【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (発行所)一般社団法人 日本機械学会、(刊行物名)No.13−2ロボティクス・メカトロニクス講演会2013 講演概要集、(発行日)平成25年5月21日、において発表(発行所)一般社団法人 日本機械学会、(刊行物名)ロボティクス・メカトロニクス講演会2013 講演論文集、(発行日)平成25年5月21日、において発表「日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会2013 in Tsukuba」において、平成25年5月23日に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度,独立行政法人科学技術振興機構,「地域イノベーション創出総合支援事業 重点地域研究開発推進プログラム シーズ発掘試験」,産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
内田真裕,渡辺哲陽,丸山量志,非圧縮性流体指からなるロボットグリッパによる壊れやすい対象物の把持計画,ロボティクス・メカトロニクス講演会2013講演論文集,一般社団法人日本機械学会,2013年 5月22日,1A1−J03(1)−(3)
【文献】
丸山量志,渡辺哲陽,内田真裕,接触領域に剛性可変機構を備える汎用ロボットハンドの開発,ロボティクス・メカトロニクス講演会2012講演論文集,一般社団法人日本機械学会,2012年 5月27日,1A1−L04(1)−(4)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保持の対象物と当接する袋状の当接部材と、前記当接部材の内方に充填される流動性を備えた充填部材と、前記当接部材内の前記充填部材の圧力である充填圧力を調整する充填圧力調整手段と、前記充填部材の充填圧力を検出する充填圧力検出手段とを備える当接機構を備え、対象物に前記当接機構を当接させて対象物を挟み持つ挟持装置における対象物保持方法であって、
前記充填圧力調整手段により前記当接部材内の充填圧力を第一充填圧力にする準備ステップと、
第一充填圧力となった前記当接部材を対象物に当接させ、前記当接部材の前記対象物に対する押し付け力を徐々に増加させる押し付け力増加ステップと、
前記押し付け力増加ステップを実行しているにもかかわらず、充填圧力が一定となる時の充填圧力である特異充填圧力を検出する特異充填圧力検出ステップと、
前記特異充填圧力、または、前記特異充填圧力未満であって前記特異充填圧力近傍の圧力で前記対象物を保持する保持ステップと
を含む対象物保持方法。
保持の対象物と当接する袋状の当接部材と、前記当接部材の内方に充填される流動性を備えた充填部材と、前記当接部材内の前記充填部材の圧力である充填圧力を調整する充填圧力調整手段と、前記充填部材の充填圧力を検出する充填圧力検出手段とを備える当接機構を備え、対象物に前記当接機構を当接させて対象物を挟み持つ挟持装置における対象物保持方法であって、
前記充填圧力調整手段により前記当接部材内の充填圧力を第一充填圧力にする準備ステップと、
第一充填圧力となった前記当接部材を対象物に当接させ、前記当接部材の前記対象物に対する押し付け力を徐々に増加させる押し付け力増加ステップと、
前記押し付け力増加ステップを実行しているにもかかわらず、充填圧力が低下した際のピークの充填圧力である特異充填圧力を検出する特異充填圧力検出ステップと、
前記特異充填圧力、または、前記特異充填圧力未満であって前記特異充填圧力近傍の圧力で同種の対象物を保持する保持ステップと
を含む対象物保持方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、例えば、日常生活において様々な作業をこなすロボットに求められるのは、特許文献1に記載されるような強固な対象物を保持するばかりでなく、脆くて壊れやすい脆性物体や延びて壊れやすい延性物体、重量物などの多様な対象物を一台のロボットで保持できることが求められる。
【0005】
本願発明は上記課題に鑑みなされたものであり、挟持装置に取り付けられる当接機構を取り替えることなく、脆性物体や延性物体などの対象物を保持することのできる対象物保持方法の提供、および、脆性物体や延性物体などの対象物を保持すること
ができるとともに、重量物までも保持することができる当接機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる対象物保持方法は、保持の対象物と当接する袋状の当接部材と、前記当接部材の内方に充填される流動性を備えた充填部材と、前記当接部材内の前記充填部材の圧力である充填圧力を調整する充填圧力調整手段と、前記充填部材の充填圧力を検出する充填圧力検出手段とを備える当接機構を備え、対象物に前記当接機構を当接させて対象物を挟み持つ挟持装置における対象物保持方法であって、前記充填圧力調整手段により前記当接部材内の充填圧力を第一充填圧力にする準備ステップと、第一充填圧力となった前記当接部材を対象物に当接させ、前記当接部材の前記対象物に対する押し付け力を徐々に増加させる押し付け力増加ステップと、前記押し付け力増加ステップを実行しているにもかかわらず、充填圧力の上昇が認められない時の充填圧力である特異充填圧力を検出する特異充填圧力検出ステップと、前記特異充填圧力、または、前記特異充填圧力未満であって前記特異充填圧力近傍の圧力で前記対象物を保持する保持ステップとを含むことを特徴としている。
【0007】
これによれば、特異充填圧力、または、前記特異充填圧力未満で対象物を保持することによって、対象物が脆性物体や延性物体であったとしても対象物を破壊することなく保持することができるようになる。
【0008】
また、前記当接部材を対象物の方向に徐々に移動させることにより、押し付け力を徐々に増加させることが好ましい。
【0009】
これによれば、押し付け力の上昇をより正確に制御することができ、特異充填圧力の検出精度を高めることが可能となる。
【0010】
また、特異充填圧力が、押し付け力の増加にもかかわらず充填圧力が一定の時の圧力である場合は、保持している対象物が延性物体であると判断でき、特異充填圧力となった状態のままでも対象物を保持することが可能となる。
【0011】
また、特異充填圧力が、押し付け力の増加にもかかわらず充填圧力が低下した際のピークの圧力である場合は、保持している対象物が脆性物体であると判断でき、同種の対象物を保持する際には、特異充填圧力、または、特異充填圧力未満であって特異充填圧力近傍の圧力で対象物を保持することが可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる当接機構は、対象物を挟み持つ挟持装置に取り付けられ、前記対象物と当接する当接機構であって、袋状の当接部材と、前記当接部材に充填される流動性を備えた充填部材と、前記当接部材に覆われた状態で配置され、前記充填部材が充填された前記当接部材の剛性よりも剛性の高い補強部材と、前記充填部材の前記当接部材内の圧力である充填圧力を調整する充填圧力調整手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、充填部材が充填された当接部材を対象物に押し付けるだけでは持ち上げることのできない重量物であっても、当接部材の内方に配置される補強部材を当接部材を介して対象物に押し付けることで持ち上げることが可能となる。
【0014】
さらに、前記充填部材の充填圧力を検出する充填圧力検出手段を備えてもかまわない。
【0015】
これによれば、前記対象物保持方法を実施して脆性物体や延性物体などの対象物を保持することができ、さらに、補強部材により重量物も保持することが可能となる。
【0016】
また、前記補強部材は、前記当接部材側にドーム形状の表面部を備えてもよい。
【0017】
これによれば、当接部材を補強部材で傷つけることなく対象物に押し付けることができる。また、対象物と当接部材との接触面積を小さくすることで、挟持装置の押し付け力を効果的に保持力とすることができる。
【0018】
また、前記補強部材は、内部に空洞を備え、さらに、前記空洞に充填される、第二充填部材と、前記第二充填部材の圧力である第二充填圧力を調整する第二充填圧力調整手段とを備えてもかまわない。
【0019】
これによれば、補強部材の空洞に充填される第二充填部材の圧力を調整することで、第二充填部材が充填された補強部材全体の剛性(柔らかさ)を調整することができ、保持することができる対象物のバリエーションをさらに増加させることが可能となる。
【0020】
なお、前記対象物保持方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを実施することも本願発明の実施に該当する。無論、そのプログラムが記録された記録媒体を実施することも本願発明の実施に該当する。
【発明の効果】
【0021】
挟持装置に取り付けられた保持機構を取り替えることなく、脆性物体や延性物体、さらに、重量物も保持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本願発明に係る対象物保持方法、および、当接機構の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る対象物保持方法、および、当接機構の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0024】
図1は、当接機構が取り付けられた挟持装置を模式的に示す斜視図である。
【0025】
同図に示すように、挟持装置200は、例えばロボットハンドの先端部分に取り付けられ、対象物300を挟み持つための機構である。挟持装置200は、当接機構100と、フィンガー部201と、挟持駆動源202とを備えている。本実施の形態の場合、挟持装置200は、1自由度で開閉動作が行えるものとなっている。
【0026】
フィンガー部201は、挟持駆動源202によって発生する駆動力を当接機構100に伝達する機構である。本実施の形態の場合、フィンガー部201には、平行クランク機構が採用されている。これにより、対象物300を挟持する際に、挟持駆動源202に対し平行を維持したまま当接機構100を移動させることができ、対象物300に対する押し付け力の方向(図中X軸方向)を一定にすることが可能となる。
【0027】
なお、本実施の形態では、挟持装置200は、フィンガー部201を二つ備えているが、挟持装置200は、挟持駆動源202に固定される固定部と、当該固定部に対して当接機構100を進退させるフィンガー部201を一つ備えるものでも良く、また、三つ以上のフィンガー部201を備え、当接機構100を離合させるものでもかまわない。
【0028】
挟持駆動源202は、挟持装置200において、挟持力を発生させる部分である。本実施の形態の場合、挟持駆動源202は、筐体203と、図示しないモーターとを備えている。当該モーターは、付属のエンコーダにより回転角度を検出して当接機構100の移動量を制御することができるものとなっている。これにより、対象物300に対する押し付け力を徐々に増加させることが可能となる。
【0029】
図2は、当接機構を断面で示す斜視図である。
【0030】
同図に示すように当接機構100は、挟持装置200に取り付けられ、対象物300と当接する機構であって、対象物300と直接当接する部分の剛性を変更することができる機構である。当接機構100は、当接部材101と、補強部材103と、充填部材104と、充填圧力調整手段105とを備えている。また、本実施の形態の場合、当接機構100は、基体102と、充填圧力検出手段141とを備えている。
【0031】
当接部材101は、挟持装置200が対象物300を挟持する際に対象物300に直接当接する部分であり、柔軟性(伸縮性)のあるシートが袋形状になったものである。当接部材101の材質は、特に限定されるものではないが、対象物300との摩擦力が高いゴムなどを例示することができる。
【0032】
本実施の形態の場合、当接部材101は、外観形状が半球、または、これに近似した形状のドーム形状となっており、当接部材101は、1mm以下(具体的には100μm程度)の厚さのニトリルゴムが採用されている。当接部材101の開口部111は円形であり、開口部111が基体102に接続されている。なお、開口部111の形状は円形ばかりでなく、矩形など任意の形状を採用しうる。
【0033】
補強部材103は、充填部材104が充填された当接部材101のみでは対象物300を保持しきれない際に、当接部材101を挟んだ状態で対象物300に押し付けられる部材であり、当接部材101に覆われた状態で配置され、当接部材101よりも剛性の高いものとなっている。
【0034】
ここで、本明細書、および、特許請求の範囲で用いる当接部材101より剛性が高いとは、当接部材101を構成する材質の剛性と、補強部材103を構成する材質の剛性との比較ではなく、中空で袋状の当接部材101に充填部材104を充填した場合において、当接部材101に外方から所定の圧力を加えた場合の当接部材101の変形量に対し、補強部材103に同じ圧力を直接加えた場合の補強部材103の変形量が少ない場合、補強部材103の剛性が当接部材101より高いと表現している。なお、後述する補強部材103に第二充填部材142が充填される場合も同様であり、充填部材104と同じ圧力で第二充填部材142が充填された補強部材103に充填部材104が充填された当接部材101に加えた圧力と同じ圧力を加えた場合の補強部材103の変形量が少ない場合、補強部材103の剛性が当接部材101より高いと表現している。
【0035】
本実施の形態の場合、補強部材103は、当接部材101側にドーム形状の表面部131を備えており、具体的には、中実の半球、または、これに近似した形状となっている。補強部材103を構成する材質は、シリコンゴムである。補強部材103は、当接部材101と同心状に配置され、基体102に固定されている。
【0036】
なお、補強部材103は、本実施の形態に限定されるものではなく、例えば、材質は、ゴム以外の樹脂でも良く、また、金属などでもかまわない。補強部材103の形状は、表面が滑らかである必要なく、表面に外方に向かって放射状に突出する複数の突起部を備えていてもよい。
【0037】
充填部材104は、当接部材101と補強部材103との間に充填される流動性を備えた物質である。充填部材104は、非圧縮性流体であることが好ましい。ここで、非圧縮
性流体とは、圧力や温度による密度の変化が無視できるほど小さな流体のこと(縮まない流体)である。充填部材104は具体的には、水より粘性の高い液体や、ジェル状の物質、粉体などを例示することができ、必ずしも理想的な非圧縮
性流体やそれに近い流体である必要はない。なお、当該記載は充填部材104として水や気体を否定するものではない。
【0038】
充填圧力調整手段105は、当接部材101内の充填部材104の圧力である充填圧力を調整する装置である。本実施の形態の場合、充填圧力調整手段105は、シリンジポンプであり、基体102の第一開口部121と接続される図示しない管部材と接続されている。充填圧力調整手段105は、シリンジと、シリンジに対し摺動するピストンとを備え、ピストンはモーターによってシリンジに対し往復動することができるものとなっている。充填圧力調整手段105は、ピストンを押し出すことにより当接部材101内の充填部材104の圧力を高めることができ、ピストンを引き戻すことにより当接部材101内の充填部材104の圧力を低めることができるものとなっている。
【0039】
基体102は、当接部材101の開口を閉塞するように当接部材101の特に開口部111を保持する構造部材であり、基体102がフィンガー部201に取り付けられている。本実施の形態の場合、基体102は、両端が閉塞された筒状の部材であり、一端部には充填圧力調整手段105と接続されて充填部材104が流通する第一開口部121が設けられ、他端部には当接部材101の内方と連通する第二開口部122が設けられている。
【0040】
充填圧力検出手段141は、当接部材101に充填される充填部材104の充填圧力を検出する装置である。本実施の形態の場合、充填圧力検出手段141は、圧力センサであり、中空の基体102の内方に配置されている。これにより、充填圧力調整手段105によって調整された充填部材104の充填圧力を直接検出することが可能となる。
【0041】
なお、充填圧力検出手段141は、圧力センサに限定されるものではなく、任意の圧力検出方法を採用しうる。例えば、シリンジポンプのシリンジに対するピストンの相対的な移動量を検出する装置を充填圧力検出手段141としてもかまわない。
【0043】
図3は、挟持装置の機能部を機構部と共に示すブロック図である。
【0044】
同図に示すように、挟持装置200は、挟持制御装置206を備えている。挟持制御装置206は、コンピュータであり、ソフトウエアによって構成される各処理部を実行することにより挟持装置200の機構部を制御するものである。挟持制御装置206は、機能部として、押し付け力調整部261と、挟持状態決定部264と、充填圧力調整手段制御部162と、充填圧力検出部163とを備えている。
【0045】
押し付け力調整部261は、挟持駆動源202のモーターを制御し、モーターに付属のエンコーダからの信号に基づきモーターの回転角度を制御する処理部である。押し付け力調整部261は、挟持駆動源202を制御することにより、当接機構100の移動量を制御し、例えば、当接機構100を対象物300の方向に徐々に移動させることで、当接部材101の押し付け力を徐々に増加させることができるものとなっている。
【0046】
充填圧力調整手段制御部162と充填圧力検出部163とは、充填圧力調整手段105を制御する処理部である。充填圧力検出部163は、充填圧力検出手段141から取得した信号を変換して充填圧力調整手段制御部162に送信する処理部であり、充填圧力調整手段制御部162は、充填圧力検出部163からの信号に基づき充填圧力調整手段105をフィードバック制御する処理部である。これらの処理部により、当接部材101内の充填部材104の充填圧力を所定の値にすることができる。
【0047】
挟持状態決定部264は、押し付け力調整部261からの信号、および、充填圧力検出部163からの信号に基づき、特異充填圧力を検出し、特異充填圧力、または、特異充填圧力未満であって、対象物300を保持する充填圧力を決定する処理部である。なお、特異充填圧力未満であって対象物300を保持できる充填圧力とは、同種の対象物300を複数回保持することにより決定しても良く、特異充填圧力の例えば90%以上などの数値的な閾値に基づき選定してもかまわない。また、挟持状態決定部264は、フィンガー部201の位置(把持状態)を決定し、充填圧力調整手段制御部162を調整してもかまわない。
【0048】
図4は、対象物処理方法の流れを示すフローチャートである。
【0049】
まず、対象物300を挟持する前、つまり、当接部材101を対象物300に当接させる前に、充填圧力調整手段制御部162と充填圧力検出部163とを機能させ、充填圧力調整手段105により当接部材101内の充填部材104の充填圧力を第一充填圧力に調整する(S101、準備ステップ)。なお、準備ステップS101においては、充填圧力検出部163を機能させず、充填圧力調整手段制御部162を機能させて充填圧力調整手段105を所定の状態(例えば前回と同じ状態)とすることで充填圧力を第一充填圧力に調整してもよい。
【0050】
次に、押し付け力調整部261を機能させて挟持駆動源202を制御し、充填部材104の圧力が第一充填圧力となった当接部材101を対象物300に当接させ、当接部材101の対象物300に対する押し付け力を徐々に増加させる(S102、押し付け力増加ステップ)。なお、押し付け力増加ステップS102においては、当接部材101を対象物300に当接させた後、充填圧力調整手段105により充填圧力を徐々に増加させることにより押し付け力を徐々に増加させることも考えられる。
【0051】
ここで、押し付け力増加ステップS102を実行している間、充填圧力調整手段制御部162は、充填圧力検出部163からの情報に基づくフィードバック制御を行うことなく、準備ステップS101において第一充填圧力となった状態を維持する様に充填圧力調整手段105を制御している。
【0052】
次に、押し付け力増加ステップS102を実行しているにもかかわらず、充填圧力の上昇が認められないと押し付け力調整部261からの信号、および、充填圧力検出部163からの信号に基づき挟持状態決定部264が判断した場合(S103:Y)、挟持状態決定部264は、当該判断時の充填圧力を特異充填圧力として検出し、特異充填圧力、または、特異充填圧力未満であって特異充填圧力近傍の圧力で対象物300を保持する保持状態を決定する(S104、保持状態決定ステップ)。
【0053】
最後に、決定された保持状態(押し付け力と充填圧力によって定まる)に基づき対象物300を保持する(保持ステップ)。対象物300が種類、例えば重量、形状、脆性、延性がほぼ同じものであれば、同じ保持状態で対象物300を保持することができる。
【0055】
図5は、特異充填圧力が発生した場合の押し付け力と充填圧力との関係を示すグラフである。
【0056】
同図に示すように、押し付け力の増加にもかかわらず充填圧力が一定(図中SP1と記した部分)の時、当該圧力は特異充填圧力である。ここで、充填圧力が一定とは、剛体からなる対象物300を保持する際の、押し付け力と充填圧力との関係を示すグラフに比べてグラフの上昇角度が緩くなっている状態を示しており、同図中SP1と記した部分のように充填圧力が若干増加している部分でも全体のスケールに対し上昇角度が緩くなっているため充填圧力が一定に該当する。
【0057】
この場合は、当接部材101内の充填圧力が特異充填圧力となった時点(図中保持点)で対象物300を保持すれば、同一種類の対象物300を再現性よく保持することが可能となる。
【0058】
図6は、他のパターンで特異充填圧力が発生した場合の押し付け力と充填圧力との関係を示すグラフである。
【0059】
同図に示すように、押し付け力の増加にもかかわらず充填圧力が低下した時、ピークの圧力(図中SP2と記した部分)が特異充填圧力である。
【0060】
この場合は、当接部材101内の充填圧力が特異充填圧力の90%程度、またはそれ以上となった時点(図中保持点)で対象物300を保持すれば、同一種類の脆弱な対象物300を破壊することなく保持することができ、また再現することが可能となる。
【0061】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0062】
例えば
図7に示すように、補強部材103は、内部に空洞132を備えてもよく、当接機構100はさらに、空洞132に充填される、第二充填部材142と、第二充填部材142の圧力である第二充填圧力を調整する第二充填圧力調整手段152とを備えてもかまわない。
【0063】
これにより、補強部材103の剛性を第二充填部材142の充填圧力で調整することができ、よりきめ細かに対象物300を保持する保持状態を調整することができるようになる。
【0064】
また、充填圧力検出手段141は、当接部材101の内方に配置されてもよく、また、補強部材103の空洞132の内方に、第二充填圧力を検出する第二充填圧力検出手段143を設けてもかまわない。