特許第6656340号(P6656340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656340
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20200220BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   H01Q1/22 A
   H01Q1/12 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-206794(P2018-206794)
(22)【出願日】2018年11月1日
(62)【分割の表示】特願2017-207763(P2017-207763)の分割
【原出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-17117(P2019-17117A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2018年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】中田 徳純
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅史
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−223040(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0100521(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に収納され、上面側にアース電極を有し、アンテナ素子からの信号を受ける基板と、
前記ケースの底面を塞ぐ配置であり、前記基板を保持するベースと、を備え、
前記ベースは、前記アース電極と電気的に接続された金属部と樹脂部とを有し、
前記ベースの縁部には、補強リブが形成されており、
前記基板と、前記ベースとは、対向し、
記アース電極は、前記金属部と、ボルト部と前記ボルト部の周囲に設けられた爪とを有して車両パネルへ前記ベースを固定する金属取付金具を介して、前記車両パネルと電気的に接続される、アンテナ装置。
【請求項2】
前記基板は、前記ベースの前端部よりも後方に位置し、
前記アンテナ素子の前端は、前記前端部よりも後方で且つ上方に位置する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両パネルに取り付けられる車載用アンテナ装置等に適したアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ラジオアンテナ装置は、一般的に図10のように、電波を受信するアンテナ素子を含むエレメント1、内部を風雨から保護するケース2、エレメント1で受信した高周波信号を増幅するアンプ基板3、信号を伝達するケーブル(図示せず)、各部品を保持するベース4、車両パネル10へベース4を固定するナット6とを有している。アンプ基板3はベース4上に保持され、ケース2の底面がベース4で閉じられるとともにアンプ基板3はケース2内に収納される。ケース2の上部にエレメント1は取り付けられる(例えばケース2側が雌ネジ、エレメント1側が雄ネジで螺着される)。
【0003】
車載用ラジオアンテナ装置のベース4は、各部品を保持するとともに、ナット6を介して車両パネル10への固定を行い、また車両パネル10とのアース接続を行う等の機能がある。そのため、従来は作製形状の自由度が大きく、強度が高く、電気的導通の行なえる材料による作製方法である点で金属製のダイカスト品が主流となっている。
【0004】
一般的に金属の比重は大きいため、金属製ダイカスト品のベースは重いという問題があった。また、材料として融点が高いので金型設備も高価となり、製品価格も高くなっていた。また、電気を通す為、受信高周波信号の信号伝送用又は電源用ケーブルの芯線との間で短絡事故等を引き起こす危険性があった。一方、軽量化及びコストダウンを狙い、ベースの一部を樹脂にする構造はあったが、依然として金属部分はダイカスト品を使用しており、コストの優位性が無い状況であった。
【0005】
金属ダイカストのベースを示すものとして、下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−296095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の車載アンテナ装置用のベースは一般的に金属ダイカストで作製されていたが、軽量化及びコストの面では樹脂に優位性がある。しかし、樹脂は絶縁体であるため、アンプ基板と車両パネルとのアース接続を行う必要がある車載アンテナ装置のベースには不適当であった。
【0008】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、アース接続を行う部品の周囲に樹脂を設けたベース構造とすることで、部品の共通化に適し、かつ安価で軽量なアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、アンテナ装置である。このアンテナ装置は、ケースと、前記ケース内に収納され、上面側にアース電極を有し、アンテナ素子からの信号を受ける基板と、前記ケースの底面を塞ぐ配置であり、前記基板を保持するベースと、を備え、
前記ベースは、前記アース電極と電気的に接続された金属部と樹脂部とを有し、
前記ベースの縁部には、補強リブが形成されており、
前記基板と、前記ベースとは、対向し、
記アース電極は、前記金属部と、ボルト部と前記ボルト部の周囲に設けられた爪とを有して車両パネルへ前記ベースを固定する金属取付金具を介して、前記車両パネルと電気的に接続されることを特徴とする。
【0010】
前記態様において、前記基板は、前記ベースの前端部よりも後方に位置し、
前記アンテナ素子の前端は、前記前端部よりも後方で且つ上方に位置するとよい。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアンテナ装置によれば、アース接続を行う部品の周囲に樹脂を設けたベース構造とすることで、大部分を金属に比べて軽量な樹脂で構成できる。このため、軽量化を図るとともにダイカスト成型に比べて安価に作製可能である。また、前記アース接続を行う部品は共通に用いて、樹脂成型品の形状を変化させることで、多様な状況に対応でき、部品の共通化に適する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るアンテナ装置の実施の形態の全体構成を示す分解側面図。
図2】実施の形態において、ケースの底部を塞ぐベースの側断面図。
図3】同じくベースの斜視図。
図4】アース接続のために前記ベースに設けられる板金部品の斜視図。
図5】実施の形態において、ベース上にアンプ基板を固定した状態の斜視図。
図6】実施の形態において、ベースを車両パネルに載置し、ベース側のナットに金属取付金具のボルト部を螺合して締め付けた状態の側断面図。
図7】前記板金部品を共通使用して、車両パネル側の穴形状に合わせてベースの凸部形状を変更した場合の説明図。
図8】前記板金部品を共通使用して、ケースの底面形状に合わせてベースの輪郭形状を変更した場合の説明図。
図9】本発明の他の実施の形態であって、ベース側に設ける金属ナットの代わりに金属ボルトを用いた構成の側断面図。
図10】従来の車載用ラジオアンテナ装置の分解側面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0015】
図1乃至図6は本発明に係るアンテナ装置の実施の形態であって、車載用ラジオアンテナ装置の例を示す。車載用ラジオアンテナ装置は、図1のように、電波を受信するアンテナ素子(ロッドアンテナ、ヘリカルコイル等)を含むエレメント1、内部を風雨から保護する樹脂製ケース2、エレメント1で受信した高周波信号を増幅するアンプ基板3、アンプ基板3で増幅した信号の伝達用及びアンプ基板3への電源供給用のケーブル5(図2等参照)、各部品を保持するベース20、車両ルーフ等の金属板状の車両パネル10へベース20を固定する爪付きの金属取付金具50とを有している。ケース2の上部にエレメント1は取り付けられる(例えばケース2側が雌ネジ、エレメント1側が雄ネジで螺着される)。
【0016】
前記ベース20は、図2及び図4のように金属締結部品としての金属ナット40を溶接等で固着した板金部品21の周囲を樹脂で一体成型(いわゆるインサート成型)したものであり、従って板金部品21とこれと一体の樹脂部30とから構成される。ベース20はケース2の底面を塞ぐ(閉じる)配置であって、樹脂部30の周縁部の取付穴31を利用してビス等でケース2に固定される。
【0017】
図4に示すように、板金部品21は、底面部22と、これに対して対角位置で垂直に立ち上がった一対(複数)の腕部23とを有する。また、底面部22には円形の段差面24がしぼり加工で形成されるとともに、底面部22の縁部が折り曲げられて補強リブ25が形成されている。段差面24と補強リブ25は板金部品21の肉厚が薄い場合の曲げ強度改善のために設けられている。底面部22(段差面24)には軽量化のために抜き穴22aが形成されている。図2から判るように、金属ナット40は中心部に凸部41がある段付きのナット(パイロット付きナット)であり、底面部22の中央部には凸部41が嵌合するナット位置決め穴26が形成されている。板金部品21と金属ナット40相互の電気的接続を確実にするために、金属ナット40は溶接やはんだ付けで板金部品21に固着されている。
【0018】
樹脂部30は略長円形の輪郭を成し、その下面側中央部に車両パネル10(例えば車両ルーフ)の方形取付穴11に嵌合する形状の嵌合凸部32が形成されている。嵌合凸部32には金属ナット40の雌ネジ穴42が露出する穴部33が形成されている。また、樹脂部30の上面側にも金属ナット40の雌ネジ穴42が露出する穴部34が形成されている。前記穴部33には樹脂部30の成型後に金属チューブ55が圧入されている。金属チューブ55の上端は金属ナット40の凸部41に当たっている。嵌合凸部32には、これを貫通するようにケーブル引出穴39が形成され、アンプ基板3に接続されたケーブル5がケーブル引出穴39を通して外部に引き出される。
【0019】
図2及び図3に示すように、板金部品21から立ち上がった複数の腕部23は樹脂部30の上面から突出しており、腕部23の上端部は切込み23aを入れることで折曲げ可能な折曲げ部23bとなっている。また、樹脂部30の上面にはアンプ基板3の下面を所定高さで支えるボス35が複数個形成されている。そして、図5のようにアンプ基板3をベース20上、つまり一対の対角位置にある腕部23間に載置し、その後腕部23の折曲げ部23bを折り曲げてアンプ基板3のアース電極3aにはんだ付け、導電性接着剤等で電気的に接続する。図5のようにベース20上にアンプ基板3を搭載し、腕部23で保持した状態にてケース2をベース20上に被せ、アンプ基板3をケース2内に収納する。
【0020】
図6は、ベース20を車両パネル10に載置し、ベース側のナット40に金属取付金具50のボルト部51を螺合して締め付けた状態を示す。但し、ケース2及びアンプ基板3の図示は省略してある。図6に示すように、車両ルーフ等の車両パネル10への取り付けは、その方形取付穴11にベース20下面の嵌合凸部32を嵌合し、爪付きの金属取付金具50のボルト部51を金属ナット40の雌ネジ穴42に螺合し、かつ爪52に一体に形成された内側へのL字状折曲げ腕部53を樹脂部30下面の係止溝37に係合させた状態で締め付けることによって行う。これにより、金属取付金具50のボルト部51の周囲に設けられた爪52が車両パネル10の面に食い込み金属取付金具50が車両パネル10に電気的に接続される。従って、アンプ基板3のアース電極3aは板金部品21の腕部23、底面部22、金属ナット40、金属取付金具50のボルト部51、爪52の経路で車両パネル10に電気的に接続され、アース電極3aの車両パネル10へのアース接続が達成される。なお、金属チューブ55がボルト部51の周囲にあるため、金属取付金具50の締め付け限度は、爪52の基部上面が金属チューブ55に当接する位置までに規制される。また、板金部品21は爪52の先端の外径よりも大きく設定されている。従って、爪52の先端は板金部品21の下面領域(図6の矢印Eで示す範囲)内側に位置しているので、ボルト部51による締め付けによって発生する爪先端の押圧力を板金部品21で受け止めることができる。これにより、ベース20の樹脂部30に大きな応力は加わらず、確実な締め付け固定が可能である。
【0021】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0022】
(1) ベース20の材質の大部分を比重の大きい金属から比重の小さい樹脂にすることにより、従来の金属ダイカスト製ベースに比べて軽量化を図ることができる。
【0023】
(2) 金属ダイカストの場合、材料として融点が高い金属を用いるので金型設備が高価であるのに対し、樹脂成型は設備が簡単で材料自体も安い。従って、板金部品21の周囲に樹脂を設けたベース20の方が安価に製造可能である。
【0024】
(3) 従来の金属ダイカスト製ベースであると、導体であるため、ラジオの信号線やアンプ基板3の電源線とベースとが接触した場合、短絡事故が発生する危険性があったが、樹脂部30で板金部品21を覆う本例のベース20では、ベース20の表面で電気を通さないため、ラジオの信号線及びアンプ基板3の電源線との短絡を防止でき、安全性の高い製品となる。
【0025】
(4) 板金部品21の材料にはブリキ等のはんだ性に優れている材料を選定することができ、部品点数の削減による軽量化やコストダウンを狙い、アンプ基板3の保持にネジ等を使用せずはんだ接続による保持が可能である。
【0026】
図7は板金部品を共通使用して、車両パネル側の取付穴形状に合わせてベース20の凸部形状を変更した場合を説明するものであり、同図(A)の板金部品21は図1乃至図5で説明した実施の形態と共通のものであり、同図(B)のように板金部品21と一体に形成される樹脂部30の嵌合凸部32Aを略正四角筒状に形成することで、同図(C)の略正方形の取付穴11Aに適合するベース構造を実現できる。また、共通の板金部品21を用い、図7(D)のように樹脂部30の嵌合凸部32Bを平断面が略長方形の略四角筒状に形成することで、同図(E)の略長方形の取付穴11Bに適合するベース構造を実現できる。
【0027】
図7で説明したように、アンプ基板3の保持及びアース接続を行う板金部品21を共通部品とし、その周囲の樹脂成型形状を変更することで車両パネルの多様な形状、大きさの取付穴に対応できる構造を実現できる。
【0028】
図8は板金部品を共通使用して、ケースの底面形状に合わせてベース20の輪郭形状を変更した場合を説明するものであり、同図(A)の板金部品21は図1乃至図5で説明した実施の形態と共通のものであり、ケース底面形状が小さい場合、同図(B)のように輪郭形状の小さい樹脂部30Aを板金部品21と一体に成型すれば良く、ケース底面形状が大きい場合、同図(C)のように輪郭形状の大きい樹脂部30Bを板金部品21と一体に成型すれば良い。
【0029】
図8で説明したように、アンプ基板3の保持及びアース接続を行う板金部品21を共通部品とし、その周囲の樹脂成型形状を変更することでアンテナ装置のケースサイズの違いに対応できる構造を実現できる。
【0030】
図9は本発明の他の実施の形態であって、ベース20の部分のみを示す。この場合、板金部品21の底面部22の中央部にはナット位置決め穴の代わりにボルト取付穴25Aが形成され、ボルト取付穴25Aに挿通された金属締結部品としての金属ボルト45の頭部が溶接やはんだ付けで板金部品21に固着されている。車両パネルへの取り付けは、図10の従来例の場合と同様にナット6(例えば金属製爪付きナット)を用いることができる。
【0031】
図9の実施の形態の場合も金属締結部品が変更された点を除けば、図1乃至図5に示した実施の形態と同様の作用、効果が得られる。
【0032】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0033】
板金部品21に対する金属ナット40の固定及び電気的な接続を、機械的なかしめで行っても良い。また、板金部品21にバーリング加工を施した後、直接雌ネジ加工することも可能である。
【0034】
板金部品21の腕部23は、少なくとも1個あれば、アンプ基板3のアース電極3aとの電気的接続が可能である。但し、アンプ基板3の機械的な保持のためには複数個設けられることが好ましい。
【0035】
アンテナ装置の種類によっては、基板上にアンプが搭載されない場合があるが、本発明は、アンプが搭載されない基板をケース内に有するアンテナ装置にも適用可能であることは自明である。
【符号の説明】
【0036】
1 エレメント
2 ケース
3 アンプ基板
3a アース電極
4,20 ベース
6,40 ナット
10 車両パネル
11,11A,11B 取付穴
21 板金部品
22 底面部
23 腕部
23a 切込み
23b 折曲げ部
25 補強リブ
26 ナット位置決め穴
30,30A,30B 樹脂部
32,32A,32B 嵌合凸部
41 凸部
50 金属取付金具
51 ボルト部
52 爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10