(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の印刷装置は、顧客が選択したデザインをTシャツなどの被印刷物に印刷して、オリジナルTシャツなどの被印刷物を簡単に作成することができる装置である。
なお、本明細書にいう「デザイン」は、写真や図柄、デザインされた文字、単なる文字も含む概念である。つまり、TシャツSなどの被印刷物に印刷することができるものは全て本明細書にいう「デザイン」に含まれる。
また、被印刷物は、後述するカートリッジに保持できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、TシャツやYシャツ、ズボン、ポロシャツ、ユニフォーム等の被服やタオル等の布地、帽子、鞄、靴下等なども本実施形態の印刷装置が印刷する被印刷物に含まれる。
以下では、被印刷物がTシャツである場合を代表として説明する。
【0014】
<第一実施形態の印刷装置1>
以下、図面に基づいて第一実施形態の印刷装置1を説明する。
【0015】
<躯体1a表面の説明>
図1に示すように、第一実施形態の印刷装置1は、箱状の躯体1aを有しており、この躯体1aの外面(正面)には、操作部5と、カートリッジ提供部20の商品提供口21と、が設けられている。つまり、印刷装置1の正面の操作部5を顧客が操作すれば、後述する印刷部3、定着部4によって所望のデザインが印刷されたTシャツSを製造でき、製造されたTシャツSをカートリッジ提供部20の商品提供口21から顧客に提供することができる。
【0016】
<操作部5>
操作部5は、顧客がTシャツSに印刷するデザインを選択するために設けられている。この操作部5を操作すれば、顧客は自分の好みのデザインが印刷されたTシャツSを作成することができる。この操作部5は、例えば、タッチパネル等を挙げることができるが、顧客がデザインの選択や、文字やその他の情報等を入力等の操作をできるものであればよい。
【0017】
なお、TシャツSに印刷するためのデザインのデータは、あらかじめ操作部5に記憶させておいたデータでもよいし、インターネットなどを通じて取得できるデータを使用してもよい。また、顧客が有している画像や写真等のデータを操作部5から入力して使用してもよいし、タッチパネル等を操作して印刷するデータを顧客が作成してもよい。さらに、複数のデータを重ねたり加工したりして、データを顧客が作成してもよい。例えば、タッチパネル等から文字などを入力して、画像データ等に重ねてデザインのデータを作成するようにしてもよい。
【0018】
また、操作部5は、インターネットなどを通じて送信される印刷指示に基づいて、TシャツSを作成してもよい。例えば、操作部5とリンクされたウェブサイト等を通じて顧客から送信される印刷指示に基づいてTシャツSを作成してもよい。なお、この方式を採用する場合には、印刷指示に基づいて作成したTシャツSを保管しておく保管容器25を有していることが望ましい(
図8、
図9参照)。もちろん、印刷指示を保存しておき、印刷指示を送信した顧客が操作部5を操作するとTシャツSの印刷を開始するようにしてもよい。この場合には、顧客が印刷開始から短時間(5〜10分程度)でTシャツSを受け取ることができるので、保管容器25を設けなくてもよい。
【0019】
<躯体1a内の各部の説明>
図1〜
図3に示すように、第一実施形態の印刷装置1は、その躯体1a内に、印刷を行うTシャツSを保持したカートリッジ50(
図6、
図7参照)(以下単にカートリッジ50という)を収容するカートリッジ収容部2と、カートリッジ50に保持されたTシャツSに印刷を行う印刷部3と、が設けられている。また印刷部3で印刷された印刷部分SD(
図6参照)を定着させる定着部4と、カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4の間で、カートリッジ50を移動させるカートリッジ搬送部10も設けられている。また、カートリッジ搬送部10からカートリッジ50を受け取って、商品提供口21を通してカートリッジ50に入った状態のTシャツSを顧客に提供するカートリッジ提供部20も設けられている。
【0020】
第一実施形態の印刷装置1では、カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4が、上部からこの順で各部が並んで設けられており、これらの背面側にカートリッジ搬送部10が設けられている(
図3(A)参照)。
【0021】
このように、カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4が縦(鉛直)に並ぶように配設すれば、各部を水平方向に並べて配設する場合に比べて、装置の設置面積を小さくできる。すると、設備を設置する余裕がない場所などであっても、第一実施形態の印刷装置1を設置することができる。
【0022】
また、カートリッジ50は、TシャツSを印刷する際に、カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4、の順で搬送される。上記のように、上部から、カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4、の順で各部を配置しておけば、カートリッジ搬送部10によるカートリッジ50の搬送を無駄なく行うことができるので、顧客から印刷開始の指示があった後、顧客にTシャツSを提供するまでの時間も短くできる。
【0023】
<カートリッジ50>
カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4、カートリッジ搬送部10の詳細を説明する前に、カートリッジ50の概略を説明する。
図6および
図7に示すように、カートリッジ50は箱型の容器であり、表面(印刷する面)がほぼ平坦面になるように伸ばした状態でTシャツSを保持することができるものである。したがって、カートリッジ50に保持されたままでも、TシャツSの表面に印刷ができるようになっている。なお、以下では、カートリッジ50に取り付けられた状態のTシャツSにおいて、表面がほぼ平坦面になるように伸ばされている部分を、TシャツSの印刷面という場合がある。
【0024】
<カートリッジ収容部2>
カートリッジ収容部2は、印刷を行うTシャツSが保持されたカートリッジ50を収容するものである。
図2および
図3に示すように、このカートリッジ収容部2には複数のカートリッジ収容室2aが設けられており、この複数のカートリッジ収容室2a内にカートリッジ50が収容されている。なお、カートリッジ50は、TシャツSの印刷面が上方を向いた状態となるようにカートリッジ収容室2a内に収容されている。
【0025】
図3に示すように、このカートリッジ収容室2aは、その底面が一端(印刷装置1の前面側、
図3では左側)から他端(印刷装置1の背面側、
図3では右側)に向かって下傾した傾斜面となっている。また、カートリッジ収容室2aには、カートリッジを保持解放する保持機構2bが設けられている(
図3(A)参照)。保持機構2bは、カートリッジ収容室2aの底面から出没する爪fを備えている。
【0026】
このため、保持機構2bの爪fをカートリッジ収容室2aの底面から突出させておけば、爪fをカートリッジ50の底部に引っ掛けることによってカートリッジ50をカートリッジ収容室2a内に保持しておくことができる。また、保持機構2bの爪fをカートリッジ収容室2aの底面から退避させれば、カートリッジ50が爪fから解放される。すると、カートリッジ収容室2aの床面が傾斜面となっているので、カートリッジ収容室2aの床面を滑らせてカートリッジ50をカートリッジ収容室2aの他端から排出することができる。
【0027】
なお、保持機構2bは上述した構造に限定されず、カートリッジ50を保持しておくことができ所定のタイミングでカートリッジ50をカートリッジ収容室2aの他端から排出することができるような構造であればよい。例えば、
図12〜
図14に示すように、カートリッジ収容室2a(
図12〜
図14ではカートリッジ収容室102a)の下端開口に保持部材pを設けて、この保持部材pをソレノイドなどによって倒伏させたりスライド移動させたりするようにしてもよい。この場合もカートリッジ収容室2aの下端開口に保持部材pが配置された状態にしておけば、カートリッジ50が保持部材pと接触すれば、カートリッジ50がカートリッジ収容室2aの床面から滑り落ちることを防止できる。そして、カートリッジ収容室2aの下端開口から保持部材pを退避させれば(
図13の最下部のカートリッジ収容室2a参照)、カートリッジ50をカートリッジ収容室2aの下端開口から排出することができる。
【0028】
<印刷部3>
図1〜
図3に示すように、カートリッジ収容部2の下方には、印刷部3が設けられている。この印刷部3は、カートリッジ50に保持された状態のTシャツSが提供され、このTシャツSに対してカートリッジ50に保持されたままで印刷を実施するものである。この印刷部3には、操作部5から印刷するデザインに関するデータが送信されるようになっており、このデータに基づいて所定のデザインを印刷する機能を有している。
【0029】
この印刷部3の構造はとくに限定されない。例えば、背面側にカートリッジ50が挿入される開口を有する本体部を有しており、開口から挿入されたカートリッジ50の上方に印刷装置を有している構造を採用することができる。このような構造であれば、カートリッジ50に保持されているTシャツSの印刷面に所定のデザインを印刷することができる。なお、上述したように、TシャツSの印刷面が上方を向いた状態となるようにカートリッジ収容室2a内にカートリッジ50が収容されており、カートリッジ搬送部10はその姿勢のまま(TシャツSの印刷面が上方を向いたまま)でカートリッジ50を搬送するようになっている。この場合には、上記のような構造の印刷部3であれば、カートリッジ収容部2から印刷部3まで移動する間にカートリッジ50の向きを変更したり上下を反転したりしなくても印刷ができるので、印刷部3へのカートリッジ50の提供を含めた印刷処理を速くできるという利点が得られる。
【0030】
なお、印刷部3がTシャツSに印刷する印刷方式はとくに限定されない。例えば、インクジェット方式等、その他の公知の方法を採用することができる。
【0031】
<定着部4>
図1〜
図3に示すように、印刷部3の下方には、定着部4が設けられている。この定着部4は、印刷部3で印刷されたTシャツSがカートリッジ50に保持された状態のままで提供され印刷を定着させるものである。
【0032】
この定着部4の構造はとくに限定されない。例えば、背面側にカートリッジ50が挿入される開口を有する本体部を有しており、開口から挿入されたカートリッジ50の上方に定着装置を有している構造を採用することができる。このような構造であれば、カートリッジ50に保持されているTシャツSの印刷を定着させることができる。なお、上述したように、TシャツSの印刷面が上方を向いた状態で印刷部3によって印刷される場合には、上記のような構造の定着部4であれば、印刷部3から定着部4まで移動する間にカートリッジ50の向きを変更したり上下を反転したりしなくても定着処理ができる。すると、定着部4へのカートリッジ50の提供を含めた定着処理を速くできるという利点が得られる。
【0033】
なお、定着部4が印刷を定着させる方式はとくに限定されない。例えば、インクジェット方式で印刷した場合には、ヒータ等の熱や熱風等をTシャツSの印刷面に供給してインクを乾燥させる方式が採用される。また、その他の方式を採用した場合には、各方式に適した定着方式が採用される。
【0034】
また、上記例では、第一実施形態の印刷装置1が印刷部3と定着部4の両方を備えている場合を説明したが、印刷部3が定着部4を有している場合には、印刷部3と別に定着部4は設けなくてもよい。この場合、印刷装置1をさらにコンパクトにできる。
【0035】
<カートリッジ搬送部10>
図2〜
図4に示すように、カートリッジ収容部2、印刷部3および定着部4が上下方向に並んで設けられている部分の背面側(
図3(A)および
図4では右側)には、カートリッジ搬送部10が設けられている。このカートリッジ搬送部10は、昇降機構12の昇降レール12rに案内されて昇降する昇降テーブル11を備えている。具体的には、昇降テーブル11は、カートリッジ収容部2と、印刷部3と、定着部4と、の間を昇降し、各部における所定の位置で停止し、カートリッジ収容部2からカートリッジ50の受け取ることができ、また、各部(印刷部3と定着部4)との間でのカートリッジ50の受取り受渡しができるようになっている。
【0036】
例えば、上述したように、カートリッジ収容部2に傾斜した底面を有する複数のカートリッジ収容室2aを設けた場合には、昇降テーブル11は、カートリッジ50を排出するカートリッジ収容室2aの位置に配置される(
図3(A)参照)。つまり、昇降テーブル11は、その上面の高さが各カートリッジ収容室2aの底面の下端より若干低い位置に配置される。すると、カートリッジ収容室2aの底面を滑り落ちてきたカートリッジ50をスムースに昇降テーブル11上に載せることができる。
【0037】
また、印刷部3および定着部4では、印刷部3および定着部4の本体の開口の下端面と昇降テーブル11の上面とがほぼ同じ高さになるように配置される(
図4参照)。すると、印刷部3および定着部4と昇降テーブル11との間でのカートリッジ50の受取りや受渡しをスムースに行うことができる。
【0038】
<昇降機構12>
カートリッジ搬送部10は、昇降レール12rに沿って昇降テーブル11を昇降させる昇降機構12を有している。この昇降機構12は、昇降レール12rに沿って昇降テーブル11を昇降させることができる構成であれよく、その機構はとくに限定されない。例えば、昇降テーブル11にワイヤーの一端を連結しておき、ウインチ等によってワイヤーの繰り出し巻取を行って昇降テーブル11を昇降させるようにしてもよい。また、昇降テーブル11に無端チェーンや無端ベルト等の無端部材を連結しておいてもよい。無端チェーンを使用する場合には、無端チェーンに噛み合った歯車をモータによって回転させれば、無端チェーンを移動させることによって昇降テーブル11を昇降させることができる。無端ベルトを使用する場合には、無端ベルトが巻き掛けられたプーリを回転させれば、無端ベルトを移動させることができ、無端ベルトの移動に伴って昇降テーブル11を昇降させることができる。もちろん、シリンダ機構やボールネジ機構によって昇降テーブル11を昇降させてもよい。なお、ウインチ等やモータの作動や、シリンダ機構やボールネジ機構の駆動源の作動は操作部5によってその作動が制御される。
【0039】
<移載部>
カートリッジ搬送部10は、昇降テーブル11上のカートリッジ50を印刷部3および定着部4に対して供給したり、印刷部3および定着部4から昇降テーブル11にカートリッジ50を移載したりする移載部を備えている。この移載部は、印刷部操作部と、定着部操作部と、を備えている。
【0040】
印刷部操作部は、印刷部3と対応する位置に昇降テーブル11が停止すると印刷部3と昇降テーブル11との間でカートリッジ50を移動させるものである。この印刷部操作部は、印刷部3と対応する位置に昇降テーブル11が停止するとカートリッジ50に接触してカートリッジ50を移動させるもの等を挙げることができる。印刷部操作部は、安定してカートリッジ50を昇降テーブル11から印刷部3に供給したり印刷部3から昇降テーブル11に移載したりすることができる機構であればよくその構造はとくに限定されない。
【0041】
例えば、
図14〜
図17に示すように、印刷部3に対して接近離間するアーム118を設ける。そして、このアーム118にソレノイドなどで出没する爪を設けておく。例えば、突出するとカートリッジ50に係合し引っ込むとカートリッジ50を開放する爪を設けておく。すると、爪をカートリッジ50に係合させておけば、カートリッジ50を印刷部3に接近させたり離間させたりする際に、安定してカートリッジ50を移動させることができる。また、カートリッジ50を印刷部3に接近させた状態でカートリッジ50から爪を開放すれば、カートリッジ50を印刷部3に供給できる。また、カートリッジ50を印刷部3から離間させた状態でカートリッジ50から爪を開放すれば、カートリッジ50を昇降テーブル11によって移動させることができるようになる。なお、爪は、カートリッジ50を印刷部3に接近させるときにはカートリッジ50に係合させず、カートリッジ50を印刷部3から離間させるときにのみカートリッジ50に係合させるようにしてもよい。
【0042】
定着部操作部は、定着部4と対応する位置に昇降テーブル11が停止すると定着部4と昇降テーブル11との間でカートリッジ50を移動させるものである。この定着部操作部の機構はとくに限定されず、安定してカートリッジ50を昇降テーブル11から定着部4に供給したり定着部4から昇降テーブル11に移載したりすることができる機構であればよい。例えば、定着部操作部として、実質的に上述した印刷部操作部と同様の機構を採用することができる。また、定着部操作部と印刷部操作部は同じ機構を採用してもよいし、異なる機構を採用してもよい。
【0043】
なお、印刷部3および定着部4がカートリッジ50を引き込んだり排出したりする機能を有している場合には、印刷部操作部および定着部操作部は、印刷部3および定着部4が上記機能を発揮する位置までカートリッジ50を移動させたり、上記機能を発揮する位置からカートリッジ50を引き出したりするようになっていればよい。
【0044】
また、移載部は、昇降テーブル11に設けてもよいし、昇降テーブル11と別に設けてもよい。昇降テーブル11に移載部を設けた場合には、印刷部3や定着部4のそれぞれに印刷部操作部や定着部操作部を設けなくてもよくなる。
一方、昇降テーブル11と別に移載部を設けた場合には、印刷部3や定着部4に対応した印刷部操作部および定着部操作部が必要になるが、昇降テーブル11に移載部を作動させるための配線等をしなくてもよいので、不具合などが発生する可能性を低減できる。
昇降テーブル11に移載部を設ける場合には、その構成はとくに限定されない。例えば、カートリッジ50の底面に接触してカートリッジ50に駆動力を加えるコンベアを昇降テーブル11の上面に設けて移載部としてもよい。また、カートリッジ50に引っ掛けてカートリッジ50を引っ張ったり押したりする爪などを有するアーム等を昇降テーブル11の上面に設けて移載部としてもよい。
【0045】
<カートリッジ提供部20>
図1〜
図3に示すように、カートリッジ搬送部10の側方にはカートリッジ提供部20が設けられている。このカートリッジ提供部20は、上述した商品提供口21とカートリッジ搬送部10の側方との間を繋ぐように設けられたコンベア等の搬送機構22を備えている。そして、昇降テーブル11から搬送機構22上にカートリッジ50を移動させる移動機構も備えている。
【0046】
カートリッジ提供部20がこのような構成であれば、印刷及び定着が終了したTシャツSを保持したカートリッジ50を載せた昇降テーブル11を搬送機構22の位置まで移動させれば、移動機構によって昇降テーブル11上のカートリッジ50を搬送機構22上に移動させることができる。搬送機構22上に載せられたカートリッジ50は搬送機構22によって商品提供口21まで搬送できるので、商品提供口21からカートリッジ50を排出できる。よって、所定のデザインが印刷されたTシャツSをカートリッジ50に収容された状態で顧客に提供することができる。
【0047】
なお、上述した昇降テーブル11から搬送機構22上にカートリッジ50を移動させる移動機構の構成はとくに限定されない。例えば、昇降テーブル11から搬送機構22上に向かってカートリッジ50を押し出すプッシャーや、昇降テーブル11から搬送機構22上に向かってカートリッジ50を引っ張る引き込み機構等を採用することができる。
【0048】
また、
図5に示すように、躯体1aにおいて、カートリッジ保持部2と印刷部3との間と対応する位置に商品提供口21を設けてもよい。この場合には、カートリッジ保持部2と印刷部3との間に、商品提供口21とカートリッジ搬送部10とを繋ぐように搬送機構22を設ける。すると、第一実施形態の印刷装置1の幅をさらに狭くできるので、装置をよりコンパクトにできる。
【0049】
<第一実施形態の印刷装置1の作動>
上述した第一実施形態の印刷装置1によって顧客がTシャツSを作成する操作を説明する。
【0050】
まず、操作部5を操作して、顧客はTシャツSに印刷するデザインを選択する。また、デザインの編集や加工などを行う場合には、デザインの編集作業を行う。なお、TシャツSのサイズや色などもこのときに選択する。そして、印刷するデザイン等が決定したら、印刷開始の指示を行う。
【0051】
印刷開始が入力されると、操作部5は、デザイン等に関する情報を印刷部3に送信するとともに、入力されたサイズや色のTシャツSを保管しているカートリッジ収容部2のカートリッジ収容室2aの位置までカートリッジ搬送部10の昇降テーブル11を移動させる(
図3(A)参照)。
【0052】
昇降テーブル11が所定の位置まで移動すると、保持機構2bによって上記カートリッジ収容室2a内のカートリッジ50を解放する。すると、カートリッジ50はカートリッジ収容室2aから昇降テーブル11上に移動する。そして、カートリッジ50が昇降テーブル11上に載せられた状態になれば、昇降テーブル11上は印刷部3の位置まで下降する(
図4(A)参照)。
【0053】
印刷部3の位置に昇降テーブル11が到達すると、移載部の印刷部操作部によって昇降テーブル11上のカートリッジ50が印刷部3に供給され、カートリッジ50に保持されているTシャツSに所定のデザインが印刷される。印刷が完了すると、移載部の印刷部操作部によって印刷部3から昇降テーブル11にカートリッジ50が戻されるので、昇降テーブル11は定着部4の位置まで下降する(
図4(B)参照)。
【0054】
定着部4の位置に昇降テーブル11が到達すると、移載部の定着部操作部によって昇降テーブル11上のカートリッジ50が定着部4に供給され、カートリッジ50に保持されているTシャツSに定着処理が実施される。定着処理が完了すると、移載部の定着部操作部によって定着部4から昇降テーブル11にカートリッジ50が戻されるので、昇降テーブル11はカートリッジ提供部20の搬送機構22の位置まで移動する。
【0055】
カートリッジ提供部20の搬送機構22の位置に昇降テーブル11が到達すると、移動機構によって昇降テーブル11上のカートリッジ50が搬送機構22上に移載される。搬送機構22上に移載されたカートリッジ50は、搬送機構22によって商品提供口21に供給される(
図3(B)参照)。すると、商品提供口21に供給されたカートリッジ50を顧客が受け取ることができるので、カートリッジ50からTシャツSを取り出せば、顧客は所定のデザインが印刷されたTシャツSを受け取ることができる。
【0056】
なお、TシャツSを取り外したカートリッジ50は、第一実施形態の印刷装置1の近くにカートリッジ回収箱などを設けて回収すればよい。もちろん、印刷装置1の躯体1aに回収口を設けておき、その回収口にカートリッジ50を入れてもらうようにしてもよい。
【0057】
また、カートリッジ50の素材として、ダンボールなどの廃棄可能な素材を使用すればば、TシャツSを取り外したカートリッジ50を廃棄してもらうこともできる。また、カートリッジ50のまま顧客が持ち帰ることも可能となる。
【0058】
<カートリッジ提供部20について>
上記例では、カートリッジ提供部20が商品提供口21からカートリッジ50に収容された状態のTシャツSを顧客に提供する場合を説明した。この場合には、操作部5を操作して比較的短時間で顧客がTシャツSを受け取ることができる。
【0059】
一方、上述したように、インターネット等で操作部5に印刷指示をした場合には、顧客がTシャツSを受け取るまでにある程度の時間を要する場合がある。また、操作部5を操作した顧客でも、TシャツSが完成するまでにその場を離れて別なことをしたい場合がある。このような場合、作成されたTシャツSを保管しておく保管容器25を設けておき、この保管容器25に保管されたTシャツSを顧客の好きな時間に受け取れるようにしておくことが望ましい。
【0060】
図8および
図9に示すように、躯体1a内には、カートリッジ提供部20の複数の保管容器25が設けられている。複数の保管容器25は、その前面が躯体1aに設けられた開口1cを塞ぐように配設されている(
図9参照)。なお、
図9では、カートリッジ収容部2や印刷部3、定着部4、カートリッジ搬送部10、カートリッジ提供部20は構造を分かりやすくするために省略している。
【0061】
図9に示すように、保管容器25は、複数の容器本体26と、各容器本体26に設けられた複数の開閉扉27と、を備えている。容器本体26は、前面および背面に開口を有する中空な箱状の容器であり、カートリッジ50を収容することができる大きさに形成されている。また、開閉扉27は、各容器本体26の前面の開口を開閉するものである。この開閉扉27には、電子錠が設けられており、操作部5の指令により解錠できるようになっている。
【0062】
躯体1a内において、複数の容器本体26の背面には、容器本体26の背面開口から容器本体26内にカートリッジ50を供給するカートリッジ供給機構30が設けられている。このカートリッジ供給機構30は、カートリッジ50を保管容器25まで搬送し所定の容器本体26内に収容する搬送トレイ31と、搬送トレイ31を移動させる搬送トレイ移動機構32と、を備えている。
【0063】
<搬送トレイ31>
搬送トレイ31は、昇降レール32aに案内された状態で、搬送トレイ31からカートリッジ50を受け取る受け取り位置と、複数の容器本体26の背面開口との間を昇降するものである。この搬送トレイ31には、その上面にカートリッジ50を容器本体26に向けて移動させる移載機構を備えている。このため、カートリッジ50が上面に載せられた状態の搬送トレイ31が所定の容器本体26の位置まで移動して停止すると、移載機構によってカートリッジ50が容器本体26に向けて移動され、容器本体26内に挿入することができる。
【0064】
なお、移載機構はとくに限定されず、安定してカートリッジ50を搬送トレイ31から容器本体26に移載することができる機構であればよい。また、移載機構は、搬送トレイ31上に設けてもよいし、搬送トレイ31とは別に設けてもよい。例えば、移載機構は、上述した印刷部操作部や定着部操作部と同様の構成を採用することができる。また、移載機構は、上述した印刷部操作部や定着部操作部と異なる構成とすることもできる。
【0065】
<搬送トレイ移動機構32>
搬送トレイ移動機構32は、昇降レール32aを備えており、この昇降レール32aに沿って搬送トレイ31を昇降させることができ、しかも、搬送トレイ31を所定の高さで停止させることができる構造であればよく、とくに限定されない。例えば、搬送トレイ31にワイヤーの一端を連結しておき、ウインチ等によってワイヤーの繰り出し巻取を行って搬送トレイ31を昇降させるようにしてもよい。また、搬送トレイ31に無端チェーンや無端ベルト等の無端部材を連結しておいてもよい。無端チェーンを使用する場合、無端チェーンに噛み合った歯車をモータによって回転させれば、無端チェーンを移動させることによって搬送トレイ31を昇降させることができる。無端ベルトを使用する場合には、無端ベルトが巻き掛けられたプーリを回転させれば、無端ベルトを移動させることができ、無端ベルトの移動に伴って搬送トレイ31を昇降させることができる。もちろん、シリンダ機構やボールネジ機構によって搬送トレイ31を昇降させてもよい。この場合、ウインチ等やモータの作動や、シリンダ機構やボールネジ機構の駆動源の作動は操作部5によって制御される。
【0066】
搬送トレイ移動機構32は、昇降テーブル11が所定の受渡位置に配置されると、昇降テーブル11上のカートリッジ50を搬送トレイ31上に移載するカートリッジ移載機構33を有している。このカートリッジ移載機構33はとくに限定されず、安定して昇降テーブル11上のカートリッジ50を搬送トレイ31に移載することができる機構であればよい。例えば、カートリッジ50に爪などを引っ掛けてカートリッジ50を引っ張ったり押したりするアームやコンベア、ピックアップ&プレースユニット(PPU)等をカートリッジ移載機構33として挙げることができる。また、昇降テーブル11と搬送トレイ31との間にスロープを設けて、昇降テーブル11から押し出されたカートリッジ50を、搬送トレイ31に向かって滑り落とす方法なども採用することができる。
【0067】
なお、
図8に示すように、昇降テーブル11と搬送トレイ31との間に、受渡部34を設けてもよい。つまり、昇降テーブル11から上述した移載部等によって受渡部34にカートリッジ50を一旦移載して、受渡部34からカートリッジ移載機構33によって搬送トレイ31にカートリッジ50を移載するようにしてもよい。
かかる受渡部34が無い方が装置の幅などは狭くできるが、受渡部34を設けておけば、カートリッジ50の移載ミスを低減できる。
【0068】
<操作部5の構成>
また、複数の容器本体26を設けた場合には、操作部5には、操作部5を操作する顧客の情報を入力する情報入力部が設けられる。この情報入力部は、デザインが印刷されたTシャツSが収容されたカートリッジ50を保管しておく容器本体26を顧客が指定したり、顧客が容器本体26からカートリッジ50取り出したりするための操作をする機能を有している。
【0069】
例えば、複数の容器本体26にはそれぞれ容器番号が設定されており、この容器番号を顧客が指定する機能を情報入力部は有している。また、情報入力部は、容器本体26の開閉扉27の鍵を解錠するパスワードを顧客が入力したり、鍵を解錠するパスワードを顧客に提示したりする機能を有している。さらに、情報入力部は、顧客が容器本体26を解錠するための操作、例えば、パスワードを入力する操作をする機能を有している。
【0070】
なお、上述した情報入力部に入力された情報(容器本体26の容器番号やパスワード等)が、特許請求の範囲にいう顧客情報に相当する。
【0071】
以上のような構成であるので、以下のように操作すれば、顧客は、保管容器25の所定の容器本体26にデザインが印刷されたTシャツSが収容されたカートリッジ50を保管させて、好きな時にTシャツSを受け取ることができる。
【0072】
まず、顧客は、操作部5を操作して、顧客がTシャツSに印刷するデザインを選択するとともに、情報入力部によって保管容器の容器番号やパスワード等を入力する。すると、印刷装置1はカートリッジ50に保持されたTシャツSの印刷面に所定のデザインを印刷しTシャツSを作成する。
【0073】
すると、操作部5は、情報入力部によって入力された容器番号の容器本体26(以下単に目的容器26という)に、所定のデザインが印刷されたTシャツSを保持するカートリッジ50が収納されるように、カートリッジ提供部20を作動させる。
【0074】
まず、カートリッジ搬送部10の昇降機構12の作動を制御して、昇降テーブル11を所定の受渡位置に配置する。一方、カートリッジ提供部20の搬送トレイ移動機構32の作動を制御して、搬送トレイ31を所定の受け取り位置に配置する。すると、カートリッジ移載機構33によってカートリッジ50は、昇降テーブル11から搬送トレイ31に移載される。
【0075】
搬送トレイ31にカートリッジ50が移載されると、操作部5は、搬送トレイ移動機構32を作動させて、搬送トレイ31を目的容器26の位置まで移動させる。
【0076】
目的容器26の位置まで搬送トレイ31が移動すると、搬送トレイ31の移載機構によって、搬送トレイ31上の保管カートリッジ50が目的容器26内に挿入される。すると、カートリッジ50は、目的容器26内に保管された状態となる(
図9(B)参照)。
【0077】
顧客がカートリッジ50を取り出す場合には、操作部5の情報入力部によって、目的容器26の容器番号と解錠するためのパスワードを入力する。すると、目的容器26の開閉扉27の鍵が解錠され開閉扉27を開くことができるようになるので、目的容器26からカートリッジ50を取り出すことができる。
【0078】
なお、インターネット等での印刷指示をする場合には、上述した顧客情報を印刷指示に含めるようにしておけばよい。
【0079】
<カートリッジ50>
第一実施形態の印刷装置1によってTシャツSに印刷をする際に、TシャツSを保持しておくカートリッジ50はとくに限定されない。TシャツSにおいてデザインを印刷する部分を露出させた状態かつTシャツSの印刷面に皺などができない状態で保持できるものであればよい。例えば、以下のような構造を有するカートリッジ50を使用できる。
【0080】
図6に示すように、カートリッジ50は本体51と保持部材55とを備えている。
本体51は、ベース部52と、このベース部52に対して揺動可能に設けられた蓋部材53とから構成されている。蓋部材53は、下端が開放した箱状の部材であり、天板53aにTシャツSにおいてデザインを印刷する印刷面を露出させる開口53wが設けられている。
【0081】
保持部材55はTシャツSが取り付けられる部材であり、本体51の内部に設置されるものである。この保持部材55は、本体51の蓋部材53よりも若干小さく形成されている。この保持部材55には、本体51の蓋部材53を閉じたときに、蓋部材53の天板53a内面と対向する載置面55aを有している。保持部材55の載置面55aは、本体51の蓋部材53を閉じたときに、蓋部材53の表面と平行となるように形成されている。しかも、載置面55aは、その面積が天板53aの開口53wの面積よりも少し大きくなるように形成されている。
【0082】
かかるカートリッジ50にTシャツSを取り付ける場合には、以下のように取り付ける。
まず、保持部材55の表面を覆うようにTシャツSを取り付ける。このとき載置面55a上のTシャツSに皺ができないようにTシャツSを伸ばして取り付ける。
ついで、TシャツSが取り付けられた保持部材55をベース部52上に配置して蓋部材53を閉じた状態(印刷状態)とする。すると、保持部材55と蓋部材53の内面との間に挟まれた状態でTシャツSを固定することができる。
【0083】
しかも、載置面55aの面積が天板53aの開口53wの面積よりも少し大きくなっているので、印刷状態では、TシャツSの印刷面における印刷部分SDの周囲が保持部材55の載置面55aと蓋部材53の天板53aの内面との間に挟まれた状態となる。すると、印刷面に皺などが無い状態でTシャツSを維持できるので、印刷部3によるTシャツSへの印刷を安定して行うことができる。
【0084】
とくに、印刷状態において、TシャツSの印刷面と天板53aの表面とをほぼ面一の状態となるように、本体51や保持部材55を形成しておけば、印刷状態をより良好な状態とすることできる。例えば、蓋部材53の天板53aの厚さを、Tシャツの生地の厚みとほぼ同じにしておけば、上記状態としやすくなる。例えば、Tシャツの生地が0.5〜1mm程度であれば、蓋部材53の天板53aの厚さを0.5〜1mm程度とすればほぼ上記状態とすることができる。または、載置面55aにおいて天板53aの開口53wと対応する位置に、開口53wと相似形かつ開口53wよりも若干小さい凸状部を形成しておけば、上記状態にしやすくなる。例えば、凸状部の高さを蓋部材53の天板53aの厚さからTシャツの生地の厚みを引いた程度とすれば、上記状態としやすくなる。例えば、Tシャツの生地が0.5mm程度で、蓋部材53の天板53aの厚さを1mm程度とした場合には、凸状部の高さを0.5mm程度に形成しておけば、上記状態にしやすくなる。
【0085】
<他の構造のカートリッジ50>
また、カートリッジ50は以下のような構造としてもよい。
【0086】
<本体61>
図7に示すように、カートリッジ50は、略矩形の中空な内部空間61hを有する本体61を有している。この本体61の第一面(
図7(B)では上側の面)には、内部空間61hと連通する開口61aが形成されている。
【0087】
<保持部材62>
また、カートリッジ50は、TシャツSが取り付けられる保持部材62を有している。この保持部材62は略矩形状に形成されており、その上端部側の面(
図7(B)では上側の面)に複数の載置突起63が設けられている。この複数の載置突起63は、平面視で略円形の突起であり、その先端面63aが平坦面に形成されている。この複数の載置突起63は、その先端面が全て同一平面上に位置するように設けられている。保持部材62では、この複数の載置突起63の先端面がTシャツSを伸ばした状態で取り付けられる載置面になる。以下、保持部材62の載置面という場合がある。なお、複数の載置突起63が平面視で略円形とは、円形の場合や一部欠けた円形(例えば半円形等)となっている場合も含んでいる。また、複数の載置突起63の平面視形状は略円形に限られず、四角形や三角形、六角形等であってもよい。
【0088】
そして、保持部材62は、その下端部が本体61の開口61aから内部空間61h内に挿入できるように設けられている。具体的には、保持部材62の周囲に巻き付けるようにTシャツSを保持部材62に取り付けた状態で、保持部材62を本体61の開口61aから内部空間61h内に挿入できる大きさに形成されている。しかも、TシャツSが取り付けられた状態の保持部材62を本体61の開口61aから内部空間61h内に挿入した状態で、保持部材62の載置面やTシャツSの印刷面が本体61の開口61aより突出するように保持部材62は形成されている。
【0089】
したがって、TシャツSを保持部材62の載置面上に伸ばした状態で取り付ければ、皺などが無い状態で、印刷部3によるカートリッジ50に保持された状態のTシャツSへの印刷を安定して行うことができる。
【0090】
<第二実施形態の印刷装置101>
以下、図面に基づいて第二実施形態の印刷装置101を説明する。
なお、以下の説明では、第一実施形態の印刷装置1と共通する構成は適宜割愛して説明する。
【0091】
<操作部5>
図10および
図11に示すように、第二実施形態の印刷装置101は、箱状の躯体101aを有しており、その外面には操作部105が設けられている。この操作部105は、第一実施形態の印刷装置1の操作部5と実質的に同じ機能を有している。
【0092】
また、躯体101aの外面には、デザインが印刷されたTシャツSが提供されるカートリッジ提供部120の商品提供口121が設けられている。このカートリッジ提供部120の商品提供口121も、第一実施形態の印刷装置1のカートリッジ提供部120の商品提供口121と実質的に同じ機能を有している。
【0093】
したがって、操作部105を操作すれば、顧客は自分の好みのデザインが印刷されたTシャツSを作成することができ、カートリッジ提供部120の商品提供口121からカートリッジ50、つまり、デザインが印刷されたTシャツSを顧客に提供することができる。
【0094】
<躯体101a内の各部の説明>
図12および
図13に示すように、第二実施形態の印刷装置101は、その躯体101a内に、印刷を行うTシャツSを保持したカートリッジ50を収容するカートリッジ収容部102と、カートリッジ50に保持されたTシャツSに印刷を行う印刷部103と、が設けられている。また印刷部103で印刷された印刷面を定着させる定着部104と、カートリッジ50を移動させるカートリッジ搬送部110も設けられている。また、カートリッジ搬送部110からカートリッジ50を受け取って、商品提供口121を通してカートリッジ50に入った状態のTシャツSを顧客に提供するカートリッジ提供部120も設けられている(
図13参照)。
【0095】
図12および
図13に示すように、第二実施形態の印刷装置101では、カートリッジ収容部102、印刷部103、定着部104が、上部からこの順で各部が並んで設けられており、これらの背面側にカートリッジ搬送部110が設けられている(
図13参照)。
【0096】
このように、カートリッジ収容部102、印刷部103、定着部104が縦(鉛直)に並ぶように配設すれば、各部を水平方向に並べて配設する場合に比べて、装置の設置面積を小さくできる。すると、設備を設置する場所に余裕がない場所などであっても、第二実施形態の印刷装置101を設置することができる。
【0097】
また、カートリッジ50は、第一実施形態の印刷装置1と同様に、TシャツSを印刷する際に、カートリッジ収容部102、印刷部103、定着部104、の順で搬送される。上記のように、上部から、カートリッジ収容部102、印刷部103、定着部104、の順で並ぶように各部を配置しておけば、カートリッジ搬送部110によるカートリッジ50の搬送を無駄なく行うことができるので、顧客から印刷開始の指示があった後、顧客にTシャツSを提供するまでの時間も短くできる。
【0098】
<カートリッジ収容部102>
図12および
図13に示すように、カートリッジ収容部102は、印刷を行うTシャツSが保持されたカートリッジ50を収容するものである。このカートリッジ収容部102は、実質的に第一実施形態の印刷装置1のカートリッジ収容部2と同様の構造を有している。つまり、カートリッジ収容部102には、その底面が一端から他端に向かって下傾した傾斜面となった複数のカートリッジ収容室102aを有している。この複数のカートリッジ収容室102a内には、保持部材62の載置面(つまりTシャツSの印刷面)が上方を向いた状態となるようにカートリッジ50が収容されている。
【0099】
また、カートリッジ収容部102には、第一実施形態の印刷装置1のカートリッジ収容部2と同様に、カートリッジ収容室102a内のカートリッジ50を保持解放する保持機構102bが設けられている。この保持機構102bも、第一実施形態の印刷装置1のカートリッジ収容部2と同様の構成を有している。
【0100】
このため、保持機構2bによってカートリッジ50をカートリッジ収容室102a内に保持しておくことができるし、保持機構2bを作動させればカートリッジ50をカートリッジ収容室2aの他端から排出させることができる。
【0101】
なお、
図10に示すように、第二実施形態の印刷装置101の躯体101aには、その表面にカートリッジ収容室102aと連通する開口が設けられている、この開口は、カートリッジ収容部102の表面側(
図13では左側)と対応する位置に設けられている。そして、この開口には、開閉可能な扉wが設けられている。つまり、扉wを開けば、カートリッジ収容部102のカートリッジ収容室102a内にカートリッジ50を補給することができるようになっている。この構成は、第一実施形態の印刷装置1の躯体1aに設けてもよい。
【0102】
<印刷部103>
図12〜
図14に示すように、カートリッジ収容部102の下方には、印刷部103が設けられている。この印刷部103は、第一実施形態の印刷装置1の印刷部3と実質的に同じ機能を有しており、カートリッジ50に保持された状態のTシャツSが提供され、このTシャツSに対してカートリッジ50に保持されたままで印刷を実施するものである。この印刷部103には、操作部105から印刷するデザインに関するデータが送信されるようになっており、このデータに基づいて所定のデザインを印刷する機能を有している。
【0103】
この印刷部103の構造はとくに限定されない。例えば、背面側(
図13では右側)にカートリッジ50が挿入される開口を有する本体部を有しており、開口から挿入されたカートリッジ50の上方に印刷装置を有している構造を採用することができる。このような構造であれば、カートリッジ50に保持されているTシャツSの印刷面に所定のデザインを印刷することができる。なお、上述したように、TシャツSの印刷面が上方を向いた状態となるようにカートリッジ50がカートリッジ収容室102a内に収容されており、カートリッジ搬送部110はその姿勢のままでカートリッジ50を搬送するようになっている。この場合には、上記のような構造の印刷部103であれば、カートリッジ50の向きを変更したり上下を反転したりしなくても印刷ができるので、カートリッジ50の印刷部103への提供を含めた印刷処理を速くできるという利点が得られる。
【0104】
<定着部104>
図12および
図13に示すように、印刷部103の下方には、定着部104が設けられている。この定着部104は、第一実施形態の印刷装置1の定着部4と実質的に同じ機能を有しており、印刷部103で印刷されたTシャツSがカートリッジ50に保持された状態のままで提供され印刷を定着させるものである。
【0105】
この定着部104の構造はとくに限定されない。例えば、背面側(
図13では右側)にカートリッジ50が挿入される開口(供給口)を有する本体部を有しており、供給口から挿入されたカートリッジ50の上方に定着装置を有している構造を採用することができる。このような構造であれば、カートリッジ50を定着部104内に移動させれば、カートリッジ50に保持されているTシャツSの印刷を定着させることができる。なお、上述したように、TシャツSの印刷面が上方を向いた状態で印刷部103によって印刷される場合には、上記のような構造の定着部104であれば、カートリッジ収容部102から印刷部103まで移動する間にカートリッジ50の向きを変更したり上下を反転したりしなくても定着処理ができるので、カートリッジ50の定着部104への提供を含めた定着処理を速くできるという利点が得られる。
【0106】
また、第二実施形態の印刷装置101では、定着部104は、本体部は、その背面側(
図13では右側)にカートリッジ50が挿入される供給口を有する一方、その表面側(
図13では左側)にカートリッジ50を排出する排出口を有している。そして、定着部104は、本体部の排出口とカートリッジ提供部120の商品提供口121とが直列に並ぶように配設されている(
図13参照)。つまり、定着部104の供給口から商品提供口21までが装置の奥行方向に沿って直列に並ぶように設けられている。そして、定着部104の供給口に供給されたカートリッジ50は、供給口から排出口に向かって移動し、排出口を通過して商品提供口121まで移動するようになっている(
図17、
図18参照)。かかる構成とすることによって、カートリッジ50の移動をスムースにすることができ、カートリッジ50の移動時間も短くできるので、顧客へのTシャツSへの提供を含めた時間を短くできるという利点が得られる。
【0107】
とくに、カートリッジ50の移動方向において、定着部104の排出口からカートリッジ提供部120の商品提供口121までの距離が、移動方向のおけるカートリッジ50の長さよりも短くなっていることが望ましい。かかる構成とすれば、定着部104とカートリッジ提供部120の商品提供口121とを直列に並べても、装置の奥行方向の長さ(
図13では左右方向の長さ)を短くできるので、装置をコンパクトにできる。
【0108】
なお、定着部104の排出口やカートリッジ提供部120の商品提供口121には、カートリッジ50の移動に伴って開閉する
蓋部f1、f2を設けてもよい。この場合、筐体外からのいたずらや、手を入れる事による怪我・火傷、埃や異物の侵入などを防ぐことができる。
【0109】
また、定着部104の供給口からカートリッジ提供部120の商品提供口121までのカートリッジ50のカートリッジ50の移動は一つのコンベア装置で行ってもよいし、定着部104内の移動と、定着部104の排出口からカートリッジ提供部120の商品提供口121までの移動と、を別々のコンベア装置で行ってもよい。例えば、定着部104の排出口からカートリッジ提供部120の商品提供口121までは搬送コンベア122で行い(
図13参照)、定着部104内は定着部のコンベア機能で搬送を実施してもよい。別々のコンベア装置でカートリッジ50を移動させれば、定着処理時間をしっかりと取りつつ、定着終了後のカートリッジ50の搬出を迅速に実施することも可能になる。しかし、上記のように、定着部104の排出口からカートリッジ提供部120の商品提供口121までの距離が移動方向のおけるカートリッジ50の長さよりも短くなっている場合には、一つのコンベア装置でカートリッジ50を移動させる方が装置の構造を簡素化できるし、カートリッジ50を安定して移動させることができる。
【0110】
<カートリッジ搬送部110>
図13および
図14に示すように、カートリッジ収容部102、印刷部103および定着部104が上下方向に並んで設けられている部分の背面側(
図13では右側)には、カートリッジ搬送部110が設けられている。このカートリッジ搬送部110は、昇降テーブル111と、昇降テーブル111を昇降させる昇降機構112と、昇降テーブル111の姿勢を調整する姿勢調整機構113(
図19参照)と、印刷部103および定着部104にカートリッジ50を移動させる移載部115と、を備えている。
【0111】
<昇降テーブル111>
図12〜
図14に示すように、カートリッジ搬送部110は昇降テーブル111を備えている。この昇降テーブル111は、カートリッジ収容部102からカートリッジ50を受け取って、印刷部103の位置まで搬送する機能を有している。この昇降テーブル111は、カートリッジ収容部102からカートリッジ50を受け入れることができ、カートリッジ50を載せた状態で移動できる構造となっていればよく、その形状などはとくに限定されない。例えば、昇降テーブル111は、上面が平坦面に形成された板状の部材であって、その後端(カートリッジ収容部102と反対側の端部)にストッパとして機能する壁111bを有する構造を採用することができる(
図14参照)。
【0112】
<昇降機構112>
図12〜
図14に示すように、カートリッジ収容部102の背面側の側方には昇降機構112の支持体112aが設けられている。この支持体112aは、上下方向に沿って延びる板状の部材である。この支持体112aの表面には、スライダ112sが設けられている。このスライダ112sは、支持体112aの表面に設けられた上下方向に沿って延びる案内レール112rに案内されて上下方向に沿って移動できるように設けられている。なお、スライダ112sには、後述する姿勢調整機構113のテーブル保持部113bを介して、昇降テーブル111が取り付けられている。
【0113】
昇降機構112は、スライダ112sを移動させる駆動部を有している。この駆動部は、案内レール112rに沿って昇降テーブル111を昇降させることができる構成であれよく、その機構はとくに限定されない。例えば、昇降テーブル111にワイヤーの一端を連結しておき、ウインチ等によってワイヤーの繰り出し巻取を行って昇降テーブル111を昇降させるようにしてもよい。また、昇降テーブル111に無端チェーンや無端ベルト等の無端部材を連結しておいてもよい。無端チェーンを使用する場合、無端チェーンに噛み合った歯車をモータによって回転させれば、無端チェーンを移動させることによって昇降テーブル111を昇降させることができる。無端ベルトを使用する場合には、無端ベルトが巻き掛けられたプーリを回転させれば、無端ベルトを移動させることができ、無端ベルトの移動に伴って昇降テーブル111を昇降させることができる。もちろん、シリンダ機構やボールネジ機構によって昇降テーブル111を昇降させてもよい。なお、ウインチ等やモータの作動や、シリンダ機構やボールネジ機構の駆動源の作動は操作部105によってその作動が制御される。
【0114】
なお、スライダ112sの上下方向に沿った移動を案内する方法はとくに限定されない。スライダ112sの両側端(
図13では左右方向の端部)を屈曲させて、この両端部が支持体112aの両側端部(
図13では左右方向の端部)に係合した状態としてもよい(
図14参照)。この場合、スライダ112sの移動が、案内レール112rと支持体112aの両端部の両方に案内されるようになるので、スライダ112sの移動を安定させることができる。
【0115】
<姿勢調整機構113>
姿勢調整機構113は、昇降テーブル111の姿勢を調整する機能を有している。具体的には、カートリッジ収容部102からカートリッジ50を受け取る受入姿勢と、印刷部103にカートリッジ50を受け渡す受渡姿勢と、の間で昇降テーブル111の姿勢を調整する機能を姿勢調整機構113は有している(
図19参照)。受入姿勢とは、昇降テーブル111の上面が水平に対してなす角度が、カートリッジ収容部102のカートリッジ収容室102aの底面が水平に対してなす角度とほぼ同じ角度となった姿勢である(
図19(A)参照)。一方、受渡姿勢とは、昇降テーブル111の上面がほぼ水平となった姿勢である(
図19(B)参照)。
【0116】
なお、昇降テーブル111の受入姿勢は、上記姿勢に限られず、カートリッジ収容部102からカートリッジ50を受け入れることができ、かつ、昇降テーブル111の移動中にカートリッジ50が落下しない姿勢であればよい。受入姿勢は、例えば、受渡姿勢とほぼ同じ姿勢でもよい。また、昇降テーブル111の上面が水平に対してなす角度が、カートリッジ収容室102aの底面が水平に対してなす角度と受渡姿勢との中間の角度となる姿勢を受入姿勢としてもよい。さらに、受入姿勢では、昇降テーブル111の上面が水平に対してなす角度が、カートリッジ収容室102aの底面が水平に対してなす角度よりも大きくなるようにしてもよい。この場合、カートリッジ搬送部110の奥行き方向の幅をさらに狭くできる可能性がある。
【0117】
姿勢調整機構113は、支持体112aの表面に設けられた上下方向に沿って延びる姿勢調整レール113rを備えている。この姿勢調整レール113rは、案内レール112rとほぼ平行に設けられたレールであり、上部レールaと下部レールbとを有している(
図19参照)。上部レールaは、カートリッジ収容部102と対応する位置に設けられており、下部レールbは上部レールaよりも下方に設けられている。上部レールaと下部レールbとでは、案内レール112rまでの水平方向の距離が異なるように設けられている。例えば、上部レールaよりも下部レールbの方が姿勢調整レール113rからの距離が長くなるように設けられている(
図19参照)。なお、上部レールaと下部レールbとの間には、両者を繋ぐ連結レールcが設けられている。この連結レールcは、後述するカム部材が上部レールaと下部レールbとの間でスムースに移動できるようにその長さや鉛直方向に対する傾斜角度が調整されている。
【0118】
また、姿勢調整機構113は、スライダ112sに設けられたテーブル保持部113bを有している。このテーブル保持部113bは、昇降テーブル111がその姿勢を変化させることができるように昇降テーブル111を保持する姿勢調整軸を有している。この姿勢調整軸は、その軸方向が水平であってスライダ112sに対してその軸周りに回転可能に設けられている。この姿勢調整軸は、その一端部がスライダ112sに対して支持体112aと反対側に突出しており、この一端部が連結部材などを介して昇降テーブル111に連結されている。一方、姿勢調整軸の他端部は、スライダ112sに対して支持体112a側に突出しており、この他端部にカム部材が設けられている。このカム部材は、スライダ112sが上下方向に沿って移動すると、姿勢調整レール113rに倣って移動するように設けられている。そして、姿勢調整レール113rの上部レールaに倣って移動している状態では昇降テーブル111が受入姿勢となるように姿勢調整軸の回転角度を維持し、姿勢調整レール113rの下部レールbに倣って移動している状態では昇降テーブル111が受渡姿勢となるようにカム部材は設けられている。
【0119】
姿勢調整機構113が以上のような構成であるので、昇降機構112の駆動部によってスライダ112sを移動させれば、昇降テーブル111の姿勢を、受入姿勢と受渡姿勢との間で姿勢との間で変化させることができる。
【0120】
なお、姿勢調整機構113は上述した構造に限られない。上記とは異なるカム機構で昇降テーブル111の姿勢を調整してもよいし、カム機構を使用せずに、姿勢調整軸をモータなどによって回転させて昇降テーブル111の姿勢を調整してもよい。
【0121】
<移載部115>
図12〜
図14に示すように、印刷部103および定着部104の背面側には、移載部115が設けられている。この移載部115は、受渡テーブル116を備えている。この受渡テーブル116は、その背面側の端部(基端部)が移載部115のフレーム部115fに軸支されており、その表面側の端部部(先端部)が基端部を支点として上下方向に揺動できるように設けられている。具体的には、その上面が水平になった状態と(
図16、
図21(A)参照)、その上面が基端から先端に向かって下傾した状態と(
図15、
図20(A)参照)、の間で揺動できるように設けられている。しかも、受渡テーブル116は、その上面が水平になった状態では、その上面が印刷部103の開口の底面とほぼ同じ高さになり(
図16参照)、下傾した状態では、その先端が定着部104の供給口の近傍(開口よりも背面側)に位置するように設けられている(
図13、
図17、
図18参照)。
【0122】
また、受渡テーブル116は、受渡テーブル116の下方に設けられたリンク機構117rによって作動するようになっている。このリンク機構117rは、後述するアーム118の移動に連動して揺動するようになっている。このリンク機構117rの構造はとくに限定されない。例えば、受渡テーブル116の下面に上端が回動可能に連結された上方リンクr1と、上端が上方リンクr1の下端に回動可能に連結され下端が受渡テーブル116より下方のフレーム等に回動可能に連結された下方リンクr2と、アーム118によって移動される軸部材r3と、受渡テーブル116と下方のフレーム等の間で伸縮し受渡テーブル116を上方に付勢する付勢部材r4(例えば、バネやシリンダ等)と、を有するものを挙げることができる(
図23、
図24参照)。この場合、上方リンクr1と下方リンクr2とが伸展した状態では、上方リンクr1と受渡テーブル116との連結部分および上方リンクr1と下方リンクr2との連結部分が下方リンクr2と下方のフレームとの連結部分よりも前方に位置するように設ける。また、軸部材r3を、上方リンクr1と下方リンクr2とを回動可能に連結する軸として使用する。そして、軸部材r3の一端部が、アーム118に設けられたフック118fの移動経路かつフック118fよりも背面側に位置するように配設する。さらに、付勢部材r4を、上端部および下端部が受渡テーブル116および下方のフレームにそれぞれ回動自在に連結され、受渡テーブル116が下傾すると収縮し、受渡テーブル116の先端を上方に揺動させる方向に付勢するように配設する。かかる構成とすれば、アーム118が印刷部103から離間し一定以上背面側に移動すると、アーム118のフック118fによって軸部材r3が背面側に押されるように移動する。すると、軸部材r3は、上方リンクr1と下方リンクr2とが伸展した状態よりも背面側に移動するので、上方リンクr1と下方リンクr2とが屈曲し、受渡テーブル116は下方に揺動する。このとき、付勢部材r4は収縮する。一方、アーム118が印刷部103に向かって移動すると軸部材r3を背面側に押す力が除去されるので、付勢部材r4が伸展して受渡テーブル116が上方に揺動する。すると、上方リンクr1と下方リンクr2とが伸展した状態となり、受渡テーブル116は、リンク機構117rによって水平な状態に維持される。なお、アーム118と軸部材r3とが連結されていれば、付勢部材r4が無くても、アーム118の移動に伴って受渡テーブル116の姿勢を上述したように変更することができる。
【0123】
<カートリッジ移動部117>
移載部115は、印刷部103の側方(姿勢調整機構113の支持体112aと逆側の側方)にサイドプレート115aを備えている。このサイドプレート115aには水平に伸びる移動レール115rが設けられており(
図20、
図21、
図23、
図24参照)、この移動レール115rには、移動レール115rに沿って移動し印刷部103に対して接近離間するカートリッジ移動部117のアーム118が設けられている。このアーム118は、印刷部103の側方であって、サイドプレート115aの内方に設けられたベルトプーリー機構(図示せず)によって移動するようになっている。このベルトプーリー機構は、操作部105の指示によってその作動が制御されている。
【0124】
なお、アーム118を移動させる機構はとくに限定されず、種々の機構を採用することができる。例えば、ウインチ等によってワイヤーの繰り出し巻取りする機構や、チェーンスプロケット機構、シリンダ機構やボールネジ機構等の公知の機構を採用することができる。
【0125】
また、アーム118は、印刷部103から最も離間した位置では、印刷部103の位置に配置されたカートリッジ50の背面(印刷部103と逆側の面)よりも躯体102aの背面側に位置するように設けられている。言い換えれば、このアーム118は、印刷部103から最も離間した位置では、印刷部103の位置に配置されたカートリッジ50を印刷部103との間に挟むように設けられている。このアーム118には、ソレノイドなどで出没する爪が設けられている。具体的には、突出するとカートリッジ50に係合し引っ込むとカートリッジ50を開放するように爪が設けられている。
【0126】
カートリッジ移動部117が以上のような構成を有しているので、爪をカートリッジ50に係合させた状態でベルトプーリー機構によってアーム118を移動させれば、安定してカートリッジ50を印刷部103に接近させたり離間させたりすることができる。また、カートリッジ50を印刷部103に接近させた状態でカートリッジ50から爪を開放すれば、カートリッジ50を印刷部103に供給できる。また、カートリッジ50を印刷部103から離間させた状態でカートリッジ50から爪を開放すれば、カートリッジ50が受渡テーブル116の上面に沿って下方に移動できる状態にすることができる。なお、爪は、カートリッジ50を印刷部103に接近させるときにはカートリッジ50に係合させず、カートリッジ50を印刷部103から離間させるときにのみカートリッジ50に係合させるようにしてもよい。
【0127】
なお、上記アーム118が特許請求の範囲にいうカートリッジ移動部の移動部材に相当する。また、ベルトプーリー機構が特許請求の範囲にいう移動機構に相当する。さらに、が、リンク機構117rが特許請求の範囲にいうカートリッジ搬送部の移載部の揺動機構に相当する。カートリッジ移動部の移動部材、移動機構、カートリッジ搬送部の移載部の揺動機構は、上記のような構造に限定されない。
【0128】
<第二実施形態の印刷装置101の作動>
上述した第二実施形態の印刷装置101によって顧客がTシャツSを作成する操作を説明する。
【0129】
<第一実施形態の印刷装置1の作動>
上述した第一実施形態の印刷装置1によって顧客がTシャツSを作成する操作を
図13、
図15〜
図17、
図20〜
図22に基づいて説明する。
【0130】
まず、操作部105を操作して、顧客はTシャツSに印刷するデザインを選択する。また、デザインの編集や加工などを行う場合には、デザインの編集作業を行う。なお、TシャツSのサイズや色などもこのときに選択する。そして、印刷するデザイン等が決定したら、印刷開始の指示を行う。
【0131】
印刷開始が入力されると、操作部5は、デザインに関する情報を印刷部103に送信するとともに、入力されたサイズや色のTシャツSを保管しているカートリッジ収容部102のカートリッジ収容室102aの位置までカートリッジ搬送部110の昇降テーブル111を移動させる(
図13参照)。この状態では、昇降テーブル111はその上面が傾斜した受入姿勢で移動する。
【0132】
昇降テーブル11が所定の位置まで移動すると、保持機構2bによって上記カートリッジ収容室102a内のカートリッジ50を解放する。すると、カートリッジ50はカートリッジ収容室102a内を滑り落ちで、昇降テーブル11上に載せられた状態になる。すると、昇降テーブル111は印刷部103の位置まで下降する(
図15参照)。所定の位置とは、受入姿勢となっている昇降テーブル111の上端がカートリッジ収容室102aの開口の近傍に配置される位置である。
【0133】
昇降テーブル111は印刷部103の位置まで下降する間に、姿勢調整機構113によって受入姿勢から受渡姿勢にその姿勢が変化する。そして、印刷部103の位置まで昇降テーブル111が下降すると、昇降テーブル111上のカートリッジ50は移載部117のアーム118によって押されて印刷部103まで移動される。カートリッジ50が所定の位置まで移動すると、カートリッジ50は印刷部103の引き込み機能によって印刷部103内に引き込まれる(
図16、
図21参照)。そして、印刷部103において、カートリッジ50に保持されているTシャツSに所定のデザインが印刷される。
【0134】
なお、アーム118は、印刷部103による印刷が完了するまで印刷部103に接近した状態に保持される。このため、受渡テーブル116はその上面が水平になった状態に維持される(
図21(A)参照)。
また、アーム118によって印刷部103にカートリッジ50が供給されると、昇降テーブル111は上昇し、次のカートリッジ50を受け入れるための待機状態に維持される。待機状態では、昇降テーブル111は、通常、受入姿勢となる位置まで上昇される(
図16、
図21参照)。
【0135】
印刷が完了しカートリッジ50が印刷部103から排出されると、カートリッジ50は爪によってアーム118に連結される。そして、アーム118とともによってカートリッジ50は印刷部103から離間するように移動され、最も離れた位置までアーム118が移動すると、カートリッジ50は爪から解放される。このとき、昇降テーブル111は上方に移動しており、受渡テーブル116は下傾した状態となっているので、カートリッジ50は受渡テーブル116を滑り落ちて定着部104の供給口に供給される(
図17、
図21(B)、
図22(A))。
【0136】
定着部104の供給口に供給されたカートリッジ50は、定着部104内を供給口から排出口に向かって移動される(
図22(B)参照)。このとき、カートリッジ50に保持されているTシャツSに定着処理が実施される。
【0137】
カートリッジ50は、定着部104の排出口から排出されると、商品提供口121まで移動し、商品提供口121から排出される(
図18)。商品提供口121からカートリッジ50が排出されると、カートリッジ50を顧客が受け取ることができるので、カートリッジ50からTシャツSを取り出せば、顧客は所定のデザインが印刷されたTシャツSを受け取ることができる。
【0138】
<各装置の作動制御について>
上記説明では、印刷装置1および印刷装置101の各部の作動制御を操作部5や操作部105によって制御する場合を説明した。一方、操作部5や操作部105は顧客がTシャツSに印刷するデザインを選択したり顧客の情報を入力したりする機能のみを有するものとし、各部の作動制御は別に設けた操作基板で行うようにしてもよい。この場合、操作部5や操作部105によってデザインの選択等を実施している間も、操作基板による制御で印刷装置1による印刷などの作業を実施させることができる。すると、一つのTシャツ等に印刷を実施してから他のTシャツ等を印刷するまでの時間を短くできるという利点が得られる。
【0139】
また、カートリッジ提供部20に印刷されたTシャツを保管容器25に保管しておく機能を設けた場合には、操作部5や操作部105とは別に、保管容器25から印刷済みのTシャツを取り出す操作を行う操作部を設けてもよい。かかる操作部を設ければ、他の顧客が操作部5や操作部105を操作している間も、既に印刷が終了している顧客が印刷済みのTシャツを受け取ることができる。すると、印刷済みのTシャツを受け取りにきた顧客は、他の顧客の操作終了を待たずに受け取りができるので、顧客の利便性を高めることができる。
【解決手段】TシャツSが収容されたカートリッジ50を保持するカートリッジ収容部2と、TシャツSに印刷を行う印刷部3と、印刷部3で印刷されたTシャツSの印刷部分SDを定着させる定着部4と、定着部4で印刷部分SDが定着されたTシャツSが収容されているカートリッジ50を排出するカートリッジ提供部30と、カートリッジ収容部2と、印刷部3と、定着部4と、の間でカートリッジ50を移動させるカートリッジ搬送部10と、TシャツSに印刷するデザインを選択し印刷部3に対する印刷指示を入力する操作部5と、を備えており、カートリッジ収容部2、印刷部3、定着部4が、上下方向に並んで配置されている。