特許第6656437号(P6656437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656437
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20200220BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   E05D13/00 A
   E06B3/46
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-11872(P2019-11872)
(22)【出願日】2019年1月28日
(62)【分割の表示】特願2015-49445(P2015-49445)の分割
【原出願日】2015年3月12日
(65)【公開番号】特開2019-90314(P2019-90314A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晃尚
(72)【発明者】
【氏名】新口 貴之
(72)【発明者】
【氏名】野本 大
(72)【発明者】
【氏名】山元 則之
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−32800(JP,A)
【文献】 実開昭61−78996(JP,U)
【文献】 実開平7−29263(JP,U)
【文献】 実公昭49−37652(JP,Y1)
【文献】 特開2009−127335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に取付けられる窓枠と、窓枠に対してスライドして開閉自在に設けられる障子と、障子の縦框に設けられ窓枠からの外れを防止する外れ止め手段とを備え、
外れ止め手段は、窓枠の上レールに下方から当接して障子の外れを防止するブロック体と、ブロック体の上下方向の移動を規制するトリガ部材とからなり、
ブロック体は、縦框の上方部位に上下動自在に、かつ、上方に付勢されて保持されているとともに、被係合部を備えており、
トリガ部材は、縦框の側面より突出して閉鎖時にサッシを構成する他の部材に干渉する突出位置と縦框内に収納される収納位置とに切換自在であるとともに、収納位置においてブロック体の被係合部に係合してブロック体の上下方向の移動を規制する係合部を備えており、かつ、係合部がブロック体の被係合部に係合することでブロック体を下方に移動させるように付勢されており、
障子の建て込み後に上レールによりブロック体の上方への移動が規制された状態において、トリガ部材が突出位置から収納位置に切換られることにより、トリガ部材の係合部をブロック体の被係合部に係合してブロック体の上下方向の移動を規制する
ことを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子が窓枠から外れるのを防止する外れ止め手段を備えるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビル等の壁面を構成するサッシでは、窓枠に対して所謂ケンドン方式で障子を嵌め込む方式が採用されているが、地震や開閉時等に不意に障子が窓枠から外れるのを防止するために障子用外れ止めが設けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−297711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術文献の外れ止めは、手動により位置調節するためにその操作が煩雑であった。また、障子のケンドンによる建て込み作業等により、自動的に外れ止め位置に配置される外れ止めも考えられてはいるが、外れ止めは、自動的に外れ止め位置に配置はされるものの、サッシの上枠のたれなど施工時の誤差等に対応するためにその外れ止め位置は最適な外れ止め位置から余裕をもって形成せざるを得ず、サッシのがたつきの原因ともなりかねなかった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑み、サッシの建て込み作業等によって、自動的に最適な外れ止め位置に配置することができる外れ止めを備えるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物開口部に取付けられる窓枠と、窓枠に対してスライドして開閉自在に設けられる障子と、障子の縦框に設けられ窓枠からの外れを防止する外れ止め手段とを備え、外れ止め手段は、窓枠の上レールに下方から当接して障子の外れを防止するブロック体と、ブロック体の上下方向の移動を規制するトリガ部材とからなり、ブロック体は、縦框の上方部位に上下動自在に、かつ、上方に付勢されて保持されているとともに、被係合部を備えており、トリガ部材は、縦框の側面より突出して閉鎖時にサッシを構成する他の部材に干渉する突出位置と縦框内に収納される収納位置とに切換自在であるとともに、収納位置においてブロック体の被係合部に係合してブロック体の上下方向の移動を規制する係合部を備えており、かつ、係合部がブロック体の被係合部に係合することでブロック体を下方に移動させるように付勢されており、障子の建て込み後に上レールによりブロック体の上方への移動が規制された状態において、トリガ部材が突出位置から収納位置に切換られることにより、トリガ部材の係合部をブロック体の被係合部に係合してブロック体の上下方向の移動を規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作者が調整作業をすることなく、サッシの外れ止めに最適な位置に自動的に外れ止め手段を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るサッシの外観図である。
図2】本発明の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めを説明するための図であり、縦框の上部の拡大図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めを説明するための図であり、縦框の上部の内部拡大図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めの動きを説明するための図であり、(a),(b)ともに、縦框の上部の内部断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めの動きを説明するための図であり、(a),(b)ともに、縦框の上部の内部断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めの動きを説明するための図であり、縦框の上部の平面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めを説明するための図であり、縦框の上部の内部拡大図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めの動きを説明するための図であり、(a),(b)ともに、縦框の上部の内部断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るサッシに設けられる外れ止めの動きを説明するための図であり、(a),(b)ともに、縦框の上部の内部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態のサッシについて、図面を参考に説明する。
(全体の構成)
図1に示すように、本発明の実施形態のサッシは、建物開口部に設置される窓枠1と、窓枠1に対して引き違い開閉自在に設けられる内障子2及び外障子3と、外障子3の召合せ框34の上方部位(Aに示す位置)に配置される外れ止め手段5とからなる。
以下、本発明の特徴部分である外れ止め手段について、詳細に説明する。
【0010】
(外れ止め手段の取付)
図2に、外障子3の召合せ框34の上方部位の拡大図を示す。なお、説明のために召合せ框34に連結される上框を省いている。
召合せ框34は、アルミニウム等の材料を押出成形してなり、その上部には、窓枠1の上レールを案内するための案内溝34aが設けられている。
召合せ框34の室内側面には、内障子2の召合せ框24の片部24a(図6)との協働により煙返しを形成する片部34bが長さ方向に亘って設けられ、上方部位においてその一部が切り欠かれて切欠部34cが形成されている。
【0011】
外れ止め手段5は、窓枠1の上レールに当接して窓枠1からの外れを阻止するための本体部51と、本体部51の外れ止め状態を維持するためのロック部52とから構成されており、図2に示すように、本体部51は召合せ框34の上方端部の開口より嵌入して固定されるとともに、ロック部52は召合せ框34の室内側面に設けられた開口部より挿入され、外れ止め手段5の外れ止め状態に移行させるためのトリガ部材522が室内側面から突出するように固定されている。
【0012】
−第1の実施形態−
(外れ止め手段の構成)
図3を参考に、本発明の第1の実施形態に係るサッシに採用されている外れ止め手段5をさらに説明する。
外れ止め手段5の本体部51は略矩形の箱状をなすカバー体511と、カバー体511の内部に上下移動自在に収容され、その上面を上レールに当接させることで窓枠1から外障子3の外れを阻止するブロック体512と、ブロック体512を下方より上方へ付勢するバネ等の付勢手段513とから構成されている。
【0013】
カバー体511は、その上面に、上レールを案内するスリット511aが形成されており、また、室内側側面は、ロック部52を受け入れるために開口されている。
そして、図2に示すように、本体部51を召合せ框34の上方端部の開口に嵌入した際に、召合せ框34の上端面に当接する縁部511bと召合せ框34の案内溝34aの端面に当接する縁部511cを有しており、本体部51は、召合せ框34の上方部位に保持される。
【0014】
カバー体511の内部には、案内ピン511dが設けられており、ブロック体512に形成された案内長孔512aを案内することにより、カバー体511内部においてブロック体512の所定の上下幅における移動を許容している。
【0015】
ブロック体512は、略矩形状をなすブロックにより構成され、その上面がカバー体511のスリット511aに臨むようにカバー体511内に配置されている。ブロック体512の略中央位置には、カバー体511の案内ピン511dが配置される案内長孔512aが形成されるとともに、その下面には、コイルバネ等の付勢手段513を固定する固定部512bが形成され、固定部512bとカバー体511の内周上面との間に配置された付勢手段513により、常に上方に付勢されている。
そして、ブロック体512の室内側側面には、上下方向に複数段の被係合部512cが形成されている。
【0016】
一方、ロック部52は、召合せ框34の室内側側面の開口に係止保持されるケース体521と、ケース体521内において召合せ框34の室内側面から突出する突出位置と召合せ框34内に収納される収納位置との間を回動可能に支持されるトリガ部材522と、トリガ部材522を突出位置と収納位置とのいずれかに選択的に付勢する選択付勢手段523とから構成されている。
【0017】
ロック部52のケース体521は、略矩形形状をしており、その上下外周には召合せ框34に係止固定するための係止部521aが形成されているとともに、その室内側面及び室外側面には、トリガ部材522が突出するための開口が形成されている。
また、ケース体521の内周には、トリガ部材522を回動支持する支持軸521bが形成されており、トリガ部材522を回動自在に支持している。
【0018】
トリガ部材522は、ケース体521の支持軸521bを中心にして突出位置と収納位置とに選択的に維持され、その突出位置において召合せ框34から突出する室内側部位には、左右方向に傾斜を有する山形形状の当接部522aを有しており、また、収納位置においてケース体521の室外側から突出する室外側部位には係合部522bを有している。また、その下方部位には、選択付勢手段523により付勢されてトリガ部材522を突出位置もしくは収納位置に選択的に維持するための選択爪522cを有している。
【0019】
選択付勢手段523は、図4(a)に示すように、トリガ部材522の選択爪522cに下方より当接する押圧体523aと、押圧体523aとケース体521の上面との間に配置されるコイルバネ等の付勢部材523bとからなる。
押圧体523aの上面には、突起部523cが形成され、トリガ部材522の選択爪522cを、突起部523cの室外側に当接させることによりトリガ部材522を突出位置に維持させて、反対に、突起部523cの室内側に当接させることによりトリガ部材522を収納位置に維持させるように構成されている。
【0020】
そして、トリガ部材522が突出位置にあるときには、当接部522aが召合せ框34の室内側面より突出され、突出したトリガ部材522の当接部522aは、サッシの閉鎖時において召合せ框24の室外側部位(片部24a)と干渉するものであり、一方、トリガ部材522が収納位置にあるときには、係合部522bがケース体521の室外側面より突出され、突出したトリガ部材522の係合部522bは、ブロック体512の被係合部512cに係止して、ブロック体512の下方への移動を規制する。
【0021】
(外れ止め手段の作動状態)
外れ止め手段5による外障子3の外れ止めの作用について、図4乃至図6を参考に説明する。
図4(a)は、外障子3をケンドンによって窓枠1に嵌め込む前の外れ止め手段5の状態を示している。
本体部51のカバー体511内において、ブロック体512は付勢手段513により上方に付勢され、その上端がカバー体511の上壁下面に形成された中空部511eに当接した状態で維持されている。
【0022】
一方、ロック部52のトリガ部材522は、その選択爪522cが選択付勢手段523の押圧体523a上面の突起部523cの室外側に位置し、突起部523cによって反時計回りの回転を阻止された状態にあり、当接部522aがケース体521の室内側開口、すなわち召合せ框34の室内側に突出した突出位置に維持された状態となっている。
【0023】
図4(a)に示す状態の外障子3を、窓枠1の上レール11aに対してケンドンにより建て込んだ後の状態を、図4(b)に示す。
外障子3が窓枠1に対して建て込まれることにより、外れ止め手段5のスリット511aに案内される窓枠1の上レール11aがブロック体512を付勢手段513の付勢力に抗して下方に押し下げ、ブロック体512の上面に上レール11aの下端が当接してブロック体512の上方への移動が規制された状態となる。
一方、外障子3の建て込みは、ロック部52には何ら影響を与えない。
図4(b)に示す状態の平面図を図6の矢印Aに示す。召合せ框34の室内側よりトリガ部材522が突出し、トリガ部材522の当接部522aは切欠部34cを抜けて片部34bの室内側に至っている。
【0024】
図4(b)及び図6の矢印Aに示す状態の外障子3を、窓枠1のレールに沿って閉鎖位置に移動し、閉鎖直前となった状態を図6の矢印Bに示す。
外障子3の召合せ框34の室内側面より突出しているトリガ部材522の当接部522aは、サッシの閉鎖時において召合せ框24の室外側部位(片部24a)と干渉するので、外障子3を閉鎖状態に移動させることにより、内障子2の片部24aに当接することとなる。
【0025】
この状態から、さらに、外障子3を閉鎖方向に移動させると、当接部522aの左右方向に傾斜する山形形状の部分に片部24aが当接することによって当接部522aには室外方向への力が加わり、トリガ部材522を支持軸521bを中心に反時計回りに回転させる。
その状態を図5(a)に示す。トリガ部材522の選択爪522cが付勢部材523bの付勢力に抗して押圧体523aの突起部523cを乗り越えて、トリガ部材522は、召合せ框34の内部に収納される収納位置に切り換えられる。
【0026】
そして、トリガ部材522の係合部522bはケース体521の室外側へ突出して、トリガ部材522が収納位置に切り換えられた時、即ち上レール11aに当接して上方への移動が規制された状態のブロック体512の何れかの被係合部512cに係合する。
【0027】
さらに、付勢手段523の付勢力により、ブロック体512は被係合部512cと係合部522bとの係合のずれの分だけ若干下方に回動して、図5(b)に示すように、被係合部512cと係合部522bとが完全な状態で係合されて、ブロック体512の上下方向の移動が規制される。それにより上レール11aの下面とブロック体512との間に若干の間隔dが形成され、スムーズなスライド開閉を行うことができる。
【0028】
なお、サッシのメンテナンス時等、外障子3を窓枠1から外す際には、室内側から外障子3の召合せ框34の室内側から、ピンp等によってトリガ部材522の選択爪522cを押して回動させ、係合部522bとブロック体512の被係合部512cとの係合を解除すればよい。
【0029】
−第2の実施形態−
(外れ止め手段の構成)
図7を参考に、本発明の第2の実施形態に係るサッシに採用されている外れ止め手段5を説明する。なお、外れ止め手段5の召合せ框34への取付等第1の実施形態と同様の構成については、その説明を省略して、ここでは、第1の実施形態と異なる部分について特に説明することとし、同一の部位については、同一の符号を付けることとする。
【0030】
外れ止め手段5の本体部51は、カバー体511と、カバー体511の内部に上下移動自在に収容され、その上面を上レールに当接させることで窓枠1から外障子3の外れを阻止するブロック体512と、ブロック体512を下方より上方へ付勢するバネ等の付勢手段513とから構成されている。
カバー体511の内部には、案内ピン511dが設けられており、ブロック体512に形成された案内長孔512aを案内することにより、カバー体511内部においてブロック体512の所定の上下幅における移動を許容し、ブロック体512の下面に形成された固定部512bとカバー体511の内周上面との間に配置された付勢手段513により、常に上方に付勢されている。
【0031】
そして、ブロック体512の室内側下方から湾曲状に室内側に弾性腕部512dが延設され、その室内側面に上下方向に複数段の被係合部512cが形成されている。なお、第2の実施形態においては、被係合部512cは必ず複数段必要というものではなく、被係合部512cが一つ形成されているものでもよい。
ブロック体512は合成樹脂等の弾性を有する材料から形成されており、弾性腕部512dは、室内外方向に若干の移動を許容されている。
【0032】
一方、ロック部52は、召合せ框34の室内側側面の開口に係止保持されるケース体521と、ケース体521内において召合せ框34の室内側面から突出する突出位置と召合せ框34内に収納される収納位置との間を選択可能に支持されるトリガ部材522とから構成されている。
【0033】
ロック部52のケース体521は、略矩形形状をしており、その上下外周には召合せ框34に係止固定するための係止部521aが形成されているとともに、その室内側面及び室外側面には、トリガ部材522が突出するための開口が形成されている。
また、ケース体521の内周には、トリガ部材522を支持する支持軸521bが形成されており、また、下方の係止部521aの上面には後述するトリガ部材522の選択爪522cを選択的に係止する突起部521cが形成されている。
【0034】
トリガ部材522は、突出位置において召合せ框34から突出する当接部522aと収納位置においてブロック体512の被係合部512cに係合する複数段の係合部522bとを有し、その略中央位置に上下方向に延び下方に開口する長孔522dが形成される外装部5221と、外装部の長孔522d内を長手方向に沿って移動可能に支持され、外装部5221との間に配置された付勢手段522eの付勢力により下方に付勢される内装部5222とにより構成されている。
【0035】
内装部5222の中央部には長孔522fが形成されており、ケース体521の内周に設けられた支持軸521bに対して回動且つ上下動自在に支持されることでトリガ部材522がケース体521に支持されている。
また、内装部の下方部位には選択爪522cが形成されており、付勢手段522eの付勢力により長孔522dの下方の開口より選択爪522cが突出して、ケース体521の突起部521cに対して、トリガ部材522が突出位置と収納位置とのいずれかの位置に選択的に係止されている。
【0036】
図8(a)に示すように、ケース体521の突起部521cに対して、トリガ部材522の選択爪522cを、突起部521cの室外側に当接させることによりトリガ部材522を突出位置に維持させて、反対に、突起部521cの室内側に当接させることによりトリガ部材522を収納位置に維持させるように構成されている。
【0037】
(外れ止め手段の作動状態)
外れ止め手段5による外障子3の外れ止めの作用について、図8乃至図9を参考に説明する。
図8(a)は、外障子3をケンドンによって窓枠1に嵌め込む前の外れ止め手段5の状態を示している。
本体部51のカバー体511内において、ブロック体512は付勢手段513により上方に付勢され、その上端がカバー体511の上方部位に形成された突部511fに当接した状態で維持されている。
【0038】
一方、ロック部52のトリガ部材522は、その選択爪522cがケース体521上面の突起部521cの室外側に位置し、突起部521cによって反時計回りの回転を阻止された状態にあり、当接部522aがケース体521の室内側開口、すなわち召合せ框34の室内側に突出した突出位置に維持された状態となっている。
【0039】
図8(a)に示す状態から、外障子3を窓枠1の上レール11aに対してケンドンにより建て込んだ後の状態を、図8(b)に示す。
外障子3が窓枠1に対して建て込まれることにより、外れ止め手段5のスリット511aに案内される窓枠1の上レール11aがブロック体512を付勢手段513の付勢力に抗して下方に押し下げ、ブロック体512の上面に上レール11aの下端が当接してブロック体512の上方への移動が規制された状態となる。
【0040】
図8(b)に示す状態の外障子3を、窓枠1のレールに沿って閉鎖位置に移動させると、当接部522aの左右方向に傾斜する山形形状の部分に召合せ框24の片部24aが当接することによって当接部522aには室外方向への力が加わり、図9(a)に示すように、トリガ部材522を支持軸521bを中心に反時計回りに回転させる。
その際、トリガ部材522の選択爪522cが付勢部材523bの付勢力に抗して長孔内を上方へ移動し、ケース体521の突起部521cを乗り越えて、トリガ部材522は、召合せ框34の内部に収納される収納位置に切り換えられる。
【0041】
そして、トリガ部材522の係合部522bはケース体521の室外側へ突出して、トリガ部材522が収納位置に切り換えられた時、即ち上レール11aに当接して上方への移動が規制された状態のブロック体512の被係合部512cに係合する。
さらに、付勢手段522eの付勢力により、トリガ部材522の選択爪522cはケース体521の突起部521cの室内側面に係合されることとなり、それに伴って、ブロック体512は被係合部512cと係合部522bとの係止のずれの分だけ若干下方に回動して、図9(b)に示すように、被係合部512cと係合部522bとが完全な状態で係合されて、ブロック体512の上下方向の移動が規制される。それにより上レール11aの下面とブロック体512との間に若干の間隔dが形成され、スムーズなスライド開閉を行うことができる。
このとき、被係合部512cが弾性腕部512dに設けられているために、係合部522bの当接係合に対してその衝撃を吸収するとともに係合部同士の誤差を補正しながら、被係合部512cと係合部522bとの係合を確実に行うことができる。
【0042】
以上のように、本発明の実施形態のサッシにおいては、外障子3を建て込んだ状態において、上レールにより上方への移動が規制された外れ止め手段のブロック体をロック状態にすることができるので、上枠がたれるなど枠体や障子の設置寸法に誤差が生じても、外れ止め手段のブロック体と上レールとの間を最適な状態に設定することができ、がたつき等を抑制することができる。
また、ブロック体をロック状態に維持するトリガ部材は、ブロック体の下方への移動を規制している状態では、縦框内に収納されているので、トリガ部材が障子の開閉の邪魔になることがない。
【0043】
そして、トリガ部材がブロック体の被係合部に係合されることにより、上レールとブロック体との間に微小な間隔をあけるように構成されているので、外れ止め手段のブロック体の高さ設定が簡単で、また、障子の開閉時に上レールとブロック体が当接せずに、スムーズな開閉を可能としている。
【0044】
更に、障子を閉鎖位置まで移動させるまでは、トリガ部材はブロック体の下方への移動を規制しないので、障子を建て込んだ後の戸車の高さ調節等の微調節が可能であり、調節後の障子の高さに合わせて外れ止め手段のブロック体を設定でき、外れ止め状態における上レールと外れ止め手段との間隔を最適な状態に設定することができる。
また、第2の実施形態においては、ブロック体の被係合部が弾性を有する弾性腕部に形成されているので、トリガ部材の係合部が被係合部に係合する際の衝撃を吸収するとともに係合部と被係合部との位置の誤差を弾性腕部の変形により補正することができるので、係合部と被係合部との係合を確実、かつスムーズに行うことができる。
さらに、仮に、施工誤差や施工後のたわみ等の変形によりブロック体の上面がレールに対して干渉することがあっても、弾性腕部が下方に撓むことで障子が走行できる。
【0045】
なお、本実施形態においては、外れ止め手段を引き違い窓の召合せ框の上方部位に設けたサッシを用いて説明したが、外れ止め手段を設ける窓は、引き違い窓に限定されるものではなく、片引き窓等のサッシに用いることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 :窓枠
11a :上レール
2 :内障子
24 :召合せ框
24a :片部
3 :外障子
34 :召合せ框(縦框)
34a :案内溝
34b :片部
34c :切欠部
5 :外れ止め手段
51 :本体部
511 :カバー体
511a :スリット
511b :縁部
511c :縁部
511d :案内ピン
511e :中空部
511f :突部
512 :ブロック体
512a :案内長孔
512b :固定部
512c :被係合部
512d :弾性腕部
513 :付勢手段
52 :ロック部
521 :ケース体
521a :係止部
521b :支持軸
521c :突起部
522 :トリガ部材
5221 :外装部
5222 :内装部
522a :当接部
522b :係合部
522c :選択爪
522d :長孔
522e :付勢手段
522f :長孔
523 :選択付勢手段
523a :押圧体
523b :付勢部材
523c :突起部
A :矢印
B :矢印
p :ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9