特許第6656551号(P6656551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6656551
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】使用済み衛生用品の処理装置用分離機
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20200220BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20200220BHJP
   A61L 2/18 20060101ALN20200220BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20200220BHJP
【FI】
   B09B5/00 Z
   B09B3/00 ZZAB
   !A61L2/18
   A61L101:06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-237638(P2018-237638)
(22)【出願日】2018年12月19日
【審査請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507394639
【氏名又は名称】株式会社サムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪田 勇
(72)【発明者】
【氏名】岡野 公美
(72)【発明者】
【氏名】鴨沢 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】阪田 乾仁
(72)【発明者】
【氏名】阪田 光子
(72)【発明者】
【氏名】西 祐二
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−167153(JP,A)
【文献】 特開2001−104929(JP,A)
【文献】 特開2003−190928(JP,A)
【文献】 米国特許第05021150(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0238794(US,A1)
【文献】 特開昭56−037906(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0083902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
B09B 3/00
A61L 2/18
A61L 101/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み衛生用品(2)を、衛生用品を構成する複数種の素材に分離するとともに、使用済み衛生用品(2)内の汚物を分離する使用済み衛生用品の処理装置用分離機(3)であって、
筐体(5)と、
この筐体(5)に固定支持された外胴分離槽(6)と、
前記外胴分離槽(6)内に回転可能に配置され外周面に前記外胴分離槽(6)と連通する複数の穴が設けられ内部に使用済み衛生用品が投入される内胴分離槽(7)と、
前記内胴分離槽(7)内に投入された使用済み衛生用品(2)に少なくとも水とカルシウム化合物と殺菌剤とからなる分解水を供給する分解水供給部(8)と、
前記外胴分離槽(6)の下部側と連通され前記外胴分離槽(6)内の前記分解水とともに前記汚物を含む排水を排出する排出部(4)と、を備え、
前記内胴分離槽(7)の内壁(7b)には、前記内胴分離槽(7)内に投入された前記使用済み衛生用品(2)を回転によって掻き上げる掻き上げ突起(39)が、前記内胴分離槽(7)の回転軸方向に沿うとともに前記内胴分離槽(7)の回転軸方向に向かって突出して設けられ、
前記掻き上げ突起(39)には、内胴分離槽(7)内に投入された前記使用済み衛生用品(2)を破砕可能な破砕刃部(42)が設けられていることを特徴とする使用済み衛生用品の処理装置用分離機(3)。

【請求項2】
前記掻き上げ突起(39)は、前記内胴分離槽(7)の内壁(7b)から前記内胴分離槽(7)の回転軸方向に向けて延設された前記内胴分離槽(7)の回転方向前方側の第1の掻き上げ面(40)と、
前記内胴分離槽(7)の内壁(7b)から前記内胴分離槽(7)の回転軸方向に向けて延設されて前記第1の掻き上げ面(40)の先端側で連続した前記内胴分離槽(7)の回転方向後方側の第2の掻き上げ面(41)と、で形成され、
前記破砕刃部(42)は、少なくとも前記第1の掻き上げ面(40)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の使用済み衛生用品の処理装置用分離機(3)。
【請求項3】
前記破砕刃部(39)は、少なくとも前記第1の掻き上げ面(40)から前記内胴分離槽(7)の回転方向に向けて立ち上がる刃部本体(43)と、この刃部本体(43)の前記内胴分離槽(7)の回転方向に向けて形成された複数の刃部(44)とで形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の使用済み衛生用品の処理装置用分離機(3)。
【請求項4】
前記破砕刃部(42)は、前記第1の掻き上げ面(40)と前記前記第2の掻き上げ面(41)にそれぞれ形成され、前記第1の掻き上げ面(40)と前記第2の掻き上げ面(41)に形成された前記破砕刃部(42)は連続して形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の使用済み衛生用品の処理装置用分離機(3)。
【請求項5】
前記破砕刃部(42)が、前記掻き上げ突起(39)に所定の間隔を空けて複数個設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の使用済み衛生用品の処理装置用分離機(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する分離槽内で、処理液を供給しながら衛生用品を構成する素材に使用済み衛生用品を分解するとともに殺菌し、分解した素材のうちのパルプとプラスチックを乾燥させて選別する使用済み衛生用品の処理装置用分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使い捨てのおむつとして紙製のおむつが使用されている。この紙製のおむつは、パルプ等からなる吸収体と、吸収体が吸収した水分を保持する高分子吸収体(高分子ポリマー)と、これらを包む防水材(プラスチック)などの素材から構成されている。また、尿取りパッド等もパルプからなる吸収体と、吸収体が吸収した水分を保持する高分子吸収体(高分子ポリマー)と、これらを包む防水材(プラスチック)などの素材から構成されている。これらの使用した後の使用済み紙おむつや尿取りパッド等の衛生用品は、現状では一般廃棄物として処理(処分)されている。
【0003】
しかし、これらの使用済み紙おむつや尿取りパッド等の衛生用品をそのまま一般廃棄物として、例えば焼却処分すると有害物質が生成されたり、埋め立て処分すると感染物質等により土壌が悪化する可能性がある。
【0004】
そこで、衛生的、環境的な観点から、衛生用品を素材ごとに分解して処理する使用済み紙おむつの処理装置が、特許文献1で提案されている。特許文献1で提案されている使用済み紙おむつの処理装置では、回転するドラム内で、使用済み紙おむつを処理液と混合させることで、パルプ、高分子ポリマー、プラスチック等の素材に解体している。
【0005】
特許文献1では、回転ドラム内に使用済み紙おむつを投入した状態で、所定濃度の処理液を処理室内に所定量供給し、使用済み紙おむつを処理液にドラム内で浸漬させた後にドラムを回転させて使用済み紙おむつを各素材に解体している。このように、回転ドラムを回転させて解体される紙おむつには、展開状態の紙おむつを体に装着した後に体の両側でテープにより連結するいわゆるテープ型のものと、下着のように予めパンツ状に形成したパンツ型とがある。回転ドラム内では、テープ型の紙おむつ、パンツ型の紙おむつが混在した状態で処理液に浸漬され解体される。
【0006】
また、特許文献1では、回転ドラムの内壁に複数の撹拌突起を設けることにより、使用済み紙おむつを引っ掛けて解体するとともに撹拌している。この撹拌突起は、回転ドラムの軸方向に沿って長尺で、回転ドラムの内壁から周方向に等間隔で複数個形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3569260号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、テープ型の紙おむつは、既に展開状体となっているので、ドラム内で撹拌突起によって掻き上げて落下させることで処理液に容易にかつ充分に浸漬させることができるが、パンツ型の紙おむつは、撹拌突起によって掻き上げて落下させても展開状態ではないので、パンツ型の紙おむつの内側部分に処理液に充分に浸漬させることができない。
【0009】
パンツ型の使用済み紙おむつが処理液に充分に浸漬されないと、使用済み紙おむつをドラム内で解体することができず、パンツ型の使用済み紙おむつの状態を保ったままになってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、パンツ型の使用済み紙おむつであっても、処理液を充分に浸漬させることができて使用済み紙おむつを素材ごとに確実に分離することができる使用済み衛生用品の処理装置用分離機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、使用済み衛生用品を、衛生用品を構成する複数種の素材に分離するとともに、使用済み衛生用品内の汚物を分離する使用済み衛生用品の処理装置用分離機であって、筐体と、この筐体に固定支持された外胴分離槽と、前記外胴分離槽内に回転可能に配置され外周面に前記外胴分離槽と連通する複数の穴が設けられ内部に使用済み衛生用品が投入される内胴分離槽と、前記内胴分離槽内に投入された使用済み衛生用品に少なくとも水とカルシウム化合物と殺菌剤とからなる分解水を供給する分解水供給部と、前記外胴分離槽の下部側と連通され前記外胴分離槽内の前記分解水とともに前記汚物を含む排水を排出する排出部と、を備え、前記内胴分離槽の内壁には、前記内胴分離槽内に投入された前記使用済み衛生用品を回転によって掻き上げる掻き上げ突起が、前記内胴分離槽の回転軸方向に沿うとともに前記内胴分離槽の回転軸方向に向かって突出して設けられ、前記掻き上げ突起には、内胴分離槽内に投入された前記使用済み衛生用品を破砕可能な破砕刃部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、前記掻き上げ突起は、前記内胴分離槽の内壁から前記内胴分離槽の回転軸方向に向けて延設された前記内胴分離槽の回転方向前方側の第1の掻き上げ面と、前記内胴分離槽の内壁から前記内胴分離槽の回転軸方向に向けて延設されて前記第1の掻き上げ面の先端側で連続した前記内胴分離槽の回転方向後方側の第2の掻き上げ面と、で形成され、前記破砕刃部は、少なくとも前記第1の掻き上げ面に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記破砕刃部は、少なくとも前記第1の掻き上げ面から前記内胴分離槽の回転方向に向けて立ち上がる刃部本体と、この刃部本体の前記内胴分離槽の回転方向に向けて形成された複数の刃部とで形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様は、前記破砕刃部は、前記第1の掻き上げ面と前記第2の掻き上げ面にそれぞれ形成され、前記第1の掻き上げ面と前記第2の掻き上げ面に形成された前記破砕刃部は連続して形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の態様は、前記破砕刃部が、前記掻き上げ突起に所定の間隔を空けて複数個設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内胴分離槽の内壁に設けた掻き上げ突起によって使用済み衛生用品は、掻き上げられる際や、掻き上げられた後に掻き上げ突起から落下する際に破砕刃部によって破断されるので、破断されて小片化した使用済み衛生用品が処理液に充分に浸漬される。この場合、パンツ型の使用済み紙おむつであっても、破砕刃部によって破砕されるので、処理液を充分に浸漬させることができ、使用済み衛生用品を素材ごとに確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係る使用済み衛生用品の処理装置用分離機が用いられた使用済み衛生用品の処理装置を示す概略構成図。
図2図2は、本発明に係る使用済み衛生用品の処理装置用分離機を示す正面図。
図3図3は、本発明に係る使用済み衛生用品の処理装置用分離機の内胴分離槽に設けた掻き上げ突起を示す斜視図。
図4図4は、掻き上げ突起とこの掻き上げ突起に設けた破砕刃部を示し、図3の矢印A方向から見た矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る使用済み衛生用品の処理装置(以下、「処理装置」という)用分離機(以下、「分離機」という)の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明に係る分離機は、使用済み衛生用品としての使用済み紙おむつを、紙おむつを構成する複数種の素材と、使用済み紙おむつに吸収されている汚物とを分離し、分離した素材を回収する。
【0019】
本実施の形態の形態において処理される衛生用品としての使用済み紙おむつは、表面材、漏れ防止のギャザー、吸水材、防水材、その他によって構成されている。表面材は、ポリエステルやポリプロピレンの不織布などが使用されている。漏れ防止ギャザーは不織布と伸縮素材が使用されている。吸水材は、吸水紙、綿状パルプ、高分子吸収材などの組み合わせで構成されている。防水材は、紙おむつの外側を覆う防水シートで合成繊維等からなる不織布が使用されている。その他に、紙おむつを止める粘着テープ、止着材等が使用されている。
【0020】
本実施の形態において、素材とは、紙おむつの高分子吸収体、表面材、立体ギャザー等に用いられているプラスチック、吸水紙等に用いられているパルプ、粘着テープやゴム等のその他を意味する。また、本実施の形態において処理される使用済み紙おむつには、いわゆるテープ型の紙おむつ、パンツ型の紙おむつが含まれる。
【0021】
また、本実施の形態における処理装置に用いられる処理水としての分解水は、分解剤としての石灰と、消毒剤(殺菌剤)としての次亜塩素酸と、水とを混合したものであり、処理する使用済み紙おむつの種類、処理する使用済み紙おむつの量によって、石灰、次亜塩素、水の配合量が設定されている。また、必要に応じて、洗浄剤や漂白剤等の添加剤を加えても良い。
【0022】
なお、分解水として石灰と水とを混合したものを用い、消毒剤としての次亜塩素酸は、石灰と水とを混合した分解水とは別に処理装置に供給しても良い。本実施の形態では、分解剤としての石灰と、水と、消毒剤としての次亜塩素酸とを混合したものを分解水としている。以下、本実施の形態の分離機が用いられた処理装置について説明する。本実施の形態では、衛生用品として使用済紙おむつを処理する例について説明する。
【0023】
[本実施の形態の分離機3の特徴]
本実施の形態における分離機3は、筐体5と、この筐体5に固定支持された外胴分離槽6と、外胴分離槽6内に回転可能に配置され外周面に外胴分離槽6と連通する複数の穴が設けられ内部に使用済み衛生用品が投入される内胴分離槽7と、内胴分離槽7内に投入された使用済み衛生用品に少なくとも水とカルシウム化合物と殺菌剤とからなる分解水を供給する分解水供給部8と、外胴分離槽6の下部側と連通され外胴分離槽6内の分解水とともに汚物を含む排水を排出する排出部4と、を備えている。
【0024】
また、本実施の形態における分離機3の内胴分離槽7の内壁7aには、内胴分離槽7内に投入された使用済み紙おむつ2を回転によって掻き上げる掻き上げ突起39が、内胴分離槽7の回転軸方向に沿うとともに内胴分離槽7の回転軸方向に向かって突出して設けられ、この掻き上げ突起39には、内胴分離槽7内に投入された使用済み衛生用品を破砕可能な破砕刃部42が設けられている。
【0025】
[処理装置]
図1は、分離機3が用いられた処理装置1の全体構成を示す。図1に示すように、処理装置1は、使用済み衛生用品としての使用済み紙おむつ2を紙おむつを構成する素材に分解する分離機3と、分離機3内の分解水とともに汚物を含む排水を外部へ排出する排出部4と、分離機3によって分離された素材が投入され乾燥させることで紙おむつを構成する少なくともパルプとプラスチックを選別する選別機25とを備えている。
【0026】
[分離機]
分離機3は、上記のように筐体5に固定された外胴分離槽6と、外胴分離槽6内に回転自在に配置された内胴分離槽7と、分解水供給部8と、分解水とともに汚物を含む排水を排出する排出部4とで構成されている。外胴分離槽6は、円筒状で、一方の端面に筐体5に設けた投入・取出口9に連通する開口部10が形成され、他方の端面は閉塞されている。投入・取出口9が投入・取出扉11によって閉じている状態では、外胴分離槽6は内部が密封されている。
【0027】
内胴分離槽7は、外胴分離槽6の内径より小さい内径の円筒形状で、外周面(側面)全体に小径の穴が、パンチング等によって形成されている。内胴分離槽76の一方の端面が筐体5の前面側に位置し、他方の端面が筐体5の後面側に位置している。内胴分離槽7の一方の端面側には、筐体5の投入・取出口9と連通する開口部12が形成されている。内胴分離槽7の他方の端面側からは、回転駆動軸7aが筐体5の後面側に向けて突出している。この回転駆動軸7aには、図示しない駆動モータから回転駆動力が伝達され、内胴分離槽7が回転駆動する。この内胴分離槽7内には、投入・取出口9から使用済み紙おむつ2が投入される。
【0028】
図2に示すように、内胴分離槽7の内壁7bには、内胴分離槽7内に投入された使用済み紙おむつ2を回転によって掻き上げる掻き上げ突起39が、内胴分離槽7の回転軸方向に沿うとともに内胴分離槽7の回転軸方向に向かって突出して設けられている。この掻き上げ突起39は、内胴分離槽7の周方向に等間隔で4カ所に設けられている。
【0029】
掻き上げ突起39は、図3図4に示すように、内胴分離槽7の内壁7bから立ち上がる内胴分離槽7の回転方向の前方側の第1の掻き上げ面40と、内胴分離槽7の内壁7bから立ち上がる内胴分離槽7の回転方向の後方側の第2の掻き上げ面41とで形成されている。また、第1、第2の掻き上げ面40、41は、内胴分離槽7の回転軸に向けてそれぞれ延設されて先端側で連続しており、図4に示すように略三角形の断面形状に形成されている。この掻き上げ突起39には、破砕刃部42が設けられている。
【0030】
破砕刃部42は、内胴分離槽7の回転方向に向けて立ち上がる薄板状の刃部本体43と、この刃部本体43の内胴分離槽7の回転方向に向けて形成された複数の刃部44とで形成されている。
【0031】
なお、破砕刃部42は、少なくとも第1の掻き上げ面40、すなわち内胴分離槽7の回転方向の前方側に設ければ良く、複数の刃部44は第1の掻き上げ面40によって掻き上げられ内胴分離槽7の下面側へ落下する使用済み紙おむつ2を破断することが可能な方向に向けて鋭角状に形成されていれば良い。また、破砕刃部42は、第1の掻き上げ面40と第2の掻き上げ面41にそれぞれ形成され、第1の掻き上げ面40と第2の掻き上げ面41に連続して形成されていても良い。さらに、破砕刃部42を、掻き上げ突起39に軸方向に沿って所定の間隔を空けて複数個設けても良い。
【0032】
そして、使用済み紙おむつ2は、内胴分離槽7が回転することで掻き上げ突起39の第1の掻き上げ面40によって内胴分離槽7の上部に掻き上げられる。第1の掻き上げ面40により内胴分離槽7の上部に掻き上げられた使用済み紙おむつ2は、内胴分離槽7の下部側へ落下する際に、破砕刃部42の複数の刃部44によって繰り返し破断されて破砕される。また、掻き上げ突起39により使用済み紙おむつ2が掻き上げられる際にも使用済み紙おむつ2は破断されて破砕される。
【0033】
この場合、いわゆるテープ型の使用済み紙おむつ2は、展開している状態で繰り返し破断されて小片化される。いわゆるパンツ型の使用済み紙おむつ2は、刃部44によって繰り返し破断されることで、展開した状態となり、さらに刃部によって繰り返し破断されて小片化される。
【0034】
使用済み紙おむつ2は、一般家庭や、病院、老人ホーム等から集積された後に、図1に示すように、計量コンベア13によって計量されて所定量の重さの一塊とされる。この一塊とされた使用済み紙おむつ2が、投入機14によって吊り下げられ、分離機3の前面側まで移動され、投入・取出口9から筐体5の内部、すなわち内胴分離槽7内に投入される。使用済み紙おむつ2が投入された内胴分離槽7内には、分解水供給部8によって分解水、洗剤が供給される。
【0035】
分解水供給部8は、分解水タンク15と、洗剤タンク16と、分解水供給口17と、供給ポンプ18と、管路19、20とで構成されている。分解水タンク15には、所定の割合に調合された分解水と水と殺菌剤とを混合した処理液としての分解水が貯留されている。この分解水は、ポンプ18によって内胴分離槽7内の上部側から内胴分離槽7内に供給される。内胴分離槽7内に分解水が供給される際には、内胴分離槽7は、所定の回転数で回転している。
【0036】
使用済み紙おむつ2が投入され、所定の回転数で回転駆動している状態で処理水が供給された内胴分離槽7内では、使用済み紙おむつ2が、紙おむつを構成する素材として、パルプ、高分子ポリマー、プラスチック、その他に分離され、加えて高分子ポリマーも分解されて内部から汚物(汚水)が分離される。内胴分離槽7内で使用済み紙おむつ2を分解処理した後の分解水(排液)は排出部4に排出される。このとき、分解水に溶けることのない固形物(溶けなかったパルプ、プラスチック)は内胴分離槽7内に残り、分解水に溶けたパルプや汚物(汚水)は、排出部4に排出される。
【0037】
排出部4は、外胴分離槽6内の分解水が排出される排水受け槽21と、排水を濾過して一旦貯留する排水ピット22と、排水受け槽21と排水ピット22とを連通し排水を排水ピット22に流す排水管23とで構成されている。そして、排水受け槽21内には、供給された分解水によって使用済み紙おむつ2から分解され、高分子ポリマーに含まれていた汚物(尿等の汚水)、付着していた汚物、パルプが混在した分解水が排出される。排水受け槽21内に排水されたパルプを含む分解水は、排水管23を通って排水ピット22に貯留される。排水ピット22に貯留された分解水中には、パルプが大量に含まれており、図示しないパルプ回収装置によってパルプが分解水と分離されて回収される。
【0038】
分解水に溶けることがなく内胴分離槽7内に残った固形物(溶けなかったパルプ、プラスチック)は、内胴分離槽7への分解水の供給を停止した後に、内胴分離槽7を回転させることにより、パルプとプラスチックに残っていた水分が脱水される。この脱水によってパルプとプラスチックから取り出された分解水は排出部4に排出される。脱水後の固形物、すなわち分解水に溶けることのなかった固形物であるパルプとプラスチックは、投入・取出口9からコンベア24によって選別機25へと送られる。
【0039】
選別機25は、筐体26内に固定、支持された外胴選別槽27と、外胴選別槽27内に回転可能に配置された内胴選別槽28と、外胴選別槽27の下部に設けられた取出搬送部29と、筐体26の上部に配置されて外胴選別槽27内に乾燥風を供給する乾燥風供給部30とで構成されている。
【0040】
外胴選別槽27は、円筒形状で一方の端面が筐体26の一面側の内面に密着され、他方の端面側が筐体26の他面側の内面に密着された状態で筐体26に固定されている。一方の端面には、筐体26の投入口31に連通する投入側の開口部が形成され、他方の端面には、筐体26の取出口32に連通する取出側の開口部が形成されている。この外胴選別槽27内には、乾燥風供給部30から乾燥風が導入され、内胴選別槽28内のパルプとプラスチックとが乾燥される。
【0041】
内胴選別槽28は、外胴選別槽27より若干小径の円筒形状で、軸方向の両端面は開口され、外胴選別槽27の両端の開口部とそれぞれ連通されている。また、内胴選別槽28は、周方向の側面にパンチング等によって形成された複数の貫通穴が全体的に形成されている。そして、外胴選別槽27内に乾燥風供給部30から導入された乾燥風によって回転する内胴選別槽28内のパルプとプラスチックが乾燥される。
【0042】
乾燥風供給部30は、ヒータ33と、ファン34と、乾燥風導入路35と、乾燥風排出路36とで構成されている。ヒータ33は、複数の熱交換用のパイプで形成され、このパイプには高温の蒸気が供給されている。パイプの周囲を外気が通過することによって外気が加熱されて乾燥風が生成され、この乾燥風が乾燥風導入路35によって外胴選別槽27内に送り込まれる。ファン34は、外胴選別槽27内の乾燥風を乾燥風排出路36を通して吸い出してダクト37内へ送風する。ダクト37には、バグフィルタを有するパルプ回収装置38に接続されている。ファン34が、外胴選別槽27内から乾燥風を排出(吸い出す)することにより、ヒータ33に外気が導入され、ヒータ33によって外気が加熱されることにより乾燥風が生成されて、外胴選別槽27内に供給される。
【0043】
これにより、回転する内胴選別槽28内のパルプとプラスチックとから水分が蒸発しパルプとプラスチックが乾燥されて選別される。また、ファン34によって外胴選別槽27内から吸い出された乾燥風は、ダクト37を介してパルプ回収装置38に送られ、バグフィルタによって乾燥風に含まれるパルプが回収される。
【0044】
パルプとプラスチックとが乾燥されると、パルプとプラスチックは分離されて選別される。選別されたパルプとプラスチックのうちパルプは、取出搬送部29によって外部に取り出され、プラスチックは、取出口32から外部に取り出される。
【0045】
次に、分離機3による使用済み紙おむつ2の処理について説明する。内胴分離槽7内に所定の重量の使用済み紙おむつ2を投入した後に、処理液を分解水供給部8によって内胴分離槽7内に供給するとともに、内胴分離槽7を所定の回転数で回転させる。使用済み紙おむつ2が投入された内胴分離槽7を回転させながら、処理液を上部から内胴分離槽7内に供給すると、内胴分離槽7の回転により使用済み紙おむつ2が掻き上げ突起39によって内胴分離槽7内の下部側から上部側へ掻き上げられる。
【0046】
掻き上げ突起39により内胴分離槽7内の上部側へ掻き上げられた使用済み紙おむつ2は、掻き上げ突起39が上部側へ移動すると内胴分離槽7内の下部側へ落下する。使用済み紙おむつ2が内胴分離槽7内の下部側へ落下する際に、使用済み紙おむつ2は、破砕刃部42の刃部44によって切断され小片化される。また、掻き上げ突起39により使用済み紙おむつ2が掻き上げられる際にも切断され小片化される。繰り返し破砕刃部42の刃部44によって切断され小片化された使用済み紙おむつ2には、分解水が染み込む。分解水は、内胴分離槽7の上部から供給される。
【0047】
分解水が小片化された使用済み紙おむつ2に染み込まれると、小片化された使用済み紙おむつ2は、紙おむつを構成する素材、すなわちパルプ、吸水材、プラスチック、その他に分解される。この場合、パンツ型の使用済み紙おむつ2が、既に展開状態のテープ型の使用済み紙おむつ2と混在しているが、パンツ型の使用済み紙おむつ2は、掻き上げ突起39によって掻き上げられ、落下する際に繰り返し破断されることで展開状態となり、テープ型の使用済み紙おむつ2と同様に小片化される。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る使用済み衛生用品の処理装置用分離機3によれば、内胴分離槽7の内壁7bに設けた掻き上げ突起39によって掻き上げられた使用済み紙おむつ2は、落下する際に破砕刃部42によって破砕されるので、破砕されて小片化した使用済み紙おむつ2に処理液としての分解水が充分に染み込み、分解水に浸漬される。この場合、パンツ型の使用済み紙おむつ2であっても、破砕刃部42によって破砕されるので、処理液を充分に浸漬させることができ、使用済み紙おむつ2を素材ごとに確実に分離することができる。
【0049】
また、内胴分離槽7の内壁の掻き上げ突起39に、破砕刃部42を設けて使用済み紙おむつ2を小片化することにより処理液に素早く使用済み紙おむつ2を浸漬させることができるので、使用済み衛生用品の処理時間を短縮することが可能となる。
【0050】
さらに、内胴分離槽7の内壁7bの掻き上げ突起39に、破砕刃部42を設けて使用済み紙おむつ2を小片化することにより処理液に素早く使用済み紙おむつ2を浸漬させることができるので、処理液によって吸水材(高分子ポリマー)に吸収されている汚水(尿等)を外部に素早く出すことができる。これにより、吸水材から出た水分を用いて使用済み紙おむつ2を分解することができるので、大量の水を用いる必要がなくなり、排液の量も低減することが可能となる。
【0051】
なお、上記の実施形態では、使用済み衛生用品として使用済み紙おむつ2を例にとって説明したが、尿取りパッド等の吸水材(高分子ポリマー)を使用する衛生用品を処理する場合にも、本発明の分離機3を用いることができる。
【0052】
また、上記実施の形態では、破砕刃部42は、薄板状の刃部本体43に複数の刃部44を形成しているが、刃部本体43は薄板状でなくとも良く、刃部44は刃部本体43に複数設けられたものでなくても良い。
【0053】
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によって本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る使用済み衛生用品の処理装置用分離機は、使用済み紙おむつの処理以外に、高分子ポリマー等によって尿等の汚物を吸収させる衛生用品、例えば生理用ナプキン、尿取りパッド等を処理する際にも利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 使用済み衛生用品の処理装置
2 使用済み紙おむつ
3 分離機
4 排出部
5 筐体
6 外胴分離槽
7 内胴分離槽
7b 内壁
8 分解水供給部
39 掻き上げ突起
42 破砕刃部
【要約】
【課題】本発明は、パンツ型の使用済み紙おむつであっても、処理液に充分に浸漬させることができて使用済み紙おむつを素材ごとに確実に分離することができる使用済み衛生用品の処理装置用分離機を提供する。
【解決手段】本発明の使用済み衛生用品の処理装置用分離機3は、内胴分離槽7の内壁7aに内胴分離槽7内に投入された使用済み衛生用品2を回転によって掻き上げる掻き上げ突起39を、内胴分離槽7の回転軸方向に沿うとともに内胴分離槽7の回転軸方向に向かって突出して設け、掻き上げ突起39に、内胴分離槽7内に投入された使用済み衛生用品2を破砕可能な破砕刃部42を設けた。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4