(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至3のいずれかに記載の巻き上げ装置を使用した巻き上げ生地整形装置であって、前記巻き上げ装置の上流側に、前記搬送装置に対し相対的に昇降可能に設けられた延展ローラを備えることを特徴とする巻き上げ生地整形装置。
請求項4に記載の巻き上げ生地整形装置であって、前記生地片が前記転圧板に当接した後に、前記延展ローラを下降させ前記生地片を延展するよう制御する制御装置を備えたことを特徴とする巻き上げ生地整形装置。
請求項4に記載の巻き上げ生地整形装置であって、前記搬送装置は、第一搬送装置と、前記第一搬送装置の下流側に配置される第二搬送装置を備え、前記巻き上げ装置は、前記第二搬送装置上に備えられ、前記延展ローラは、前記第一搬送装置上に備えられていることを特徴とする巻き上げ生地整形装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一の実施形態に係る生地片延展装置1について、
図1乃至
図6を用いて説明する。生地片延展装置1は、生地片3を搬送する第一搬送装置5、該搬送装置5に連設される第二搬送装置7、及び延展ローラ9を備えている。さらに、各装置を制御する制御装置10を備えている。
【0021】
生地片3は、幅広の帯状の生地シート2から略三角形状に切り出されクロワッサン生地として説明する。ここでは、説明の都合上、略三角形の頂部を3A、左右の斜辺を3B及び3C、そして、底辺を3Dと称す。なお、略三角形生地とは、底辺3Dの長さより頂部3Aの長さが短い実質台形の生地片を含む概念である。生地片延展装置1の上流側には切断装置25がベルトコンベア26の上方に設けられている。
図3に示す切断装置25は、斜辺3B及び3Cを切り出すブレード27を円筒部28の外周に備えたロータリブレード29と、その下流側に近接して配置され、頂部3A及び底辺3Dを切り出す丸刃のサーキュラカッタ31を備えている。
【0022】
ロータリブレード29の回転軸30の両端は、ベルトコンベア26のコンベアフレーム26F上に回転自在に支持されている。また、ロータリブレード29の両側の回転軸30には、丸形のホイール33が固定されている。該ホイール33は、コンベアベルト26Bの搬送面と接触し、その摩擦により回転することによりロータリブレード29の周速がコンベアベルト26Bの搬送速度と同速となるよう駆動される。また、サーキュラカッタ31は、回転軸32に軸止され、該回転軸32の両端部をコンベアフレーム26F上に回転自在に支持されている。サーキュラカッタ31は、回転軸32の両端に固定された丸形のホイール35がコンベアベルト26Bの搬送面と接触し、その摩擦により従動的に回転するものである。
【0023】
この実施例では、切断装置25は、4枚のサーキュラカッタ31を等間隔に備え、生地シート2から幅方向に3列の生地片3を切断する構成である。両端のサーキュラカッタ31で切り出された生地シート2の両端部2Aは、ガイド部材4に案内されベルトコンベア26の両側へ排出される。
【0024】
なお、
図3には図示されていないが、切断装置25にロータリブレード29、サーキュラカッタ31とは別に筋目ローラを備えるようにしても良い。この筋目ローラは、コンベアベルト26Bの搬送面と筋目ローラの間で生地片3を挟圧して、生地片3の頂部3A及び底辺3Dの近傍に、頂部3A及び底辺3Dに並行な凹状の溝(凹部とも呼ぶ)を形成するものである。後述するように、底辺3D近傍に設けられた凹部には、生地片3を巻き上げる前に内材が載置されるようになっている。
【0025】
生地片3は、上記切断装置25にて略三角形状に切り出される。生地片3は、頂部3A及び底辺3Dがサーキュラカッタ31の左右の側面と接しながら切断される際に上流側に押し戻されるため、生地片3が全体として上流側に曲がって成形される。あるいは、生地片3は、生地シート2を成形する際に生地内に生じる応力に起因して切り出された後に曲がりが生じる。その後、生地片3は、公知の旋回装置により、生地片3の底辺3Dが下流側に配置されるようベルトコンベア26上で旋回され、第一搬送装置5に搬送される。なお、以下の説明においては、生地片3を搬送方向Rに1列で搬送するものとして説明する。
【0026】
第一搬送装置5は、ベルトコンベアである。第一搬送装置5の先端部5Fは、支軸11に揺動自在に支持されたコンベア先端プレート13とその先端部に回転自在に軸着された先端ローラ15にコンベアベルト17が掛け回されて構成されている。また、コンベア先端プレート13は、第一搬送装置5内に取り付けられた直動式のアクチュエータ19にブラケット21を介して連結されている。したがって、先端部5Fは、第一搬送装置5の内部に取り付けられた直動式のアクチュエータ19の往復動により支軸11を中心として上下に揺動可能に備えられている。さらに、アクチュエータ19は、上下動位置が制御可能である。
【0027】
第一搬送装置5の上方には、搬送される生地片3を検出する光電式のセンサ23が取り付けられている。センサ23が生地片3を検出すると、センサ23から検出信号が制御装置10に送信され、この検出信号に基づき制御装置10の演算処理装置37が生地片3の搬送位置を算出し、その位置情報に基づきアクチュエータ19及び後述するアクチュエータ49を制御する。
【0028】
第二搬送装置7は、第一搬送装置5の下流側に近接して配置されるベルトコンベアである。第二搬送装置7の後端部7Bは、支軸41に揺動自在に支持されたコンベア後端プレート43とその後端部に回転自在に軸着された後端ローラ45にコンベアベルト47が掛け回されて構成されている。また、コンベア後端プレート43は、第二搬送装置7内に取り付けられた直動式のアクチュエータ49にブラケット51を介して連結されている。したがって、後端部7Bは、直動式のアクチュエータ49の往復動により支軸41を中心として上下に揺動可能に備えられている。さらに、アクチュエータ49は、上下動位置が制御可能である。
【0029】
延展ローラ9は、第二搬送装置7の後端部7Bの上方に第二搬送装置7の搬送面(コンベアベルト47の上面)と所要の間隔を開けて設けられている。延展ローラ9は、回転軸9Aを第二搬送装置7の幅方向(第二搬送装置7の搬送方向Rに直交する水平方向)に配置し、回転軸9Aの一方の端部をタイミングベルトなどの動力伝達機構57を介して制御モータ59に連動連結されている。回転軸9Aの他方の端部は、コンベアフレーム8の上面に回転自在に支持されている。また、延展ローラ9は、周方向に沿った複数の突条部9Bが同一形状で軸方向に等間隔に形成されている。ここでは、突条部9Bは水平断面において台形としている。また、延展ローラ9の外形部分を外周9Sとし、突条部9Bの間の谷部の底部を9BSとする。
【0030】
延展ローラ9の周速は、第二搬送装置7の搬送速度とほぼ同一、あるいは、少し速くに制御されている。また、延展ローラ9の周速及び第二搬送装置7の搬送速度は、第一搬送装置5の搬送速度より速く駆動するよう制御されている。
【0031】
生地片延展装置1の下流側には、生地片延展装置1にて延展された生地片103を巻き上げる巻き上げ装置61が設けられている。巻き上げ装置61は、すだれ状のカールネット63を備えている。カールネット63は、第二搬送装置7のコンベアフレーム8の上面に立設されたスタンド67に支持されたスパンシャフト65に着脱可能に掛止されている。
【0032】
次に、第一の実施の形態に係る生地片延展装置1の動作について説明する。生地片3は、第一搬送装置5により搬送され、センサ23にて検出される。センサ23は、その検出信号を制御装置10に送信する。制御装置10は、その検出信号に基づきアクチュエータ19及び49を駆動させ、先端部5F及び後端部7Bを下降させる(
図4(a)参照)。生地片3は、延展ローラ9に接することなく搬送され、生地片3の底辺3Dが延展ローラ9の中心(回転軸9Aの回転中心と同義)の下方を通過した後、先端部5F及び後端部7Bが上昇して、生地片3が延展ローラ9とコンベアベルト47の搬送面との間で挟圧され、その全長に渡って延展される(
図4(b)参照)。
【0033】
次に、延展ローラ9の作用について説明する。従来の突条部を備えない円筒状の延展ローラで曲がった形状に形成された生地片3を延展する場合には、その曲がった形状を全体的に拡げるように延展されるため、生地片3の曲がりを矯正することはできない。しかし、突条部9Bを備えた延展ローラ9を用いることにより、生地片3の曲がりが矯正され、略二等辺三角形状に形成することができる(
図5参照)。具体的には、以下に説明する。
【0034】
延展ローラ9は、周方向に沿った複数の突条部9Bが同一形状で軸方向に等間隔に形成されている。生地片3が延展ローラ9とコンベアベルト17の搬送面との間で挟圧される際には、生地片3が突条部9Bに押圧される。そして、生地片3は、延展ローラ9の突条部9Bにおいて延展されるとともに底部9BSにおいても延展される。
図5(b)に示すように、延展前の生地の初期厚さをT1、延展ローラ9の底部9BSとコンベアベルト47との間隔をT2、延展ローラ9の外周9Sとコンベアベルト47との間隔をT3すると、T1>T2>T3となり、生地片3は、初期厚さT1からそれより薄く延展される。生地片3の上面には、間隔T2から間隔T3に応じた山谷が形成されるが全体としては均一に、つまり山の高さがほぼ揃った生地片103に成形される。
【0035】
生地片3の生地は、突条部9Bにて幅方向への移動が抑制されるとともに、延展ローラ9の上流側に盛上るように滞留することとなる。この滞留した生地3Hは、生地片3の搬送にともない生地片3の内部で頂部3A側に押し戻される態様となる。そして、生地片3は、各部位の延展された長さに応じて変形し、延展された生地片103は略二等辺三角形状に近づくように成形される。
【0036】
生地片3が略二等辺三角形状に変形する機構について
図6を用いて概略的に説明する。ここで、生地片3の底辺3Dの中心を通り搬送方向Rに沿った仮想線を中心線CLとする。
図6(a)に示す生地片3は、生地片3の中心線CLに対し、頂部3Aが搬送右側に曲がって片寄った態様となっている。この中心線CLに対し、幅方向に等間隔の位置での生地長さを図示する。中心線上の生地片3に対応する生地長さをC1とし、中心線CLから左側に向かって順に生地長さL1、L2、L3、中心線CLから右側に向かって順に生地長さR1、R2、R3とする。また、中心線CLより左側にある生地の体積をVL、その右側にある体積をVRとする。
【0037】
生地片3が底辺3D側から突条部9Bを備えた延展ローラ9にて延展される際、生地片3は、延展ローラ9の上流側に生地片3の幅方向に連なって滞留生地3Hが形成され、頂部3A側に押し戻される。このとき、中心線CLの右側の生地片3の体積VRは、その左側の体積VLより大きい為、滞留生地3Hは、中心線CLの左側部分より右側部分にある量が多く、該右側部分が該左側部分より多くの生地の押し戻しをする。
【0038】
この押し戻しを上述した生地長さで説明する。延展する前の生地片3の左右の生地長さL1とR1、L2とR2、L3とR3とを比較すると、それぞれが中心線CLの右側に位置する生地長さが長く示されている(
図6(a)参照)。前述のとおり、延展ローラ9は突条部9Bを備えているので延展している生地片3の生地は幅方向に拡がることができない。したがって、各部位の生地は、各部位に滞留する滞留生地3Hの量に応じてその長さを延ばすこととなる。
【0039】
特に、パン生地などの粘弾性物質の場合には、各部の滞留生地3Hが互いに押し合いながら頂部3A側に移動する。そして、滞留生地3Hの量が多い方から少ない方に生地が移動するため、各部位の生地は、搬送方向に沿って比例的に長さを延ばすものではない。つまり、延展前の生地片3で示した生地長さC1、L1乃至L3、R1乃至R3は、延展によりその長さを延ばすとともに、
図6(b)で示すように、頂部3Aが中心線CLに近づくように変形し、曲がった状態の生地片3は、略二等辺三角形に近似した形状で全体として均一な厚さの生地片103に延展される。
【0040】
上記説明から理解できるように、延展ローラ9は、生地片3の中心線CLに対し左右の生地量が不均一に形成された生地片3を、その生地量が左右で均等に近づくように整える効果がある。また、延展ローラ9と第二搬送装置7との間隔を調整することにより前記滞留生地3Hの量が変動し、結果として、延展される生地片103の全長(搬送方向に沿った長さ)を調整することができる。そして、巻き上げ装置61にて生地片103を巻き上げて巻き上げ生地203を成形する。生地片103の頂部3Aが中心線CL上に位置されることにより、巻き上げ生地203の長手方向の中心に頂部3Aを巻き上げることが可能となる。つまり、生地片延展装置1および巻き上げ装置61を備えることにより全体として巻き上げ生地整形装置を構成するものである。なお、上記説明においては、延展ローラ9は、第二搬送装置7の後端部7Bの上方に配置されるものとして説明してきたが、これに限定されるものではなく、延展ローラ9は、第一搬送装置5の上方に配置することも可能である。
【0041】
次に、本発明の第二の実施形態に係る生地片延展装置101について、
図7乃至
図9を用いて説明する。なお、生地片延展装置1と同じ機能を有する構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。生地片延展装置101は、生地片延展装置1において、上流側延展ローラ73を追加した構成である。
【0042】
生地片延展装置101は、上流側生地片延展装置71と下流側生地片延展装置91を備えている。上流側生地片延展装置71は、第一搬送装置5と、第一搬送装置5の先端部5Fの上方に上流側延展ローラ73を備えている。上流側延展ローラ73は、第一搬送装置5の搬送面(コンベアベルト17の上面)と所要の間隔を開けて設けられている。上流側延展ローラ73は、回転軸74を第一搬送装置5の幅方向に配置し、回転軸74の一方の端部をタイミングベルトなどの動力伝達機構75を介して制御モータ77に連動連結されている。回転軸74の他方の端部は、フレーム6の上面に回転自在に支持されている。
【0043】
上流側延展ローラ73は、周方向に沿った複数の突条部73Bが同一形状で軸方向に等間隔に形成されている。この突条部73Bの形状は任意に形成可能である。上流側延展ローラ73の周速は、第一搬送装置5の搬送速度とほぼ同一、又は、少し速くに制御されている。
【0044】
下流側生地片延展装置91は、第二搬送装置7と、第二搬送装置7の後端部7Bの上方に下流側延展ローラ93を備えている。この下流側延展ローラ93は、上述した延展ローラ9と同等なものとして詳細な説明は省略する。
【0045】
次に、第二の実施の形態に係る生地片延展装置101の動作について説明する。生地片3は、上流側生地片延展装置71の第一搬送装置5により搬送され、センサ23にて検出される。センサ23は、その検出信号を制御装置10に送信する。制御装置10は、その検出信号に基づきアクチュエータ19及び49を駆動させ、先端部5F及び後端部7Bを下降させる(
図9(a)参照)。生地片3は、上流側延展ローラ73及び下流側延展ローラ93に接することなく搬送され、生地片3の底辺3Dが下流側延展ローラ93の中心の下方を通過した後、先端部5F及び後端部7Bが上昇して、生地片3が上流側延展ローラ73とコンベアベルト17の搬送面との間、及び下流側延展ローラ93とコンベアベルト47の搬送面との間で挟圧され、その全長に渡って延展される(
図9(b)参照)。
【0046】
次に、上流側延展ローラ73及び下流側延展ローラ93の作用について説明する。上流側生地片延展装置71では、突条部73Bを備えた上流側延展ローラ73が、前述の生地片延展装置1における延展ローラ9と同様に曲がって成形された生地片3の約上半分の部分を略二等辺三角形状に近づけるよう矯正する作用がある。また、下流側生地片延展装置91の第ニ搬送装置7の搬送速度は制御可能であり、第一搬送装置5の搬送速度より大きく設定されているので、上流側延展ローラ73と下流側延展ローラ93との間の生地は搬送方向Rに沿って引き延ばされる。さらに、生地片3が上流側延展ローラ73の下方を通過した後には、下流側延展ローラ93が生地片3の曲がりを矯正するよう作用する。
【0047】
生地片延展装置101は、上流側生地片延展装置71と下流側生地片延展装置91を搬送方向に近接して連設し、下流側延展ローラ93の周速を上流側延展ローラ73の周速より速く制御することにより、生地片3を搬送方向Rに引っ張って延展するとともに、生地片3の曲がりを二度にわたり矯正することができるため、曲がった生地片3を効率よく略二等辺三角形状に近づけるように形成することができる。そして、延展された生地片105は巻き上げ装置61により巻き上げられ巻き上げ生地205が成形される。この巻き上げ生地205は、生地片3の頂部3Aが長手方向の中心に巻き上げられることができ、巻き上げられた形状が対称的な紡錘形に成形される。つまり、生地片延展装置101および巻き上げ装置61を備えることにより全体として巻き上げ生地整形装置を構成するものである。
【0048】
次に、本発明の第三の実施形態に係る延展ローラ111について、
図10を用いて説明する。なお、生地片延展装置1と同じ機能を有する構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。延展ローラ111は、延展ローラ9と構成を異にしている。
【0049】
延展ローラ111は、生地片3を載置する載置台121上に移動可能に備えられている。上述した生地片延展装置1では、生地片3は、第一搬送装置5及び第二搬送装置7により搬送され、搬送方向Rに対して固定された延展ローラ9にて延展されるよう説明した。しかし、生地片3を延展するに際し、生地片3と延展ローラとは相対的に移動すればよいものである。なお、この載置台121は、間欠的に搬送されるベルトコンベアのごとき搬送装置であってもよく、さらには、延展ローラ111と載置台121の両方が移動可能であってもよく、延展ローラ111と載置台121が相対的に移動可能に備えられている。
【0050】
延展ローラ111は、図示されない駆動機構により、生地片3を延展するよう自転するとともに、生地片3の底辺3D側から頂部3A側へ移動可能に備えられている。なお、延展ローラ111は、回転軸111Aに対し延展ローラ111の本体部分が回転可能な構成であってもよく、延展ローラ111の本体の両端に延展ローラ111の外周111Sより径の大きな丸形のフランジ111Fを備え、載置台121との摩擦により回転するようにしてもよい。
【0051】
延展ローラ111は、略半円状の突条部111Bを幅方向(延展ローラ111の軸方向)に複数備え、隣同士の突起部111Bの間を凹状の半円でつないだ形状である。つまり、延展ローラ111の表面形状は波形に形成されている。この延展ローラ111を生地片3の底辺3D側から頂部3A側へ回転させながら移動させると、生地片3は、延展ローラ111の突条部111Bにおいて延展されるとともに底部111BSにおいても延展される。生地片3には、延展ローラ111の移動方向上流側に生地片3の幅方向に連なって滞留生地3Hが形成され、該滞留生地3Hが頂部3A側に押し戻される。すると、中心線CLに対し一方に曲がって成形された生地片3は、略二等辺三角形に近づくように矯正される。
【0052】
次に、本発明の第四の実施形態に係る生地片延展装置403を備えた巻き上げ生地整形装置401について、
図11乃至
図16を用いて説明する。巻き上げ生地整形装置401は、生地片延展装置403及びその下流側に巻き上げ装置423を備えている。生地片延展装置403は、生地片3を搬送するベルトコンベアである第一搬送装置405と、その上方に延展ローラ部409を備えている。巻き上げ装置423は、該第一搬送装置405の下流側に連設されるベルトコンベアである第二搬送装置407、第二搬送装置407の後端側でありその上方に上流側より巻き上げ部425、巻き締め部427および整形部429を備えている。さらに、各装置を制御する制御装置10(図示省略)を備えている。第二搬送装置407の搬送速度は制御可能であり、第一搬送装置405の搬送速度より速く、例えば、約1.1倍に設けられている。
【0053】
第一搬送装置405及び第二搬送装置407の両側面には、スタンド413が着脱自在に取り付けられている。また、第一搬送装置405の先端部の上方には、延展ローラ部409を備えている。延展ローラ部409は、生地片3を延展する延展ローラ410と、該延展ローラ410を昇降する昇降装置411を備えている。昇降装置411は、両スタンド413の間に支持された第一スパンシャフト415に取り付けられている。昇降装置411は、流体圧シリンダのごとき直動式のアクチュエータ417を備え、往復動するロッド417Rの先端には、延展ローラ410を回転可能に支持するブラケット419を備えている。また、昇降装置411の上流側に搬送される生地片3を検出するセンサ23が取り付けられている。センサ23の検出信号に基づき制御装置10が生地片3の搬送位置を算出し、その位置情報に基づきアクチュエータ417の駆動を制御する。
【0054】
延展ローラ410は、その回転軸410Aを第一搬送装置405の搬送面と平行に、そして、第一搬送装置405の幅方向に沿って配置されている。延展ローラ410は、長手方向の中央部が両端部より細く、鼓形状をなしている。この延展ローラ410は、両端部に突条部410Bを備え、斜面410Cを経て、それらの間の谷部に底部410BSが備えられている。延展ローラ410は、アクチュエータ417の往復動により第一搬送装置405の搬送面(上面)に対し相対的に昇降して互いに接近離反動作するものである。そして、延展ローラ410が下降した際には、第一搬送装置405の先端ローラ421の上方に位置する。延展ローラ410の下降停止位置は、延展ローラ部409全体を上下位置調整可能に設け、あるいは、アクチュエータ417のロッド417Rのストロークを制御するなどして調整可能に設けられている。
【0055】
巻き上げ装置423の巻き上げ部425は、2つの回転ホイール431、変形可能な柔軟部材からなる巻き上げシート433及び巻き上げシート433の上流側を押さえる押さえプレート434を備えている。回転ホイール431は、第二搬送装置407の搬送面に対し生地片3を押さえることが可能な程度の隙間を有し、その隙間を調整するよう上下動可能に備えられている。回転ホイール431は、回転する一対の駆動ホイール437にプーリ及びベルトによる回転伝達機構439を介して回転される回転軸435に取付けられ、第二搬送装置407の搬送速度とほぼ同一か僅かに速い速度で回転される。この駆動ホイール437は、コンベアベルト407Bの表面と接触し、その摩擦により回転される。
【0056】
巻き上げシート433は、略短冊状であり、生地片3と接する下面には細かな凹凸面が形成されている。巻き上げシート433の上流側部分は、回転ホイール431との干渉を回避するために略V字状の切欠き部433Aが形成されている。巻き上げシート433は、切欠き部433Aの両端に一対の腕部433Bと、切欠き部433Aの下流側部分の中央に搬送方向Rに沿った長孔433Cが形成されている。腕部433Bの先端部分は、略コの字状の掛止部材440が取り付けられている。また、第二スパンシャフト441は、スタンド413の間に支持され、直方体状の被掛止部材442を軸止している。そして、巻き上げシート433は、掛止部材440が被掛止部材442に着脱自在に掛止されており、腕部433Bの下端部から巻き上げシート433の下流側部分までが第二搬送装置407の搬送面に載置された態様となる。
【0057】
巻き上げシート433の腕部433Bは、第二スパンシャフト441に取り付けられた押さえプレート434によりその上方から押さえられている。押さえプレート434は、生地片3の底辺3Dの両側部分が巻き上げシート425の腕部433Bと接触する際に巻き上げシート433が浮き上がるのを防止して生地片3の巻き上がりを確実にするためのものである。押さえプレート434は、搬送される生地片3の厚みに応じて上下位置調整可能に備えられている。この実施例では、第二スパンシャフト441を上下動させることにより、回転ホイール431、巻き上げシート433の上流側部分及び押さえプレート434が一体的に上下動する。
【0058】
巻締め部427は、搬送方向Rに沿った3本の変形可能な柔軟部材からなり、下面に細かな凹凸が形成された短冊状のシート部材443を幅方向に並列し、それらの上方にそれぞれ金属製の短冊状のネット部材445を重ね一体的に形成した巻き締めシート446を備えている。各列のシート部材443とネット部材445は、リング状の結合部材447で複数の箇所で結合され、あわせて隣の列同士が連結されている。各シート部材443とネット部材445の上流端部、つまり、巻き締めシート446の上流端部は、掛止部材448が取付けられ、スタンド413に支持された第三スパンシャフト449の被掛止部材450に着脱自在に掛止されている。なお、シート部材443とネット部材445は、3枚に限らず2枚以上の複数であってもよく、各部材の幅寸法も同一でなくとも成形可能である。巻き締めシート446は、幅方向に対称に成形することが望ましい。
【0059】
シート部材443とネット部材445の下流側部分は、上下は結合されず二股状に形成され、シート部材443の下流側部分は、第二搬送装置407の搬送面に載置された態様となる。また、各ネット部材445の下流端部は、掛止部材448が取付けられ、スタンド451に支持された第四スパンシャフト453の被掛止部材450に着脱自在に掛止されている。巻き締めシート443の中間部分は、巻き上げシート433の下流側部分および第二搬送装置407の搬送面に載置された態様となっており、その下面を転がりながら通過する巻き上げ生地205の形状に沿って変形可能に備えられている。なお、スタンド451は、第二搬送装置407の側面に取り付けられている。
【0060】
第三スパンシャフト449には巻き締めシート446の上流端部からその中間部までの両側を案内する案内板455が取り付けられている。本実施例では、案内板455は巻き上げシート433の下流側部分も両側から挟んでおり、巻き締めシート446および巻き上げシート433が幅方向に位置ずれすることを防止している。
【0061】
整形部429は、変形可能な柔軟部材からなり、下面に細かな凹凸が形成された長方形の整形シート457を備えている。整形シート457の上流端は、ネット部材445の下流端部に取付けられた掛止部材448に取付けられている。また、整形シート457の下流端には、掛止部材448が取付けられ、スタンド451に支持された第五スパンシャフト459の被掛止部材450に着脱自在に掛止されている。整形シート457の中間部分は、第二搬送装置407の搬送面に載置された態様となる。
【0062】
整形シート457の中間部分には、平面視において幅方向の中心に長手方向(
図15において左右方向、搬送方向R)沿って長孔461が形成されている。整形シート部材457には、この長孔461の下流側部分の両側において長方形の押さえプレート463が取り付けられている。各押さえプレート463の上面には2本の棒状部材465が立設されている。この棒状部材465を介して板状の錘467を押さえプレート463に着脱自在に積み重ねることができるものである。
【0063】
第四スパンシャフト453には、整形シート457の中間部分の両側を案内する案内板469が取付けられている。案内板469は、整形シート457が幅方向に位置ずれすることを防止している。
【0064】
次に、第四の実施の形態に係る巻き上げ生地整形装置401の動作について説明する。生地片3は、第一搬送装置405により搬送され、センサ23にて検出される。センサ23は、その検出信号を制御装置10に送信する。制御装置10は、その検出信号に基づき延展ローラ部409のアクチュエータ407を駆動させ、延展ローラ410を下降させる(
図12参照)。本実施例では、延展ローラ410の下降時期は、生地片3の底辺3Dが回転ホイール431と第二搬送装置407の搬送面との間に挟持された直後として説明する。
【0065】
次に、延展ローラ部410および巻き上げ装置423の作用について説明する。延展ローラ410は、第一搬送装置405の搬送面との間で生地片3の頂部3A側の部分を挟圧し、その部分の生地を頂部3Aに向かって延展する(
図16参照)。生地片3の頂部3A側部分の生地は、延展ローラ410の両端の突条部410Bにて幅方向への移動が抑制されるとともに、延展ローラ410の上流側に盛上るように滞留することとなる。この滞留した生地は、生地片3の搬送にともない生地片3の内部で頂部3A側に押し戻される態様となる。そして、生地片3は、延展ローラ410の斜面410Cによる押し戻しの作用を受け、生地片3の頂部3Aが中心線CLに近づくように変形し、曲がった状態の生地片3の頂部3A側の部分が略二等辺三角形状に近づくように成形される。生地片3の頂部3Aが中心線CL上に位置されることにより、後工程での巻き上げの際に、巻き上げ生地207の長手方向の中心に頂部3Aを巻き上げることが可能となる。
【0066】
生地片3は、第一搬送装置405と第二搬送装置407の速度差により延展ローラ410と回転ホイール431の間で搬送方向Rに引っ張られながら延展ローラ410により延展される。生地片3は、回転ホイール431にて第二搬送装置に押し付けられた状態で巻き上げ部425の巻き上げシート433と接触するため第二搬送装置上をスリップすることなく、生地片3の底辺3Dの両側より上流側に向かって巻き上げられる。巻き上げ生地207は、生地内部に引っ張り応力が生じた状態で巻き上げられるため巻きが比較的強い状態に成形される。この延展ローラ410の押圧の度合い、つまり、延展ローラ410と第一搬送装置405との間隔の広狭に応じて延展された生地片の長さを調節することが可能であり、その長さに応じて巻き上げ生地207の巻き数を調節することができる。
【0067】
巻き上げられた巻き上げ生地207は、巻き上げシート433の下方を転がりながら第二搬送装置407により搬送される。巻き上げシート433の下流側部分は、巻き締めシート446に覆われており、巻き上げ生地207の形状に沿うように幅方向及び搬送方向に山形に変形される。巻き上げ生地207の頂部3A付近の生地は、巻き上げシート433の長孔433Cに案内されて巻き上げ生地207の中心に位置される。また、巻き上げシート433は長孔433Cを備えることにより長孔433Cの両側部分が巻き上げ生地207の形状に沿うよう傾斜状に変形しやすく、巻き上げ生地207を対称的な紡錘形に整形することができる。
【0068】
巻き上げ生地207は、さらに巻き締めシート446の中間部分により締められ巻きが強められる。巻き締めシート446のネット部材445は、金属製であり、巻き上げ生地207に対するおもりとして作用する。巻き締めシート446は、前述のとおり3枚のシート部材とネット部材を幅方向に並列するとともに上下に重ねて結合部材448で結合しているので、巻き上げ生地207の表面形状に沿うよう幅方向及び搬送方向に対し柔軟に変形可能であり、巻き上げ生地207を対称的な紡錘形に巻き締めることができる。このネット部材445の重さを変更することにより巻き締めシート446が巻き上げ生地207に対する山形に変形の程度を調節できるとともに、巻き上げ生地207の巻き締めの程度を調節することができる。
【0069】
巻き締め部427を通過した巻き上げ生地207は、整形部429に搬送される。巻き上げ生地207は、整形シート457の中間部分に接し、転がりながら第二搬送装置407にて搬送される。整形シート457は、長孔461を備えることにより両側が巻き上げ生地207の表面形状に沿うよう変形でき、さらに、巻き上げ生地207の頂部3A付近の生地を巻き上げ生地207の長手方向の中心に導くと共に必要以上に押し潰すことなく整形することができるものである。
【0070】
上記説明においては、案内板455及び案内板469を備えることにより巻き上げシート433、巻き締めシート446及び整形シート457を幅方向へ位置ずれすることを防止している。これらのシートが幅方向への位置ずれすることなく巻き上げ生地207を転がすことができるため、巻き上げ生地207を対称的な紡錘形に整形することができる。なお、巻き上げ生地207の巻き締めを比較的に弱くする場合には、巻き上げ部425、巻き締め部427あるいは成形部429の一部を構成しない巻上げ装置を設けることも可能である。例えば、生地片3の上面にジャムやクリームなどのフィリングを載置し、内側にフィリングを内包する巻き上げ生地を成形する場合などでは、巻き上げ生地を締めすぎるとフィリングが表面に漏出することがあるため、巻き締めの強さを調節する必要性がある。
【0071】
次に、巻き上げ部の応用例について、
図17にて説明する。上述した巻き上げ装置423は、延展ローラ部409の下流側に近接して設けられ、生地片3を搬送方向Rに引っ張りながら巻き上げるよう説明した。
図17に示す巻き上げ部471は、巻き上げ装置423の巻き上げ部425と交換することが可能である。また、これに限らず、巻き上げ部471だけで生地片3や他の装置にて引き延ばされた生地片などを巻き上げることも可能である。巻き上げ部471は、第二スパンシャフト441に回動自在に支持された4つの転圧板473、回転軸435に軸止された3つの回転ホイール431及び転圧板473に取り付けられた変形可能な柔軟部材からなる巻上げシート475を備えている。転圧板473は幅方向に並列して備えられ、それらの間に回転ホイール431が配設されている。
【0072】
転圧板473は屈曲した腕部材477を備えており、腕部材477は第二スパンシャフト441から第二搬送装置407の搬送面に向かって傾斜して配置される当接部478と当該搬送面に対し下流側がやや上方に指向する転圧部479を備えている。当接部478と転圧部479の下面には、生地片3との接触抵抗を高めるための格子状の凹凸面が形成されている。転圧板473は、ストッパシャフト485に掛止することにより腕部材477が第二搬送装置407の搬送面と僅かな隙間を開けて配置されている。
【0073】
巻き上げシート475は、4つの転圧板473の転圧部479の先端部(下流端部)に取り付けられている。巻き上げシート475は、転圧部479の先端部の直ぐ下流側に二等辺三角形の開口部481を備え、該開口部481の両側に腕部482を備えている。また、巻き上げシート475の両端に変形可能な棒状の錘部材483が取り付けられている。さらに、巻き上げシート475は、開口部481の下流側で巻き上げシート475の中央に搬送方向Rに沿って貫通する切り線484を備えている。
【0074】
次に、巻き上げ部471による生地片3の巻き上げ方法について説明する。第二搬送装置407に搬送される生地片3は回転ホイール431に押圧され、生地片3の底辺3Dが最下降位置に待機する転圧板473の当接部478の下端部に当接する。生地片3は搬送されながら転圧板473を押し上げるとともに底辺3Dが上方にせり上がる。生地片3は転圧部479の下面で転がり巻き上げシート475の開口部481の両端の腕部482にて巻き上げられる。巻き上げられた巻き上げ生地207は、巻き上げシート475の下流側部分にて比較的軽度に巻き締められる。このとき、巻き上げシート475は、その中央部に切り線484を備えることにより両側が巻き上げ生地207の表面形状に沿うよう変形できるものである。また、巻き上がりの後半では、剛体である転圧部479の下面の凹凸面を通過した巻き上げ生地207は、軽量で柔軟な巻き上げシート475にて巻き上げられるため表面をきれいに保つことができる。
【0075】
従来の巻上げ装置としては、特許文献2に記載された巻上げ装置がある。この巻上げ装置は生地片の底部の両端側から生地片を巻き上げるとともに、巻き上げられた巻上げ生地の両腕(紡錘形の両側)を巻き上げ生地の長手方向に引き伸ばすための装置である。また、実公昭63−37824号公報には、平行する2本のケーブルに複数の棒状杆を平行に取付けたカールネットが開示されている。このカールネットは、巻き上げ生地に対し揺動湾曲して接触面積を大きくすることができるものである。しかしながら、これらの従来技術では、巻き上げ生地の両腕の表面形状に沿うように巻き上げ装置を接触させることはできず、巻き上げ生地を対称な紡錘形に成形できない場合があった。しかし、巻き上げ装置423に構成する巻上げシート433、巻き締めシート446、整形シート457及び巻き上げ部471の巻き上げシート475は、いずれもが巻き上げ生地207の両端側に向かって各シートを下方に傾斜可能に形成されているため、巻き上げ生地207の両腕を上方より幅方向に対称に押圧することができるため、巻き上げ生地207を対称的な紡錘形に整形することができる。
【0076】
なお、本実施形態においては、生地片延展装置403と巻き上げ装置423は、それぞれ第一搬送装置405と第二搬送装置407の別の搬送装置を備えているものとして説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、生地片延展装置403と巻き上げ装置423は共通の搬送装置、すなわち1台の搬送装置を備えるようにしても良い。
【0077】
次に、本発明の第五の実施形態に係る巻き上げ生地整形装置501について、
図18及び
図19を用いて説明する。巻き上げ生地整形装置501は、生地片延展装置403及びその下流側に巻き上げ装置503を備えている。生地片延展装置403は、第一搬送装置405と、その上方に延展ローラ部409を備えている。巻き上げ装置503は、第二搬送装置407と、第二搬送装置407の後端側でありその上方に巻き上げ部505を備えている。さらに、各装置を制御する制御装置10(図示省略)を備えている。また、本実施例では、搬送される生地片3の底辺3D側の上面には、例えば、チョコレートなどの食品材料であり棒状で固形の内材6が載置されており、巻き上げ生地整形装置501によって内材6を内包した巻き上げ生地209が整形されるものとして説明する。
【0078】
延展ローラ部409の延展ローラ410は、延展ローラ410を昇降動作させる第一のアクチュエータ417を上下動可能に設けることにより下降端位置が調整できる。詳述すると、アクチュエータ417は、両側のスタンド413に備えられた上下ハンドル機構514にベースブラケット515を介して取り付けられている。また、生地片3の通過を感知するセンサ23は、両側のスタンド413の間に固定されたスパンシャフト502に取り付けられている。制御装置10がセンサ23の検出信号に基づき生地片3の搬送位置を算出し、その位置情報に基づき前記第一のアクチュエータ417、後述する第二のアクチュエータ529及び制御モータ543の駆動を制御する。
【0079】
巻き上げ装置503の巻き上げ部505は、幅方向に所要の間隔に並列された3つの回転ホイール431、シャフト507に回動可能に取り付けられた支持機構508、支持機構508に着脱可能に支持された転圧板509及び転圧板509に取り付けられた変形可能な柔軟部材からなる巻き上げシート511を備えている。
【0080】
回転ホイール431は、Vベルト及びVプーリなどの回転伝達機構541を介して制御モータ543の回転により回転速度調整可能に駆動される。さらに、回転ホイール431は、昇降装置527により昇降可能に備えられている。昇降装置527は、スタンド413に取り付けられたエアシリンダなどによる直動式の第2のアクチュエータ529にリンク機構などの動力伝達機構531を介して回転軸435を昇降させるものである。リンク機構531のアーム部532には複数の連結孔532Hが設けられており、アクチュエータ529の連結位置を変更することにより回転ホイール431の昇降距離を増減することができる。また、回動軸435を上下ハンドル機構533に連結することにより回転ホイール431の昇降する作動位置(上昇端位置から下降端位置)が調整可能に備えられている。
【0081】
支持機構508は、シャフト507に対し回動自在に取り付けられ、転圧板509を着脱自在に支持する取り付けブラケット521と、シャフト507に回動位置調整可能に固定されたブラケット523を備えている。ブラケット523には、転圧板509を第二搬送装置407側に付勢するためのダンパ525が取り付けられている。
【0082】
転圧板509は、屈曲した形状であり、支持機構508側から第二搬送装置407の搬送面に対し搬送方向Rの下流側に向かって傾斜する腕部516、腕部516から屈曲しさらに傾斜する当接部517および当該搬送面に対し下流側がやや上方に指向する転圧部518を備えている。当接部517と転圧部518の下面には、巻き上げシート511の概ね上半分が貼付されている。巻き上げシート511の下面は、生地片3との接触抵抗を高めるための格子状の凹凸面が形成されている。また、巻き上げシート511の下半分でその上面の両端には変形可能な錘部材519が貼付されている。そして、転圧板509および巻き上げシート511には、回転ホイール431が通過可能な長孔(図示省略)が幅方向に並列して備えられている。また、転圧板509は、支持機構508を支持するシャフト502を搬送方向Rに沿って移動調整することにより回転ホイール431に対し相対的に移動可能に備えてられている。
【0083】
次に、巻き上げ生地整形装置501による内材6が載置された生地片3の巻き上げ方法に関する代表的な例について以下に説明する。内材6が載置された生地片3の巻き上げ方法に関する第一の例では、生地片3は第一搬送装置405により搬送され、センサ23が生地片3を検出する。さらに生地片3が搬送され、延展ローラ410の下方を内材6が通過した後に昇降装置411の第一のアクチュエータ417が作動して延展ローラ410が下降し生地片3を押圧する。生地片3は搬送されながら底辺3Dが転圧板509の当接部517に接して上方にせり上げられる。それとほぼ同時に、内材6が上昇端位置で回転する回転ホイール431に接する。回転ホイール431は内材6を介して生地片3を第二搬送装置407の搬送面に押し当てながら内材6を搬送方向Rに案内する。したがって、回転ホイール431に保持された内材6に対し当接部517が生地片3の底辺3Dを巻きつけることとなり、内材6が生地片3から転がり落ちることを防止できる。
【0084】
内材6が回転ホイール431の下端部を通過すると昇降装置527の第二のアクチュエータ529が作動して回転ホイール431が生地片3に接する位置まで下降する。生地片3の上流側は延展ローラ410と回転ホイール431との間で引っ張られ、生地片3の下流側は転圧板509により巻き上げられる。転圧板509は巻き上げられる生地片3の外形に応じて上方に回動するとともにダンパ525により付勢されているため巻き上げられた巻き上げ生地209は、内材6の周りに生地が隙間無く、そして、生地同士が密着した状態に巻き上げられる。巻き上げられた巻上げ生地209は巻き上げシート511の下方を転動しながら通過する。
【0085】
上述のとおり、回転ホイール431の作動位置の調整が可能なため、内材6の大きさや生地片3の厚みに応じて上昇端位置及び下降端位置を適宜設定することができる。また、転圧板509は回転ホイール431に対し搬送方向Rに移動可能に備えられているため、回転ホイール431が内材6を生地片3に押さえているとほぼ同時に転圧板509が生地片3をせり上げるよう調整することができる。このように、回転ホイール431と転圧板509とを個別に調整可能とすることにより、内材6を載置した生地片3を安定して巻き上げ整形することができる。なお、この巻き上げ装置503では、略三角形の生地片3に限らず、長方形の生地片を内材に巻き付けて巻き上げ生地を巻き上げることが可能である。さらに、生地片延展装置を近接して設ける場合には、延展ローラ410を延展ローラ9のような長いものに換えて生地片の全幅を押さえるようにするとより効果的である。
【0086】
次に、内材6が載置された生地片3の巻き上げ方法に関する第二の例について説明する。 第二の例においては、第一搬送装置405の速度より第二搬送装置407の速度を速く設定するようにしても良い。第二の例では、第一の例と同様センサ23によって生地片3が検出される。生地片3の底辺3Dが第一搬送装置405から第二搬送装置407に移乗する際に底辺3Dがせり上げられ、内材6が回転ホイール431に接する。
【0087】
ここで第二の搬送装置の搬送速度より回転ホイール431の外周速度を遅く設定することにより、内材6の周りに生地片3を巻き付けようとする力が作用し、内材6の周りに生地片3が巻き付けられる。そして、生地片3は搬送方向Rへ更に搬送され、内材6が回転ホイール431の下端部を通過した後、延展ローラ410が下降し生地片3を押圧する。そして、生地片3の底辺3Dが転圧板509の当接部517に接して更に巻き上げられる。また、内材6が回転ホイール431の下端部を通過した後、回転ホイール431が生地片3に接する位置まで下降する。このとき、第一搬送装置405の速度より第二搬送装置407の速度を速く設定してあるので、生地片3は引っ張られて引き伸ばされるようになっている。
【0088】
次に、内材6が載置された生地片3の巻き上げ方法に関する第三の例について、
図20を参照しながら説明する。
図20は、内材6が載置された生地片3の巻き上げ方法に関する第三の例における各装置の状態を連続的に図示したものである。なお、第三の例においては、第五の実施形態に係る巻き上げ生地整形装置501において、巻き上げシート511の代わりに、巻き締めシート446が使用されている。また、第三の例では、(a)第二搬送装置407の搬送面高さを第一搬送装置405の搬送面高さより高くする、(b)第一搬送装置405の速度より第二搬送装置407の速度を速くする、(c)第二の搬送装置407の搬送速度より回転ホイール431の外周速度を遅くする、といった設定を単独で行なったり、組み合わせて行なうようにしても良い。
【0089】
第三の例では、第一の例と同様センサ23によって生地片3が検出される。
図20(a)に示すように、内材6を載置した生地片3が、第一搬送装置405から第二搬送装置407に移乗する際、生地片3の底辺3D側が多少下方に垂れ下がった後、底辺3Dが第二搬送装置407の後端ローラの肩口に当接する。そして、
図20(b)に示すように第一搬送装置405と第二搬送装置407との間の搬送面高さの段差及び/又は搬送速度の差により、生地片3の底辺3D側が上方へ向かって曲がる。
【0090】
図20(c)に示すように、生地片3(底辺3Dあるいは生地片3の下面)が回転ホイール431と接し、生地片3と内材6が回転ホイール431と第二搬送装置407との間で挟まれた状態で、内材6の周りに生地片3が巻き付けられる。このとき、第二の搬送装置407と回転ホイール431の速度差により生地片3の転がりが促される。次に、
図20(d)に示すように、内材6に巻きついた生地片3が転圧板509の当接部517に当接し、生地片3は搬送されながら転圧板509により内材6の周りに巻き上げられる。
【0091】
また、
図20(e)に示すように、延展ローラ410が下降し、生地片3を押圧する。このとき、第一搬送装置405と第二搬送装置407との搬送速度差により生地片3には搬送方向に沿った引っ張り力が作用する。また、延展ローラ410は、生地片3を略二等辺三角形に近づくように矯正する。次に、
図20(f)に示すように、回転ホイール431が下降し、生地片3を押圧する。回転ホイール431は、生地片3の搬送方向に対する水平面内での傾きを防止する。生地片3の下流側は転圧板509により巻き上げられる。更に、
図20(g)に示すように、生地片3は巻き締めシート446により巻き上げられた後、延展ローラ410及び回転ホイール431は初期位置に戻り、次の生地片3が搬送されてくるのを待つ。
【0092】
上記説明から理解できるように、第三の例では、第一搬送装置405と第二搬送装置407との間で巻き上げ工程が開始する。そして、この巻き上げ工程の開始位置の下流側に回転ホイール431が配置されている。したがって、生地片3を巻上げる装置と生地片3に接して第二搬送装置に押し付ける回転ホイール431は平行して配置されている。
【0093】
生地片の上面に固形物を載置して巻き上げる巻上げ装置の従来例としては、本特許出願人が出願した登実3058292号に記載された装置がある。この従来装置は、コンベアの搬送面の上方に複数の転圧板が幅方向に並列して配置され、各転圧板はシャフトに揺動可能に軸支されている。この従来装置は、転圧板の巻き上げ部と搬送面に所要の間隔をあけ、この間に棒状固形物を載せたパン生地片を通過させることにより棒状固形物を心材とする巻き上げパン生地を整形する装置である。この装置では、棒状固形物がパン生地から転がり落ちないようにパン生地片を巻き上げる前に周知の手段によって棒状固形物をパン生地に充分に押圧して密着し、棒状固形物を転圧板で転がすことにより生地片を巻き上げる。したがって、棒状固形物が生地片上で転がってしまい生地片が巻き上がらないという場合があり問題がある。
【0094】
また、別の従来例としては、欧州特許第1726029号明細書に記載された装置がある。この従来装置は、搬送ベルトの上方に対向する押圧装置とその下流側に巻き上げコンベアとを備え、押圧通路と巻き上げ通路を形成している。押圧装置および巻き上げコンベアは、幅方向に離間した複数の無端ベルトが各々掛け回わされたベルトコンベアであり、個々の駆動モータにより駆動されるものである。この従来装置では、押圧通路と巻き上げ通路とを個別に設けているため装置が大型化する問題がある。また、巻き上げ通路では生地片を押さえることなく巻き上げコンベアにより棒状固形物を転がして生地片を巻き上げるため、巻き上げが不安定となり、さらに、クロワッサンン生地などを巻き上げる場合には、対称的な紡錘形に成形できないなどの問題がある。
【0095】
本実施形態における巻き上げ装置503は、転圧板509が生地片3を巻き上げる際、回転ホイール431が内材6を介して、および、直接に生地片3を押さえているため内材6を載置した生地片を安定して巻き上げることが可能となり、さらには、対称的で紡錘形の巻き上げ生地209を整形することができるものである。したがって、生地片延展装置403を近接させることなく巻き上げ装置503だけで内材6を載置した生地片3を巻き上げ生地209に巻き上げることも可能である。また、巻き上げ生地整形装置501は、押圧ローラ410と回転ホイール431との間で生地片3を引っ張りながら巻き上げることができるため巻き上げ生地209の生地の巻き数や巻きの強さの程度を調整することができるものである。
【0096】
なお、本実施形態においては、生地片延展装置403と巻き上げ装置503は、それぞれ第一搬送装置405と第二搬送装置407の別の搬送装置を備えているものとして説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、生地片延展装置403と巻き上げ装置503は共通の搬送装置、すなわち1台の搬送装置を備えるようにしても良い。
【0097】
また、本実施形態で、内材6を載置した生地片3を巻き上げる際、生地片3の底辺3D側近傍に内材6を人手または機械により載置するが、生地片3に対する内材6の位置決めを容易にし、生地片3の巻き上げ成形時に内材6の位置がズレないようにするために、
図21に示すように、生地片3の底辺3D側近傍上面に前述した凹部(凹状の溝)3Eを予め形成しておき、この凹部3Eに内材6を載置するようにしても良い。
【0098】
次に、本発明の第六の実施形態に係る生地片延展装置601について、
図22を用いて説明する。なお、上記説明と同じ機能を有する構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。生地片延展装置601は、第一搬送装置405、第二搬送装置407、上流側延展ローラ部としての延展ローラ部409および下流側延展ローラ部603を備えている。さらに、各装置を制御する制御装置10を備えている。
【0099】
延展ローラ部409は、生地片延展装置401と同様に第一搬送装置405の先端側の上方に備えられている。延展ローラ410は、アクチュエータ417の往復動により第一搬送装置405の搬送面(上面)に対し接近離反動作するものである。また、下流側延展ローラ部603は、延展ローラ9を備えている。延展ローラ9は、第二搬送装置407の後端側でありその上方に備えられている。延展ローラ9は、第二搬送装置407の搬送面(上面)に対し所要の間隔を開けて取り付けられている。
【0100】
生地片3は、第一搬送装置405により搬送され、センサ23にて検出される。さらに、生地片3は搬送され、上方に待機する延展ローラ410の下方を通過し、延展ローラ9と第二搬送装置407の搬送面との間に挟圧される。その後、センサ23からの検出信号に基づき制御装置10は、アクチュエータ417を駆動させて延展ローラ410を所要の位置まで下降させる。延展ローラ410は、生地片3を第一搬送装置405の搬送面に押し付け、生地片3の頂部3A側の生地を延展する。
【0101】
延展ローラ410では、曲がって成形された生地片3の約上半分の部分を略二等辺三角形状に近づけるよう矯正する作用がある。また、第ニ搬送装置407の搬送速度は、第一搬送装置405の搬送速度より大きく設定されているので、上流側の延展ローラ410と下流側の延展ローラ9との間の生地は搬送方向Rに沿って引き延ばされる。さらに、生地片3が延展ローラ410の下方を通過した後には、延展ローラ9が生地片3の曲がりを矯正するよう作用する。このように延展された生地片109は、略二等辺三角形状に成形されるため、この生地片109を巻き上げて成形された巻き上げ生地は、生地片109の頂部3Aが長手方向の中心に巻き上げられることができ、巻き上げられた形状が対称的な紡錘形に成形される。
【0102】
生地片延展装置101では、生地片3が下流側延展ローラ93にて延展される際に、生地片3の底辺3Dを下流側延展ローラ93と接触しないよう、底辺3Dが下流側延展ローラ93の中心の下方を通過した後に下流側延展ローラ93と第二搬送装置7を相対的に接近させて生地片3を挟圧するよう説明したが、生地片延展装置601では、予め接近して所要の間隔に配置された延展ローラ9と第二搬送装置407の間に生地片3を搬送する構成である。例えば、比較的硬い生地などを延展する場合には、生地片3の底辺3Dが幅方向に対して多少傾いた状態で延展ローラ9と接触してもその傾きを大きく変動させるものではなく、延展ローラ9の突条部9Bの作用により生地片3を略二等辺三角形状に成形することができるものである。
【0103】
本発明の実施の形態に係る延展装置の説明は概ね上記のとおりであるが、これに限らず特許請求の範囲において種々の変更が可能である。例えば、上流側の延展ローラを第一搬送装置の上方に備え、下流側の延展ローラを第二搬送装置の上方に備えるよう説明したが、両方の延展ローラを単一の搬送装置の上方に備えることも可能である。この場合であっても生地片3を略二等辺三角形状に成形することができるものである。
【0104】
また、生地片延展装置1、101、あるいは、601の下流側に近接して、あるいは、離して巻き上げ装置423や巻き上げ装置503を備えることが可能であり、全体として巻き上げ生地整形装置とすることも可能である。
【0105】
また、延展ローラ410を鼓形状として説明したが、延展ローラ9のように長手方向に3つ以上の突条部を備えてもよい。また、延展ローラの複数の突条部は、同一形状で軸方向に等間隔に形成するよう説明したが、上記効果を奏する形状であればこれに限ることはない。