特許第6656588号(P6656588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656588
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20200220BHJP
   F23D 14/08 20060101ALI20200220BHJP
   F24H 9/14 20060101ALI20200220BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   F24H9/00 A
   F23D14/08 Z
   F24H9/14
   F24H9/02 301Z
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-62018(P2016-62018)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-172927(P2017-172927A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】永井 逸夫
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4807540(JP,B2)
【文献】 特許第3364387(JP,B2)
【文献】 特開2000−249405(JP,A)
【文献】 実公平7−28524(JP,Y2)
【文献】 実公昭58−34373(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F23D 14/08
F24H 9/02
F24H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフランジが設けられている燃焼装置と、
前記第1のフランジに重ね合わせて接続するための第2のフランジが設けられ、かつ前記燃焼装置に積層される熱交換器と、
前記燃焼装置および前記熱交換器を内部に収容し、かつ前面部が開閉可能とされている外装ケースと、
を備えている、温水装置であって、
前記外装ケース内の後部側領域において、前記第2のフランジに対向するように設けられたクランプ片を備え、かつこのクランプ片と前記第2のフランジとの相互間領域は、前記第1および第2のフランジが重ね合わされた状態時に、前記第1のフランジを前記クランプ片と前記第2のフランジとによってクランプすることが可能なクランプ領域とされており、
このクランプ領域は、前記外装ケースの前面部側を向いて開口した前側開口状とされ、前記燃焼装置を前記熱交換器に積層する位置とその前方位置との間で移動させる操作に伴わせて、前記第1のフランジを前記クランプ領域に出し入れ可能な構成とされていることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記第1のフランジには、この第1のフランジの先端寄り部分が屈曲状または二つ折り状とされた形態を有し、かつ前記第2のフランジ側とは反対側に突出した凸状部が設けられており、
この凸状部に、前記クランプ片が当接可能とされている、温水装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水装置であって、
前記クランプ片の先端部は、前記クランプ領域の前部が先広がり状に開口するように傾斜している、温水装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の温水装置であって、
前記クランプ片を第1のクランプ片とした場合において、この第1のクランプ片に加えて、この第1のクランプ片に対向する第2のクランプ片をさらに有するクランプ部材を備えており、
前記第1および第2のクランプ片によって、前記第1および第2のフランジを上下高さ方向においてクランプ可能とされている、温水装置。
【請求項5】
請求項4に記載の温水装置であって、
前記第1のクランプ片は、前記第2のクランプ片よりも前後方向の幅が短くされている、温水装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の温水装置であって、
前記クランプ部材は、前記外装ケースに固定されている、温水装置。
【請求項7】
請求項6に記載の温水装置であって、
前記クランプ部材には、前記熱交換器を左右横幅方向において挟むように位置し、かつ前記熱交換器の左右横幅方向の位置規制を図ることが可能な左右一対の位置規制部が設けられている、温水装置。
【請求項8】
請求項4または5に記載の温水装置であって、
前記クランプ部材は、前記熱交換器に固定されている、温水装置。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれかに記載の温水装置であって、
前記クランプ片は、前記第2のフランジに一体形成されている、温水装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の温水装置であって、
前記第1のフランジ上に載設され、かつ前記第1および第2のフランジの相互間に挟まれるシール用のパッキンを備えており、
前記燃焼装置には、前記パッキンの後部領域のいずれかの箇所に係合し、かつ前記後部領域が前記第1のフランジに相対して前方側に位置ずれすることを防止する少なくとも1つの係合部が設けられている、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス給湯装置やオイル給湯装置など、燃焼装置および熱交換器を備えたタイプの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置および熱交換器を備えた温水装置においては、燃焼装置によって発生させた燃焼ガスから熱交換器を利用して熱回収し、湯水を加熱するように構成されている。そのための具体的な手段として、燃焼装置の上側または下側に熱交換器を積層し、これらを接続する構造がよく採用される。その一方、燃焼装置と熱交換器との接続箇所から燃焼ガスが漏出するといったことは適切に防止する必要がある。そこで、従来においては、燃焼装置および熱交換器のそれぞれに設けられているフランジどうしを重ね合わせてビス締結する手段が採用されている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
燃焼装置および熱交換器を備えた温水装置においては、それらを外装ケース内に収容し、保護した状態に構成されるのが通例である。その一方、燃焼装置においては、内部に煤が堆積する虞がある他、この燃焼装置に設けられている点火装置などの電気機器類や、各種のセンサ類が故障するような虞もある。したがって、燃焼装置の清掃や修理などのメンテナンスを目的として、燃焼装置のみを外装ケースの外部に取り出したい場合がある。そのためには、前記したフランジどうしを締結する全てのビスを緩める必要がある。ただし、外装ケース内の前面開口部の近くに位置するビスについては、比較的容易に緩め得るとしても、外装ケース内の後部側領域(奥部)に位置するビスを緩めることは難しい。このため、従来においては、燃焼装置のみを単独で外装ケースの外部に取り出すことは困難であり、燃焼装置が熱交換器に接続された状態のまま、これらの全体を外装ケースの外部に取り出さざるを得ないものとなっている。ところが、熱交換器には、給水管や出湯管などの複数の配管部材が接続されており、燃焼装置に加えて、熱交換器をも取り出すとなると、それらの取り出し作業は、かなり煩雑かつ大掛かりな作業となり、作業効率が悪い。
【0005】
なお、温水装置の他の従来例として、特許文献2に記載のものがある。同文献では、外装ケース内の後部側領域において、燃焼装置のフランジの一部を屈曲させて熱交換器のフランジに係合させている。ところが、同文献の手段においては、熱交換器を固定させたまま、燃焼装置を外装ケースの前面開口部側に移動させることができない構造となっており、前記した不具合を適切に解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4041983号公報
【特許文献2】実開平1−112362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、燃焼装置と熱交換器との組み付け状態に不具合を生じさせるようなことなく、燃焼装置を単独で外装ケースの外部に出し入れ可能とし、燃焼装置のメンテナンス作業を容易かつ適切に行なうことが可能な温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される温水装置は、第1のフランジが設けられている燃焼装置と、前記第1のフランジに重ね合わせて接続するための第2のフランジが設けられ、かつ前記燃焼装置に積層される熱交換器と、前記燃焼装置および前記熱交換器を内部に収容し、かつ前面部が開閉可能とされている外装ケースと、を備えている、温水装置であって、前記外装ケース内の後部側領域において、前記第2のフランジに対向するように設けられたクランプ片を備え、かつこのクランプ片と前記第2のフランジとの相互間領域は、前記第1および第2のフランジが重ね合わされた状態時に、前記第1のフランジを前記クランプ片と前記第2のフランジとによってクランプすることが可能なクランプ領域とされており、このクランプ領域は、前記外装ケースの前面部側を向いて開口した前側開口状とされ、前記燃焼装置を前記熱交換器に積層する位置とその前方位置との間で移動させる操作に伴わせて、前記第1のフランジを前記クランプ領域に出し入れ可能な構成とされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、燃焼装置と熱交換器とを積層させた状態とし、かつこれらを外装ケース内に収容させている通常時には、外装ケース内の後部側領域においてクランプ片を利用することにより、第1および第2のフランジどうしをクランプ接続しておくことができる。したがって、外装ケース内の後部側領域において、たとえば第1および第2のフランジどうしの接続箇所から燃焼ガスが漏出するといった不具合を生じないようにしつつ、燃焼装置と熱交換器とを適切な組み付け状態とすることができる。
第2に、燃焼装置をメンテナンスする場合、熱交換器に相対させて燃焼装置を外装ケースの前面部側に引き寄せて移動させると、これに伴わせて燃焼装置の第1のフランジをクランプ領域から退出させることができる。したがって、第1および第2のフランジどうしの接続状態を解除することが困難になるといった不具合を生じさせず、燃焼装置のみを外装ケースの外部に取り出して、メンテナンスすることができる。メンテナンス終了後には、燃焼装置を外装ケース内にその前面部から進入させ、かつ熱交換器と積層する箇所に配置させる際に、これに伴わせて、第1のフランジをクランプ領域に進入させ、第1および第2のフランジどうしを再度適切に接続することができる。このように、本発明によれば、従来技術とは異なり、燃焼装置を熱交換器とともに外装ケースの外部に取り出す必要はなく、燃焼装置のメンテナンス作業を容易かつ適切に行なうことが可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記第1のフランジには、この第1のフランジの先端寄り部分が屈曲状または二つ折り状とされた形態を有し、かつ前記第2のフランジ側とは反対側に突出した凸状部が設けられており、この凸状部に、前記クランプ片が当接可能とされている。
【0012】
このような構成によれば、クランプ片による押圧力を第1のフランジの凸状部に集中させて作用させ、第1のフランジのクランプ状態を強固にすることが可能である。前記とは異なり、第1のフランジに凸状部が設けられておらず、第1のフランジの平面状領域の全域にクランプ片を当接させる場合には、クランプ片による押圧力が分散して作用し、強固なクランプ状態が得られなくなる虞があるが、前記構成によれば、そのような虞を無くすことが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記クランプ片の先端部は、前記クランプ領域の前部が先広がり状に開口するように傾斜している。
【0014】
このような構成によれば、第1のフランジをクランプ領域にその前方側から進入させ易くなる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記クランプ片を第1のクランプ片とした場合において、この第1のクランプ片に加えて、この第1のクランプ片に対向する第2のクランプ片をさらに有するクランプ部材を備えており、前記第1および第2のクランプ片によって、前記第1および第2のフランジを上下高さ方向においてクランプ可能とされている。
【0016】
このような構成によれば、クランプ部材を利用し、本発明が意図する作用が得られる。クランプ部材については、たとえば各部を第1および第2のフランジよりも厚肉に形成して大きなクランプ力が得られるようにするなど、使用条件に対応した仕様とすることが可能である。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記第1のクランプ片は、前記第2のクランプ片よりも前後方向の幅が短くされている。
【0018】
このような構成によれば、第2のクランプ片の前後方向の幅は長めとされているため、この第2のクランプ片を第2のフランジの広い領域に安定的に当接させることが可能である。一方、第1のフランジをクランプ領域にその前方側から進入させていく際には、第1のクランプ片がその進入動作の抵抗となるため、第1のフランジをクランプ領域に強く押し込まねばならない場合がある。これに対し、前記構成によれば、第1のクランプ片の前後方向の幅が短めとされているため、第1のフランジを強く押し込む距離を短くし、その作業を容易とする効果が得られる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記クランプ部材は、前記外装ケースに固定されている。
【0020】
このような構成によれば、外装ケースに固定され、かつ位置ずれなどを生じないようにしたクランプ部材によって、第1および第2のフランジをクランプすることができるため、燃焼装置および熱交換器を外装ケース内において固定し、安定させる上で好ましいものとなる。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記クランプ部材には、前記熱交換器を左右横幅方向において挟むように位置し、かつ前記熱交換器の左右横幅方向の位置規制を図ることが可能な左右一対の位置規制部が設けられている。
【0022】
このような構成によれば、クランプ部材を利用して熱交換器の左右横幅方向の位置規制を図ることが可能であり、その構成は合理的である。
【0023】
本発明において、好ましくは、前記クランプ部材は、前記熱交換器に固定されている。
【0024】
このような構成によれば、熱交換器に固定されたクランプ部材を利用して第1および第2のフランジどうしがクランプされることにより、熱交換器と燃焼装置との相対的な位置決めを適切に図ることが可能である。
【0025】
本発明において、好ましくは、前記クランプ片は、前記第2のフランジに一体形成されている。
【0026】
このような構成によれば、燃焼装置や熱交換器とは別体のクランプ部材を用いる場合と比較すると、部品点数を少なくして構成の簡素化を図り、製造コストを低減することが可
能である。
【0027】
本発明において、好ましくは、前記第1のフランジ上に載設され、かつ前記第1および第2のフランジの相互間に挟まれるシール用のパッキンを備えており、前記燃焼装置には、前記パッキンの後部領域のいずれかの箇所に係合し、かつ前記後部領域が前記第1のフランジに相対して前方側に位置ずれすることを防止する少なくとも1つの係合部が設けられている。
【0028】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、燃焼装置を熱交換器に積層する位置に向けてその前方側から組み込む場合、パッキンの後部領域が熱交換器の第2のフランジなどに接触し、パッキンの後部領域に前方側への押圧力が作用する虞がある。このような押圧力に起因してパッキンの後部領域が位置ずれしたのでは、第1および第2のフランジの相互間にパッキンを適切に装着することは困難となる。これに対し、前記構成によれば、前記したようなパッキンの位置ずれを解消し、パッキンの装着を適切に行なうことが可能となる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(a)は、本発明に係る温水装置の一例を示す概略側面断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大断面図である。
図2】(a)は、図1に示す温水装置の作用を示す概略側面断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大断面図である。
図3】(a)は、図1に示す温水装置の要部分解斜視図であり、(b)は、(a)に示すクランプ部材の拡大斜視図である。
図4図1に示す温水装置における1次熱交換器とクランプ部材との関係を示す概略平面断面図である。
図5】(a)は、図1に示す温水装置における燃焼装置のバーナケースとパッキンとを示す要部分解斜視図であり、(b)は、(a)に示すバーナケース上にパッキンを載置した状態の概略平面図である。
図6】本発明の他の例を示す要部側面断面図である。
図7】本発明の他の例を示す要部側面断面図である。
図8】本発明の他の例を示す要部側面断面図である。
図9】本発明の他の例を示す要部側面断面図である。
図10】本発明の他の例を示す要部側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
図1に示す温水装置WHは、燃焼装置1、1次および2次の熱交換器2,4、集合筒(補助缶体)3、これらを内部に収容する外装ケース6、ならびにクランプ部材5を備えている。この温水装置WHの全体の基本的な構成は、従来既知の温水装置と同様であり、この点については簡単に説明する。
なお、1次熱交換器2は、燃焼装置1とフランジ接続される熱交換器であり、本発明でいう熱交換器の具体例に相当する。これに対し、2次熱交換器4は、燃焼装置1とフランジ接続されず、本発明でいう熱交換器の具体例には相当しない。
【0033】
燃焼装置1は、ガスバーナなどのバーナ(燃焼器)10を内部に収容するバーナケース11、およびこのバーナケース11内にその底部側から燃焼用空気を供給するファン12
を備えている。1次および2次の熱交換器2,4は、燃焼装置1によって発生された燃焼ガスから顕熱および潜熱を順次回収して湯水加熱を行なうためのものであり、1次熱交換器2は、内部に湯水が流通する伝熱管20が缶体21内に収容された構成である。この1次熱交換器2は、燃焼装置1の上側に積層した配置であり、クランプ部材5を利用した後述の構造を用いて燃焼装置1とのフランジ接続が図られている。2次熱交換器4は、集合筒3を介して1次熱交換器2上に載設されており、内部に湯水が流通する伝熱管40がケース41内に収容された構成である。1次熱交換器2を通過した燃焼ガスは、集合筒3内を通過してケース41内に流入し、潜熱回収後の排ガスは、排気口42から外部に排出される。外装ケース6は、略直方体状であり、その前面部(図1の左側部分)は開閉可能である。具体的には、外装ケース6の本体部分の前面部には、前面開口部60が形成されており、かつこの前面開口部60を塞ぐ前面カバー61が本体部に着脱自在とされている。
【0034】
バーナケース11の上端部の略全周域、および缶体21の下端部の略全周域には、略水平方向に突出する第1および第2のフランジ13,23が設けられている。これら第1および第2のフランジ13,23は、シール用のパッキン7を挟むようにして重なり合い、かつ接続される。バーナケース11の内側には、一対の補助板14が設けられて、その上部14aは略水平状に屈曲して第1のフランジ13上に重なっており、その上にパッキン7が載せられている。補助板14は、バーナ10を保持するバーナ保持板として、および/またはバーナケース11の側壁部が高温に加熱されることを抑制するための遮熱板としての役割を果たすものである。
【0035】
第1および第2のフランジ13,23を接続するための手段としては、外装ケース6内の後部側(図1の右側)においては、クランプ部材5を用いる手段が採用されている。これ以外においては、ビス締結手段(不図示)が採用されている。より具体的には、図3(a)において、第1のフランジ13の後部領域13Aは、クランプ部材5を用いて第2のフランジ23に接続される。これに対し、第1のフランジ13の前部領域13Bおよび左右の側部領域13Cは、ビス締結手段を用いて第2のフランジ23に接続される。
【0036】
1次および2次の熱交換器2,4や集合筒3は、燃焼装置1の上側に位置するが、これらは適当なブラケット(不図示)を利用して外装ケース6に固定されており、燃焼装置1によって支持された構造とはされていない。燃焼装置1は、第1および第2のフランジ13,23の接続により、1次熱交換器2への組み付けが図られているが、この組み付け状態では、燃焼装置1が1次熱交換器2にぶら下がった状態としてもよいし、あるいは外装ケース6の前面開口部60から着脱作業が可能なブラケットを用いるなどして、燃焼装置1を外装ケース6に固定させた状態としてもよい。いずれにもしても、第1および第2のフランジ13,23の接続状態を解除することにより、図2に示すように、燃焼装置1を単独で外装ケース6の外部に取り出すことが可能である。
【0037】
図3に示すように、クランプ部材5は、一枚の金属板に曲げ加工を施すことにより形成され、かつ各部が一体的に形成された構成であり、上下高さ方向に起立して左右の横幅方向に延びるベース部50、このベース部50からその前方に突出し、かつ前記横幅方向に延びる第1および第2のクランプ片51,52、ならびにベース部50の左右両端部にそれぞれ形成された取付け板部53を備えている。このクランプ部材5は、燃焼装置1および1次熱交換器2との関係において、後述する位置関係となるように外装ケース6内の後部側領域に固定されている。この固定は、具体的には、取付け板部53を外装ケース6の後壁部62に溶接することにより図られている。ただし、これに限定されず、ビス締結手段などの他の手段を用いることができる。
【0038】
図1(b)に示すように、第1および第2のクランプ片51,52は、外装ケース6内の後部側において、第1および第2のフランジ13,23を上下高さ方向においてクラン
プ可能である。なお、第1のクランプ片51は、第2のフランジ23との間で第1のフランジ13をクランプするクランプ片(請求項1〜3に記載のクランプ片)の具体例に相当する。第2のクランプ片52は、それには相当しない。
【0039】
第2のクランプ片52は、第2のフランジ23の上側に位置している。より具体的には、第2のフランジ23の先端部には、上向き屈曲状の凸状部23aが設けられており、その先端(上端)上に第2のクランプ片52は位置している。
【0040】
図3に示すように、第2のクランプ片52の左右の横幅方向両端部は、中央寄り部分よりも前方に突出した一対の位置規制部52aとされている。図4には、1次熱交換器2の缶体21を簡略化して示しているが、同図に示すように、一対の位置規制部52aは、缶体21の両側面部21aに接近または接触し、缶体21をその両側から挟む配置とされている。このことにより、1次熱交換器2の横幅方向の位置決めを好適に図ることが可能である。同図に示すように、第2のクランプ片52は、第2のフランジ23のうち、後部領域23Aの上側に位置するが、一対の位置規制部52aは、第2のフランジ23の両側部領域23Cの後部の上側にも位置しており、第2のフランジ23の広い領域をクランプするのにも役立つ。
【0041】
図1および図2に示すように、第1のフランジ13の先端部には、下向き屈曲状の凸状部13aが設けられている。第1のクランプ片51は、第1のフランジ13の下側に位置し、かつ凸状部13aの下端に当接可能である。第1のクランプ片51は、第2のフランジ23に間隔を隔てて対向しており、これらの相互間領域は、第1のフランジ13をクランプ可能なクランプ領域8となっている。このクランプ領域8は、外装ケース6の前面開口部60側を向いて開口した前側開口状である。このことにより、図1および図2に示すように、燃焼装置1の前後方向への移動に伴わせて、第1のフランジ13をクランプ領域8に出し入れ可能である。
【0042】
好ましくは、第1のクランプ片51は、上下高さ方向に弾性復元力を伴って撓み変形可能であり、クランプ領域8に第1のフランジ13が位置する際には、この第1のフランジ13を上向きに弾発付勢可能である。第1のクランプ片51の先端寄り部分は、先下がり状の傾斜部51aとされ、クランプ領域8の前側開口部分は、先広がり状となっている。第1のクランプ片51の前後方向の幅Laは、第2のクランプ片52の前後方向の幅Lb,Lcよりも小さくされている。
【0043】
図5に示すように、シール用のパッキン7は、矩形枠状であり、第1のフランジ13上に載せられた状態に装着される。ただし、本実施形態では、パッキン7の後部領域7Aが前方に位置ずれすることを防止するための手段として、次のような手段が設けられている。
すなわち、バーナケース11の後部側に位置する補助板14(14A)の上部14aには、上向き突起状の1または複数の第1の係合部15aが設けられている。この第1の係合部15aは、パッキン7の後部領域7Aのうち、横幅方向中央寄り部分の側面70に当接する構成である。また、パッキン7の後部領域7Aの左右両端部には、一対の前側開口状のスリット71を挟むようにして左右両側方に張り出した一対の張り出し部72が形成されている。これに対し、第1のフランジ13の側部領域13Cに設けられている上向き凸部13bの端部は、スリット71に進入し、かつパッキン7に係合する第2の係合部15bとされている。このような構成に基づき、パッキン7の後部領域7Aに、たとえば図5(b)に示すような押圧力Fが作用したとしても、後部領域7Aは前方には容易に位置ずれしないようになっている。
【0044】
次に、前記した構成の温水装置WHの作用について説明する。
【0045】
まず、図1に示す温水装置WHの組み立て状態において、第1および第2のフランジ13,23の後部領域13A,23Aは、クランプ部材5を利用して適切にクランプされている。第1および第2のフランジ13,23の他の領域は、ビス締結されている。このため、第1および第2のフランジ13,23の相互間から燃焼ガスが漏出するような不具合を適切に防止するようにして、燃焼装置1を1次熱交換器2に適切に組み付けておくことができる。
【0046】
クランプ部材5は、既述したように、外装ケース6に固定されているため、このクランプ部材5によってクランプされる第1および第2のフランジ13,23の固定が図られ、ひいては燃焼装置1や1次熱交換器2の位置決め固定状態の信頼性を高くする効果も得られる。とくに、1次熱交換器2については、図4に示したように、一対の位置規制部52aによって左右横幅方向における位置規制を図ることもできるので合理的である。第1のクランプ片51は、第1のフランジ13に設けられた下向きの凸状部13aに当接するため、第1のクランプ片51による押圧力は、凸状部13aへの当接箇所に集中的に作用する。このことにより、第1のクランプ片51による第1のフランジ13に対するクランプ力、ひいてはクランプ部材5による第1および第2のフランジ13,23に対するクランプ力を強くすることができる。
【0047】
次いで、燃焼装置1をメンテナンスする場合には、図2(a)の仮想線に示すように、燃焼装置1を外装ケース6の外部にその前面開口部60から取り出す。この取り出し作業は、第1および第2のフランジ13,23のビス締結状態を解除してから、燃焼装置1を前面開口部60側に引き寄せることによって容易かつ迅速に行なうことが可能である。クランプ部材5による第1および第2のフランジ13,23のクランプ状態は、燃焼装置1を前方に移動させることによって自動的に解除される。また、第1および第2のフランジ13,23のビス締結箇所は、前面開口部60から近く、作業者の手が簡単に届く位置にあるため、ビス締結状態の解除作業も的確に行なうことが可能である。このため、燃焼装置1を単独で取り出すことが可能である。
【0048】
その後、メンテナンスを終えた燃焼装置1を、外装ケース6内に再度組み込む場合には、燃焼装置1を前面開口部60から1次熱交換器2の下側に押し込めばよい。この操作に伴い、第1のフランジ13の後部領域13Aは、第1のクランプ片51の傾斜部51aに当接し、この傾斜部51aによってクランプ領域8にガイドされる。したがって、第1および第2のフランジ13,23をクランプ接続させる上で、特殊な操作を行なう必要はなく、燃焼装置1の再度の組み込み作業も容易かつ適切に行なうことができる。
【0049】
クランプ領域8に第1のフランジ13を進入させる場合、第1のクランプ片51の弾発力(抵抗力)に抗して、第1のフランジ13を後部側に強く押し込む必要がある。これに対し、第1のクランプ片51の前後方向の幅Laは、既述したように、短めの寸法とされているため、第1のフランジ13を強く押し込む距離が短くて済み、その押し込み操作が容易となる効果も得られる。その他、図5を参照して説明しように、シール用のパッキン7の後部領域7Aは、第1および第2の係合部15a,15bによる位置ずれ防止が図られているため、第1のフランジ13をクランプ領域8に進入させる際に、パッキン7の後部領域7Aが第2のフランジ23に当接し、前記した押圧力Fに相当する力が作用したとしても、これに起因してパッキン7が前方側へ不当に位置ずれするといったこともない。
【0050】
図6図10は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付しており、重複説明は省略する。
【0051】
図6に示す実施形態においては、第1および第2のフランジ13,23の前部領域13B,23Bどうしが、ビス98を介して締結されている。好ましくは、このビス締結は、前部領域13B,23Bの先端部に設けられた上向き凸部13b,23bどうしを前後に重ね合わせ、かつこれらに設けられている孔部(ネジ孔)に対してその前方側からビス98を挿通させる態様で行なわれている。
一方、第1および第2のフランジ13,23の左右横幅方向の両側部領域どうしは、ビス締結されていない。このような構成であっても、第1および第2のフランジ13,23の前部領域13B,23Bどうしがビス締結され、かつ後部領域13A,23Aどうしがクランプ部材5を用いてクランプ接続されていることに基づき、第1および第2のフランジ13,23の相互間から燃焼ガスが漏出するような虞をなくすことが可能である。本実施形態によれば、ビス98の締結およびその解除作業が一層容易となるため、燃焼装置1のメンテナンス作業性をより優れたものにできる。
【0052】
図7に示す実施形態においては、第1のフランジ13の先端部が、二つ折り状とされていることにより、下向きの凸状部13a’が形成されている。この凸状部13a’に、第1のクランプ片51が当接する。本実施形態においては、前記実施形態の凸状部13aに代えて、凸状部13a’が設けられているが、前記実施形態と同様に、第1のクランプ片51による押圧力を凸状部13a’に集中的に作用させ、クランプ力を強くする効果を得ることが可能である。
【0053】
図8に示す実施形態においては、クランプ領域8に第1のフランジ13が存在しないときに、第1のクランプ片51は、第2のフランジ23に当接するように構成されている。第1のクランプ片51は、第1のフランジ13がクランプ領域8にその前方側から進入される際に、第1のフランジ13によって下方側に押し下げられる。本実施形態から理解されるように、クランプ領域8は、第1のフランジ13が進入していない状態においては、その一部分が閉塞された状態とされていてもよい。なお、図8に示す第1のフランジ13は、前記した凸状部13a,13a’が設けられていない構成とされており、本発明においては、このような構成とすることもできる。
【0054】
図9に示す実施形態においては、クランプ部材5Aが、1次熱交換器2に溶接などの手段を用いて固定されている。クランプ部材5Aは、第1および第2のクランプ片51,52がベース部50を介して繋がった構成である。先に述べた実施形態における取付け板部53は設けられていない構成とすることができる。
本実施形態においては、クランプ部材5Aが外装ケース6に固定されていないため、クランプ部材5Aを利用して1次熱交換器2を位置決めするといったことは困難であるものの、クランプ部材5Aが不当に位置ずれするといった不具合を生じないようにすることができる。勿論、第1および第2のフランジ13,23を適切にクランプし、また燃焼装置1を単独で外装ケース6の外部に取り出すことができるなど、本発明が意図する作用を得ることが可能である。
【0055】
図10に示す実施形態においては、第2のフランジ23に、クランプ片51(先に述べた第1のクランプ片51に相当)が一体形成されている。第2のクランプ片52に相当する部位は設けられていない。
本実施形態においても、先に述べた実施形態と同様に、クランプ片51と第2のフランジ23との両者によって第1のフランジ13を適切にクランプし、本発明が意図する作用を得ることが可能である。また、本実施形態によれば、燃焼装置1や1次熱交換器2などとは別体で構成されたクランプ部材を用いる必要がないため、部品総数を少なくし、製造コストを低減することが可能である。
【0056】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置の各部の具
体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0057】
上述した実施形態では、燃焼装置の上側に熱交換器が位置し、燃焼装置によって発生させた燃焼ガスを上向きに進行させるいわゆる正燃式の温水装置を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。燃焼装置の下側に熱交換器が位置し、燃焼ガスを下向きに進行させるいわゆる逆燃式の温水装置にも、本発明を適用することが可能である。この場合、温水装置の各部の構成は、正燃式のものと比較して、上下逆の位置関係とされる。
燃焼装置は、ガス燃焼装置に代えて、たとえばオイル燃焼装置とすることもできる。熱交換器としては、1次および2次の双方の熱交換器が具備されていなくてもよく、たとえば熱交換器を1つのみ備えた構成とすることもできる。熱交換器は、燃焼装置において発生された燃焼ガスとの熱交換によって湯水加熱を行なうものであるが、その具体的な構成は限定されない。
【符号の説明】
【0058】
WH 温水装置
1 燃焼装置
13 第1のフランジ
13a,13a’ 凸状部
15a,15b 第1および第2の係合部(係合部)
2 1次熱交換器(熱交換器)
23 第2のフランジ
5,5A クランプ部材
51 第1のクランプ片(クランプ片)
51a 傾斜部
52 第2のクランプ片
53 取付け板部
6 外装ケース
60 前面開口部
61 前面カバー
62 後壁部(外装ケースの)
7 パッキン
8 クランプ領域(第1のクランプ片と第2のフランジとの相互間領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10