特許第6656629号(P6656629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656629店舗発泡における芯材の製造方法、及びクッション体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6656629
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】店舗発泡における芯材の製造方法、及びクッション体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20200220BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20200220BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20200220BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20200220BHJP
   C08J 9/02 20060101ALI20200220BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20200220BHJP
【FI】
   C08G18/00 F
   A47C27/14 A
   C08G18/30 020
   C08G18/32 003
   C08J9/02CFF
   C08G101:00
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-97259(P2019-97259)
(22)【出願日】2019年5月24日
【審査請求日】2019年5月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505125727
【氏名又は名称】株式会社エイティー今藤
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】今藤 尚一
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−045981(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/136069(WO,A1)
【文献】 特開昭49−075669(JP,A)
【文献】 特開2016−166135(JP,A)
【文献】 特開平11−180198(JP,A)
【文献】 特開2005−329114(JP,A)
【文献】 特開2001−325524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00
A47C 27/14
C08G 18/30
C08G 18/32
C08J 9/02
C08G 101:00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口を有する有底中空形状であって内部が視認可能な容器本体の前記開口を、当該開口よりも開口面積が小さい余剰材料流出用の貫通口を備えた蓋体によって開閉自在に閉止した状態で、前記容器本体内においてイソシアネートからなる第一液とポリオールを含む第二液とを反応させて発泡体を得る反応ステップと、
前記反応ステップ中に前記容器本体の前記開口を越えて前記貫通口を通じて前記蓋体の外表面側に膨出して硬化した前記発泡体の余剰部分を、前記蓋体の内表面に沿って切断して芯材を得る切断ステップと、
を備えることを特徴とする芯材の製造方法。
【請求項2】
前記蓋体は、細長い形状の前記貫通口を備えた板形状であることを特徴とする請求項1に記載の芯材の製造方法。
【請求項3】
前記反応ステップと前記切断ステップとの間に、前記発泡体を前記蓋体とともに前記開口から前記容器本体外へ抜き出す離型ステップを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の芯材の製造方法。
【請求項4】
前記反応ステップでは、前記容器本体内の前記第一液と前記第二液とによる反応の様子を映像撮影手段によって撮影するとともに、前記映像撮影手段によって撮影された映像を前記反応の影響を受けない場所に設置された映像表示手段によって表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の芯材の製造方法。
【請求項5】
前記第二液には、多孔質の粉体が分散されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の芯材の製造方法。
【請求項6】
前記第二液は、水溶性の香料を含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の芯材の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか一項に記載の芯材の製造方法によって作製された芯材を、側生地内に収納する収納ステップを備えることを特徴とするクッション体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗発泡における芯材の製造方法、及びクッション体の製造方法関する。
【背景技術】
【0002】
枕、座布団(椅子の座面に敷く座面用クッション)、背中に当てる背クッション、肩に載せる肩マクラ等のクッション体には、芯材としてウレタンフォーム等の発泡体が用いられているものがある。
芯材の製造は工場で行われることから、使用者の好みに応じたクッション体をオーダーメイドする時には、店舗において注文を受け付けた後に工場でクッション体を製造し、その後、使用者に届けられる。従って、クッション体をオーダーメイドすると納期が長くなってしまう問題点があった。
工場で行われていた芯材の製造を店舗内で行うことができれば、オーダーメイドであっても短期間での納品が可能になる。例えば、特許文献1、及び特許文献2には、店舗内で芯材を製造する時に適用可能な技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、発泡剤と硬化剤の混合液を型取袋内に注入した後、この型取袋を椅子の座面上に載置し、発泡体が完全に硬化する前に使用者を型取袋の上に座らせることにより、使用者の臀部形状に倣った凹部を発泡体の上面に形成する技術が開示されている。
特許文献1の技術を店舗内の芯材製造に用いた場合には、型取袋内で発泡を行うことから形状が限定されてしまうし、発泡時に生成される気体(例えば二酸化炭素)によって型取袋内の圧力が過度に上昇してしまう恐れがある。
【0004】
特許文献2には、金型(発泡容器)内においてポリウレタンの発泡原液(イソシアネートとポリオールの混合液)を発泡させることにより、枕の芯材を作製する技術が開示されている。そこで、特許文献1の技術と特許文献2の技術とを組み合わせて、発泡容器内で発泡原液を発泡させることが考えられる。
しかし、店舗にて芯材を製造する場合には、発泡原液の必要量を量り取ったとしても、量り取った発泡原液を全て発泡容器内に移すことは難しい。また、発泡容器内の発泡原液は撹拌棒を使用して混合されるが、混合によって撹拌棒に付着した発泡原液を発泡容器内に戻すことは難しい。これらの理由により、発泡原液の量を精密に管理することは困難である。
発泡原液の量が適量よりも少なすぎてしまうと、発泡体によって発泡容器内を満たすことができずに芯材が欠けてしまう恐れがあることから、発泡原液を適量よりも多くすることにより芯材の欠けを防止することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−119554号公報
【特許文献2】特開2004−267577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の金型は閉じられているため、発泡原液を適量よりも多くすると密度が高くなり、芯材が硬くなりすぎてしまう恐れがある。
また、特許文献2の金型は内部が視認できないことから、反応が終了したか否かは反応開始からの経過時間によって管理せざるを得ない。従って、反応終了前に金型を空けてしまったり、反応が終了しているにもかかわらず芯材を取り出せない恐れもある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クッション体に用いる芯材を店舗内であっても容易に製造できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る芯材の製造方法は、一端に開口を有する有底中空形状であって内部が視認可能な容器本体の前記開口を、当該開口よりも開口面積が小さい余剰材料流出用の貫通口を備えた蓋体によって開閉自在に閉止した状態で、前記容器本体内においてイソシアネートからなる第一液とポリオールを含む第二液とを反応させて発泡体を得る反応ステップと、前記反応ステップ中に前記容器本体の前記開口を越えて前記貫通口を通じて前記蓋体の外表面側に膨出して硬化した前記発泡体の余剰部分を、前記蓋体の内表面に沿って切断して芯材を得る切断ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クッション体の芯材を店舗内において容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は発泡体製造用の第一液と第二液の容器本体への注入を説明する図、(b)は発泡原液の撹拌を説明する図である。
図2】(a)は発泡原液の反応を模式的に説明する図、(b)は発泡原液の反応終了状態を説明する図である。
図3】(a)は発泡体の容器本体からの離型を説明する図、(b)は離型後の発泡体を説明する図である。
図4】切断後の発泡体を説明する図である。
図5】(a)は芯材と側生地とを説明する図、(b)は芯材を側生地に収納した枕を説明する図である。
図6】(a)は枕Aの斜視図、(b)は枕Aの側面図である。
図7】枕A用の芯材を作製するための発泡容器の分解斜視図である。
図8】(a)は枕Bの斜視図、(b)は枕Bの側面図である。
図9】枕B用の芯材を作製するための発泡容器の分解斜視図である。
図10】(a)は枕Cの斜視図、(b)は枕Cの側面図である。
図11】枕C用の芯材を作製するための発泡容器の分解斜視図である。
図12】芯材の製造設備を備えた店舗を説明する図である。
図13】製造設備を説明するブロック図である。
図14】名前入力時の情報入力端末の画面例を説明する図である。
図15】種類選択時の情報入力端末の画面例を説明する図である。
図16】硬さ選択時の情報入力端末の画面例を説明する図である。
図17】側生地選択時の情報入力端末の画面例を説明する図である。
図18】粉体選択時の情報入力端末の画面例を説明する図である。
図19】香料選択時の情報入力端末の画面例を説明する図である。
図20】製造手順書の一例を説明する図である。
図21】製造手順書の他の例を説明する図である。
図22】店舗の製造設備の変形例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<芯材の製造方法の概略>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。例えば、以下の説明では枕の製造方法を例に挙げるが、同じ製造方法を用いることにより、座布団(座面用クッション)、背クッション、及び肩マクラ等も製造することができる。
最初に芯材、及び枕の製造方法の概略について説明する。図1(a)は発泡体製造用の第一液と第二液の容器本体への注入を説明する図、図1(b)は発泡原液の撹拌を説明する図である。図2(a)は発泡原液の反応を模式的に説明する図、図2(b)は発泡原液の反応終了状態を説明する図である。図3(a)は発泡体の容器本体からの離型を説明する図、図3(b)は離型後の発泡体を説明する図である。図4は、切断後の発泡体を説明する図である。図5(a)は芯材と側生地とを説明する図、図5(b)は芯材を側生地に収納した枕を説明する図である。
【0012】
本実施形態の製造方法では、内部が視認可能な発泡容器(型枠)を使用する。図1、及び図2に示すように、発泡容器10は、一端に開口11bを有する有底中空形状の容器本体11(型枠本体)と、貫通口12aを有し容器本体11の開口11bを閉止する板形状の蓋体12と、を有している。容器本体11は、有底中空部11aと、有底中空部11aの開口端から側方に向けて突出されたフランジ11cと、を備えている。容器本体11の開口11bを閉止する時には、蓋体12の外周部分12bがフランジ11cに載置され、クリップ13によって固定される。
図1に示すように、発泡容器10を用いて芯材を製造する時には、容器本体11の開口11bを蓋体12により閉止した状態で、容器本体11の空所11dにおいてイソシアネートからなる第一液21とポリオールを含む第二液22とを反応させる(反応ステップ)。例えば、第一液21と第二液22とを容器本体11の空所11dに注入し、撹拌棒23によって撹拌する。第一液21と第二液22とが混合された発泡原液24は、図2(a)に示すように、第一液21の成分と第二液22の成分とが反応して発泡体25を生成する。この発泡体25は容器本体11の空所11dを満たしてゆく。
【0013】
本実施形態における発泡原液24の量(第一液21の量と第二液22の量の合計)は、発泡体25の体積が発泡容器10の容積よりも大きくなる量に定められているため、図2(b)に示すように、発泡体25の一部(余剰部分26)は容器本体11の開口11aを越えて膨出し、蓋体12の貫通口12aを通じて蓋体12の外表面12c側に拡がって硬化する。
このように、発泡体25の余剰部分26が貫通口12aを通じて発泡容器10の外へ流出するため、発泡原液24を適量よりも多くしても芯材27を適度な硬さにすることができる。また、本実施形態では、内部が視認可能な容器本体11内で発泡原液24を反応させているため、目視によって反応が終了したか否かを判断できる。
【0014】
発泡体の余剰部分26は、芯材27(容器本体11内の発泡体25)から切断する。
図3、及び図4に示すように、発泡体25の余剰部分26を芯材27から切断する時には、クリップ13を取り外して、発泡体25を蓋体12とともに開口11bから容器本体11外へ抜き出す(離型ステップ)。発泡体25の余剰部分26は、蓋体12の外表面12c側において、貫通口12aよりも外側に拡がった状態で硬化しているため、発泡体25と蓋体12とは一体化している。従って、発泡体25を抜き出す時において、蓋体12を把手として使用することにより、発泡体25を容器本体11から容易に抜き出すことができる。
容器本体11から発泡体25を抜き出した後、発泡体の余剰部分26を芯材27から切断する(切断ステップ)。例えば、蓋体12の内表面12dに沿ってカッターを移動させることにより、余剰部分26を切断する。内表面12dに沿ってカッターを移動させることにより、蓋体12の内表面12dがカッターの案内面として機能するため、切断作業が容易になり、且つ芯材27側の切断面を平滑にすることができる。
また、本実施形態では蓋体12に貫通口12aを形成しているため、貫通口12aによって余剰部分26の切断箇所を限定でき、この点でも切断作業が容易になる。
【0015】
製造された芯材27から枕30を製造する時には、図5(a)に示すように、芯材27と、この芯材27を収納する側生地31とを準備する。例示した側生地31は、芯材27と同じ形状の袋体であって、側面には芯材27を出し入れするための開口部32が設けられている。この開口部32は、ファスナー33によって開閉自在に構成されている。
ファスナー33によって開口部32を開放した後、芯材27を側生地31の中に収納して開口部32を閉止することにより、図5(b)に示す枕30が製造される(収納ステップ)。
【0016】
以上の芯材27の製造方法によれば、内部が視認可能な容器本体11内で第一液21と第二液22とを反応させているため、目視によって反応の終了を判断できる。また、発泡原液24を適量よりも多くしても余剰の発泡体25が貫通口12aから発泡容器10の外側に流出して硬化するため、発泡容器10内の芯材27を適度な硬さにすることができる。さらに、貫通口12aによって余剰部分26の切断箇所を限定できるため、この点でも切断作業の容易化が図れる。
従って、クッション体の芯材27を店舗内において容易に製造できるようになる。
【0017】
<芯材27の製造方法の詳細>
次に、芯材27の製造方法の詳細について説明する。最初に、枕30の種類について説明する。図6(a)は枕30Aの斜視図、図6(b)は枕30Aの側面図、図7は枕30A用の芯材27Aを製造するための発泡容器10Aの分解斜視図である。図8(a)は枕30Bの斜視図、図8(b)は枕30Bの側面図、図9は枕30B用の芯材27Bを製造するための発泡容器10Bの分解斜視図である。図10(a)は枕30Cの斜視図、(b)は枕30Cの側面図、図11は枕30C用の芯材27Cを製造するための発泡容器10Cの分解斜視図である。
【0018】
図6(a)、及び(b)に示す枕30Aは、寝姿勢の使用者の頭頂側に位置する奥行き方向の一端部30aと、寝姿勢の使用者の胴体側に位置する他端部30bが上側に突出し、一端部30aと他端部30bの間に位置する中間部30cが下側に窪んだ波形曲面を備えた標準厚さの枕である。枕30Aは、芯材27Aを側生地31Aに収納することによって製造されている。
枕30A用の芯材27Aは、図7に示す枕30A用の発泡容器10Aを用い、図1乃至図4にて説明したように、イソシアネートからなる第一液21とポリオールを含む第二液22とを注入し、第一液21と第二液22とを混合した発泡原液24を発泡容器10A内で反応させ、その後、発泡体25の余剰部分26を、蓋体12Aの内表面12dに沿って切断することによって製造される。
【0019】
発泡容器10Aは、枕30Aと同型状の空所11dを形成する有底中空部11a、及び有底中空部11aの開口端から側方に向けて突設されたフランジ11cを有する容器本体11Aと、貫通口12aを有した板形状の蓋体12Aと、を備えている。本実施形態において、容器本体11Aのフランジ11cは外形が長方形状をしており、蓋体12Aはフランジ11cと同じ大きさの長方形板によって作製されており、蓋体12Aには細長い長方形状の貫通口12aが形成されている。
図2(a)にて説明したように、蓋体12Aはクリップ13によってフランジ11cに取り付けられている。容器本体11Aは、例えば、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂やガラスといった内部が視認可能な素材によって作製されており、蓋体12Aは、合成樹脂、ガラス、或いは金属板によって作製されている。
なお、芯材27Aの製造前(第一液21と第二液22の注入前)において、有底中空部11aの内表面、及び蓋体12の内表面12dには離型剤(例えば油脂)を塗布しておく。これにより、硬化後の発泡体25を容易に容器本体11Aから抜き出すことができる。
【0020】
図2(a)にて説明した第一液21は、トリレンジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート(−N=C=Oという部分構造を持った化合物)である。
第二液22は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリマーポリオール等のポリオール(一つの分子の中に水酸基(−OH)を2つ以上持った化合物)を含む。さらに、第二液22には、ポリオールの他、反応開始剤としての水、芯材27Aに対して特定の機能を付与するための機能性粉体、及び芯材27Aに所望の香りを付けるための水溶性香料が必要に応じて含まれる。
機能性粉体としては、例えば、火山灰、及び木炭パウダといった多孔質の粉体が用いられる。多孔質の粉体を用いることにより、芯材27Aの吸湿性や放湿性を向上させることができる。水溶性香料としては、例えば、バラの香りを付けるバラ香料、クチナシの香りを付けるクチナシ香料、及びキンモクセイの香りを付けるキンモクセイ香料を用いることができる。
【0021】
図8(a)、及び(b)に示す枕30Bは、上面に枕30Aと同様の波形曲面を備え、且つ枕30Aよりも薄手の枕である。枕30Bは、枕30Aと同様に、芯材27Bを側生地31Bに収納することによって製造されている。
枕30B用の芯材27Bは、図9に示す枕30B用の発泡容器10B(容器本体11B、蓋体12B)内にイソシアネートからなる第一液21とポリオールを含む第二液22とを注入し、第一液21と第二液22とを混合した発泡原液24を発泡容器10B内で反応させ、その後、発泡体25の余剰部分26を、蓋体12Bの内表面12dに沿って切断することによって製造される。
【0022】
図10(a)、及び(b)に示す枕30Cは、扁平な直方体形状をした枕である。枕30Cもまた芯材27Cを側生地31Cに収納するによって製造されている。
枕30C用の芯材27Cは、図11に示す枕30C用の発泡容器10C(容器本体11C、蓋体12C)内にイソシアネートからなる第一液21とポリオールを含む第二液22とを注入し、第一液21と第二液22とを混合した発泡原液24を発泡容器10C内で反応させ、その後、発泡体25の余剰部分26を、蓋体12Cの内表面12dに沿って切断することによって製造される。
【0023】
<芯材27の製造設備100について>
次に、芯材27の製造設備100について説明する。図12は芯材27の製造設備100を備えた店舗を説明する図、図13は製造設備100を説明するブロック図である。
図12に示すように、店舗は、接客用の販売スペースSP1と、枕製造用の製造スペースSP2と、を備えており、且つ販売スペースSP1と製造スペースSP2との間は仕切り壁101によって仕切られている。この仕切り壁101によって、製造スペースSP2内の空気が販売スペースSP1へ流れ込まなくなり、販売スペースSP1では製造スペースSP2で行われる芯材27の製造(発泡原液24の反応)の影響を受けなくなる。
販売スペースSP1には、製造スペースSP2に設置された制御装置120と通信可能に接続され、枕30(芯材27)の種類をはじめとする各種情報(第一液21と第二液22との配合比率を決定するための配合決定用情報)を制御装置120に送信する情報入力端末110と、製造スペースSP2に設置されたビデオカメラ140と通信可能に接続され、ビデオカメラ140によって撮影された映像を表示可能な映像表示装置150と、が備えられている。
【0024】
情報入力端末110は、例えばタブレットであり、図13に示すように、CPU(central processing unit)111a、及びCPU111aが実行するプログラムを記憶したり、CPU111aがプログラムを実行する時に情報を一時記憶する記憶部111bを有し、制御の中心となる制御部111と、タッチパネルやボタンスイッチ等によって構成された入力部112と、液晶表示装置等によって構成された表示部113と、制御装置120との間の通信を制御する通信部114と、を備えている。
情報入力端末110では、情報を入力するための入力画面を表示部113に表示させ、使用者が行った操作を入力部112で検出し、検出した操作に応じて制御部111が動作をする。
【0025】
図12に示すように、製造スペースSP2には、発泡容器10が載置される作業台160と、発泡原液24の発泡時に発泡容器10から放出される気体を室外へ排出するための局所排気装置170の一部分と、芯材27の製造手順を示す複数種類の製造手順情報を記憶し、情報入力端末110から受信した配合決定用情報に対応する一の製造手順情報を選択して表示部123に表示可能な制御装置120と、制御装置120が選択した一の製造手順情報を印刷可能な印刷装置130と、作業台160の上に載置された発泡容器10を撮影し、映像データを映像表示装置150に送信するビデオカメラ140と、が備えられている。
【0026】
局所排気装置170は、作業台160の上方に配置されたフード171と、一端がフード171に接続され他端が店舗外に引き出された主ダクト172と、主ダクト172の他端に一端が接続された空気清浄装置173と、空気清浄装置173の他端に接続された排気ダクト174と、排気ダクト174の途中に配置された排気ファン175と、を備えている。この局所排気装置170は、排気ファン175を動作させることにより、発泡体25の生成時に生じる気体を吸い込み、空気清浄装置173によって気体を浄化し、浄化後の気体を室外に排出する。
ビデオカメラ140は、発泡原液24が発泡している様子を発泡容器10の外側から撮影し、撮影によって得られた映像データを映像表示装置150に送信する。これにより、映像表示装置150には発泡原液24が発泡している様子が表示される。すなわち、発泡原液24の反応の影響を受けない販売スペースSP1において、発泡原液24が発泡している様子を観察できる。
【0027】
図13に示すように、制御装置120は、例えばデスクトップタイプのパーソナルコンピュータであり、CPU121a、及記憶部121bを有し、制御の中心となる制御部121と、キーボードやマウスによって構成された入力部122と、液晶ディスプレイやブラウン管等によって構成された表示部123と、情報入力端末110や印刷装置130との間の通信を制御する通信部124と、を備えている。
制御装置120が備える記憶部(記憶手段)121bには、芯材27の製造手順を示す複数種類の製造手順情報が記憶されている。各製造手順情報は、例えば、事前に行った試験の結果に基づいて作製され、記憶部121bに記憶されている。制御部121は、情報入力端末110から受信した配合決定用情報に対応する一の製造手順情報を、記憶部121bに記憶された複数の製造手順情報の中から選択する。
印刷装置130は、例えば電子写真方式やインクジェット方式のプリンタであり、CPU131a、及記憶部131bを有し、制御の中心となる制御部131と、用紙等の記録媒体に画像を印刷する印刷部132と、制御装置120との間の通信を制御する通信部133と、を備えている。印刷装置130は、制御装置120が選択した一の製造手順情報を印刷することができる。
【0028】
<店舗における芯材27の製造方法について>
次に、店舗における芯材27の製造方法について説明する。この製造方法では、最初に情報入力端末110を用いて、第一液21と第二液22との配合比率を決定するための配合決定用情報を入力する。
図14は名前入力時の情報入力端末110の画面例を説明する図、図15は種類選択時の情報入力端末110の画面例を説明する図、図16は硬さ選択時の情報入力端末110の画面例を説明する図、図17は側生地31選択時の情報入力端末110の画面例を説明する図、図18は粉体選択時の情報入力端末110の画面例を説明する図、図19は香料選択時の情報入力端末110の画面例を説明する図である。
【0029】
図14に示すように、枕30の注文者の名前を入力する時には、情報入力端末110の表示部113に表示された名前入力欄201を選択し、キーボード部202を操作することによって注文者の名前を入力する。
図15に示すように、枕30(芯材27)の種類を入力する時には、表示部113に表示された種類選択欄203をクリックすることにより、選択可能な枕30の種類が記載されたダイアログボックス204を表示させる。図15の例では、枕−A(枕30A)、枕−B(枕30B)、及び枕−C(枕30C)の3種類が表示されており、何れか一つを選択できる。
【0030】
図16に示すように、枕30(芯材27)の硬さを入力する時には、表示部113に表示された硬さ選択欄205のクリックにより、選択可能な硬さの種類が記載されたダイアログボックス206を表示させる。図16の例では、普通、硬め、及び柔らかめの3種類が表示されており、何れか一つを選択できる。
図17に示すように、側生地31の種類を入力する時には、表示部113に表示された側生地選択欄207のクリックにより、選択可能な側生地31の種類が記載されたダイアログボックス208を表示させる。図17の例では、側生地−Aイ(枕30A用の側生地イ)、側生地−Aロ(枕30A用の側生地ロ)、及び側生地−Aハ(枕30A用の側生地ハ)の3種類が表示されており、何れか一つを選択できる。
【0031】
図18に示すように、粉体の種類を入力する時には、表示部113に表示された粉体選択欄209のクリックにより、選択可能な粉体の種類が記載されたダイアログボックス210を表示させる。図18の例では、火山灰、木炭パウダ、及びなしの3種類が表示されており、何れか一つを選択できる。
図19に示すように、香料の種類を入力する時には、表示部113に表示された香料選択欄211のクリックにより、選択可能な香料の種類が記載されたダイアログボックス212を表示させる。図19の例では、バラ、クチナシ、キンモクセイ、及びなしの4種類が表示されており、何れか一つを選択できる。
【0032】
枕30の製造に必要な情報の入力後、表示部113に表示された送信ボタン(不図示)を押すことにより、情報入力端末110から制御装置120に向けて枕30の製造に必要な情報(配合決定用情報)が送信される。制御装置120は、配合決定用情報を受信すると、記憶部121bに記憶されている複数の製造手順情報の中から、配合決定用情報に対応する一の製造手順情報を選択する。選択した製造手順情報は、制御装置120が備える表示部123に表示したり、印刷装置130によって製造手順書221として印刷される。
図20は用紙に印刷された製造手順書221の一例221aを説明する図、図21は製造手順書221の他の例221bを説明する図である。
【0033】
図20に示す製造手順書221aの上側半部には、枕30A用の発泡容器10Aを使用すること、枕30A用の側生地31A−イを使用すること、イソシアネートの使用量が72g、ポリオールの使用量が158.4g、及び水の使用量が9.6gであること、粉体として火山灰を使用し、使用量が4.0gであること、香料としてバラ香料を使用し、使用量が1.0gであることが記載されている。
また、製造手順書221aの下側半部には、次の手順1乃至手順8からなる製造手順が記載されている。
手順1:枕30Aの発泡容器10Aを準備すること、手順2:枕30Aの側生地31イを準備すること、手順3:ポリオール、水、火山灰、及びバラ香料を秤量して混合すること(第二液22を作製すること)、手順4:イソシアネート(第一液21)を秤量すること、手順5:イソシアネートとポリオール混合液とを容器本体11に注入して混合すること、手順6:蓋体12を容器本体11の上に取り付けてクリップ13で固定すること、手順7:発泡体25を脱型し、余剰部分26を切断すること、手順8:整形後の発泡体25(芯材27A)に側生地31A−イを被せること。
なお、各手順の左端にはチェックボックスCBが印刷されている。このチェックボックスCBは、作業済みを示すチェックマークを記入するために用意されている。
【0034】
また、図21に示す製造手順書221bの上側半部には、枕30B用の発泡容器10Bを使用すること、枕30B用の側生地31ロを使用すること、イソシアネートの使用量が64.7g、ポリオールの使用量が142.2g、及び水の使用量が8.6gであること、粉体として木炭パウダを使用し、使用量が3.6gであること、香料としてクチナシ香料を使用し、使用量が0.9gであることが記載されている。
また、製造手順書221bの下側半部には、次の手順11乃至手順18からなる製造手順が記載されている。
手順11:枕30Bの発泡容器10Bを準備すること、手順12:枕30Bの側生地31ロを準備すること、手順13:ポリオール、水、木炭パウダ、及びクチナシ香料を秤量して混合すること(第二液22を作製すること)、手順14:イソシアネート(第一液21)を秤量すること、手順15:イソシアネートとポリオール混合液とを容器本体11に注入して混合すること、手順16:蓋体12を容器本体11の上に取り付けてクリップ13で固定すること、手順17:発泡体25を脱型し、余剰部分26を切断すること、手順18:整形後の発泡体25(芯材27B)に側生地31B−ロを被せること。
なお、この製造手順書221bにもチェックボックスCBが印刷されている。
【0035】
製造手順書221に記載された製造手順に従って作業を行うことにより、枕30を製造することができる。
図20の製造手順書221aを例に挙げて説明すると、最初に図7に示す枕30Aの発泡容器10Aを準備し、枕30A用の側生地31A−イを準備する。次に、図1(a)にて説明したように、ポリオール、水、火山灰、及びバラ香料を秤量、及び混合して第二液22を作製し、イソシアネートを秤量して第一液21とし、図1(b)に示すように、第一液21と第二液22とを容器本体11Aに注入した後、撹拌棒23によって混合する。第一液21と第二液22の混合により、発泡原液24が作製される。
【0036】
図2(a)(b)にて説明したように、蓋体12Aを容器本体11Aの上に取り付けてクリップ13で固定した状態で静置すると、発泡原液24の反応によって発泡体25Aが生成され、容器本体11A内を満たしてゆく。発泡体25Aの一部は容器本体11Aの開口11bを越えて膨出し、蓋体12の貫通口12aを通じて外表面12c側で硬化する。本実施形態では、容器本体11Aの内部が外部から視認可能であるため、発泡原液24の反応が終了したか否かを、容器本体11Aの外部から視認によって判断できる。
反応の終了後、図3(a)(b)にて説明したように、発泡体25Aを蓋体12Aとともに容器本体11Aの開口11bから容器本体11A外へ抜き出し、発泡体25Aの余剰部分26Aを蓋体12Aの内表面12dに沿って切断する。余剰部分26Aの切断は、例えばカッターによって行われる。余剰部分26Aの切断時において、蓋体12Aの内表面12dをカッターのガイド(案内面)として使用できるため、切断を容易に行うことができる。また、貫通口12aが細長い長方形状であるため、余剰部分26Aと芯材27Aとを貫通口12aの部分で切断した時に切断対象箇所の幅が狭くなり、切断の容易化が図れる。
余剰部分26Aの切断によって芯材27Aを得たならば、芯材27Aに側生地31A−イを被せて収納することにより、枕30Aが完成する。
このように、本実施形態の製造方法によれば、製造手順書221に記載された製造手順に従って作業を行うことにより、芯材27を効率よく製造できる。
【0037】
<変形例について>
図12にて説明したように、前述の実施形態では、製造スペースSP2に設置したビデオカメラ140によって発泡原液24が発泡している様子を撮影し、販売スペースSP1に設置した映像表示装置150によって表示したが、この構成に限定されない。例えば、図22に示すように、販売スペースSP1と製造スペースSP2とを仕切る仕切り壁101に窓102を設け、作業台160を製造スペースSP2内の窓102付近に配置してもよい。このように構成することにより、販売スペースSP1側から窓102を通じて発泡原液24が発泡容器10内で発泡している様子を観察できる。
また、販売スペースSP1と製造スペースSP2との間に仕切り壁101を設けずに、発泡原液24の発泡を直接観察するようにしてもよい。
【0038】
図3(a)にて説明したように、前述した実施形態では、発泡体25の余剰部分26の切断前に、発泡体25を蓋体12とともに開口11bから容器本体11外へ抜き出したが、余剰部分26の切断後に芯材27を容器本体11から取り外してもよい。
図3(b)、及び図4にて説明したように、前述した実施形態では、蓋体12の内表面12dに沿ってカッターを移動させることにより余剰部分26を切断していたが、この方法に限定されない。例えば、蓋体12の外表面12cに沿ってカッターを移動させることにより余剰部分26を切断してもよい。
図7図9、及び図11で説明したように、前述した実施形態では、各蓋体12A乃至12Cに対して細長い長方形状の貫通口12aを形成していたが、貫通口12aはこの形状に限定されない。例えば、円形や正方形の貫通口12aを複数形成してもよい。そして、前述した実施形態のように、貫通口12aを細長い長方形状とすることにより、切断対象となる余剰部分26の幅を狭くできるため、切断作業の容易化が図れる。
図1(a)にて説明したように、前述した実施形態では、イソシアネートからなる第一液21と、ポリオールに、水、機能性粉体、及び水溶性香料を添加した第二液22とを用いたが、この方法に限定されない。例えば、イソシアネートからなる第一液21と、ポリオールと粉体を混合した第二液22と、水に香料を添加した第三液と、を用いてもよい。
【0039】
図6図8、及び図10で説明したように、前述した実施形態では、上面が波形をした枕30A、及び30Bや、扁平な直方体形状の枕30Cを例示したが、他の形状の枕30であっても同様に製造できる。例えば、円柱形状や立方体形状をした枕30であっても同様に製造できる。
また、前述した実施形態ではクッション体として枕30を例示したが、例示した方法によって枕30以外のクッション体も製造できる。例えば、座布団(座面用クッション)、背クッション、肩マクラ等も芯材を店舗内で発泡させることによって製造できる。なお、枕30以外のクッション体を製造する場合には、各クッション体に適した形状の発泡容器を用いると共に、側生地を用意すればよい。
【0040】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第一の実施態様>
本態様に係る芯材の製造方法は、一端に開口11bを有する有底中空形状であって内部が視認可能な容器本体11の前記開口11bを、当該開口11bよりも開口面積が小さい余剰材料流出用の貫通口12aを形成した蓋体12によって開閉自在に閉止した状態で、容器本体11内においてイソシアネートからなる第一液21とポリオールを含む第二液22とを反応させて発泡体25を得る反応ステップ(図1及び図2)と、反応ステップ中に容器本体11の開口11bを越えて貫通口12aを通じて蓋体12の外表面12c側に膨出して硬化した発泡体25の余剰部分26を、蓋体12の内表面12dに沿って切断して芯材27を得る切断ステップ(図3(b)及び図4)と、を備えることを特徴とする。
本態様に係る芯材の製造方法によれば、反応ステップにおいて、内部が視認可能な容器本体11内で第一液21と第二液22とを反応させているため、目視によって反応の終了を判断できる。また、蓋体12に形成した貫通口12aを通じて発泡体25の余剰部分26を蓋体12の外表面12c側へ流出させているため、発泡体25によって発泡容器10内を満たすことができ、且つ発泡体25を所望の硬さにすることができる。さらに、貫通口12aによって余剰部分26の切断箇所を限定できるため、この点でも切断作業の容易化が図れる。
従って、クッション体の芯材27を店舗内において容易に製造できるようになる。
【0041】
<第二の実施態様>
本態様に係る芯材の製造方法は、蓋体12が、細長い形状の貫通口12aを備えた板形状であることを特徴とする。
本態様に係る芯材の製造方法によれば、切断ステップにおいて、発泡体25の余剰部分26を容易に切断できる。
【0042】
<第三の実施態様>
本態様に係る芯材の製造方法は、反応ステップと切断ステップとの間に、発泡体25を蓋体12とともに開口11bから容器本体11外へ抜き出す離型ステップ(図3(a))を備えることを特徴とする。
本態様に係る芯材の製造方法によれば、発泡体25を抜き出す時において、蓋体12を把手として使用することができ、発泡体25を容器本体11から容易に抜き出すことができる。
【0043】
<第四の実施態様>
本態様に係る芯材の製造方法において、反応ステップでは、容器本体11内の第一液21と第二液22とによる反応の様子を映像撮影手段(ビデオカメラ140)によって撮影するとともに、映像撮影手段によって撮影された映像を反応の影響を受けない場所に設置された映像表示手段(映像表示装置150)によって表示することを特徴とする。
本態様に係る芯材の製造方法によれば、発泡容器10内における第一液21と第二液22との反応を、反応の影響を受けない場所で観察することができる。
【0044】
<第五の実施態様>
本態様に係る芯材の製造方法において、第二液22には、多孔質の粉体が分散されていることを特徴とする。
本態様に係る芯材の製造方法によれば、第二液22に多孔質の粉体が分散されているため、粉体を第一液21、及び第二液22とは別に加えた時と比較して作業性が向上し、且つ粉体を発泡体25(芯材27)の全体に分散させやすくなる。
【0045】
<第六の実施態様>
本態様に係る芯材の製造方法において、第二液22は、水溶性の香料を含むことを特徴とする。
本態様に係る芯材の製造方法によれば、第二液22が水溶性の香料を含んでいるため、香料を第一液21、及び第二液22とは別に加えた時と比較して作業性が向上する。
【0046】
<第七の実施態様>
本態様に係るクッション体の製造方法は、上述した何れか一態様の芯材27の製造方法によって製造された芯材27を、側生地31内に収納する収納ステップ(図5)を備えることを特徴とする。
本態様に係るクッション体の製造方法によれば、クッション体を店舗内において容易に製造できるようになる。
【符号の説明】
【0047】
10(10A、10B、10C)…発泡容器、11(11A、11B、11C)…容器本体、11b…開口、11c…フランジ、11d…空所、12(12A、12B、12C)…蓋体、12a…貫通口、12c…外表面、12d…内表面、21…第一液、22…第二液、24…発泡原液、25…発泡体、26…余剰部分、27(27A、27B、27C)…芯材、30(30A、30B、30C)…枕、31…側生地、110…情報入力端末、120…制御装置、130…印刷装置、140…ビデオカメラ、150…映像表示装置
【要約】
【課題】クッション体に用いる芯材を店舗内において容易に製造できるようにする。
【解決手段】
一端に開口11bを有する有底中空形状であって内部が視認可能な容器本体11の開口11bを、余剰材料流出用の貫通口12bを備えた蓋体12により閉止した状態で、容器本体11内においてイソシアネートからなる第一液とポリオールを含む第二液とを反応させて発泡体を得る反応ステップと、反応ステップ中に容器本体11の開口11bを越えて膨出して硬化した発泡体25の余剰部分26を切断して芯材を得る切断ステップと、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22