(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定のネットワークを介して互いに接続された第一の撮影装置及び第二の撮影装置であって、第一の画角で画像を撮影し、第一のセンサを備える第一の撮影装置と、前記第一の画角よりも広い第二の画角で画像を撮影し、第二のセンサを備える第二の撮影装置と、を備える撮影システムにおいて、
前記第一のセンサ及び前記第二のセンサからのセンサ情報に基づいて前記第二の画角内における前記第一の撮影装置の撮影方向を演算する撮影方向演算手段と、
演算された撮影方向を前記第二の画角の画像と関連付けて記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された撮影方向に基づいて前記第二の画角内における前記第一の撮影装置の注視点を演算する注視点演算手段と、
演算された注視点及び前記第一の画角に基づいて前記第二の画角内の注視領域を演算する注視領域演算手段と、
を備える、
撮影システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る撮影システムについて図面を参照しながら説明する。
【0018】
[撮影システム1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る撮影システム1の概略構成を示す図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る撮影システム1は、互いに通信可能な撮影装置10及び撮影装置20を備えている。
【0019】
・撮影装置10の構成
本実施形態において、撮影装置10はデジタル一眼レフカメラである。なお、
図1では、便宜上、交換レンズを取り外した状態を図示している。なお、撮影装置10はデジタル一眼レフカメラに限らず、例えば、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、カムコーダ、タブレット端末、PHS(Personal Handy phone System)、スマートフォン、フィーチャフォン、携帯ゲーム機など、撮影機能を有する別の形態の装置に置き換えてもよい。
【0020】
図2は、撮影装置10の概略構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、撮影装置10は、撮像ユニット102、画像処理ユニット104、撮像制御ユニット106、CPU(Central Processing Unit)108、ROM(Read Only Memory)110、SRAM(Static Random Access Memory)112、DRAM(Dynamic Random Access Memory)114、操作部116、ネットワークI/F118、通信部120、センサユニット122及びバス124を備えている。
【0021】
CPU108は、撮影装置10の全体の動作を制御すると共に必要な処理を実行する。ROM110は、各種プログラムを記憶している。SRAM112及びDRAM114はワークメモリであり、CPU108により実行されるプログラムや処理途中のデータ等を一時的に保持する。
【0022】
操作部116は、各種操作ボタンや電源スイッチ、レリーズボタン、録画ボタン、表示と操作の機能を兼ねたタッチパネル等の総称である。ユーザは操作部116を操作することにより、各種撮影モードや撮影条件等を指定することができる。
【0023】
撮像ユニット102は、レンズ102a及び撮像素子102bを備えている。レンズ102aは、例えば、アスペクト比が3:2や4:3の画像を撮影するのに適した光学性能を有しており、広角レンズと望遠レンズとの中間に位置する典型的な標準レンズである。以下、説明の便宜上、レンズ102aの画角を「通常画角」と記す。
図7(A)に、通常画角(符号10a)を例示する。
【0024】
撮像素子102bは、例えばベイヤー配列のカラーフィルタを有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。撮像素子102bは、レンズ102aを介してその受光面上に結像した光学像を撮像データに変換して出力する。なお、撮像素子102bには、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類のイメージセンサを使用してもよい。また、撮像素子102bには、ベイヤー配列以外のカラーフィルタ配列を採用してもよい。
【0025】
撮像素子102bは、画像処理ユニット104とパラレルI/Fバスで接続されており、撮像制御ユニット106とシリアルI/Fバス(I2Cバス等)で接続されている。画像処理ユニット104及び撮像制御ユニット106は、バス124を介してCPU108と接続されている。バス124には、更に、ROM110、SRAM112、DRAM114、操作部116、ネットワークI/F118、通信部120、センサユニット122も接続されている。
【0026】
撮像制御ユニット106は、自身をマスタデバイス、撮像素子102bをスレーブデバイスとして、I2Cバスを介して撮像素子102bのレジスタ群にコマンド等を設定する。ここで必要なコマンド等は、CPU108から受け取ったものである。また、撮像制御ユニット106は、同じくI2Cバスを介して撮像素子102bのレジスタ群のステータスデータ等を取り込み、CPU108に送る。
【0027】
撮像制御ユニット106は、操作部116の録画ボタンが押されると、各フレームの撮像データの出力を撮像素子102bに指示する。画像処理ユニット104は、撮像素子102bより順次出力される各フレームの撮像データをパラレルI/Fバスを通して取り込み、所定の処理を施して動画像ファイルを作成する。以下、説明の便宜上、撮影装置10により作成される動画像を「通常画角動画像」と記す。
【0028】
ネットワークI/F118は、例えば、SDカード等の外付けのメディアやパーソナルコンピュータ等とのインタフェース回路(USBI/F等)の総称である。画像処理ユニット104により作成された動画像ファイルは、ネットワークI/F116を介して外付けのメディア(又は撮影装置10の内蔵メモリ)に記録される。
【0029】
通信部120は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(Wireless Fidelity)等の短距離無線技術等により撮影装置20等の外部装置と通信することができる。この種の通信は、無線に限らず有線で行うことができるようにしてもよい。
【0030】
センサユニット122は、例えばジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等を含む複合センサである。CPU108は、例えば録画処理中、センサユニット122の出力に基づいて撮影装置10の姿勢を逐次検出する。
【0031】
・撮影装置20の構成
撮影装置20は、全天球パノラマ動画像を撮影可能な装置である。全天球パノラマ動画像とは、4πラジアンの立体角内の像を得て、全天球の範囲の撮影によって得られるパノラマ動画像である。
【0032】
図3は、撮影装置20の模式的な外観図である。
図3(A)は、撮影装置20の側面図であり、
図3(B)は、
図3(A)とは反対側の、撮影装置20の側面図であり、
図3(C)は、撮影装置20の平面図である。
【0033】
図4は、撮影装置20の概略構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、撮影装置20は、撮像ユニット202、画像処理ユニット204、撮像制御ユニット206、CPU208、ROM210、SRAM212、DRAM214、操作部216、ネットワークI/F218、通信部220、センサユニット222及びバス224を備えている。
【0034】
CPU208は、撮影装置20の全体の動作を制御すると共に必要な処理を実行する。ROM210は、各種プログラムを記憶している。SRAM212及びDRAM214はワークメモリであり、CPU208により実行されるプログラムや処理途中のデータ等を一時的に保持する。
【0035】
操作部216は、各種操作ボタンや電源スイッチ、レリーズボタン、録画ボタン、表示と操作の機能を兼ねたタッチパネル等の総称である。ユーザは操作部216を操作することにより、各種撮影モードや撮影条件等を指定することができる。
【0036】
撮像ユニット202は、レンズ202Aa及び撮像素子202Abを備えており、更に、レンズ202Ba及び撮像素子202Bbを備えている。レンズ202Aa、レンズ202Baは、各々半球画像を結像するための180°以上の画角を有する広角レンズ(いわゆる魚眼レンズ)である。
図3に示されるように、レンズ202Aaは、撮影装置20の上部正面側(一方の面側)に設けられており、レンズ202Baは、撮影装置20の上部背面側(他方の面側)に設けられている。以下、説明の便宜上、レンズ202Aa及びレンズ202Baを合わせた画角を「全天球画角」と記す。
図7(B)に、全天球画角(符号20a)を例示する。
【0037】
撮像素子202Ab及び撮像素子202Bbは、例えばベイヤー配列のカラーフィルタを有する単板式カラーCCDイメージセンサである。撮像素子202Ab、撮像素子202Bbはそれぞれ、レンズ202Aa、レンズ202Baを介してその受光面上に結像した光学像を撮像データに変換して出力する。なお、撮像素子202Ab、撮像素子202Bbには、CCDイメージセンサに限らず、CMOSイメージセンサやその他の種類のイメージセンサを使用してもよい。また、撮像素子202Ab、撮像素子202Bbには、ベイヤー配列以外のカラーフィルタ配列を採用してもよい。
【0038】
撮像素子202Ab、撮像素子202Bbは、画像処理ユニット204とパラレルI/Fバスで接続されており、撮像制御ユニット206とシリアルI/Fバス(I2Cバス等)で接続されている。画像処理ユニット204及び撮像制御ユニット206は、バス224を介してCPU208と接続されている。バス224には、更に、ROM210、SRAM212、DRAM214、操作部216、ネットワークI/F218、通信部220、センサユニット222も接続されている。
【0039】
撮像制御ユニット206は、自身をマスタデバイス、撮像素子202Ab、撮像素子202Bbをスレーブデバイスとして、I2Cバスを介して撮像素子202Ab、撮像素子202Bbのレジスタ群にコマンド等を設定する。ここで必要なコマンド等は、CPU208から受け取ったものである。また、撮像制御ユニット206は、同じくI2Cバスを介して撮像素子202Ab、撮像素子202Bbのレジスタ群のステータスデータ等を取り込み、CPU208に送る。
【0040】
撮像制御ユニット206は、操作部216の録画ボタン(
図3(B)中符号216a)が押されると、各フレームの撮像データの出力を撮像素子202Ab、撮像素子202Bbに指示する。画像処理ユニット204は、撮像素子202Ab、撮像素子202Bbより順次出力される各フレームの撮像データをパラレルI/Fバスを通して取り込み、フレーム毎に、双方の撮像データに対して所定の処理を施して画像データを作成し、作成された双方の画像データを合成処理してメルカトル画像(詳しくは後述)を作成する。画像処理ユニット204は、連続する複数のフレームのメルカトル画像をファイル化することにより、全天球パノラマ動画像ファイルを作成する。
【0041】
ネットワークI/F218は、例えば、SDカード等の外付けのメディアやパーソナルコンピュータ等とのインタフェース回路(USBI/F等)の総称である。画像処理ユニット204により作成された全天球パノラマ動画像ファイルは、ネットワークI/F216を介して外付けのメディア(又は撮影装置20の内蔵メモリ)に記録される。
【0042】
通信部220は、Bluetooth(登録商標)やWiFi等の短距離無線技術等により撮影装置10等の外部装置と通信することができる。この種の通信は、無線に限らず有線で行うことができるようにしてもよい。
【0043】
センサユニット222は、例えばジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等を含む複合センサである。CPU208は、例えば録画処理中、センサユニット222の出力に基づいて撮影装置20の姿勢を逐次検出する。
【0044】
図5は、撮影装置20の使用状況を例示する図である。
図5に示されるように、撮影装置20は、ユーザが手に持ってユーザの周囲の被写体を撮影するために用いられる。この場合、ユーザの周囲の被写体が各々の撮像素子202Ab、撮像素子202Bbによって撮像されて、2つの半球画像が得られ、4πラジアンの立体角内の像が得られる。
【0045】
図6は、撮影装置20により撮影された画像の説明図である。
図6(A)は、レンズ202Aaを介して撮影された半球画像(前側)を示し、
図6(B)は、レンズ202Baを介して撮影された半球画像(後側)を示し、
図6(C)は、メルカトル図法により表されたメルカトル画像を示す。
【0046】
魚眼レンズであるレンズ202Aaを介して撮影された画像は、
図6(A)に示されるように、湾曲した半球画像(前側)となる。同じく魚眼レンズであるレンズ202Baを介して撮影された画像は、
図6(B)に示されるように、湾曲した半球画像(後側)となる。撮影装置20において半球画像(前側)と半球画像(後側)とが合成されると、メルカトル画像が作成される(
図6(C)参照)。
【0047】
[動画撮影リンク処理]
次に、撮影装置10と撮影装置20との協働により実行される動画撮影リンク処理について説明する。
図8に、動画撮影リンク処理のフローチャートを示す。
図8に示される動画撮影リンク処理は、例えば撮影装置10と撮影装置20の双方で当該処理を実行するモードに設定された時点で実行が開始される。
【0048】
[
図8のS11(通信状態の判定)]
本処理ステップS11では、撮影装置10及び撮影装置20が互いに通信可能か否かを判定する。通常は、動画撮影リンク処理を実行するモードが双方で設定されると、撮影装置10と撮影装置20との通信が速やかに確立する。本処理ステップS11にて互いに通信可能でないと判定される場合(S11:NO)は、例えば通信関係で何らかのエラーが発生している可能性がある。この場合、動画撮影リンク処理を実行することができない。そのため、撮影装置10及び撮影装置20が通常の撮影モードに戻り、
図8に示される動画撮影リンク処理が終了する。
【0049】
[
図8のS12(動画撮影開始の通知)]
本処理ステップS12は、処理ステップS11(通信状態の判定)にて撮影装置10及び撮影装置20が互いに通信可能であると判定される場合(S11:YES)に実行される。本処理ステップS12では、撮影装置10において、録画ボタンが押されると、動画撮影の開始を通知する通知信号が短距離無線通信等により撮影装置20に送信されると共に、CPU108により検出された撮影装置10の姿勢及びレンズ102aの画角の情報が撮影装置20に送信される。
【0050】
[
図8のS13(動画撮影の開始)]
本処理ステップS13では、撮影装置20において、処理ステップS12(動画撮影開始の通知)にて送信された通知信号が受信されると、全天球パノラマ動画像の撮影が開始される。
【0051】
一方、撮影装置10は、録画ボタンが押されてから直ぐには通常画角動画像の撮影を開始していない。撮影装置10は、撮影装置20で全天球パノラマ動画像の撮影が開始されるタイミングに合わせて(具体的には、録画ボタンが押されてから予め決められた時間待機した後に)通常画角動画像の撮影を開始する。このような遅延時間を撮影装置10に対して設定することにより、撮影装置10と撮影装置20の動画撮影の開始タイミングを同期させることができる。
【0052】
[
図8のS14(姿勢差の検出判定)]
図9は、
図8に示される動画撮影リンク処理を説明するための図である。
図9中、符合O
1は、全天球画角20aの中心点(別の観点によれば、撮影装置20に備えられるレンズ202Aaの主点とレンズ202Baの主点とを結ぶ線分の中点)を示し、符合AXは、撮影装置10に備えられるレンズ102aの光軸の延長線(及び光軸)を示す。本実施形態では、説明の便宜上、撮影装置20は、レンズ202Aaの光軸の前方側に延びる延長線が+Y軸と一致する姿勢であり、且つ撮影装置10と撮影装置20は、レンズ102aの光軸の延長線AXと全天球画角20aの中心点O
1とが交差すると共に所定距離離れた位置関係にあるものとする。
図9中、水平面(XY面)内において+Y軸と延長線AXとがなす角度を水平方向角度(方位角)θと定義し、水平面(XY面)と延長線AXとがなす角度を垂直方向角度(仰角)φと定義する。
【0053】
本処理ステップS14では、撮影装置20において、現フレームにおける撮影装置10との姿勢差の検出が試行され、姿勢差の検出が成功したか否かが判定される。姿勢差は、処理ステップS12(動画撮影開始の通知)にて送信された撮影装置10の姿勢の情報と、CPU208により検出された撮影装置20の姿勢の情報に基づいて検出される。撮影装置10と撮影装置20との姿勢差は、水平方向角度(方位角)θ及び垂直方向角度(仰角)φで定義される(
図9参照)。
【0054】
[
図8のS15(撮影装置10の注視方向の演算)]
本処理ステップS15は、処理ステップS14(姿勢差の検出判定)にて撮影装置10と撮影装置20との姿勢差の検出が成功したと判定された場合(S14:YES)に実行される。本処理ステップS15では、撮影装置20において、処理ステップS14(姿勢差の検出判定)にて検出された姿勢差(θ,φ)に基づいて全天球画角20a内における撮影装置10の現フレームの注視方向が演算される。ここでは、+Y軸を基準として水平方向角度(方位角)がθで且つ垂直方向角度(仰角)がφとなる方向D(
図9参照)が撮影装置10の注視方向として演算される。
【0055】
[
図8のS16(注視方向の記録)]
本処理ステップS16は、処理ステップS15(撮影装置10の注視方向の演算)にて全天球画角20a内における撮影装置10の現フレームの注視方向が演算された後、又は処理ステップS14(姿勢差の検出判定)にて撮影装置10と撮影装置20との現フレームの姿勢差の検出が成功しなかったと判定された場合(S14:NO)に実行される。前者の場合、撮影装置20は、処理ステップS15(撮影装置10の注視方向の演算)にて演算された注視方向の情報、及び撮影装置10より受信したレンズ102aの画角の情報を現フレームのメルカトル画像と関連付けて、外付けのメディア(又は撮影装置20の内蔵メモリ)に記録する。後者の場合、撮影装置20は、予め決められた全天球画角20a内の方向を注視方向として、レンズ102aの画角の情報と共に現フレームのメルカトル画像と関連付けて、外付けのメディア(又は撮影装置20の内蔵メモリ)に記録する。
【0056】
[
図8のS17(動画撮影終了通知の受信判定)]
撮影装置10は、録画ボタンがもう一度押されると、動画撮影の終了を通知する通知信号を撮影装置20に送信する。本処理ステップS17では、撮影装置20において、動画撮影の終了を通知する通知信号を撮影装置10より受信したか否かが判定される。本処理ステップS17にて該通知信号を撮影装置10より受信していないと判定される場合(S17:NO)、
図8に示される動画撮影リンク処理は、処理ステップS14(姿勢差の検出判定)に戻り、該通知信号を撮影装置10より受信するまで、各フレームについて処理ステップS14〜S17を実行する。これにより、各フレームのメルカトル画像及びこれに関連付けられた注視方向及びレンズ102aの画角の情報が得られる。
【0057】
[
図8のS18(動画撮影の終了)]
本処理ステップS18は、処理ステップS17(動画撮影終了通知の受信判定)にて動画撮影の終了を通知する通知信号を撮影装置10より受信したと判定される場合(S17:YES)に実行される。本処理ステップS18では、撮影装置20が全天球パノラマ動画像の撮影を終了する。
【0058】
一方、撮影装置10は、録画ボタンが押されてから直ぐには通常画角動画像の撮影を終了していない。撮影装置10は、撮影装置20で全天球パノラマ動画像の撮影が終了されるタイミングに合わせて(具体的には、録画ボタンが押されてから予め決められた時間待機した後に)通常画角動画像の撮影を終了する。このような遅延時間を撮影装置10に対して設定することにより、撮影装置10と撮影装置20の動画撮影の終了タイミングを同期させることができる。
【0059】
[注視動画像再生処理]
図1に示されるように、本実施形態に係る撮影システム1は、再生装置30を備えている。再生装置30は、例えば、デスクトップPCやノートPC、タブレットPC、スマートフォン等の情報処理端末であり、
図8に示される動画撮影リンク処理にて作成された全天球パノラマ動画像(注視方向及びレンズ102aの画角の情報がフレーム毎に関連付けられたもの)のファイルが有線通信又は無線通信を介して保存されている。
【0060】
図10に、再生装置30にインストールされたプログラムにより実行される注視動画像再生処理のフローチャートを示す。
図9に示される注視動画像再生処理は、例えばユーザが再生装置30に対して注視動画像の再生指示操作を行うと開始される。
【0061】
[
図10のS21(撮影装置10の注視点の演算)]
本処理ステップS21では、処理対象フレームについて、全天球パノラマ動画像ファイル内の注視方向の情報に基づき、全天球画角20a内における撮影装置10の注視点が演算される。具体的には、注視方向(方向D)の直線と全天球との交点O
2(
図9参照)が撮影装置10の注視点として演算される。
【0062】
[
図10のS22(全天球画角20a内の注視領域の演算)]
本処理ステップS22では、処理対象フレームについて、処理ステップS21(撮影装置10の注視点の演算)にて演算された注視点、及び全天球パノラマ動画像ファイル内のレンズ102aの画角の情報に基づき、全天球画角20a内の注視領域R(
図9参照)が演算される。
【0063】
[
図10のS23(注視領域画像の切り出し)]
本処理ステップS23では、処理対象フレームについて、処理ステップS22(全天球画角20a内の注視領域の演算)にて演算された注視領域Rの画像(注視領域画像)がメルカトル画像から切り出される。
【0064】
[
図10のS24(注視領域画像の再生)]
処理ステップS21〜S23のループによって所定フレーム数の注視領域画像が得られると、再生装置30は、以降のフレームについても処理ステップS21〜S23のループを実行しつつ、既に得られたフレームの注視領域画像を順次再生する。これにより、注視領域の動画像が再生される。
【0065】
本実施形態によれば、ユーザは、撮影装置10をパンやチルトしたりレンズ102aのズーム倍率を変えたりすることで、全天球パノラマ動画像の中で注視領域や画角の変更がダイレクトに反映された動画像を逐次の指示操作を行うことなく再生装置30で再生させることができる。また、撮影装置10による通常画角動画像は、全天球画角内の一部を切り取った注視領域の動画像よりも高画素である。そのため、別の観点によれば、ユーザは、注視領域の動画像を得つつも、それと同じ内容の動画像であって、より高画質な通常画角動画像も同時に得ることができる。
【0066】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0067】
例えば、
図10の処理ステップS21(撮影装置10の注視点の演算)にて演算された注視点が撮影装置20にて撮影された全天球パノラマ動画像では死角となっている場合が考えられる。全天球パノラマ動画像で死角となっているか否かは、例えば、撮影装置10の注視点周辺の画像と、全天球画角20a内の注視方向(方向D)に写る画像との差分に基づいて判定することができる。例示的には、双方の画像の差分が所定の閾値以上ある場合は、全天球パノラマ動画像で死角となっていると判定される。この場合、処理対象フレームについて、天球パノラマ動画像ファイル内の注視方向の情報が書き換えられることなくそのまま適用されてもよいが、天球パノラマ動画像ファイル内の注視方向の情報が全天球画角20a内の規定の方向に再設定されても(書き換えられても)よい。