特許第6656680号(P6656680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656680
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】点灯装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/615 20160101AFI20200220BHJP
   E01F 9/654 20160101ALI20200220BHJP
   E01F 9/677 20160101ALI20200220BHJP
   E01F 9/681 20160101ALI20200220BHJP
   F21S 9/03 20060101ALI20200220BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20200220BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20200220BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20200220BHJP
   H05B 45/00 20200101ALI20200220BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20200220BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200220BHJP
【FI】
   E01F9/615
   E01F9/654
   E01F9/677
   E01F9/681
   F21S9/03
   F21V9/30
   F21V23/00 113
   F21V23/00 115
   F21V23/00 140
   H05B37/02 M
   H05B37/02 J
   F21Y113:13
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-60048(P2019-60048)
(22)【出願日】2019年3月27日
(65)【公開番号】特開2019-194426(P2019-194426A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2018-88114(P2018-88114)
(32)【優先日】2018年5月1日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)試験 〔試験日〕 平成30年4月18日〜現在 〔試験場所〕 国道13号(秋田県大仙市協和上淀川字川又地内) (2)試験 〔試験日〕 平成30年11月15日〜現在 〔試験場所〕 仙北市西木105号(秋田県仙北市西明寺地区) (3)試験 〔試験日〕 平成31年1月12日〜現在 〔試験場所〕 国道13号(秋田県大仙市協和船岡地内) (4)試験 〔試験日〕 平成31年3月13日〜現在 〔試験場所〕 国道7号(秋田県南秋田郡八郎潟町真坂地区) (5)配布 〔配布日〕 平成31年2月1日 〔配布場所〕 国土交通省大曲国道維持出張所(秋田県大仙市飯田字大道端128) (6)配布 〔配布日〕 平成31年2月1日 〔配布場所〕 国土交通省秋田国道維持出張所(秋田県秋田市泉字登木73−3) (7)配布 〔配布日〕 平成31年2月7日 〔配布場所〕 佐竹のりひさ後援会事務所(秋田市山王3丁目1−7) (8)配布 〔配布日〕 平成31年2月12日 〔配布場所〕 秋田県警察西木駐在所(秋田県仙北市西木町上荒井字田屋79−1) (9)配布 〔配布日〕 平成31年2月26日 〔配布場所〕 大仙市役所建設部道路河川課(秋田県大仙市大曲日の出町2丁目8−4) (10)配布 〔配布日〕 平成31年2月27日 〔配布場所〕 大曲商工会議所(秋田県大仙市大曲通町1番13号) (11)配布 〔配布日〕 平成31年3月1日 〔配布場所〕 秋田市役所建設部道路維持課及び総務部防災安全対策課(秋田県秋田市山王一丁目1番1号) (12)配布 〔配布日〕 平成31年3月4日 〔配布場所〕 秋田市役所上下水道局(秋田県秋田市川尻みよし町14−8) (13)ウェブサイト 〔掲載日〕 平成31年2月15日 〔アドレス〕 https://www.youtube.com/watch?v=Nyng0ulmxhc (14)販売 〔販売日〕 平成31年 3月12日 〔販売場所〕 国土交通省秋田河川国道事務所(秋田県秋田市山王1丁目10−29) (15)販売 〔販売日〕 平成31年 3月22日 〔販売場所〕 国土交通省湯沢河川国道事務所(秋田県湯沢市関口字上寺沢64番地の2号) (16)販売 〔販売日〕 平成31年 3月28日 〔販売場所〕 秋田県(秋田県秋田市山王4丁目1番1号)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515335286
【氏名又は名称】株式会社秋豊ネットライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】西村 弘美
(72)【発明者】
【氏名】今野 博喜
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−053212(JP,A)
【文献】 特開平09−320315(JP,A)
【文献】 特開平09−092015(JP,A)
【文献】 特開2011−113745(JP,A)
【文献】 特開2001−076514(JP,A)
【文献】 特開2016−225067(JP,A)
【文献】 特開2007−026962(JP,A)
【文献】 特開2002−016279(JP,A)
【文献】 特開2009−231091(JP,A)
【文献】 特開2008−226769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/03
E01F 9/00
F21V 23/00
H05B 45/00
H05B 47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体の外面に配置されるソーラーパネルと、前記ソーラーパネルから供給される電気エネルギーを蓄積する蓄電池と、前記蓄電池の電力によって発光する第1発光体と、前記蓄電池の充放電制御及び前記第1発光体の点灯制御を行う制御部と、を備える点灯装置であって、
前記ソーラーパネルは、前記装置本体の外周側に連続的又は間欠的に環状に配置され、
前記蓄電池、前記第1発光体及び前記制御部は、前記装置本体内部に位置し、
前記装置本体は、筒部及び前記筒部の一端に位置するとともに光透過性を有する透光部を備え、
前記透光部は、蓄光材入り材料によって形成され、太陽光又は前記第1発光体の発光により蓄光可能であり、
前記第1発光体が点灯しているときには、前記蓄光材が蓄光するとともに当該第1発光体から照射された照射光の少なくとも一部が前記透光部を透過することによって前記透光部全体が発光し、
前記第1発光体が消灯しているときには、前記蓄光材の発光によって前記透光部全体が発光し、
前記制御部は、予め定められる点灯条件を満たす場合、前記第1発光体が点灯状態と消灯状態を交互に繰り返すように制御し、前記点灯状態では、前記第1発光体の明るさを徐々に強くさせ、明るさがピークの状態から急激にゼロになるように制御する
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記透光部の発光の色は、前記第1発光体の点灯時と、前記第1発光体の消灯時とで異なる
ことを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記第1発光体の点灯時には、前記第1発光体の有する励起光と前記透光部の有する色素とが合いまった色調が視認され、前記第1発光体の消灯時には前記蓄光材の蓄光の色調が視認される
ことを特徴とする請求項2記載の点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄電池の電力を利用して発光体を点灯する点灯装置であって、発光体の点灯によって蓄光される蓄光材をさらに有する点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外観ケースの内側にLEDランプを設置し、LEDランプにはソーラーパネルから電力が供給される点灯装置が知られる(特許文献1参照)。外観ケースは蓄光プラスチックで構成され、日中は太陽光によって蓄光し、夜間はLEDランプの励起光により蓄光する。夜間も蓄光することができるので、蓄光プラスチックによる発光の減衰を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−32959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の点灯装置において、ソーラーパネルは装置の上面に一枚だけ取り付けられている。このようなソーラーパネルでは蓄電量が十分に得られず、夜間中LEDランプを点灯させることは困難である。また、太陽光入射角に合わせてソーラーパネルを水平に近い角度で設置した場合、降雪地ではソーラーパネルに雪が積もってしまい、蓄電効率が低下するという問題もある。
【0005】
この発明は、降雪地及び夜間でも発光体を点灯させることができる点灯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、装置本体と、前記装置本体の外面に配置されるソーラーパネルと、前記ソーラーパネルから供給される電気エネルギーを蓄積する蓄電池と、前記蓄電池の電力によって発光する第1発光体と、前記蓄電池の充放電制御及び前記第1発光体の点灯制御を行う制御部と、を備える点灯装置であって、前記ソーラーパネルは、前記装置本体の外周側に連続的又は間欠的に環状に配置され、前記蓄電池、前記第1発光体及び前記制御部は、前記装置本体内部に位置し、前記装置本体は、筒部及び前記筒部の一端に位置するとともに光透過性を有する透光部を備え、前記透光部は、蓄光材入り材料によって形成され、太陽光又は前記第1発光体の発光により蓄光可能であり、前記第1発光体が点灯しているときには、前記蓄光材が蓄光するとともに当該第1発光体から照射された照射光の少なくとも一部が前記透光部を透過することによって前記透光部全体が発光し、前記第1発光体が消灯しているときには、前記蓄光材の発光によって前記透光部全体が発光し、前記制御部は、予め定められる点灯条件を満たす場合、前記第1発光体が点灯状態と消灯状態を交互に繰り返すように制御し、前記点灯状態では、前記第1発光体の明るさを徐々に強くさせ、明るさがピークの状態から急激にゼロになるように制御することを特徴とする。環状とは、周方向において途切れのない輪を形成するもののほか、周方向において途切れがある場合であっても全体的に輪を形成する、すなわち、間欠的に環状を呈する場合も含む。
【0007】
この発明における前記透光部の発光の色は、前記第1発光体の点灯時と、前記第1発光体の消灯時とで異なるものであっても良い。
【0008】
この発明における前記第1発光体の点灯時には、前記第1発光体の有する励起光と前記透光部の有する色素とが合いまった色調が視認され、前記第1発光体の消灯時には前記蓄光材の蓄光の色調が視認されるものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る点灯装置によれば、ソーラーパネルを装置本体の外周側に配置することとしたので、これを略水平にした場合に比べて雪が積もるのを予防することができる。また、ソーラーパネルを環状に配置することによって、いずれの位置に太陽があった場合でも効率よく蓄電することができる。さらに、降雪時には太陽に面したソーラーパネルからの蓄電だけでなく、その反対側に位置するソーラーパネルでは雪や雲に反射した太陽光エネルギーを利用することもできる。したがって、より一層効率よく蓄電することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の第1の実施形態に係る点灯装置の側面図
図2図1のII−II線断面図であってスノーポールに取り付けた状態を示す図
図3】制御部のハードウエア構成を示すブロック図
図4】マイクロコンピュータの処理の流れを示すフローチャート
図5】点灯処理を説明する図
図6】第2の実施形態に係るソーラーパネルの接続状態を説明する図
図7】第3の実施形態の特徴を説明する図であって基板の概略図
図8】第4の実施形態の特徴を説明する図であってスノーポールに点灯装置を取りつけた状態における断面図
図9】第4の実施形態に係る筒部の斜視図
図10】第2アダプタの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
この発明の第1の実施形態を図1図5を用いて説明する。
図1及び図2を参照すれば、この実施形態における点灯装置1は、例えば道路脇に設置されるポール、より詳細にはスノーポールPに取り付けることができる。スノーポールPは、路肩に沿って一定間隔で設置されるものであり、特に積雪により車道外側線が見えなくなった時にその目印として用いられる。
【0017】
<点灯装置1>
点灯装置1は、装置本体2と、装置本体2の外面に配置されるソーラーパネル3とを備える。
【0018】
<装置本体2>
装置本体2は、軸方向Yと軸方向Yに交差する交差方向Xとを有する。装置本体2は、軸方向Yに隣接する筒部21及び透光部22を備える。透光部22は、筒部21の一端に位置するとともに光透過性を有する。この実施形態において、透光部22は球面を有し、ドーム状になっている。このような透光部22は、蓄光材入り材料によって形成され、太陽光又は後述する第1発光体の点灯により蓄光可能である。透光部22は、例えば蓄光材粉末が混入された光透過性の硬質プラスチックにより形成することができる。
【0019】
筒部21は、その内部が軸方向Yに延びる空洞を形成し、空洞部分にスノーポールPを挿入可能としている。筒部21にスノーポールPを挿入するだけで、点灯装置1をスノーポールPに取り付けることができる。したがって、路肩に設置されている既存の複数のスノーポールPに、点灯装置1を設置する場合であっても、容易かつ短時間の設置が可能である。なお、点灯装置1とスノーポールPとを固定するために、ねじ等の固定手段を別途使用してもよい。
【0020】
<ソーラーパネル3>
ソーラーパネル3は、筒部21の外周側に位置し、複数枚が周方向に間欠的に配置され環状を呈している。この実施形態においては板状のソーラーパネル3を4枚環状に配置している。したがって、筒部21の外観は略四角柱である。なお、ソーラーパネル3の発電量等によっては、ソーラーパネル3の周方向における数を増減してもよいし、縦方向に複数枚並べるようにしてもよい。また、この実施形態においては、ソーラーパネル3は周方向に間欠的に並んでいるが、隣接するソーラーパネル3を接触させることによって周方向に連続して配置してもよい。さらに、一枚の湾曲したソーラーパネル3を用い、周方向に巻き付けるようにして配置してもよい。
【0021】
<装置本体2の内部>
特に図2を参照すれば、装置本体2の内部には、ソーラーパネル3から供給される電気エネルギーを蓄積する蓄電池4と、蓄電池4の電力によって発光する第1発光体5と、蓄電池4の充放電制御及び第1発光体5の点灯制御を行う制御部6とを備える。蓄電池4として、例えばニッケル水素充電池を用いることができる。制御部6は、交差方向Xに延びる基板61に電子部品を実装したものを含み、基板61に第1発光体5も取り付けられる。基板61は、筒部21側に対向する一方の面62と、透光部22側に対向する他方の面63とを有し、第1発光体5の発光部51が他方の面63から露出するように取り付けられる。第1発光体5として、例えば広角で照射することができる青色LEDを用いることができる。広角で照射することにより透光部22の全体にほぼ均一に照射することができる。
【0022】
基板61の一方の面62側には、交差方向Xに延びる取付板7がさらに設けられる。取付板7は、基板61に対向する一方の面71とその反対側に位置する他方の面72とを有し、一方の面71には蓄電池4が固定されるとともに、他方の面には蓄電池4と制御部6とを通電させるためのスイッチ8が固定される。この実施形態においては点灯装置1がスノーポールPに挿入されると、スノーポールPの上端によってスイッチ8が押下され、蓄電池4と制御部6とが通電される。したがって、点灯装置1をスノーポールPに設置している間はスイッチ8が押下され、蓄電池4と制御部6との通電状態が保持される。なお、この実施形態ではスノーポールPに点灯装置1に設置した際スイッチ8が押下されるようにしているが、手動又は電動でスイッチのオン、オフを切り替えるようにしてもよい。
【0023】
点灯装置1は、第1発光体5が点灯しているときには、蓄光材が蓄光するとともに第1発光体5から照射される照射光の少なくとも一部が透光部22を透過することによって透光部22全体が発光する。また、第1発光体5が消灯しているときには、蓄光材の発光によって透光部22全体が発光する。この実施形態において、第1発光体5として青色LEDを用いているから、第1発光体5の点灯時には透光部22が青色を呈する。第1発光体5の消灯時には透光部22に含まれる蓄光材の発光によって透光部22の色は黄緑色を呈する。したがって、第1発光体5の点灯及び消灯によって、透光部22が青色と黄緑色を交互に繰り返して発光する。この実施形態において、透光部22は、ポリカーボネートに5〜15重量%の蓄光材を混入させることが好ましい。蓄光材の含有量が5重量%よりも少ない場合には、励起光のほとんどが透過してしまい、蓄光が不十分で第1発光体5の消灯時に十分な発光が確保できなくなってしまうからである。15重量%よりも多い場合には、第1発光体の光が透光部22を透過せず、透光部22は暗いままになってしまうからである。
【0024】
<制御部6>
図3を参照すると、制御部6は、タイマを内蔵し、他の電子部品を制御するマイクロコンピュータ64と、ソーラーパネル3や蓄電池4のアナログ電圧をデジタルに変換するADコンバータ65と、マイクロコンピュータ64からの点灯指令に基づいて第1発光体5を点灯する発光体駆動回路66と、を備える。ADコンバータ65は、マイクロコンピュータ64に内蔵されていても良い。制御部6の各電子部品には、蓄電池4から、不図示の昇圧又は降圧電源回路を介して電力が供給される。ソーラーパネル3と蓄電池4は、不図示の逆流防止ダイオードを介して接続され、昼間、ソーラーパネル3の光起電力が蓄電池4の電圧を超えると充電される。
【0025】
マイクロコンピュータ64は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって第1発光体5の点灯を制御する。PWM制御は、一定周波数のパルス信号によって第1発光体5をオン、オフさせる制御方法であり、周期に対するパルス幅の比率、すなわちデューティー比を変更することによって、第1発光体5の明るさを調整することができる。また、マイクロコンピュータ64は、ADコンバータ65を介して得られる蓄電池4の電圧を監視し、蓄電池4に対する過充電及び過放電を防止する。
【0026】
図4に示すように、点灯装置1がスノーポールPに挿入されると、マイクロコンピュータ64は、スイッチ8の押下によって蓄電池と通電し、起動する(ステップS1)。マイクロコンピュータ64は、起動確認のために、予め定められている回数だけ第1発光体5を点滅させる点灯指令を発光体駆動回路66に出力する(ステップS2)。例えば、マイクロコンピュータ64は、第1発光体5の点灯と消灯とを3回交互に繰り返す点灯指令を発光体駆動回路66に出力する。すなわち、マイクロコンピュータ64は、第1発光体5を3回点滅させる。これにより、点灯装置1を設置する作業者は、正常に点灯装置1を設置できたことを確認できる。
【0027】
マイクロコンピュータ64は、ステップS3、S5及びS6の判定条件に従って判定処理を繰り返す。尚、マイクロコンピュータ64がステップS3、S5及びS6の判定処理を行う代わりに、タイマやADコンバータ65から得られる電圧の値に基づく割込制御によって同様の判定処理を実現しても良く、実装方法は問わない。
【0028】
マイクロコンピュータ64は、予め定められる放電条件を満たす場合、すなわち蓄電池4の電圧が充電上限電圧以上の場合(ステップS3のYes)、蓄電池4の電力を放電するための放電処理を行う(ステップS4)。充電上限電圧は、蓄電池が損傷しない範囲で充電を行うための上限電圧を意味し、蓄電池4の寿命の著しい劣化を防止する観点から予め定められている値である。本実施の形態では、マイクロコンピュータ64は、放電処理として、第1発光体5を連続して点灯する指令を発光体駆動回路66に出力する。これによって、蓄電池4の電力が放電され、過充電を防止できるとともに、第1発光体5の点灯によって蓄光材の蓄光が可能となる。尚、過充電の防止だけであれば、マイクロコンピュータ64は、放電処理に代えて、単に充電を停止しても良い。
【0029】
また、マイクロコンピュータ64は、予め定められる点灯条件を満たす場合、すなわち蓄電池4の電圧が放電下限電圧より大きく、充電上限電圧未満の場合であって(ステップS5のNo)、かつソーラーパネル3の起電力が設定電圧以下の場合(ステップS6のYes)、夜間等の視界不良状態とみなし、ドライバーの視認性を確保するために第1発光体5を点灯する点灯処理を行う(ステップS7)。本実施の形態では、マイクロコンピュータ64は、点灯処理として、PWM制御による第1発光体5の点灯指令を発光体駆動回路66に出力する。放電下限電圧は、蓄電池が損傷しない範囲で放電を行うための下限電圧を意味し、蓄電池4の寿命の著しい劣化の防止やマイクロコンピュータ64の最低動作保証電圧の確保の観点から予め定められている値である。
【0030】
本実施の形態では、昼間であっても、ソーラーパネル3の起電力が設定電圧以下の場合、周辺の太陽光が弱いため、第1発光体5を点灯する。特に、吹雪等の気象状態のとき、昼間でも第1発光体5を点灯することによって、ドライバーの視認性が著しく向上する。一方、蓄電池4の電圧が放電下限電圧以下の場合(ステップS5のYes)、蓄電池4の過放電を防止するため、点灯処理は行わない。また、ソーラーパネル3の起電力が設定電圧より大きい場合(ステップS6のNo)、周辺の太陽光が強く、ドライバーの視認性は問題ないので、マイクロコンピュータ64は、晴天の昼間等の視界良好状態とみなし、点灯処理は行わない。
【0031】
蓄電池4の電圧が充電上限電圧未満の場合(ステップS3のNo)、すなわち過充電していない限り、マイクロコンピュータ64は、節電消灯を行う(ステップS8)。節電消灯時には、タイマ以外の全ての電源を切り、節電を行う。マイクロコンピュータ64は、タイマによる再起動によってステップS3の処理から繰り返す。
【0032】
図5(a)又は図5(b)に示すように、マイクロコンピュータ64は、点灯処理の間、第1発光体5が点灯状態と消灯状態を交互に繰り返すように制御する。ここで、点灯状態とは、第1発光体5が連続して点灯している状態だけでなく、PWM制御によってオン、オフを繰り返して見かけ上の明るさを維持している状態も含む。一方、消灯状態とは、第1発光体5が連続して消灯している状態である。このように、夜間等の点灯処理においては、第1発光体5を点灯させて透光部22を蓄光し、その後第1発光体5を消灯させることを繰り返すので、断続的に蓄光しながら、蓄電池4の消費電力を低減することができ、夜間における電力切れを防止することができる。
【0033】
例えば、図5(a)に示すように、マイクロコンピュータ64は、PWM制御によって、点灯状態の前半では、第1発光体5の明るさを徐々に強くさせ、点灯状態の後半では、第1発光体5の明るさを徐々に弱くさせる点灯パターンの点灯指令を発光体駆動回路66に出力しても良い。このように第1発光体5の明るさを制御することによって、透光部22の緩やかな発光強度の変化を実現することができ、ドライバー等の目に優しい。また、透光部22の発光の残像が残りにくく、運転の安全性を低下させることがない。
【0034】
また、例えば、図5(b)に示すように、マイクロコンピュータ64は、PWM制御によって、点灯状態では、第1発光体5の明るさを徐々に強くさせ、明るさがピークの状態から急激にゼロになる点灯パターンの点灯指令を発光体駆動回路66に出力しても良い。この場合、第1発光体5から照射される照射光が急激にゼロになっても、蓄光材の発光が残るため、透光部22全体としては、ドライバーの目には徐々に暗くなって見える。従って、図5(a)と同様、透光部22の緩やかな発光強度の変化を実現することができる。
【0035】
また、図5(c)に示すように、マイクロコンピュータ64は、蓄電池4の電圧に応じて消灯状態の時間間隔を変更する。図5(c)において、Vaは放電下限電圧、Vcは充電上限電圧、Va<Vb<Vc、Ta<Tbである。蓄電池4の電圧がVb〜Vcの場合、マイクロコンピュータ64は消灯状態の時間間隔をTaとする。また、蓄電池4の電圧がVa〜Vbの場合、マイクロコンピュータ64は消灯状態の時間間隔をTb〜Taの間で線形に変更する。すなわち、蓄電池4の残量が少なくなると消灯時間を徐々に長くし、消費電量を減らすことで、夜間の突然の動作停止を防止する。尚、マイクロコンピュータ64は、蓄電池4の電圧がVa以下の場合、過放電を防止するため、節電消灯を行い、蓄電池4の電圧がVc以上の場合、過充電による蓄電池4の損傷を防止するため、第1発光体5の連続点灯を行う放電処理又は蓄電の停止を行う。
【0036】
上記のような点灯装置1によれば、ソーラーパネル3が軸方向Yに対してほぼ平行になるように設置されているので、ソーラーパネル3への積雪を予防することができるとともに、ソーラーパネル3に付着したごみ等を雨水で洗い流すこともできる。これによって、発電量の低下を抑制することができる。さらに、第1発光体5が点灯している間は、第1発光体5の光が透光部22を介して視認されるので、蓄光材による発光が弱くてもドライバー等にはその存在を十分に周知させることができる。第1発光体5が消灯している間は、蓄光材の発光により透光部22全体が発光し、ドライバー等が視認可能である。このように、第1発光体5の点灯時及び消灯時のいずれにおいても透光部22が視認可能であり、夜間における安全性を確保することができる。
【0037】
ソーラーパネル3を筒部21の周囲に環状に設けているので、太陽の位置が変化した場合であっても効率よく発電することができる。また、積雪時には太陽の位置とは反対側において、雪に反射した太陽光により発電することもでき、曇天時には雲に反射した太陽光により発電することもできる。したがって、発電効率を向上させることができる。
【0038】
第1発光体5の点灯時には、第1発光体5の有する励起光と透光部22の有する色素とが合いまった色調が視認され、第1発光体5の消灯時には蓄光材の蓄光の色調が視認される。両者に色調の違いがある場合には、これら異なる色調が交互に現れるから、ドライバー等の視覚に刺激を与え、居眠り等を予防することもできる。
【0039】
この実施形態において第1発光体5として405〜415nmの波長の青色LEDを用いているが、これに限定されるものではない。ただし、第1発光体5は、透光部22の蓄光材に対して十分に光励起可能なものである必要がある。また、第1発光体5の点灯時の発光の色と、第1発光体5の消灯時すなわち蓄光材による発光の色との視認性を高めるために、これら発光の色が異なるものとするのが好ましい。また、この実施形態に用いた青色LEDは、波長が10〜400nmである紫外線を含まないので、紫外線による影響を排除することができる。
【0040】
この実施形態においては、一本のスノーポールPに対して一つの点灯装置1を設置するので、仮に複数の点灯装置1のうちの一つに不具合が生じた場合であっても、他の点灯装置1が正常に稼働することによって、路肩を示すという本来の機能を阻害することはない。
【0041】
制御部6は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機を備えても良い。GPS受信機を備える場合、マイクロコンピュータ64は、GPS受信機が出力するタイミングパルス信号に基づいて、定期的にタイマの時刻合わせを行う。これによって、離れた場所に設置される複数の点灯装置1のタイマを同期させることができるため、複数の点灯装置1を同時に点灯したり、消灯したりすることができる。タイマの時刻合わせは、GPS受信機に代えて電波時計を用いても良い。但し、電波が受信できない地域がある電波時計よりも、GPS受信機の方が好ましい。
【0042】
なお、この実施形態ではスノーポールPに点灯装置1を取り付けることとしているが、これに限定されるものではなく、屋外の種々の構造物等に取り付けることができる。また、点灯装置1単体での設置も可能である。
【0043】
<第2の実施形態>
図6を参照しながら、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、ソーラーパネル3の接続形態に特徴があり、それ以外は第1の実施形態と同様である。
【0044】
雪が降る地域では、冬季にソーラーパネル3の表面に雪が付着すると、そのソーラーパネル3は発電できなくなる。そこで、第2の実施形態では、ソーラーパネル3の表面に付着する雪を自動的に取り除く仕組みを取り入れる。
【0045】
第1の実施形態にて説明した通り、ソーラーパネル3は、装置本体2の外周側に連続的又は間欠的に環状に複数配置される。従って、ソーラーパネル3毎に照射される太陽光や雪による反射光の量が異なり、光起電力に差が生じる。光起電力に差が生じると、電流は電圧の高いソーラーパネル3から電圧の低いソーラーパネル3に流れる。そうすると、電圧の低いソーラーパネル3が抵抗となって発熱し、発電効率を下げてしまったり、ソーラーパネル3が破損してしまったりする。これを避けるために、一般には、ソーラーパネル3毎に照射される太陽光等の量が異なる場合、電流が電圧の高いソーラーパネル3から電圧の低いソーラーパネル3に流れないように、ソーラーパネル3それぞれに逆流防止ダイオードが直列に接続され、ソーラーパネル3同士は逆流防止ダイオードを介して並列に接続される。
【0046】
本発明における第2の実施形態では、逆転の発想によって、図6に示すように、複数のソーラーパネル3a〜3dが、互いの出力電流が逆流可能に並列に接続されるように構成する。すなわち、ソーラーパネル3a〜3d同士は、逆流防止ダイオードを介さずに互いに並列に接続される。これによって、雪が付着しているソーラーパネル3に他のソーラーパネル3から出力される電流が逆流する。この逆電流によって、雪が付着しているソーラーパネル3が発熱し、ソーラーパネル3の表面に接触している部分の雪が溶解する。装置本体2は、ソーラーパネル3の表面が鉛直方向とほぼ平行になるように設置されるので、一部が溶解して付着力が弱まった雪は、重力によってソーラーパネル3の表面を滑り落ちる。これによって、ソーラーパネル3の表面に付着する雪を自動的に取り除くことができる。雪が取り除かれたソーラーパネル3の電圧が他のソーラーパネル3と同程度になると、出力電流は蓄電池4に流れ、逆電流は発生しない。
【0047】
尚、4つのソーラーパネル3a〜3dの出力側は、一つの出力端子として束ねられ、逆流防止ダイオード31が直列に接続される。逆流防止ダイオード31は、蓄電池4からソーラーパネル3a〜3dへの逆電流を防止するためである。また、点灯装置1に用いるソーラーパネル3は出力電流が小さいので、電流が逆流してもソーラーパネル3が破損することはない。
【0048】
<第3の実施形態>
図7は第3の実施形態を示すもので、制御部6の基板61にチルトスイッチ9と、蓄電池4の電力によって発光する第2発光体10として白色LEDとをさらに備えることを特徴とする。その他の構成については第1の実施形態と同様である。この実施形態では、点灯装置1がスノーポールPから取り外され、さらにこれを倒して使用した際にチルトスイッチ9が点灯装置1の傾きを検出し、その検出信号によって制御部6が第2発光体10を点灯させる。
【0049】
チルトスイッチ9及び第2発光体10は、基板61の他方の面63に取り付けられる。第2発光体10は、第1発光体5に隣接するとともに、少なくとも発光部の一部が基板61の他方の面63から露出するように取り付けられる。第2発光体10として、広角で照射できるものを用いるのが望ましい。これにより、透光部22全体に照射することができる。
【0050】
この実施形態において、ソーラーパネル3は装置本体2の筒部21の外周側に4枚配置されており、略四角柱を構成している。したがってスノーポールPから取り外した点灯装置1を地面等に置いた場合には4つの面のいずれかを下にして転がらないように安定させて使用されることが想定される。チルトスイッチ9は、ソーラーパネル3で形成された面に直交するように4つ設けられる。このように配置することによって筒部21のいずれの面を下にしておいた場合であっても、その傾きを検出することができる。
【0051】
上記のようにスノーポールPから外して地面に倒しておいたときに第2発光体10が点灯するので、例えば災害時の非常用照明として用いることができる。この実施形態においてチルトスイッチは4つとしているが、この数に限定されるものではない。また、基板61にチルトスイッチ9を設置することとしているが、用途や使用状況に応じて適宜変更可能である。
【0052】
この実施形態において、第2発光体10として白色LEDを用いているが、これに限定されるものではない。夜間の作業性を考慮すれば白色LEDが好ましいが、使用目的等に応じていずれの発光体を用いるかは適宜変更可能である。また、第2発光体10はチルトスイッチ9からの信号によって点灯と消灯が制御されているが、その他種々のセンサからの信号によって制御可能である。例えば、チルトスイッチに代えて加速度センサを用い、点灯装置1の傾きを検出し、傾きに応じた制御をおこなうこともできる。また、点灯装置1に人感センサを設け、この信号に基づいて第2発光体10の点灯と消灯を制御するようにしてもよい。この場合には、通常は第1発光体5の点灯及び消灯を交互に繰り返して車のドライバーに対する注意喚起を行い、点灯装置1の近くを人が通った際には、人感センサにより第2発光体10を点灯させ、人に対する街灯の役割を果たすことができる。
【0053】
<第4の実施形態>
図8〜10は、第4の実施形態を示したものである。この実施形態では、装置本体2の筒部21に位置決め用のアダプタを設けることを特徴とする。筒部21には、透光部22側に位置する第1アダプタ11と、その反対側に位置する第2アダプタ12とを備える。第1アダプタ11は、複数の板状部材11Aからなり、この実施形態において板状部材11Aは4枚用いられる。板状部材11Aは、筒部21からその内側に突出するとともに基端部22Aから開放端部22Bに向かってその面積が小さくなるように傾斜している。このように第1アダプタ11を設けることによって、筒部21にスノーポールPを挿入した際に、筒部21のほぼ中央にスノーポールPを位置させることができる。
【0054】
第2アダプタ12は筒部21に内接する環状部12Aと、環状部12Aの内側からその中心に向かって延びる複数の螺旋部12Bとを備える。この実施形態において螺旋部12Bは3つ設けられるとともに、互いの螺旋部12Bの先端12Cの離間寸法はスノーポールPの径よりも小さくなるようにしている。また、螺旋部12Bは可撓性を有し、先端12Cが環状部12Aに近づくように移動したり、離れるように移動したりすることができる。このような第2アダプタ12を設けることによって、筒部21にスノーポールPを挿入した際に、螺旋部12Bの先端12CがスノーポールPの周囲に接触しながら、螺旋部12Bを広げるように撓ませる。スノーポールPは3つの先端12Cによって中心に押し付けられることによって、スノーポールPを筒部21のほぼ中央に位置させることができる。
【0055】
この実施形態において、第1アダプタ11は筒部21と一体的に形成され、第2アダプタ12は筒部21とは別体として形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、第1アダプタ11及び第2アダプタ12は筒部21と一体的に形成されてもよいし、別体として形成されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 点灯装置
2 装置本体
3 ソーラーパネル
4 蓄電池
5 第1発光体
6 制御部
7 取付板
8 スイッチ
9 チルトスイッチ(センサ)
10 第2発光体
11 第1アダプタ(アダプタ)
12 第2アダプタ(アダプタ)
21 透光部
22 筒部
P スノーポール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10