特許第6656323号(P6656323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656323カチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用
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  • 特許6656323-カチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656323
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】カチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/26 20060101AFI20200220BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20200220BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20200220BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20200220BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20200220BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20200220BHJP
   D06M 15/09 20060101ALI20200220BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20200220BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   C11D3/26
   C11D3/37
   C11D1/22
   C11D1/29
   C11D17/08
   D06M13/463
   D06M15/09
   D06M13/256
   D06L1/12
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-148848(P2018-148848)
(22)【出願日】2018年8月7日
(65)【公開番号】特開2019-35074(P2019-35074A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年8月7日
(31)【優先権主張番号】17185933.3
(32)【優先日】2017年8月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】オードリー、クレール、フランソワーズ、ブニオール
(72)【発明者】
【氏名】ネア、ジャネット、リントゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ポル、ブティーク
(72)【発明者】
【氏名】カレル、ヨゼフ、マリア、デポート
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−537408(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03181673(EP,A1)
【文献】 国際公開第2004/022686(WO,A1)
【文献】 特開2015−078351(JP,A)
【文献】 特開2000−080564(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/032995(WO,A1)
【文献】 特表2009−532566(JP,A)
【文献】 特表2014−500362(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/075611(WO,A1)
【文献】 特表2017−521569(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/192973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/26
C11D 1/22
C11D 1/29
C11D 3/37
C11D 17/08
D06L 1/12
D06M 13/256
D06M 13/463
D06M 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の布地処理液におけるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用であって、
別の後続の第2の布地処理液中で布地柔軟化活性物質が布地と接触する際の、前記布地柔軟化活性物質の前記布地への付着を向上させるためのものであり、
前記布地を前記第1の布地処理液と最初に接触させたものであり、
前記布地柔軟化活性物質がジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリドであり、
前記カチオン性多糖ポリマーがカチオン性ヒドロキシエチルセルロースである、
使用。
【請求項2】
前記第1の布地処理液が、0.1ppm〜100ppmの前記カチオン性多糖ポリマーを含む、請求項に記載の使用。
【請求項3】
前記第1の布地処理液が、10ppm〜1000ppm前記非石鹸アニオン性界面活性剤を含み、記非石鹸アニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネートとエトキシル化アルキルサルフェートの比が、1:2〜20:1の混合物を含む、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記第1の布地処理液が、0ppm〜200ppm脂肪アルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記第2の布地処理液が、1ppm〜500ppmの前記布地柔軟化活性物質を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記第1の布地処理液が、5ppm〜250ppmの脂肪酸、中和された脂肪酸石鹸、又はこれらの混合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記第1の布地処理液、前記第2の布地処理液、又は両方が、1kg〜20kgの前記布地を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記布地が、綿を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記第1の布地処理液、前記第2の布地処理液、又は両方が、自動洗濯機中に存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記布地が、前記第1の布地処理液から前記第2の布地処理液に直接移され、記第1の布地処理液及び前記第2の布地処理液が、自動洗濯機の同じドラム内で別々に形成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記カチオン性多糖ポリマー及び前記アニオン性非石鹸界面活性剤が、前記第1の布地処理液を生成するために水中で300〜3000倍に希釈される洗濯洗剤組成物中に存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記布地柔軟化活性物質が、前記第2の布地処理液を生成するために水中で300〜3000倍に希釈される布地柔軟化組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性多糖及びアニオン性非石鹸界面活性剤の使用、並びに上記カチオン性多糖及びアニオン性非石鹸界面活性剤を含む洗濯洗剤組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物を洗浄する作業の間、消費者は、布地をきれいにすること、及び布地に布地柔軟化効果を付与することの両方を好む。このことは、洗濯洗剤を使用して主洗浄工程において布地を洗浄し、次いで、後続のすすぎ工程中に布地柔軟化活性物質を布地に添加することによって、達成される。
【0003】
しかしながら、柔軟化活性物質により得られる柔軟化効果を向上させることが望まれている。好ましくは、環境的な持続可能性の観点から、布地に対する全体的な柔軟化効果に影響を及ぼすことなく、使用される柔軟化活性物質の量を全体的に減少させることもまた望まれている。より具体的には、すすぎ液中に存在する柔軟化活性物質の一部は、洗浄作業中に布地に付着せず、すすぎ水と一緒に排出されると考えられる。このことは、布地に対する柔軟性性能を損なわせ、環境的な持続可能性に対しても不利な影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、すすぎサイクル中に柔軟化活性物質の布地への付着を向上させる洗浄プロセスがやはり必要とされている。
【0005】
驚くべきことに、第1の洗浄液中で布地を処理するために使用されるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせが、後続のすすぎ液における布地の処理中に布地柔軟化活性物質の布地への付着を向上させることが発見された。
【0006】
カチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤とのこの相乗的な利点により、所望の布地柔軟化効果を達成するために使用される布地柔軟化活性物質のレベルを低下させることが可能となった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、第1の布地処理液におけるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用であって、
別の後続の第2の布地処理液中で柔軟化活性物質が布地と接触する際の、柔軟化活性物質の上記布地への付着を向上させるためのものであり、
上記布地を上記第1の布地処理液と最初に接触させた、使用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による水溶性単位用量物品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
使用
本発明は、第1の布地処理液におけるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用であって、別の後続の第2の布地処理液中で柔軟化活性物質が布地と接触する際の、柔軟化活性物質の上記布地への付着を向上させるためのものであり、上記布地を上記第1の布地処理液と最初に接触させた、使用に関する。
【0010】
好ましくは、第1の布地処理液は、0.1ppm〜100ppm、好ましくは0.5ppm〜50ppm、より好ましくは1ppm〜20ppmのカチオン性多糖ポリマーを含む。
【0011】
好ましくは、第1の布地処理液は、10ppm〜1000ppm、好ましくは50ppm〜900ppm、より好ましくは100ppm〜800ppmの非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0012】
カチオン性多糖ポリマー及びアニオン性非石鹸界面活性剤を下記により詳細に記載する。
【0013】
当業者であれば、第1の布地処理液の作製方法が分かるであろう。理論に拘束されることを望むものではないが、第1の布地用洗浄液は水を含み、カチオン性多糖ポリマー及びアニオン性非石鹸界面活性剤はその水に含まれている。カチオン性多糖は、水に完全に溶解していてもよく、水に部分的に溶解していてもよく、水に分散していてもよく、又はこれらの混合物であってもよく、好ましくは完全に溶解している。アニオン性非石鹸界面活性剤は、水に完全に溶解していてもよく、水に部分的に溶解していてもよく、水に分散していてもよく、又はこれらの混合物であってもよく、好ましくは完全に溶解している。
【0014】
第1の布地処理液は、自動洗濯機のドラム内で自動的に生成することができ、又は手で行う洗浄作業において作製することができる。
【0015】
好ましくは、第1の布地処理液は、0ppm〜200ppm、好ましくは5ppm〜150ppm、より好ましくは10ppm〜100ppmの脂肪アルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤を含む。
【0016】
好ましくは、第1の布地処理液は、300ppm未満、好ましくは5ppm〜250ppm、より好ましくは10ppm〜200ppmの脂肪酸、中和された脂肪酸石鹸、又はこれらの混合物を含む。
【0017】
第1の布地処理液は、1L〜64L、好ましくは2L〜32L、より好ましくは3L〜20Lの水を含み得る。
【0018】
布地は、上記第1の布地処理液と最初に接触する。自動洗濯機のドラム内で作製する場合、慣例的には、洗浄する布地をドラムに加え、洗濯機の扉を閉じる。カチオン性多糖ポリマー及びアニオン性非石鹸界面活性剤は、布地とともにドラムに加えることができ、又は洗濯機の引き出し式投入口(dispensing drawer)に加えてもよい。
【0019】
洗濯する布地は、任意の好適な布地であってよい。布地は、本発明者らによれば好ましくは、天然又は合成繊維の網状組織を含む織物又は布を意味する。当業者であれば、好適な布地を認識するであろう。布地は、綿、ポリエステル、綿/ポリエステル混紡、又はこれらの混合物、好ましくは綿から選択され得る。布地は、除去すべき染み、汚れ、又はこれらの混合物を含み得る。当業者であれば、好適な除去すべき染み又は汚れを認識するであろう。
【0020】
第1の布地処理液におけるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの使用は、別の後続の第2の布地処理液中で柔軟化活性物質が布地と接触する際の、柔軟化活性物質の上記布地への付着を向上させるためのものである。
【0021】
第2の布地処理液は、好ましくは、1ppm〜500ppm、好ましくは10ppm〜400ppm、最も好ましくは20ppm〜300ppmの柔軟化活性物質を含む。
【0022】
第2の布地処理液は、1L〜64L、好ましくは2L〜32L、より好ましくは3L〜20Lの水を含み得る。
【0023】
第1及び第2の布地処理液は、好ましくは0g/L〜0.68g/L(0gpg〜40gpg)の間の様々な任意の硬度の水を含み得る。より低い硬度の水は軟水と呼ばれ、より高い硬度の水は硬水と呼ばれる。
【0024】
当業者であれば、第2の布地処理液の作製方法が分かるであろう。理論に拘束されることを望むものではないが、第2の布地洗浄液は、水及びその水に含まれる柔軟化活性物質を含む。柔軟化活性物質は、水に完全に溶解していてもよく、水に部分的に溶解していてもよく、水に分散していてもよく、又はこれらの混合物であってもよい。
【0025】
第2の布地処理液は、自動洗濯機のドラム内で自動的に生成することができ、又は手で行う洗浄作業において作製することができる。
【0026】
好ましくは、第1の布地処理液、第2の布地処理液、又は両方は、1kg〜20kg、好ましくは3kg〜15kg、最も好ましくは5kg〜10kgの布地を含む。
【0027】
好ましくは、第1の布地処理液、第2の布地処理液、又は両方は、自動洗濯機中に存在する。
【0028】
好ましくは、第1の布地処理液は、5℃〜90℃、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは12℃〜45℃、最も好ましくは15℃〜40℃の温度である。好ましくは、第1の布地処理工程は、完了するのに5分〜50分、より好ましくは5分〜40分、より好ましくは5分〜30分、更により好ましくは5分〜20分、最も好ましくは6分〜18分かかる。
【0029】
好ましくは、第2の布地処理液は、5℃〜30℃、好ましくは5℃〜25℃、より好ましくは5℃〜20℃、最も好ましくは5℃〜15℃の温度である。好ましくは、第2の布地処理工程は、完了するのに1分〜30分、好ましくは2分〜25分、より好ましくは3分〜20分、最も好ましくは5分〜15分かかる。
【0030】
好ましくは、布地は、第1の布地処理液から第2の布地処理液に直接移され、好ましくは第1の布地処理液及び第2の布地処理液は、自動洗濯機の同じドラム内で別々に形成される。
【0031】
理論に拘束されることを望むものではないが、布地を移すことは、第1の処理液から布地を取り出すこと、又は第1の処理液を布地から排出することを伴い得る。自動洗濯機の作業では、第1の処理液を布地から排出することが好ましい。疑義を避けるために、布地処理液の一部は、布地と第1の処理液とを分離した後に布地にしみ込んだままであってもよく、すなわち、布地は濡れたままであってもよい。本発明に関して、布地が第1の処理液の大部分から分離されたら、又は第1の処理液の大部分が排出されたら、いくらかの残留している第1の処理液が布地にしみ込んだままである可能性があっても、布地と第1の布地処理液は互いに分離されているとみなされる。
【0032】
自動洗濯機のドラム内で作製する場合、慣例的には、第1の処理液の排出後、布地は洗濯機のドラム内に残っている。次に、洗濯機は、布地を含む第2の処理液を自動的に生成する。好ましくは、第2の処理液を生成する前に、洗濯機のドラムから布地は取り出さない。好ましくは、第1の処理液が排出されたら、洗濯機は、第1の処理液の除去から30分以内、好ましくは20分以内、より好ましくは10分以内、最も好ましくは5分以内に第2の処理液を生成する。
【0033】
好ましくは、カチオン性多糖ポリマー及びアニオン性非石鹸界面活性剤は、第1の布地処理液を生成するために水中で300〜3000倍に希釈される洗濯洗剤組成物中に存在する。
【0034】
洗濯洗剤組成物は、好ましくは、他の一般的な洗濯洗剤成分を含む。洗濯洗剤組成物は任意の好適な形態であってよい。洗濯洗剤組成物は、粉末、液体、又はこれらの混合物であってもよい。
【0035】
固形洗濯洗剤組成物は、固体粒子を含んでもよく、又は単一の均質な固体であってもよい。好ましくは、固形洗濯洗剤組成物は粒子を含む。これは、固形洗濯洗剤組成物が、この固体が単一の均質な固体であることとは対称的に、個々の固体粒子を含むことを意味する。粒子は、自由流動性であってもよく、又は圧縮されていてもよく、好ましくは自由流動性である。
【0036】
「液体洗濯洗剤組成物」という用語は、布地を濡らし処理することが可能な液体を含む任意の洗濯洗剤組成物を指し、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられるが、これらに限定されない。液体組成物は、固体又は気体を適宜分割された形態で含み得るが、液体組成物としては、粉末、タブレット又は顆粒などの、全体的に流動性ではない形態は除外する。
【0037】
洗濯洗剤組成物は、水溶性単位用量物品中に存在していてもよく、水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムを含む。
【0038】
水溶性単位用量物品は、水溶性フィルム及び洗濯洗剤組成物を含む。洗濯洗剤組成物及び水溶性フィルムを、以下により詳細に記載する。
【0039】
水溶性単位用量物品は、単位用量物品が水溶性フィルムに囲まれた少なくとも1つの内部区画を含むような形状の水溶性フィルムを含み、洗濯洗剤組成物は上記区画内に存在する。単位用量物品は、内部区画を画定するように互いにシールされた第1の水溶性フィルム及び第2の水溶性フィルムを含み得る。水溶性単位用量物品は、保管中に洗濯洗剤組成物が区画から漏出しないように構成されている。しかし、水溶性単位用量物品を水に添加すると、水溶性フィルムが溶解して、内部区画の内容物が洗浄液中に放出される。
【0040】
区画は、洗剤組成物を保持する、単位用量物品内の密閉内部空間を意味すると理解されるべきである。製造中、第1の水溶性フィルムは、洗剤組成物が添加される開放区画を含む形状であってもよい。次に、この区画の開口部を閉じる向きで、第1のフィルム上に第2のフィルムをかぶせる。次に、封止領域に沿って第1のフィルムと第2のフィルムを1つにして封止する。
【0041】
単位用量物品は、2つ以上の区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を含んでもよい。区画は、重ね合わせる方向に、すなわち、一方が他方の上に位置するように配置してもよい。このような方向で、単位用量物品は、3つの上部、中間及び下部フィルムを含む。あるいは、区画は、横並びの方向に、すなわち、一方が他方に隣接する方向に位置してもよい。更に、区画は、「タイヤとリム」の配置の方向としてもよく、すなわち、第1の区画が第2の区画に隣接して位置するが、第1の区画が第2の区画を少なくとも部分的に取り囲み、しかし、第2の区画を完全には囲まない。あるいは、1つの区画が別の区画内に完全に囲まれてもよい。
【0042】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画のうちの1つが他の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画のうちの2つが第3の区画より小さくてもよく、好ましくは小さい方の区画が大きい方の区画の上に重ね合わせられていてよい。重ね合わせた区画は、好ましくは横並びに向く。
【0043】
多区画の向きでは、本発明による洗濯洗剤組成物は、区画の少なくとも1つに含まれ得る。例えば組成物は1つの区画内のみに含まれてもよく、又は2つの区画内、又は更には3つの区画内に含まれていてもよい。
【0044】
各区画は、同一の組成物を含んでも、異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物は全て同じ形態であってもよく、又はこれらは異なる形態であってもよい。
【0045】
水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの内部区画を含み得、液体洗濯洗剤組成物は、区画の少なくとも1つに含まれ、好ましくは単位用量物品は少なくとも3つの区画を含み、洗剤組成物は区画の少なくとも1つに含まれる。
【0046】
図1は、本発明による水溶性単位用量物品(1)を開示している。水溶性単位用量物品(1)は、封止領域(4)で合わせてシールされている第1の水溶性フィルム(2)及び第2の水溶性フィルム(3)を含む。洗濯洗剤組成物(5)は、水溶性可溶性単位用量物品(1)中に含まれる。
【0047】
本発明のフィルムは、水溶性又は水分散性である。好ましくは、水溶性フィルムの厚さは、20μm〜150μm、好ましくは35μm〜125μm、更により好ましくは50μm〜110μm、最も好ましくは約76μmである。
【0048】
好ましくは、フィルムの水溶性は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%(最大孔径が20μmのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定)である。
【0049】
予め秤量した3Lのビーカーに、5グラム±0.1グラムのフィルム材料を添加し、2L±5mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気撹拌器Labline model No.1250又は同等物、及び5cmの磁気撹拌子で、30℃で30分間、激しく撹拌する。その後、混合物を、上記で定義した孔径(最大20μm)の折り畳んだ定性分析用焼結ガラス濾過器により濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次に、溶解度又は分散性の百分率を計算することができる。
【0050】
好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。フィルム材料は、当該技術分野において公知の、例えば、ポリマー材料の注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。
【0051】
パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有してもよく、好ましくは、約1000〜1,000,000、より好ましくは、約10,000〜300,000、更により好ましくは、約20,000〜150,000である。
【0052】
ポリマー及び/又はコポリマーの混合物、特にポリビニルアルコールポリマー及び/又はコポリマーの混合物、特に、ポリビニルアルコールホモポリマー、並びに/又は、好ましくはスルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特にカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択されるアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーの混合物もまた、パウチ材料として使用することができる。水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含むことが最も好ましい。
【0053】
好ましいフィルムは、冷水、すなわち、加熱されていない蒸留水中で良好な溶解を呈するものである。好ましくは、そのようなフィルムは、24℃の温度にて、更により好ましくは10℃にて良好な溶解を呈する。良好な溶解とは、上述の最大孔径が20μmのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法により測定したフィルムの呈する水溶性が、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%であることを意味する。
【0054】
好ましいフィルムには、Monosolによって商品参照番号M8630、M8900、M8779、M8310として供給されているものがある。
【0055】
フィルムは、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。フィルムは、プリントされた領域を含んでもよい。
【0056】
プリント領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。
【0057】
フィルムは、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、サッカロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してよい。好適な濃度としては、1〜5000ppm、又は更には100〜2500ppm、又は更には250〜2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
柔軟化活性物質は、第2の布地処理液を生成するために水中で300〜3000倍に希釈される布地柔軟化組成物中に存在し得る。布地柔軟化組成物は、他の一般的な布地柔軟化組成物成分を含んでもよい。
【0059】
柔軟化組成物は、任意の好適な形態であってよい。柔軟化組成物は、粉末、液体、又はこれらの混合物であってもよい。
【0060】
柔軟化組成物は、固体粒子を含んでもよく、又は単一の均質な固体であってもよい。好ましくは、固形柔軟化組成物は、粒子を含む。これは、固形柔軟化組成物が、この固体が単一の均質な固体であることとは対称的に、個々の固体粒子を含むことを意味する。粒子は、自由流動性であってもよく、又は圧縮されていてもよく、好ましくは自由流動性である。
【0061】
「液体洗濯柔軟化組成物」という用語は、布地を濡らし処理することが可能な液体を含む任意の洗濯柔軟化組成物を指し、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられるが、これらに限定されない。液体組成物は、固体又は気体を適宜分割された形態で含み得るが、液体組成物としては、粉末、タブレット又は顆粒などの、全体的に流動性ではない形態は除外する。
【0062】
アニオン性非石鹸界面活性剤
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物、より好ましくはこれらの混合物を含み、直鎖アルキルベンゼンスルホネートとアルコキシル化アルキルサルフェートの重量比は、好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホネートとエトキシル化アルキルサルフェートの重量比は、1:2〜20:1、好ましくは1.1:1〜15:1、より好ましくは1.2:1〜10:1、更により好ましくは1.3:1〜5:1、最も好ましくは1.4:1〜3:1である。
【0063】
直鎖アルキルベンゼンスルホネートとエトキシルル化アルキルサルフェートの重量比は、1:10〜20:1、好ましくは1:7〜3:1、より好ましくは1:5〜1.5:1であり得る。
【0064】
次に、洗濯洗剤組成物中に配合される場合、洗濯洗剤組成物は、50%以下、好ましくは5%〜50%、より好ましくは7.5%〜45%、更により好ましくは10%〜40%を含み得る。洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の12重量%〜37重量%、好ましくは15重量%〜30重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含み得る。
【0065】
カチオン性多糖ポリマー
好ましくは、カチオン性多糖ポリマーは、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン及び疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン及び疎水変性ヒドロキシプロピルセルロース、又はこれらの混合物、より好ましくはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン及び疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、又はこれらの混合物から選択される。
【0066】
好ましくは、カチオン性多糖は粒子形態であり、好ましくは、粒子状カチオン性多糖は、平均D90径が300μm未満、より好ましくは200μm未満、更により好ましくは150μm未満である。理論に拘束されることを望むものではないが、水溶性単位用量物品中に配合される場合、粒子形態のカチオン性多糖の形成は、カチオン性多糖と水溶性フィルムとの相互作用を最小化するといういっそうの利点を有する。このような相互作用により、フィルム及びカチオン性多糖の両方の溶解を遅らせることができる。
【0067】
洗濯洗剤組成物中に配合される場合、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0.05重量%〜10%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.2重量%〜3重量%、最も好ましくは0.25重量%〜1重量%のカチオン性多糖ポリマーを含み得る。
【0068】
洗濯洗剤組成物は、非イオン性界面活性剤を含んでもよく、好ましくは非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールアルコキシレート、オキソ合成脂肪アルコールアルコキシレート、ゲルベ(Guerbet)アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の1重量%〜25重量%、好ましくは1.5重量%〜20重量%、最も好ましくは2重量%〜15重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0069】
非石鹸アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の重量比は、1:1〜20:1、好ましくは1.3:1〜15:1、より好ましくは1.5:1〜10:1であり得る。
【0070】
洗濯洗剤組成物は、液体洗剤組成物の1重量%〜25重量%、好ましくは1.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜25重量%、好ましくは1.5重量%〜20重量%、最も好ましくは2重量%〜15重量%の石鹸を含み得る。理論に拘束されることを望むものではないが、脂肪酸及び中和された脂肪酸石鹸のレベルは注意深く調節することが好ましい。水の硬度を下げる(neutralize)ためには、いくつかの脂肪酸又は中和された脂肪酸石鹸が好ましいが、脂肪酸、脂肪酸石鹸、又はこれらの混合物が多すぎると、布地上に塩形成を生じさせ、すすぎ工程で使用される前にカチオン性多糖を不活性化する可能性がある。
【0071】
洗濯洗剤組成物は、洗浄又はケアポリマーを更に含んでもよく、好ましくは洗浄又はケアポリマーは、エトキシル化ポリエチレンイミン、アルコキシル化ポリアルキルフェノール、両親媒性グラフトコポリマー、ポリエステルテレフタレート、カルボキシメチルセルロース、又はこれらの混合物から選択される。
【0072】
洗濯洗剤は、更なる補助成分を含んでもよい。補助的な洗濯洗剤成分は、漂白剤、漂白触媒、染料、色相剤、界面活性剤、溶媒、移染防止剤、キレート剤、酵素、香料、カプセル化香料、香料送達剤、抑泡剤、増白剤、ポリカルボキシレート、構造剤、酸化防止剤、付着助剤、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0073】
布地柔軟化活性物質
好ましくは、上記柔軟化活性物質は、第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖、脂肪酸、柔軟化油、ポリマーラテックス、柔軟化クレイ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは布地柔軟化活性物質は、第四級アンモニウム化合物、及びこれらの混合物、より好ましくはエステルクァット(quat)からなる群から選択され、最も好ましくは布地柔軟化活性物質は、ジエステルクァット、より好ましくはジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド(DEEDMAC)からなる群から選択される。
【0074】
布地柔軟化組成物中に配合される場合、好ましくは柔軟化組成物は、柔軟化組成物の2重量%〜25重量%、好ましくは4重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%、最も好ましくは5重量%〜13重量%の柔軟化活性物質を含む。
【0075】
洗濯柔軟化組成物は、好ましくは、処理された布地に香りを送達することを目的として、香料又は香料カプセル技術を更に含む。洗濯柔軟化組成物は、当業者が典型的に認識するような、更なる成分を含んでもよい。
【0076】
第1の布地処理液におけるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせの更なる使用は、第2の後続の布地処理液中での柔軟剤活性物質の使用をより少なくすることを可能にするためのものである。
【0077】
第1の布地処理液におけるカチオン性多糖ポリマーとアニオン性非石鹸界面活性剤との組み合わせを使用して、別の後続の第2の布地処理液中で活性物質が布地と接触する際の、香料材料又は香料カプセルなどの他の活性物質の上記布地への付着を向上させることができる。
【0078】
作製方法
当業者であれば、当技術分野において既知の方法を使用して、本発明の水溶性単位用量物品、洗濯洗剤組成物、布地柔軟化組成物、柔軟化活性物質、アニオン性非石鹸界面活性剤、及びカチオン性多糖ポリマーを作製する方法を認識するであろう。
【0079】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【実施例】
【0080】
主洗浄において本発明によるカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(CatHEC)が存在しないことに対して存在することの影響を、後続のすすぎサイクル中に添加されたジエチルエステルジメチルアンモニウム−クロリド(DEEDMAC)ジエステルクァット柔軟化活性物質の付着効率、したがって柔軟性効果に関して評価した。
【0081】
【表1】
EO鎖1つ当たり20の平均エトキシル化度、及び約600のMWを有するポリエチレンイミン骨格を有するエトキシル化ポリエチレンイミン
**ポリエチレングリコール骨格(Pluriol E6000)及び疎水性酢酸ビニル側鎖を有し、40重量%のポリエチレングリコール骨格ポリマーのポリマー系及び60重量%のグラフト化された酢酸ビニル側鎖のポリマー系を含む、ポリエチレングリコールグラフトポリマー。
【0082】
【表2】
【0083】
試験方法:
洗浄プロセス:
10枚の100%綿テリータオル(サイズ:30cm×30cm)を、10枚の50%綿/50%ポリエステルニット布(サイズ:30cm×30cm−K7422)及び80%綿/20%ポリエステルバラスト負荷(洗浄における布地の総重量:2.7kg)と一緒に、25.7gの上記表にまとめた配合物を用いて、縦型Kenmore 600L洗濯機におい強洗浄(Heavy Duty)サイクル(32℃、洗浄時間:12分、64リットルの0.1g/L(8gpg)水)で洗浄した。その結果として、布地を、25.5gの上記表にまとめた布地増強剤組成物の存在下(比較例C−実施例A)/非存在下(比較例A及びB)で3分間すすぎ(20℃、すすぎ時間:3分、64リットルの0.1g/L(8gpg)水)、回転ドラム式乾燥機で乾燥させた。
【0084】
布地同士の摩擦測定
100%綿テリータオルトレーサーを、一定の温度(23℃)及び湿度(55%の相対湿度)の室内で、少なくとも5時間平衡化した。2.5kgロードセル及びクロスヘッド高さ25mmでThwing−Albert Friction Peel Testerを用いて、同じ室内で、布地同士の動摩擦係数を測定した。1枚目の布地を機器の試料台に置き、2枚目の同じ布地(11.43cm×6.35cm)を、ロードセルに取り付けられた200gのクランプ機構付きスレッドに取り付け、1枚目の布地の表面上に配置した。Friction Peel Testerは、2枚目の布地(クランプ機構付きスレッドに取り付けた)を、1枚目の布地(試料台の上)の上を、20cm/minで20秒間移動させるようにプログラムする。互いの表面上を布地が移動するとき、ソフトウェアは、クランプ機構付きスレッドに取り付けた布地が受ける摩擦力を記録する。テリータオルトレーサーは、布目に逆らって測定されるように機器に配置する。
【0085】
測定の直前の10秒間(動的区間(kinetic section))の平均力を、測定中に加えられる垂直力で割ることによって、動摩擦係数(「KCoF」と称する)を導き出す。この動摩擦係数を柔軟性の尺度として用いる。低い動摩擦係数は、摩擦が少なく、そのため柔軟性がより優れていることを意味する。10枚のテリータオルの平均摩擦結果を、下記に報告している。
【0086】
ジエステルクァット測定:
洗浄試験後に布地から抽出したDEEDMACジエステルクァット材料の濃度を、多重反応モニタリング(MRM)を用いて、親水性相互作用液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(HILIC/MS/MS)分析によって分析した。
【0087】
DEEDMACジエステルクァット原材料を使用して、検量線を作成するための実用標準物質を調製した。この曲線は、13.2〜1644ng/mLの実用標準物質濃度範囲を含み、これは布地に付着した活性ジエステルクァットでは12.8〜1596μg/g(ppm)に相当した。重水素を含む標識された内部標準物質を使用して、マトリックス効果を補正した。
【0088】
付着したDEEDMACジエステルクァットの量は、抽出されたDEEDMACジエステルクァット材料の測定値と作成された検量線を相互比較することによって定義した。10枚の綿テリータオルの平均結果を報告した。
【0089】
【表3】
【0090】
試験結果:
下記表は、布地上に付着したジエステルクァット(DEEDMAC)柔軟化活性物質の実際の量、及び結果として得られる、布地で測定された摩擦係数を示す。本発明によるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースを主洗浄製品に配合した場合、すすぎ中のジエステルクァット柔軟化活性物質(DEEDMAC)の付着が強化され、したがって、柔軟化性能が向上する(摩擦係数KCoFの減少)ことが、明らかに分かる。
【0091】
【表4】
図1