特許第6656683号(P6656683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6656683
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20200220BHJP
   A63H 1/02 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   A63H1/00 F
   A63H1/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-124869(P2019-124869)
(22)【出願日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年11月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂東 陽平
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6377211(JP,B1)
【文献】 特許第6258541(JP,B1)
【文献】 中国実用新案第200995064(CN,Y)
【文献】 中国実用新案第201120144(CN,Y)
【文献】 特許第6431629(JP,B1)
【文献】 特許第6250202(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と軸部とを備えるコマ玩具であって、
前記胴体は、
所定の可動範囲内で段階的に移動可能に構成された第1可動部品と、
前記第1可動部品の可動範囲と一部が重複する可動範囲を有し、前記第1可動部品の位置に応じて当該可動範囲が変化する第2可動部品と、
を有し、
前記第2可動部品は、当該コマ玩具の軸線と直交する平面内で、当該コマ玩具の回転方向側に付勢されていることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記第1可動部品は、ラチェット機構により、前記胴体の周方向に沿って当該コマ玩具の回転方向とは反対方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記第1可動部品は、前記ラチェット機構により、前記回転方向とは反対方向に不可逆的に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記第2可動部品は、コイルばねにより前記回転方向側に付勢されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記胴体は、
前記第1可動部品が前記第2可動部品のうち当該コマ玩具の回転方向とは反対側の端部に当接して、前記第2可動部品の移動が規制された第1の状態と、
前記第1の状態から前記第1可動部品が前記回転方向とは反対方向に移動して、前記第2可動部品が移動可能な第2の状態との、
少なくとも2つの状態に変化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項6】
前記胴体は、前記第2の状態から前記第1可動部品が前記回転方向とは反対方向にさらに移動して前記第2可動部品のうち前記回転方向側の端部に当接し、前記第2可動部品の移動が規制された第3の状態に、さらに変化することを特徴とする請求項5に記載のコマ玩具。
【請求項7】
前記第1可動部品及び前記第2可動部品は、互いに同数のものが、前記胴体の外周部において当該胴体の周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項8】
前記胴体は、前記第1可動部品及び前記第2可動部品を支持する支持部材を有し、
前記支持部材は、前記第1可動部品及び前記第2可動部品よりも高弾性の材料で構成された高弾性部を外周部に有し、
前記高弾性部は、前記第1可動部品及び前記第2可動部品の位置の変化に応じて、当該第1可動部品及び当該第2可動部品から次第に露出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、胴体と軸部とを備えるコマ玩具において、周方向に沿って移動可能な可動部が胴体に取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このコマ玩具では、自身の回転や相手方のコマ玩具との衝突に伴って可動部がその移動範囲内を移動することで、相手方のコマ玩具に対し、可動部の移動による2段階の攻撃を繰り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6250202号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のコマ玩具では、可動部がその移動範囲内を単純に移動するだけなので、胴体の状態に変化が乏しく、その点で興趣性に欠けるところがあった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、胴体が興趣性に富んだ変化態様で変化するコマ玩具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、胴体と軸部とを備えるコマ玩具であって、
前記胴体は、
所定の可動範囲内で段階的に移動可能に構成された第1可動部品と、
前記第1可動部品の可動範囲と一部が重複する可動範囲を有し、前記第1可動部品の位置に応じて当該可動範囲が変化する第2可動部品と、
を有し、
前記第2可動部品は、当該コマ玩具の軸線と直交する平面内で、当該コマ玩具の回転方向側に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、
前記第1可動部品は、ラチェット機構により、前記胴体の周方向に沿って当該コマ玩具の回転方向とは反対方向に不可逆的に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第2の手段において、
前記第1可動部品は、前記ラチェット機構により、前記回転方向とは反対方向に不可逆的に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第1の手段〜第3の手段のいずれかにおいて、
前記第2可動部品は、コイルばねにより前記回転方向側に付勢されていることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第1の手段〜第4の手段のいずれかにおいて、
前記胴体は、
前記第1可動部品が前記第2可動部品のうち当該コマ玩具の回転方向とは反対側の端部に当接して、前記第2可動部品の移動が規制された第1の状態と、
前記第1の状態から前記第1可動部品が前記回転方向とは反対方向に移動して、前記第2可動部品が移動可能な第2の状態との、
少なくとも2つの状態に変化することを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第5の手段において、
前記胴体は、前記第2の状態から前記第1可動部品が前記回転方向とは反対方向にさらに移動して前記第2可動部品のうち前記回転方向側の端部に当接し、前記第2可動部品の移動が規制された第3の状態に、さらに変化することを特徴とする。
【0013】
第7の手段は、第1の手段〜第6の手段のいずれかにおいて、
前記第1可動部品及び前記第2可動部品は、互いに同数のものが、前記胴体の外周部において当該胴体の周方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする。
【0014】
第8の手段は、第1の手段〜第7の手段のいずれかにおいて、
前記胴体は、前記第1可動部品及び前記第2可動部品を支持する支持部材を有し、
前記支持部材は、前記第1可動部品及び前記第2可動部品よりも高弾性の材料で構成された高弾性部を外周部に有し、
前記高弾性部は、前記第1可動部品及び前記第2可動部品の位置の変化に応じて、当該第1可動部品及び当該第2可動部品から次第に露出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段によれば、コマ玩具の胴体が、所定の可動範囲内で段階的に移動可能に構成された第1可動部品と、当該第1可動部品の可動範囲と一部が重複する可動範囲を有し、第1可動部品の位置に応じて当該可動範囲が変化する第2可動部品とを備える。すなわち、この胴体では、第1可動部品が段階的に移動するとともに、この第1可動部品に規制されたりして第2可動部品の可動範囲が変化する。
したがって、コマ玩具の胴体を興趣性に富んだ変化態様で変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明に係るコマ玩具の一実施形態の斜視図であり、(b)はその遊び方を説明した図である。
図2】コマ玩具の分解斜視図である。
図3】胴体を上側から見た分解斜視図である。
図4】胴体を下側から見た分解斜視図である。
図5】(a)チップを上側から見た斜視図であり、(b)チップを下側から見た斜視図である。
図6】第1可動部品の移動構造(ラチェット機構)を説明するための胴体の周方向に沿った断面図である。
図7】胴体のうち上層部材の透明部周辺の平面図である。
図8】コマ玩具を回転駆動させるランチャーの一例を示した斜視図である。
図9】上層部材及び下層部材に対する第1可動部品及び第2可動部品の動きを説明するための胴体の平面図である。
図10】上層部材及び下層部材に対する第1可動部品及び第2可動部品の動きを説明するための胴体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るコマ玩具の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
《1.全体構成》
図1(a)は、本発明に係るコマ玩具の一実施形態の斜視図、図1(b)は、その遊び方を説明した図である。
図1(a)に示すように、本実施形態のコマ玩具1は、いわゆるコマバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。このコマ玩具1は、下部構造を構成する軸部10と、上部構造を構成する性能可変リング30及び胴体40とによって構成されており、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を図1(b)のように分解させて勝利とするようなバトルゲームに使用できる。
【0019】
《2.細部構成》
2−1.軸部10について
図2は、コマ玩具1のうち軸部10及び性能可変リング30を断面にした分解斜視図である。本明細書においては、上下、左右及び前後は図2に示した向きをいうものとする。
この図に示すように、軸部10は、下端部に回転軸11、上下中間部に鍔12、上部に円筒部13を備えている。回転軸11、鍔12及び円筒部13は合成樹脂で形成されている。勿論、材料は合成樹脂に限定されず、全部又は一部が金属製やゴムその他の材料で形成されていてもよい。
鍔12の下方部分は、当該鍔12から回転軸11に向けて段階的に窄んだ形状となっており、全体として略逆円錐状に形成されている。
鍔12及び円筒部13には、上下方向に沿ったコマ玩具1全体の軸線と一致する回転軸11の軸線Ax(以下、単に「軸線Ax」という。)を挟み、前後に孔15が1つずつ形成されている。また、鍔12及び円筒部13には、鍔12の左右に突出部16が形成されている(図2には左側のもののみ図示)。この突出部16は、鍔12の上下に位置し、その外面は鍔12の外周面と面一となっている。
また、円筒部13の内側には円柱体14が立設されている。この円柱体14の上端は特に限定はされないが円筒部13の上端よりも僅かに高い位置に設定されている。この円柱体14の上端部には径方向外側に張り出す爪17が前後に1つずつ形成されている。
【0020】
また、軸部10は、円筒部13内側に設けられ円柱体14の上部外周を取り囲む円筒状の可動部材18を備えている。この可動部材18の下端部には径方向外側に張り出す突出片18aが前後に1つずつ形成されている。各突出片18aは、孔15に挿入されている。可動部材18は上下方向に移動可能となっている。また、可動部材18は、円柱体14の周囲に巻回させたコイルスプリング19によって上方へ付勢され、常態では、突出片18aが孔15の上縁に当接している。
この可動部材18の上面18bには、径方向に延びる凸条20が左右に1つずつ形成されている(図2には左側のもののみ図示)。
【0021】
2−2.性能可変リング30について
本実施形態では、性能可変リング30として例えば金属製のフライホイールが用いられている。この性能可変リング30はほぼ円環板状を成している。この性能可変リング30の底面には軸部10の鍔12が下方から収容可能な環状段部30aが形成されている。また、性能可変リング30の上面には左右それぞれに上方に向けて張り出す逆U字状の突出部31が1つずつ形成されている(図2には左側のもののみ図示)。各突出部31の下側部分には、軸部10の突出部16を下方から収容可能な凹部32が形成されている。一方、各突出部31の上面には、上方に突出する舌片33が形成されている。
なお、性能可変リング30としては、フライホイールに代えて或いはフライホイールと一体的で、外周面に突出部があって相手方のコマ玩具1を攻撃し易くしたものや、外周面に凹部があって相手方のコマ玩具1からの攻撃を受け難いものを用いてもよい。
【0022】
2−3.胴体40について
図3は、上側から見た胴体40の分解斜視図であり、図4は、下側から見た胴体40の分解斜視図である。図5は、胴体40に取り付けられるチップ57の斜視図である。また、図6は、胴体40が備える第1可動部品61の移動構造(ラチェット機構)を説明するための胴体40の周方向に沿った断面図であり、図7は、胴体40のうち後述する上層部材50の透明部53周辺の平面図である。
図3及び図4に示すように、胴体40は軸線Axを中心軸とする円盤状を成している。この胴体40は、上層部材50、中層部材60、下層部材70を有する3層構造に構成されている。より詳しくは、胴体40は、上層部材50と下層部材70とが、中層部材60(第1可動部品61及び第2可動部品62)を移動可能なように上下に挟持しつつ、互いに固定されて構成されている。
なお、以下の説明では、軸線Axに沿った方向を「軸方向」、軸線Axに垂直な方向を「径方向」、軸線Axを中心とする円周方向を「周方向」という。また、特に断りのない限り、「時計回り」又は「反時計回り」とは、コマ玩具1を平面視した場合における周方向のうちの時計回り又は反時計回りの方向をいう。
【0023】
2−3a.上層部材50について
上層部材50は、軸線Axを中心軸とする略円板状に形成されている。この上層部材50は、平面視で左右がやや幅狭に形成されるとともに、時計回り側に回転する羽根車状の凹凸をその外周面や外周側の表面に有している。
上層部材50には、性能可変リング30の舌片33を下方から挿入可能な弧状スリット51が、左右2箇所それぞれに形成されている。各弧状スリット51の周方向長さは舌片33が十分に移動し得る長さとなっている。
【0024】
上層部材50の上面には、略弧状の表面パーツ52が、外周側の前後2箇所に1つずつ取り付けられている。各表面パーツ52の下面には2つの嵌合突起52aが立設されており、上層部材50の対応する部位に設けられた2つの貫通穴50aに当該嵌合突起52aが嵌合されることで、各表面パーツ52が上層部材50に取り付けられる。
また、上層部材50のうち、外周側の左右2箇所は、その下側の中層部材60及び下層部材70を視認可能な透明部53となっている(図7参照)。
【0025】
上層部材50の下面には、2つの第1ボス54aと、4つの第2ボス54bが立設されている。第1ボス54aは、径方向の中程よりもやや外周側の左右2箇所それぞれに配置されている。第2ボス54bは、第1ボス54aよりも内周側の前後2箇所に2つずつ配置されている。これら第1ボス54a及び第2ボス54bの各々には、下方に開口するねじ穴が形成されている。また、第1ボス54aは、下方から見て反時計回り側に、後述の付勢ばね621を支持するための平坦な面を有している。
【0026】
また、上層部材50の下面には、後述する中層部材60の第1可動部品61をガイドするためのガイド突起55a及びガイド溝55bが、前後2箇所に一組ずつ設けられている。各組のガイド突起55aとガイド溝55bとは、周方向に沿った円弧状の突起又は溝部であり、互いに同程度かつ重複しない所定の中心角範囲に亘って形成されている。
さらに、上層部材50の下面には、後述する中層部材60の第2可動部品62をガイドするための2個1組の直線状ガイド突起56が、左右2箇所に一組ずつ設けられている。各組の直線状ガイド突起56は、軸線Axを中心とする接線方向に沿った直線状の突起であり、第1ボス54aを跨いだ前後両側の同一直線上に設けられている。
【0027】
また、上層部材50には、図5に示すようなチップ57が装着される。
チップ57は平面視で前後に長尺な蝶形に形成されている。チップ57の下面には、下方に突出する突出部57aが左右に1つずつ設けられている。突出部57aは、上層部材50の孔部50bと下層部材70の円孔71の左右両側部分に上方から挿通され(図3、4参照)、下端面を胴体40の下方に露出させる。この突出部57aの下端面には、径方向に延びる凸部を周方向に連ねて形成され、軸部10の凸条20に噛み合う起伏部57bが形成されている。
また、チップ57の前後両端には、下方に延びる被係止片57cが1つずつ形成されている。
なお、このチップ57は設けられていなくともよい。
【0028】
2−3b.下層部材70について
図3及び図4に示すように、下層部材70は、軸線Axを中心軸とする略円板状に形成されている。この下層部材70は、平面視での大きさが上層部材50と略同一に形成されている。ただし、下層部材70の斜め前後左右の四隅に設けられた高弾性部70aの各々は、少なくともその一部が上層部材50よりも外周側に突出(露出)している(図10参照)。この高弾性部70aは、当該高弾性部70aを除く下層部材70本体や、後述の第1可動部品61及び第2可動部品62よりも高弾性のゴム素材等で構成され、当該下層部材70本体の外周部にインサート成形(一体成形)されている。
下層部材70の中央には、軸線Axを中心軸とする円孔71が形成されている。この円孔71の内周面下端には、斜め前後の部位2箇所それぞれに、径方向内側に向けて張り出す爪71aが突設されている。
下層部材70のうち、円孔71よりも径方向外側の左右2箇所それぞれには、弧状スリット72が形成されている。各弧状スリット72は、上層部材50の弧状スリット51と対応する周方向位置及び周方向長さに形成されている。
【0029】
下層部材70には、2つの第1貫通孔73aと、4つの第2貫通孔73bが形成されている。これら第1貫通孔73a及び第2貫通孔73bは、上層部材50の第1ボス54a及び第2ボス54bと対応している。具体的に、第1貫通孔73a及び第2貫通孔73bは、それぞれ対応するボスと同一の平面位置に配置されており、各々の上面側には、対応するボスの下端が嵌合されるザグリ穴が形成されている。これら第1貫通孔73a及び第2貫通孔73bに下方から挿通させたビス91を、対応する上層部材50の第1ボス54a及び第2ボス54bのねじ穴に螺合させることにより、上層部材50と下層部材70とが締結固定される。ただし、上層部材50の第1ボス54aは、後述する第2可動部品62の貫通孔62aに挿通させた状態で、第1貫通孔73aにねじ締結される。
【0030】
下層部材70の上面には、後述する中層部材60の第1可動部品61をガイドするためのガイド突起75a及びガイド溝75bが、前後2箇所に一組ずつ設けられている。各組のガイド突起75a及びガイド溝75bは、上層部材50のガイド突起55a及びガイド溝55bと対応しており、当該ガイド突起55a及びガイド溝55bと略同一の平面位置に、同様に形成されている。ただし、ガイド突起75aは、上層部材50のガイド突起55aよりも中心角範囲がやや短い。
また、下層部材70の上面には、後述する中層部材60の第2可動部品62をガイドするための2個1組の直線状ガイド溝76が、左右2箇所に一組ずつ設けられている。各組の直線状ガイド溝76は、上層部材50の直線状ガイド突起56と平行な直線状の溝部であり、互いに所定の隙間を介在させつつ同一直線上に設けられている。
【0031】
下層部材70には、後述する第1可動部品61を位置決めするための爪部材77が、外周側の前後2箇所に1つずつ設けられている。
各爪部材77は、略平板状に形成されて下層部材70の上面に嵌合固定されている。また、各爪部材77は、後述の第1可動部品61のギヤ部611と噛合してラチェット機構をなすフック部771を有している。フック部771は、周方向に沿って反時計回りに延出した梁状に形成され、時計回り側の端部を基端として上下に弾性変位する。また、フック部771は、先端に上方への突起771aを有している。突起771aは、フック部771の基端側により緩やかな傾斜面、先端側により急峻な傾斜面を有し、これらが上端で滑らかに交わる側面視略三角形状に形成されている(図6参照)。
なお、本実施形態では、フック部771に所望の弾性や耐摩耗性を付与する目的で、下層部材70(本体)とは別体の爪部材77に当該フック部771を設けている。ただし、下層部材70本体に要求される強度等の他の特性とフック部771の上記特性とを両立できるのであれば、下層部材70本体に一体的にフック部771を設けてもよい。
【0032】
また、下層部材70には、チップ57を固定するための固定部材78が、前後2箇所に1つずつ設けられている。本実施形態の胴体40では、チップ57が上層部材50の上面中央に装着されるようになっており、このチップ57の被係止片57c(図5参照)が上層部材50の前後両側の隙間から下層部材70の上面付近にまで延出している。固定部材78は、下層部材70に対して径方向の位置を段階的に切り替え可能になっており、この位置の切り替えにより、チップ57の被係止片57cに係脱して当該チップ57を固定又は解放できるようになっている。
なお、この固定部材78は設けられていなくともよい。
【0033】
2−3c.中層部材60について
中層部材60は、本実施形態では、2つの第1可動部品61と、2つの第2可動部品62とから構成されている。これら2つの第1可動部品61と2つの第2可動部品62とは、胴体40の外周部において周方向に交互に配置され、軸線Axと直交する平面内で個別に移動可能なように、上層部材50及び下層部材70に支持されている。
【0034】
このうち第1可動部品61は、胴体40の外周部の前後2箇所に1つずつ設けられている。各第1可動部品61は、中心角90度未満の略円弧板状に形成されている。各第1可動部品61の外周面は、上層部材50及び下層部材70の外周面と径方向位置が略一致しており、当該第1可動部品61の位置に応じて、上層部材50や下層部材70から部分的に外周側に突出している。
【0035】
各第1可動部品61の上面には、弧状溝61a及び弧状突起61bが形成されている。弧状溝61aは、反時計回り側の略半部に亘り、周方向に沿って形成された円弧状の溝部である。弧状突起61bは、時計回り側の端部に設けられた円弧状の突起である。これら弧状溝61a及び弧状突起61bは、上層部材50のガイド突起55a及びガイド溝55bに対応しており、弧状溝61aがガイド突起55aに、弧状突起61bがガイド溝55bに、それぞれ摺動可能な状態で嵌合する。
一方、各第1可動部品61の下面には、弧状溝61c及び弧状突起61dが形成されている。弧状溝61cは、反時計回り側の略半部よりやや短い範囲に亘り、周方向に沿って形成された円弧状の溝部である。弧状突起61dは、時計回り側の端部に設けられた円弧状の突起であり、上面の弧状突起61bと同一の平面位置に設けられている。これら弧状溝61c及び弧状突起61dは、下層部材70のガイド突起75a及びガイド溝75bに対応しており、弧状溝61cがガイド突起75aに、弧状突起61dがガイド溝75bに、それぞれ摺動可能な状態で嵌合する。
このように、各第1可動部品61は、上面では弧状溝61a及び弧状突起61bが上層部材50のガイド突起55a及びガイド溝55bに、下面では弧状溝61c及び弧状突起61dが下層部材70のガイド突起75a及びガイド溝75bに、それぞれ案内される。これにより、第1可動部品61は、上層部材50及び下層部材70に対して周方向に移動可能となっている。
【0036】
また、各第1可動部品61の下面には、周方向に沿ったクラウンギヤ状のギヤ部611が形成されている。ギヤ部611が有する各歯611aは、図6に示すように、反時計回り側(CCW側;図6の左側)の面がより急峻で、時計回り側(CW側;図6の右側)の面がより緩やかに形成された鋸歯状となっている。また、各歯611aの時計回り側の面は、爪部材77の突起771aにおける同じ側の面よりもやや急峻に形成されている。
ギヤ部611は、爪部材77のフック部771先端の突起771aと噛合してラチェット機構を構成している。このラチェット機構により、第1可動部品61の位置は、フック部771の弾性力により突起771aがギヤ部611と噛合う(歯611aの間に位置する)位置に規制される。つまり、突起771aがギヤ部611と噛合った状態から、第1可動部品61が下層部材70に対して反時計回り(図6の矢印の方向)に移動すると、フック部771が下方に弾性変形して歯611aを乗り越えて再び元の位置に復帰する状態まで当該第1可動部品61が移動する。また、第1可動部品61を時計回りに回そうとしても、フック部771を下方に弾性変形させることができないため、第1可動部品61をこの方向に移動させることができない。
このような構成により、各第1可動部品61は、最も時計回り側に位置した初期状態から段階的に、所定の中心角範囲に亘って、不可逆的に反時計回り側へ移動可能となっている。本実施形態では、第1可動部品61が、全部で5段階に亘って中心角約25度の範囲で移動可能となっている。
【0037】
一方、第2可動部品62は、図3及び図4に示すように、胴体40の外周部の左右2箇所に1つずつ設けられている。各第2可動部品62は、前後方向に略沿って長尺な形状に形成されている。各第2可動部品62の外周面は、上層部材50及び下層部材70の外周面と径方向位置が略一致しつつ、これら上層部材50や下層部材70よりもやや外周側に突出している。
【0038】
各第2可動部品62の平面視中央には、上下への貫通孔62aが形成されている。貫通孔62aは、当該第2可動部品62の長手方向に沿って長尺に形成されている。この貫通孔62aは、反時計回り側の一端面が、上層部材50の第1ボス54aに対応した平面視半円状に形成されており、時計回り側の他端面には、付勢ばね(コイルばね)621を支持する支持突起62bが突設されている。
各第2可動部品62の上面には、貫通孔62aの前後両側に、当該第2可動部品62の長手方向に沿った2つの直線状溝62cが形成されている。これら2つの直線状溝62cは、上層部材50の1組の直線状ガイド突起56に対応しており、当該1組の直線状ガイド突起56が摺動可能な状態で嵌合するようになっている。
一方、各第2可動部品62の下面には、その長手方向の両端に、2つの直線状突起62dが形成されている。これら2つの直線状突起62dは、下層部材70の1組の直線状ガイド溝76に対応しており、当該1組の直線状ガイド溝76が摺動可能な状態で嵌合するようになっている。
このように、各第2可動部品62は、上面では直線状溝62cが上層部材50の直線状ガイド突起56に、下面では直線状突起62dが下層部材70の直線状ガイド溝76に、それぞれ案内される。これにより、第2可動部品62は、上層部材50及び下層部材70に対し、当該第2可動部品62の長手方向、すなわち軸線Axを中心とする接線方向に沿って移動可能となっている。
また、各第2可動部品62の貫通孔62a内には、上層部材50の第1ボス54aが挿通される。この際、貫通孔62a内には、時計回り側の他端面と、上層部材50の第1ボス54aとの間に、付勢ばね621が配置される。付勢ばね621は、一端を支持突起62bに支持された状態で、貫通孔62aの長手方向に沿って伸縮するように配置される。つまり、この付勢ばね621は、上層部材50に対し、貫通孔62aの長手方向に沿って時計回り側へ、第2可動部品62を付勢する。各第2可動部品62は、付勢ばね621に付勢されて上層部材50の第1ボス54aが貫通孔62a内の一端面に当接した状態(図9(a)参照)から、反時計回り側に移動して付勢ばね621が縮み切った状態(図10参照)まで移動する。本実施形態では約5mm移動する。この第2可動部品62の可動範囲(単体での全範囲)は、その周方向の両側に隣り合う2つの第1可動部品61の各可動範囲と一部が重複している。
【0039】
また、第2可動部品62のうち、貫通孔62aの周辺部は、上層部材50の透明部53の下方に位置している。そのため、ユーザ(遊戯者)は、図7に示すように、貫通孔62a内で伸び縮みする付勢ばね621の状態等を、透明部53を通じて上方から視認することができる。
【0040】
《3.組立方法》
次に、コマ玩具1の全体の組立方法を説明する。なお、軸部10と胴体40それぞれの組立は完了しているものとする。また、胴体40にはチップ57が装着されている。
図2及び図3に示すように、まず、軸部10の突出部16を下方から性能可変リング30の凹部32に合致させるようにして、軸部10と性能可変リング30を嵌合状態に組み付ける。次に、この組付け体を胴体40に下方から近付ける。この際、上記組付け体の性能可変リング30の舌片33を胴体40の弧状スリット51,72の時計回り側の端部に合致させる。この状態は、軸部10の爪17と胴体40(下層部材70)の爪71aとが上下方向で重なっていない状態である。この状態が結合解除状態である。その後、上記組付け体の軸部10を胴体40側に押圧する。すると、まず、性能可変リング30が胴体40の下面に押し当てられる。さらに、軸部10内のコイルスプリング19が縮み、軸部10の爪17が胴体40の爪71aよりも上方に相対的に押し上げられる。そして、軸部10を性能可変リング30と一体的に胴体40に対して舌片33が上記端部とは反対側の反時計回り側の端部まで回転させる。すると、軸部10の爪17と胴体40の爪71aとが上下で重なった状態となる。そして、軸部10から手を離すと、軸部10内のコイルスプリング19の付勢力によって、軸部10の爪17の下面と胴体40の爪71aの上面とが当接される。この状態、すなわち軸部10の爪17の下面と胴体40の爪71aの上面とが当接された状態が結合状態である。これにより、軸部10と、性能可変リング30及び胴体40とが結合され、コマ玩具1が組み立てられる。
【0041】
《4.遊び方》
4−1.基本的な遊び方
続いて、コマ玩具1を使用した遊び方の一例を説明する。
図8は、コマ玩具1を回転駆動させるランチャーの一例を示した斜視図である。
この遊び方の一例では、コマ玩具1を回転させて、相手方のコマ玩具1と戦いを行う。
この場合、コマ玩具1の回転力のチャージは、図8に示すようなランチャー80によって行われる。このランチャー80は、内部に図示しない円板を備え、その円板を図示しないゼンマイばねで一の回転方向に付勢するとともに、円板の周囲に卷回させた図示しない紐をハンドル81で引くと、円板が回転され、コマホルダー83が回転されるように構成されている。このコマホルダー83の回転は、下方に突設されたフォーク84によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を回転させる。この場合、フォーク84は胴体40の弧状スリット51,72に差し込まれる。そして、ランチャー80のハンドル81を引き切ると、円板ひいてはコマホルダー83の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク84の傾斜面84aに倣ってコマ玩具1がコマホルダー83から外れる。
なお、図8において符号82はコマホルダー83に対して出没可能なロッドである。このロッド82はコマホルダー83にコマ玩具1を装着した際にコマ玩具1の上面に押されてコマホルダー83内に没する。このロッド82は例えばコマ玩具1の着脱の検出に使用される。
【0042】
このようにして発射されたコマ玩具1は、本実施形態では所定のフィールドで時計回りに回転する。このコマ玩具1が相手方のコマ玩具1に衝突すると、衝突による衝撃力や擦れ等によって、胴体40には、軸部10及び性能可変リング30の回転方向とは反対方向の力が作用し、それによって、胴体40が軸部10及び性能可変リング30の回転方向に対して反対の方向に相対的に回転する。
そして、衝突による衝撃力が作用する毎に胴体40に対して軸部10が相対回転していく。このとき、軸部10の凸条20と、上層部材50に装着されたチップ57の起伏部57bとが噛合しており、軸部10の凸条20にはコイルスプリング19の付勢力が作用している。そのため、衝撃力が作用する毎に、これら凸条20と起伏部57bとが抵抗要素として作用しつつ噛み合い位置を変更することで、胴体40と軸部10とが相対回転していく。そして、軸部10と胴体40とが結合解除位置まで達すると、胴体40の爪71aが軸部10の爪17から外れるため、軸部10内のコイルスプリング19の付勢力によって胴体40が軸部10から離反する。その結果、コマ玩具1は、図1(b)に示したように分解される。
【0043】
4−2.胴体40の変化態様
続いて、コマ玩具1の使い込みに伴う胴体40の変化態様について説明する。
図9及び図10は、上層部材50及び下層部材70に対する中層部材60(第1可動部品61及び第2可動部品62)の動きを説明するための胴体40の平面図である。なお、図9及び図10では、第1可動部品61及び第2可動部品62の動きを分かり易くするため、上層部材50を二点鎖線で外縁のみ示し、第1可動部品61及び第2可動部品62の外縁を太線で示している。また、図9(b)及び図10では、2つの第1可動部品61が同様に移動した状態を示しているが、当該2つの第1可動部品61は個別に移動可能である。
本実施形態のコマ玩具1は、使い込むにしたがって、中層部材60(第1可動部品61及び第2可動部品62)の位置や可動範囲が次第に変わることで胴体40が変化し、相手方のコマ玩具1との衝突態様も変わっていく。
【0044】
具体的に、まださほど使い込まれていない初期状態のコマ玩具1(胴体40)では、図9(a)に示すように、第1可動部品61がその可動範囲のうちの時計回り側(回転方向側)に位置するとともに、その時計回り側の端面が第2可動部品62の反時計回り側の端面と接触している。一方、第2可動部品62は、付勢ばね621の付勢力により、当該付勢ばね621が貫通孔62a内で伸び切って上層部材50の第1ボス54aが当該貫通孔62a内の反時計回り側の一端面に当接しており、その可動範囲のうち最も時計回り側(回転方向側)に位置している。この状態では、第2可動部品62は、反時計回り側の端面が第1可動部品61と接触しているため、移動することができない。
この初期状態(変化前)では、下層部材70の高弾性部70aはその殆どが第1可動部品61又は第2可動部品62に覆われており、相手方のコマ玩具1との衝突は、専ら第1可動部品61又は第2可動部品62による単純な衝突態様のものとなる。
【0045】
初期状態において第1可動部品61が相手方のコマ玩具1と衝突する(あるいはこの衝突を繰り返す)と、当該第1可動部品61は、爪部材77のフック部771とギヤ部611とで構成されるラチェット機構により、図9(b)に示すように、上層部材50及び下層部材70に対して段階的かつ不可逆的に反時計回り側(回転方向とは反対方向)に移動する。これにより、第1可動部品61の時計回り側の端面が第2可動部品62の反時計回り側の端面から離間する。そのため、第2可動部品62は、反時計回り側の端面が第1可動部品61と当接するまで(第1可動部品61が当該第2可動部品62の移動直線上に位置しなくなった場合には貫通孔62a内の付勢ばね621が縮み切るまで)の範囲内で、付勢ばね621の付勢力に抗して長手方向に移動可能となる。
この変化途中の状態では、各第1可動部品61の移動に伴って当該第1可動部品61の時計回り側から下層部材70の高弾性部70aが露出する。そのため、この露出した2箇所の高弾性部70aで相手方のコマ玩具1と衝突することにより、初期状態よりも強い攻撃を繰り出すことができる。さらに、付勢ばね621により時計回り側(すなわち回転方向と同じ向き)に付勢された第2可動部品62が移動可能となるため、第2可動部品62で相手方のコマ玩具1と衝突したときに、付勢ばね621により衝突時の衝撃を緩和することができる。あるいは、付勢ばね621の付勢力が強い場合には、この付勢力により相手方のコマ玩具1を跳ね返すことができる。
【0046】
第1可動部品61が相手方のコマ玩具1との衝突を繰り返してさらに反時計回り側に不可逆的に移動していくと、第1可動部品61の反時計回り側の端面が第2可動部品62の時計回り側の端面と当接する。すると、第2可動部品62は、付勢ばね621の付勢力に抗して第1可動部品61に押されて反時計回り側に移動していき、その可動範囲が次第に狭まっていく。そして、図10に示すように、遂には貫通孔62a内で付勢ばね621が縮み切り、第2可動部品62がこれ以上反時計回り側に移動できない状態となる。こうして、第1可動部品61及び第2可動部品62のいずれもが各々の可動範囲(隣り合う可動部品との干渉を考慮した実際の可動範囲)のうち最も反時計回り側に位置してこれ以上移動しない、変化し切った状態となる。
この変化後の状態では、各第2可動部品62の移動に伴って当該第2可動部品62の時計回り側から、変化途中の状態において先に露出していたものとは異なる下層部材70の高弾性部70aが露出する。そのため、この露出した4箇所の高弾性部70aで相手方のコマ玩具1と衝突することにより、上述した変化途中の状態よりもさらに強い攻撃を繰り出すことができる。
【0047】
《本実施形態の効果》
以上のように、本実施形態のコマ玩具1によれば、胴体40が、所定の可動範囲内で段階的に移動可能に構成された第1可動部品61と、当該第1可動部品61の可動範囲と一部が重複する可動範囲を有し、第1可動部品61の位置に応じて当該可動範囲が変化する第2可動部品62とを備える。すなわち、この胴体40では、第1可動部品61が段階的に移動するとともに、この第1可動部品61に規制されて第2可動部品62の可動範囲が変化する。
したがって、胴体40を興趣性に富んだ変化態様で変化させることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、第1可動部品61及び第2可動部品62を支持する下層部材70が、第1可動部品61及び第2可動部品62よりも高弾性の材料で構成された高弾性部70aを外周部に有しており、この高弾性部70aは、第1可動部品61及び第2可動部品62の位置の変化に応じて、当該第1可動部品61及び当該第2可動部品62から次第に露出する。
これにより、第1可動部品61及び第2可動部品62の位置の変化に伴って、相手方のコマ玩具1に対し高弾性部70aによる強い攻撃を繰り出せるように、胴体40を変化させることができる。
【0049】
《本発明の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、第1可動部品61がラチェット機構により周方向に段階的に移動するように構成されているが、当該第1可動部品61は、所定の可動範囲内で段階的に移動可能に構成されていればよく、その移動方向や機構・構造等は特に限定されない。
また上記実施形態では、第1可動部品61がラチェット機構により不可逆的に移動するように構成されているが、この移動は不可逆的でなくともよい。例えば、遊戯中に移動した第1可動部品61をユーザが手動で戻せるように構成されていてもよい。また、第1可動部品61は、一方向に移動可能な一方で、その反対方向には移動しにくく構成されていてもよい。具体的には、第1可動部品61と上層部材50又は下層部材70との各々に、第1可動部品61の上記反対方向への移動を相対的に妨げるような接触部を設けるなどすればよい。この構造はラチェット機構と併用してもよい。
【0050】
また上記実施形態では、第2可動部品62が、軸線Axを中心とする接線方向に沿って移動可能に構成されており、このうちの時計回り側(回転方向側)に付勢されていることとした。しかし、第2可動部品62は、第1可動部品61の可動範囲と一部が重複する可動範囲を有し、この可動範囲が第1可動部品61に規制されたりされなかったりして変化するものであればよい。したがって、第2可動部品62の移動方向やそのうちの付勢方向は、上記実施形態のものに限定されない。さらに言えば、第2可動部品62は付勢されていなくともよい。
【0051】
また上記実施形態では、ラチェット機構による第1可動部品61の移動により胴体40の状態が複数段階に変化(進化)するものとした。しかし、胴体40は、第1可動部品61が第2可動部品62の回転方向とは反対側の端部に当接して第2可動部品62の移動が規制された第1の状態と、第1の状態から第1可動部品61が回転方向とは反対方向に移動して第2可動部品62が移動可能な第2の状態との、少なくとも2つの状態に変化できればよい。ただし、胴体40は、第2の状態から第1可動部品61が回転方向とは反対方向にさらに移動して第2可動部品62の回転方向側の端部に当接し、第2可動部品62の移動が規制された第3の状態に、さらに変化できることがより好ましい。
【0052】
また上記実施形態では、第1可動部品61及び第2可動部品62が2つずつ設けられていることとしたが、これら第1可動部品61及び第2可動部品62は、互いに同数であれば、その数量は特に限定されない。
【0053】
また、上記実施形態ではコマ玩具1の回転方向が時計回りであることとしたが、この回転方向は反時計回りであってもよい。ただし、その場合に、回転方向に依存する形状・構造(例えば、付勢ばね621の付勢方向や、ラチェット機構による第1可動部品61の移動方向など)を周方向に反転させる必要があるのは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 コマ玩具
10 軸部
40 胴体
50 上層部材
53 透明部
54a 第1ボス
60 中層部材
61 第1可動部品
62 第2可動部品
62a 貫通孔
70 下層部材
70a 高弾性部
73a 第1貫通孔
77 爪部材
611 ギヤ部
611a 歯
621 付勢ばね
771 フック部
771a 突起
Ax 軸線
【要約】
【課題】コマ玩具の胴体を興趣性に富んだ変化態様で変化させる。
【解決手段】コマ玩具1は、胴体40と軸部10とを備える。胴体40は、所定の可動範囲内で段階的に移動可能に構成された第1可動部品61と、第1可動部品61の可動範囲と一部が重複する可動範囲を有し、第1可動部品61の位置に応じて当該可動範囲が変化する第2可動部品62とを有する。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10