特許第6656712号(P6656712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656712生体液を連続処理して成分に分離するための装置、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656712
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】生体液を連続処理して成分に分離するための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B04B 5/04 20060101AFI20200220BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20200220BHJP
   A61M 1/02 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   B04B5/04
   B04B11/02
   A61M1/02 125
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-554578(P2017-554578)
(86)(22)【出願日】2016年1月11日
(65)【公表番号】特表2018-519149(P2018-519149A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】IB2016050107
(87)【国際公開番号】WO2016178100
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2018年12月25日
(31)【優先権主張番号】00627/15
(32)【優先日】2015年5月7日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】501243775
【氏名又は名称】ビオセフ エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100129229
【弁理士】
【氏名又は名称】村澤 彰
(72)【発明者】
【氏名】カミザニ,ジュリアン ピエール
(72)【発明者】
【氏名】シュブレ,ヤニック アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】マト サバ,ポー
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭55−500526(JP,A)
【文献】 実公昭44−021416(JP,Y1)
【文献】 特表2008−528066(JP,A)
【文献】 特表2002−533171(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B
A61M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 回転軸のまわりを回転可能な中空遠心処理室(10)と、
− 前記中空遠心処理室(10)のより細い頸部(14)とそのまわりに取り付けられる動的又は静的な入口/出口ヘッド(20)とを備え、
前記中空遠心処理室(10)は、処理される生体液を受けるために空間(19)を囲む内側円筒形壁(16)とより細い前記頸部(14)につながる傾斜上壁(12)を有し、前記頸部(14)は、前記内側円筒形壁(16)及び前記傾斜上壁(12)から軸方向に伸び、かつ処理される生体液のための、及び前記体液の処理された成分のための第1入口/出口(29)と連通し、前記内側円筒形壁(16)、前記傾斜上壁(12)及びより細い前記頸部(14)はすべて一体的であり、そこで、生体液を受けるための前記中空遠心処理室(10)の前記空間(19)は、前記内側円筒形壁(16)の対向する部分間と前記内側円筒形壁(16)の長さに沿った前記中空遠心処理室(10)にわたる全容積を占め、前記空間(19)は、前記中空遠心処理(10)の下部(10B)によって区切られる所定の容積又は前記内側円筒形壁(16)の中の軸方向に可動な部材(18)の位置によって区切られる可変容積を有し、
前記入口/出口ヘッド(20)は、前記中空遠心処理室(10)ともに回転可能な第1部分(22)及び静止したままである第2部分(24)を有し、前記入口/出口ヘッド(20)の前記第1部分(22)前記第2部分(24)は、前記第2部分(24)と関連して前記第1部分(22)の回転を可能にする封止手段(26)により連結され、前記入口/出口ヘッド(20)は、処理される生体液の入口及び前記生体液の処理/分離された成分の出のための中心貫通路を有する、生体液を処理して成分に分離するための装置であって、
前記装置は、前記中空遠心処理室(10)に挿入されかつ前記中空遠心処理室(10)とともに回転可能であるフローガイド(30)を更に備え、前記フローガイド(30)は、前記中空遠心処理室(10)の前記傾斜上壁(12)によって傾斜フロー通路(32)を画成するために、前記中空遠心処理室(10)の前記傾斜上壁(12)に隣接して、それから僅かに間隔を置いて、それと形状適合した関係で設置され、前記フローガイド(30)は、処理される生体液を受けるための前記空間(19)より上に配置され、その傾斜フロー通路(32)は、前記中空遠心処理室(10)の前記内側円筒形壁(16)の最上部につながり、そこで、前記入口/出口ヘッド(20)は、
− 上端部及び/又はその横の側で前記入口/出口ヘッド(20)の静止した前記第2部分(24)に配置される第1入口/出口(29)及び第2入口/出口(40)と、
− 前記入口/出口ヘッド(20)の別々の第1及び第2の軸方向に向けられた通路を画成する、前記入口/出口ヘッド(20)の前記中心貫通路における軸セパレータ(28a, 28b)と、
− 前記第1入口/出口(29)及び前記第2入口/出口(40)の一方に連通する前記第1及び第2の軸方向に向けられた通路の一方の上部、並びに前記第1入口/出口(29)及び前記第2入口/出口(40)の他方に連通する前記第1及び第2の軸方向に向けられた通路の他方の上部と、
− 処理される生体液を受けるために前記中空遠心処理室(10)の前記空間(19)に連通する前記第1及び第2の軸方向に向けられた通路の一方の下部、並びに前記フローガイド(30)と前記中空遠心処理室(10)の前記傾斜上壁(12)の間の前記傾斜フロー通路(32)に連通する前記第1及び第2の軸方向に向けられた通路の他方の下部と、
を備え、
前記装置は、処理される生体液が前記第1入口/出口(29)及び前記第2入口/出口(40)の一方を経由して入ることができるともに、処理された生体液が前記第1入口/出口(29)及び前記第2入口/出口40)の他方を経由して同時に放出される、連続フローモードで動作可能であるように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記入口/出口ヘッド(20)の静止した前記第2部分(24)は、外側の大体円筒状の本体からなり、前記第1入口/出口(29)は前記入口/出口ヘッド(20)の軸入口/出口であり、及び前記第2入口/出口(40)は前記大体円筒状の本体の横側にある横の入口/出口である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中空遠心処理室(10)の上方へ突出する細長い前記頸部(14)は、前記頸部(14)の上端が記第2入口/出口(40)に隣接するまで前記入口/出口ヘッド(20)の回転可能な前記第1部分(22)の内部に伸びる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記入口/出口ヘッド(20)の前記封止手段(26)は、前記第2入口/出口(40)の一方の側の軸方向に位置する第1封止及び前記第2入口/出口(40)の他方の側の軸方向に位置する第2封止を備える請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記軸セパレータ(28a,28b)は、前記入口/出口ヘッド(20)の静止した前記第2部分(24)に伸びる静止した軸方向外側部分(28b)及び前記フローガイド(30)の中心部に連結する回転可能な軸方向内側部分(28a)からなる中心管であり、前記中心管の前記回転可能な軸方向内側部分(28a)は、前記フローガイド(30)と前記中空遠心処理室(10)の前記傾斜上壁(12)の間の前記傾斜フロー通路(32)に連通する請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記入口/出口ヘッド(20)の回転可能な前記第1部分(22)は、前記入口/出口ヘッド(20)の静止した前記第2部分(24)の内部に設置される請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
(i) 前記中空遠心処理室(10)の前記傾斜上壁(12)は、前記フローガイド(30)の上面のように円錐台形であり、
(ii) 前記フローガイド(30)は、前記中空遠心処理室(10)の前記頸部(14)に嵌入する中心スリーブ(36)を有し、対向する円錐台面の間に数ミリメートルの空間を残し、
(iii) 前記軸方向内側部分(28a)の下端は、前記フローガイド(30)の前記中心スリーブ(36)に嵌入し、かつ前記対向する円錐台面の間の前記傾斜フロー通路(32)に連通し、及び
(iv) 前記フローガイド(30)は、その軸セパレータ(28a, 28b)の外側で前記中空遠心処理室(10)の内部を前記入口/出口ヘッド(20)の前記中心通路に連通させるその中心スリーブ(36)において、少なくとも一つの貫通路(34)の形をした開口を備える請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記フローガイド(30)は、前記フローガイド(30)の円錐台上面の周囲から伸びる外側円筒形の周囲リム(38)を備え、前記周囲リム(38)は、前記中空遠心処理室(10)の前記内側円筒形壁(16)と前記傾斜上壁(12)とが交差するところで前記中空遠心処理室(10)の前記内側円筒形壁(16)に適合する請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記中空遠心処理室(10)は、その内側円筒形壁(16)の中に軸方向に可動な部材(18)、例えば可変容積の分離空間を画成するピストンを含み、そこで、処理されて分離される生体液が受け取られる請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記中空遠心処理室(10)は、処理されて分離される生体液及び分離された成分を受けるための一組の容器(52,54,56)並びに任意に付加溶液のための一つ以上の追加容器からなる処理可能なセットの一部である請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記中空遠心処理室(10)を受けるためのキャビネット(60)を更に備え、前記キャビネット(60)は、前記中空遠心処理室(10)を駆動するための駆動手段を有する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記中空遠心処理室(10)の入口/出口のための閉塞部材を更に備え、前記閉塞部材は、前記処理可能なセットの管に作用するクリップ又はピンチバルブ、及び/又は前記処理可能なセットに含まれ、及び/又は前記中空遠心処理室(10)を受けるためのキャビネット(60)に取り付ける栓(58)である請求項11に記載の装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の前記装置を備え、かつ前記第1入口/出口(29)及び前記第2入口/出口(40)の一方を通して入って来る生体液をポンプ移送するために、及び/又は前記第1入口/出口(29)及び前記第2入口/出口(40)の他方を通して抽出された被処理生体液成分をポンプ移送するために少なくとも一つの蠕動ポンプ(59)を更に備える、生体液を処理して成分に分離するためのシステム。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の前記装置又は請求項13に記載のシステムを使用して生体液を処理して成分に分離する方法であって、
(a) 前記第2入口/出口(40)を閉じて、前記第1入口/出口(29)を経由して前記中空遠心処理室(10)を生体液で満たすステップと、
(b) 前記生体液の種々の成分を前記中空遠心処理室(10)の前記内側円筒形壁(16)上に又は前記中空遠心処理室(10)空間(19)に分離するために、前記中空遠心処理室内の前記生体液を遠心分離するように前記中空遠心処理室(10)を回転させるステップと、
(c) 前記中空遠心処理室(10)の内部に分離した成分を前記第2入口/出口(40)を経由して、同時に抽出するともに、生体液による前記中空遠心処理室(10)の充填が行われる連続処理モードで作動するステップと、
(d) 前記第1入口/出口(29)を閉鎖し、それによって前記中空遠心処理室(10)はもはや生体液で満たされず、そして前記第2入口/出口(40)を経由して前記中空遠心処理室(10)の内部に分離した成分を抽出し続けるステップと、
(e) 前記第2入口/出口(40)を閉鎖し、それによって前記中空遠心処理室(10)の内部に分離した被処理成分はもはや前記第2入口/出口(40)を経由して抽出されず、そして前記中空遠心処理室(10)の前記内側円筒形壁(16)上に分離した成分を前記第1入口/出口(29)を経由して抽出するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
生体液による前記中空遠心処理室(10)の充填は、ポンプ移送によって、及び/又は前記中空遠心処理室(10)内で前記軸方向に可動な部材(18)により画成される可変容積の分離空間の容積を変えるためにピストンのような前記軸方向に可動な部材を移動させることによってもたらされるか又はそれによって助けられる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
成分は、ポンプ移送によって、前中空遠心処理室(10)から抽出される請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(c)の連続処理は、前記中空遠心処理室(10)の最大分離容積を超える生体液の量を処理/分離し続ける請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(e)の直前に、及び/又はその間に、前記中空遠心処理室(10)は、前記中空遠心処理室(10)の前記内側円筒形壁(16)に付着した分離された成分をほぐし、及び/又は混合するために、反対方向に加速/減速され、及び/又は回転する請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(b)の間に遠心分離することは、ステップ(c)及び(d)の間に、連続的に又は不連続的に続けられる請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体液を処理して成分に分離するための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、詳細には生体液を処理して特許文献1及び特許文献2から公知のタイプの成分に分離するための装置、システム及び方法に関する。この種の周知の装置は、回転軸のまわりを回転可能な中空遠心処理室からなる。処理室は、通常、処理される生体液を受けるための空間を囲む内側円筒形壁を有し、そして処理される生体液のための、及び体液の処理された成分のための入口/出口を備えた頸部につながる傾斜上壁を有する。生体液を受けるための中空処理室の空間は、内側円筒形壁の対向する部分の間に、そして円筒形壁の長さに沿って中空処理室全体の全ての容積を占め、前記空間は、中空円筒形室の下部によって区切られる所定の容積又は円筒形壁の中で軸方向に可動な部材の位置によって区切られる可変容積を有する。装置は、処理室の頸部に取り付けられる動的又は静的な入口/出口ヘッド又は「回転封止」も備える。入口/出口ヘッドは、処理室とともに回転可能な第1部分及び静止したままである第2部分を有する。入口/出口ヘッドの第1及び第2部分は、第2部分と関連して第1部分の回転を可能にする封止手段を有する。入口/出口ヘッドは、処理される生体液の入口及び体液の処理された/分離された成分の出口のための中心貫通路を有する。
【0003】
概して、遠心処理室は、軸方向に可動な部材、例えば、可変容積の分離空間(そこでは処理されて分離される生体液が受け入れられる)を画成するピストンをその円筒形壁の中に含む。この部材を軸方向に移動することによって、生体液を出し入れすることができる。
【0004】
この周知の装置はシステムの一部を形成し、そこで、処理室は、一方では処理されて分離される生体液、及び他方では分離された成分を受けるための複数の容器、並びに任意に付加溶液のための一つ以上の追加容器からなる処理可能なセットの一部である。
【0005】
周知の装置及びシステムは、全血、アフェレーシス血液、骨髄血液及び膨張細胞又は幹細胞を含む多くの種類の生体液を処理して分離するのに適している。しかしながら、一度に処理/分離できる生体液の量は、処理室の分離空間の最大容積により制限される。従って、この周知の装置及びシステムによって大量の生体液を処理するために、単一の装置で次々と複数の処理可能なセットを用いる手段を使うか又はマルチプロセシング装置で同時にいくつかの処理可能なセットを動かすことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP−B−0912250
【特許文献2】EP−B−1144026
【特許文献3】国際公開第2012/137086号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生体液を処理して分離するための他の装置は公知であるが、それらの構造は、特許文献2のそれと互換性がなくて、それらは特許文献2と同じ利点を達成できない。例えば、特許文献3は、処理される血液を受けるために狭い隙間をその間に画成する回転可能なハウジング内に配置される回転可能な内側ボウルを備えた血液遠心装置を記載している。静止した構造は、血液を上部の入口から下部(そこでそれは狭い隙間の底端部に移る)に送るために装置の中央軸線に沿って中央凹部に配置される。隙間の最上部で、セパレータは血液成分を分離する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、連続処理フロー機構をピストンのような軸方向に移動可能な要素の移動による可変サイズ処理室と有利に結合することによって、全血、アフェレーシス血液、骨髄血液及び培養技術による膨張細胞又は幹細胞を含む、大量の生体液から生体液成分を、非常に少ない量まで沈殿させて分離する能力を有する処理可能な遠心処理室と結合して動作する改良型の携帯機器を以下のラインに沿って提案することによって周知の装置/システム特許文献2の前述の制限を克服することである。
【0009】
本発明の一態様に従って、処理室に挿入されてそれとともに回転可能なフローガイドを更に備える上述のタイプの装置が提供される。フローガイドは、処理室の傾斜上壁によって、傾斜した、好ましくは環状の流路を画成するために、処理室の傾斜上壁に隣接し、それから僅かに間隔を置いて、それと形状適合した関係で設置される。フローガイドは、処理される生体液を受けるために前記空間より上に配置されて、その傾斜流路は、処理室の内側円筒形壁の最上部につながる。
【0010】
この改良装置において、入口/出口ヘッドは、第1入口/出口及び第2入口/出口(第1及び第2入口/出口は、その上端部及び/又は側面で入口/出口ヘッドの静止した第2部分に配置される)並びに入口/出口ヘッドの中心貫通路の軸セパレータ(軸セパレータは、入口/出口ヘッドで別々の第1及び第2の軸方向に向けられた通路を画成する)を備える。
【0011】
第1及び第2の軸方向に向けられた通路の一方の上部は、第1及び第2入口/出口の一方に連通して、第1及び第2の軸方向に向けられた通路の他方の上部は、第1及び第2入口/出口の他方に連通する。更に、第1及び第2の軸方向に向けられた通路の一方の下部は、処理される生体液を受けるために処理室の前記空間に連通して、第1及び第2の軸方向に向けられた通路の他方の下部は、フローガイドと処理室の傾斜上壁の間の傾斜流路に連通する。
【0012】
発明の装置は、それが処理される生体液が第1及び第2入口/出口の一方を経由して注入されることができる連続フローモードで動作可能であるとともに、処理された生体液が第1及び第2入口/出口の他方を経由して同時に放出されるように配置される。
【0013】
一実施形態において、軸セパレータは、入口/出口ヘッドの中心貫通路を通って伸びる中心管であり、中心管は、(i)入って来る生体液を中心管の内部を通って、そしてフローガイドと処理室の前記傾斜上壁の間の空間を通って処理室の内側円筒形壁に供給するために、そして(ii)処理室の前記傾斜壁で分離されてフローガイドと処理室の前記傾斜上壁の間の空間を通過する処理された体液成分を抽出するために連結する。
【0014】
この改良装置において、フローガイドを越えて(即ち下に)位置する処理室の内部は、例えば、フローガイドの開口を経由して入口/出口ヘッドの前記中心管の外側の入口/出口ヘッドの中心貫通路と流体連通することができ、そして入口/出口ヘッドの静止した第2部分は、処理された生体液成分の処理室の内部からの抽出のために出口を有し、前記出口は、前記中心管の外側の入口/出口ヘッドの前記中心貫通開口と流体連通する。
【0015】
一実施形態において、入口/出口ヘッドの静止した第2部分は、外側の大体円筒状の本体から成り、そして前記出口は、大体円筒状の本体の側面にある横の出口である。この実施形態において、処理室は、横の出口のレベルに隣接するまで入口/出口ヘッドの回転可能な第1部分の内部に伸びる上方へ突出する細長い中心頸部を有することができる。また、この場合、入口/出口ヘッドの封止手段は、横の出口の一方の側に軸方向に位置する第1封止及び横の出口の他方の側に軸方向に位置する第2封止を備えることができる。
【0016】
中心管のような軸セパレータは、入口/出口ヘッドの静止した第2部分において伸びる静止した軸方向外側部分及びそれとともに回転するためにフローガイドの中心部分に連結する回転可能な軸方向内側部分を備えることができる。この実施形態において、中心管の内側部分は、フローガイドと処理室の傾斜上壁の間の空間に連通している。
【0017】
入口/出口の回転可能な第1部分は、概して、入口/出口ヘッドの静止した第2部分に位置する。第1入口/出口は、概して、入口/出口ヘッドの軸方向入口/出口であり、そして第2入口/出口は入口/出口ヘッドの側面にある。
【0018】
装置の特定の実施形態において、(i)処理室の傾斜上壁は、フローガイド又はダイバータ/インバータの上面のように円錐台形であり、(ii)フローガイドは、対向する円錐台表面の間に数ミリメートルの空間を残す処理室の頸部に嵌入する中心スリーブを有し、(iii)軸セパレータを形成する中心管の下端は、フローガイドの中心スリーブに嵌入し、そして対向する円錐台表面の間の前記空間に連通し、そして(iv)フローガイドの前記開口は、処理室の内部をその中心管の外側で入口/出口ヘッドの中央通路に連通させるその中心スリーブにおいて、少なくとも一つの貫通路、好ましくは3つの均等に分散された貫通路の形をしている。
【0019】
フローガイド又は「ダイバータ/インバータ」は、概して、フローガイドの円錐台形上面の周辺から伸びる外部の円筒形の周囲リムを備える。この周辺円筒形リムは、処理室の内側円筒形壁と傾斜上壁とが交差するところで、処理室の内側円筒形壁に適合し、小さい空間を残す。
【0020】
周知の装置のように、処理室は、通常、その円筒形壁の中に軸方向に可動な部材、例えば、処理されて分離される生体液が受け入れられる可変容積の分離空間を画成するピストンを含む。また、周知の装置のように、本発明による装置の処理室は、処理されて分離される生体液及び分離された成分を受けるための一組の容器、並びに任意に付加溶液のための一つ以上の追加容器からなる処理可能なセットの一部である。本発明による装置はまた、好ましくは、処理室を受け入れるためのキャビネットを更に備え、キャビネットは、遠心処理室を駆動するための駆動手段及び好ましくは処理室のピストンのような軸方向に可動な部材の軸位置を制御するための手段も有する。
【0021】
本発明による装置はまた、好ましくは、処理室の入口/出口のための閉塞部材を備え、前記閉塞部材は、処理可能なセットの管に作用するクリップ又はピンチバルブ、及び/又は処理可能なセットに含まれ、及び/又は処理室を受け入れるためのキャビネットに取り付けられる栓である。
【0022】
本発明の別の態様は、前述した装置を備え、そして中心管の内部を通して入って来る生体液をポンプ移送するために、及び/又は抽出された被処理生体液成分を中心管を経由してポンプ移送するために、及び/又は抽出された被処理生体液成分を入口/出口ヘッドの第2部分の前記出口を経由してポンプ移送するために少なくとも一つの蠕動ポンプを更に備える、生体液を処理して成分に分離するためのシステムである。
【0023】
このシステムは、入って来る生体液を中心管の内部を通して処理室にポンプ移送するように動作可能な第1蠕動ポンプ及び抽出された被処理生体液成分をアダプタヘッドの第2部分の前記出口を経由してポンプ移送するように動作可能な第2主蠕動ポンプを任意に備え、第1及び任意の第2蠕動ポンプは、同時に連続フロー処理を施すために任意に動作可能である。しかしながら、連続フローは、また、好ましくは単一の蠕動ポンプによって達成できる。
【0024】
本発明の別の態様は、上記のように装置又はシステムを用いて生体液を処理して成分に分離する方法であり、方法は次のステップを含む。
(a) 入口/出口ヘッドの第2入口/出口を閉じて、例えばアダプタヘッドの第2部分の横の出口を閉じて、入口/出口ヘッドの第1入口/出口、例えば中心管を経由する軸入口を経由して処理室を生体液で満たすステップ、
(b) 生体液の種々の成分を処理室の内側円筒形壁上に又はより軽いか不用な成分を処理室の内側に分離するために、処理室を回転させて、室内の生体液を遠心分離するステップ、
(c) 連続処理モードで作動し、そこで、同時に、第2入口/出口、例えば入口/出口ヘッドの第2部分の横の出口を経由して、処理室の内部に分離した不用な又は軽い成分を抽出するとともに、第1入口/出口を経由して、例えば中心管を経由して処理室を生体液で満たすことが行われるステップ、
(d) 前記第1入口/出口を閉じ、それによって、処理室は生体液でもはや満たされなくて、例えば横の出口を経由して成分を抽出し続けるステップ及び
(e) 前記第2入口/出口、例えば横の出口を閉じ、それによって、処理室の内部に分離した被処理成分は前記出口を経由してもはや抽出されなくて、第1入口/出口を通して、例えば前記中心管を経由して、処理室の内側円筒形壁に分離した成分を抽出するステップ。
【0025】
この方法では、処理室を生体液で満たすこと及び/又は成分を抽出することは、ポンプ移送によって、好ましくは外部蠕動ポンプによって、及び/又は処理室において、軸方向に可動な部材により画成される可変容積の分離空間の容積を変えるためにピストンのような軸方向に可動な部材を移動させることによって、好ましくはもたらされるか又は支援される。
【0026】
成分は、ポンプ移送によって、好ましくは蠕動ポンプによって前記第2出口を経由して好ましくは抽出される。好ましい実施形態において、ステップ(c)の連続処理の間に、生体液は、蠕動ポンプによるポンプ移送によって、処理室に連続的に供給されて、分離された成分は、蠕動ポンプによるポンプ移送によって連続的に抽出される。
【0027】
記載されている方法の利点は、ステップ(c)の連続処理が処理室の最大分離容積を超える生体液の量を処理/分離し続けることができるということである。
【0028】
ステップ(e)の直前及び/又はその間に、遠心処理室は、処理室の内側円筒形壁に付着した分離された成分を解き、及び/又は混合するために、加速/減速され、及び/又は反対方向に回転できる。
【0029】
ステップ(b)の間の遠心分離は、概して、ステップ(c)及び(d)の間に連続的に又は不連続的に続けられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、添付図面を参照して例として説明される。
【0031】
図1A】従来技術による、その入口/出口ヘッドを備えた処理室の上部の断面図である。
図1B】その入口/出口ヘッドを備えた本発明による処理室の上部の断面図である。
図1C】入って来る生体液及び出て行く処理された成分のフローを図式的に示す、図1Bのような、発明の処理室の図である。
図1D】静止部分及び回転部分を図式的に示す、図1Bのような、発明の処理室の入口/出口ヘッドの図である。
図2】フローガイド又はダイバータ/インバータの3つの図を平面図、側面図及び斜視図で示す。
図3a】連続フロー処理室の変形例を示す。
図3b】連続フロー処理室の変形例を示す。
図3c】連続フロー処理室の変形例を示す。
図4A】本発明の処理室を含む処理可能なセットの実施例を示す。
図4B】本発明の処理室を含む処理可能なセットの別の実施例を示す。
図5】本発明の処理室を受け入れるためのキャビネットの斜視図である。
図6】本発明の処理室を受け入れるための別のキャビネットの斜視図である。
図7】2つの部分おいて、主処理シーケンスのフロー図を示す。
図8A】動作のいろいろな段階の間の本発明による処理室を図式的に示す。
図8B】動作のいろいろな段階の間の本発明による処理室を図式的に示す。
図8C】動作のいろいろな段階の間の本発明による処理室を図式的に示す。
図8D】動作のいろいろな段階の間の本発明による処理室を図式的に示す。
図8E】動作のいろいろな段階の間の本発明による処理室を図式的に示す。
図9】ピストンのない処理室の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1Aは、特許文献1から公知のタイプの従来装置の上部を示す。この種の周知の装置は、回転軸のまわりに回転可能な中空遠心処理室10を備える。処理室10は、処理される生体液を受けるための空間19を囲む内側円筒形壁16及び処理される生体液のための、そして体液の処理された成分のための入口/出口29を有する頸部14につながる傾斜上壁12を有する。生体液を受けるための中空処理室10の空間19は、円筒形壁の長さに沿って内側円筒形壁16の対向する部分の間に中空処理室10全体に全く途切れない容積を占める。前記空間は、中空円筒形室10の下部(図9の符号10B参照)によって区切られる所定の容積又は円筒形壁の中のピストン18のような軸方向に可動な部材の位置によって区切られる可変容積を有する。動的又は静的な入口/出口ヘッド20又は「回転封止」は、頸部14に取り付けられる。入口/出口ヘッド20は、処理室の頸部14ともに回転可能な内側の第1部分22及び静止したままである外側/上部の第2部分24を有する。入口/出口ヘッド20の第1及び第2部分22、24は、静止した第2部分24と関連して頸部14ともに第1部分22が回転するのを可能にする2つの二重封止26を有する。入口/出口ヘッドは、処理される生体液の入口及び体液の処理/分離された成分の出口のための入口/出口29で終る中心貫通路を有する。中心静止管28は、部分24により保持される。
【0033】
遠心処理室10は、可変容積の分離空間19(そこでは処理されて分離される生体液が受け入れられる)を画成する軸方向に可動な部材、即ちピストン18をその内側円筒形壁16の中に含む。この部材/ピストン18を軸方向に移動することによって、生体液は、中心貫通路29を経由して、分離空間19又は出口に取り入れられることができる。
【0034】
周知の装置で、処理される生体液が、中心貫通路(軸入口/出口29)を経由して取り入れられて、処理された成分も、中心貫通路(同じ軸出口/入口29)を経由して抽出されることが分かる。上記のように、一度に処理/分離できる生体液の量は、周知の装置の処理室10の分離空間19の最大容積により制限される。従って、従来技術の所定の処理室は、多量の生体液を処理するために用いることができない。
【0035】
この制限は本発明により克服される。図1Bは、類似の部品を示すために図1Aと同じ参照番号を使用して、本発明の処理室を示す。
【0036】
図1Bの実施例に示すように、本発明による装置は、処理室10に挿入されてそれともに回転可能なフローガイド(「ダイバータ/インバータ」)30を更に備える。フローダイバータ/インバータ30は、処理室10の傾斜上壁12に隣接して、それから僅かに間隔を置いて、そしてそれとの形状適合した関係で位置し、数mmの傾斜円錐台形の環状空間32を残す。2つの部分(内側部分28a及び外側部分28b)の中心管は、入口/出口ヘッド20の中心貫通路を伸びる。中心管28a、28bは、一方では、入って来る生体液を中心管28a、28bの内部を通して、そしてフローダイバータ/インバータ30と前記傾斜壁12の間の空間32を通して処理室10の内側円筒形壁16に供給するために、そして、他方では、処理室10の傾斜壁16で分離されて、フローダイバータ/インバータ30と前記傾斜上壁12の間の空間32を通過する処理された体液成分を抽出するために連結される。
【0037】
この改良装置において、フローダイバータ/インバータ30を越えて(即ち下に)位置する処理室の内側部分19は、フローダイバータ/インバータ30の中心部の開口34を経由して前記中心管28aの外側の入口/出口20の中心貫通路と流体連通している。
【0038】
また、入口/出口ヘッド20の外側の静止した第2部分24は、処理室10の内部19から処理された生体液成分の抽出のために横の出口40を有し、前記横の出口40は、前記中心管28aの外側の入口/出口ヘッド20の前記中心貫通開口29と流体連通している。
【0039】
この実施形態において、処理室の上方へ突出する細長い中心頸部14は、横の出口40のレベルに隣接するまで入口/出口ヘッド20の回転可能な第1部分22の内部に伸びる。また、この場合、入口/出口ヘッド20の封止手段は、横の出口40の一方の側に軸方向に位置する2つの第1封止26及び横の出口40の他方の側に軸方向に位置する2つの第2封止26を備える。
【0040】
中心管28a、28bは、入口/出口ヘッド20の静止した第2部分24に伸びる静止した軸方向外側部分28b及びフローダイバータ/インバータ30の中心部に連結する回転可能な軸方向内側部分28aからなる。中心管28aの内側部分は、開口39を経由してフローダイバータ/インバータ30と傾斜上壁12の間の空間32と連通する。
【0041】
入口/出口ヘッド20の回転可能な第1部分22は、入口/出口ヘッドの静止した第2部分24の内部に、そして静止した外端部の内部に横に位置する。
【0042】
従来通り、処理室10の傾斜上壁12は、フローダイバータ/インバータ30の上面のように円錐台形である。示すように、フローダイバータ/インバータ30は、処理室10の頸部14に嵌入する上方へ突出する中心スリーブ36を有し、対向する円錐台面の間に数ミリメートルの空間32を残す。中心管28aの下端は、この中心スリーブ36に適合し、そしてスリーブ36の開口39を経由して前記空間32と連通する。この実施例において、フローダイバータ/インバータ30は、処理室10の内部19をその中心管28aの外側で入口/出口ヘッド20の中心経路と連通させるその中心スリーブ36の中で、少なくとも一つの軸方向に向けられる貫通路34、好ましくは3つの均等に分散した軸方向貫通路34(図2)の形をした開口を有する。
【0043】
フローダイバータ/インバータ30は、概して、フローダイバータ/インバータ30の円錐台上面の周辺から伸びる外部の円筒形周囲リム38を備える。この周辺円筒形リム38は、内側円筒形壁16と傾斜上壁12とが交差するところで、処理室10の内側円筒形壁16に適合して、空間を残す。
【0044】
図1Cは、処理室10に出入する生体液のフローを示す。最初に、生体液は、中央の最上部に位置する入口部29を通って室に入る。体液は、入口/出口ヘッド20の静止した部分24を最初に通過することによって落下して、潜在的に自転して動く部分22を通って、フローダイバータ/インバータ30に達する。フローダイバータ/インバータ30は、体液に、黒色の線の「IN」で示すように全て、自転して中心軸から円錐室10の外側へのその流路を続けさせる。これは、静止したモードからスピニングモードへ切り替わって高い遠心分離力を潜在的に受ける細胞のための円滑な移行を確実にする。
【0045】
処理室10内の生体液は、それから遠心分離されて、生物学的細胞は、水平堆積力にさらされた後に密度物理的原理によって、上澄み又は他の媒体から分離される。上澄み又は媒体が中心軸を経由して除去できる一方で、細胞は内側円筒形壁16で室10の外側で凝縮されたままである。灰色の矢印「OUT」により示されるように、廃棄される体液は、それから室の最下部の中心軸(空間19の中心)からポンプ移送され、ダイバータ/インバータ30の中心の開口34を通過して、自転して管28aの外側に上昇する。それから、横の出口40の高さまで吸引された後に、廃棄される分離された生体液は、入口/出口ヘッドの静止した部分24の横の出口40を通して抽出される。廃棄される生体液は、このように高いスピニングモードから静的モードへ切り替わる。この機械式機構の仕組みは、細胞に潜在的に損傷を与えるかもしれない。損傷を与えることによって、圧力、摩擦、せん断力を生じるか、或いは更に幹細胞を潜在的に分化してそれらにそれらの全能性特性を失わせるか又は更にアポトーシス、ネクローシス又は他の破壊的な機構でそれらを殺すスピニング機構部分によって細胞を切断するはずである。このために、細胞のない又は低い細胞濃度だけの廃棄生成物だけが記載された経路を通過していることは確実である。
【0046】
図1Dは、封止26により施される気密性又は水密性を備えた、処理室の入口/出口ヘッド20の静的及び動的な部分を例示する。中心の明るい部分22は、通常の手順の間に回転する動的な機械的部分を示す。外部の暗い部分24は、手順の間に回転しない静的な機械的部分を示す。気密は、黒色で表される4つの封止26で確実にされる。
【0047】
図2は、フローダイバータ/インバータ30の設計を例示する。上部円錐形面は、処理室の傾斜上壁12の内面と同じ形状及び寸法を有する。組み立ての際に、数ミリメートルの小さい管又は空間32は、体液が通過することを可能にするために残る。中心において、中心スリーブ36の中心孔35は、円錐台面の間の空間32に通じる横方向に向けられた孔39により連結される。これは体液の向きを変えて、生体液に円錐上部に流れ落ちることを強いる。120度毎の、そして数ミリメートル離れた3つの孔39は、室内の中心体液が動的部分22の外側を通して汲み出されて、このように横の排出口40に達することを確実にする。
【0048】
図3は、連続フロー処理室の設計変形例を例示する。
【0049】
図3aは、フローが逆にされる必要はない場合に用いることができるフローダイバータ/インバータ30の変形例である。この設計では、排出口40が、即ち傾斜環状空間32を経由して、内部室の側に位置する通路に連結される一方で、入口29は、遠心室の中央を経由して入る生体液を下方へ供給する。この図面は逆にされた流路を除く。入口29は室の中心軸に連結されて、排出口40は室の側部チャンネル又は空間32に連結される。連続フロー処理は同一であり、入口/排出口連結だけは逆にされる。
【0050】
図3bは、4つの封止の代わりに気密を確実にするために2つの封止26を用いて設計を簡単にする。各封止26は、圧力又は真空が蠕動ポンプの媒介又はピストンの上下運動によって発生するときに気密を確実にする2つの放射状に向けられたリップを有する。
【0051】
図3cは、図3bと関連して説明したように気密を確実にするために示すように整列配置される2つの軸方向に向けられたリップを各々有する2つの封止26の設計変形例である。
【0052】
〔処理可能なキット〕
図4Aは、発明の処理室10/20/40で用いられる典型的な処理可能なキットを示す。左上に、処理される量が入っているバッグ50は、処理可能なキットに連結している。左下に、収集バッグ52は、濃縮細胞溶液を集めるためのキットに取り付けられる。右上側に、バッグ54は、処理可能なキットに任意に連結して、手順のまさしく最後に室をすすぐために又は最終的に栄養液の中の濃縮細胞溶液を懸濁するために洗剤を含むことができる。右下に、廃物バッグ56は、細胞から除去しなければならない溶液を廃棄するために使われる。
【0053】
フィルタを含むバッファ51は、入力ラインに挿入されて、容積からの混合材又は他の不必要な材料を濾過する目的を有し、更に処理室に流れ込むことがありえる気泡を防止する。加えて、栓ランプ58は、複数のバッグを切り替えるために又は最終的に無菌性を確実にするために空気フィルタで必要に応じて空気を満たすために使われる。処理可能なセットは、管の開閉を制御するために管に配置されるピンチバルブを含むこともできる。
【0054】
廃棄ラインで、圧力センサーに連結するための空気フィルタ55は、処理可能なセット内部に加えられる最大の圧力又は真空を常にモニターするために用いられる。また、蠕動ポンプ59は廃棄ラインに連結されて、ポンプ機構を循環しない細胞を最小限潜在的に損傷することによってフローを起こす。
【0055】
空気バッファ57は、好ましくは、処理室の横の出口40と蠕動ポンプ59の間に連結される。蠕動ポンプ59が作動するときに、この空気バッファ57は、圧力ジャークを制限する役割を有する。空気バッファは点滴室であり得る。
【0056】
示すように、廃棄バッグ56につながる廃棄ラインは、処理室の入口/出口ヘッド20の横の出口40に連結している。
【0057】
図4Bは、複数の入出力を有して、多くの生体液を処理して、それらを切り替えることができる類似の処理可能なキットを例示する。バッグ選択は、8つの栓58により行われて、最大8つの入力又は出力バッグを確実にする。
【0058】
図5は、蠕動ポンプを集積する周知のシステムのキャビネットの修正版を示す。示すように、システムは、揺動開口プレート64を通して遠心処理室を受け入れるために側面前部62を含むキャビネット60を備える。キャビネット上部はまた、処理室へ流れる生物学的要素及び気泡を測定するために超音波技術によって機能する泡検出を含む分光センサー66を組み込む。蠕動ポンプのための制御装置67はキャビネット側面に設置されて、栓モーター制御装置68はその上部に設置される。その側面に、キャビネットはまた、取り付けられた処理可能なセットの管を取り付けるためのフック69を有する。
【0059】
このシステムは、図4Aに示す処理可能なキットに従って機能する。加えて、処理室に入る気泡の正確な算出のために、組み込まれた光学ラインセンサーは、管を通過するリアルタイムの空気量を算出することが可能である追加の超音波エミッタ及びレセプタを集積できる。
【0060】
図6は、蠕動ポンプ及び4つの栓モーターを個々の制御装置68と統合する同じシステムの修正版を示す。このシステムは、図4Bに示す処理可能なキットに従って機能する。
【0061】
本発明による装置で達成可能な連続処理フロー機能は、一方では、堆積力Gが最大である生体液を処理室の外部回動側16にポンプ移送する入口29を通して、そして他方では、堆積力が全くかほとんど加えられない低密度のプラズマ、上澄み又は他の不必要な生体液を除去するために処理室の入口/出口ヘッド20の中心にある横の排出口40を通してフローを起こす、一つ以上の外部蠕動ポンプによって主に確実にされる。例えば特許文献1に記載のように、この機能を可変処理量と結合することによって、本発明は、多量の生体液から始まる濃縮細胞の少量収集の既存の制限を解決する。
【0062】
〔主処理シーケンス〕
本発明の主応用は、図8A図8Eに示すように、多量の生体液の濃縮細胞の少量収集への速い量減少に関する。図7A及び図7Bのフロー図は、図8A図8Eの各々に対応する処理ステップを示す。
【0063】
第1ステップは、図8Aに示すように、閉じた入口及び出口29、40を備えた装置に遠心処理室10を挿入することからなる。それから、処理する量をそれにポンプ移送することによって遠心室10の充填を開始できる(図8B)。入口29を処理される生体液に連結した後に、真空を生成する空気圧システムの媒介によるピストン18の下の吸引の機構は、特許文献1に記載のように行われる。充填の間に、処理室10に閉じ込められてとどまることができた残りの空気を除去する必要が潜在的にある。この動作を実行するために、ピストン18は、可動ピストンの下で圧縮空気圧力を発生させることによって僅かに押し上げられることが可能である。残りの空気及び充填量のごく一部は、処理される量において再び抽出される。それから、ピストン18が処理室10の底面に達するまで、充填は再び始まることができる。
【0064】
図8Bに示すように、充填の間に軸入口29は開いて、横の出口40は閉じている。
【0065】
この点で、処理室10の分離空間は、生体液で充填されて、堆積は始まることができる。堆積プロセスは、例えば特許文献2に記載されているように、処理可能なセットの遠心分離により行われる。
【0066】
特定の回動速度における数回の遠心分離の後、血液又は生体細胞は、上澄み又は媒体液から分離されて、図8Cに示すように、大量分離のための連続フローは始まることができる。この状態で、横の排出口40は廃棄バッグに連結されて、廃棄ラインに連結される外部蠕動ポンプは作動する。閉じ込められた空気がまだ排出口40のチャネルに残ったままであるという可能性があるが、蠕動ポンプが作動するとすぐに、それは廃棄バッグに放出される。ここで、生体液は連続的に汲み出されて、分離室において自転して遠心分離されることによって、室の入口29に連結している初期量から分離されて、最後に、上澄みは処理室の中心軸から取り除かれて、排出口を通して廃棄バッグに向け直される。全分離プロセスの間に、生体細胞は処理室10にとどまり、そして速度フローは、細胞が良好な分離を保証する分離力にさらされるのに十分な時間を確実にするために算出される。
【0067】
図8Cに示すように、連続処理の間に、軸入口29は生体液の連続吸入のために開いて、横の排出口40は分離された廃棄物の連続除去のために開いている。
【0068】
一旦所望の量が完全に処理されると、蠕動ポンプは停止する。手順の初めに、ユーザは、要求された最終的な量をシステムのソフトウェア・ユーザ・インタフェースでセットした。それで、この段階で、入口29は閉じられ、そして図8D(軸入口29は閉、横の排出口40は開)に示すように、ピストン18は、前記と同じ空気圧力機構を使用することによって上へ移動し始める。この段階の間に、回動速度は、適当な細胞分離を確実にするために維持され、そして要求される最終的な量が、処理室10の残りの量に対応するまで、ピストン18は有効な回転速度で上がって、残りの量を廃棄バッグに放棄する。
【0069】
最後の段階は、図8Eに示す、濃縮細胞の回復手順である。処理可能な室10内の残留する細胞溶液は、処理可能な室10の内側プラスチック壁16に潜在的に張り付いた細胞を分離/混合するために、両方向のいくつかのモーター加速/減速によって最初に混合される。それから、排出口40が閉じるともに、入口29は開かれ、そしてピストン18は、軸入口/排出口29を経由して濃縮細胞を抽出し始める。こうすることによって、細胞は、生体細胞又は幹細胞に対する若干の機械的応力が生じることがあり得る蠕動運動ポンプ機構を決して通過しない。加えて、処理室からの細胞の適当な抽出を確実にするために、希釈段階は、遠心室10の少量の洗浄溶液又は懸濁バッファをポンプ移送することによって、溶液を再び混合して、それから最終的な所望の溶液の溶液を抽出することによって実行することもできる。こうすることによって、細胞損失は最小化される。
【0070】
〔ピストンのない処理室の変形例〕
図9は、その円筒形壁が底壁10Bまで伸びて処理される生体液を受けるために一定容積の内部空間を提供する処理室10の変形例を示す。上部(入口/出口ヘッド20)は、従前の処理室10と同じ設計を有するが、この処理室10は可変容積を提供するための可動ピストンを含まない。
【0071】
所定の容積のこの室10は、連続フローによってかなりの量を処理することが可能であり、そこでは集められる最終的な量は処理室容積に等しい。室10は、前述のように同じキャビネット及び処理可能なキットで用いることができる。空気制御システムがピストンを上下に動かすためにもう必要ではなくて、赤外線検出システムが処理室に残るリアルタイム量を検出するために必要でないので、本発明のこの変形例は技術を非常に簡単にする。この変形例については、蠕動ポンプが、生体液を吸入して、分離した成分を出力するために用いられる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3a
図3b
図3c
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9