(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のノードは、デイジー−チェーン(daisy-chain)の構造でつながった複数のリモートユニットを含み、互いに隣接するリモートユニットの間で同じ周波数バンドを使用しないことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分散システム。
前記複数のMIMOサービスのうちの少なくとも一部は、互いに異なる個数のMIMOダウンリンク信号を使用することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分散システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、より詳しくはMIMOサービスをサポートするアンテナ分散システム(distributed antenna system、DAS)に関する。
【0002】
この部分に記述された内容は、単に本実施例の背景情報を提供するに留まり、従来の技術を構成するものではない。
【0003】
無線通信システムは、不感地帯が発生しないように、セルカバレッジを調節するが、実際の環境下では、建物や地下トンネルなどによる不感地帯が発生する。アンテナ分散システム(以下、「DAS」と略す)は、このような不感地帯に多数の分散アンテナを配置し、不感地帯にサービスのカバレッジを提供するために使用されてきた。
【0004】
近年、従来の2G(GSM(登録商標)、CDMA)、3G(W−CDMA)サービスに比べて高いデータ転送速度を提供するLTE、LTE−Aサービス等が活発に普及している。 LTEとLTE−Aシステムでは、限られたバンド幅で高いスループット(through-put)を得るために、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が検討されている。
【0005】
図1aないし
図1dは、従来のMIMOサービスをサポートしない例示的なDASシステムを示している。一例によると、ヘッドーエンドユニットが1つの同軸ケーブルを介してリモート・ユニットにつながり、リモートユニットがリレーされた複数のアンテナを介して複数のサービスを同時に提供する(
図1a参照)。別の例によると、ヘッドーエンドユニットが1つの光ケーブルを介してハブユニットにつながり、ハブユニットはデイジー−チェーン(Daisy-chain)の構造でつながったアンテナ一体型のリモートユニットにつながる(
図1c参照)。これらのサービスは、異なる周波数バンドで動作することから、1つの同軸ケーブルまたは1つの光ケーブルを介して伝播されても、相互干渉を起こさない。
【0006】
ところが、MIMO技術の登場で状況が変わった。MIMO技術は、複数のアンテナを介して同じ周波数バンドを共有する複数のMIMO信号を送受信するためのものである。これにより、2Gと3Gサービスをサポートする目的で設置されたSISO(Single Input Single Output)専用のアンテナ分散システムには、MIMOをサポートするLTE機器を1T1Rのみ接続するか(
図1aおよび
図1cを参照)、追加の同軸ケーブルや光ケーブルを取り付けなければならない(
図1bおよび
図1d参照)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を介して詳しく説明する。
【0017】
明細書に記載された「...部」、「モジュール」、「ブロック」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェアまたはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現できる。明細書に記載された「周波数上方変換」、「周波数上方移動」は、元の周波数から別の周波数に変換させることを意味し、「周波数下方変換」、「周波数下方移動」は、移動された周波数を元の周波数に変換することを意味する。
【0018】
図2、
図3及び
図4は、本発明に係る、DASの第1のノードが1つの同軸ケーブルを介して第2のノードにつながるいくつかの実施例の構造を概略的に示す図である。本発明に係るDASの構成及び動作についての理解の便宜のために、
図2、
図3及び
図4では、2つの非−MIMOサービスと1つのMIMOサービスをサポートする例示的なDASを示した。同様の趣旨で図示したMIMOサービスは2×2MIMOサービス、すなわち同じ周波数バンドでアップリンク、ダウンリンクにそれぞれ2つのMIMO信号を使用する。前記非−MIMOサービス、MIMOサービスは、1つのMIMOサービスに用いるMIMO信号の数は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0019】
図2及び
図3に図示した実施例において、DASの第1のノードには、ヘッドーエンドユニット(Head-end Unit、10)と、前記ヘッドーエンドユニット10に光ケーブルを介してつながった少なくとも1つのハブユニット(Hub Unit、20)が配置される。ヘッドーエンドユニット10は、複数の基地局(base station)と直接つながるか、BDA(Bi-Directional Amplifier)などを介して間接的につながる。前記基地局は、2G、3Gのような非−MIMOサービスを提供する基地局だけでなく、4G、5G、802.11n、WiMAX802.16eのようなMIMOサービスを提供する基地局を含む。ハブユニットは、例えば、建物の各フロアに配置し、互いに遠距離で配置されたヘッドーエンドユニット10と各フロアに分布された複数のリモートユニット(Remote Unit、30a、30b、31a、31b)の間で信号を中継し、遠距離伝送によるRF信号の減衰を補償する役割を行う。
【0020】
DASの第2のノードには、複数のリモートユニット30a、30b、31a、31bが配置される。複数のリモートユニット30a、30b、31a、31bは、デイジー−チェーン(Daisy-chain)の構造でつながる。デイジー−チェーン構造でつながった複数のリモートユニット30a、30b、31a、31bは、1つの同軸ケーブル(single coaxial cable)を介し、第1のノードのハブユニット20につながる。リモートユニット30a、30b、31a、31bは、アンテナと一体型として具現でき、分離型としても具現できる。また、リモートユニット30a、30b、31a、31bには、1つのアンテナがつながったり、あるいは複数のアンテナがつながる。
【0021】
一方、
図4に図示した実施例では、第1のノードにはハブユニットが存在せず、ヘッドーエンドユニットが、前記1つの同軸ケーブルを介して複数のリモートユニットに直接つながる。
【0022】
2×2MIMOサービスでは、アップリンク及びダウンリンクのパスでそれぞれ2つのMIMO信号が同じ周波数バンドを使用する。例えば、
図2のLTEスモールセルのチャンネル1CH1とチャンネル2CH2を介してそれぞれ出力されるMIMOダウンリンク信号は、同じ周波数バンドを使用し、チャンネル1CH1とチャンネル2CH2を介してそれぞれ入力されるMIMOアップリンク信号も同じ周波数バンドを使用する。したがって、1つのMIMOサービスの2つのMIMO信号が1つの同軸ケーブルを介して伝播する間に、信号間に相互干渉を避けるために、信号は周波数変換を介して互いに分離される必要がある。例えば、第1のノードと第2のノードがMIMO信号を送受信する際には、送信側ノードで周波数上方変換が行われ、受信側ノードで元の周波数に変換する周波数下方変換が行われる。これらの周波数上方変換及び周波数下方変換はダウンリンク及びアップリンクの両方に適用され、したがって、周波数上方変換及び周波数下方変換は、第1のノード及び第2のノードの両方で行われる。
【0023】
まず、
図2を参照し、本発明の一実施例を説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施例に係る、DASの第1のノードが1つの同軸ケーブルを介して第2のノードとつながった構造を概略的に示す図である。
【0025】
図2には、非−MIMOサービスを提供する2G基地局及び3G基地局とそれぞれ非−MIMO信号を送受信し、MIMOサービスを提供するLTE基地局と2つのMIMO信号(すなわち、第1のMIMO信号及び第2のMIMO信号)を送受信するヘッドーエンドユニット10が図示されている。ヘッドーエンドユニット10は、基地局と、マルチプレクサ(multiplexer、211)を介し、非−MIMO信号と第1のMIMO信号を送受信する。また、ヘッドーエンドユニット10は、デュプレクサ(duplexer、221)を介してLTE基地局から第2のMIMO信号を送受信する。
【0026】
ダウンリンクとアップリンクは、互いに対称的に処理されるので、以下では、主にダウンリンクでの信号処理を説明する。
【0027】
ヘッドーエンドユニット10のマルチプレクサ211から出力された非−MIMOダウンリンク信号と第1のMIMOダウンリンク信号は、増幅回路212aで増幅された後、電−光変換器213aで第1の波長の光信号に変換される。デュプレクサ221から出力された第2のMIMOダウンリンク信号は、増幅回路222aで増幅された後、電−光変換器223aで第2の波長の光信号に変換される。変換された光信号は、1つの光ケーブルを介し、WDM(Wavelength Division Multiplexing)モジュール214、224、225を用いてハブユニット20に送信される。ダウンリンク光信号とアップリンク光信号は、それぞれ光信号の波長に区分される。ヘッドーエンドユニット10のWDMモジュールは、ダウンリンク光信号とアップリンク光信号との間の分離/結合のための一対のWDM MUX214、224と、「非−MIMO信号及び第1のMIMO信号の結合信号」と「第2のMIMO信号 」との間の分離/結合のためのWDM MUX/DEMUX225を含む。
【0028】
ハブユニット20は、前記光ケーブルを介して前記ヘッドーエンドユニット10からマルチ
プレクシングされた光信号を受信する。ハブユニット20のWDMモジュール251、252、262は、前記マルチ
プレクシングされた光信号を第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号に分離(すなわち、demultiplexing)する。第1の波長の光信号は、光−電変換器253aを介して「非−MIMOダウンリンク信号及び第1のMIMOダウンリンク信号」に変換される。変換された信号は、増幅された後、マルチバンドフィルタ(multi-band filter:MBF、258)を経てダイプレクサ(diplexer、259)に入力される。ここで、マルチバンドフィルタは、非−MIMOダウンリンク信号及び第1のMIMOダウンリンク信号に対する各周波数帯域ごとのフィルタリングおよび/またはこれらの信号をマルチ
プレクシングまたは逆マルチ
プレクシングする機能を行う。
【0029】
第2の波長の光信号は、光−電変換(263a)を介して「第2のMIMOダウンリンク信号」に変換される。変換された信号は、周波数変換回路264、265aによって該当サービスの元の周波数バンドから空いている他の周波数バンドに周波数変換される。周波数変換された第2のMIMO信号は、帯域通過フィルタ(band pass filter:BPF、266a)、増幅回路267a、およびMBF268を経てダイプレクサ259に入力される。
【0030】
ハブユニット20のダイプレクサ259は、非−MIMOダウンリンク信号、第1のMIMOダウンリンク信号及び周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号を結合し、1つの同軸ケーブルを介してDASの第2のノードに位置するリモートユニット30a、30b、31a、31bに伝送する。ダイプレクサ259に入力される第1のMIMOダウンリンク信号と周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号は、互いに異なる周波数を有することで、相互間の干渉が排除される。ダイプレクサ259は、ダウンリンクパスにおいて信号コンバイナ(signal combiner)として動作し、アップリンクパスにおいて信号の分割器(signal splitter)として動作する。
【0031】
DASの第2のノードに位置する複数のリモートユニット30a、30b、31a、31bの中において、MIMOをサポートするリモートユニット31a、31bは、第1のMIMOダウンリンク信号と周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号を受信し、第1のMIMOダウンリンク信号を第1のアンテナを介して伝播し、周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号を元のサービス周波数バンドに周波数変換した後、第2のアンテナを介して伝播する。MIMOをサポートするリモートユニット31a、31bの具体的な構成及びその動作は後述する。MIMOをサポートしないリモートユニット30a、30bは、MBFなどを利用して非−MIMOダウンリンク信号及び第1のMIMOダウンリンク信号を選択的に抽出した後、自分のアンテナを介して伝播する。
【0032】
一方、本実施例ではMIMOをサポートするリモートユニット31a、31bが第1のMIMOダウンリンク信号と周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号を受信するものとして説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、MIMOをサポートしないリモートユニット30a、30bが第1のMIMOダウンリンク信号を受信してアンテナを介して伝播し、MIMOをサポートするリモートユニット31a、31bは、周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号を受信し、周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号を元のサービス周波数バンドに周波数変換した後、アンテナを介して伝播するように構成することもできる。この場合には、リモートユニット31a、31bとリモートユニット30a、30bが互いに協力してMIMOサービスをサポートすることになる。
【0033】
前述したように、アップリンクでは、ダウンリンクと対称的に処理される。特に、MIMOをサポートするリモートユニット31a、31bは、一対のアンテナから受信される第1のMIMOアップリンク信号及び第2のMIMOアップリンク信号の中から、第2のMIMOアップリンク信号をサービスの元の周波数バンドから他の周波数バンドに周波数変換する。第1のMIMOアップリンク信号と周波数変換された第2のMIMOアップリンク信号は、前記1つの同軸ケーブルを介して第1のノードのハブユニット20に伝送される。第1のノードに配置されたハブユニット20は、周波数変換された第2のMIMOアップリンク信号を元の周波数バンドの信号に周波数変換する。
【0034】
図3は、本発明の他の実施例に係る、DASの第1のノードが1つの同軸ケーブルを介して第2のノードにつながる構造を概略的に示す図である。
図3に図示した実施例は、第1のノードの周波数変換がハブユニット20でなく、ヘッドーエンドユニット10で行われるという点で、
図2に図示した実施例と異なる。他の信号処理及び各ユニットのインターフェイスは、
図2及び
図3の間で実質的に同一である。
【0035】
図4は、本発明のもう1つの実施例に係る、DASの第1のノードが1つの同軸ケーブルを介して第2のノードにつながる構造を概略的に示す図である。
図4に図示した実施例は、第1のノードではハブユニットが存在せず、複数のリモートユニットとヘッドーエンドユニットが、前記1つの同軸ケーブルを介して直接つながる。ダウンリンクでは、マルチプレクサ411から出力された非−MIMO信号と第1のMIMO信号は、増幅回路412aとMBF416を経てダイプレクサ417に入力される。デュプレクサ421から出力された第2のMIMO信号は、増幅回路422a及び周波数変換回路423、424aを経る。周波数変換された信号は、再び増幅回路425a及びMBF426を経てダイプレクサ417に入力される。ダイプレクサ417は、非−MIMO信号、第1のMIMO信号、及び周波数変換された第2のMIMO信号を結合し、1つの同軸ケーブルを介してDASの第2のノードに位置するリモートユニットに伝送する。
【0036】
一方、周波数変換は、ローカル発振器(local oscillator、例えば、
図2の264)によって生成されたミキシング信号(mixing signal)を第2のMIMO信号にミキシングすることによって行われる。ミキサー(mixer、例えば、
図2の265a、265b)は、周波数frの第2のMIMO信号を周波数fmのミキシング信号とミキシングする。
【0037】
ミキサーの出力は、下記の数1で示す周波数を有する。
【0039】
ここで、下記の数2で示す周波数は物理的に何の意味もない。
【0041】
ミキサーの後段に位置するフィルタ(例えば、
図2のBPF266a、266b、MBF268、デュプレクサ221)は、これらの可能な周波数の組み合わせの中から所望の周波数の出力を抽出する。
【0042】
図2、
図3、及び
図4では、1つのMIMOサービスをサポートする簡略化されたDASの構成を示した。以下では、
図5ないし
図7を参照し、3つのMIMOサービスをサポートするDASシステムの第1のノード及び第2のノードでの周波数変換方式に関するいくつかの実施例を説明する。
図5ないし
図7において、(a)は、DASシステムの第1のノードに位置するヘッドーエンドユニットまたはハブユニットの一部の構成を示したものであり、(b)は、第2のノードに位置するMIMOをサポートするリモートユニットを示したものである。複数のMIMOサービスに対する周波数変換方式についての理解のために、非−MIMOサービスのための構成を省略したことに留意すべきである。同じ趣旨で、第1のノードに位置するヘッドーエンドユニット(もしくはハブユニット)が基地局とMIMO信号を送受信するためのインタフェース回路(例えば、マルチプレクサ、デュプレクサ、WDMなど)を省略した。
【0043】
実施例1
図5の(a)を参照すると、本実施例では、DASシステムの第1のノードに位置するヘッドーエンドユニットまたはハブユニットは、各MIMOサービス別に、同じ周波数バンドで2つのMIMO信号を受信する。
【0044】
MIMOサービスの第1のMIMO信号は、ダウンリンク/アップリンクパスの両方で、周波数変換なしに、それぞれのパワーレベルが調整された後、1つの信号に結合される。すなわち、第1のMIMOダウンリンク信号は、ダウンリンクMBF513aにて個々のバンドに分離され、それぞれ増幅された後、ダウンリンク/アップリンクMBF515にて1つの信号に結合される。同様に、第1のMIMOアップリンク信号は、ダウンリンク/アップリンクMBF515にて個々のバンドに分離され、それぞれ増幅された後、ダウンリンクMBF513bにて1つの信号に結合される。
【0045】
MIMOサービスの第2のMIMOダウンリンク信号は、個々のバンドに分離されないまま、1つのミキサー522aを介して周波数上方変換される。同様に、第2のMIMOアップリンク信号は、個々のバンドに分離されないまま、1つのミキサー522bを介して元の周波数バンドに周波数下方変換される。さらに、ダウンリンクパスのミキサー522aとアップリンクパスのミキサー522bでは、1つのローカル発振器521によって生成された同じミキシング信号を用いる。すなわち、第2のMIMOダウンリンク信号と第2のMIMOアップリンク信号の周波数バンドは、同じ周波数(すなわち、前記1つの
ミキシング信号の周波数)ほど移動する。周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号は、ダウンリンクMBF523aにて個々のバンドに分離されてそれぞれ増幅された後、ダウンリンク/アップリンクMBF525にて1つの信号に結合される。
【0046】
増幅された第1のMIMOダウンリンク信号の結合信号と増幅された第2のMIMOダウンリンク信号の結合信号は、ダイプレクサ530によって再び1つの信号に結合される。ダイプレクサ530は、ダウンリンクパスにて信号コンバイナとして動作し、アップリンクパスにて信号スプリッタとして動作する。
【0047】
リモートユニットでの周波数変換及び信号増幅もヘッドーエンドユニット(もしくはハブユニット)と実質的に同じ方式で行われる。
図5の(b)に示すように、第1のノードから受信される結合信号は、ダイプレクサ560により、第1のMIMOダウンリンク信号の結合信号と第2のMIMOダウンリンク信号の結合信号に分離される。第1のMIMOダウンリンク信号の結合信号は双方向スプリッタまたはダイプレクサ552を経て、ダウンリンクMBF556aに入力される。結合信号は、ダウンリンクMBF556aによって個々のバンドに分離されてそれぞれ増幅された後、ダウンリンク/アップリンクMBF558にて1つのRF信号に結合され、対応するアンテナ559に伝達される。第2のMIMOダウンリンク信号の結合信号は、まず、ダウンリンク/アップリンクMBF562によって個々のバンドに分離されたまま、それぞれ増幅されるプロセスを経た後に、第1のMIMOダウンリンク信号の結合信号と同じ方式で処理される。
【0048】
本実施例では、1つのリモートユニットが第1のMIMOダウンリンク信号と第2のMIMOダウンリンク信号の両方を処理するものとして説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、
図5(b)で第1のMIMOダウンリンク信号を処理するAブロックと第2のMIMOダウンリンク信号を処理するBブロックをそれぞれ別個のRUとして構成し、各RUをダイプレクサにつないで構成することもできる。これは、
図6ないし
図8にも同様である。
【0049】
本実施例の場合、第2のMIMO信号が、個別に分離されないまま、同じミキシング信号がミキシングされることから、ミキシングされた信号から各サービスごとに、所望の周波数帯域の信号を抽出しなければならないMBFの複雑さが、後述する他の実施例よりも比較的高い。また、アップリンク/ダウンリンクのパスでは、各周波数バンドごとに分離した後、増幅を行う必要があるため、能動素子(active device)が最も多く必要になる。一方、ダウンリンクパスのミキサーとアップリンクパスのミキサーに同じミキシング信号が使用されるところ、第1のノード及び第2のノードにそれぞれ1つのローカル発振器のみ(これにより、1つのPLL(phase lock loop)回路のみ)必要になるという長所を有する。
【0050】
実施例2
図6は、本発明の他の実施例に係る、3つのMIMOサービスをサポートするDASシステムの構成を概略的に示す図である。MIMOサービスの第1のMIMO信号は、ダウンリンク/アップリンクのパスでは、
図5の実施例と同様に処理される。
【0051】
本実施例では、ダウンリンクの周波数バンドとアップリンクの周波数バンドが互いに独立して周波数変換される。すなわち、第1のノードにて、第2のMIMOダウンリンク信号は、第1のローカル発振器621a及び第1ミキサー622aを介して周波数上方変換され、第2のMIMOアップリンク信号は、第2のローカル発振器621b及び第2ミキサー622bを介して周波数下方変換される。したがって、ダウンリンクの周波数バンドは、第1のローカル発振器621aによって生成された第1の
ミキシング信号の周波数ほど移動(shift)し、アップリンクの周波数バンドは、第2のローカル発振器621bによって生成された第2ミキシング信号の周波数ほど移動する。
【0052】
図6には、第2のMIMO信号が、一部の区間では、それぞれのバンドに分離されないまま増幅され、他の一部区間では、それぞれのバンドに分離され、各バンドごとに増幅される構成が示されている。第2のMIMO信号が経由する経路において、
図5の場合、MBF523a、523b、525、562、564a、564b、566a、566b、568などが使用されるのに対し、
図6では、デュプレクサ625、662及びBPF623a、623b、664a、664bが部分的に使用されたことに留意すべきである。例示した構成とは異なり、すべての区間においてそれぞれのバンドに分離され、各バンドごとに増幅されることも可能である。
【0053】
本実施例の場合、第2のMIMO信号が、アップリンクバンドとダウンリンクバンドに分割され、それぞれの周波数変換されることで、マルチバンドフィルタMBFの複雑さが、実施例1と実施例3の中間程度である。また、アップリンクバンドとダウンリンクバンドにだけ分離した後、増幅を行うため、能動素子が少なく要され、したがって消費電力の面で利点を有する。ただし、アップリンクバンド及びダウンリンクバンドに分離し、互いに異なる周波数だけ周波数変換するので、追加で用いる周波数帯域が他の実施例に比べて相対的に最も大きい。
【0054】
実施例3
図7は、本発明の他の実施例に係る、3つのMIMOサービスをサポートするDASシステムの構成を概略的に示す図である。MIMOサービスの第1のMIMO信号は、ダウンリンク/アップリンクのパスでは、
図5の実施例と同様に処理される。
【0055】
本実施例では、ダウンリンクの周波数バンドとアップリンクの周波数バンドが互いに独立して周波数変換される。さらに、ダウンリンクの周波数バンドは、高い周波数バンドと低い周波数バンドに分類され、周波数変換されて増幅される。同様に、アップリンクの周波数バンドは、高い周波数バンドと低い周波数バンドに分類され、周波数変換されて増幅される。
【0056】
図7の(a)と(b)に示すように、第2のMIMOダウンリンク信号は、デュプレクサ710、750により、高い周波数帯域に該当する信号の第1グループと低い周波数バンドに該当する信号の第2のグループに分類される。各ダウンリンクグループは、互いに別個の周波数変換回路及び増幅回路を有する。同様に、第2のMIMOアップリンク信号は、デュプレクサ720、760により、高い周波数帯域に該当する信号の第1のグループと低い周波数バンドに該当する信号の第2のグループに分類される。各アップリンクグループは、互いに別個の周波数変換回路及び増幅回路を有する。もちろん、隣接する周波数帯域に該当する信号同士で3つ以上のグループに分類することも可能である。
【0057】
本実施例においても、
図6と同様に、第2のMIMO信号が、一部区間では、それぞれのバンドに分離されないまま処理されることに留意する。つまり、一部の区間では、デュプレクサ715、725など、BPF713a、713bなどが使用される。
【0058】
本実施例のDASシステムは、リモートユニットの観点で、フィルタブロックの複雑さが最も低い。第2のMIMO信号のためのダウンリンク及びアップリンクのパスごとに、それぞれ2つのローカル発振器(これにより、それぞれ2つのPLL回路)が必要である。また、4つのグループを、互いに独立して周波数変換することができることから、4つのグループをそれぞれ適切な周波数帯域に独立して周波数移動することができる。さらに、本実施例は、実施例2より信号増幅のための能動素子(active device)が要されるが、それでも、各サービス別に区分する実施例1より少なく要される。
【0059】
以上の実施例では、3つのMIMOサービスについて周波数変換を行うにあたり、各サービスごとに異なるミキシング信号を利用しない代わりに、フィルタブロックを介して各周波数バンドに対応する信号を抽出するように構成される。各サービスごとに独立して周波数変換及びフィルタリングを行うことより、フィルタブロックの複雑さが高くなるものの、位相ノイズ(Phase Noise)の違いにより、EVM(Error Vector Magnitude)特性を劣化させ得る周波数変換回路の数を減らすことができる。
【0060】
単一光ケーブル利用
図8は、本発明の一実施例に係る、DASの第1のノードが1つの光ケーブルを介して第2のノードにつながる例示的な構造を示した図である。
図2ないし
図4と同様に、
図8に図示されたDASは、3つの異なる周波数バンドで3つの異なるMIMOサービスをサポートし、各MIMOサービスは、同じ周波数バンドで2つのMIMO信号(すなわち、第1のMIMO信号及び第2のMIMO信号)を利用している。複数のMIMOサービスに対する周波数変換方式の理解のために、非−MIMOサービスのための構成を省略したことに留意しなければならない。同じ趣旨で、第1のノードに位置するヘッドーエンドユニット(もしくはハブユニット)が基地局とMIMO信号を送受信するためのインタフェース回路(例えば、マルチプレクサ、デュプレクサ、WDMなど)を省略した。
【0061】
本実施例では、DASの第1のノードは、単一の光ケーブルを介してDASの第2のノードにつながる。第1のノードに配置されたヘッドーエンドユニットあるいはハブユニットは、各MIMOサービスごとに2つのMIMOダウンリンク信号のうちのいずれかを周波数変換した後、WDM(Wavelength Division Multiplexing)を利用し、1つの光ケーブルを介して第2のノードに配置されたリモートユニットに伝送する。複数のMIMOダウンリンク信号は、それぞれ異なる波長が割り当てられる。
【0062】
まず、ダウンリンクパスを説明すると次の通りである。
【0063】
第1のノードに配置されたヘッドーエンドユニットあるいはハブユニットは、各MIMOサービス毎に、第1のMIMOダウンリンク信号は元の周波数を維持し、第2のMIMOダウンリンク信号は使用されない周波数バンドに周波数変換する。第1のMIMOダウンリンク信号及び周波数変換された第2のMIMOダウンリンク信号は、WDMモジュールにてそれぞれ異なる波長の光信号に変換された後、1つの光信号に結合される。WDM変調された信号は、単一の光ケーブルを介して第2のノードに配置されたリモートユニットに伝送される。例示した第1のノードのWDMモジュールはダウンリンク信号をマルチ
プレクシングするWDM MUX811aと、アップリンク信号を逆マルチプレッシングするWDM DEMUX811bと、光ケーブルの光ダウンリンク信号を送信し、光ケーブルから光アップリンク信号を受信するWDM MUX/DEMUX812を含む。
【0064】
第2のノードに配置されたリモートユニットは、WDMモジュールを介し、前記光ケーブルを介してWDM変調された信号を送受信する。例示した第2のノードのWDMモジュールは、3つのWDM MUX/DEMUX860、861、862を含む。WDM MUX/DEMUX860は、光ケーブルから受信される光ダウンリンク信号を第1のMIMOダウンリンク信号に対応する波長の光信号と第2のMIMOダウンリンク信号に対応する波長の光信号に逆マルチ
プレクシングする。また、WDM MUX/DEMUX860は、第1のMIMOアップリンク信号に対応する波長の光信号と第2のMIMOアップリンク信号に対応する波長の光信号をマルチ
プレクシングして光ケーブルに伝送する。
【0065】
WDM MUX/DEMUX861及びWDM MUX/DEMUX862は、それぞれアップリンク信号とダウンリンク信号を波長に基づいて分離する。
【0066】
逆マルチ
プレクシングされたMIMOダウンリンク信号は、それぞれ光−電変換を介してRF信号に変換される。第1のMIMOダウンリンク信号は、各サービスの周波数バンドごとに増幅する増幅回路を経た後、第1のアンテナを介して伝播される。第2のMIMOダウンリンク信号は、まず、周波数変換を介して各サービスの元の周波数バンドの信号に変換される。元の周波数バンドに変換された第2のMIMOダウンリンク信号は、第1のMIMOダウンリンク信号と同じ方式で増幅された後、第2のアンテナを介して伝播される。
【0067】
アップリンクパスでは、第1のMIMOアップリンク信号及び第2のMIMOアップリンク信号がダウンリンクパスと対称的に処理される。第2のノードに配置されたリモートユニットがMIMOアンテナ(すなわち、第1のアンテナ及び第2のアンテナ)から第1のMIMOアップリンク信号及び第2のMIMOアップリンク信号を受信する。リモートユニットは、受信された第1のMIMOアップリンク信号の元の周波数を維持し、第2のMIMOアップリンク信号を元の周波数バンドから異なる周波数バンドに周波数変換する。第1のMIMOアップリンク信号及び周波数変換された第2のMIMOアップリンク信号は、WDMモジュールにより、1つの光ケーブルを介して第1のノードに転送される。
【0068】
EVMの改善
前述したように、本発明では、DASの各ノード間でMIMO信号を伝送するにあたり、周波数変換(つまり、周波数上方変換、周波数下方変換)が行われる。これらの周波数変換には、各ノードのPLL回路間の位相ノイズ(Phase Noise)の違いにより、EVM(Error Vector Magnitude)特性が劣化する。周知のように、EVM特性が劣化すると、高速データ転送に問題が発生する。
【0069】
これを考慮し、本発明の一部の実施例では、第1のノード側が周波数変換(つまり、周波数上方変換、周波数下方変換)に用いるミキシング信号を第2のノード側に伝送し、第2のノード側では受信したミキシング信号を利用して周波数変換(つまり、周波数上方変換、周波数下方変換)を行う。例えば、ヘッドーエンドユニットが周波数上方変換に使用した独自の(複数の)ローカル発振器によって生成されたミキシング信号を、MIMO信号とともに、1つの伝送ケーブルを介して第2のノードに配置された複数のリモートユニットに伝送する。各リモートユニットは、受信したミキシング信号を用いて周波数下方変換を行う。このような構成によると、ヘッドーエンドユニットのローカル発振器が有する位相ノイズ(phase noise)がリモートユニットでは、周波数下方変換プロセスを介して対称的に相殺される。
【0070】
図9は、3つのMIMOサービスをサポートするために用いる周波数バンド及びミキシング信号を例示した図である。
図9に例示した周波数バンドは、3つのMIMOバンドが共通して1646 MHzほど周波数上方変換され、前記ミキシング信号の周波数が1646 MHzの場合である。これは、
図2の実施例に対応する。
図2の実施例では、ダウンリンクパスのミキサーとアップリンクパスのミキサーに1つのローカル発振器(local oscillator)によって生成された同一のミキシング信号(mixing signal)が使用されたことに注意しなければならない。同様に、
図3の実施例では、2つのミキシング信号が第2のノード側に伝送され、
図4の実施例では、4つのミキシング信号が伝送される。
【0071】
セル間干渉を防止
一方、DASの第2のノードには、デイジー−チェーン(Daisy-chain)の構造でつながった複数のリモートユニット(Remote Unit)が配置される。このとき、各リモートユニットごとに、すべての周波数帯域をサービスする場合、各リモートユニットがカバーするセル(Cell)の間の干渉により、信号の品質が悪くなることがある。これを考慮し、本発明の一部の実施例では、前記のデイジー−チェーン構造において、互いに隣接するリモートユニットの間で同じ周波数バンドを使用しないように、各リモートユニットがサービスする周波数バンドを制御する。これにより、同じ周波数バンドを使用するセル間の干渉を低減することができる。
【0072】
以上の実施例では、複数のMIMOサービスがそれぞれ2×2MIMOサービスである場合を例示して説明したが、以上で例示した方法は、M×NMIMOサービス(例えば、3×2MIMOサービス、3×3MIMOサービスなど)にも適切な変更を介して容易に適用することができる。
【0073】
図10は、本発明の一実施例に係る4×4MIMOサービスをサポートする例示的なDASシステムを概略的に示した図である。
【0074】
図10には、3つの異なる2×2MIMOサービス(800MHzMIMO、1.8GHzMIMO、2.1GHzMIMO)と1つの4×4MIMOサービス(2.6GHzMIMO)をサポートするアンテナ分散システムが例示されている。
【0075】
ハブユニットは、1つの同軸ケーブルあるいは光ケーブルを介してヘッドーエンドユニットとつながり、2×2MIMOチャンネル信号と、4×4MIMOチャンネル信号をヘッドーエンドユニットから/ヘッドーエンドユニットに送受信する。第2のノードに位置する拡張用リモートユニットは、2つのライン(すなわち、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブル)に分岐される。ハブユニットは、例えば、ダイプレクサを介して第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルにつながる。
【0076】
ハブユニットは、各2×2MIMOサービスに対し、1つの2×2MIMOチャンネル信号TX0を第1同軸ケーブルに提供し、他の1つの2×2MIMOチャンネル信号TX1を第2同軸ケーブルに提供する。また、ハブユニットは、4×4MIMOサービスに対して、2つの4×4MIMOチャンネル信号TX0、TX2を第1の同軸ケーブルに提供し、残りの2つのMIMOチャネル信号TX1、TX3を第2の同軸ケーブルに提供する。ここで、第1の同軸ケーブルに提供される2つの4×4MIMOチャンネル信号TX0、TX2が第1の同軸ケーブルを伝播する間に相互干渉を避けるために、1つの4×4MIMOチャンネル信号TX2は元の周波数バンドから異なる周波数バンドに周波数変換される。同様に、第2の同軸ケーブルに提供される2つの4×4MIMOチャンネル信号TX1、TX3のうちの1つTX3は、元の周波数バンドから異なる周波数バンドに周波数変換される。
【0077】
各拡張用のリモートユニットは、例えば、マルチプレクサを用いて、元の周波数バンドで受信されるMIMOチャネル信号と異なる周波数バンドに周波数変換された前記4×4MIMOチャンネル信号を分離した後、元の周波数バンドのMIMOチャンネル信号を第1のアンテナを介して伝播し、他の周波数バンドに周波数変換された4×4MIMOチャンネル信号を元の周波数バンドに周波数変換した後、第2のアンテナを介して伝播する。以上の説明は、ダウンリンクの観点から説明したが、アップリンクに対しても相補的な方法で処理できることは自明である。
【0078】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したに過ぎず、本実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により、本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は次の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【0079】
CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATION
本特許出願は、2016年4月29日に韓国に出願した特許出願番号第10-2016-0052972号に対する米国特許法119(a)条(35USC§119(a))に基づいて優先権を主張し、そのすべての内容は、参考文献として本特許出願に併合される。さらに、本特許出願は、米国以外の国でも、前記同様の理由で優先権を主張し、そのすべての内容は、参考文献として本特許出願に併合される。