特許第6656505号(P6656505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656505オービットアジン−フマル酸塩、水和物、結晶形及びその調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656505
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】オービットアジン−フマル酸塩、水和物、結晶形及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 243/08 20060101AFI20200220BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20200220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   C07D243/08 506
   A61K31/551
   A61P35/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】11
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2018-522834(P2018-522834)
(86)(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公表番号】特表2018-525436(P2018-525436A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】CN2015085025
(87)【国際公開番号】WO2017015784
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2018年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】519460960
【氏名又は名称】シェンチェン チェンシン メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】チェン, リーレン
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−540781(JP,A)
【文献】 特表2008−545718(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/176842(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/102513(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102276556(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101941953(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101503394(CN,A)
【文献】 Tang, Jing et al.,Absorption mechanism of SM-1 based on a procaspase-3-activated anti-tumor agent,Zhongguo Yaolixue Tongbao,2014年,30(4),542-546.
【文献】 平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,p.17-23,37-40,45-51,57-65
【文献】 STAHLY,P.,医薬品の塩選択,結晶多形のスクリーニングの重要性について,薬剤学,2006年,Vol.66,No.6,p.435-439
【文献】 米持悦生,医薬品原薬及び製剤のバルク状態分析の重要性,SCAS NEWS,2004年,2004-II,3-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オービットアジンフマル酸塩水和物の結晶形であって、
前記オービットアジンフマル酸塩水和物は式IIに示される構造を有し、
II中、nは約1、mは約1であり、
前記結晶形のCu−Kα線を用いて決定されるX線粉末回折パターンは、少なくとも7.0±0.2、17.3±0.2及び21.3±0.2の2θ位置にピークを有し、
前記X線粉末回折パターンは、任意に、さらに少なくとも1つのピークを、12.9±0.2、17.9±0.2及び19.7±0.2の2θ位置から選択される位置、及び/又は13.4±0.2、14.7±0.2及び23.5±0.2の2θ位置から選択される位置に有する結晶形。
【化1】
【請求項2】
示差走査熱量測定により決定される2つの融点を有し、
前記2つの融点は、それぞれ102.18℃±3.0℃及び153.72℃±3.0℃である請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
請求項に記載の結晶形の調整方法であって、以下の項目のいずれかから選択されることを特徴とする方法:
1)式I(式I中、nは1)に示されるオービットアジン−フマル酸塩の結晶形を、水、有機溶媒(例えば、エチルアセテート)又は有機溶媒(例えば、エタノール、DMA、NMP又はDMSO)と水の混合溶媒中で結晶化して請求項1に記載の結晶形を取得し、任意に、さらに濾過又は乾燥を含む方法であって、
前記式Iの結晶形のCu−Kα線を用いて決定されるX線粉末回折パターンは、少なくとも5.9±0.2、16.8±0.2及び18.1±0.2の2θ位置にピークを有し、
前記X線粉末回折パターンは、任意に、さらに少なくとも1つのピークを、10.1±0.2、14.2±0.2及び22.4±0.2の2θ位置から選択される位置、及び/又は11.4±0.2、20.8±0.2及び23.8±0.2の2θ位置から選択される位置に有する方法
2)式I(式I中、nは2)に示されるオービットアジン−フマル酸塩の結晶形を室温の水中で12〜36時間撹拌して請求項に記載の結晶形に変換する方法であって、
前記式Iの結晶形のCu−Kα線を用いて決定されるX線粉末回折パターンは、少なくとも5.7±0.2、9.5±0.2及び10.0±0.2の2θ位置にピークを有し、
前記X線粉末回折パターンは、任意に、さらに少なくとも1つのピークを、14.7±0.2、19.2±0.2及び26.7±0.2の2θ位置から選択される位置、及び/又は13.3±0.2、22.2±0.2及び23.6±0.2の2θ位置から選択される位置に有する方法;及び
3)式I(式I中、nは1)に示されるオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形を室温の水中で12〜36時間撹拌して請求項に記載の結晶形に変換する方法であって、
前記式Iのアモルファス形の示差走査熱量測定により決定されるガラス転移温度が51.12℃±3.0℃である方法
【化2】
【請求項4】
項目1)において、式Iに示されるオービットアジン−フマル酸塩の結晶形の、示差走査熱量測定により決定される前記結晶形の融点は156.27℃±3.0℃である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
項目2)において、式Iに示されるオービットアジン−フマル酸塩の結晶形の、示差走査熱量測定により決定される前記結晶形の融点は156.93℃±3.0℃である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、及
医薬的に許容される担体又は賦形剤
を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
腫瘍の予防及び/又は治療に使用される、
請求項1又は2に記載のオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形。
【請求項8】
記腫瘍は、カスパーゼ−3の異常発現に関連する腫瘍であり、例えば、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び肺癌からなる群より選択される、
請求項7に記載のオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形。
【請求項9】
腫瘍細胞の破壊又は殺傷に使用される請求項1又は2に記載のオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形。
【請求項10】
前記腫瘍細胞は、腫瘍細胞株又は被検者由来の腫瘍細胞である、
請求項9に記載のオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形。
【請求項11】
前記腫瘍細胞は、胃癌細胞、大腸癌細胞、肝臓癌細胞、胆癌細胞、悪性リンパ腫細胞、子宮頸癌細胞、神経芽細胞腫細胞、髄芽腫細胞及び肺癌細胞からなる群より選択される、
請求項9に記載のオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬化学分野に関し、特に、オービットアジン−フマル酸塩、水和物、結晶形及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は、ヒトの生命及び健康を著しく脅かす、臨床的に大きな疾患群である。多数の様々な種類の薬剤が開発され、腫瘍の治療に臨床的に適用されている。中でも、分子標的抗腫瘍薬は、その治療効果と低い副作用から広く注目を集めている。しかし、既存の分子標的薬の臨床適用において薬剤耐性に関する問題が発生し、これは薬剤の効果に影響するものであった。
【0003】
カスパーゼ−3は、アポトーシスに関連するプロテアーゼであり、アポトーシスの鍵となる実行分子である。酵素前駆体であるプロカスパーゼ−3が活性化されて活性カスパーゼ−3となり、細胞の重要なタンパクを分解してアポトーシスを引き起こさない限り、エフェクタータンパク質としての作用は実行されない。従って、プロカスパーゼ−3を特異的に活性化させてアポトーシスを誘発することは、新規かつ非常に効果的な抗腫瘍戦略である。
【0004】
特許文献WO2006/128173は、癌細胞において選択的にアポトーシスを誘発可能なピペラジンアセトヒドラジドヘテロ環化合物群を開示しており、このような化合物が潜在的に分子標的抗腫瘍剤として使用可能であることを示している。このような化合物の作用機序は、まさに、酵素前駆体であるプロカスパーゼ−3を活性化させて活性カスパーゼ−3とし、これにより、作用するものである。
【0005】
中国特許CN101503394Aにおいて、発明者は、ジアゼパンアセトヒドラジドヘテロ環化合物群を開示した。この抗腫瘍活性もまた、酵素前駆体であるプロカスパーゼ−3を活性化させて活性カスパーゼ−3とすることにより発揮される。従って、その化合物もまた、抗腫瘍剤として開発され得る。この特許は、オービットアジンモノフマル酸塩の調製方法及びその化合物の抗腫瘍活性を開示している。オービットアジンの化合物名は、以下の通りである:
(E)−N’−(3−アリル−(2−ヒドロキシフェニル)メチレン)−2−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−1−イル)アセトヒドラジド。化学式は、以下の通りである:
【0006】
【化1】
【0007】
割合、溶媒及び多形が異なる塩は、異なる物理的及び化学的性質につながり、さらに薬の治療効果及び副作用に影響し得る。従って、薬剤として、割合、溶媒及び多形が異なる塩を調整することは、薬剤の開発において重要な問題である。しかし、上記問題に関して、オービットアジンについての報告は未だ存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者はオービットアジン−フマル酸塩について広く研究を行い、驚くべきことに、複数の水和物及び異なる複数の結晶形を見出した。これにより、より高い薬効を有し、より容易に調整可能であり、保存安定性に優れたオービットアジン−フマル酸塩を提供することが可能となる。本発明は、上記の発見に基づいて完成された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の側面において、本発明はオービットアジン−フマル酸塩の結晶形に関し、前記オービットアジン−フマル酸塩は式Iに示される構造を有し、nは約1又は2である。
【0010】
【化2】
【0011】
本発明の第1の側面によるオービットアジン−フマル酸塩の結晶形は、以下の項目を含む:
1.オービットアジン−フマル酸塩の結晶形であって、そのCu-Kα線を用いたX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の2θ位置にピークを有する:5.9±0.2、16.8±0.2及び18.1±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:10.1±0.2、14.2±0.2及び22.4±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:11.4±0.2、20.8±0.2及び23.8±0.2。
本発明の実施形態において、示差走査熱量測定により決定される結晶形の融点は、156.27℃±3.0℃である。
本発明の実施形態において、式I中、nは約1である。
本発明の実施形態において、結晶形は、フォームAである。
本発明の実施形態において、フォームAの典型的なXRPDパターンは図2に示される。
本発明の実施形態において、フォームAの典型的なDSCサーモグラムは、図3に示される。
【0012】
2.オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形であって、そのCu-Kα線を用いたX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の2θ位置にピークを有する:6.5±0.2、20.0±0.2及び24.9±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:5.3±0.2、13.3±0.2及び19.5±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:12.0±0.2、14.8±0.2及び26.7±0.2。
本発明の実施形態において、示差走査熱量測定により決定される結晶形の融点は171.45℃±3.0℃である。
本発明の実施形態において、式I中、nは約2である。
本発明の実施形態において、結晶形は、フォームCである。
本発明の実施形態において、フォームCの典型的なXRPDパターンは図28に示される。
本発明の実施形態において、フォームCの典型的なDSCサーモグラムは、図29に示される。
【0013】
3.オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形であって、そのCu-Kα線を用いたX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の2θ位置にピークを有する:5.7±0.2、9.5±0.2及び10.0±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:14.7±0.2、19.2±0.2及び26.7±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:13.3±0.2、22.2±0.2及び23.6±0.2。
本発明の実施形態において、示差走査熱量測定により決定される結晶形の融点は、156.93℃±3.0℃である。
本発明の実施形態において、式I中、nは約2である。
本発明の実施形態において、結晶形は、フォームDである。
本発明の実施形態において、フォームDの典型的なXRPDパターンは図34に示される。
本発明の実施形態において、フォームDの典型的なDSCサーモグラムは、図35に示される。
【0014】
第2の側面において、本発明は、オービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形に関し、前記オービットアジン−フマル酸塩水和物は式IIに示される構造を有し、nは約1であり、mは約1である。
【0015】
【化3】
【0016】
本発明の実施形態において、結晶形のCu-Kα線を用いたX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の2θ位置にピークを有する:7.0±0.2、17.3±0.2及び21.3±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:12.9±0.2、17.9±0.2及び19.7±0.2。
本発明の実施形態において、Cu-Kα線を用いた結晶形のX線粉末回折パターンは、さらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)のピークを、以下の2θ位置から選択される位置に有する:13.4±0.2、14.7±0.2及び23.5±0.2。
本発明の実施形態において、結晶形は、2つの融点を有する。
本発明の実施形態において、示差走査熱量測定により決定される結晶形の2つの融点は、それぞれ、102.18℃±3.0℃及び153.72℃±3.0℃である。
本発明の実施形態において、結晶形は、フォームBである。
本発明の実施形態において、フォームBの典型的なXRPDパターンは図16に示される。
本発明の実施形態において、フォームBの典型的なDSCサーモグラムは、図17に示される。
【0017】
第3の側面において、本発明は、オービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形に関し、前記オービットアジン−フマル酸塩は式Iに示される構造を有し、nは約1である。
【0018】
【化4】
【0019】
本発明の実施形態において、示差走査熱量測定により決定されるオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形のガラス転移温度は51.12℃±3.0℃である。
【0020】
第4の側面において、本発明は、オービットアジン−フマル酸塩水和物に関し、前記オービットアジン−フマル酸塩は式IIに示される構造を有し、nは約1であり、mは約1である。
【0021】
【化5】
【0022】
第5の側面において、本発明は、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形の調整方法に関し、調整方法は、以下の工程を有する:
本発明の第1の側面の項目2〜3のいずれか又は本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−モノフマル酸塩又は結晶形を、溶媒中で結晶化して、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形を得る。
本発明の実施形態において、オービットアジン−モノフマル酸塩は、オービットアジン−モノフマル酸塩の結晶フォームAである。
【0023】
本発明の実施形態において、溶媒は、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール等)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン等)、アルカン又はハロアルカン(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ジクロロメタン(DCM)、クロロフォルム(CHCl)等)、エステル(例えば、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテート等)、エーテル(例えば、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、石油エーテル等)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0024】
本発明の実施形態において、オービットアジンモノフマル酸塩は蒸発結晶化されて、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形を得ることができる。蒸発結晶化の溶媒は、好ましくは、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール等)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン等)、ハロアルカン(例えば、DCM、CHCl等)、エステル(例えば、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテート等。ただし、tert−ギ酸ブチルは除く。)、1,4−ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、DMF等、又はこれらの任意の組み合わせ(例えばグリセロール/エタノール(1:1、V/V)、例えばメタノール又はエタノール/ヘプタン(1:1、V/V)、例えばTHF/ヘプタン(2:1、V/V)、THF/アセトニトリル(1:1、V/V)、THF/イソプロピルアセテート(1:1、V/V)、THF/DCM(1:1、V/V)、THF/アセトン(1:1、V/V)、THF/エチルアセテート(1:1、V/V)、THF/ギ酸ブチル(1:1、V/V)等)から選択される;好ましくは、蒸発結晶化は室温で行われる。
【0025】
本発明の実施形態において、オービットアジンモノフマル酸塩は再結晶化されて、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形を得ることができる。再結晶化の溶媒は、好ましくは、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール等)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン等)、エステル(例えば、エチルアセテート、イソプロピルアセテート等。ただし、ギ酸ブチルは除く)、アセトニトリル、THF等、又はこれらの任意の組み合わせ(例えば、メタノール/水(1:4、V/V)、メタノール/メチルtert−ブチルエーテル(1:4、V/V)、メタノール/イソプロピルアセテート(1:4、V/V)、エタノール/n−ヘキサン(3:2、V/V))から選択される;好ましくは、オービットアジンモノフマル酸塩は、25℃〜90℃の温度(例えば、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃又は80℃)で溶解され、オービットアジンモノフマル酸塩は0〜25℃(例えば10℃)で結晶化される。
【0026】
本発明の実施形態において、オービットアジンモノフマル酸塩は逆溶媒結晶化されて、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形を得ることができる。逆溶媒結晶化の良溶媒は、好ましくは、DMA、DMF、DMSO及びNMPから選択され、逆溶媒はエーテル(例えば、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等)、n−ペンタノール及びブタノン)、エステル(例えば、イソプロピルアセテート又はギ酸ブチル)、トルエン、水(好ましくは、良溶媒はDMF)、アセトニトリル等、又は混合溶媒、例えばDCM/n−ヘキサン(2:1、V/V)、CHCl/メチルtert−ブチルエーテル(2:5、V/V)から選択される;好ましくは、逆溶媒結晶化の工程は、0〜25℃の温度において静置して又は撹拌しながら行われ、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形が調整される。
【0027】
本発明の実施形態において、オービットアジンモノフマル酸塩は縣濁結晶化されて、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形を得ることができる。縣濁結晶化の溶媒は、好ましくは、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール等)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン等)、アルカン(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等)、ハロアルカン(例えば、DCM、CHCl等)、エステル(例えば、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテート等。ただし、ギ酸ブチルは除く。)、エーテル(例えば、石油エーテル、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等)1,4−ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、THF等から選択される;好ましくは、縣濁結晶化は、25〜50℃の温度で行われる。
【0028】
本発明の実施形態において、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形は、室温のエタノール中で12〜36時間(例えば24時間)撹拌され、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形は、100℃〜120℃(例えば105℃〜115℃、例えば110℃)に加熱され、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目2又は項目3に係る結晶形は、エタノールに溶解され、その後冷却されて沈殿し、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、フォームAである。
本発明の実施形態において、フォームAの典型的なXRPDパターンは図2に示される。
本発明の実施形態において、フォームAの典型的なDSCサーモグラムは、図3に示される。
【0029】
第6の側面において、本発明は、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形の調整方法に関し、調整方法は、以下の工程を有する:
本発明の第1の側面の項目1又は項目3、又は本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形をギ酸ブチル中で結晶化して、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形を得る工程;さらに任意に、濾過又は乾燥工程を有する。
【0030】
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、室温のギ酸ブチル中で再結晶化され、得られた結晶は40℃〜60℃で濾過及び乾燥されて、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、室温のギ酸ブチル中で12〜36時間(例えば24時間)撹拌されて、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、50〜75℃(例えば60℃)の高温及び15〜30℃(例えば25℃)の低温のギ酸ブチル中で再結晶化され、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形は、40〜80℃(例えば50〜75℃、例えば60℃)の温度のギ酸ブチル中で12〜36時間撹拌され、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形が得られる。
【0031】
本発明の実施形態において、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形は、室温のギ酸ブチル中で12〜36時間(例えば24時間)撹拌され、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形は、フォームCである。
本発明の実施形態において、フォームCの典型的なXRPDパターンは図28に示される。
本発明の実施形態において、フォームCの典型的なDSCサーモグラムは、図29に示される。
【0032】
第7の側面において、本発明は、本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形の調整方法に関し、調整方法は、以下の工程を有する:
本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形をギ酸ブチル中で結晶化して、前記結晶形を取得する工程;さらに任意に、濾過又は乾燥工程を有する。
【0033】
本発明の実施形態において、濾過は熱濾過である。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、40℃〜60℃(例えば50℃)の温度のギ酸ブチル中で結晶化され、得られた結晶は熱濾過及び乾燥されて、本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、40℃〜60℃(好ましくは50℃)の温度のギ酸ブチル中で4〜12時間撹拌されて、本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形は、フォームDである。
本発明の実施形態において、フォームDの典型的なXRPDパターンは図34に示される。
本発明の実施形態において、フォームDの典型的なDSCサーモグラムは、図35に示される。
【0034】
第8の側面において、本発明は、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形の調整方法に関し、以下のいずれかの項目から選択される:
1)本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、水、有機溶媒(例えばエチルアセテート)又は有機溶媒(例えば、エタノール、DMA、NMP又はDMSO)と水の混合溶媒中で結晶化され、前記結晶形が得られる;任意に、濾過又は乾燥をさらに含んでもよい。
【0035】
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、エチルアセテート中、又はエタノールと水の混合溶媒(体積比1:(1〜3)、例えば1:1)中で結晶化されて、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、室温の水中で12〜36時間(例えば24時間)撹拌されて、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形が得られる。
2)本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形は、室温の水中で12〜36時間(例えば24時間)撹拌されて、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形が得られる。
【0036】
3)本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形は、室温の水中で12〜36時間(例えば24時間)撹拌され、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形に変換される。
【0037】
本発明の実施形態において、本発明の第2の側面に係る結晶形は、フォームBである。
本発明の実施形態において、フォームBの典型的なXRPDパターンは図16に示される。
本発明の実施形態において、フォームBの典型的なDSCサーモグラムは、図17に示される。
【0038】
第9の側面において、本発明は、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形の調整方法に関し、調整方法は、以下の工程を有する:
本発明の第1の側面又は第2の側面のいずれかに係る結晶形を、有機溶媒中に溶解する(例えば、アルコール又はTHF中に溶解され、前記アルコールはメタノール又はエタノールとすることができる。)。有機溶媒は蒸発又は回転蒸発により取り除かれて、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形が得られる。
【0039】
本発明の実施形態において、有機溶媒は、大気圧下又は減圧下で蒸発により取り除かれる。例えば、有機溶媒は、減圧下における静置蒸発又は回転蒸発により取り除かれる。
本発明の実施形態において、室温から60℃(例えば20〜50℃、例えば30〜45℃)の温度において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、エタノール中に溶解され、その後回転蒸発が施されて、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形が得られる。
【0040】
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目1に係る結晶形は、150〜175℃(例えば160℃)の温度に加熱され、それから室温から60℃の温度(例えば40℃)に冷却されて、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目2に係る結晶形は、エタノール中に溶解され、その後回転蒸発が施されて、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形が得られる。
本発明の実施形態において、本発明の第1の側面の項目3に係る結晶形は、エタノール中に溶解され、その後回転蒸発が施されて、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形が得られる。
【0041】
本発明の実施形態において、本発明の第2の側面のいずれかに係る結晶形は、エタノール中に溶解され、その後回転蒸発が施されて、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形が得られる。
【0042】
第10の側面において、本発明は、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、又は本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、及び医薬的に許容される担体又は賦形剤を備える医薬組成物に関する。
【0043】
本発明は、腫瘍の予防及び/又は治療のための薬物を製造するために、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物の使用にも関する。
【0044】
本発明の実施形態において、腫瘍は、カスパーゼ−3の異常発現に関連する腫瘍である。
本発明の実施形態において、腫瘍は、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び肺癌からなる群より選択される。
【0045】
本発明は、腫瘍の予防及び/又は治療において使用するための、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物にも関する。
【0046】
本発明の実施形態において、腫瘍は、カスパーゼ−3の異常発現に関連する腫瘍である。
本発明の実施形態において、腫瘍は、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び肺癌からなる群より選択される。
【0047】
本発明は、腫瘍の予防及び/又は治療方法にも関し、その方法は、有効量の、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物を、腫瘍の予防及び/又は治療を必要とする被検者に投与することを含む。
【0048】
本発明の実施形態において、腫瘍は、カスパーゼ−3の異常発現に関連する腫瘍である。
本発明の実施形態において、腫瘍は、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び肺癌からなる群より選択される。
本発明の実施形態において、被検者は哺乳類(例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、げっ歯類又は霊長類)であり、好ましい被検者はヒトである。
【0049】
本発明は、腫瘍細胞を破壊又は殺傷するための薬剤を製造するための、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物の使用にも関する。
【0050】
本発明の実施形態の薬剤は、インビトロ法で使用される。
本発明の実施形態の薬剤は、インビボ法で使用される。
本発明の実施形態の腫瘍細胞は、腫瘍細胞株又は被検者由来の腫瘍細胞である。
本発明の実施形態の腫瘍細胞は、胃癌細胞、大腸癌細胞、肝臓癌細胞、胆癌細胞、悪性リンパ腫細胞、子宮頸癌細胞、神経芽細胞腫細胞、髄芽腫細胞及び肺癌細胞からなる群より選択される。
【0051】
本発明は、腫瘍細胞を破壊又は殺傷する方法にも関する。その方法は、有効量の本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物を細胞に投与することを含む。
本発明の実施形態の方法は、インビトロで実施される。
本発明の実施形態の方法は、インビボで実施される。
本発明の実施形態の腫瘍細胞は、腫瘍細胞株又は被検者由来の腫瘍細胞である。
本発明の実施形態の腫瘍細胞は、胃癌細胞、大腸癌細胞、肝臓癌細胞、胆癌細胞、悪性リンパ腫細胞、子宮頸癌細胞、神経芽細胞腫細胞、髄芽腫細胞及び肺癌細胞からなる群より選択される。
【0052】
腫瘍細胞を破壊又は殺傷する際に使用するための、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物。
本発明の実施形態において、それはインビトロ法で使用される。
本発明の実施形態において、それはインビボ法で使用される。
本発明の実施形態の腫瘍細胞は、腫瘍細胞株又は被検者由来の腫瘍細胞である。
本発明の実施形態の腫瘍細胞は、胃癌細胞、大腸癌細胞、肝臓癌細胞、胆癌細胞、悪性リンパ腫細胞、子宮頸癌細胞、神経芽細胞腫細胞、髄芽腫細胞及び肺癌細胞からなる群より選択される。
【0053】
本発明は、腫瘍細胞を破壊及び/又は殺傷するためのキットにも関し、そのキットは、本発明の第1の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形、本発明の第2の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物の結晶形、本発明の第3の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩のアモルファス形、本発明の第4の側面のいずれかに係るオービットアジン−フマル酸塩水和物、又は本発明の第10の側面のいずれかに係る医薬組成物を含み、任意に、使用説明書を含む。
【0054】
本発明の側面及び特徴は、さらに以下に説明される。
本発明で使用される用語及びフレーズは、当業者によく知られた一般的な意味である;しかし、本発明では、これらの用語及びフレーズについて、再度詳しく説明する。もし、ここに記載された用語及びフレーズの意味が公知の意味と異なる場合は、本発明に記載された意味とする。
【0055】
本発明で使用される「オービットアジン−フマル酸塩」の用語は、オービットアジンをフマル酸に結合させることにより形成された塩を意味する。本発明の実施形態において、1分子のオービットアジンは1又は2分子のフマル酸に結合可能である。具体的には、フマル酸とオービットアジンのモル比(n値)は1又は2である。塩の形成時の分子間競合により、測定されたnは、一般的に、1又は2付近の非整数となる。本発明の実施形態において、「nは約1」又は「nは約2」の表現は、n値が1又は2の90%〜110%の範囲内(例えば、1又は2の95%〜105%の範囲内)にあることを意味する。
【0056】
n値は、本分野において公知の方法、例えば、元素分析、HNMR及びイオンクロマトグラフィー等により決定することができる。本発明の実施形態において、n値は、対応する化合物のNMRスペクトルにより決定してもよい。
【0057】
結晶は、原子、分子又はイオン等の構成要素が、ある順序で周期的に配置された化合物を意味する。配置は、3次元空間において周期的であり、一定の距離にわたって繰り返し現れる。化合物は、2以上の結晶状態で存在してもよい。同じ構造の分子が、「多形」と呼ばれる異なる固体形状を形成するように結晶化されてもよい。特定の結晶化形状が含まれる場合、しばしば、本発明で使用される用語である「結晶型」と呼ばれる。本発明で使用される「フォームA」及び「結晶形A」の用語は、「オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームA」及び「オービットアジン−モノフマル酸塩の結晶原料」の用語と互換的に使用可能であり、オービットアジン−モノフマル酸塩の結晶フォームAを意味する。本発明の実施形態において、その特徴は図1、2又は3に示される。
【0058】
本発明で使用される「フォームB」及び「結晶形B」の用語は、「オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームB」の用語と互換的に使用可能であり、オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBを意味する。本発明の実施形態において、その特徴は図15、16、17又は18に示される。
【0059】
本発明で使用される「フォームC」及び「結晶形C」の用語は、「オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I」の用語と互換的に使用可能であり、オービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームCを意味する。本発明の実施形態において、その特徴は図27、28又は29に示される。
【0060】
本発明で使用される「フォームD」及び「結晶形D」の用語は、「オービットアジン二フマル酸塩の結晶形II」の用語と互換的に使用可能であり、オービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームDを意味する。本発明の実施形態において、その特徴は図33、34又は35に示される。
【0061】
本発明に係る化合物の結晶形は、一定の純度を有する。純度は、特定の結晶形が化合物の総重量に占めるパーセンテージを意味しており、例えば、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上又は99.9%以上である。残りは、その化合物の別の結晶形又はアモルファス形、又は医薬的に許容される不純物である。
【0062】
異なる種類の装置又は異なる試験条件が用いられた場合、わずかに異なるXRPD(X線粉末回折)のパターン及びピーク値が取得され得ることが理解されるべきである。結晶形の回折ピークのパターン、ピーク値及び相対強度は、試験装置の点検及びメンテナンスのみならず、化合物の純度、サンプルの前処置、走査速度、粒子サイズに依存する。提供される数値は、絶対的な値とみなすことはできない。
【0063】
本発明において、各結晶形のX線粉末回折パターンにおける吸収ピークの位置は、開示された値±0.2°の範囲内、例えば開示された値±0.1°の範囲内となり得る。示差走査熱量測定により測定される融点は、開示された値±3.0℃、例えば開示された値±2.0℃の範囲内となり得る。
【0064】
異なる種類の装置又は異なる試験条件が用いられた場合、わずかに異なる融点が読み取られ得ることが理解されるべきである。結晶形の絶対的な値は、試験装置の点検及びメンテナンスのみならず、化合物の純度、サンプルの重量、加熱速度、粒子サイズに依存する。提供される数値は、絶対的な値とみなすことはできない。
【0065】
結晶の調整方法は、本技術において公知である。結晶は、例えば、適切な溶媒からの結晶化又は再結晶化、昇華、融液内成長、他の位相から固体への変換、超臨界流体からの結晶化、及び噴霧又は散布等のさまざまな方法で調整できる。溶媒混合物から結晶形を結晶化又は再結晶化する技術は、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の降温、分子及び/又は塩の過飽和溶媒混合物への種結晶の追加、溶媒混合物のフリーズドライ、及び溶媒混合物への逆溶媒の追加を含む。多形体も含め、結晶形の調整には、高スループットな結晶化技術が使用できる。本発明の実施形態において、オービットアジン−フマル酸塩の結晶は、蒸発、再結晶化、逆溶媒結晶化、縣濁結晶化、回転蒸発、粉砕又は溶融等によって得ることができる。
【0066】
本発明で使用される「アモルファス形」の用語は、分子及び/又はイオンの、結晶型以外の固体形状を意味する。アモルファス固体のX線粉末回折パターンは、鋭いピークを持たない。
【0067】
本発明で使用される「ガラス転移温度」の用語は、非結晶物質の内在的な性質であり、ガラス状態に変化する温度を意味する。
【0068】
本発明で使用される「水和物」の用語は、水分子と親化合物の相互作用、例えば共有結合又は配位結合を介した結合によって得られる化合物を意味する。水和物は、化学量論的又は非化学量論的な方法で水分子を含んでもよく、水分子は水和物中に規則的に又はランダムに配置される。
【0069】
本発明で使用される「室温」の用語は、常温(common temperature)又は一般的な温度(ordinary temperature)とも呼ばれ、一般的に、室内の温度を意味する。最適室内温度は、冬で16〜18℃、夏で24〜26℃である。一般的に、室温は、20℃±2℃、23℃±2℃又は25℃±2℃、例えば25℃と定義される。
【0070】
本発明で使用される「医薬的に許容される」の用語は、一般的に、医薬品分野で有用であって、製品又は哺乳類に害をなさない、又は利益/リスクの比が妥当又は許容範囲であることを意味する。
【0071】
本発明に係る医薬組成物は、オービットアジン−フマル酸塩又はその水和物の結晶形、及び医薬的に許容される担体又は賦形剤を含む。ここに記載される担体は以下を含むが、これらに限定されない。イオン交換体、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒトアルブミン等の血清タンパク質;リン酸等の緩衝物質、グリセロール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質であり、例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸エステル、ミツロウ及びラノリン。賦形剤は、医薬製剤内の活性物質以外のアジュバントを意味する。賦形剤は、性質が安定しており、活性物質と不適合でなく、副作用を引き起こさず、治療効果に影響を及ぼさず、室温で容易に変形、干割れ、軟化及び腐敗、及び虫食いがなく、人体に害をなさす、生理学的作用をなさず、活性物質と化学的又は物理的に相互作用せず、活性物質の量の測定に影響しない。賦形剤は、例えば、錠剤中の結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤;伝統的な漢方薬の丸薬中のアルコール、酢、薬液等;軟膏及びクリーム等の半固体製剤中の基材;液体製剤中の防腐剤、抗酸化剤、フレーバー、香料、助溶媒、乳化剤、溶解剤、浸透圧調整剤、着色料等とすることができる。
【0072】
本発明で使用される「治療」の用語は、治癒のための治療、予防的治療(prophylactic treatment)及び予防処置(preventive treatment)を含むが、これらに限定されない。予防的治療は、一般的に、個体において疾患の発症を完全に防ぐこと又は前臨床段階にある疾患の発症を遅らせることを含む。
【0073】
本発明に係るオービットアジン−フマル酸塩の結晶形は、一般的に、医薬組成物の形状で被検者に投与され得る。医薬組成物は、本技術の定法により、以下のような様々な剤形に調整され得るが、これらに限定されない。剤形は、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、顆粒又は注入等であり、例えば、経口又は非経口経路等の経路により投与される。
【0074】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、被検者に経口投与されてよい。経口投与される医薬組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、トローチ、オブラート、顆粒、粉末等の形状;又は非水液体中の溶液又は懸濁液の形状;又は水中油型又は油中水型液体乳化液の形状;又はエリキシル剤又はシロップ剤の形状であり、そのそれぞれは、本発明のオービットアジン−フマル酸塩又はその水和物、又はその結晶形を活性成分として含む。
【0075】
必要に応じて、活性成分が遅延放出又は制御放出されるように本発明に係る医薬組成物を処方するために、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース又は他のポリマーマトリクス、リポソーム及び/又は微粒子を任意の比率で使用してよい。
【0076】
さらに、本発明に係る化合物又はその水和物、又はその結晶形の投与量又は使用方法は、年齢、体重、性別、一般的な健康状態、栄養状態、化合物の活性、投与時間、代謝レート、疾患の重症度及び医師の主観的判断を含む、複数の要因に左右されることを指摘しなければならない。好ましい投与量は、0.01〜100mg/体重kg/日である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのHNMR(H核磁気共鳴)スペクトルを示す。
図2図2は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPD(X線粉末回折)パターンを示す。
図3図3は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのDSC(示差走査熱量測定)サーモグラムを示す。
図4図4は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図5図5は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図6図6は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図7図7は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図8図8は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図9図9は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図10図10は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図11図11は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAのXRPDパターンを示す。
図12図12は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形のHNMRスペクトルを示す。
図13図13は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形のXRPDパターンを示す。
図14図14は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形のDSCサーモグラムを示す。
図15図15は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのHNMRスペクトルを示す。
図16図16は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図17図17は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのDSCサーモグラムを示す。
図18図18は、本発明の実施形態のオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのTGA(熱重量分析)サーモグラムを示す。
図19図19は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図20図20は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図21図21は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図22図22は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図23図23は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図24図24は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンを示す。
図25図25は、本発明の実施形態の熱結晶転移の間のオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBの顕微鏡写真を示す。
図26図26は、本発明の実施形態の熱結晶転移の間の異なる位相におけるオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBのXRPDパターンの比較を示す;第1及び第3のカーブは、フォームAのXRPDパターンであり、第2のカーブはフォームBのXRPDパターンである。
図27図27は、本発明の実施形態のオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IのHNMRスペクトルを示す。
図28図28は、本発明の実施形態のオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IのXRPDパターンを示す。
図29図29は、本発明の実施形態のオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IのDSCサーモグラムを示す。
図30図30は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IのXRPDパターンを示す。
図31図31は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IのXRPDパターンを示す。
図32図32は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IのXRPDパターンを示す。
図33図33は、本発明の実施形態のオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IIのHNMRスペクトルを示す。
図34図34は、本発明の実施形態のオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IIのXRPDパターンを示す。
図35図35は、本発明の実施形態のオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IIのDSCサーモグラムを示す。
図36図36は、本発明の実施形態の別の方法によって調整されたオービットアジン二フマル酸塩の結晶形IIのXRPDパターンを示す。
図37図37は、本発明の実施形態における、ヒト大腸癌細胞SW480の阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図38図38は、本発明の実施形態における、ヒト胃腺癌細胞MGC−803の阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図39図39は、本発明の実施形態における、ヒト小細胞肺腺癌細胞A549の阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図40図40は、本発明の実施形態における、ヒトリンパ腫細胞U937の阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図41図41は、本発明の実施形態における、ヒト肝臓癌細胞Hep−G2の阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図42図42は、本発明の実施形態における、ヒト子宮頸癌細胞Helaの阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図43図43は、本発明の実施形態における、ヒト神経膠腫細胞BT−325の阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図44図44は、本発明の実施形態における、ヒト髄芽腫細胞D341 Medの阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
図45図45は、本発明の実施形態における、ヒト胆嚢癌細胞GBC−SDの阻害に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形のカーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明の実施形態を、以下の実施例を参照して詳細に説明する。しかしながら、当業者であれば、以下の実施例は単に発明を説明することを意図しているのみであり、本発明の範囲を定義するとみなされるものではないことを解するであろう。具体的な条件が実施例に記載されていない場合、実施例は、従来法の条件又はメーカーにより推奨される条件によって実施される。メーカーが記載されていない試薬又は装置は、市販の通常の製品である。
【0079】
(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−アセトヒドラジド(ABT02)(調整については、CN101503394Aの実施例1参照。)
XRPD試験の装置及び条件:メーカー:パナリティカルB.V.;型:Empyrean;X線発生装置の設定:45kV、40mA;走査範囲:3〜40°;走査ステップ長さ:0.0168°;走査速度:10秒/ステップ。
DSC試験の装置及び条件:メーカー:TA;型:Q2000;温度範囲:30〜300℃;加熱速度:10℃/分;窒素流速:50mL/分。
核磁気共鳴(NMR):Bruker Avance III HD 600;
熱重量分析(TGA)――TA Q500;
真空乾燥機――上海一恒科学機器株式会社;
電磁撹拌装置――OragonLab MS−Pro。
【0080】
実施例1 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
【0081】
【化6】
【0082】
室温において、機械式攪拌装置を備えた反応瓶に、(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−アセトヒドラジド(22.30g)、エタノール(133.80mL)及び3−アリル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(13.79g)を加え、均一に撹拌した。得られた混合物を60℃に加熱して4時間恒温反応させ、(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−アセトヒドラジド≦1.0%となるまで、培地コントロールのためにサンプルを採取した(サンプルは2時間ごとに採取した)。フマル酸(9.87g)を加え、その後、温度を80℃に上げた。134mLのシクロヘキサンを加えた後、温度を75℃に下げ、白色固体を沈殿させた;35分以内に、温度を室温と(18℃)とした;1時間後に濾過を実行し、濾過ケークを40℃の真空中で一晩乾燥させて、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。この結晶は、無水単結晶であり、吸水性が無く、バルク結晶であった。MNRスペクトルが図1に、XRPDパターン及びDSCサーモグラムが図2及び図3にそれぞれ示されている。得られた産物は、続く結晶形スクリーニング及び調整例の原料として使用された。
【0083】
実施例2 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
実施例1で調整された原料100mgを、60℃の2mLの無水エタノール/イソプロパノールに溶解した。25℃に冷却した後、得られた混合物を静置して蒸発乾固させ、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図4に示される。
【0084】
オービットアジンモノフマル酸塩結晶フォームAは、蒸発結晶化によっても得られた。具体的な操作は以下の通りである:実施例1で調整された原料を溶媒に溶解し、室温で静置し、蒸発により固体(具体的には、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームA)が沈殿した。溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、アセトン、ブタノン、DCM、CHCl、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテート、1,4−ジオキサン、トルエン、アセトニトリル及びDMF、又は以下の混合溶媒から選択される:グリセロール/エタノール(1:1、V/V)、メタノール又はエタノール/ヘプタン(1:1、V/V)、THF/ヘプタン(2:1、V/V)、THF/アセトニトリル(1:1、V/V)、THF/イソプロピルアセテート(1:1、V/V)、THF/DCM(1:1、V/V)、THF/アセトン(1:1、V/V)、THF/エチルアセテート(1:1、V/V)又はTHF/ギ酸ブチル(1:1、V/V)。
【0085】
実施例3 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
実施例1で調整された原料100mgを、50℃のアセトン15mLに溶解し、温度を0℃に下げた。得られた混合物を一晩撹拌し、白色固体が沈殿した。濾過の後、その固体を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図5に示される。
【0086】
上述の方法を参照して、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAは、実施例1で調整された原料を以下の溶媒中で再結晶することによっても得られた:メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、ブタノン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、THF又は以下の混合溶媒:メタノール/水(1:4、V/V)、メタノール/メチルtert−ブチルエーテル(1:4、V/V)、メタノール/イソプロピルアセテート(1:4、V/V)、エタノール/n−ヘキサン(3:2、V/V)。溶媒の沸点に応じて、再結晶化は25〜70℃の高温及び結晶温度0〜25℃で行われる。
【0087】
実施例4 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
実施例1で調整された原料30mgを、25℃のジメチルスルホキシド0.2mLに溶解し、4mLのイソプロピルエーテルを加えた。撹拌下で白色固体が沈殿した。濾過の後、その固体を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図6に示される。
【0088】
上述の方法を参照して、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAは、実施例1で調整された原料を以下の溶媒中で逆溶媒結晶化することによっても得られた:良溶媒は、DMA、DMF、DMSO又はNMP;逆溶媒は、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、n−ペンタノール、ブタノン、イソプロピルアセテート、ギ酸ブチル、トルエン、水、アセトニトリル又は以下の混合溶媒:DCM/n−ヘキサン(2:1、V/V)、CHCl/メチルtert−ブチルエーテル(2:5、V/V)。良溶媒は原料の溶解に十分な量加えられ、逆溶媒結晶化は0〜25℃の温度で実施され、得られた混合物は静置又は撹拌されて、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。
【0089】
実施例5 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
実施例1で調整された原料100mgを、25℃のエチルアセテート2mLに縣濁させ、24時間撹拌した。濾過の後、その固体を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図7に示される。
【0090】
上述の方法を参照して、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAは、実施例1で調整された原料を以下の溶媒中で縣濁結晶化することによっても得られた:メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、アセトン、ブタノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DCM、CHCl、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテート、石油エーテル、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、THF。縣濁結晶化は25〜50℃の温度で実施された。
【0091】
実施例6 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
150mgの(実施例24の方法で調整された)オービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームCを70℃の無水エタノール5mLに溶解し、その後、0℃に冷却して結晶を沈殿させた。濾過の後、その結晶を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図8に示される。
【0092】
実施例7 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
100mgの(実施例28の方法で調整された)オービットアジン二フマル酸塩の結晶形II(フォームD)を70℃の無水エタノール5mLに溶解し、その後、0℃に冷却して結晶を沈殿させた。濾過の後、その結晶を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図9に示される。
【0093】
実施例8 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
100mgの(実施例16の方法で調整された)オービットアジンモノフマル酸塩一水和物(フォームB)を25℃の無水エタノール5mL中で24時間撹拌して、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAに変換された。そのXRPDパターンは図10に示される。
【0094】
実施例9 オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)の調整
50mgの(実施例16の方法で調整された)オービットアジンモノフマル酸塩一水和物(フォームB)を110℃に加熱して、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームAを得た。そのXRPDパターンは図11に示される。
【0095】
実施例10 オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形の調整
実施例1で調整された原料3gを、60℃の無水エタノール60mLに溶解し、回転蒸発により40℃で蒸発乾固させた。残留物を、さらに40℃の真空中で20時間乾燥させて、アモルファス形を得た。産物のHNMRスペクトル、XRPDパターン及びDSCサーモグラムは、図12〜14にそれぞれ示される。
【0096】
実施例11 オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形の調整
実施例1で調整された原料200mgを、室温のエタノール20mLに溶解し、回転蒸発させた後、40℃の真空中で20時間乾燥させて、オービットアジンフマル酸塩のアモルファス形を得た。
上述の方法を参照して、オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形は以下のようにも得られた。実施例1で調整された原料をTHFに溶解し、室温で静置して溶媒を蒸発させ、固体を沈殿させた。
【0097】
実施例12 オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形の調整
実施例1で調整された原料50mgを160℃に加熱した後、40℃に冷却し、オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形を得た。
【0098】
実施例13 オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形の調整
200mgの(実施例16の方法で調整された)オービットアジンモノフマル酸塩一水和物(フォームB)を室温のエタノール20mLに溶解した後、回転蒸発により乾燥させた。40℃の真空中で20時間乾燥させた後、オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形を得た。
【0099】
実施例14 オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形の調整
200mgの(実施例24の方法で調整された)オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)を室温のエタノール20mLに溶解した後、回転蒸発により乾燥させた。40℃の真空中で20時間乾燥させた後、オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形を得た。
【0100】
実施例15 オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形の調整
200mgの(実施例28の方法で調整された)オービットアジン二フマル酸塩の結晶形II(フォームD)を室温のエタノール20mLに溶解した後、回転蒸発により乾燥させた。40℃の真空中で20時間乾燥させた後、オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形を得た。
【0101】
実施例16 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
実施例1で調整された原料30mgを、25℃のエチルアセテート2mLに縣濁させ、24時間撹拌した。濾過の後、その固体を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBを得た。HNMRスペクトル、XRPDパターン及びDSCサーモグラムは、図15〜17にそれぞれ示される。TGA試験によって(図18に示されるように)測定された水分量は、3.308%であり、一水和物における理論的な水分量は3.330%であった。
実施例4の方法を参照して、オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBは、実施例1で調整された原料をDMA(NMP又はDMSO)及び水の混合溶媒中で逆溶媒結晶化することによって得られた。
【0102】
実施例17 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
実施例1で調整された原料100mgを、80℃の純水2mLに縣濁させ、25℃に冷却して、白色固体を沈殿させた。濾過の後、その固体を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBを得た。得られた産物のXRPDパターンは図19に示される。
【0103】
実施例18 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
実施例1で調整された原料100mgを、70℃の1mLの無水エタノール及び1mLの水の混合溶媒に溶解させた。25℃に冷却した後、3mLの水を加え、固体を沈殿させた。濾過の後、その固体を40℃の真空中で乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBを得た。得られた産物のXRPDパターンは図20に示される。
【0104】
実施例19 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
実施例1で調整された原料5gに、100mLの純水を加え、得られた混合物を室温(25℃)で24時間電磁撹拌した。濾過の後、その固体を40℃の真空中で20時間乾燥させてオービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBを得た。得られた産物のXRPDパターンは図21に示される。
【0105】
実施例20 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
実施例1で調整された原料30mgを、25℃の水3mL中で24時間撹拌し、オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBに変換させた。得られた産物のXRPDパターンは図22に示される。
【0106】
実施例21 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
30mgの(実施例28の方法で調整された)オービットアジン二フマル酸塩の結晶形IIを、25℃の水3mL中で24時間撹拌し、オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBに変換させた。得られた産物のXRPDパターンは図23に示される。
【0107】
実施例22 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の調整
30mgの(実施例10の方法で調整された)オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形を、25℃の水3mL中で24時間撹拌し、オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶フォームBに変換させた。得られた産物のXRPDパターンは図24に示される。
【0108】
実施例23 オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)の結晶転移実験
適量の結晶フォームBに、ホットステージ偏光光学顕微鏡を用いて熱結晶転移実験を施した。加熱工程は以下の通りである:
【0109】
【数1】
【0110】
異なる温度における結晶の状態を撮影した結果が図25に示される。結晶フォームBを80℃に加熱すると、明らかに融解が開始し、100℃に加熱されると完全に融解し、融解した液体の一部が再度結晶化した。さらに110℃に加熱すると、融解した液体はほぼ完全に結晶化された。その温度におけるサンプルはXRPD(HCS14437−06−01−110C)処理され、フォームAであると特定された。さらに150℃に加熱した後、その固体は再度融解した。融解した液体は160℃に加熱され、その後、40℃に冷却され、結晶化は起こらず、得られた固体はアモルファス形であった。DSCサーモグラムが図17に示され、XRPDパターンが図26に示される。図26において、第1のカーブはフォームAの標準的なXRPDパターンであり、第2のカーブはフォームBのXRPDパターンであり、第3のカーブは再度結晶化して得られたフォームAのXRPDパターンである。XRPDパターンの比較から、フォームBは110℃に加熱されて結晶水を失うことによってフォームAに変換され得ることが分かる。
【0111】
実施例24 オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)の調整
実施例1で調整された原料5gに、100mLのギ酸ブチルを加え、得られた混合物を室温(25℃)で48時間電磁撹拌した。濾過の後、その固体を40℃の真空中で20時間乾燥させてオービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームCを得た。HNMRスペクトル、XRPDパターン及びDSCサーモグラムは、図27〜29にそれぞれ示される。
実施例1で調整された原料30mgを60℃のギ酸ブチル2mLに溶解し、25℃に冷却して固体を沈殿させた。これによっても、オービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームCが得られた。
【0112】
実施例25 オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)の調整
実施例1で調整された原料30mgを25℃のギ酸ブチル3mL中で24時間撹拌して、オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)を得た。得られた産物のXRPDパターンは図30に示される。
【0113】
実施例26 オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)の調整
30mgの(実施例16の方法で調整された)オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形Bを25℃のギ酸ブチル3mL中で24時間撹拌して、オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)を得た。得られた産物のXRPDパターンは図31に示される。
【0114】
実施例27 オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)の調整
50mgの(実施例28の方法で調整された)オービットアジン二フマル酸塩の結晶形II(フォームD)を60℃のギ酸ブチル5mL中で24時間撹拌して、オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)を得た。得られた産物のXRPDパターンは図32に示される。
【0115】
実施例28 オービットアジン二フマル酸塩の結晶形(フォームD)の調整
実施例1で調整された原料0.2gに、8mLのギ酸ブチルを加えた。得られた混合物を40℃に加熱し、一晩縣濁させた。その後、得られた混合物を熱濾過し、濾過ケークを乾燥させて、オービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームDを得た。HNMRスペクトル、XRPDパターン及びDSCサーモグラムは、図33〜35にそれぞれ示される。
【0116】
実施例29 オービットアジン二フマル酸塩の結晶形(フォームD)の調整
実施例1で調整された原料0.2gに、8mLのギ酸ブチルを加えた。得られた混合物を40℃に加熱し、一晩縣濁させた。その後、得られた混合物を熱濾過し、濾過ケークを40℃で乾燥させて、オービットアジン二フマル酸塩の結晶フォームDを得た。得られた産物のXRPDパターンは、図36に示される。
【0117】
実施例30 オービットアジンフマル酸塩の結晶形安定性試験
1.異なる培地における結晶形の安定性試験
1.1 リン酸ナトリウム/塩酸緩衝液 pH=6.8(37℃)における異なる結晶形の安定性
【0118】
【表1】
【0119】
1.2 pH=1.2の塩酸溶液(37℃)における異なる結晶形の安定性
【0120】
【表2】
【0121】
pH=1.2の塩酸培地中で24時間撹拌した後、フォームB及びフォームCの純度は著しく減少したが、フォームBでは分解の程度がわずかに少なかった。
【0122】
2. 結晶形の溶解性試験
2.1 水(37℃)への異なる結晶形の溶解性
【0123】
【表3】
【0124】
2.2 pH=6.8のリン酸ナトリウム/塩酸緩衝液(37℃)における異なる結晶形の溶解性
【0125】
【表4】
【0126】
2.3 フォームAの溶解性試験
オービットアジンモノフマル酸塩の結晶フォームA(30mg)を白色ガラス瓶に入れて、異なる溶媒をゆっくり加え、溶解性を観察した。試験は26℃で実施され、結果は以下の通りである。
【0127】
【表5】
【0128】
上の表から分かるように、室温において、メタノール、DMF、DMA、DMSO及びNMPは良溶媒であり、エステル、エーテル及びアルカンは貧溶媒であった。さらに、原料は、加熱条件下で、アルコール及びケトン等の溶媒によりよく溶解する
【0129】
3.異なる結晶形の影響要因試験
3.1 関連物質及び結晶形の転移(10日間)
【0130】
【表6】
【0131】
上の表に示されるように、高温、高湿又は照明条件において10日後、全結晶形の純度はいくらか減少した。フォームA及びフォームBは比較的安定しており、基本的に減少傾向は一致していた;ただし、アモルファス形は高湿条件下でフォームBに変換され、他の条件下では結晶形の変化はなかった。
【0132】
3.2 外観及び吸湿性の変化(10日間)
【0133】
【表7】
【0134】
上の表に示されるように、フォームCの色はわずかに黄色を呈し、他の結晶形の色は変化しなかった;フォームA、B、Cの吸湿性は低く1%以内であり、アモルファスはフォームBに変換する際の吸湿によって優位に重量が増加した。
【0135】
実施例33 腫瘍細胞の増殖に対するオービットアジンフマル酸塩の結晶形の阻害効果試験
MTT法により、オービットアジンモノフマル酸塩の結晶形(フォームA)、オービットアジンモノフマル酸塩のアモルファス形、オービットアジンモノフマル酸塩一水和物の結晶形(フォームB)、オービットアジン二フマル酸塩の結晶形I(フォームC)及びオービットアジン二フマル酸塩の結晶形II(フォームD)の、異なる腫瘍細胞の増殖を阻害する効果が決定された。
【0136】
腫瘍細胞は、以下の細胞を含むが、これらに限定されるものではない:ヒト大腸癌細胞SW480、ヒト胃腺癌細胞MGC−803、ヒト小細胞肺腺癌細胞A549、ヒトリンパ腫細胞U937、ヒト肝臓癌細胞Hep−G2、ヒト子宮頸癌細胞Hela、ヒト神経膠腫細胞BT−325、ヒト髄芽腫細胞D341 Med及びヒト胆嚢癌細胞GBC−SD。
【0137】
実験方法:指数関数的成長期の細胞が採取され、最終濃度が5×10細胞/90μl/ウェルとなるように細胞培養プレートの96ウェルに播かれた。細胞を一晩培養した後、(DMSO中に溶解された)オービットアジンフマル酸塩の結晶化合物10μlを異なる濃度で加え、治療のためのオービットアジンフマル酸塩の結晶化合物の最終濃度が30.00μM、10.00μM、3.333μM、1.111μM、0.370μM、0.123μM、0.041μM、0.014μM及び0.0046μM(合計で9つの濃度)となるようにした。全ての濃度は、3つのウェルに繰り返され、同じ量のDMSOがネガティブコントロールとして使用された。72時間の処理の後10μlのMTT溶液(5mg/ml、シグマ)を各ウェルに加え、細胞をさらに4時間培養した。培養液を捨て、100μlのDMSOを各ウェルに加え、振動台上で10分間回転させながら溶解させた。ELISA装置によって570nmの吸光度値を測定し、結晶化合物の細胞増殖−阻害率(50%阻害濃度、IC50値)を算出した。結果を表8に示す。
【0138】
【表8】
【0139】
実験結果から、以下が示される:
(1)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はSW480細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、SW480細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。各オービットアジンフマル酸塩の結晶形は、SW480細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図37に示される。
【0140】
(2)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はMGC−803細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、MGC−803細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のMGC−803細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図38に示される。
【0141】
(3)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はA549細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、A549細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のA549細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図39に示される。
【0142】
(4)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はU937細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、U937細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のU937細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図40に示される。
【0143】
(5)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はHep−G2細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、Hep−G2細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のHep−G2細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図41に示される。
【0144】
(6)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はHela細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、Hela細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のHela細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図42に示される。
【0145】
(7)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はBT−325細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、BT−325細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のBT−325細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図43に示される。
【0146】
(8)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はD341 Med細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、D341 Med細胞の阻害率は、濃度の増加に伴って徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のD341 Med細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図44に示される。
【0147】
(9)オービットアジンフマル酸塩の結晶形はGBC−SD細胞に対して優位な阻害効果を持ち、0.0046μMから30.00μMの濃度範囲において、濃度の増加に伴って、GBC−SD細胞の生存率は徐々に減少し、阻害率は徐々に増加した。オービットアジンフマル酸塩の各結晶形のGBC−SD細胞の阻害能力は同等であり、50%阻害濃度(具体的には、IC50値)は表8及び図45に示される。
【0148】
本発明の実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、開示された全ての教示に基づいて、これらの詳細に様々な修正及び置換がなされ得ることが理解されるであろう。これらの変更は全て本発明の保護範囲内である。本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲及びその等価物によって定義される。
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