(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656326
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】空化を監視するためのユニットを備えた、凍結血液製剤を収容したボトルを重力で空にするための装置および空にする方法
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20200220BHJP
G01G 17/04 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
G01G17/04 C
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-159101(P2018-159101)
(22)【出願日】2018年8月28日
(65)【公開番号】特開2019-78742(P2019-78742A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年2月18日
(31)【優先権主張番号】17382713.0
(32)【優先日】2017年10月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホアン・オリオルス・ガハ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・フレータ・コイト
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・ルイス・ゴメス・フロレス
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−000516(JP,A)
【文献】
特開昭50−096090(JP,A)
【文献】
特開昭57−149925(JP,A)
【文献】
特開2015−045663(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02669644(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 23/01
G01G 19/52
G01G 17/04
A61J 1/00
A61K 35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結血液製剤を収容するボトルを重力で空にするための装置であって、この装置は空化を監視するためのユニットを備え、前記ユニットは、
空にされたボトルの重量をチェックするための自動ユニットを備え、この自動ユニットは、
a)空にされたボトルの重量を測定するための荷重検出システムと、
b)その中に空にする装置が設置されるルーム内の圧力を測定するための空気圧測定ユニットと、
c)前記空気圧測定ユニットによって提供されるルーム内圧力測定値に基づいて前記荷重検出システムによって提供される荷重値を補正するための測定値補償ユニットと
を具備し、
前記重量チェックユニットは、前記補正された荷重の値が所定の値以上である場合に、「空でない」信号を生成する、装置。
【請求項2】
前記空にする処理が正しく実行されていることを確認するための光学デバイスをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光学デバイスは、前記ボトルの表面または要素が前記光学デバイスの検出範囲内に入ったときに、赤外線センサーを用いて検出信号を生成する近接検出モジュールを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記荷重検出システムが三つの秤量セルから形成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
凍結血液製剤を収容するボトルを重力で空にするための方法であって、
a)血奬ボトルのバッチを開くステップと、
b)血漿ボトルの前記バッチを空にするステップであって、前記血液製剤は重力によって落下するステップと、
c)荷重検出システムによって提供される血漿ボトルのバッチの荷重測定値を取得するステップと、
d)空気圧測定によって提供されるルーム内圧力データを取得するステップと、
e)圧力補償ユニットによって荷重測定値を補正するステップと、
f)重量チェックユニットを用いた秤量モードおよび光学検査モードを用いて、前記空にする処理後の血液製剤の残留物を検出するステップであって、前記秤量モードは、血奬ボトルのバッチと基準値との間の重量の差に基づくステップと
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結血液製剤を収容したボトルを重力で空にするための装置、および凍結血漿のボトルが完全に空になっているかどうか、または残留物が残っているかどうか、または空にする処理の後にボトルが依然として完全に満杯であるかどうかを判定するための方法を開示する。より具体的には、本発明は、ボトルまたは複数のボトルの圧力を補償することによって補正された重量をチェックするためのユニットによって空にする処理が正確に実行されたかどうかをチェックするための装置およびその運用方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
血漿はドナーから採取され、製薬ラボはこの血漿を容器に入れ、使用されるまで保存するためにそれを凍結させる。凍結血漿を空にするための処理は、ボトルエンプティヤーを用いて実施される。ボトルエンプティヤーは、たいてい、ボトルに入れられた血漿を取り出す処理が割り当てられた装置であることが知られている。高価で供給不足の血液製剤を無駄するリスクがあるので、空にする処理を監視するステップ、すなわち血漿ボトル内に残留物が残っていないことを確認するステップが重要である。
【0003】
特許文献1は、上述したものと同様の血漿ボトルを空にするための装置を開示している。しかしながら、重力によって作動する血液製剤エンプティヤーで観察される一つの問題は、時折、凍結血液製剤の残留物がボトルまたは容器の壁にくっついて落下しないことである。
【0004】
先行技術によれば、これは、空にする処理を視覚的に検査し、ボトル内の残留物を発見したときにボトルエンプティヤーを停止させるオペレーターの監督によって解決することができる。しかしながら、実際には、装置が作動している長い時間を通じてオペレーターの注意力が著しく弱まる結果、検出エラーが発生することが分かっている。出願人は、オペレーターを置き換えるために視覚認識モジュールを用いて試験を行った。しかしながら、解凍された液体がボトル壁に張り付いていること、そして残留物が底に付着しており側壁には付着していない可能性があるため、視覚認識モジュールはやはり検出エラーを生じ、すなわち偽ポジティブおよび/または偽ネガティブを生じる。したがって、空にする処理の後に残留物がボトルまたは容器に残るのを防止するために、血液製剤の残留物を検出するためのシステムを含む、ボトルを重力で空にするための装置を有することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】スペイン国特許出願公開第2245836号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ボトルが完全に空になったかどうかを判定するためにボトルを秤量する、この問題に対する技術的解決策を開示する。しかしながら、ロボット支持構造体の形状、その大きさ、そしてそれが設置されるルーム内の過剰圧力および圧力変動を考慮すると、秤量セルによって得られる測定値は、それによって支持される実際の重量とは異なる可能性がある。本発明によれば、ルーム内の圧力に基づいて重量を補正することにより、高精度で血奬ボトルの重量を得ることが、そして残留物がボトル内に残っているかどうかを知ることができる。
【0007】
本発明の目的は、空にする処理の後に血液製剤の残留物が血奬ボトル内に残らないことを保証することである。ボトルを空にするための装置は、ボトルまたはボトルのセット内に残留物が残っていないことを保証するために、ボトルまたはボトルのセットの補正された重量値を、最初に較正されたボトルまたはボトルのセットの値と比較する。
【0008】
より具体的には、本発明は、重力で空にする処理が成功したかどうかを、信頼性が高い自動方式で判定するための手段を有するボトルエンプティヤーを提供することを目的とする。これを行うために、本発明は、空化(内容物の排出)を監視するためのユニットを備えた、凍結血液製剤のボトルを重力で空にするための装置を開示する。空化を監視するためのユニットは、空にされたボトルの重量をチェックするための自動ユニットを備え、当該自動ユニットは、重量を補正することなく空にされたボトルの重量を測定するための荷重検出システムと、空にする装置が設置されたルーム内の圧力を測定するための空気圧測定ユニットと、空気圧測定手段によって提供されるルーム圧力測定値に基づいて、荷重検出システムによって提供される荷重値を補正するための測定値補正ユニットとを備え、補正された荷重の値が所定の値以上である場合には重量チェックユニットが「空でない」信号を生成する。
【0009】
ボトルを空にする装置は、装置が設置されるルーム内の圧力の影響を補償するように構成された自動重量チェックユニットを備える。好ましくは、自動重量チェックユニットは、荷重検出システムから得られた値と、空にする装置が設置されるルーム内の圧力測定値とに基づいて、ボトルおよびその内容物の重量を高精度で得るように設計される。
【0010】
本発明はまた、空にする処理の後に血奬ボトルのいずれにも残留物が残っていないことを補完的に確認すると共に、当該処理が正確に実施されていることを保証するための光学デバイスを有する。この光学デバイスは、表面または要素がその検出範囲において干渉したときに検出信号を発生させる「レッドアイ」タイプの赤外線センサーを具備する。
【0011】
それが血液製剤を取り扱うという事実のために、ボトルを空にする装置は、当該装置が大気圧に対して過剰な圧力を受けるクリーンまたは無菌ルームで動作しなければならない。当該ルームのドアが開かれると、空気圧が低下し、重量測定値は支持されている実際の重量のそれとは異なることがある。ルーム内には空気処理ユニットが装備されており、これは、ルーム戻りパイプの開閉と共に、ルーム内の圧力の調整を可能にする。
【0012】
それによって圧力の変化が重量測定値に影響を与える二つの物理的原理が存在する。第1はフォームファクターおよび装置の秤量セルの位置に関係し、一方、第2の原因はアルキメデスの原理に関連する。フォームファクターおよび装置の秤量セルの位置に関して、装置のフランクに作用する圧力は、装置のフランクに作用する圧力によって生じる力が最終的に釣り合うために補償される。しかしながら、同じことは上面および下面においては起こらない。ここでは、圧力の結果として生じる力は装置の幾何学的形状のために補償されず、秤量セルはルーム内の圧力の影響を受ける。上記秤量セルは、通常、空にする装置の上部に、具体的には天井に取り付けられた装置サポートと天井との間に配置される。特に、秤量セルは、天井に取り付けられた装置サポートと天井との間の上側構造体内に配置される。アルキメデスの原理に関して、装置は真空状態にあるとは考えられず、空気で取り囲まれていると、すなわち流体中に浸漬されていると考えられる。アルキメデスの原理は、流体中に浸漬されたいかなる物体も、押し退けられた流体の重量に等しい垂直上向き推力を受けると述べている。押し退けられた流体の重量は流体の密度に依存する。ルーム内の圧力が変動すると空気の密度が変化し、その結果、空気によって装置にもたらされる推力が変化する。重量を正確に読み取るために(300kgの総質量から約100gを検出するために)、出願人は、さらに、全ての結果として生じる力の成分が垂直であるように最も遠い装置軌道の外側に秤量ポイントをとる上記秤量セルの三角測量を含む上側構造体を本発明に設けた。
【0013】
この点から、補正されていない重量は荷重として規定され、大気圧に対してルーム内の圧力に変動がある場合、実際の重量とは異なる。
【0014】
血漿ボトルは血液製剤を収容する。好ましくは、ボトルは血漿を収容する。より好ましくは、ボトルは固体形態の凍結血漿を収容する。
【0015】
ボトルエンプティヤーがボトルのバッチを開き、血奬ボトルの内容物を空にする。好ましくは、必ずしも必要ではないが、空にする装置は、分離させられて漏斗内に落ちるボトルの上端部を切断する切断ツールを備え、ボトルに収容された血奬は重力によって捕集漏斗内に取り出される。
【0016】
好ましくは、必ずしも必要ではないが、荷重検出システムは、印加される力を測定可能な電気信号に変換する秤量セルからなる。より好ましくは、荷重は、三つの秤量セルのシステムを使用する荷重検出システムによって測定される。
【0017】
好ましくは、必ずしも必要ではないが、重量チェックユニットは支持構造体の近くで装置の上部に配置され、ロボットおよび当該ロボットが取り扱うボトルを吊るす。
【0018】
好ましくは、必ずしも必要ではないが、重量チェックユニットと補完的な態様で、装置は、空にする処理が正しく実行されたことをチェックするための光学デバイスを備える。より好ましくは、光学デバイスは赤外線センサーを備える。
【0019】
好ましくは、必ずしも必要ではないが、装置はさらに、ルーム内戻りパイプの開閉と共に、ルーム内の過圧を調整することを可能にする空気処理ユニットを備える。
【0020】
また、本発明は、ボトルを空にする方法であって、
a)血奬ボトルのバッチを開くステップと、
b)血漿ボトルのバッチを空にするステップであって、血液製剤は重力によって落下するステップと、
c)荷重検出システムによって提供される荷重データを取得するステップと、
d)空気圧測定によって提供されるルーム内圧力データを取得するステップと、
e)圧力補償ユニットによって荷重値を補正するステップと、
f)重量チェックユニットを用いる秤量モードによってかつ光学検査モードによって、空にする処理後の血液製剤の残留物を検出するステップであって、秤量モードは、血奬ボトルのバッチと、既知の較正された質量との間の補正された重量の差に基づき、かつ、赤外線デバイスを用いた光学検査モードに基づくステップとを備える方法に関する。
【0021】
理解を助けるために、凍結血液製剤を収容するボトルを重力で空にするための装置の一実施形態の説明のためのものではあるが非限定的な図面が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る自動でボトルを空にする装置の斜視図である。
【
図2】空にする処理を実施している
図1の自動でボトルを空にする装置の斜視図である。
【
図3】各状況において、ルーム内の圧力と荷重検出システムの測定値との間の数学的相関関係を得るための較正方法の概略フロー図である。
【
図4】本発明の方法のフロー図であり、この方法においては、エンプティヤーが、空にする処理が完全に実施されかつ血液製剤の残留物が血漿ボトル内に残っていないことを確認する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して好ましい実施形態について説明する。
【0024】
ボトル2の重力エンプティヤー1は、ボトル2内に置かれた凍結血漿を取り出す処理を行う装置である。ボトル2を空にするための装置1は、分離させられて漏斗(図示せず)に落下する血奬ボトル2の上端を切り取る切断ツールを含み、これによって、ボトル2内に収容された血液製剤を捕集漏斗5内に重力によって落下させることができる。この目的のために、特別な保持ツールを備えたロボットアーム8が、装置のための把持手段を有する血漿ボトルのバッチを把持し、血液製剤を捕集するためにボトルを漏斗5の上に位置させる。ボトルが漏斗5の上にくると、ロボットアーム8は血奬ボトルを反転させ、重力によって血液生成物が捕集漏斗5内に落下する。
【0025】
ボトル2のエンプティヤー1は空化(内容物の排出)を監視するためのユニットを備えた装置であり、当該ユニットは、残留物を検出することによって血液製剤を空にする処理を監視するための自動重量チェックユニット4を備える。この装置は、重量チェックユニット4と補完的な方式で、空にする処理が正しく実行されたことを確認することを可能にする赤外線センサーを含む光学デバイス7を備える。センサーは、表面または要素がその検出範囲に干渉するときに検出信号を発生させる。赤外線センサーは、赤外線スペクトルでボトルおよびボトルの内容物のサーモグラフィーを実行する。上記センサーは、電磁スペクトルの中赤外線範囲内の検出物体からの放射から画像を生成する。全ての物体は、その温度に依存して一定量の黒体放射を(赤外線の形で)放射し、これによって、絶対ゼロ(0°ケルビン)よりも高い温度で全ての物質によって放射、伝達または反射される赤外線エネルギーを検出することが可能になる。上記センサーは、ルームの残りの部分との温度差によって残留内容物を検出する。別の可能性は、可視スペクトルにおけるセンサー(カメラ)を使用することであろう。
【0026】
装置が配置される実験ルームは、大気圧とは異なる圧力であるかもしれない。このタイプの作業では、ルームまたはチャンバーが過圧にさらされた状態に置かれることが一般的である。荷重検出システムの測定値は、測定が実施されたルーム内の空気の圧力に依存するので、既知の一定の質量の荷重測定値は、当該質量の実際の重量とは異なることがある。
【0027】
ボトル2を空にするための装置1は、当該装置が設置されるルーム内の圧力の影響を補償するように構成された重量チェックユニット4を備える。特に、重量チェックユニット4は、ボトル内に残留物が存在することを見つけ出すために、ルーム内の圧力の補償を用いて荷重測定値を補正することによって、血奬ボトル2の重量を高精度で得るように設計される。
【0028】
重量チェックユニット4の構成は、ルームの圧力を補償することによって、負荷の重量を高精度に測定することを可能にする。重量チェックユニット4は、荷重検出システムと、空気圧測定ユニットと、圧力補償ユニットとを具備する。荷重検出システムおよび空気圧測定ユニットは、圧力補償ユニットと共に、ボトル2のエンプティヤー1が、そこから装置1および当該装置が処理するボトル2が懸架される重量チェックユニット4を有するように、支持構造体3の上部における追加の構造体(図示せず)に取り付けられる。
【0029】
血奬ボトルのバッチ6は、把持手段によって一つにグループ化された複数の血奬ボトルからなる。好ましくは、ただし必ずしも必要ではないが、バッチ6は四つの血奬ボトルから形成される。
【0030】
荷重検出システムは、血奬ボトルのバッチ6の荷重を測定する。しかしながら、ルーム内の過剰圧力および圧力変動のために、荷重検出システムによって得られた測定値は、それによって支持される実際の荷重とは異なる場合がある。好ましくは、荷重検出システムは、加えられる力を測定可能な電気信号に変換する秤量セルからなる。より好ましくは、荷重は、三つの秤量セルのシステムを使用する荷重検出システムによって測定される。
【0031】
空気圧測定ユニットは、その中に、空にするための装置1が設置されるルーム内の圧力を測定し、その情報を圧力補償ユニットに送信する。
【0032】
圧力補償ユニットは、荷重検出システムによって提供される荷重測定値および空気圧測定ユニットによって提供される空気圧測定値を取得する。圧力補償ユニットは、空気圧測定ユニットによって提供されるルーム内の過剰圧力の測定値に基づいて、荷重検出システムによって提供される荷重測定値を補正する。したがって、圧力補償ユニットは、ルーム内の空気圧の測定値および荷重測定値に基づいて、重量アルゴリズムを使用して補正された重量を計算する。重量チェックユニット4は、補正された重量の値が所定値以上であれば「空でない」信号を生成する。
【0033】
ルーム内の圧力と荷重検出システム4aの測定値との間の数学的相関関係を得るために、既知の較正された質量の基準値が較正方法において使用される。
【0034】
ボトルを空にするための装置1は、血漿ボトルのバッチ6と既知の較正された質量の基準との間の補正された重量の差を用いて空にする処理が完了すると、ボトル2内の血液製剤の残留物を検出することによって、空にする処理を監視する。好ましくは、光学デバイス7もまた、重量チェックユニット4に対して補完的な方式で使用される。
【0035】
基準を較正するための方法は、
図3の流れ図を使用して以下のように説明される。第一に、ボトルエンプティヤーの一部を形成する把持手段に基準が置かれる(109)。次に、ルーム110a内の圧力で基準の荷重111aが測定される。次に、ルーム内の圧力が変更され(110b)、新たな荷重測定が実行される(111b)。その結果、それぞれの空気圧測定値110a,110b,110c,110dと共に複数の荷重測定値111a,111b,111c,111dが得られる。当該装置は、ルーム戻りパイプの開閉と共にルーム内の過圧の調整を可能にする空気処理ユニットを具備する。続いて、基準の荷重測定値111a,111b,111c,111dと空気圧測定値110a,110b,110c,110dとの間の数学的相関関係112が得られる。次いで、この数学的相関関係112は、ボトルを空にする装置が作動しているときに荷重検出システムによって測定された値がルーム内の圧力に従って補正されるように、重量アルゴリズム113に入力される。
【0036】
図4の流れ図に示すように、空にする処理を監視するためのボトルを空にするための方法は、以下のステップを含む。第一に、血奬ボトルまたは複数の血奬ボトルが、ボトルを空にする装置の一部を形成する把持手段内に置かれる。次に、この装置は、切り離されて漏斗(図示せず)内に落下する血奬ボトルの上端部を切断する(100)切断ツールなどを備え、ボトルに収容された血奬は、重力によって捕集漏斗内に取り出される(101)。ボトルを空にする装置は空にする処理102を監視し、この空にする処理が正しく完了したことを確認する。空にする処理102は、秤量システム104によって監視され、そして任意選択で補完的に、光学検査システム103によって監視される。秤量システム104は、荷重検出システムによって提供される荷重測定値105と、空気圧測定ユニットによって提供されるルーム圧力測定値106とを受け取る。続いて、補正された重量107は、ルーム圧力測定値106に基づいて荷重測定値105をバランスさせることによって計算される。最後に、補正された重量値が所定の値以上であれば、「空でない」信号108が生成される。好ましくは、この所定の値は、血奬ボトルのバッチと基準との間の補正された重量の差によって設定される。より好ましくは、上記所定の値はまた、光学検査システム103の出力応答に基づいて設定される。
【0037】
本発明を、その実施形態を参照して言及し説明してきたが、これらは本発明を限定するものではなく、本明細書、特許請求の範囲および図面に開示された主題を読み取った後に当業者に明らかとなるであろう多くの構造的またはその他の詳細を変更することが可能であることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の最も広い範囲によってカバーされると考えられるあらゆる変形例または等価物を含む。
【符号の説明】
【0038】
1 重力エンプティヤー
2 血奬ボトル
3 支持構造体
4 自動重量チェックユニット
4a 荷重検出システム
5 捕集漏斗
6 バッチ
7 光学デバイス
8 ロボットアーム
102 空にする処理
103 光学検査システム
104 秤量システム
105 荷重測定値
106 ルーム圧力測定値
107 重量
108 信号
110a 空気圧測定値
110b 空気圧測定値
110c 空気圧測定値
110d 空気圧測定値
111a 荷重測定値
111b 荷重測定値
111c 荷重測定値
111d 荷重測定値
112 数学的相関関係
113 重量アルゴリズム