(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656616
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】トリアジン環含有の光硬化樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 59/17 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
C08G59/17
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-568330(P2017-568330)
(86)(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公表番号】特表2018-534371(P2018-534371A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】CN2016071435
(87)【国際公開番号】WO2017117826
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2018年2月28日
(31)【優先権主張番号】201610010125.1
(32)【優先日】2016年1月5日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉仁
(72)【発明者】
【氏名】張暁鵬
(72)【発明者】
【氏名】李治全
(72)【発明者】
【氏名】劉敬成
(72)【発明者】
【氏名】羅静
(72)【発明者】
【氏名】劉暁亜
【審査官】
内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第104650341(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102516326(CN,A)
【文献】
特開2013−184999(JP,A)
【文献】
特開平04−255715(JP,A)
【文献】
特開平06−258831(JP,A)
【文献】
特開平02−172980(JP,A)
【文献】
特表2013−514405(JP,A)
【文献】
特開昭55−002611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/17
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアジン環含有の光硬化樹脂の製造方法であって、該製造方法は、
(1)ヘキサメチロールメラミン、不飽和脂肪酸と触媒を溶媒に溶解させ、室温で撹拌した後、還流まで昇温して20〜48h反応させ、反応終了後分離、精製してトリアジン環含有の脂肪酸エステルを得るステップと、
(2)ステップ(1)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルに50wt%過酸化水素水、触媒、溶媒トルエンを入れ、反応温度を50〜70℃に制御し、撹拌しながら6〜12h反応させ、反応終了後静置して分層させ、分層後の水層を除去し、有機層を収集し、且つ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、減圧蒸留で溶媒を除去し、トリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂を得るステップと、
(3)アクリル酸に重合禁止剤、触媒を入れ、85〜105℃まで加熱した後、ステップ(2)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂を滴下し、滴下終了後4〜8h反応を続け、前記トリアジン環含有の光硬化樹脂を得るステップと、を含むことを特徴とする、
トリアジン環含有の光硬化樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)において、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ペトロセリン酸、エレオステアリン酸、カレンデュラ酸、エルカ酸、パルミトレイン酸のうちの1種又は複数種であり、前記ヘキサメチロールメラミンと不飽和脂肪酸とのモル量比は1:6.0〜12.0である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)において、触媒は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、4−ジメチルアミノピリジン、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、4−ジメチルアミノピリジン、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸のうちの1種又は複数種であり、前記溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トルエンのうちの1種である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(2)において、触媒はギ酸、酢酸、プロピオン酸のうちの1種又は複数種であり、前記トリアジン環含有の脂肪酸エステル、過酸化水素水と触媒とのモル比は1:1.4〜2.2:0.4〜0.7である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)において、触媒は、2−エチルヘキサン酸クロム(III)、トリフェニルホスフィン、トリエタノールアミン、テトラブチルアンモニウムブロマイドのうちの1種又は複数種であり、使用量は反応物全質量の0.5〜2.0%であり、前記重合禁止剤は、ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、p−メトキシフェノールのうちの1種又は複数種であり、使用量は反応物全質量の0.10〜0.30%であり、前記アクリル酸とトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂におけるエポキシ基とのモル比は0.8〜1.1:1である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記光硬化樹脂の構造式の一般式は、一般式(1)に示すとおりであり、
【化1】
一般式(1)
一般式(1)において、Rは
【化2】
或いは
【化3】
或いは
【化4】
或いは
【化5】
である、ことを特徴とする、
請求項1に記載
の製造方法。
【請求項7】
トリアジン環含有の光硬化樹脂の製造方法であって、該製造方法は、
(1)ヘキサメチロールメラミン、不飽和脂肪酸と触媒を溶媒に溶解させ、室温で撹拌した後、還流まで昇温して20〜48h反応させ、反応終了後分離、精製してトリアジン環含有の脂肪酸エステルを得るステップと、
(2)ステップ(1)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルにメタクロロ過安息香酸、触媒、溶媒トルエンを入れ、反応温度を0〜30℃に制御し、撹拌しながら3〜24h反応させ、反応終了後静置して分層させ、分層後の水層を除去し、有機層を収集し、且つ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、減圧蒸留で溶媒を除去し、トリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂を得るステップと、
(3)アクリル酸に重合禁止剤、触媒を入れ、85〜105℃まで加熱した後、ステップ(2)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂を滴下し、滴下終了後4〜8h反応を続け、前記トリアジン環含有の光硬化樹脂を得るステップと、を含むことを特徴とする、
トリアジン環含有の光硬化樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記メタクロロ過安息香酸とトリアジン環含有の脂肪酸エステルにおける二重結合とのモル比は0.8〜2:1であり、前記溶媒はジクロロメタン又はトリクロロメタンである、ことを特徴とする、
請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性高分子材料の技術分野に関し、特にトリアジン環を中心構造として、不飽和脂肪酸を採用して鎖延長を行った後に感光基を導入するトリアジン環含有光硬化樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化技術は環境に優しく且つ省エネルギーで効率的なグリーンテクノロジーとして新材料と新エネルギーと組み合わせることができ、再生可能な資源に基づく光硬化樹脂は工業発展に直面した石油資源の枯渇及び高い環境要求などの問題を解決する最適な解決手段の1つとすることができる。
【0003】
植物油基アクリル酸エステルは比較的幅広く研究されている再生可能な資源である光硬化樹脂であり、価額が安く、感光性が高いなどの利点を有する。また、分子構造は長い脂肪族鎖を含むため、樹脂の強度と弾性率が低く、ガラス転移温度が低く、付着力が低いなどの欠点を引き起こした。分子構造に剛性コアを導入して体積収縮を減少させ、また、材料の機械的特性を向上させることにより高性能の植物油基光硬化樹脂を製造することは重要な有意性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術における上記問題に対し、本出願者はトリアジン環含有の光硬化樹脂及びその製造方法を提供する。本発明に係る光硬化樹脂は剛性トリアジン環とフレキシブルな脂肪族鎖を同時に含有することにより、その硬化物は総合性能に優れ、光硬化樹脂として感光性高分子材料の分野に応用されることができる。
【0005】
本発明の技術的解決手段は、
トリアジン環含有光硬化樹脂であって、該樹脂の製造方法は、
(1)ヘキサメチロールメラミン、不飽和脂肪酸と触媒を溶媒に溶解させ、室温で撹拌した後、還流まで昇温して20〜48h反応させ、反応終了後分離、精製してトリアジン環含有の脂肪酸エステルを得るステップと、
(2)ステップ(1)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステルに50wt%過酸化水素水、触媒、溶媒トルエンを入れ、反応温度を50〜70℃に制御し、撹拌しながら6〜12h反応させ、反応終了後静置して分層させ、分層後の水層を除去し、有機層を収集し、且つ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、減圧蒸留で溶媒を除去し、トリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂を得るステップと、
(3)アクリル酸に重合禁止剤、触媒を入れ、85〜105℃まで加熱した後、ステップ(2)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂を滴下し、滴下終了後4〜8h反応を続け、前記トリアジン環含有光硬化樹脂を得るステップと、を含む。
【0006】
前記ステップ(1)において、不飽和脂肪酸はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ペトロセリン酸、エレオステアリン酸、カレンデュラ酸、エルカ酸、パルミトレイン酸のうちの1種又は複数種であり、前記ヘキサメチロールメラミンと不飽和脂肪酸のモル量比は1:6.0〜12.0である。
【0007】
前記ステップ(1)において、触媒はジシクロヘキシルカルボジイミド、4−ジメチルアミノピリジン、N’−(エチルカルボンイミドイル)−N、N−ジメチル−1、3−プロパンジアミン/塩酸、4−ジメチルアミノピリジン、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸のうちの1種又は複数種であり、前記溶媒はジクロロメタン、トリクロロメタン、トルエンのうちの1種である。
【0008】
前記ステップ(2)において、触媒はギ酸、酢酸、プロピオン酸のうちの1種又は複数種であり、前記トリアジン環含有脂肪酸エステル、過酸化水素水と触媒のモル比は1:1.4〜2.2:0.4〜0.7である。
【0009】
前記ステップ(3)において、触媒は2−エチルヘキサン酸クロム(III)、トリフェニルホスフィン、トリエタノールアミン、テトラブチルアンモニウムブロマイドのうちの1種又は複数種であり、使用量は反応物全質量の0.5〜2.0%であり、前記重合禁止剤はヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、p−メトキシフェノールのうちの1種又は複数種であり、使用量は反応物全質量の0.10〜0.30%であり、前記アクリル酸とトリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂におけるエポキシ基のモル比は0.8〜1.1:1である。
前記光硬化樹脂の構造式の一般式は、一般式(1)に示すとおりであり、
【0010】
【化1】
一般式(1)
一般式(1)において、Rは
【0011】
【化2】
或いは
【0012】
【化3】
或いは
【0013】
【化4】
或いは
【0014】
【化5】
である。
【0015】
前記ステップ(2)において、トリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂の製造方法は、ステップ(1)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステルにメタクロロ過安息香酸と溶媒を入れ、0〜30℃で、撹拌しながら3〜24h反応させ、反応終了後静置して分層させ、有機層を収集して順に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、有機層から減圧蒸留で溶媒を除去し、前記トリアジン環構造含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂を得る。
【0016】
前記メタクロロ過安息香酸とトリアジン環含有脂肪酸エステルにおける二重結合とのモル比は0.8〜2:1であり、前記溶媒はジクロロメタン又はトリクロロメタンである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の好適な技術的効果は、
(1)本発明に係る光硬化樹脂の構造は剛性トリアジン環とフレキシブルな脂肪族鎖を同時に含有することにより、その硬化物は総合性能に優れ、光硬化樹脂として感光性高分子材料の分野に適用することができる。
(2)本発明に係る光硬化樹脂はエステル化反応により得られる多分岐構造を有するトリアジン環含有脂肪酸エステルであり、使用されるヘキサメチロールメラミンと不飽和脂肪酸はいずれも工業製品であり、コストが低い。
(3)本発明に係る光硬化樹脂の製造過程に酸化二重結合を採用することでエポキシ基を得てアクリル酸を導入するために備える。
(4)不飽和度の異なる脂肪酸を選択してエポキシ価の異なるトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂を製造することにより、最終に官能化率の異なるトリアジン環含有の脂肪酸エステルアクリル酸樹脂を得る。
(5)本発明に係る光硬化樹脂の構造はトリアジン環構造を含有することにより、得られるアクリル酸樹脂は高い硬度と耐候性を有し、同時に脂肪酸の長い炭素鎖が存在することにより、樹脂は良好な柔軟性を有し、多分岐構造によって樹脂硬化後の体積収縮率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1で得られるEHMMLOの赤外分光スペクトルである。
【
図2】本発明の実施例1で得られるEHMMLOの核磁気共鳴スペクトルである。
【
図3】本発明の実施例1で得られるEHMMLOの質量スペクトルである。
【
図4】本発明の実施例1で得られるトリアジン環含有光硬化樹脂の赤外分光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面と実施例に合わせて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
トリアジン環含有光硬化樹脂であって、該樹脂の製造方法は、
(1)5.00gのヘキサメチロールメラミン、33.86gのリノール酸、24.90gのジシクロヘキシルカルボジイミドと1.48gの4−ジメチルアミノピリジンを三ツ口フラスコに入れ、150mlのジクロロメタンを添加して溶解させた後、室温で撹拌しながら24h反応させ、その後還流まで昇温して28h反応させ、反応終了後、ろ過により生成された塩を除去し、ろ液から減圧蒸留でジクロロメタンを除去し、その後エタノールを用いて精製し、25℃で真空乾燥してトリアジン環含有の脂肪酸エステル(HMMLO)を得るステップと、
三ツ口フラスコに12.0gのステップ(1)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステル、1.14gの酢酸、20gのトルエンを入れた後、三ツ口フラスコに11.8gの50wt%過酸化水素水を滴下し、滴下終了後反応温度を60℃に制御し、撹拌しながら8h反応させ、反応終了後静置して分層させ、分層後の水層を除去し、有機層を収集し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、減圧蒸留で溶媒を除去し、トリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)を得るステップと、
生成物の赤外線吸収スペクトルは
図1に示すとおりであり、生成物の核磁気共鳴スペクトルは
図2に示すとおりであり、生成物の質量スペクトルは
図3に示すとおりであり、
(3)三ツ口フラスコに3.779gのアクリル酸、0.04gの重合禁止剤ヒドロキノン、0.27gの触媒2−エチルヘキサン酸クロム(III)を入れ、撹拌しながら95℃まで加熱した後、漏斗でステップ(2)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂10gを滴下し、滴下終了後8h反応を続け、前記トリアジン環含有光硬化樹脂を得るステップと、を含み、
生成物の赤外分光スペクトルは
図4に示すとおりである。
【0021】
図1はトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)の赤外分光スペクトルであり、図から分かるように、3000−3500cm
−1において−OHの吸収ピークが消え、3010cm
−1の近傍において=C−H−の伸縮振動ピークが消え、また895cm
−1の近傍においてエポキシ基の特徴吸収ピークが現れる。
【0022】
図2はトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)の核磁気共鳴スペクトルであり、図から分かるように、5.2−5.4ppmにおいて脂肪族鎖二重結合プロトン吸収ピークが消え、且つ5.8ppmにおいてエステル結合に隣接するメチレン水素プロトン吸収ピークが現れ、且つ1.4ppmと3.1ppmにおいてエポキシ基のプロトンピークが現れる。
【0023】
図3はトリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)の質量スペクトルであり、MALDI−TOF特徴から分かるように、主に2組のピークがあり、2組のピークのm/zの間に674〜641の差があり、基本的に3つのリノール酸分子鎖の分子量に相当し、各ピークは1つの置換度を示すため、m/zの値に基づいて主に2つの置換度DS=3とDS=6があることを決定することができる。
【0024】
上記特徴に基づいてトリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂を合成することに成功したことが示唆される。
【0025】
図4はトリアジン環含有光硬化樹脂の赤外分光スペクトルであり、図から分かるように、3500cm
−1の近傍において−OHの吸収ピークが現れ、1618と1637cm
−1において強い−C=C−伸縮振動ピークが現れ、目的物を合成することに成功したことが示唆される。
【実施例2】
【0026】
(1)7.00gのヘキサメチロールメラミン、47.60gのオレイン酸、34.86gのジシクロヘキシルカルボジイミドと2.07gの4−ジメチルアミノピリジンを三ツ口フラスコに入れ、250mlのジクロロメタンを添加して溶解させた後、室温で撹拌しながら24h反応させ、その後還流まで昇温して24h反応させ、反応終了後、ろ過により生成された塩を除去し、ろ液から減圧蒸留でジクロロメタンを除去し、その後エタノールを用いて精製し、25℃で真空乾燥してトリアジン環含有の脂肪酸エステル(HMMLO)を得る。
【0027】
(2)三ツ口フラスコに15.0gのステップ(1)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステル、1.11gのギ酸、30gのトルエンを入れた後、三ツ口フラスコに14.8gの50wt%過酸化水素水を滴下し、滴下終了後反応温度を60℃に制御し、撹拌しながら8h反応させ、反応終了後静置して分層させ、分層後の水層を除去し、有機層を収集し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、減圧蒸留で溶媒を除去し、トリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)を得る。
【0028】
(3)三ツ口フラスコに3.25gのアクリル酸、0.04gの重合禁止剤p−メトキシフェノール、0.14gの触媒トリフェニルホスフィンを入れ、撹拌しながら105℃まで加熱した後、漏斗でステップ(2)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂10gを滴下し、滴下終了後8h反応を続け、前記トリアジン環含有の光硬化樹脂を得る。
【実施例3】
【0029】
(1)2.00gのヘキサメチロールメラミン、18.06gのリノレン酸、13.28gのジシクロヘキシルカルボジイミドと0.79gの4−ジメチルアミノピリジンを三ツ口フラスコに入れ、60mlのトリクロロメタンを添加して溶解させた後、室温で撹拌しながら12h反応させ、その後還流まで昇温して12h反応させ、反応終了後、ろ過により生成された塩を除去し、ろ液から減圧蒸留でトリクロロメタンを除去し、その後エタノールを用いて精製し、25℃で真空乾燥してトリアジン環含有の脂肪酸エステル(HMMLO)を得る。
【0030】
(2)三ツ口フラスコに12.0gのステップ(1)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステル、41.8gのメタクロロ過安息香酸、300mlのジクロロメタンを入れ、0℃で、撹拌しながら10h反応させ、反応終了後静置して分層させ、有機層を収集して順に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、有機層から減圧蒸留で溶媒を除去し、前記トリアジン環構造含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)を得る。
【0031】
(3)三ツ口フラスコに3.5gのアクリル酸、0.03gの重合禁止剤tert−ブチルヒドロキノン、0.13gの触媒テトラブチルアンモニウムブロミドを入れ、撹拌しながら100℃まで加熱した後、漏斗でステップ(2)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂10gを滴下し、滴下終了後8h反応を続け、前記トリアジン環含有の光硬化樹脂を得る。
【実施例4】
【0032】
(1)7.50gのヘキサメチロールメラミン、53.3gのエレオステアリン酸、36.6gのジシクロヘキシルカルボジイミドと2.21gの4−ジメチルアミノピリジンを三ツ口フラスコに入れ、250mlのトリクロロメタンを添加して溶解させた後、室温で撹拌しながら12h反応させ、その後還流まで昇温して12h反応させ、反応終了後、ろ過により生成された塩を除去し、ろ液から減圧蒸留でトリクロロメタンを除去し、その後エタノールを用いて精製し、25℃で真空乾燥してトリアジン環含有の脂肪酸エステル(HMMLO)を得る。
【0033】
(2)三ツ口フラスコに12.0gのステップ(1)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステル、33.9gのメタクロロ過安息香酸、250mlのジクロロメタンを入れ、0℃で、撹拌しながら8h反応させ、反応終了後静置して分層させ、有機層を収集して順に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、有機層から減圧蒸留で溶媒を除去し、前記トリアジン環構造含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)を得る。
【0034】
ステップ(3)三ツ口フラスコに2.8gのアクリル酸、0.03gの重合禁止剤tert−ブチルヒドロキノン、0.13gの触媒テトラブチルアンモニウムブロミドを入れ、撹拌しながら105℃まで加熱した後、漏斗でステップ(2)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂10gを滴下し、滴下終了後8h反応を続け、前記トリアジン環含有の光硬化樹脂を得る。
【実施例5】
【0035】
(1)7.50gのヘキサメチロールメラミン、56.30gのパルミトレイン酸、36.6gのジシクロヘキシルカルボジイミドと2.21gの4−ジメチルアミノピリジンを三ツ口フラスコに入れ、250mlのトリクロロメタンを添加して溶解させた後、室温で撹拌しながら24h反応させ、その後還流まで昇温して24h反応させ、反応終了後、ろ過により生成された塩を除去し、ろ液から減圧蒸留でトリクロロメタンを除去し、その後エタノールを用いて精製し、25℃で真空乾燥してトリアジン環含有の脂肪酸エステル(HMMLO)を得る。
【0036】
(2)三ツ口フラスコに15.0gのステップ(1)で得られるトリアジン環含有脂肪酸エステル、1.49gのギ酸、30gのトルエンを入れた後、三ツ口フラスコに16.8gの50wt%過酸化水素水を滴下し、滴下終了後反応温度を60℃に制御し、撹拌しながら8h反応させ、反応終了後静置して分層させ、分層後の水層を除去し、有機層を収集し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄し、減圧蒸留で溶媒を除去し、トリアジン環含有脂肪酸エステルエポキシ樹脂(EHMMLO)を得る。
【0037】
(3)三ツ口フラスコに2.9gのアクリル酸、0.03gの重合禁止剤ヒドロキノン、0.13gの触媒トリエタノールアミンを入れ、撹拌しながら9℃まで加熱した後、漏斗でステップ(2)で得られるトリアジン環含有の脂肪酸エステルエポキシ樹脂10gを滴下し、滴下終了後8h反応を続け、前記トリアジン環含有の光硬化樹脂を得る。
【0038】
上記実施例は、本発明を解釈と説明するのに用いられ、本発明に限定されるものではなく、本発明の趣旨と請求項の特許請求の範囲において、本発明に対して行われた全ての修正と変化は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。