【文献】
RIGDON, M., et al.,"Evaluation of alkaline electrolyzed water to replace traditional phosphate enhancement solutions: Effects on water holding capacity, tenderness, and sensory characteristics.",MEAT SCIENCE,2017年,Vol.123,pp.211-218
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る「食肉の加工方法」は、原料素材(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等の畜肉、及び、鹿肉、猪肉等の獣肉)を浸漬液中に20〜60分間程度浸漬して浸潤させ、その後、加熱処理を行って加工肉製品を製造するというものであり、pH12以上の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が10〜20%となるように食塩を溶解させた、マグネシウム及びカルシウムをそれぞれ200〜900ppm含有する強アルカリ性の浸漬原液(食塩10〜20重量%、電解アルカリイオン水80〜90重量%)を、水(水道水、蒸留水、清浄化水等の一般的な水)(pH6〜8の鉱泉水を含む)で20〜100倍に希釈したものを浸漬液として用いることを特徴とするものである。
【0012】
電解アルカリイオン水は、原料素材への浸透性が高く、原料素材における保水性の向上を期待することができ、食塩を添加すると、より高い浸透性及び保水性向上効果を期待することができる。尚、電解アルカリイオン水は、リン酸塩やpH調整剤などを用いたアルカリ液とは異なり、原料素材を浸漬させても、本来の性質(風味、色調等)が損なわれてしまうことはなく、また、本発明に係る方法において用いられる浸漬液は、この電解アルカリイオン水と、自然物由来の食塩と、水のみによって構成されているため、安全な加工肉製品を製造することができる。
【0013】
尚、食塩の濃度を25%とした強アルカリ性の浸漬原液(食塩25重量%、電解アルカリイオン水75重量%)を20倍に希釈した浸漬液に原料素材を浸漬した後、加熱処理を行うと、脱色したような部分的な色の変化(退色)が生じてしまうが、濃度を20%とした場合には、そのような退色は生じないため、浸漬原液を調製する際に電解アルカリイオン水に溶解させる食塩の濃度は、20%以下とすることが好適である。
【0014】
また、浸漬原液の調製に用いる電解アルカリイオン水としては、特許第2949322号公報に開示されているイオン水の製造方法(結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理するという方法)によって製造したものを用いる。
【0015】
ここで、本発明の発明者らが、本発明に係る食肉の加工方法に関して行った各種の実験の結果を、本発明の実施例として説明する。
【実施例1】
【0016】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(食塩20重量%、電解アルカリイオン水80重量%)(カルシウムを422ppm、マグネシウムを688ppm含有)を調製し、これを水道水で希釈して、希釈率が異なる二種類の浸漬液を用意し、未加熱の牛肉のスライスを、個別に、各浸漬液に60分間浸漬して浸潤させ、水切り後、鉄板で一方の表面を60秒、反対側の表面を30秒焼成して二種類の牛肉のソテー(本発明1、本発明2)を製造した。尚、浸漬液の希釈率のバリエーションは、33.3倍(本発明1)、20倍(本発明2)とした。また、未加熱の牛肉のスライスを水道水に60分間浸漬して浸潤させ、水切り後、同じ方法で加熱調理して製造した牛肉のソテーを、比較例Aとして用意した。
【0017】
次に、本発明1、本発明2、及び、比較例Aの牛肉のソテーをトレーに盛りつけ、経時的な色調の変化(退色)を観察した。
図1は、それらの牛肉のソテーを、焼成前、焼成直後(0時間)、及び、12〜60時間経過時にそれぞれ撮影した写真である。
【0018】
これらの写真から明らかなように、比較例Aの牛肉のソテーにおいては、焼成直後より退色が確認され、時間の経過とともに褐変の進行が確認されたのに対し、本発明1、本発明2の牛肉のソテーにおいては、焼成直後における退色の度合いは僅かで、褐変の発生、進行も、比較例Aに対して遅延する結果となった。従ってこの実験結果より、原料素材を、濃度20%の食塩とpH12の電解アルカリイオン水からなる浸漬原液を20〜33.3倍に希釈した浸漬液に60分間浸漬した後に加熱調理することにより、経時的な退色を好適に抑制できることが確認された。
【実施例2】
【0019】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(食塩20重量%、電解アルカリイオン水80重量%)(カルシウムを422ppm、マグネシウムを688ppm含有)を調製し、これを水道水で33.3倍に希釈した浸漬液を用意し、未加熱の解凍牛肉の小塊を、浸漬液に60分間浸漬して浸潤させ、水切り後、みりん及びしょうゆを使用して焼成して牛肉の焼肉(本発明3)を製造した。上記浸漬原液を10倍に希釈した浸漬液に、未加熱の解凍牛肉の小塊を10分間浸漬して浸潤させ、水切り後、みりん及びしょうゆを使用して焼成して牛肉の焼肉(比較例B)を製造した。また、未加熱の解凍牛肉の小塊を、浸漬液への浸漬は行わずに、みりん及びしょうゆを使用して焼成して製造した牛肉の焼肉を、比較例Cとして用意した。
【0020】
次に、本発明3、比較例B、及び、比較例Cの牛肉の焼肉をトレーに盛りつけ、経時的な色調の変化(退色)を観察した。
図2は、それらの牛肉の焼肉を、焼成直後(0時間)、及び、12〜48時間経過時にそれぞれ撮影した写真である。
【0021】
これらの写真から明らかなように、比較例Bの牛肉の焼肉においては、焼成直後より退色が確認され、時間の経過とともに褐変の進行が確認され、また、比較例Cの牛肉の焼肉においては、時間の経過とともに、離水、表面乾燥、及び、褐変の進行が確認されたのに対し、本発明3の牛肉の焼肉においては、離水、表面乾燥、及び、褐変の進行が、比較例B、比較例Cに対して遅延する結果となった。従ってこの実験結果より、原料素材を、濃度20%の食塩とpH12の電解アルカリイオン水からなる浸漬原液を33.3倍に希釈した浸漬液に60分間浸漬した後に加熱調理することにより、経時的な退色、及び、離水等を好適に抑制できることが確認された。
【実施例3】
【0022】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(食塩20重量%、電解アルカリイオン水80重量%)(カルシウムを422ppm、マグネシウムを688ppm含有)を調製し、これを水道水で33.3倍に希釈した浸漬液を用意し、未加熱の豚肉の切り身を、浸漬液に60分間浸漬して浸潤させ、水切り後、加熱調理してローストポーク(本発明4)を製造した。また、未加熱の豚肉の切り身を、水道水に60分間浸漬し、水切り後、加熱調理して製造したローストポークを、比較例Dとして用意した。
【0023】
次に、本発明4、及び、比較例Dのローストポークをトレーに盛りつけ、経時的な色調の変化(退色)を観察した。
図3は、それらのローストポークを、12〜60時間経過時にそれぞれ撮影した写真である。
【0024】
これらの写真から明らかなように、比較例Dのローストポークにおいては、焼成直後より退色が確認され、時間の経過とともに褐変の進行が確認されたのに対し、本発明4のローストポークにおいては、焼成直後における退色の度合いは僅かで、褐変の発生、進行も、比較例Dに対して遅延する結果となった。従ってこの実験結果より、原料素材を、濃度20%の食塩とpH12の電解アルカリイオン水からなる浸漬原液を33.3倍に希釈した浸漬液に60分間浸漬した後に加熱調理することにより、経時的な退色を好適に抑制できることが確認された。
【実施例4】
【0025】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(食塩20重量%、電解アルカリイオン水80重量%)(カルシウムを422ppm、マグネシウムを688ppm含有)を調製し、これを水道水で100倍に希釈した浸漬液を用意し、未加熱の鶏肉を浸漬液に60分間浸漬して浸潤させ、その後一般的な方法によってそれぞれ加熱調理して鶏の唐揚げ(本発明5)を製造した。また、浸漬液に浸漬することなく、同じ方法で加熱調理して製造した鶏の唐揚げを、比較例Eとして用意した。
【0026】
次に、食感物性測定器(テンシプレッサー)(製品名:MyBoy2 SYSTEM、製造者:有限会社タケトモ電機)を用いて、本発明5、及び、比較例Eの鶏の唐揚げの物性(硬さ[gw/cm
2]、柔軟性、噛応え[gw/cm
2・cm]、及び、もろさ)を測定する試験を行った。尚、この測定試験は、製造から24時間経過した時点で、常温のままの鶏の唐揚げに対して行ったほか、電子レンジで再加熱した鶏の唐揚げに対して行った。
図4は、それらの測定結果を示すグラフである。
【0027】
これらの測定結果から明らかなように、比較例Eの鶏の唐揚げにおいては、硬く、柔軟性が低く、柔らかさがないため脆く、噛み応えも弱い物性値(やや水分が抜けた状態に近い物性)となったのに対し、本発明5の鶏の唐揚げにおいては、硬さも低く、柔軟性があり、しかも脆くない物性値となった。従ってこの測定結果より、濃度20%の食塩とpH12の電解アルカリイオン水からなる浸漬原液を100倍に希釈した浸漬液に原料素材を60分間浸漬した後に加熱調理することにより、保水性があり、柔軟性が高く、ジューシーな鶏の唐揚げを製造することができるということが確認された。
【実施例5】
【0028】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(食塩20重量%、電解アルカリイオン水80重量%)(カルシウムを422ppm、マグネシウムを688ppm含有)を調製し、これを水道水で100倍に希釈した浸漬液を用意し、未加熱の鶏肉に浸漬液を使用してタンブリング(及び浸漬)を行い、その後一般的な方法によって加熱調理して鶏の唐揚げ(本発明6)を製造した。また、未加熱の鶏肉を、浸漬液に60分間浸漬して浸潤させ、その後一般的な方法によってそれぞれ加熱調理して鶏の唐揚げ(本発明7)を製造した。更に、浸漬液に浸漬することなく、同じ方法で加熱調理して製造した鶏の唐揚げを、比較例Fとして用意した。
【0029】
次に、食感物性測定器(同上)を用いて、本発明6、本発明7、及び、比較例Fの鶏の唐揚げの物性(硬さ、柔軟性、噛応え、及び、もろさ)を測定する試験を行った。
図5は、それらの測定結果を示すグラフである。
【0030】
これらの測定結果から明らかなように、比較例Fの鶏の唐揚げにおいては、硬く、柔軟性が低く、柔らかさもないため脆く、噛み応えも弱い物性値(水分が抜けた状態に近い物性)となったのに対し、本発明6、及び、本発明7の鶏の唐揚げにおいては、硬さが低く、柔軟性があり、噛み応えも相応にあり、しかも脆くない物性値となった。従ってこの測定結果より、濃度20%の食塩とpH12の電解アルカリイオン水からなる浸漬原液を100倍に希釈した浸漬液に原料素材を60分間浸漬した後に加熱調理することにより、保水性があり、ジューシーな鶏の唐揚げを製造することができるということが確認された。
【実施例6】
【0031】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(食塩20重量%、電解アルカリイオン水80重量%)(カルシウムを422ppm、マグネシウムを688ppm含有)を調製し、これを水道水で100倍に希釈した浸漬液を用意し、未加熱の豚ロース肉を、浸漬液に40分間浸漬して浸潤させ、その後一般的な方法によってそれぞれ加熱調理してトンカツ(本発明8)を製造した。また、未加熱の豚ロース肉に上記浸漬液を使用してタンブリング(及び浸漬)を行い、その後一般的な方法によってそれぞれ加熱調理してトンカツ(本発明9)を製造した。更に、浸漬液に浸漬することなく、同じ方法で加熱調理して製造したトンカツを、比較例Gとして用意した。
【0032】
次に、食感物性測定器(同上)を用いて、本発明8、本発明9、及び、比較例Gのトンカツの物性(硬さ、柔軟性、噛応え、及び、もろさ)を測定する試験を行った。
図6は、それらの測定結果を示すグラフである。
【0033】
これらの測定結果から明らかなように、比較例Gのトンカツにおいては、硬く、柔軟性が低く、柔らかさがないため脆く、噛み応えも弱い物性値(水分が抜けた状態の物性)となったのに対し、本発明8のトンカツにおいては、硬さが低く、柔軟性があり、しかも脆くない物性値となった。また、本発明9のトンカツにおいては、柔軟性が高く、脆くない物性値となった。従ってこの測定結果より、濃度20%の食塩とpH12の電解アルカリイオン水からなる浸漬原液を100倍に希釈した浸漬液に原料素材を40分間浸漬した後に加熱調理することにより、保水性があり、柔軟性の高い、ジューシーなトンカツを製造することができるということが確認された。
【実施例7】
【0034】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水、又は、水道水に、異なる濃度で食塩を溶解させて五種類の浸漬原液を調製し、これらを水道水でそれぞれ20倍に希釈して五種類の浸漬液を用意した。そして、未加熱の鶏肉を、各浸漬液に40分間浸漬して浸潤させ、その後一般的な方法によってそれぞれ加熱調理して鶏の唐揚げ(本発明10、本発明11、比較例H〜比較例J)を製造した。
【0035】
尚、上記五種類の浸漬原液の成分は下記の通りである。
比較例H : 水道水90重量%、食塩10重量%
比較例I : 水道水80重量%、食塩20重量%
本発明10: 電解アルカリイオン水90重量%、食塩10重量%
本発明11: 電解アルカリイオン水80重量%、食塩20重量%
比較例J : 電解アルカリイオン水75重量%、食塩25重量%
【0036】
次に、食感物性測定器(同上)を用いて、本発明10、本発明11、及び、比較例H〜比較例Jの鶏の唐揚げの物性(硬さ、柔軟性、噛応え、及び、もろさ)を測定する試験を行った。
図7は、それらの測定結果を示すグラフである。
【0037】
これらの測定結果から明らかなように、水道水と食塩によって調製した浸漬原液を20倍に希釈した浸漬液を用いた場合(比較例H、比較例I)よりも、電解アルカリイオン水と食塩によって調製した浸漬原液を20倍に希釈した浸漬液を用いた場合(本発明10、本発明11)の方が、硬さ、柔軟性、噛み応え、及び、もろさにおいて、優れた数値となった。また、電解アルカリイオン水に加える食塩の割合を20重量%よりも多くすると(比較例J)、肉が柔らかくなりすぎて脆くなり、良好な食感が得られないという問題が生じることが確認された。従ってこの測定結果より、電解アルカリイオンに食塩を加えた浸漬原液を20倍に希釈した浸漬液を用いることが有効であり、かつ、添加する食塩の割合を20重量%以下とすることが有効であるということが確認された。
【実施例8】
【0038】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12の強アルカリ性の電解アルカリイオン水、又は、水道水に、異なる濃度で食塩を溶解させて五種類の浸漬原液を調製し、これらを水道水でそれぞれ100倍に希釈して五種類の浸漬液を用意した。そして、未加熱の鶏肉を、各浸漬液に40分間浸漬して浸潤させ、その後一般的な方法によってそれぞれ加熱調理して鶏の唐揚げ(本発明12、本発明13、比較例K〜比較例M)を製造した。
【0039】
尚、上記五種類の浸漬原液の成分は下記の通りである。
比較例K : 水道水90重量%、食塩10重量%
比較例L : 水道水80重量%、食塩20重量%
本発明12: 電解アルカリイオン水90重量%、食塩10重量%
本発明13: 電解アルカリイオン水80重量%、食塩20重量%
比較例M : 電解アルカリイオン水75重量%、食塩25重量%
【0040】
次に、食感物性測定器(同上)を用いて、本発明12、本発明13、及び、比較例K〜比較例Mの鶏の唐揚げの物性(硬さ、柔軟性、噛応え、及び、もろさ)を測定する試験を行った。
図8は、それらの測定結果を示すグラフである。
【0041】
これらの測定結果から明らかなように、水道水と食塩によって調製した浸漬原液を100倍に希釈した浸漬液を用いた場合(比較例K、比較例L)よりも、電解アルカリイオン水と食塩によって調製した浸漬原液を100倍に希釈した浸漬液を用いた場合(本発明12、本発明13)の方が、硬さ、柔軟性、噛み応え、及び、もろさにおいて、優れた数値となった。また、電解アルカリイオン水に加える食塩の割合を20重量%よりも多くすると(比較例M)、肉が柔らかくなりすぎて脆くなり、良好な食感が得られないという問題が生じることが確認された。従ってこの測定結果より、電解アルカリイオンに食塩を加えた浸漬原液を100倍に希釈した浸漬液を用いることが有効であり、かつ、添加する食塩の割合は、20重量%以下とすることが有効であるということが確認された。
【解決手段】本発明に係る食肉の加工方法は、原料素材を浸漬液中に20〜60分間浸漬して浸潤させ、その後、加熱処理を行う方法であって、結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することによって得られたpH12以上の強アルカリ性の電解アルカリイオン水に、濃度が10〜20%となるように食塩を溶解させた強アルカリ性の浸漬原液(マグネシウム及びカルシウムをそれぞれ200〜900ppm含有)を、水で20〜100倍に希釈したものを浸漬液として用いることを特徴とする。