特許第6656648号(P6656648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656648信号生成方法、信号送信装置、信号受信装置、信号送受信システム、プログラム及びそれを記録した記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6656648
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】信号生成方法、信号送信装置、信号受信装置、信号送受信システム、プログラム及びそれを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04B 14/00 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   H04B14/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-189508(P2019-189508)
(22)【出願日】2019年10月16日
【審査請求日】2019年10月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518356844
【氏名又は名称】neten株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】七沢 賢治
(72)【発明者】
【氏名】七沢 智樹
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−256303(JP,A)
【文献】 特開昭56−25800(JP,A)
【文献】 特開平3−191638(JP,A)
【文献】 特開2015−19264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 14/00 − 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の信号生成方法において、
生成した上記非周期の連続信号の送信速度を任意の送信速度に変更して送信する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の信号生成方法において、
送信対象の情報群は、言語情報であり、
上記言語情報を上記予め定めた構成要素である、子音と母音に分割し、
上記子音及び母音にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の信号生成方法において、
受信装置において、上記非周期の連続信号を受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、
上記アナログ波形の基本周期から上記予め定めた構成要素に復号し、
上記予め定めた構成要素を並べ、上記送信対象の情報群を再現する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の信号生成方法において、
送信対象の情報群を上記非周期の連続信号を生成した状態でサーバに保管し、
上記サーバから上記非周期の連続信号を上記受信装置に自動又は手動で発信し、
上記受信装置が自動又は手動で受信する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つに記載の信号生成方法において、
上記非周期の連続信号を電源線の電気に重畳する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の信号生成方法において、
上記非周期の連続信号が重畳された電気が通る電源線に接続された受信装置で上記送信対象の情報群を再現する
ことを特徴とする信号生成方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1つに記載の信号生成方法によって生成した上記非周期の連続信号の送信速度を任意の送信速度に変更して送信するように構成されている
ことを特徴とする信号送信装置。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1つに記載の信号生成方法で生成した上記非周期の連続信号を受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、
上記アナログ波形の基本周期から上記予め定めた構成要素に復号し、
上記予め定めた構成要素を並べ、上記送信対象の情報群を再現するように構成されている
ことを特徴とする信号受信装置。
【請求項10】
送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成して保管し、該非周期の連続信号を自動又は手動で発信する送信側サーバと、
上記送信側サーバから発信した信号を自動又は手動で受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、
上記アナログ波形の基本周期から上記予め定めた構成要素に復号し、
上記予め定めた構成要素を並べ、上記送信対象の情報群を再現する受信側サーバとを備えている
ことを特徴とする信号送受信システム。
【請求項11】
コンピュータによって、
入力された送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する
ためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータによって、
入力された送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する
ためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非周期の連続信号を生成する信号生成方法、信号送信装置、信号受信装置、信号送受信システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報を信号化して伝達する方法はいくつもある。
【0003】
例えば、言語をツーとトンによる信号に変換する方法としてモールス信号が知られている。これは、言語をビット情報に変更する方法である。
【0004】
また、パケット通信は、情報をビットデータに変換し、通信を行うものであるため、通信の情報は、その信号自体に意味があるというものではなく、いったん、「0/1」のビット情報に変換される。このため、デジタルデータとして保管される。
【0005】
また、言語を信号化する方法としては、例えば、特許文献1のように、各矩形は音節又は音素を示し、矩形と矩形の間の空白は無音部分を示し、矩形の横幅は、音節の発音時間に対応させる母音素符号変換装置は知られている。音節の発音時間は、基本的な母音、子音の発音時間を単位区間として設定し、他の分類の音節についても、この単位区間を基準にして定められている。基本的に全ての音素の間には単位区間分の無音区間が設定される。1つの母音の音素符号は、13個の音節符号の各音高におけるエネルギー総和値同士を乗算することにより決定され、1つの子音の音素符号は一部の例外を除き5個の各音高におけるエネルギー総和値同士を乗算することにより決定される。
【0006】
また、特許文献2のように、送信側にはマイクロホン、音声分析器、アナログ−デジタル変換器、デジタル符号信号送信機が設けられ、受信側には符号認識回路、デジタル−アナログ変換器、合成音発生器(受話器、スピーカ)が設けられた会話送受信方式が知られている。この方式では、個々の音節の音を符号化して区分しておき、会話の各音節に付随する各音の長短、強弱、高低等を検出してそれぞれ符号化信号に変換し、この音節符号信号及び音節付随信号を1つの音声符号化エレメント信号として順次送信し、受信側でアナログ信号に変換し会話音に復元する。
【0007】
さらに、特許文献3のような送信器と受信器との間で通信する方法が知られている。この方法は、符号化アルファベットの情報文字に対応するアナログ波形を生成する工程を含む。この波形はシンボルを規定し、シンボル速度が周期的である。このシンボルに一致する波形によって特徴づけられるソース信号を通信チャネルを介して送信器から受信器へと送信して、受信信号を生成する。通信チャネルは、雑音を含むチャネル特性を有し、受信器において、受信信号からパルス群形式の情報を抽出する。パルスは、個別のパルス間の時間よりも長い任意の継続時間の長い停止によって切り離され、各パルス群内のパルスの数は、シンボルによって表される情報文字のうちの1つに対応し、パルスは、シンボルの周波数よりも高いパルス速度を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5360489号公報
【特許文献2】特昭59−36434号公報
【特許文献3】特表2003−513521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の母音素符号変換装置では、音節の発音時間が母音と子音とで異なるだけで、その単位区間がわかったとしても元の母音及び子音が何なのかわからず、1つの音を伝達するのに、さらに追加の情報を付加する必要があって効率的とは言えない。
【0010】
特許文献2の会話送受信方式では、8ビット程度のデジタル信号で音節の音を表示できるが、音の強弱、音色などの付加情報もそれぞれ2進符号として付加されるので、情報の1つの構成要素を表現するための情報量が多くなる。
【0011】
特許文献3の通信方法では、任意のアナログ波形のシンボルが送信器によって符号化されるが、このシンボルを送信器によって符号化する際に、1及び0などのバイナリセットが用いられる。そうすると、情報の1つの構成要素を表現するための情報量が多くなる。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送信対象の情報群をできるだけ少ない情報量で送信できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する構成とする。
【0014】
上記の構成によると、送信対象の情報群を、予め定めた構成要素に分割し、その構成要素に基本周期(周期信号の1周期、タイムコード)をそれぞれ当てはめることで、時間軸に展開することが可能になる。つまり、情報の違いを時間の長さのみを使って相対的に表現する。アナログ波形が例えばパルス波である場合、デジタルではなく、最小限のパルス数で情報を伝えることができる。非周期の連続信号は、非周期信号が連続した信号であり、非周期信号とは、特定の時間間隔の後にそれ自身を繰り返さない信号である。
【0015】
第2の発明では、第1の発明において、
生成した上記非周期の連続信号の送信速度を任意の送信速度に変更して送信する構成とする。
【0016】
上記の構成によると、予め定めた構成要素ごとに対応する基本周期が割り当てられるので、この割り当てられた基本周期の比率さえ保たれていれば、信号として成り立つので、任意の速度に変更しても、その信号を維持でき、受信時には、送信対象の情報群を確実に再現することができる。これにより、単位時間あたりの情報量を容易に最大化することができる。
【0017】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
送信対象の情報群は、言語情報であり、
言語情報を上記予め定めた構成要素である、子音と母音に分割し、
上記子音及び母音にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する構成とする。
【0018】
世界中のあらゆる言語は、子音と母音からなる音素によってできていることから、世界中のあらゆる言語を用いた言語情報は、予め定めた構成要素である子音と母音に分割できる。このため、上記の構成によると、分割された子音及び母音にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成することができるので、言語情報を最小限の数のアナログ波で伝えることができる。
【0019】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
受信装置において、上記非周期の連続信号を受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、
上記アナログ波形の基本周期から上記予め定めた構成要素に復号し、
上記予め定めた構成要素を並べ、上記送信対象の情報群を再現する構成とする。
【0020】
上記の構成によると、受信装置において、送信されてきた非周期の連続信号をアナログ波形に分割して復号すればいい。このため、予め定めた構成要素及び対応する基本周期を知らない限り、正確に復号はできないことから、暗号化技術としても採用できる。
【0021】
第5の発明では、第4の発明において、
送信対象の情報群を上記非周期の連続信号を生成した状態でサーバに保管し、
上記サーバから上記非周期の連続信号を上記受信装置に自動又は手動で発信し、
上記受信装置が自動又は手動で受信する構成とする。
【0022】
上記の構成によると、サーバに非周期の連続信号に変換したデータを保管しておけば、適宜自動又は手動で発信し、受信装置側でも自動又は手動で受信することができる。このため、送信したい情報群の一斉発信や一斉受信も可能となる。
【0023】
第6の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記非周期の連続信号を電源線の電気に重畳する構成とする。
【0024】
上記の構成によると、電源線を通る電気に重畳しても、非周期の連続信号のアナログ波形の周期は保たれる。このため、既存の電源線を利用して信号の送信を行えるので、別途伝送系統を整備する必要がなく便利である。
【0025】
第7の発明では、第6の発明において、
上記非周期の連続信号が重畳された電気が通る電源線に接続された受信装置で上記送信対象の情報群を再現する構成とする。
【0026】
上記の構成によると、電源線から電気を取り出したときに、非周期の連続信号のアナログ波形の周期は保たれるので、復号も容易である。このため、既存の電源線を利用して信号の送受信を行えるので便利である。
【0027】
第8の発明の送信装置は、第1から第5のいずれか1つの発明の信号生成方法によって生成した上記非周期の連続信号の送信速度を任意の送信速度に変更して送信するように構成されている。
【0028】
上記の構成によると、割り当てられた基本周期の比率が保たれた状態で送信できるので、任意の速度に変更しても、その信号を維持できる。これにより、単位時間あたりの情報量を容易に最大化することができる。
【0029】
第9の発明の信号受信装置は、第1から第3のいずれか1つの発明の信号生成方法で生成した上記非周期の連続信号を受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、
上記アナログ波形の基本周期から上記予め定めた構成要素に復号し、
上記予め定めた構成要素を並べ、上記送信対象の情報群を再現するように構成されている。
【0030】
上記の構成によると、送信されてきた非周期の連続信号を受信装置においてアナログ波形に分割して復号すればいい。このため、予め定めた構成要素及び対応する基本周期を知らない限り、復号はできないことから、暗号化技術としても採用できる。
【0031】
第10の発明の信号送受信システムは、
送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成して保管し、該非周期の連続信号を自動又は手動で発信する送信側サーバと、
上記送信側サーバから発信した信号を自動又は手動で受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、
上記アナログ波形の基本周期から上記予め定めた構成要素に復号し、
上記予め定めた構成要素を並べ、上記送信対象の情報群を再現する受信側サーバとを備えている構成とする。
【0032】
上記の構成によると、送信対象の情報群が、非周期の連続信号として保存され、自動又は手動で送信され、自動又は手動で受信される。このため、定期的に又は適宜情報を入手したい受信者のために有益な情報をできるだけ少ない情報量で送信できる。
【0033】
第11の発明は、
コンピュータによって、
入力された送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する
ためのプログラムに関する。
【0034】
第12の発明は、
コンピュータによって、
入力された送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、
上記予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、
上記別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する
ためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、送信対象の情報群をできるだけ少ない情報量で送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施形態1に係る基準時間と基準周波数の割り当て例を示す説明図である。
図2】非周期の連続信号を説明するための図であり、(a)がタイムコード(時間の帯)で、(b)がサイン波で、(c)がパルス波である。
図3】送信装置を示すブロック図である。
図4】受信装置を示すブロック図である。
図5】実施形態2に係る送信側サーバを示すブロック図である。
図6】実施形態2に係る受信側サーバを示すブロック図である。
図7】実施形態2に係る送信側サーバ側の工程を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る受信側サーバ側の工程を示すフローチャートである。
図9】その他の実施形態に係る、電気に重畳する場合の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
まず、図1を用いて本発明の実施形態1の信号生成方法の概念について説明する。
【0039】
この信号生成方法は、まず、送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割する。送信対象の情報群が言語情報である場合には、言語情報を予め定めた構成要素である、子音と母音に分割する。なお、以下、説明の容易化のために、送信対象の情報群が、言語情報の例について説明するが、送信対象の情報群は、言語情報に限定されない。
【0040】
具体的には、図1に示すような、「そら」という言語情報がある場合、子音である「S」「L」と、母音である「お」「あ」とに分割する。
【0041】
次いで、予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当てる。図1の言語情報の場合には、子音及び母音にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当てる。詳細は後述するが、例えば、予め定めた規則に則り、「S」に0.028秒、「お」に0.15秒、「L」に0.02秒、「あ」に0.1秒が割り当てられる。
【0042】
そして、図1に示すように、それぞれ割り当てられた別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する。非周期の連続信号は、非周期信号が連続した信号であり、非周期信号とは、特定の時間間隔の後にそれ自身を繰り返さない信号である。この場合、全体で0.298秒で「そら」についての言語情報を非周期の連続信号として発信することができる。言い換えれば、非周期の連続信号は、各音素の時間を帯で表す、連続したタイムコードの形で発信される。
【0043】
世界中のあらゆる言語は、子音と母音からなる音素によってできていることから、世界中のあらゆる言語を用いた言語情報は、予め定めた構成要素である子音と母音に分割できる。このため、本実施形態では、分割された子音及び母音にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成することができるので、言語情報を最小限のアナログ波の数で伝えることができる。
【0044】
そして、図2(a)に示すようにタイムコードで表された非周期の連続信号は、図2(b)のようなアナログ波としてのサイン波が連続した信号であったり、図2(c)のようなアナログ波としてのパルス波が連続した信号であったりしてもよく、アナログ波の種類は特に限定されない。
【0045】
このように本実施形態では、送信対象の情報群を、分割した構成要素に基本周期をそれぞれ当てはめることで、時間軸に展開することが可能になる。アナログ波形が図2(c)のようなパルス波である場合、デジタルではなく、最小限のパルス数で情報を伝えることができる。図2(b)のようなサイン波の場合も、最小限の数のサイン波で情報を伝えることができる。
【0046】
そして、この生成した非周期の連続信号は、送信時に、送信速度を任意の送信速度に変更して送信することができる。本実施形態では、予め定めた構成要素ごとに対応する基本周期が割り当てられるので、この割り当てられた基本周期(タイムコード:時間の長さ)の比率さえ保たれていれば、信号として成り立つ。このため、任意の速度に変更しても、その信号を維持でき、受信時には、送信対象の情報群を確実に再現することができる。これにより、単位時間あたりの情報量を容易に最大化することができる。
【0047】
例えば、言語情報であれば、この送信方法で、1秒あたり1万字の情報発信が可能であることがわかっている。この技術を使用すれば、将来的には、1秒あたり10万字の情報発信も可能となると考えられる。
【0048】
次いで、図3及び図4を用いて、本実施形態の信号生成方法を実現するための装置構成について説明する。
【0049】
図3に示す送信側の送信装置1について説明する。
【0050】
例えば、この送信装置1は、例えば、PC、スマートフォン、タブレットなどのコンピュータであり、キーボード、タッチパネル等の入力回路2と、CPUなどのエンコーダ部としての信号生成回路3とを備えている。図示しないストレージなどの記憶装置には、変換テーブル4が予め保存されている。この変換テーブル4は、予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期(タイムコード)を割り当てたものであり、例えば、言語情報の場合には、子音及び母音にそれぞれ対応する別々の基本周期が割り当てられたものである。上述したように、世界中のあらゆる言語は、子音と母音からなる音素によってできていることから、世界中のあらゆる言語を用いた言語情報は、この変換テーブル4によって変換することが可能である。コンピュータには、「入力された送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、この予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、これら別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成するためのプログラム」をインストールしておけばよい。図1に示した「そら」という言語情報の場合、まず、子音である「S」「L」と母音である「お」「あ」とに分割され、次いで、変換テーブル4にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当てる。例えば、上述したように、「S」に0.028秒、「お」0.15秒、「L」に0.02秒、「あ」に0.1秒が割り当てられる。
【0051】
信号生成回路3において、変換された別々の基本周期を有するアナログ波形は、1周期ずつ連続して並べられ、図1の右上に示した非周期の連続信号が生成される。そして、図1の下に示したような連続するタイムコードになる。図2で説明すると、図2(b)、図2(c)のような非周期の連続信号が生成され、この非周期の連続信号は、図2(a)の示すような連続するタイムコードの形で保存できる。
【0052】
出力回路5は、このタイムコードを伝送系統6に出力する。出力の方法は、特に限定されず、例えば、タイムコードのデータをメモリーカードなどの記憶媒体に書き込んでもよいし、タイムコードデータをメールで送信してもよい。コンピュータが通信機能が有していれば、コンピュータの無線通信機能を利用して送信してもよい。後述するように、電源線に連続したアナログ波形の状態で電気に重畳させてもよい。
【0053】
詳しくは図示しないが、場合によっては、伝送系統6として、生成された非周期の連続信号を、送信装置に接続された、隣り合う導線に逆方向の電流が流れるコイルから発信してもよい。この場合、全体として磁場を打ち消し合う構造となったコイルから生成された非周期の連続信号が極力低いレベルではあるが、波紋のように広がる。
【0054】
次いで、受信側の受信装置11について説明する。
【0055】
例えば、受信装置11としてのコンピュータは、伝送系統6を介して送信されてきた非周期の連続信号を受信し、入力回路12に入力する。図1の例では、タイムコードの形で入力される。
【0056】
次いで、この非周期の連続信号を、CPUなどのデコーダとしての復号回路13で別々の基本周期を有するアナログ波形に分割する。図1の例で言えば、左上の4つのサイン波に分割される。
【0057】
次いで、復号回路13は、上記変換テーブル4に対応した逆変換テーブル14を用い、対応するアナログ波形の基本周期から予め定めた構成要素に復号する。図1の例で言えば、それぞれの基本周期0.028秒、0.15秒、0.02秒、0.1秒のそれぞれに対応する子音又は母音を逆変換テーブル14から割り当てる。受信装置11には、予め「非周期の連続信号を受信し、該非周期の連続信号を別々の基本周期を有するアナログ波形に分割し、アナログ波形の基本周期から予め定めた構成要素に復号し、予め定めた構成要素を並べ、送信対象の情報群を再現する」ためのプログラムがインストールされており、逆変換テーブル14も記憶装置に記憶されている。
【0058】
次いで、復号回路13は、予め定めた構成要素を並べ、送信対象の情報群を再現し、表示再生回路15にて再生する。図1の例では、「S」「お」「L」「あ」を順番通りに並べ、「そら」に復号され、それを表示又は再生する。
【0059】
このように、本実施形態では、受信装置11において、送信されてきた非周期の連続信号をアナログ波形に分割して復号すればいい。このため、予め定めた構成要素及び対応する基本周期を知らない限り、復号はできないことから、暗号化技術としても採用できる。
【0060】
なお、送信装置1は、上記信号生成方法によって生成した非周期の連続信号の送信速度を任意の送信速度に変更して送信するように構成されていてもよい。例えば、100倍速で送信する場合には、「そら」の言語信号は、わずか0.00298秒の長さですむ。この場合、割り当てられた基本周期の比率が保たれた状態で信号を送信できるので、任意の速度に変更しても、その信号を維持できる。これにより、単位時間あたりの情報量を容易に最大化することができる。
【0061】
受信の際には、100倍速であっても、基本周期の比率が保たれているので、100倍速であるということが認識できれば、逆変換テーブル14で変換する際に、それぞれ変換が可能である。
【0062】
したがって、本実施形態に係る信号生成方法によると、送信対象の情報群をできるだけ少ない情報量で送信できる。
【0063】
(実施形態2)
図5及び図6は本発明の実施形態2に係る信号送受信システムの概要を示し、特にサーバを利用している点で実施形態1と異なる。なお、以下の各実施形態では、図1図4と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態の送信側サーバ101は、入力回路102から送られてきた送信対象の情報群を受け入れるI/O(入出力)制御部106と、システムコントロール(CPU)107とストレージ108とを備えている。入力回路102は、例えば、PCなどのコンピュータで、ユーザが送信対象の情報群をそのキーボード等から入力する。入力回路としては、スマートフォンなどの携帯通信機器でもよい。この入力回路102からI/O制御部106を介して入力された送信対象の情報群は、エンコーダ部としての信号生成回路103で、予め定めた構成要素に分割され、変換テーブル104の予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を参照して割り当てられ、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べられ、非周期の連続信号が生成されるように構成されている。例えば、信号生成のためのプログラムや変換テーブル104は、HDD、SDDなどのストレージ108に記憶されている。
【0065】
この生成された非周期の連続信号は、I/O制御部106を通じて変調回路105に送られ、伝送系統109に送信されるようになっている。伝送系統109は、例えば、LANシステムである。
【0066】
また、本実施形態の受信側サーバ111は、伝送系統109から送られてきた信号を受け入れる復調回路112を備えている。この復調回路112は、LANの入出力時にベースバンド変調/復調を行うものである。受信側サーバ111は、この復調回路112を通った信号を受け入れるI/O(入出力)制御部116と、システムコントロール(CPU)117と、HDD、SDDなどのストレージ118とを備えている。復調回路112からI/O制御部116を介して入力された非周期の連続信号は、デコーダ部としての復号回路113で、別々の基本周期を有するアナログ波形に分割され、逆変換テーブル114を参照してアナログ波形の基本周期から予め定めた構成要素に復号される。復号のためのプログラムは、ストレージ118に記憶されている。復号された情報群は、I/O制御部116を介して出力回路119に送信され、表示再生回路115にて表示又は再生されるようになっている。
【0067】
次いで、図7及び図8を用いて送信対象の情報群の流れについて説明すると、ステップS01において、入力回路102から送信対象の情報群を入力する。
【0068】
入力された情報は、ステップS02において、I/O制御部106を通ってストレージ108にファイルとして保存される。
【0069】
次いで、ステップS03において、自動で又は手動で、送信したい情報のファイルが指定される。すると、ストレージ108から指定されたファイルが読み出される。
【0070】
次いで、ステップS04において、システムコントロール107が信号生成回路103を用いてそのファイル内の情報の信号変換を行う。具体的には、信号生成回路103で、送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割して変換テーブル104の予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を参照し、割り当て、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する。
【0071】
次いでステップS05において、生成された連続信号は、いったん変換ファイルとしてストレージ108に保存される。
【0072】
次いで、ステップS06において、自動で又は手動で、ストレージ108に保存された変換ファイルが選択され、I/O制御部106、変調回路105を介してLANなどの伝送系統109に送信される。
【0073】
伝送系統109によって送信されてきた信号は、図8に示すように、受信側サーバ111で自動又は手動で受信される。
【0074】
具体的には、ステップS11において、非周期の連続信号よりなる変換ファイルが受信される。受信された変換ファイルは、復調回路112でベースバンド変調/復調を行ってI/O制御部116を通り、ステップS12において、ストレージ118にファイルとして保存される。
【0075】
次いで、ステップS13において、自動又は手動で、受信されたファイルが指定される。
【0076】
次いで、ステップS14において、ファイル内の情報が復号される。つまり、この非周期の連続信号は、復号回路113で、別々の基本周期を有するアナログ波形に分割され、逆変換テーブル114を参照してアナログ波形の基本周期から予め定めた構成要素に復号される。
【0077】
ステップS15において、復号された情報は、いったんストレージ118に復号ファイルとして保存される。
【0078】
次いで、ステップS16において、自動で又は手動で、ストレージ118に保存された復号ファイルが選択され、I/O制御部116、出力回路119を介して表示再生回路115において、表示又は再生される。
【0079】
このように本実施形態では、送信側サーバ101に非周期の連続信号に変換したデータを保管しておけば、適宜自動又は手動で発信し、受信側サーバ111側でも自動又は手動で受信することができる。このため、送信したい情報群の一斉発信や一斉受信も可能となる。
【0080】
したがって、本実施形態に係る信号送受信システムによると、送信対象の情報群が、非周期の連続信号として保存され、自動又は手動で送信され、自動又は手動で受信される。このため、定期的に又は適宜情報を入手したい受信者のために有益な情報をできるだけ少ない情報量で送信できる。
【0081】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0082】
すなわち、図9に示すように、非周期の連続信号201を電源線205を通る電気202に重畳する構成としてもよい。そして、非周期の連続信号201が重畳された電気が通る電源線205に接続された受信装置210で送信対象の情報群を再現するようにしてもよい。具体的には、図9に示すように、実施形態1において非周期の連続信号201は、例えば、家庭用電気(例えば50Hz、100V)の交流電気のサイン波上にパソコン、マイコン等で制御される信号重畳回路203を用いて重畳される。電気202と非周期の連続信号201が重畳された波は、100Vの交流電気として電源線205内を進む。そして、コンセント206にプラグ207を差し込んだPCなどの受信装置210に受信される。つまり、プラグ207を通して供給される電気は、フィルター208を通して100Vの交流電気から非周期の連続信号201が取り出され、復号回路209で上記実施形態1と同様に復号される。フィルター208及び復号回路209は、受信装置210が備えていてもよい。そして、受信装置210の記憶装置に記憶され、適宜表示又は再生される。この場合、電源線205から電気を取り出したときに、非周期の連続信号のアナログ波形の周期は保たれるので、復号も容易である。このため、既存の電源線205を利用して信号の送受信を行えるので、別途伝送系統を整備する必要がなく便利である。このように、非周期の連続信号201は、電波、電気、音や振動、などあらゆる「波」に重畳させることが可能となる。
【0083】
なお、送信対象の情報群は、言語情報に限定されず、コンピュータの「0/1」のビットという最小構成要素からなる情報群に対して、例えば、「0」を0.10秒、「1」を0.11秒(この場合、1秒と5秒、10秒と20秒など、割り当てる時間は、何でもよい)に変換することによってビットに対応したタイムコードを生成してもよい。
【0084】
上記各実施形態では、アナログ波形は、図2(a)や図2(b)に示すようなサイン波やパルス波としたが、三角波や鋸歯状波でもよい。
【0085】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 送信装置
2 入力回路
3 信号生成回路
4 変換テーブル
5 出力回路
6 伝送系統
11 受信装置
12 入力回路
13 復号回路
14 逆変換テーブル
15 表示再生回路
101 送信側サーバ
102 入力回路
103 信号生成回路
104 変換テーブル
105 変調回路
106 I/O制御部
107 システムコントロール(CPU)
108 ストレージ
109 伝送系統
111 受信側サーバ
112 復調回路
113 復号回路
114 逆変換テーブル
115 表示再生回路
116 I/O制御部
117 システムコントロールCPU
118 ストレージ
119 出力回路
201 非周期の連続信号
202 電気
203 信号重畳回路
205 電源線
206 コンセント
207 プラグ
208 フィルター
209 復号回路
210 受信装置
【要約】
【課題】送信対象の情報群をできるだけ少ない情報量で送信できるようにする。
【解決手段】送信対象の情報群を予め定めた構成要素に分割し、予め定めた構成要素にそれぞれ対応する別々の基本周期を割り当て、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べ、非周期の連続信号を生成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9