のボビンに巻き取る。
6.製織工程
先に述べた製織工程を行う。製織によって、二重ガーゼ織物の織布を得る。織布は、表織組織2は、竹原料由来のレーヨンからなるコンパクトサイロ糸である経糸21と、綿糸の無撚糸である緯糸22からなり、裏織組織は、竹原料由来のレーヨンからなるコンパクトサイロ糸である経糸31と、綿糸のコンパクトサイロ糸である緯糸32からなる。
7.糊抜き工程
ウインス洗浄機により織布を洗浄する。100℃の温水で20分間の洗浄を2度行う。
8.脱水工程
マングルによって4.0kgで加圧して絞り率80%に脱水する。ここで、T=(絞り率)=(絞り後の水分の重量)/(布の乾き重量)×100%
9.パディング工程
脱水した二重ガーゼ織物の生地に、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、銀の混合物質からなる加工剤を塗布し、マングルによって2.3kgで加圧して絞り率69%に脱水する。
10.乾燥工程
脱水した二重ガーゼ織物をエアーブラスト乾燥機により乾燥させる。風量出力30%で140℃から150℃の加熱風を出力し、1分当たり6mで織布を移動させつつ乾燥させる。
11.洗い工程
ウインス洗浄機により常温水で10分間、織布を洗う。柔軟剤1g/lを添加する。
12.乾燥工程
洗浄した二重ガーゼ織物をエアーブラスト乾燥機により乾燥させる。風量出力10%で100℃の加熱風を、−5℃から+5℃の許容範囲内で出力し、1分当たり5mで織布を移動させつつ乾燥させる。
13.蒸し工程
真空蒸し機により真空下で水蒸気を供給して織布を88℃に、−1℃から+1℃の許容範囲内で1時間保持し、熱処理を行う。その後、再度の真空処理によって乾燥と冷却を行う。
【0043】
この蒸し工程では、レーヨン、綿の無撚糸、綿のコンパクトサイロ糸の複数種類の糸で製織した二重ガーゼ織物に、熱と水分を同時に織布の全体に浸透させ、かつ真空乾燥を行う。この結果、異質な糸の組み合わせからなる織布にあっても、全体に万遍なく縮が生じた形態となる。このため、本発明に係る二重ガーゼ織物は、洗濯等の要因に対して形状の変形が起こり難く、洗濯前後における織布の寸法変化率は、−3%以内となる。そして、縫製後の衣類は、偏った縮に起因する型崩れが抑制されたものとなる。