(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6656552
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】画像検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-76241(P2019-76241)
(22)【出願日】2019年4月12日
【審査請求日】2019年4月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595139646
【氏名又は名称】東京技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】横山 和久
【審査官】
蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−236008(JP,A)
【文献】
特開2001−033391(JP,A)
【文献】
特開平9−203709(JP,A)
【文献】
特開平2−272309(JP,A)
【文献】
特開2005−221270(JP,A)
【文献】
特開2002−162358(JP,A)
【文献】
特開昭63−198854(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0181715(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像視野域にネジやナットなどの転がり易いワークを運ぶ搬送手段と、撮像視野域で搬送手段の下から透過光を照射して搬送手段上にワークの輪郭を投影する照明装置と、搬送手段上に投影されたワークの輪郭を上から撮像する上部カメラと、上部カメラで撮像したワークの画像を処理する画像処理手段とを備え、画像処理手段の画像を基にワークを検査する画像検査装置において、搬送手段のワークを載置する載置部を型板ガラスで形成し、該型板ガラスの表面に形成されている0.3〜0.5mmの凹凸状の型模様で停止用凹凸が形成され、該停止用凹凸でワークの転がりを抑止することを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記型板ガラスにて構成された回転板体に前記載置部を形成すると共に、前記載置部表面に前記型模様による前記停止用凹凸が形成され、回転板体が回転すると前記載置部上に載置した前記ワークが前記撮像視野域まで搬送されるように構成した請求項1記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記型板ガラスにて構成されたトレイ体に前記載置部を形成すると共に、前記載置部の表面に前記型模様による前記停止用凹凸が形成され、前記載置部上に載置した前記ワークをトレイ体ごと前記撮像視野域まで運ぶように構成した請求項1記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記上部カメラで撮像した前記ワークの輪郭画像を処理して表示する検査画面を備え、該検査画面に表示された画像と、予め設定登録された前記ワーク各部の製品データとに基づいて前記ワークの良否を判定する請求項1記載の画像検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジやナットなどの転がり易い製品を画像処理で検査するのに好適な画像検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当発明者は、先に特許文献1に記載のねじ類の検査方法を発明している。この検査は、2本のワイヤーから成る搬送具にネジやナット等の検査対象品(以下、ワークと称する)の軸部を挟み、搬送する間に撮影したワークの画像から検査する方法である。特に、ワーク全体の画像を画像処理して検査画面上に表示し、この画像と予め設定登録された製品データとに基づいてワークの良否を判定するので、短時間での検査が可能になり、大量のワークを高速で処理することが可能になっている。
【0003】
一方、ワークを把持しない状態で検査する検査装置が特許文献2に記載されている。この検査装置では、透光ガラス板で形成された傾斜する搬送路の上をワークが滑り落ちる際に複数のカメラでワークを撮像して複数の画像から検査する装置である。
【0004】
更に、ワークに照射した光の色や明るさの変化を解析し、ワークの欠陥を判断する検査装置が特許文献3に記載されている。この検査装置には、透明な材料で形成した搬送路上にワークを置き、搬送路の下から光を照射し、ワークの上から撮影手段でワークを撮像して検査する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6360782号公報
【特許文献2】特開2014-139525号公報
【特許文献3】国際公開WO2016/121878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のねじ類の検査方法によると、2本のワイヤーにワークを挟んで搬送することで大量のワークを高速で処理することが可能になっている。ところが、ワークの形状は2本のワイヤーで搬送可能な形状に限られる不都合があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の検査装置では、ガラス板の搬送路に沿ってワークが滑り落ちる際に画像を撮像して検査する構成なので、ワークに対して少なくとも2箇所以上の方向から撮像する必要がある。しかも、滑り落ちるワークを検査する装置なので極めて精密な画像処理装置が要求され、検査装置が高価にならざるを得ない。
【0008】
一方、特許文献3に記載の検査装置では、移動する透明な移動手段上にワークを載置し、カメラの撮像視野域まで自動搬送したワークを撮影する構成なので、ワークが球や円筒状のように転がり易い形状の場合には、搬送中に移動手段上からワークが転がり落ちる虞がある。
【0009】
しかも、このような転がり易いワークでは、たとえワークを手作業で運んだとしても、このワークが撮像視野域で転がると、ワークの撮影ができない状態になる。すなわち、透明な平板上に置いたワークを画像処理で検査する際に、撮像視野域で転がるワークが落ち着くまで検査ができなくなると検査時間が遅くなる。しかも、ワークの画像がぶれて検査精度が落ちる虞もある。
【0010】
特許文献3の検査装置では、搬送時のワークの移動を防止するために、ワークの側面などを保持する保持機構や、エアーによってワークを保持する構成などが提案されている。ところが、このような保持機構やエアーの保持構成では、転がり易いワークを停止させることは極めて困難である。
【0011】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、ワークの転がりを抑制することで、画像処理による検査時間を早めると共に、検査精度を高めることが可能な画像検査装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、撮像視野域20に
ボルトやナット等の円柱形状又は円筒形状を成したワークWを運ぶ搬送手段10と、撮像視野域20で搬送手段10の下から透過光を照射して搬送手段10上にワークWの輪郭を投影する照明装置30と、搬送手段10上に投影されたワークWの輪郭を上から撮像する上部カメラ40と、上部カメラ40で撮像したワークWの画像を処理する画像処理手段50と、を備え、画像処理手段50の画像を基にワークWを検査する画像検査装置において、搬送手段10のワークWを載置する載置部10Aを
型板ガラスで形成し、該
型板ガラスの表面に形成されている
0.3〜0.5mmの凹凸状の型模様で停止用凹凸10Bを
構成し、
該停止用凹凸10BでワークWの転がりを抑止することにある。
【0013】
第2の手段の前記搬送手段10は、
前記型板ガラスにて構成された回転板体11に前記載置部10Aを形成すると共に、前記載置部10A表面に
前記型模様による前記停止用凹凸10B
が形成され、回転板体11が回転すると
前記載置部10A上に載置した前記ワークWが前記撮像視野域20まで搬送されるように構成したものである。
【0014】
第3の手段において、前記搬送手段10は、
前記型板ガラスにて構成されたトレイ体12に前記載置部10Aを形成すると共に、前記載置部10A表面に
前記型模様による前記停止用凹凸10B
が形成され、前記載置部10A上に載置した前記ワークWをトレイ体12ごと前記撮像視野域20まで運ぶように構成している。
【0015】
第4の手段の前記画像処理手段50は、前記上部カメラ40で撮像した前記ワークSの輪郭画像を処理して表示する検査画面51を備え、該検査画面51に表示された画像と、予め設定登録された前記ワークW各部の製品データとに基づいて前記ワークWの良否を判定するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載のごとく、ワークWを載置する載置部10Aを
型板ガラスで形成し、該
型板ガラスの表面に形成されている
0.3〜0.5mmの凹凸状の型模様で停止用凹凸10Bを
構成し、該停止用凹凸10BでワークWの転がりを抑止することにより、搬送手段10上に載置した
ボルトやナット等の円柱形状又は円筒形状を成したワークWの安定性が良好になり、撮像視野域20に運ばれたワークWが搬送手段10上で移動する不都合が解消された。
【0017】
この結果、検査するワークWが、
ネジやナット
などの極めて転がり易い形状であっても、停止用凹凸10BがワークWの転がりを抑止することができる。
【0018】
しかも、この停止用凹凸10Bは、光を透過する凹凸にて形成されているので、照明装置30から照射された透過光で載置部10A上にワークWの輪郭を投影する作業が可能になる。この結果、画像処理手段50による画像検査が可能になり、画像のぶれも抑止できる。
【0019】
請求項2のように、
前記型板ガラスにて構成された回転板体11に前記載置部10Aを形成すると共に、前記載置部10A表面に
前記型模様による前記停止用凹凸10B
が形成され、回転板体11が回転すると
前記載置部10A上に載置した前記ワークWが前記撮像視野域20まで搬送されるように構成することで、ワークWを自動搬送しながら検査することができる。しかも、搬送手段10は、ワークWを載せた回転板体11が回転する構成なので、省スペースでの検査が可能になる。
【0020】
請求項3のごとく、前記搬送手段10は、
前記型板ガラスにて構成されたトレイ体12に前記載置部10Aを形成すると共に、前記載置部10A表面に
前記型模様による前記停止用凹凸10B
が形成され、前記載置部10A上に載置した前記ワークWをトレイ体12ごと前記撮像視野域20まで運ぶように構成することで、ワークWの数が少ない検査にも対応することができる。
【0021】
請求項
4のように、画像処理手段50は、上部カメラ40で撮像したワークSの輪郭画像を二値化処理して表示する検査画面51を備え、該検査画面51に表示された二値化画像と、予め設定登録された前記ワークW各部の製品データとに基づいてワークWの良否を判定するものであるから、ワークWの形状に応じた検査が瞬時に行えるようになる。この結果、複数本のワークWを同時に検査することが可能になり、ワークWの検査時間を格段に早めることができる。
【0022】
このように本発明によると、ワークWの転がりを抑制し、画像処理手段50の検査時間を早めると共に、検査精度を高めることが可能になるなどといった当初の目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明で使用する検査装置の一実施例を示す概略図である。
【
図2】本発明の搬送手段の一実施例を示す概略図である。
【
図4】本発明の搬送手段の他の実施例を示す斜視図である。
【
図5】本発明のトレイ体による検査状態を示す平面図である。
【
図6】(イ)、(ロ)は、球状のワークを検査する状態を示す
参考図である。
【
図7】(イ)、(ロ)は、円柱状のワークを検査する状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の基本構成は、搬送手段10、撮像視野域20、照明装置30、上部カメラ40、画像処理手段50を備えている。そして、搬送手段10の透明な平板上に載置したワークWを撮像視野域20で撮像し、画像処理手段50で検査する装置である(
図1参照)。
【0025】
すなわち、撮像視野域20で搬送手段10の下から透過光を照明装置30で照射し、搬送手段10上にワークWの輪郭を投影する。更に、このワークWの輪郭を上から上部カメラ40で撮像し、ワークWの画像を画像処理手段50で処理してワークWを検査するように構成している(
図1参照)。
【0026】
搬送手段10は、ワークWを載置して撮像視野域20まで搬送するように構成したものである。この搬送手段10において、ワークWを載置する載置部10Aは、透明な平板で形成されている(
図1参照)。更に、この載置部10Aの載置面に、ワークWの転がりを防止する停止用凹凸10Bを形成している。この停止用凹凸10Bは、照明装置30から照射された光を透過するものである。
【0027】
図2に示す搬送手段10は、回転する透光ガラス板で回転板体11を構成し、この透光ガラス板の表面に載置部10Aを形成している。そして、回転板体11が回転すると共に、この回転板体11上に載置したワークWが撮像視野域20まで搬送されるように構成している。透光ガラス板の表面には停止用凹凸10Bを形成しているので搬送されたワークWは転がり難くなる(
図1参照)。尚、回転板体11上にワークWを搬送する手段は任意に設定できるものとする。そして、回転板体11が回転している状態で撮像したワークWの画像を基にして画像処理手段50がワークWを検査する(
図3参照)。
【0028】
この載置部10Aに透明な平板ガラスを使用する場合、停止用凹凸10Bとして、例えば、JIS R 3203に規格された型板ガラスの型模様を利用することができる。この型板ガラスとは、厚さ2mm〜6mmの透明な板ガラスの片面に、0.3〜0.5mmの凹凸が形成されたものである。
【0029】
この型板ガラスを搬送手段10の載置部10Aとして採用し、0.3〜0.5mmの凹凸を停止用凹凸10Bとしたときに、ワークWの転がり防止と透過光による画像処理手段50の精度が十分に担保されることが実験で明らかになっている。
【0030】
また、この回転板体11を矩形板体(図示せず)に変えることも可能である。そして、この矩形板体が直線移動することでワークWが撮像視野域20まで搬送されるように構成することで、数多くのワークWでも自動搬送することが可能になる。
【0031】
図4に示す搬送手段10は、
型板ガラスでトレイ体12を構成したものである。そして、このトレイ体12の載置部10A上に載置したワークWを、作業者がトレイ体12ごと撮像視野域20まで運ぶように構成している。このトレイ体12は、撮像視野域20の上に置いた状態でワークWが検査される(
図5参照)。
【0032】
トレイ体12の載置部10Aの表面には、
型板ガラスによる型模様の停止用凹凸10Bが形成されているので、撮像視野域20にトレイ体12を運び込んでも、載置部10A上のワークWの転がりを抑止する(
図5参照)。
【0034】
照明装置30は、撮像視野域20において、搬送手段10の下方に配置されるLEDライトである(
図1参照)。また、上部カメラ40は、撮像視野域20で、搬送手段10上のワークWを撮像するCCDカメラである。
【0035】
図示の画像処理手段50は、撮像視野域20で撮像したワークWの輪郭画像を処理して表示する検査画面51を備えている(
図3参照)。更に、この検査画面51に表示された画像と、予め画像処理手段50に設定登録されたワークWの輪郭データとに基づいてワークWの形状を検査する。
【0036】
図示例では、たとえば、ワークWが球状の場合、ワークWの直径を計測して検査する(
図6(イ)参照)。この場合、ワークWが転がって撮像視野域20からはみ出てしまうと検査ができなくなる(同図(ロ)参照)。
【0037】
また、ワークWが円柱状の場合、ワークWの全長を計測して検査する場合がある(
図7(イ)参照)。この場合も、ワークWが転がって撮像視野域20からはみ出てしまうと検査ができなくなる(同図(ロ)参照)。
【0038】
本発明では、載置部10Aに停止用凹凸10Bを形成することで、撮像視野域20内でのワークWの転がりを防止して迅速な検査を可能にするものである(
図6(イ)、
図7(イ)参照)。
【0039】
尚、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、搬送手段10の構成や載置部10Aの材質、停止用凹凸10B等の設計変更は任意に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
W ワーク
10 搬送手段
10A 載置部
10B 停止用凹凸
11 回転板体
12 トレイ体
20 撮像視野域
30 照明装置
40 上部カメラ
50 画像処理手段
51 検査画面
【要約】
【課題】画像検査装置の撮像視野域に入ったワークの転がりを抑制し、画像処理による検査時間を早め、検査精度を高めることが可能な画像検査装置を提供する。
【解決手段】撮像視野域20にワークWを運ぶ搬送手段10を構成する。
撮像視野域20で透過光を照射しワークWの輪郭を投影する照明装置30を構成する。
投影されたワークWの輪郭を上から撮像する上部カメラ40を配置する。ワークWの画像を画像処理手段50で検査する画像処理手段50を備える。搬送手段10の載置部10Aを透明な平板で形成する。載置部10Aの載置面に停止用凹凸10Bを形成する。
【選択図】
図1