(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記料金演算手段において上記バッテリー使用料金は、1km当たりの単位料金に実走行距離を乗ずることによって算出するものである請求項1記載のバッテリー交換システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のシステムは、電気自動車用バッテリーに取り付けられたバッテリー情報の入った情報タグによりバッテリーの機種等を判断し、バッテリーを交換するものであるが、バッテリー交換時の費用については言及がない。
【0007】
同様に、特許文献2のシステムは、バッテリーとその交換機構を画一化することにより、バッテリーの交換動作をバッテリー交換ロボットにて行えるようにするものであるが、当該ロボットでのバッテリー交換機構自体が大がかりなシステムであるし、同様に、バッテリーの交換時の費用については何ら言及がない。
【0008】
ここで、バッテリーの交換を検討すると、交換の際の費用について、どのように取り扱うかが問題となる。バッテリー交換時は、旧バッテリーを返還すること、及び返還した旧バッテリーは充電すれば再利用できること等を鑑みると、バッテリー交換費用をバッテリーそのものの購入費用とするのは高額すぎて問題である。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、電気自動車の走行距離に基づいてバッテリーの交換時の費用を算出することとして公平性を高めると共に、電気自動車の走行距離を客観的に認識することができ、走行距離に応じた料金を容易に支払うことを可能としたバッテリー交換システム及び該システムに使用されるバッテリー交換情報処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、バッテリー交換に伴う不正行為を防止し得るバッテリー交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、
使用済のバッテリーを充電することなく、充電済の新たなバッテリーに交換するバッテリー交換システムであって、車体の外部から認識し得る箇所に積算走行距離計を備えると共に、着脱自在なバッテリーを備えた電気自動車と、上記積算走行距離計に表示された現在の新積算走行距離を入力可能な入力手段と、上記電気自動車の前回のバッテリー交換時までの旧積算走行距離、車体識別情報、
バッテリー毎に異なるバッテリー固有番号を含む使用バッテリー情報を少なくとも記憶可能であって、上記電気自動車に対応付けられた情報記憶カードと、
バッテリーの交換場所に設置されたバッテリー交換情報処理装置とから構成されたバッテリー交換システムであって、上記バッテリー交換情報処理装置は、上記入力手段から入力される上記新積算走行距離
及び上記入力手段から入力される新たなバッテリーのバッテリー固有番号を記憶する第1記憶手段と、上記電気自動車に対応する上記情報記憶カードに記憶された情報を読み取るカード読取手段と、上記カード読取手段にて読み取った上記電気自動車の上記旧積算走行距離、上記車体識別情報、
旧バッテリーのバッテリー固有番号を含む上記使用バッテリー情報を記憶可能な第2記憶手段と、上記情報記憶カードに情報を書き込むカード書込手段と、制御手段と、ディスプレイ手段と、を備えており、上記制御手段は、上記カード読取手段で読み取った上記電気自動車の上記旧積算走行距離と
上記第1記憶手段に記憶された上記新積算走行距離とを比較して、実走行距離を算出する走行距離演算手段と、上記実走行距離に対するバッテリー使用料金を演算する料金演算手段と、上記車体識別情報、
上記旧バッテリーのバッテリー固有番号を含む上記使用バッテリー情報、上記バッテリー使用料金を上記ディスプレイ手段に表示させる表示指令手段と、上記カード書込手段を以って上記情報記憶カード内に上記新積算走行距離
及び交換した新たなバッテリーの上記バッテリー固有番号を書き込む書込指令手段とを具備してなり、上記電気自動車は上記バッテリーのバッテリー収納ボックスを具備しており、上記積算走行距離計は上記バッテリー収納ボックスの内側又はバッテリー収納ボックスの外側の車体側面に設けられているバッテリー交換システムにより構成される。
【0012】
車体の外部から認識し得る箇所とは、例えば積算走行距離計(3)のようにフロントガラスの外側から積算距離を認識し得る箇所(
図1参照)、或いは、バッテリー収納ボックス(4)の開閉蓋(4a)を開けた内側の車体の箇所(積算走行距離計(3)、
図15参照)等をいう。上記第1記憶手段は積算走行距離記憶手段(12)により構成することができる。上記第2記憶手段は車体情報記憶手段(15)により構成することができる。従って、バッテリー交換場所において係員は、車体の外部からその電気自動車の積算走行距離を目視し、その積算走行距離を入力手段よりバッテリー交換情報処理装置に入力すると共に、電気自動車の所有者から情報記憶カードを受け取り、該情報記憶カードをバッテリー交換情報処理装置に装着すれば良い。すると、カード読取手段が情報記憶カード内の情報を読み取って、走行距離演算手段が新積算走行距離データと旧走行距離データから実走行距離を算出し、料金演算手段が実走行距離に応じたバッテリー使用料金を算出し、ディスプレイ手段に使用バッテリー情報、バッテリー使用料金等が表示される。また、上記バッテリー交換情報処理装置はカード書込手段を以って上記情報記憶カードに新積算走行距離を書き込む(又は旧積算走行距離を新積算走行距離に書き換える)。従って、係員は、上記ディスプレイ手段を見ることで、当該電気自動車に適合する交換すべきバッテリーを容易に選択することができ、所有者が支払うべき料金も認識することができる。よって、係員は電気自動車の使用済バッテリーを電気自動車から取り外し、交換すべきバッテリーを電気自動車に迅速に装着することができるし、係員はその際、電気自動車の所有者からバッテリー使用料金の支払いを受けることができ、さらに、新積算走行距離が書き込まれた(又は新積算走行距離に書き換えられた)情報記憶カードをバッテリー交換情報処理装置から抜き取り、電気自動車の所有者に返却することができる。また、係員は以上のバッテリー交換作業を迅速に行うことができる。
上記固有番号は例えばバッテリーの製造番号とすることができる。従って、バッテリーの交換時に、係員は電気自動車から取り外した旧バッテリーの固有番号と、ディスプレイ手段に表示された旧バッテリーの固有番号とを照合することができるので、バッテリー交換に関連した不正行為を防止することができる。このように構成すると、バッテリー交換場所の係員は、電気自動車の積算走行距離を車体の外部から容易に確認することができ、バッテリー交換作業を迅速化することができる。
【0013】
第2に、上記料金演算手段において上記バッテリー使用料金は、1km当たりの単位料金に実走行距離を乗ずることによって算出するものである上記第1記載のバッテリー交換システムにより構成される。
【0014】
このように構成すると、走行距離に対応した公平なバッテリー使用料金を算出することが可能となる。
【0015】
第3に、上記カード書込手段において上記新積算走行距離を書き込む際に書込日を上記情報記憶カードに書き込み可能とすると共に、上記カード読取手段での読み取り時に上記書込日をも読み取り可能とし、上記料金演算手段は、上記書込日と現在日に基づいて経過日数を算出すると共に、1日当たりの単位料金に上記経過日数を乗ずることによってバッテリー管理料金を算出するものである上記第1又は2記載のバッテリー交換システムにより構成される。
【0016】
このように構成すると、経過日数に応じたバッテリー管理料金を算出することも可能となる。
【0017】
第4に、上記積算走行距離計に数字にて表示されている新積算走行距離を撮影可能なカメラを
上記バッテリー交換場所に設けると共に、上記カメラにて撮影した画像情報に基づいて数字からなる新積算走行距離を認識する画像認識手段を上記バッテリー交換情報処理装置に設け、上記画像認識手段にて認識した上記新積算走行距離を上記第1記憶手段に記憶するように構成したものである上記第1〜3の何れかに記載のバッテリー交換システムにより構成される。
【0018】
このように構成すると、係員が新積算走行距離を確認して入力する必要がなくなるので、より効率的で迅速なバッテリー交換作業を行うことができる。
【0024】
第
5に、上記電気自動車のバッテリーは、車体の側面又は底面に着脱自在に設けられ
ているものである上記第1〜
4の何れかに記載のバッテリー交換システムにより構成される。
【0025】
このように構成すると、バッテリーの交換作業を迅速に行うことができる。
【0026】
第
6に、電気自動車の現在の新積算走行距離
及び新たなバッテリーのバッテリー固有番号を入力可能な入力手段と、上記入力手段から入力される上記新積算走行距離
及び上記入力手段から入力される上記新たなバッテリーのバッテリー固有番号を記憶する第1記憶手段と、上記電気自動車に対応する情報記憶カードに記憶された情報を読み取るカード読取手段と、上記カード読取手段にて読み取った上記情報記憶カードに記憶されていた上記電気自動車の旧積算走行距離、車体識別情報、
旧バッテリーのバッテリー固有番号を含む使用バッテリー情報を記憶可能な第2記憶手段と、上記情報記憶カードに情報を書き込むカード書込手段と、制御手段と、ディスプレイ手段と、を備えてなる
バッテリー交換場所に設置されたバッテリー交換情報処理装置であって、上記制御手段は、上記第2記憶手段に記憶された上記電気自動車の上記旧積算走行距離と、上記第1記憶手段に記憶された上記新積算走行距離とを比較して、実走行距離を算出する走行距離演算手段と、上記実走行距離に対するバッテリー使用料金を演算する料金演算手段と、上記車体識別情報、
上記旧バッテリーのバッテリー固有番号を含む上記使用バッテリー情報、上記バッテリー使用料金を上記ディスプレイ手段に表示させる表示指令手段と、上記カード書込手段を以って上記情報記憶カード内に上記新積算走行距離
及び上記第1記憶手段に記憶した交換した新たなバッテリーのバッテリー固有番号を書き込む書込指令手段とを具備してなり、
上記情報記憶カードに現在装着しているバッテリーの固有番号を記憶可能に構成すると共に、上記カード読取手段にて上記情報記憶カードから読み出した交換される旧バッテリーの固有番号を上記第2記憶手段に記憶可能とし、上記第1記憶手段は上記入力手段から入力される新たなバッテリーの固有番号を記憶可能に構成し、上記表示指令手段は、上記第2記憶手段に記憶している旧バッテリーの固有番号も上記ディスプレイ手段に表示させるものであり、かつ上記書込指令手段は、上記カード書込手段を以って上記情報記憶カードに上記第1記憶手段に記憶した上記新たなバッテリーの固有番号を書き込むように構成されたものであるバッテリー交換情報処理装置により構成される。
【0027】
従って、このバッテリー交換情報処理装置と共に、車体の外部から認識し得る箇所に積算走行距離計を備えると共に、着脱自在なバッテリーを備えた電気自動車と、上記電気自動車の前回のバッテリー交換時までの旧積算走行距離、車体識別情報、使用バッテリー情報を少なくとも記憶可能であって上記車体に対応付けられた情報記憶カードを組み合わせることにより、バッテリー交換システムを構成することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、新積算走行距離計を車体の外部から認識可能としたので、迅速に新積算走行距離を認識することができ、従って、バッテリー使用料金を迅速に算出することができ、延いては、バッテリー交換作業を迅速に行うことができる。
【0029】
また、電気自動車の走行距離に対応した公平なバッテリー使用料金を算出することが可能となる。
【0030】
また、電気自動車の経過日数に応じたバッテリー管理料金をも設定することが可能となる。
【0031】
また、カメラ及び画像認識により自動的に新積算走行距離を認識し得るように構成することにより、より効率的で迅速なバッテリー交換作業を行うことができる。
【0032】
また、バッテリーの固有番号を表示することで、バッテリー交換に関連した不正行為を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るバッテリー交換システム及びバッテリー交換情報処理装置を詳細に説明する。
【0035】
先ず、本発明に係るバッテリー交換システムの第1の実施形態を説明する。
図1、
図2に上記バッテリー交換システムに使用される電気自動車1を示す。
この電気自動車1は、車体の外部から認識し得る箇所として、フロントガラス2の範囲内の運転席側の下方位置に、積算走行距離計3が、その表示部3aを外側に向けた状態で設置されている。この積算走行距離計3は、フロントガラス2の内側(室内側)に設置しても良いし、フロントガラス2の外側面に固定しても良い。
【0036】
この積算走行距離計3は、小型の筐体3bの表面側に数字による表示部3aが設けられており、通常の自動車の運転席のメータパネルに設置されている積算走行距離計と同じものである。具体的には、上記メータパネルに設置されている積算走行距離計に接続されている積算走行距離信号ラインを分岐して、同積算走行距離ラインを当該積算走行距離計3に接続して上記メータパネルの積算走行距離計と同一の積算走行距離信号が供給されるように構成し、上記表示部3aに上記メータパネルの積算走行距離計と同一の数字(積算走行距離)が表示されるように構成されている。
【0037】
よって、例えばバッテリー交換場所に当該電気自動車1が到着したとき、バッテリー交換場所の係員は、上記積算走行距離計3の表示部3aを目視することにより、当該電気自動車1の積算走行距離を、当該電気自動車の車外から確認できるように構成されている。
図2は、当該電気自動車1の車体側面の後方位置に設けられた交換用のバッテリー収納ボックス(バッテリー収納部)4を示すものである。このバッテリー収納ボックス4は、内部に交換用のバッテリー5を着脱自在に収納し得るように構成されている。
【0038】
上記バッテリー5は当該電気自動車の走行に供されるメインバッテリーであり、上記バッテリー交換場所において、充電容量の低下したバッテリー5をフル充電された別のバッテリー5に交換し得るように構成されている。
【0039】
図3に示すように、上記バッテリー収納ボックス4は、開閉蓋4aを有し、内部空間4b内に上記バッテリー5を収納し得るように構成されている。
【0040】
図3は、上記バッテリー収納ボックス4の開閉蓋4aを開いた状態であり、上記ボックス4内から台座6を引き出した状態である、この台座6は上記ボックス4内に設けられた台座用レール6bに沿ってボックス内とボックス外の位置をスライド自在に設けられている。
【0041】
図4において、上記フル充電されたバッテリー5はキャスター付のワゴン7上に設置されており、上記ワゴン7の前端7aを,上記ボックス4から引き出した上記台座6の前端6a(
図3参照)に接続し、その状態で上記バッテリー5をバッテリー収納ボックス4方向にスライドさせることにより、
図5に示すように、上記バッテリー5を上記台座6上に載置することができるように構成されている。
【0042】
上記バッテリー5は、
図6に示すように、その先端部に端子5aが設けられており、上記バッテリー収納ボックス4内に収納すると(
図5の矢印A方向)、該ボックス4内の端子(図示せず)と上記端子5aが接続され、電力が走行用モータ(図示せず)に供給されるように構成されている。
【0043】
尚、電気自動車1内のバッテリー5を取り出すときは、
図5の矢印Bのようにバッテリー収納ボックス4内のバッテリー5を台座6共々手前に引き出して、当該台座6から上記バッテリー5を取り外せば良い。
【0044】
尚、上記バッテリー収納ボックス4は、電気自動車1の車体の下面(
図2のバッテリー収納ボックス4’参照)に設けても良い。
【0045】
次に、本発明に係る情報記憶カード8について説明する(
図8参照)。
この情報記憶カード8は、いわゆるカード読取書込機14(
図7参照)によって内部情報を読み取り、かつ、情報を書き込み可能なカードであり、磁気カード、ICカード等、その他各種のカードを使用することができる。
【0046】
この情報記憶カード8内には、
図8に示すように、上記電気自動車1の旧積算走行距離、上記電気自動車1の登録ナンバー等の車体識別情報、上記電気自動車1にて現在使用しているバッテリーの情報(使用バッテリー情報)を記憶するものである。上記使用バッテリー情報は、バッテリーの型式番号、製造メーカ名等であり、バッテリー交換時に同一形式のバッテリーに交換するための情報である。
【0047】
この情報記憶カード8は、上記電気自動車1の所有者(又は使用者)が所持しているもので、従って、上記電気自動車1に対応付けられたものである。
【0048】
次に、本発明に係るバッテリー交換情報処理装置9について
図7に基づいて説明する。
このバッテリー交換情報処理装置9は、バッテリーの交換場所に設置されているもので、上記交換場所の係員がバッテリー交換作業を行うために必要な情報がディスプレイ手段19に表示されるものである。
【0049】
以下に説明するバッテリー交換情報処理装置9の機能は、いわゆるパーソナルコンピュータにより実現可能であり、
図7中の入力手段10はパーソナルコンピュータの入力用キーボード、積算走行距離記憶手段(第1記憶手段)12、車体情報記憶手段(第2記憶手段)15は、パーソナルコンピュータのデータ用のメモリ、制御手段17はパーソナルコンピュータの主メモリに記憶された動作プログラム(
図10参照)及びそのプログラムを実行するCPUにより構成されたものであり、
図10の動作手順に従って各種の処理を実行するものである。
図7の制御手段17は、その動作について機能ブロックとして表現したものであり、走行距離演算手段17a、料金演算手段17c、書込指令手段17d、表示指令手段17bから構成されている。
【0050】
10は上記バッテリー交換情報処理装置9に接続された入力手段であり、コンピュータ用のキーボードにより構成されている。このキーボードから入力された情報はバッテリー交換情報処理装置9の積算走行距離記憶手段12に入力され記憶される。基本的にはバッテリーの交換場所の係員は、バッテリーの交換に来た電気自動車1の積算走行距離計3の表示部3aの積算走行距離(以下この距離を「新積算走行距離」、そのデータを「新積算走行距離データD1という」)を上記入力手段10から入力する。その新積算走行距離は上記積算走行距離記憶手段12に新積算走行距離データD1として記憶される。
【0051】
11は上記バッテリー交換場所に設置されたカメラであり、上記交換場所にバッテリーの交換のために到着した電気自動車1の上記積算走行距離計3に表示された積算走行距離を読み取るものである。このカメラ11で撮影された画像情報データは、バッテリー交換情報処理装置9の画像認識手段13に入力される。
【0052】
上記画像認識手段13は、上記カメラ11から送られてくる画像情報データに基づいて、上記表示部3aに数字として表示された積算走行距離(新積算走行距離)の数字を認識し、新積算走行距離データD1として積算走行距離記憶手段12に送出する。上記新積算走行距離データD1は上記積算走行距離手段12に記憶される。
【0053】
このように、新積算走行距離は、上記係員が目視で確認し、入力手段10からバッテリー交換情報処理装置9に手入力し、積算走行距離記憶手段12に記憶する方法と、上記カメラ11によって撮影し、画像情報としてバッテリー交換情報処理装置9に入力し、画像認識手段13による画像認識技術により、自動的に積算走行距離記憶手段12に記憶する方法がある。
【0054】
これらは、両方設ける必要はなく、入力手段10からの手入力動作だけでも良いし、カメラ11による画像認識を行う場合は、上記入力手段10から手入力を行う必要はない。
【0055】
上記カメラ11を設ける場合は、該カメラ11は、上記バッテリー交換情報処理装置9に外付けされる。また上記画像認識手段13は、例えばパターン認識(例えばテンプレートマッチング処理)の技術(例えば特許第5530752号等)を用いて、数字列が撮影された画像情報から、その数字列を認識して数字列をデータとして認識し得るものである。
【0056】
このような画像認識技術はアプリケーションソフトウェアとして市販されているので、そのようなアプリケーションソフトウェアを当該バッテリー交換情報処理装置9の主メモリにインストールすることができる。この場合、当該バッテリー交換情報処理装置9の制御手段17の機能としての画像認識手段13において、上記カメラ11で撮影した画像情報から数字としての上記新積算走行距離データD1を認識し、上記積算走行距離記憶手段12に当該データD1を記憶することができる。
【0057】
上記バッテリー交換情報処理装置9において、14はカード読取書込機であり、カード挿入部14cに挿入された上記情報記憶カード8の情報を読み取るカード読取手段14aと、上記カード挿入部14cに挿入された上記情報記憶カード8に各種情報を書き込むカード書込手段14bとを有している。このカード読取書込機14は例えば市販のカードリーダライタを使用することもでき、その場合は、市販のカードリーダライタをバッテリー交換情報処理装置9としてのパーソナルコンピュータに外付機器として接続する。
【0058】
上記カード読取手段14aは上記情報記憶カード8から読み取った積算走行距離(以下、この距離を「旧積算走行距離」、そのデータを「旧積算走行距離データD2」という)と、車体識別情報と、使用バッテリー情報を車体情報記憶手段15に送出するものである
。
【0059】
上記車体情報記憶手段15は上記カード読取手段14aから送られてくる積算走行距離(旧積算走行距離データD2)と、車体識別情報データ(車体の登録ナンバーデータ)と、使用バッテリー情報データ(メーカー名のデータ、型式番号のデータ)を記憶するものである。
【0060】
次に、制御手段17の機能を説明する。制御手段17は、
図10に示す動作手順に基づいて、走行距離及び料金を演算し、ディスプレイ手段19に必要な情報の表示指令を行うと共に、カード書込手段14bに対して上記情報記憶カード8に記憶されている旧積算走行距離を新積算走行距離に書き換え(更新)を指示する。
【0061】
上記制御手段17は、積算走行距離記憶手段12に新積算走行距離データD1が記憶されているか否か確認し、記憶されている場合は、積算走行距離記憶手段12に記憶されている新積算走行距離データD1を走行距離演算手段17a及び書込指令手段17dに入力するように指示する(
図10S1,S2)。次に、制御手段17は、車体情報記憶手段15にカード情報(車体識別情報データ、使用バッテリー情報データ、旧積算走行距離データD2)が記憶されているか否か確認し、何れも記憶がされていることが確認された場合は、旧積算走行距離データD2を走行距離演算手段17aに入力指示すると共に、同旧積算走行距離データD2、車体識別情報データ、使用バッテリー情報データを、表示指令手段17bに入力するように指示する(
図10S3,S4)。制御手段17は、上記各入力動作が行われたことを確認の後、以下の動作を行う。
【0062】
制御手段17は、走行距離演算手段17aにて実走行距離の演算を行う(
図10S5)。即ち、上記積算走行距離記憶手段12にて記憶した新積算走行距離データD1と、車体情報記憶手段15に記憶した旧積算走行距離データD2とを比較し、実走行距離を演算により求める。具体的には、(積算走行距離データD1−旧積算走行距離データD2)を演算で求めることにより、前回バッテリー交換した日時から現在までの実走行距離(実走行距離データD3)を求めるものである。求められた実走行距離データD3は表示指令手段17bと料金演算手段17cに送出される。
【0063】
次に、制御手段17は、料金演算手段17cにおいて料金の演算を行う(
図10S6)。上記料金演算手段17cは、上記実走行距離データD3に基づいてバッテリー使用料を演算する。この料金演算手段17cは、予め、距離1km当たりの単価料金データ、例えば1km当たり8円の単価料金データテーブルをメモリ20に記憶しており、上記単価データに基づいて距離に応じたバッテリー使用料(実走行距離[km]×単価料金データ[円/km])を演算により求め、当該バッテリー使用料データYを表示指令手段17bに送出する。
【0064】
その後、制御手段17(表示指令手段17b)は、表示指令手段17bに必要な情報の通知があったことを確認すると、ディスプレイ手段19に対して各情報を表示するように指令する(
図10S7)。即ち、表示指令手段17bは、ディスプレイ手段19に対して、車体識別情報データ、使用バッテリー情報データ、新積算走行距離データ、旧積算走行距離データ、実走行距離データ、使用料金データを送出する。従って、表示ディスプレイ手段19には、
図9に示すように、車体識別情報(車体ナンバー等)、新積算走行距離D1、旧積算走行距離D2、実走行距離D3、バッテリー使用料金、使用バッテリー情報が表示されるように構成されている。尚、ディスプレイ手段19には、少なくとも車体識別情報、使用バッテリー情報、バッテリー使用料金が表示されれば良い。
【0065】
上記ディスプレイ手段19は、例えば液晶ディスプレイであり、上記各情報が表示され、上記係員は上記ディスプレイに表示された情報を目視できるように構成されている。
【0066】
さらに、制御手段17(書込指令手段17d)は、カード書込手段14bに新積算走行距離データD1を送出し、同書込手段14bに情報記憶カード8に記憶されている旧走行距離D2を上記新積算走行距離D1に書き換える指令を行う(
図10S8)。
【0067】
これにより上記カード書込手段14bは上記情報記憶カード8内に記憶してある旧積算走行距離データD2を新積算走行距離データD1に書き換える動作を行う。上記制御手段17(書込指令手段17d)は上記書き換えが終了したことを認識すると動作を終了するように構成されている(
図10S9)。
【0068】
尚、上記カード書込手段14bは、新積算走行距離データD1を書き換えるのではなく、上記情報記憶カード8に旧積算走行距離データを残したまま、新積算走行距離データD1を書き込むように構成しても良い。
【0069】
上記係員は、上記ディスプレイ手段19に表示されている使用バッテリー情報に基づいて、交換可能なフル充電のバッテリーを認識し、当該バッテリーを上記電気自動車1の旧バッテリー5と交換することができる。また、所有者に対してバッテリー使用料金の支払いを求めることができる。
【0070】
また、係員は新積算走行距離データD1に書き換えられた情報記憶カード8をカード読取書込機14から抜き取って、電気自動車1の所有者に返却する。
【0071】
本発明は上述のように構成されるものであるから、以下、その動作について説明する。
まず、電気自動車1の所有者(又は使用者)は情報記憶カード8(
図8参照)を有しており、該カード8内には、車体識別情報として、電気自動車の登録ナンバー、使用バッテリー情報として、バッテリーのメーカ名及び型式番号、さらに前回までの電気自動車の旧積算走行距離(本実施形態では15000kmとする)が記憶されているものとする。
【0072】
また、電気自動車1に搭載されているバッテリー5のフル充電時の走行可能距離は350kmであるとする。そして、電気自動車1の所有者はフル充電時から300km走行した後、バッテリー交換場所を訪れたものとする。
【0073】
このとき電気自動車1のフロントガラス2側に設けられた積算走行距離計3の表示部3aには「15300」[km]と表示されている。
【0074】
ここで、バッテリー交換場所の係員は、上記電気自動車1の上記フロントガラス2側の上記積算走行距離計3の表示部3aを目視し、新積算走行距離を認識し、入力手段10のキーボードからこの新積算走行距離D1(15300)を入力する。
【0075】
すると、上記新積算走行距離は距離データD1としてバッテリー交換情報処理装置9内の積算走行距離記憶手段12に記憶される。
【0076】
カメラ11を使用する場合は、上記カメラ11を予め車体の駐車位置に対してフロントガラス2を撮影可能な場所に設置しておき、光センサー等で上記電気自動車1が上記駐車位置に停止したことを検知すると、自動的にシャッターをオンして、上記フロントガラス2側の上記積算走行距離計3の表示部3aを撮影する。
【0077】
撮影された画像データはバッテリー交換情報処理装置9の画像認識手段13に入力し、当該画像認識手段13において上記画像データから数字を認識し、その結果、上記新積算走行距離である「15300」が認識される。その後、上記画像認識手段13は、認識した当該距離データD1を積算走行距離記憶手段12に送出し、当該積算走行距離記憶手段12にて記憶される。
【0078】
このようにカメラ11を使用すると、自動的に新積算走行距離データD1を記憶できるが、カメラ11を使用しなくても、上述のように、係員がフロントガラス側の積算走行距離計3の表示部3aに表示されている積算走行距離を目視により確認し、入力手段10から入力するように構成しても良い。
【0079】
何れの場合においても、電気自動車1の積算走行距離計3がフロントガラス2にその表示部3aが外側を向いた状態で設置されているので、当該電気自動車1の運転席のドアを開けて、メータパネル内の積算走行距離計を確認しなくても、車体外部から積算走行距離を容易に確認することができる。よって、走行距離に基づくバッテリー使用料金の計算を迅速に行うことができ、延いてはバッテリー交換を迅速に行うことができる。
【0080】
上記積算走行距離記憶手段12に記憶された新積算走行距離データD1は、制御手段17の指令によって制御手段17の走行距離演算手段17a及び書込指令手段17dに送出される(
図10S1,S2参照)。
【0081】
次に、係員は電気自動車の所有者から情報記憶カード8を受け取り、当該カード8をバッテリー交換情報処理装置9のカード読取書込機14の挿入部14cに装着する。すると、カード読取書込機14のカード読取手段14aがカード情報を読み取り、読み取った情報を車体情報記憶手段15に送出する。
【0082】
上記カード情報は、車体識別情報(電気自動車の登録ナンバー等)、使用バッテリー情報(バッテリーのメーカー名、型式番号)及び、前回までの積算走行距離(旧積算走行距離D2、本実施形態では15000km)であり、これらのデータは車体情報記憶手段15に送出され、当該車体情報記憶手段15に記憶される。
【0083】
ここで、車体情報記憶手段15は、上記制御手段17の指令により、記憶した情報データ、即ち上記所有者識別情報データ、使用バッテリー情報データ、旧積算走行距離データD2は、制御手段17の表示指令手段17bに送出され、同時に上記旧積算走行距離データD2は制御手段17の走行距離演算手段17aに送出される(
図10S3,S4参照)。
【0084】
上記制御手段17は、ここで、上記新積算走行距離データD1及び上記各種カード情報が制御手段17に入力されたことを認識すると(
図10S2,S4参照)、次に、制御手段17(上記走行距離演算手段17a)は、上記新積算走行距離データD1(15300km)から旧積算走行距離データD2(15000km)を減算し、実走行距離データD3(300km)を算出し、当該実走行距離データD3を表示指令手段17b及び料金演算手段17cに送出する(
図10S5参照)。
【0085】
上記制御手段17(料金演算手段17c)は、上記実走行距離データD3が入力すると、メモリ20の単価データテーブルを参照して1km当たりの単価(この場合8円とする)を認識し、上記実走行距離データD3に上記単価(8円/1km)を乗じてバッテリー料金(この場合2400円)を算出し、該バッテリー料金データを表示指令手段17bに送出する(
図10S6参照)。
【0086】
上記制御手段17(表示指令手段17b)は、上記各データが入力したことを確認すると、これらのデータをディスプレイ手段19に表示するように指令する(
図10S7参照)。その結果、上記ディスプレイ手段19には、
図9に示すように、車体識別情報として、電気自動車の登録ナンバー、使用バッテリー情報としてバッテリーのメーカ名、型式番号、新積算走行距離D1(15300km)、旧積算走行距離D2(15000km)、実走行距離D3(300km)、バッテリー使用料金(2400円)が表示されることになる。
【0087】
よって、上記係員は、上記ディスプレイ手段19の使用バッテリー情報におけるバッテリーの製造メーカ、型式番号に基づいて、当該電気自動車1のバッテリー5と交換可能なフル充電済の別のバッテリー5を確認し、充電済バッテリーの収納場所から充電済のバッテリー5を取り出し、当該バッテリー5をバッテリーのワゴン7上に載置して交換準備を行う。
【0088】
上記係員は電気自動車1のバッテリー収納ボックス4の開閉蓋4aを開け、該ボックス4に収納されている使用済のバッテリー5を引き出し、該バッテリー5を台座6から取り外す。
【0089】
その後、係員は上記ワゴン7を押して、上記電気自動車1のバッテリー収納ボックス4近傍まで移動し、そのワゴン7の前端7aを、既に引き出されている上記台座6の前端6aに接続する。そして、係員は、上記充電済バッテリー5を電気自動車1側にスライドさせ、当該バッテリー5を上記台座6の上に移動させる。
【0090】
その後は、当該バッテリー5を上記台座6共々、上記バッテリー収納ボックス4内に収納し、その後、開閉蓋4aを閉鎖する。すると、上記ボックス4内において、上記バッテリー5の端子5aと上記電気自動車1内の端子が接続され、電気自動車1において上記バッテリー5を使用可能となる。
【0091】
上記制御手段17(書込指令手段17d)は、上記ステップS7から引き続いて、カード書込手段14bに対して新積算走行距離データD1の書き込み指令を行うと共に、新積算走行距離データD1(15300km)をカード書込手段14bに送出する。
【0092】
上記カード書込手段14bは上記指令に基づいて、上記情報記憶カード8内の積算走行距離(旧積算走行距離D2=15000km)を新積算走行距離D1=15300kmに書き換える。これにより、上記情報記憶カード8の積算走行距離は旧積算走行距離の15000kmから新積算走行距離の15300kmに書き換えられたことになる。この場合、情報記憶カード8内に、旧積算走行距離データを残したまま、新積算走行距離D1を書き込んでも良い。このように構成すると、情報記憶カード8内に走行距離の履歴を残すことができる。
【0093】
制御手段17は、カードの書き込みが終了したことを検出すると(
図10S9参照)、処理を終了する。
【0094】
係員は、上記カード読取書込機14から上記情報記憶カード8を取り出し、電気自動車1の所有者に返却する。同時に、係員は、電気自動車1の所有者からバッテリー使用料金として、2400円を徴収してバッテリー交換動作を終了する。
【0095】
上記バッテリー交換に要する時間は、係員一人であっても4〜5分で終了することができ、従来のバッテリー充電時間に比べて、大幅に時間短縮を行うことが可能である。
【0096】
しかもバッテリー料金は、走行距離に対応した料金を支払えばよいので、公平性が担保されるし、利用者の負担の軽減を実現し得る。
【0097】
また、電気自動車1の積算走行距離計3をフロントガラス2の範囲内において、車体の外側から確認できる位置に設置したので、容易に積算走行距離を車体の外部から確認することができ、車体のドアを開けてメータパネル内を確認するという手間を省くことができ、バッテリー交換時間を短縮することができる。
【0098】
ところで、本発明のバッテリー交換システムの料金体系は、上述にて説明してきた「走行距離に対応した使用料金」の他、基本的に「経過日数に応じた管理料金」が設定されており、電気自動車の使用者は、「走行距離に応じた使用料金」(内訳は、税金分と、交換バッテリーを管理するバッテリー管理会社分と、バッテリーを交換するバッテリー交換場所分)と、「経過日数に応じた管理料金」(全てバッテリー管理会社分)の両方を支払うことになる。
【0099】
そして、「経過日数に応じた管理料金」の支払い方法としては、経過日数に応じて支払う方法(この場合、使用者は「走行距離に応じた使用料金」(上記2400円)と共に、バッテリー交換場所にて「経過日数に応じた管理料金」(例えば1日当たりの管理料55円×5日(経過日数)=275円)を支払う)(パターン1)、新車購入時に、次の車検までの3年分の「経過日数に応じた管理料金」(例えば1日当たりの管理料55円×3年=60,225円)を支払い、以後は2年毎の車検時に2年分の「経過日数に応じた管理料金」(例えば1日当たりの管理料55円×2年=40,150円)を支払い、日常的には「走行距離に応じた使用料金」のみを支払う(パターン2)、新車購入価格に、例えば10年分の「経過日数に応じた管理料金」(例えば1日当たりの管理料55円×10年=200,750円)を車両価格として含ませておき、使用者は車両価格として上記10年分の「経過日数に応じた管理料金」を一括して支払う。この場合、使用者は日常的には、「走行距離に応じた使用料金」のみを支払う(パターン3)、車購入時より1か月分を毎月支払う(パターン4)の、4つのパターンがある。
【0100】
バッテリー管理会社は、本バッテリー交換システムの交換用バッテリーの全てを管理するものであり、交換用バッテリーの保守、点検、修理等を、電気自動車の使用者に負担をかけることなく行い、そのために、バッテリー管理会社に支払う経過日数に応じたバッテリー管理料金が発生するものである。
【0101】
次に、「経過日数に応じた管理料金」の支払い方法として、上記パターン1の場合の本発明のバッテリー交換システムを第2の実施形態として以下説明する。本第2の実施形態では、バッテリー管理料金を、バッテリーの経過日数を基礎に算出するようにしたものである。
【0102】
この場合、カード書込手段14bに新積算走行距離D1を書込む際に、書込日時又は書込日を上記情報記憶カード8に同時に書き込むように設定する。そして、上記カード読取手段14aでの読み取り時に上記書込日時又は書込日をも読み取り、他のカード情報と共に、上記車体情報記憶手段(第2記憶手段)15に上記書込日時を記憶するように構成する。
【0103】
そして、上記メモリ20の単価データテーブルには、1日当たりの単価を予め記憶しておく。例えば、1日当たりの単価を55円とする。
【0104】
上記料金演算手段17cは、上記車体情報記憶手段15から入手した上記書込日時データとタイマ21から得た現在日時との日数の差を「経過日数」(この場合、5日とする)として算出すると共に、1日当たりの単位料金に上記経過日数を乗ずることによってバッテリー料金を算出する。従って、この場合、5×55円=275円が管理料金となる。尚、同一日に2回以上来店した場合であっても、その都度管理料金は発生する。
【0105】
この経過日数を基礎とした管理料金データは、表示指令手段17bに送られ、上記表示指令手段17bによりでディスプレイ手段19に日数ベースの管理料金として表示される(
図13参照)。
【0106】
この場合、上記距離ベースの使用料金と日数ベースの管理料金を共に表示可能としても良い(
図13参照)。
【0107】
従って上記パターン1の使用者は、この場合、5日分の走行距離に応じた使用料金(2400円)と、5日分の経過日数に応じた管理料金(275円)の両方を支払うことになる。
【0108】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
例えば、使用者が上記電気自動車1の走行をせずにバッテリー5を取り外し、別の電気自動車に装着されていた容量の低下したバッテリーを上記電気自動車1に装着し、バッテリー交換場所に来た場合は、当該電気自動車1の走行距離は少ないので、低価格でフル充電のバッテリーへの交換を行うことができる、という不正行為を行うことが可能となる。
この第3の実施形態は、このような不正行為をなくすため、上記情報記憶カード8にバッテリー5固有の製造番号(固有番号)を記憶し、この製造番号をディスプレイ手段19に表示するようにしたものである。
【0109】
尚、この第3の実施形態において、上記実施形態と同一部分には同一符号を付し、基本的に同一部分及び同一の制御手順の説明は省略する。また、バッテリー5には、その筐体に外部から目視可能な位置に上記製造番号が表示されているものとする。
【0110】
図11に示すように情報記憶カード8には、上記第1の実施形態にて説明した情報に加えて、使用バッテリー情報として、バッテリー5固有の製造番号(現在電気自動車1が装着しているバッテリー5の製造番号、バッテリー毎に異なる)と、前回バッテリーの交換を行ったバッテリー交換場所の店番号が記憶されている(
図11参照)。
【0111】
バッテリー交換場所は、店舗として全国各地に設けられるものであり、店ごとに固有の番号が設けられているものとする。そして、この店番号は、バッテリー交換情報処理装置9(
図12参照)のデータメモリ20’に、上記単価データテーブルと共に予め記憶されている。
【0112】
従って、情報記憶カード8をバッテリー交換情報処理装置9のカード読取書込機14の挿入部14cに装着すると、カード読取書込機14のカード読取手段14aが上記製造番号、店番号を含むカード情報を読み取り、読み取った情報を車体情報記憶手段(第2記憶手段)15に送出し、上記カード情報が当該第2記憶手段15に記憶される。ここで、車体情報記憶手段15は、上記制御手段17の指令により、記憶した製造番号を含む情報データを表示指令手段17bに送出し、同時に旧積算走行距離データD2は制御手段17の走行距離演算手段17aに送出される(
図14S3,S4参照)。
【0113】
また、制御手段17の制御により、上記第1の実施形態と同様に、料金が演算された後(
図14S5,S6)、上記製造番号は、制御手段17の表示指令(
図14S7)に基づいて、
図13に示すように、ディスプレイ手段19において「使用バッテリー情報」として表示される。また、同様に店番号もディスプレイ手段19に表示される(
図13参照)。
【0114】
よって、店の係員は、電気自動車1から取り出したバッテリー5の外部に表示されている製造番号と、上記ディスプレイ手段19に表示された製造番号(情報記憶カード8に記憶されていた製造番号)を照合することにより、両番号の一致を確認することで、上記不正行為が行われていないことを確認することができる。
【0115】
尚、上記ディスプレイ手段19には、前回バッテリー交換を行った店番号が表示されているので、これにより係員は前回のバッテリー交換を行った店舗をも把握することができる。
【0116】
ここで、係員は新たなバッテリーを電気自動車1に装着するが、その際、新たなバッテリーの固有の製造番号を入力手段10から入力する。すると、その製造番号は書込情報記憶手段(第1の記憶手段)12’内に記憶される。この製造番号データは、制御手段17の指令によって制御手段17の書込指令手段17dに送出される(
図14S7−1,S7−2)。
【0117】
さらに上記制御手段17(書込指令手段17d)は、書込指令(
図14S8)を行う際、上記書込情報記憶手段12’から、既に係員が入力している新積算走行距離データD1と共に、上記係員が入力した新たなバッテリーの上記製造番号データ、さらにデータメモリ20’に記憶されている店番号データを読み出し、カード書込手段14bに送出する。
すると、上記カード書込手段14bは、上記情報記憶カード8の旧バッテリーの製造番号を、新たなバッテリーの製造番号に書き換えると共に、前回バッテリーの交換を行った店番号を本バッテリー交換を行った店番号に書き換えるように構成される(
図14P8,P9)。
【0118】
尚、カード書込手段14bは、旧バッテリーの製造番号を新バッテリー製造番号に書き換えるのではなく、旧バッテリーの製造番号を履歴として残したまま、新バッテリーの製造番号を書き込んでも良い。上記店番号も同様に、旧データの店番号を履歴として残したまま、当該店の店番号を書き込んでも良い。このようにすると、情報記憶カード8に交換の履歴が記録として残るという利点がある。
【0119】
このように構成すると、交換後の新たなバッテリーの製造番号は、次回の交換時に、バッテリー交換場所のディスプレイ手段19に表示されるので、上述のような不正行為を防止することができる。また、前回の交換時の店番号もディスプレイ手段19に表示されるので、前回のバッテリー交換を行った店も特定することができるので、上記不正行為をより効果的に防止することができる。
【0120】
図15に上記積算走行距離計3の他の実施形態(第4の実施形態)をさらに示す。
図15は、バッテリー収納ボックス4の開閉蓋4aを開けた状態を示すものであり、積算走行距離計3の表示部3aは、上記電気自動車のバッテリー収納ボックス4の内側、即ち、開閉蓋4aを開けたときの開閉蓋4aの内側の車体側面1’に設けられている。或いは、上記積算走行距離計3(表示部3a)は、バッテリー収納ボックス4の開閉蓋4aの外側の車体側面1’に設けられている(
図15の二点鎖線の積算走行距離計3参照)。
【0121】
従って、係員は、バッテリー交換時に必ず上記開閉蓋4aを開くが、そのとき、開閉蓋4aを開く前に、バッテリー収納ボックス4の上部の積算走行距離計3にて積算走行距離を確認することができるし、或いは、開閉蓋4aを開いたときに該開閉蓋4aの内側の車体側面1’の積算走行距離計3にて、積算走行距離を確認することができる。
【0122】
このように本発明において「車体の外部から認識し得る箇所」には、
図1に示すように、フロントガラス2の箇所に限らず、
図15に示す、車体側面1’も含まれる。
【0123】
尚、
図15に示すように、バッテリー5の前面側にバッテリーの製造番号23を表示しても良いし、上記積算走行距離計3の隣の車体側面1’に車体番号24(車体のナンバー、或いは、車体のナンバーとは異なる車体の製造番号等)を表記しても良い。
【0124】
本発明は以上のように、積算走行距離計3の新積算走行距離を車体の外部から認識可能としたので、迅速に新積算走行距離を認識することができ、従って、バッテリー使用料金を迅速に算出でき、延いては、バッテリー交換作業を迅速に行うことができる。
【0125】
また、電気自動車1の走行距離に対応した公平なバッテリー使用料金を算出することが可能となる。
【0126】
また、電気自動車1の経過日数に応じたバッテリー管理料金をも設定することが可能となる。
【0127】
また、カメラ11及び画像認識により自動的に新積算走行距離を認識し得るように構成することにより、より効率的で迅速なバッテリー交換作業を行うことができるものである。
【0128】
また、各バッテリー交換場所には、交換すべき複数のバッテリーと、充電装置と、本発明に係るバッテリー交換情報処理装置を設置するだけで良いため、全国的展開を比較的容易に行うことができる。
【0129】
また、バッテリーの製造番号がディスプレイ手段に表示されるように構成したので、バッテリー交換に関連する不正行為を防止することができる。
【0130】
また、交換したバッテリーの製造番号は、情報記憶カードにその都度記憶され、バッテリー交換の度にその製造番号がディスプレイ手段に記憶されるので、上記不正行為をより効果的に防止することができる。
【0131】
また、前回バッテリー交換を行った店番号がディスプレイ手段に表示されるので、バッテリー交換の履歴を管理することもできる。
【0132】
尚、情報記憶カード8に記載される車体識別情報として、電気自動車のナンバープレートを使用したが、当該カード8に電気自動車の所有者(又は使用者)の氏名等を記憶するように構成しても良い。